コミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置
【課題】 本発明によれば、利用者に与える臨場感を向上させるコミュニケーションシステムを提供することができる。
【解決手段】 本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムに関する。そして、コミュニケーションシステムは、カメラを用いて第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する手段と、保持した映像データに基づく映像を、第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける方向制御機構と、上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する手段と、上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、ディスプレイの新たな画面方向を決定して制御する手段とを有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムに関する。そして、コミュニケーションシステムは、カメラを用いて第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する手段と、保持した映像データに基づく映像を、第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける方向制御機構と、上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する手段と、上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、ディスプレイの新たな画面方向を決定して制御する手段とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置に関し、例えば、音声及び映像を用いた通話で遠隔コミュニケーションを実現するコミュニケーションシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
遠隔コミュニケーションの重要性はますます高まっており、遠隔地の会話者の存在感や場の臨場感を視覚的および聴覚的に遠隔地に伝えるコミュニケーションシステムが注目されている。
【0003】
従来のコミュニケーションシステムに関する技術としては、特許文献1〜4の記載技術がある。
【0004】
特許文献1の記載技術は、人間の頭部形状を模したダミーヘッドに、遠隔地の会話者の表情を表示することで、視覚的、聴覚的に高い臨場感を持った高臨場感通信装置を提供するものである。しかしながら、臨場感を提供するためにダミーヘッドのような大がかりな装置を用意しなければならず、容易に臨場感を生むことができない。これに対して、特許文献2では、遠隔の会議出席者の顔がほぼ実物大にビデオモニタに映され、直接目で見つめているような感覚を与え、自動的または手動的にビデオモニタは発話者の方を向き、遠隔の会議出席者が顔を回転している感覚を与えることができる装置について記載されている。
【0005】
また、特許文献3では、イヤホンマイクからの音源信号を解析してイヤホンマイクの位置を特定し、その位置情報に基づいて携帯電話端末のディスプレイの向きを変え、イヤホンマイクに正対させる情報処理端末について記載されている。さらにまた、特許文献4では、人体の接近を検知し、その接近する方向にディスプレイを向ける近距離通信装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−269549号公報
【特許文献2】特表2001−524286号公報
【特許文献3】特開2003−169161号公報
【特許文献4】特開2003−289273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の記載技術は、特許文献1の記載技術と同様に、高い臨場感を提供するために大がかりな装置を用いなければならず、またビデオモニタの移動回転と遠隔地からの映像の変化は統合的なものではない。
【0008】
また、特許文献3、4の記載技術は、双方とも、利用者の動作に応じてディスプレイの向きを変化させることに特徴があるが、利用者の労力を軽減させることが目的であり、遠隔地の会話者を表示したり、遠隔コミュニケーションを支援したりする目的ではない。また、特許文献3、4の記載技術は、ディスプレイの回転と遠隔地からの映像の変化は統合的なものではない。
【0009】
そのため、利用者に与える臨場感を向上させることができるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムにおいて、(1)1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する映像データ保持手段と、(2)上記映像データ保持手段が保持した映像データに基づく映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、(3)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、(4)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムを構成する、上記第1の利用者が利用する第1のコミュニケーション装置において、(1)上記第2の利用者が利用する第2のコミュニケーション装置から、1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像データを取得する映像データ取得手段と、(2)上記映像データ取得手段が取得した映像データの映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、(3)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、(4)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者に与える臨場感を向上させるコミュニケーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置(コミュニケーション装置本体)の機能的構成について示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るコミュニケーションシステムの全体構成について示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置の斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る映像処理部が、利用者情報として把握する利用者頭部方向について示した説明図である。
【図5】第1の実施形態に係る映像合成部及び回転制御部の処理について示した説明図である。
【図6】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る映像処理部が、利用者情報として把握する利用者視線方向について示した説明図である。
【図8】第2の実施形態に係る映像合成部及び回転制御部が行う処理について示した説明図である。
【図9】第2の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係るコミュニケーション装置を構成するカメラシステムの構成について示した説明図である。
【図11】第3の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図13】第5の実施形態に係るコミュニケーション装置(コミュニケーション装置本体)の機能的構成について示したブロック図である。
【図14】第5の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、この実施形態のコミュニケーションシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、コミュニケーションシステム1では、ネットワークNを介して、2台のコミュニケーション装置10(10−1、10−2)の間が接続されている。コミュニケーション装置10は、ビデオ会議機能等のネットワークNを介した遠隔コミュニケーション機能を利用者に提供する装置である。
【0017】
なお、以下では、コミュニケーション装置10−1は第1の利用者U1が利用するものであるものとし、コミュニケーション装置10−2は、第2の利用者U2が利用するものであるものとする。
【0018】
また、以下では、それぞれのコミュニケーション装置10において、自装置の利用者を「自装置利用者」と呼び、ネットワークNを介して対向するコミュニケーション装置10の利用者を「遠隔側利用者」と表わすものとする。また、それぞれのコミュニケーション装置10において、自装置と、ネットワークNを介して対向するコミュニケーション装置10のことを「遠隔側装置」と表わすものとする。なお、ここでは、説明を簡易とするために、コミュニケーション装置10−1とコミュニケーション装置10−2とは同じ構成であるものとして説明するが、異なる構成としても良い。
【0019】
次に、コミュニケーション装置10の構成について説明する。
【0020】
図3は、コミュニケーション装置10の斜視図である。図3に示すように、コミュニケーション装置10は、コミュニケーション装置本体11、カメラ12、及びディスプレイ13を有している。
【0021】
コミュニケーション装置本体11は、コミュニケーション装置10の全体を制御する機能等を担っている。コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、カメラ12及びディスプレイ13が制御されている。コミュニケーション装置本体11としては、例えば、プログラムを実行するプロセッサ及びネットワークに接続するインタフェースを備える情報処理装置(例えば、PCや、専用装置等)に、実施形態のコミュニケーションプログラム等をインストールすることにより実現するようにしても良く、その場合でも、コミュニケーション装置10の機能的構成は、図1のように示すことができる。
【0022】
カメラ12は、自装置の利用者を撮像するためのカメラ本体121と、カメラ本体121を載置するカメラ回転板122とを有している。
【0023】
カメラ本体121は、コミュニケーション装置本体11の制御に応じて撮像した映像の映像データを、コミュニケーション装置本体11に供給する。また、カメラ本体121としては、例えば、既存のビデオ会議端末等に利用されるCCDカメラ等を適用することができる。
【0024】
カメラ回転板122は、コミュニケーション装置本体11の制御により動作する回転機構(図示せず、例えば、モータ等)により、左右方向(水平方向)に、時計回り又は反時計回りに回転し、載置しているカメラ本体121の撮像する方向を変更させる。言い換えると、コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、カメラ回転板122が備える上述の回転機構を動作させることにより、カメラ本体121の撮像する方向を制御している。カメラ12としては、例えば、既存のビデオ会議端末等で用いられる撮像方向を変更することができるカメラ(例えば、ロボットカメラ等)を用いることができる。なお、第1の実施形態では、カメラ本体121の撮像する方向を制御する手段は限定されないものであり、上述の回転機構以外の手段(例えば、首振り機構を備えるスタンド等)を適用するようにしても良い。また、図3では、カメラ12とコミュニケーション装置本体11との間の物理インタフェースは限定されないものであり、既存の有線(例えば、USBケーブル等)や無線のインタフェースを適用することができる。
【0025】
ディスプレイ13は、コミュニケーション装置本体11から出力された映像(映像信号)を当該第1の利用者U1に表示出力するためのディスプレイ本体131と、ディスプレイ本体131を載置するディスプレイ回転板132とを有している。
【0026】
ディスプレイ本体131としては、例えば、既存のPC等で用いられる液晶ディスプレイ等を用いることができる。
【0027】
ディスプレイ回転板132は、コミュニケーション装置本体11の制御により動作する回転機構(図示せず、例えば、モータ等)により、水平方向(左右方向)に、時計回り又は反時計回りに回転し、載置しているディスプレイ本体131の画面の方向を変更させる。言い換えると、コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、ディスプレイ回転板132が備える上述の回転機構を動作させ、ディスプレイ本体131の画面を向ける方向を制御している。なお、第1の実施形態では、ディスプレイ本体131の画面方向を制御する手段は限定されないものであり、カメラ12と同様に、上述の回転機構以外の手段を適用することができる。また、図3では、ディスプレイ13の図示しない回転機構とコミュニケーション装置本体11との間の物理インタフェースは限定されないものであり、既存の有線(例えば、USBケーブル等)や無線のインタフェースを適用することができる。また、ディスプレイ本体131が、コミュニケーション装置本体11から映像信号の供給を受けるための物理インタフェースについても限定されないものであり、例えば、既存のPC等のディスプレイと同様のインタフェースを適用することができる。
【0028】
次に、図1を用いて、コミュニケーション装置本体11の機能的構成について説明する。
【0029】
コミュニケーション装置10を構成するコミュニケーション装置本体11は、機能的には、映像取得部101、映像処理部102、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105、映像表示部106、回転制御部107、及び制御部108を有している。なお、図1においては図示を省略しているが、コミュニケーション装置本体11は、自装置利用者が発話する音声を捕捉するマイクや、遠隔側装置から供給された遠隔側利用者が発話した音声を出力するスピーカ等、既存のビデオ会議端末と同様の構成も備えているものとする。
【0030】
制御部108は、当該コミュニケーション装置10全体の動作を制御するものであり、例えば、当該コミュニケーション装置10内の各構成要素との間で制御情報のやりとりをしたり、他のコミュニケーション装置10との呼接続等を行う機能等を担っている。また、制御部108は、上述の図示しないマイクから捕捉した自装置利用者の発話した音声の音声信号(音声データ)を遠隔側装置に送出する処理も行うものとする。さらに、制御部108は、遠隔側装置から供給される遠隔側利用者の発話した音声信号(音声データ)の音声を、上述の図示しないスピーカに出力する処理も行うものとする。なお、この実施形態において、コミュニケーション装置10は、音声及び映像を用いて遠隔側利用者とコミュニケーション(通話)可能な端末であるものとして説明するが、映像だけを用いたコミュニケーションに対応させ、音声を処理する構成について省略するようにしても良い。
【0031】
映像取得部101は、自装置利用者を撮像した映像データを、カメラ12から取得する機能を担っている。また、映像取得部101は、自装置利用者の動きに追従するように、カメラ12の撮影する方向や撮影倍率を制御しているものとする。ここでは、例として、映像取得部101は、自装置利用者の頭部が撮影映像の中心となるようにカメラ12の方向等を制御するものとする。映像取得部101が、自装置利用者を撮像し続けるように、カメラ12の方向等を制御する方式については限定されないものであるが、既存のビデオ会議端末等と同様の方法を適用することができる。そして、映像取得部101は、カメラ12により撮影された映像データ(動画像データ)を、遠隔側装置にリアルタイムで送信する。映像取得部101が、映像データを遠隔側装置にリアルタイムで送信する方式については限定されないものであり、既存のビデオ会議端末等で用いられる種々の方式を適用することができる。
【0032】
映像処理部102は、映像取得部101が取得した映像データの映像(自装置利用者の映像)を処理する機能を担っている。具体的には、映像処理部102は、処理対象となる映像について、背景映像と人物映像(自装置利用者の映像)に分離するとともに、自装置利用者の利用者情報(詳細については後述する)を算出する。
【0033】
ここで、利用者情報とは、例えば、コミュニケーション装置10を利用している利用者の非言語情報であり、利用者の身体的な位置情報(以下、「身体的位置情報」ともいう)を含む情報であるものとする。利用者情報に含まれる利用者の身体的位置情報としては、例えば、ディスプレイ本体131を回転する回転軸から見た、利用者の頭部の位置姿勢や視線の方向、肩の向き等が挙げられる。ここでは、例として、ディスプレイ本体131の回転軸から見た利用者の頭部の一部(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)の方向(以下、「利用者頭部方向θH」という)に関する情報が、利用者情報に含まれるものとする。映像処理部102が、自装置利用者の映像を用いて、自装置利用者の利用者頭部方向を把握する方法は限定されないものであるが、例えば、参考文献1(特開2008−102902号公報)の記載技術を用いることができる。参考文献1では、ユーザを撮影した映像から、当該ユーザの頭部の位置姿勢や視線の方向、肩の向き等を把握することについて記載されている。なお、以下では、コミュニケーション装置10−1を利用する第1の利用者U1の利用者頭部方向を「利用者頭部方向θH1」、コミュニケーション装置10−2を利用する第2の利用者U2の利用者頭部方向を「利用者頭部方向θH2」と表すものとする。
【0034】
図4は、コミュニケーション装置10を構成する映像処理部102が把握する利用者情報の例について示した説明図である。
【0035】
ここでは、例として、ディスプレイ本体131が初期の状態で向いている画面に対する垂直平面Sを0度の方向と呼び、ディスプレイ本体131の回転軸PAを中心として、時計回りにずれた方向を正の角度、反時計回りにずれた方向を負の角度として方向を表すものとする。すなわち、ディスプレイ本体131の画面は、初期状態では0度の方向を向いているものとする。その後、ディスプレイ本体131の画面の方向が、ディスプレイ回転板132の動作に従って変化する。以下では、現在のディスプレイ本体131の画面の方向を、「画面方向θS」と表わすものとする。また、以下では、コミュニケーション装置10−1の画面方向を「画面方向θS1」、コミュニケーション装置10−2の画面方向を「画面方向θS2」と表わすものとする。
【0036】
そして、ここでは、映像処理部102は、ディスプレイ本体131の回転軸PAから、利用者の頭部の所定部分の位置PE(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)への方向を利用者頭部方向θHとして把握するものとする。
【0037】
そして、映像処理部102は、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に基づいて、ディスプレイ本体131を、回転させる量(以下、「回転量θT」と表わす)を決定する。そして、映像処理部102は、決定した回転量θTの情報を、回転制御部107に与える。なお、以下では、コミュニケーション装置10−1で決定された回転量を「回転量θT1」、コミュニケーション装置10−2で決定された回転量を「回転量θT2」と表わすものとする。
【0038】
ここでは、映像処理部102は、原則として、ディスプレイ本体131の画面を自装置利用者に正対させる(すなわち、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させる)ための回転量θTを算出するものとする。具体的には、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるためには、回転量θT=θH−θSとする必要がある。例えば、図4の状態の場合、θS=0度であり、θH=45度とした場合、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるためには、回転量θT=45度−0度=45度とする必要がある。
【0039】
映像処理部102は、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるための回転量θTをそのまま、回転制御部107に与えても良いし、画面方向θSを所定の範囲内(例えば、−45度〜45度)に保つように変換してから回転制御部107に与えても良い。例えば、画面方向θSが40度の状態で、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるための回転量θTが10度だった場合には、映像処理部102は、画面方向θSを−45度〜45度の範囲に保つために、回転制御部107に与える回転量θTを5度と決定するようにしても良い。
【0040】
回転制御部107は、ディスプレイ本体131や、カメラ本体121の回転を制御するものである。回転制御部107は、映像処理部102から与えられる回転量θTに応じて、図示しないディスプレイ回転板132のモータを制御して回転させる。すなわち、回転制御部107は、ディスプレイ本体131の画面方向θS=θS+θTとなるように、図示しないディスプレイ回転板132が備える回転機構を制御する。
【0041】
情報送信部103は、映像取得部101が取得した自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)について、ネットワークNを介して遠隔側装置に送信するものである。
【0042】
情報受信部104は、ネットワークNを介して、遠隔側装置から、遠隔側利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)を取得するものである。
【0043】
映像合成部105は、遠隔側装置から供給された映像データの処理(例えば、合成処理等)を行い、映像表示部106に供給するものである。
【0044】
ここでは、映像合成部105は、遠隔側利用者の人物映像(以下、「遠隔側人物映像」と表わす)を変形することなく、遠隔側の人物の背景映像(以下、「遠隔側背景映像」と表わす)についてだけ、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する(例えば、射影変換して合成する)ものとする。
【0045】
遠隔側装置から受信した映像データから、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とに分割する処理は限定されないものであり、既存の処理方法を適用することができる。遠隔側から受信した映像データから、遠隔側人物映像を抽出する処理については、例えば、参考文献3(特開2001−14474号公報)の記載技術を適用することができる。参考文献3では、予め撮影されて記憶された背景画像、及び背景と人物が撮像されている混合画像の2枚の画像を背景差分法を用いて比較し、人物の画像を抽出している。映像合成部105で、参考文献3の記載技術を利用する場合には、予め遠隔側背景映像を保持しておき、保持した遠隔側背景映像と、遠隔側装置から受信した映像データ(背景と人物が撮影されている混合映像)とを比較して、遠隔側人物映像を取得することができる。参考文献3の記載技術を利用する場合には、遠隔側装置から受信した映像データから遠隔側背景映像を抽出せずに、予め保持しているものを利用するようにしても良い。映像合成部105が、遠隔側背景映像を予め保持する方法については限定されないものである。例えば、予め利用者により登録されるようにしても良いし、遠隔側利用者又は自装置利用者の操作に応じて、遠隔側利用者が撮像されない状態(すなわち遠隔側背景映像)の映像をキャプチャして保持するようにしても良い。
【0046】
映像合成部105は、遠隔側背景映像については、上述の通り、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する。遠隔側背景映像を画面方向θSに応じて歪ませる(例えば、射影変換)方法については限定されず、既存の処理方法用いることができるが、例えば、参考文献4(特開2009−260819)の記載技術を用いるようにしてもよい。参考文献4では、矩形の映像を射影変換パラメータに応じて射影変換することについて記載されている。映像合成部105で、参考文献4の記載技術を利用して、遠隔側背景映像を射影変換する場合には、画面方向θSに応じた射影変換パラメータを決定して射影変換するようにしても良い。なお、参考文献4では、台形の画像を矩形に変換する処理について記載されているが、この実施形態では、矩形を台形に変換する処理として行う必要がある。そして、映像合成部105は、射影変換した遠隔側背景映像に遠隔側人物映像を合成し、映像表示部106に供給する。
【0047】
次に、映像合成部105が行う合成処理等の具体例について説明する。
【0048】
図5は、コミュニケーション装置10−1における映像合成部105及び回転制御部107の行う処理について示した説明図である。
【0049】
図5(a−1)は、画面方向θS1が0度の場合(図5(a−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図5(b−1)は、画面方向θS1が正の角度(例えば、45度)の場合(図5(b−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図5(c−1)は、画面方向θS1が負の角度(例えば、−45度)の場合(図5(c−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。
【0050】
図5(a−1)、図5(b−1)、図5(c−1)において、A111、A121、A131の領域は、遠隔側人物映像を示している。また、A112、A122、A132の領域は、遠隔側背景映像を示している。
【0051】
図5(a−1)に示すように、画面方向θS1が0度の場合には、映像合成部105は、遠隔側背景映像について射影変換せずにそのまま遠隔側人物映像と合成した映像を生成する。
【0052】
また、図5(b−1)に示すように、画面方向θS1が正の角度(例えば、45度)の場合には、映像合成部105は、画面が回転した方向(画面に向かって左側)の端を台形の底辺とし、反対の方向(画面に向かって右側)の端を台形の上辺とするように、遠隔側背景映像を射影変換により歪ませている。さらに、図5(c−1)に示すように、画面方向θS1が負の角度(例えば、−45度)の場合には、映像合成部105は、画面が回転した方向(画面に向かって右側)の端を台形の底辺とし、反対の方向(画面に向かって左側)の端を台形の上辺とするように射影変換により歪ませている。さらにまた、映像合成部105は、画面方向θSの絶対値が大きくなるほど、遠隔側背景映像の歪みを大きく(台形の底辺と上辺の差異を大きく)するように、遠隔側背景映像を射影変換する。
【0053】
また、映像合成部105は、遠隔側背景映像の射影変換により、ディスプレイ本体131の画面上で、映像が表示されない領域(例えば、図5(a−1)の領域A121、A123等の遠隔側背景映像が欠ける領域)については、例えば、所定の単色の画素や、所定のパターンで塗りつぶして補完するようにしても良いし、遠隔側背景映像に最も色彩(色相)が近い色の画素で塗りつぶして補完するようにしても良い。
【0054】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のコミュニケーションシステム1の動作を説明する。
【0055】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10−1の動作を中心として説明する。
【0056】
図6は、コミュニケーションシステム1を構成するコミュニケーション装置10の動作について示したフローチャートである。
【0057】
まず、コミュニケーション装置10−1とコミュニケーション装置10−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S100)。
【0058】
次に、コミュニケーション装置10−1の映像処理部102にて、映像取得部101より取得された第1の利用者U1の映像を用いて、第1の利用者U1の利用者情報として利用者頭部方向θH1が算出される(S101)。
【0059】
次に、映像処理部102にて、上述のステップS101で算出された利用者頭部方向θH1基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、映像処理部102から回転制御部107へ決定された回転量θT1の情報が与えられる。そして、回転制御部107は、与えられた回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)を回転動作させる(S102)。
【0060】
そして、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10−2からの映像データが取得され(S103)、その映像データの映像についての合成処理等がおこなわれ、映像表示部106に与えられる(S104)。
【0061】
ステップS104では、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10−2からの映像データの映像について、遠隔側人物映像が抽出され、さらに、予め保持していた遠隔側背景映像について最新の画面方向θS1に応じた射影変換が行われる。そして、映像合成部105にて、抽出された遠隔側人物映像と、射影変換後の遠隔側背景映像が合成されて、合成後の映像データが、映像表示部106に与えられる。
【0062】
そして、映像表示部106により、映像合成部105から与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S105)。なお、ステップS103〜S105の処理は、次に、利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0063】
そして、コミュニケーション装置10−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10−1、10−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S106)。ステップS106にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS101の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS106にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S107)。
【0064】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0065】
第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、コミュニケーション装置10では、自装置利用者に、ディスプレイ本体131の画面を正対させるように、ディスプレイ本体131の画面方向を制御している。また、第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θSに応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側背景映像を、ディスプレイ本体131の画面の回転方向と逆方向に歪ませる処理(射影変換処理)を行っている。これにより、コミュニケーション装置10では、自装置利用者へ、遠隔側の映像を、擬似的に立体映像として見せることができ、相手(遠隔側利用者)の存在感を提示し、臨場感を高めることができる。
【0066】
また、第1の実施形態のコミュニケーション装置10は、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構を設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0067】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0068】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心として説明する。
【0069】
第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aでは、コミュニケーション装置10(10−1、10−2)が、コミュニケーション装置10A(10A−1、10A−2)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0070】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aも、上述の図1、図3により示すことができる。
【0071】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aを構成するコミュニケーション装置本体11Aは、機能的には、映像取得部101、映像処理部102A、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105、映像表示部106、回転制御部107A、及び制御部108を有している。第2の実施形態のコミュニケーション装置本体11Aでは、機能的には、映像処理部102A及び回転制御部107A以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0072】
映像処理部102Aは、利用者情報として、利用者頭部方向θHではなく、自装置の利用者の視線の方向(以下、「利用者視線方向θE」と表わす)を把握する点で、第1の実施形態と異なっている。
【0073】
図7は、映像処理部102Aが、利用者情報として把握する利用者視線方向θEについて示した説明図である。
【0074】
図7に示すように、利用者視線方向θEは、利用者Uの頭部の所定部分の位置PE(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)から利用者Uの視線の方向に伸びる線LEが示す方向である。そして、ディスプレイ本体131が初期の状態(画面方向θSが0度)で向いている画面に対する垂直平面Sと、線LEとが並行となる場合に利用者視線方向θEは0度の方向と表すものとする。そして、それ以外の場合(垂直平面Sと、線LEとが並行でない場合)には、LEと垂直平面Sとがなす角度により、利用者視線方向θEは、表されるものとする。なお、上述の通り、利用者頭部方向θHや画面方向θSについては、ディスプレイ本体131の回転軸から見た方向として表していたが、利用者視線方向θEについては、利用者Uから見た方向として表すものとする。そして、利用者視線方向θEは、利用者Uから見て、0度の方向から反時計回りにずれた方向を正の角度、時計回りにずれた方向を負の角度として方向を表すものとする。図7の例の場合には、利用者Uの視線は、0度の方向から反時計回りの方向にずれているので、正の角度として表されることになる。
【0075】
そして、以下では、コミュニケーション装置10A−1を利用する第1の利用者U1の利用者視線方向を「利用者視線方向θE1」と表わし、コミュニケーション装置10A−2を利用する第2の利用者U2の利用者視線方向を「利用者視線方向θE2」と表すものとする。
【0076】
第1の実施形態の回転制御部107は、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、自装置のディスプレイ本体131を向ける方向(画面方向θS)を決定していた。これに対して、第2の実施形態の回転制御部107Aでは、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに基づいて、自装置の画面方向θSを決定するものとする。
【0077】
例えば、コミュニケーション装置10A−1では、コミュニケーション装置10A−2から、第2の利用者U2の利用者情報(利用者視線方向θE2)が供給されると、回転制御部107Aにより、利用者視線方向θE2に基づいた回転量θT1が算出される。具体的には、コミュニケーション装置10A−1の回転制御部107Aは、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θS1に対して、正負を逆転させた利用者視線方向θE2に一致させるための回転量を、回転量θT1として算出する。すなわち、この場合、回転量θT1=−θE2−θS1とする必要がある。そして、回転制御部107Aは、算出した回転量θT1にしたがって、自装置のディスプレイ本体131を回転させる。
【0078】
第2の実施形態において、映像合成部105は、第1の実施形態と同様に、遠隔側人物映像を変形することなく、遠隔側背景映像についてだけ、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する(例えば、射影変換して合成する)ものとする。
【0079】
図8は、コミュニケーション装置10A−1において、映像合成部105及び回転制御部107Aが行う処理について示した説明図である。
【0080】
図8(a−2)は、コミュニケーション装置10−2において把握された第2の利用者U2の利用者視線方向θE2が0度の場合(図8(a−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(b−2)は、利用者視線方向θE2が負の角度(例えば、−45度)の場合(図8(b−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(c−2)は、利用者視線方向θE2が正の角度(例えば、45度)の場合(図8(c−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(a−2)、図8(b−2)、図8(c−2)において、A211、A221、A231の領域は、遠隔側人物映像を示している。また、A212、A222、A232の領域は、遠隔側背景映像を示している。
【0081】
図8(a−3)は、利用者視線方向θE2が0度の場合(図8(a−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。図8(b−3)は、利用者視線方向θE2が負の角度(例えば、−45度)の場合(図8(b−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。図8(c−3)は、利用者視線方向θE2が正の角度(例えば、+45度)の場合(図8(c−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。
【0082】
図8(a−3)に示すように、利用者視線方向θE2が0度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を0度の方向に向けるように回転量θT1を決定して制御する。また、図8(b−3)に示すように、利用者視線方向θE2が−45度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を、画面方向θS1=−θS2=+45度となるように、回転量θT1を決定して制御する。さらに、図8(c−3)に示すように、利用者視線方向θE2が+45度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を、画面方向θS1=−θS2=−45度となるように、回転量θT1を決定して制御する。
【0083】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aの動作を説明する。
【0084】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10A−1の動作を中心として説明する。
【0085】
図9は、コミュニケーションシステム1Aを構成するコミュニケーション装置10Aの動作について示したフローチャートである。
【0086】
まず、コミュニケーション装置10A−1とコミュニケーション装置10A−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S200)。
【0087】
そして、コミュニケーション装置10A−2の映像処理部102Aにより、映像取得部101より取得された第2の利用者U2の映像を用いて、第2の利用者U2の利用者情報(利用者視線方向θE2)が算出される。そして、コミュニケーション装置10A−2で算出された利用者情報(利用者視線方向θE2)が、コミュニケーション装置10A−1に供給されたものとする(S201)。
【0088】
そして、コミュニケーション装置10A−1において、回転制御部107Aにより、上述のステップS201で供給された利用者視線方向θE2に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、回転制御部107Aにより、決定された回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)が回転動作するように制御される(S202)。
【0089】
そして、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10A−2からの映像データが取得され、さらに、その映像データの映像についての合成処理等がおこなわれる(S203)。
【0090】
ステップS203では、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10A−2からの映像データの映像について、遠隔側人物映像が抽出され、さらに、予め保持していた遠隔側背景映像について最新の画面方向θS1に応じた射影変換が行われる。そして、映像合成部105にて、抽出された遠隔側人物映像と、射影変換後の遠隔側背景映像が合成されて、合成後の映像データが、映像表示部106に与えられる。
【0091】
そして、映像表示部106により、映像合成部105から与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131の画面の表示される(S204)。なお、ステップS203、S204の処理は、次に、遠隔側利用者の利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0092】
そして、コミュニケーション装置10A−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10A−1、10A−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S205)。ステップS205にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS201の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS205にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S206)。
【0093】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0094】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aでは、遠隔側利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、例えば、コミュニケーション装置10Aでは、遠隔側利用者が頭部の向きを右方向へ回転させた場合に、それに対応して自装置のディスプレイ本体131の画面方向を、右方向へ回転させている。また、第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aでは、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θSに応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側背景映像を、ディスプレイ本体131の画面の回転方向と逆方向に歪ませる処理(射影変換処理)を行っている。これにより、コミュニケーション装置10Aでは、自装置利用者に、遠隔側人物映像が静止しているかのように見せること等ができる。このことで、コミュニケーション装置10Aでは、自装置利用者へ、遠隔側利用者の些細な動作を、ディスプレイ本体131の画面の回転として強調して表現することができ、自装置利用者に対して遠隔側利用者の存在感を伝達することができる。
【0095】
また、第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構を設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0096】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0097】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心として説明する。
【0098】
第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bでは、コミュニケーション装置10(10−1、10−2)が、コミュニケーション装置10B(10B−1、10B−2)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0099】
第3のコミュニケーション装置10Bのハードウェア構成は、上述の図3に示す構成において、カメラ12がカメラシステム14(詳細については後述する)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。一方、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bを構成するコミュニケーション装置本体11Bの機能的構成については、上述の図1により示すことができる。
【0100】
第3の実施形態では、コミュニケーション装置10Bを構成するコミュニケーション装置本体11Bは、機能的には、映像取得部101B、映像処理部102、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105B、映像表示部106、回転制御部107、及び制御部108を有している。第3の実施形態のコミュニケーション装置本体11Bでは、機能的には、映像取得部101B及び映像合成部105B以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0101】
次に、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bにおける、複数のカメラ15を備えるカメラシステム14について説明する。
【0102】
図10は、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bが備えるカメラシステム14の構成について示した説明図である。図10では、カメラシステム14を構成する複数のカメラ15、利用者U、及びディスプレイ本体131の位置関係を上方向から見た構成について示している。
【0103】
図10に示すように、カメラシステム14は、3つのカメラ15(15−1〜15−3)を備えている。また、図10に示すように、それぞれのカメラ15(15−1〜15−3)は、カメラ本体151(151−1〜151−3)及び、カメラ回転板152(152−1〜152−3)を備えている。それぞれのカメラ15は、第1の実施形態のカメラ12と同様のものを適用することができる。そして、カメラ15−1は、第1の実施形態のカメラ12と同様の位置に配置されているものとする。そして、カメラ15−2及びカメラ15−3は、利用者Uから見て、カメラ15−1とは異なる方向から、利用者Uを撮像できるように配置されているものとする。
【0104】
図10では、初期状態において所定の基準位置に利用者Uが位置した場合に、利用者Uから見て、カメラ15−1は、利用者Uの正面方向(ディスプレイ本体131の回転軸と同じ方向)に配置されており、カメラ15−2は利用者から見て左側、カメラ15−3は利用者から見て右側に、それぞれ配置されている。なお、カメラシステム14において、配置するカメラ15の数及び配置する位置(撮像する方向)については限定されないものである。そして、カメラシステム14では、それぞれのカメラ15で撮像した映像データを、映像取得部101Bに供給する。
【0105】
映像取得部101Bは、それぞれのカメラ15から供給された映像データを、遠隔側装置にリアルタイムで送信する。
【0106】
第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、遠隔側装置から自装置に供給されてくる映像データは1種類であったが、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、上述の通り3種類の映像データが供給されてくる。したがって、第3の実施形態の映像合成部105Bでは、処理対象となる映像データの選択を行う必要がある。ここでは、映像合成部105Bは、自装置利用者の利用者頭部方向θHに応じて、映像データを選択するものとする。例えば、自装置利用者の利用者頭部方向θHが90度だった場合には、自装置利用者は、ディスプレイ本体131から見て右側に移動したことになる。そして、このときディスプレイ本体131に、遠隔利用者を右側から撮影することができるカメラ15−3が撮影した映像を表示することで、自装置利用者には、あたかもその場に遠隔利用者が存在するような臨場感を与えることができる。
【0107】
ここでは、カメラ15ごとに対応する利用者頭部方向θHの情報が、映像合成部105Bに登録されているものとする。ここでは、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが−45度〜+45の範囲内の場合にカメラ15−1の映像データを処理対象として選択するものとする。また、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが+45度〜+90の範囲内の場合にカメラ15−3の映像データを処理対象として選択するものとする。さらに、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが−45度〜―90の範囲内の場合にカメラ15−2の映像データを処理対象として選択するものとする。
【0108】
そして、ここでは、映像合成部105Bは、選択した映像データについて、加工せずに、そのまま映像表示部106に供給するものとする。
【0109】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bの動作を説明する。
【0110】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10B−1の動作を中心として説明する。
【0111】
図11は、コミュニケーションシステム1Bを構成するコミュニケーション装置10Bの動作について示したフローチャートである。
【0112】
以下では、図11を用いて、コミュニケーション装置10B−1が、利用する第1の利用者U1の動きに応じて動作する場合について説明する。
【0113】
まず、コミュニケーション装置10B−1とコミュニケーション装置10B−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S300)。
【0114】
次に、コミュニケーション装置10B−1の映像処理部102Bにて、映像取得部101Bより取得された第1の利用者U1の映像を用いて、第1の利用者U1の利用者情報として利用者頭部方向θH1が算出される(S301)。
【0115】
次に、映像処理部102Bにて、上述のステップS301で算出された利用者頭部方向θH1に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、映像処理部102Bから回転制御部107へ決定された回転量θT1の情報が与えられる。そして、回転制御部107は、与えられた回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)を回転動作させる(S302)。
【0116】
そして、映像合成部105Bにて、遠隔側装置(コミュニケーション装置10B−2)からの映像データ(複数種類の映像データ)が取得される(S303)。
【0117】
そして、映像合成部105Bにて、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH1)に基づいて、遠隔側装置から供給された複数種類の映像データから処理対象となるものが1つ選択され、映像表示部106に与えられる(S304)。
【0118】
そして、映像表示部106により、映像合成部105Bから与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S305)。なお、ステップS303〜S305の処理は、次に利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0119】
そして、コミュニケーション装置10B−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10B−1、10B−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S306)。ステップS306にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS301の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS306にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S307)。
【0120】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0121】
第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に、ディスプレイ本体131の画面を正対させるように、ディスプレイ本体131の画面方向を制御している。
【0122】
また、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側映像(遠隔側利用者を撮像する角度)を切替えている。これにより、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に対して、遠隔側利用者が自身の動作に追従しているように見せることができる。このことで、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に対して、遠隔側利用者を様々な角度から見回われるような感覚を与えることができ、相手(遠隔側利用者)の存在感を高めることができる。
【0123】
また、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構や、複数のカメラを設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0124】
(D)第4の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0125】
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との差異を中心として説明する。
【0126】
第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cでは、コミュニケーション装置10B(10B−1、10B−2)が、コミュニケーション装置10C(10C−1、10C−2)に置き換わっている点で、第3の実施形態と異なっている。
【0127】
第4のコミュニケーション装置10Cのハードウェア構成は、第3の実施形態と同様の構成となっている。すなわち、第4のコミュニケーション装置10Cは、第3の実施形態と同様に、カメラシステム14を備えている。また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cを構成するコミュニケーション装置本体11Cの機能的構成については、上述の図1により示すことができる。
【0128】
第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cを構成するコミュニケーション装置本体11Cは、機能的には、映像取得部101B、映像処理部102C、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105C、映像表示部106、回転制御部107C、及び制御部108を有している。第4の実施形態のコミュニケーション装置本体11Cでは、機能的には、映像処理部102C、映像合成部105C及び回転制御部107C以外の構成については、第3の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0129】
映像処理部102Cは、利用者情報として、利用者頭部方向θHではなく、利用者視線方向θEを把握する点で、第3の実施形態と異なっている。
【0130】
第3の実施形態において、映像処理部102Bは、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、遠隔側装置から自装置に供給されてくる複数種類の映像データから、1種類の映像データを選択していた。これに対して、第4の実施形態の映像処理部102Cでは、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに応じて、映像データを選択するものとする。ここでは、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEに基づいて、遠隔側利用者の顔をできるだけ正面から撮影した映像データを選択するものとする。
【0131】
図10に示すように、遠隔側装置のカメラシステム14には、3台のカメラ15−1〜15−3が配置されている。そして、カメラ15ごとに対応する遠隔側利用者の利用者視線方向θEの情報が、映像合成部105Cで保持されているものとする。例えば、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが−45度〜+45の範囲内の場合にカメラ15−1の映像データを処理対象として選択するものとする。また、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが+45度〜+90の範囲内の場合にカメラ15−2の映像データを処理対象として選択するものとする。さらに、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが−45度〜―90の範囲内の場合にカメラ15−3の映像データを処理対象として選択するものとする。
【0132】
そして、ここでは、映像合成部105Cは、選択した映像データについて、加工せずに、そのまま映像表示部106に供給するものとする。
【0133】
第3の実施形態の回転制御部107は、第1の実施形態と同様に、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、自装置のディスプレイ本体131を向ける方向(画面方向θS)を決定していた。これに対して、第4の実施形態の回転制御部107Cでは、第2の実施形態の回転制御部107Aと同様に、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに基づいて、自装置の画面方向θSを決定するものとする。すなわち、回転制御部107Cは、第2の実施形態の回転制御部107Aと同様の処理を行うものであり、ここでは詳しい説明を省略する。
【0134】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cの動作を説明する。
【0135】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10C−1の動作を中心として説明する。
【0136】
図12は、コミュニケーションシステム1Cを構成するコミュニケーション装置10Cの動作について示したフローチャートである。
【0137】
まず、コミュニケーション装置10C−1とコミュニケーション装置10C−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S400)。
【0138】
そして、コミュニケーション装置10C−2の映像処理部102により、映像取得部101で取得された第2の利用者U2の映像を用いて、第2の利用者U2の状態に関する利用者情報(利用者視線方向θE2)が算出される。そして、コミュニケーション装置10C−2で算出された利用者情報(利用者視線方向θE2)が、コミュニケーション装置10C−1に供給されたものとする(S401)。
【0139】
そして、コミュニケーション装置10−1において、回転制御部107Cにより、上述のステップS401で供給された利用者視線方向θE2に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、回転制御部107Cにより、決定された回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)が回転動作するように制御される(S402)。
【0140】
そして、映像合成部105Cにて、遠隔側利用者の利用者視線方向θE2に基づいて、遠隔側装置から供給された複数種類の映像データから処理対象となるものが1つ選択され、映像表示部106に与えられる(S403)。
【0141】
そして、映像表示部106により、映像合成部105Cから与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S404)。なお、ステップS403、S404の処理は、次に利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0142】
そして、コミュニケーション装置10C−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10C−1、10C−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S405)。ステップS405にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS401の処理に戻って動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS405にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S406)。
【0143】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0144】
第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cでは、第2の実施形態と同様に、遠隔側利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側映像(遠隔側利用者を撮像する角度)を切替えている。例えば、コミュニケーション装置10Cでは、複数の角度から遠隔側利用者を撮影した映像データのうち、できるだけ遠隔側利用者が正面を向いている映像の映像データを選択して、ディスプレイ本体131の画面に表示している。これにより、コミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者に対して、常に、正面方向から撮影した遠隔側利用者を提示することができる。これにより、コミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者へ、第2の実施形態のような存在感を伝達すると同時に、遠隔側利用者の顔の表情を同時に見せることができ、より臨場感のあるコミュニケーションを提供することができる。
【0145】
また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構や、複数のカメラを設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0146】
(E)第5の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0147】
(E−1)第5の実施形態の構成
第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dの構成も、図2により示すことができる。
【0148】
第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dは、コミュニケーション装置10D(10D−1、10D−2)を有している。
【0149】
第5の実施形態のコミュニケーション装置10Dは、動作モードを切り替えることにより、第1〜第4の実施形態のいずれかの処理を実現する構成を備えている。すなわち、第5の実施形態のコミュニケーション装置10Dは、第1の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM1」と表わす)と、第2の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM2」と表わす)と、第3の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM3」と表わす)と、第4の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM4」と表わす)とを備えており、動作モードを切り替えて動作することができる。
【0150】
以下、第5の実施形態について、第1〜第4の実施形態との差異について説明する。
【0151】
コミュニケーション装置10Dは、ハードウェア的には、第3及び第4の実施形態のコミュニケーション装置10B、10Cと同様の構成を備えているものとする。ここでは、コミュニケーション装置10Dは、第3、第4の実施形態と同様に、カメラシステム14を備えており、モードM1、モードM2で動作する場合には、カメラシステム14を構成する一つのカメラ15(ここでは、カメラ15−1であるものとする)が、第1及び第2の実施形態におけるカメラ12として動作するものとして説明する。
【0152】
図13は、コミュニケーション装置10Dを構成するコミュニケーション装置本体11Dの機能的構成について示した説明図である。
【0153】
コミュニケーション装置10Dを構成するコミュニケーション装置本体11Dは、機能的には、映像取得部101D、映像処理部102D、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105D、映像表示部106、回転制御部107D、制御部108、及びコミュニケーション推定部109を有している。情報送信部103、情報受信部104、映像表示部106、及び制御部108については、第1〜第4の実施形態と同様のものを適用することができるので、詳しい説明を省略する。
【0154】
コミュニケーション推定部109は、自装置利用者と遠隔側利用者との間のコミュニケーションの状況に応じて、自装置の動作モードを選択する。そして、コミュニケーション推定部109は、選択した動作モードで動作するように自装置の各構成要素を制御する処理を行う。なお、この実施形態において、コミュニケーション装置10Dは、上述の通り、モードM1〜モードM4に対応するものとして説明するが、対応する動作モードの数や組合せは限定されないものである。例えば、コミュニケーション装置10Dでは、モードM1〜モードM4のうち一部の動作モードについてだけ対応するようにしても良いし、さらに他の動作モードを追加するようにしても良い。
【0155】
そして、映像取得部101D、映像処理部102D、映像合成部105D、及び回転制御部107Dは、コミュニケーション推定部109で選択された動作モードに従った処理を行うようになる。例えば、コミュニケーション推定部109で、モードM1が選択された場合には、映像取得部101D、映像処理部102D、映像合成部105D、及び回転制御部107Dは、第1の実施形態と同様の処理(例えば、上述の図6に示すフローチャートの処理)を行うことになる。
【0156】
コミュニケーション推定部109が、初期において選択する動作モードは限定されないものであり、例えば、予め設定された動作モードで動作を開始し、その後他の動作モードに切り替えるようにしても良い。
【0157】
また、コミュニケーション推定部109が、動作モードを切り替える契機については限定されないものである。コミュニケーション推定部109が、動作モードを切り替える契機については、例えば、自装置利用者又は遠隔側利用者の操作(例えば、図示しないキーボードやタッチパネル等を用いた操作)に基づいて、切り替えるようにしても良い。また、コミュニケーション推定部109は、例えば、利用者情報や、利用者の発話した音声に基づいて、自装置利用者と遠隔側利用者との間のコミュニケーションの状況を推定し、その推定結果に基づいて、自装置の動作モードを切り替えるようにしても良く、具体例としては、以下のような方法が挙げられる。
【0158】
[コミュニケーション時間に応じた切替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、コミュニケーション時間が挙げられる。
【0159】
例えば、コミュニケーション推定部109は、自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってすぐの間(例えば、遠隔側装置との呼接続が開始されてから一定時間経過するまでの間)は、モードM1とするようにしてもよい。自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってからすぐの間は、お互いの存在を認め合う必要があるため、相手(遠隔側利用者)の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像変換が変動しない方が良いと推定できるためである。そして、自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってから一定時間が経過した場合(例えば、呼が接続してから一定時間経過した場合)には、コミュニケーション推定部109は、自装置の動作モードをモードM2とするようにしてもよい。自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってから一定時間が経過した場合には、会話が乗ってきており、相手(遠隔側利用者)の反応がコミュニケーションに特に重要になるため、相手の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像を変動させた方が良いと推定できるためである。
【0160】
[発話者の交代に応じた切替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、発話者の交代に応じた切替え方法が挙げられる。
【0161】
具体的には、コミュニケーション推定部109は、話し手と聞き手の交代に応じたモードの切り替えを行うようにしても良い。コミュニケーション推定部109は、例えば、自装置が備えるマイクが捕捉した自装置利用者の音声信号と、遠隔側のコミュニケーション装置10Bから供給された遠隔側利用者の音声信号とを保持し、保持した2つの音声信号に基づいて、現在の話し手がいずれの利用者であるのかを判定するようにしても良い。コミュニケーション推定部109が、いずれの利用者が話し手であるかを判定する方法については限定されないものであるが、例えば、いずれかの利用者がある一定時間発言を続けている場合(たとえば、一定時間以上、音声信号のパワーが閾値以上だった場合)には、その利用者を話し手として判断し、他方を聞き手と判断するようにしても良い。コミュニケーション推定部109が、いずれの利用者が話し手であるかを判定する方法としては、その他にも参考文献5(特開2010−32792号公報)に記載されているような発話者の切り替えを検出することで発話者の交代を認識することや、うなずきの回数を測定して判定するようにしても良い。
【0162】
そして、コミュニケーション推定部109は、現在の話し手が、自装置利用者であると判定した場合には、モードM2とするようにしても良い。これは、自装置利用者が話し手の場合には、自分の話している内容に対する相手(遠隔側利用者)の反応が知りたいと考えられるため、遠隔側利用者の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像変換を制御する方が良いと推定できるためである。また、コミュニケーション推定部109は、現在の聞き手が、自装置利用者であると判定した場合には、モードM1とするようにしても良い。これは、自装置利用者が聞き手の場合には、話している相手が目の前にいるような感覚が望まれると推定できるためである。
【0163】
[利用者の身体的位置情報に応じた切り替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、遠隔側利用者又は自装置利用者の身体的位置情報に応じたモードの切り替えが挙げられる。ここで、身体的位置情報とは、例えば、利用者頭部方向θHや利用者視線方向θE等の利用者情報に含まれるパラメータが挙げられる。コミュニケーション推定部109は、例えば、遠隔側利用者又は字装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH又は利用者視線方向θE)が、所定範囲を超えて変動した場合にモード切換えを行うようにしてもよい。
【0164】
例えば、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが、ディスプレイ本体131の正面から見て、ある一定範囲以内の角度(例えば、−45度〜45度の範囲内)で遷移している場合には、コミュニケーション推定部109は、モードM1又はモードM2を選択するようにしても良い。また、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが上述の範囲外の角度となった場合には、コミュニケーション推定部109は、モードM3又はモードM4を選択するようにしても良い。これは、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが上述の一定範囲内の角度を外れた場合には、遠隔利用者の側面方向に興味の対象があると推定できるためである。
【0165】
[遠隔地の映像に対応した切り替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、遠隔側装置から供給された映像データの映像に、遠隔側背景映像および遠隔側人物映像以外の物体が写っていた場合に対応したモードの切り替えが挙げられる。
【0166】
例えば、遠隔側利用者が、自装置利用者の興味の引くような物体を提示した場合には、自装置利用者はその物体(例えば、取引商品等)を様々な角度から見たいと推定できる。このとき、コミュニケーション推定部109は、自装置の動作モードをモードM3へと切り替えることで、自装置利用者は、その物体を様々な角度から身を乗り出しながらその物体を見ることができる。コミュニケーション推定部109が、遠隔側装置から供給された映像データに基づいて、遠隔地背景および遠隔人物像以外の物体を判定するためには、例えばパターンマッチングなどの物体追跡手法が考えられる。具体的には、遠隔側利用者が所定パターンが付された物体(例えば、2次元バーコード等が付された商品)を提示した場合、コミュニケーション推定部109は、遠隔側装置から供給された映像データの内容から、その所定のパターンを認識して、動作モードをモードM3へ切り替えるようにしても良い。
【0167】
(E−2)第5の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dの動作を説明する。
【0168】
図14は、コミュニケーションシステム1を構成するコミュニケーション装置10D(コミュニケーション推定部109)の動作について示したフローチャートである。以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10D−1(コミュニケーション推定部109)の動作を中心として説明する。
【0169】
まず、コミュニケーション装置10D−1とコミュニケーション装置10D−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S500)。ここでは、初期状態として、コミュニケーション装置10D−1では、モードM1で動作するように設定されているものとする。
【0170】
そして、コミュニケーション装置10D−1において、コミュニケーション推定部109により、自装置の動作モードの変更の要否が判定される。そして、コミュニケーション推定部109は、動作モードの変更が必要と判定した場合には、変更後のモードに応じた動作をするように、自装置内の各構成要素を制御する(S501)。
【0171】
ここでは、例として、コミュニケーション推定部109は、コミュニケーション時間に応じて、自装置の動作モード変更の要否を判定するものとする。その場合、コミュニケーション推定部109は、ビデオ通話が開始されたタイミング(上述のステップS500のタイミング)で、時間を計測するためのタイマ(図示せず)をスタートさせ、そのタイマの計測時間が一定時間以下の場合には、動作モード変更は不要と判定するようにしても良い。そして、コミュニケーション推定部109は、上述のタイマの計測時間が一定時間異常の場合に、自装置の動作モードをモードM2に変更すると判定するようにしても良い。なお、コミュニケーション推定部109が同時に行う判定処理(コミュニケーションの状況の推定処理)は、1種類であっても良いし、複数種類であってもよく、その種類や数は限定されないものである。
【0172】
そして、コミュニケーション装置10D−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10D−1、10D−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S502)。ステップS502にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS501の処理に戻って、動作する。一方、ステップS502にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S503)。
【0173】
(E−3)第5の実施形態の効果
第5の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0174】
コミュニケーション装置10D−1、10D−2では、利用者のディスプレイ本体131の動作と、ディスプレイ本体131の画面に表示される遠隔側の映像の加工・変形操作等の連動手法を、利用者間のコミュニケーションの状況に応じて動的に切り替えている。これにより、コミュニケーションシステム1Dでは、第1〜第4の実施形態と比較して、さらなる臨場感を利用者に提供することができる。
【0175】
(F)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0176】
(F−1)上記の各実施形態では、映像合成部が、遠隔側装置から供給された映像データの映像から、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とを分離する際に、映像処理(背景差分法)を用いる例について説明した。しかし、映像合成部の分離方法はこれに限定されず、例えば、深度センサを有したカメラなどを用いて利用者を撮像することで、計測された深度に応じて複数に分離された映像群を用いて、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とを分離するようにしても良い。例えば、映像合成部は、上述の深度センサを有したカメラに最も近距離の物体の映像が利用者の映像(遠隔側人物映像)であり、それよりも遠距離の物体の映像を背景の映像(遠隔側背景映像)であると認識するようにしても良い。
【0177】
(F−2)上記の各実施形態において、ディスプレイ本体は、ディスプレイ回転板により左右方向(水平方向)にのみ画面を回転できる構成として説明したが、上下方向(水平方向)に画面を回転できる構成としても良いし、左右方向及び上下方向の両方に画面を回転できる構成としても良い。なお、利用者を撮像するカメラについてもディスプレイ本体と同様に、左右方向及び又は上下方向に回転可能な構成としても良い。
【0178】
(F−3)第5の実施形態では、コミュニケーション装置は、遠隔側装置から供給される利用者情報および、遠隔側装置から供給される音声信号から得られる発話音声を用いて、動作モードを切り替えるためのコミュニケーションの推定を行うことを説明した。しかし、コミュニケーション装置は、その他にも超音波センサなどに代表される距離センサや赤外線カメラなどで取得できる利用者の位置情報等から、統合的に利用者情報を構成してコミュニケーションの推定処理に適用するようにしても良いし、それを上記の実施形態に組み合わせて、コミュニケーションの推定処理の精度を向上させるようにしても良い。
【0179】
(F−4)上記の各実施形態におけるコミュニケーション装置が行う情報処理(利用者に対する入出力処理は除く)について、どの処理をどの装置が行うかは、上記の各実施形態の例に限定されないものである。例えば、利用者に対する入出力処理以外の情報処理については、第1又は第2の利用者が利用するコミュニケーション装置のいずれか一方でのみ行うようにしても良い。また、各コミュニケーション装置は、利用者に対する入出力処理のみを行い、その他の処理(利用者情報の取得や、映像の合成、ディスプレイ本体の画面の向きの制御等)を一括して、ASP(Application Service Provider)形式でサーバによる処理を行うようにしても良い。この場合、各コミュニケーション装置は、上述のサーバを介して、遠隔側装置と接続する構成となる。
【0180】
(F−5)上記の各実施形態では、2者間のコミュニケーションを提供するシステムとして説明したが、3者以上の利用者間のコミュニケーションに適用するようにしても良い。例えば、音声だけを3者会議とし、ディスプレイ本体の画面及び画面の向きを変更する対象として、いずれか1人の遠隔側利用者を選択(例えば、利用者の操作により選択するようにしても良い)して適用するようにしても良い。
【0181】
(F−6)第3及び第4の実施形態では、映像合成部は、遠隔側背景映像について特に加工を行っていないが、第1の実施形態と同様に、ディスプレイ本体の画面の向きに応じた加工を施すようにしても良い。また、第1及び第2の実施形態では、映像合成部は、遠隔側背景映像について射影変換等の加工をおこなっているが、特に加工せずに、ディスプレイ本体の画面に表示するようにしても良い。
【符号の説明】
【0182】
1…コミュニケーションシステム、10、10−1、10−2…コミュニケーション装置、N…ネットワーク、11…コミュニケーション装置本体、12…カメラ、121…カメラ本体、122…カメラ回転板、13…ディスプレイ、131…ディスプレイ本体、132…ディスプレイ回転板、101…映像取得部、102…映像処理部、103…情報送信部、104…情報受信部、105…映像合成部、106…映像表示部、107…回転制御部、108…制御部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、コミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置に関し、例えば、音声及び映像を用いた通話で遠隔コミュニケーションを実現するコミュニケーションシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
遠隔コミュニケーションの重要性はますます高まっており、遠隔地の会話者の存在感や場の臨場感を視覚的および聴覚的に遠隔地に伝えるコミュニケーションシステムが注目されている。
【0003】
従来のコミュニケーションシステムに関する技術としては、特許文献1〜4の記載技術がある。
【0004】
特許文献1の記載技術は、人間の頭部形状を模したダミーヘッドに、遠隔地の会話者の表情を表示することで、視覚的、聴覚的に高い臨場感を持った高臨場感通信装置を提供するものである。しかしながら、臨場感を提供するためにダミーヘッドのような大がかりな装置を用意しなければならず、容易に臨場感を生むことができない。これに対して、特許文献2では、遠隔の会議出席者の顔がほぼ実物大にビデオモニタに映され、直接目で見つめているような感覚を与え、自動的または手動的にビデオモニタは発話者の方を向き、遠隔の会議出席者が顔を回転している感覚を与えることができる装置について記載されている。
【0005】
また、特許文献3では、イヤホンマイクからの音源信号を解析してイヤホンマイクの位置を特定し、その位置情報に基づいて携帯電話端末のディスプレイの向きを変え、イヤホンマイクに正対させる情報処理端末について記載されている。さらにまた、特許文献4では、人体の接近を検知し、その接近する方向にディスプレイを向ける近距離通信装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−269549号公報
【特許文献2】特表2001−524286号公報
【特許文献3】特開2003−169161号公報
【特許文献4】特開2003−289273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の記載技術は、特許文献1の記載技術と同様に、高い臨場感を提供するために大がかりな装置を用いなければならず、またビデオモニタの移動回転と遠隔地からの映像の変化は統合的なものではない。
【0008】
また、特許文献3、4の記載技術は、双方とも、利用者の動作に応じてディスプレイの向きを変化させることに特徴があるが、利用者の労力を軽減させることが目的であり、遠隔地の会話者を表示したり、遠隔コミュニケーションを支援したりする目的ではない。また、特許文献3、4の記載技術は、ディスプレイの回転と遠隔地からの映像の変化は統合的なものではない。
【0009】
そのため、利用者に与える臨場感を向上させることができるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムにおいて、(1)1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する映像データ保持手段と、(2)上記映像データ保持手段が保持した映像データに基づく映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、(3)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、(4)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明は、第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムを構成する、上記第1の利用者が利用する第1のコミュニケーション装置において、(1)上記第2の利用者が利用する第2のコミュニケーション装置から、1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像データを取得する映像データ取得手段と、(2)上記映像データ取得手段が取得した映像データの映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、(3)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、(4)上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者に与える臨場感を向上させるコミュニケーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置(コミュニケーション装置本体)の機能的構成について示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るコミュニケーションシステムの全体構成について示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置の斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る映像処理部が、利用者情報として把握する利用者頭部方向について示した説明図である。
【図5】第1の実施形態に係る映像合成部及び回転制御部の処理について示した説明図である。
【図6】第1の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る映像処理部が、利用者情報として把握する利用者視線方向について示した説明図である。
【図8】第2の実施形態に係る映像合成部及び回転制御部が行う処理について示した説明図である。
【図9】第2の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係るコミュニケーション装置を構成するカメラシステムの構成について示した説明図である。
【図11】第3の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【図13】第5の実施形態に係るコミュニケーション装置(コミュニケーション装置本体)の機能的構成について示したブロック図である。
【図14】第5の実施形態に係るコミュニケーション装置の動作について示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、この実施形態のコミュニケーションシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、コミュニケーションシステム1では、ネットワークNを介して、2台のコミュニケーション装置10(10−1、10−2)の間が接続されている。コミュニケーション装置10は、ビデオ会議機能等のネットワークNを介した遠隔コミュニケーション機能を利用者に提供する装置である。
【0017】
なお、以下では、コミュニケーション装置10−1は第1の利用者U1が利用するものであるものとし、コミュニケーション装置10−2は、第2の利用者U2が利用するものであるものとする。
【0018】
また、以下では、それぞれのコミュニケーション装置10において、自装置の利用者を「自装置利用者」と呼び、ネットワークNを介して対向するコミュニケーション装置10の利用者を「遠隔側利用者」と表わすものとする。また、それぞれのコミュニケーション装置10において、自装置と、ネットワークNを介して対向するコミュニケーション装置10のことを「遠隔側装置」と表わすものとする。なお、ここでは、説明を簡易とするために、コミュニケーション装置10−1とコミュニケーション装置10−2とは同じ構成であるものとして説明するが、異なる構成としても良い。
【0019】
次に、コミュニケーション装置10の構成について説明する。
【0020】
図3は、コミュニケーション装置10の斜視図である。図3に示すように、コミュニケーション装置10は、コミュニケーション装置本体11、カメラ12、及びディスプレイ13を有している。
【0021】
コミュニケーション装置本体11は、コミュニケーション装置10の全体を制御する機能等を担っている。コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、カメラ12及びディスプレイ13が制御されている。コミュニケーション装置本体11としては、例えば、プログラムを実行するプロセッサ及びネットワークに接続するインタフェースを備える情報処理装置(例えば、PCや、専用装置等)に、実施形態のコミュニケーションプログラム等をインストールすることにより実現するようにしても良く、その場合でも、コミュニケーション装置10の機能的構成は、図1のように示すことができる。
【0022】
カメラ12は、自装置の利用者を撮像するためのカメラ本体121と、カメラ本体121を載置するカメラ回転板122とを有している。
【0023】
カメラ本体121は、コミュニケーション装置本体11の制御に応じて撮像した映像の映像データを、コミュニケーション装置本体11に供給する。また、カメラ本体121としては、例えば、既存のビデオ会議端末等に利用されるCCDカメラ等を適用することができる。
【0024】
カメラ回転板122は、コミュニケーション装置本体11の制御により動作する回転機構(図示せず、例えば、モータ等)により、左右方向(水平方向)に、時計回り又は反時計回りに回転し、載置しているカメラ本体121の撮像する方向を変更させる。言い換えると、コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、カメラ回転板122が備える上述の回転機構を動作させることにより、カメラ本体121の撮像する方向を制御している。カメラ12としては、例えば、既存のビデオ会議端末等で用いられる撮像方向を変更することができるカメラ(例えば、ロボットカメラ等)を用いることができる。なお、第1の実施形態では、カメラ本体121の撮像する方向を制御する手段は限定されないものであり、上述の回転機構以外の手段(例えば、首振り機構を備えるスタンド等)を適用するようにしても良い。また、図3では、カメラ12とコミュニケーション装置本体11との間の物理インタフェースは限定されないものであり、既存の有線(例えば、USBケーブル等)や無線のインタフェースを適用することができる。
【0025】
ディスプレイ13は、コミュニケーション装置本体11から出力された映像(映像信号)を当該第1の利用者U1に表示出力するためのディスプレイ本体131と、ディスプレイ本体131を載置するディスプレイ回転板132とを有している。
【0026】
ディスプレイ本体131としては、例えば、既存のPC等で用いられる液晶ディスプレイ等を用いることができる。
【0027】
ディスプレイ回転板132は、コミュニケーション装置本体11の制御により動作する回転機構(図示せず、例えば、モータ等)により、水平方向(左右方向)に、時計回り又は反時計回りに回転し、載置しているディスプレイ本体131の画面の方向を変更させる。言い換えると、コミュニケーション装置10では、コミュニケーション装置本体11により、ディスプレイ回転板132が備える上述の回転機構を動作させ、ディスプレイ本体131の画面を向ける方向を制御している。なお、第1の実施形態では、ディスプレイ本体131の画面方向を制御する手段は限定されないものであり、カメラ12と同様に、上述の回転機構以外の手段を適用することができる。また、図3では、ディスプレイ13の図示しない回転機構とコミュニケーション装置本体11との間の物理インタフェースは限定されないものであり、既存の有線(例えば、USBケーブル等)や無線のインタフェースを適用することができる。また、ディスプレイ本体131が、コミュニケーション装置本体11から映像信号の供給を受けるための物理インタフェースについても限定されないものであり、例えば、既存のPC等のディスプレイと同様のインタフェースを適用することができる。
【0028】
次に、図1を用いて、コミュニケーション装置本体11の機能的構成について説明する。
【0029】
コミュニケーション装置10を構成するコミュニケーション装置本体11は、機能的には、映像取得部101、映像処理部102、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105、映像表示部106、回転制御部107、及び制御部108を有している。なお、図1においては図示を省略しているが、コミュニケーション装置本体11は、自装置利用者が発話する音声を捕捉するマイクや、遠隔側装置から供給された遠隔側利用者が発話した音声を出力するスピーカ等、既存のビデオ会議端末と同様の構成も備えているものとする。
【0030】
制御部108は、当該コミュニケーション装置10全体の動作を制御するものであり、例えば、当該コミュニケーション装置10内の各構成要素との間で制御情報のやりとりをしたり、他のコミュニケーション装置10との呼接続等を行う機能等を担っている。また、制御部108は、上述の図示しないマイクから捕捉した自装置利用者の発話した音声の音声信号(音声データ)を遠隔側装置に送出する処理も行うものとする。さらに、制御部108は、遠隔側装置から供給される遠隔側利用者の発話した音声信号(音声データ)の音声を、上述の図示しないスピーカに出力する処理も行うものとする。なお、この実施形態において、コミュニケーション装置10は、音声及び映像を用いて遠隔側利用者とコミュニケーション(通話)可能な端末であるものとして説明するが、映像だけを用いたコミュニケーションに対応させ、音声を処理する構成について省略するようにしても良い。
【0031】
映像取得部101は、自装置利用者を撮像した映像データを、カメラ12から取得する機能を担っている。また、映像取得部101は、自装置利用者の動きに追従するように、カメラ12の撮影する方向や撮影倍率を制御しているものとする。ここでは、例として、映像取得部101は、自装置利用者の頭部が撮影映像の中心となるようにカメラ12の方向等を制御するものとする。映像取得部101が、自装置利用者を撮像し続けるように、カメラ12の方向等を制御する方式については限定されないものであるが、既存のビデオ会議端末等と同様の方法を適用することができる。そして、映像取得部101は、カメラ12により撮影された映像データ(動画像データ)を、遠隔側装置にリアルタイムで送信する。映像取得部101が、映像データを遠隔側装置にリアルタイムで送信する方式については限定されないものであり、既存のビデオ会議端末等で用いられる種々の方式を適用することができる。
【0032】
映像処理部102は、映像取得部101が取得した映像データの映像(自装置利用者の映像)を処理する機能を担っている。具体的には、映像処理部102は、処理対象となる映像について、背景映像と人物映像(自装置利用者の映像)に分離するとともに、自装置利用者の利用者情報(詳細については後述する)を算出する。
【0033】
ここで、利用者情報とは、例えば、コミュニケーション装置10を利用している利用者の非言語情報であり、利用者の身体的な位置情報(以下、「身体的位置情報」ともいう)を含む情報であるものとする。利用者情報に含まれる利用者の身体的位置情報としては、例えば、ディスプレイ本体131を回転する回転軸から見た、利用者の頭部の位置姿勢や視線の方向、肩の向き等が挙げられる。ここでは、例として、ディスプレイ本体131の回転軸から見た利用者の頭部の一部(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)の方向(以下、「利用者頭部方向θH」という)に関する情報が、利用者情報に含まれるものとする。映像処理部102が、自装置利用者の映像を用いて、自装置利用者の利用者頭部方向を把握する方法は限定されないものであるが、例えば、参考文献1(特開2008−102902号公報)の記載技術を用いることができる。参考文献1では、ユーザを撮影した映像から、当該ユーザの頭部の位置姿勢や視線の方向、肩の向き等を把握することについて記載されている。なお、以下では、コミュニケーション装置10−1を利用する第1の利用者U1の利用者頭部方向を「利用者頭部方向θH1」、コミュニケーション装置10−2を利用する第2の利用者U2の利用者頭部方向を「利用者頭部方向θH2」と表すものとする。
【0034】
図4は、コミュニケーション装置10を構成する映像処理部102が把握する利用者情報の例について示した説明図である。
【0035】
ここでは、例として、ディスプレイ本体131が初期の状態で向いている画面に対する垂直平面Sを0度の方向と呼び、ディスプレイ本体131の回転軸PAを中心として、時計回りにずれた方向を正の角度、反時計回りにずれた方向を負の角度として方向を表すものとする。すなわち、ディスプレイ本体131の画面は、初期状態では0度の方向を向いているものとする。その後、ディスプレイ本体131の画面の方向が、ディスプレイ回転板132の動作に従って変化する。以下では、現在のディスプレイ本体131の画面の方向を、「画面方向θS」と表わすものとする。また、以下では、コミュニケーション装置10−1の画面方向を「画面方向θS1」、コミュニケーション装置10−2の画面方向を「画面方向θS2」と表わすものとする。
【0036】
そして、ここでは、映像処理部102は、ディスプレイ本体131の回転軸PAから、利用者の頭部の所定部分の位置PE(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)への方向を利用者頭部方向θHとして把握するものとする。
【0037】
そして、映像処理部102は、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に基づいて、ディスプレイ本体131を、回転させる量(以下、「回転量θT」と表わす)を決定する。そして、映像処理部102は、決定した回転量θTの情報を、回転制御部107に与える。なお、以下では、コミュニケーション装置10−1で決定された回転量を「回転量θT1」、コミュニケーション装置10−2で決定された回転量を「回転量θT2」と表わすものとする。
【0038】
ここでは、映像処理部102は、原則として、ディスプレイ本体131の画面を自装置利用者に正対させる(すなわち、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させる)ための回転量θTを算出するものとする。具体的には、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるためには、回転量θT=θH−θSとする必要がある。例えば、図4の状態の場合、θS=0度であり、θH=45度とした場合、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるためには、回転量θT=45度−0度=45度とする必要がある。
【0039】
映像処理部102は、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるための回転量θTをそのまま、回転制御部107に与えても良いし、画面方向θSを所定の範囲内(例えば、−45度〜45度)に保つように変換してから回転制御部107に与えても良い。例えば、画面方向θSが40度の状態で、利用者頭部方向θHと画面方向θSとを一致させるための回転量θTが10度だった場合には、映像処理部102は、画面方向θSを−45度〜45度の範囲に保つために、回転制御部107に与える回転量θTを5度と決定するようにしても良い。
【0040】
回転制御部107は、ディスプレイ本体131や、カメラ本体121の回転を制御するものである。回転制御部107は、映像処理部102から与えられる回転量θTに応じて、図示しないディスプレイ回転板132のモータを制御して回転させる。すなわち、回転制御部107は、ディスプレイ本体131の画面方向θS=θS+θTとなるように、図示しないディスプレイ回転板132が備える回転機構を制御する。
【0041】
情報送信部103は、映像取得部101が取得した自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)について、ネットワークNを介して遠隔側装置に送信するものである。
【0042】
情報受信部104は、ネットワークNを介して、遠隔側装置から、遠隔側利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)を取得するものである。
【0043】
映像合成部105は、遠隔側装置から供給された映像データの処理(例えば、合成処理等)を行い、映像表示部106に供給するものである。
【0044】
ここでは、映像合成部105は、遠隔側利用者の人物映像(以下、「遠隔側人物映像」と表わす)を変形することなく、遠隔側の人物の背景映像(以下、「遠隔側背景映像」と表わす)についてだけ、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する(例えば、射影変換して合成する)ものとする。
【0045】
遠隔側装置から受信した映像データから、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とに分割する処理は限定されないものであり、既存の処理方法を適用することができる。遠隔側から受信した映像データから、遠隔側人物映像を抽出する処理については、例えば、参考文献3(特開2001−14474号公報)の記載技術を適用することができる。参考文献3では、予め撮影されて記憶された背景画像、及び背景と人物が撮像されている混合画像の2枚の画像を背景差分法を用いて比較し、人物の画像を抽出している。映像合成部105で、参考文献3の記載技術を利用する場合には、予め遠隔側背景映像を保持しておき、保持した遠隔側背景映像と、遠隔側装置から受信した映像データ(背景と人物が撮影されている混合映像)とを比較して、遠隔側人物映像を取得することができる。参考文献3の記載技術を利用する場合には、遠隔側装置から受信した映像データから遠隔側背景映像を抽出せずに、予め保持しているものを利用するようにしても良い。映像合成部105が、遠隔側背景映像を予め保持する方法については限定されないものである。例えば、予め利用者により登録されるようにしても良いし、遠隔側利用者又は自装置利用者の操作に応じて、遠隔側利用者が撮像されない状態(すなわち遠隔側背景映像)の映像をキャプチャして保持するようにしても良い。
【0046】
映像合成部105は、遠隔側背景映像については、上述の通り、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する。遠隔側背景映像を画面方向θSに応じて歪ませる(例えば、射影変換)方法については限定されず、既存の処理方法用いることができるが、例えば、参考文献4(特開2009−260819)の記載技術を用いるようにしてもよい。参考文献4では、矩形の映像を射影変換パラメータに応じて射影変換することについて記載されている。映像合成部105で、参考文献4の記載技術を利用して、遠隔側背景映像を射影変換する場合には、画面方向θSに応じた射影変換パラメータを決定して射影変換するようにしても良い。なお、参考文献4では、台形の画像を矩形に変換する処理について記載されているが、この実施形態では、矩形を台形に変換する処理として行う必要がある。そして、映像合成部105は、射影変換した遠隔側背景映像に遠隔側人物映像を合成し、映像表示部106に供給する。
【0047】
次に、映像合成部105が行う合成処理等の具体例について説明する。
【0048】
図5は、コミュニケーション装置10−1における映像合成部105及び回転制御部107の行う処理について示した説明図である。
【0049】
図5(a−1)は、画面方向θS1が0度の場合(図5(a−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図5(b−1)は、画面方向θS1が正の角度(例えば、45度)の場合(図5(b−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図5(c−1)は、画面方向θS1が負の角度(例えば、−45度)の場合(図5(c−2)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。
【0050】
図5(a−1)、図5(b−1)、図5(c−1)において、A111、A121、A131の領域は、遠隔側人物映像を示している。また、A112、A122、A132の領域は、遠隔側背景映像を示している。
【0051】
図5(a−1)に示すように、画面方向θS1が0度の場合には、映像合成部105は、遠隔側背景映像について射影変換せずにそのまま遠隔側人物映像と合成した映像を生成する。
【0052】
また、図5(b−1)に示すように、画面方向θS1が正の角度(例えば、45度)の場合には、映像合成部105は、画面が回転した方向(画面に向かって左側)の端を台形の底辺とし、反対の方向(画面に向かって右側)の端を台形の上辺とするように、遠隔側背景映像を射影変換により歪ませている。さらに、図5(c−1)に示すように、画面方向θS1が負の角度(例えば、−45度)の場合には、映像合成部105は、画面が回転した方向(画面に向かって右側)の端を台形の底辺とし、反対の方向(画面に向かって左側)の端を台形の上辺とするように射影変換により歪ませている。さらにまた、映像合成部105は、画面方向θSの絶対値が大きくなるほど、遠隔側背景映像の歪みを大きく(台形の底辺と上辺の差異を大きく)するように、遠隔側背景映像を射影変換する。
【0053】
また、映像合成部105は、遠隔側背景映像の射影変換により、ディスプレイ本体131の画面上で、映像が表示されない領域(例えば、図5(a−1)の領域A121、A123等の遠隔側背景映像が欠ける領域)については、例えば、所定の単色の画素や、所定のパターンで塗りつぶして補完するようにしても良いし、遠隔側背景映像に最も色彩(色相)が近い色の画素で塗りつぶして補完するようにしても良い。
【0054】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のコミュニケーションシステム1の動作を説明する。
【0055】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10−1の動作を中心として説明する。
【0056】
図6は、コミュニケーションシステム1を構成するコミュニケーション装置10の動作について示したフローチャートである。
【0057】
まず、コミュニケーション装置10−1とコミュニケーション装置10−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S100)。
【0058】
次に、コミュニケーション装置10−1の映像処理部102にて、映像取得部101より取得された第1の利用者U1の映像を用いて、第1の利用者U1の利用者情報として利用者頭部方向θH1が算出される(S101)。
【0059】
次に、映像処理部102にて、上述のステップS101で算出された利用者頭部方向θH1基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、映像処理部102から回転制御部107へ決定された回転量θT1の情報が与えられる。そして、回転制御部107は、与えられた回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)を回転動作させる(S102)。
【0060】
そして、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10−2からの映像データが取得され(S103)、その映像データの映像についての合成処理等がおこなわれ、映像表示部106に与えられる(S104)。
【0061】
ステップS104では、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10−2からの映像データの映像について、遠隔側人物映像が抽出され、さらに、予め保持していた遠隔側背景映像について最新の画面方向θS1に応じた射影変換が行われる。そして、映像合成部105にて、抽出された遠隔側人物映像と、射影変換後の遠隔側背景映像が合成されて、合成後の映像データが、映像表示部106に与えられる。
【0062】
そして、映像表示部106により、映像合成部105から与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S105)。なお、ステップS103〜S105の処理は、次に、利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0063】
そして、コミュニケーション装置10−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10−1、10−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S106)。ステップS106にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS101の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS106にて、コミュニケーション装置10−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S107)。
【0064】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0065】
第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、コミュニケーション装置10では、自装置利用者に、ディスプレイ本体131の画面を正対させるように、ディスプレイ本体131の画面方向を制御している。また、第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θSに応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側背景映像を、ディスプレイ本体131の画面の回転方向と逆方向に歪ませる処理(射影変換処理)を行っている。これにより、コミュニケーション装置10では、自装置利用者へ、遠隔側の映像を、擬似的に立体映像として見せることができ、相手(遠隔側利用者)の存在感を提示し、臨場感を高めることができる。
【0066】
また、第1の実施形態のコミュニケーション装置10は、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構を設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0067】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0068】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心として説明する。
【0069】
第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aでは、コミュニケーション装置10(10−1、10−2)が、コミュニケーション装置10A(10A−1、10A−2)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0070】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aも、上述の図1、図3により示すことができる。
【0071】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aを構成するコミュニケーション装置本体11Aは、機能的には、映像取得部101、映像処理部102A、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105、映像表示部106、回転制御部107A、及び制御部108を有している。第2の実施形態のコミュニケーション装置本体11Aでは、機能的には、映像処理部102A及び回転制御部107A以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0072】
映像処理部102Aは、利用者情報として、利用者頭部方向θHではなく、自装置の利用者の視線の方向(以下、「利用者視線方向θE」と表わす)を把握する点で、第1の実施形態と異なっている。
【0073】
図7は、映像処理部102Aが、利用者情報として把握する利用者視線方向θEについて示した説明図である。
【0074】
図7に示すように、利用者視線方向θEは、利用者Uの頭部の所定部分の位置PE(例えば、利用者の眼球の間の中心位置)から利用者Uの視線の方向に伸びる線LEが示す方向である。そして、ディスプレイ本体131が初期の状態(画面方向θSが0度)で向いている画面に対する垂直平面Sと、線LEとが並行となる場合に利用者視線方向θEは0度の方向と表すものとする。そして、それ以外の場合(垂直平面Sと、線LEとが並行でない場合)には、LEと垂直平面Sとがなす角度により、利用者視線方向θEは、表されるものとする。なお、上述の通り、利用者頭部方向θHや画面方向θSについては、ディスプレイ本体131の回転軸から見た方向として表していたが、利用者視線方向θEについては、利用者Uから見た方向として表すものとする。そして、利用者視線方向θEは、利用者Uから見て、0度の方向から反時計回りにずれた方向を正の角度、時計回りにずれた方向を負の角度として方向を表すものとする。図7の例の場合には、利用者Uの視線は、0度の方向から反時計回りの方向にずれているので、正の角度として表されることになる。
【0075】
そして、以下では、コミュニケーション装置10A−1を利用する第1の利用者U1の利用者視線方向を「利用者視線方向θE1」と表わし、コミュニケーション装置10A−2を利用する第2の利用者U2の利用者視線方向を「利用者視線方向θE2」と表すものとする。
【0076】
第1の実施形態の回転制御部107は、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、自装置のディスプレイ本体131を向ける方向(画面方向θS)を決定していた。これに対して、第2の実施形態の回転制御部107Aでは、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに基づいて、自装置の画面方向θSを決定するものとする。
【0077】
例えば、コミュニケーション装置10A−1では、コミュニケーション装置10A−2から、第2の利用者U2の利用者情報(利用者視線方向θE2)が供給されると、回転制御部107Aにより、利用者視線方向θE2に基づいた回転量θT1が算出される。具体的には、コミュニケーション装置10A−1の回転制御部107Aは、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θS1に対して、正負を逆転させた利用者視線方向θE2に一致させるための回転量を、回転量θT1として算出する。すなわち、この場合、回転量θT1=−θE2−θS1とする必要がある。そして、回転制御部107Aは、算出した回転量θT1にしたがって、自装置のディスプレイ本体131を回転させる。
【0078】
第2の実施形態において、映像合成部105は、第1の実施形態と同様に、遠隔側人物映像を変形することなく、遠隔側背景映像についてだけ、自装置における画面方向θSと逆方向に歪ませて合成する(例えば、射影変換して合成する)ものとする。
【0079】
図8は、コミュニケーション装置10A−1において、映像合成部105及び回転制御部107Aが行う処理について示した説明図である。
【0080】
図8(a−2)は、コミュニケーション装置10−2において把握された第2の利用者U2の利用者視線方向θE2が0度の場合(図8(a−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(b−2)は、利用者視線方向θE2が負の角度(例えば、−45度)の場合(図8(b−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(c−2)は、利用者視線方向θE2が正の角度(例えば、45度)の場合(図8(c−1)の状態の場合)に映像合成部105が合成した映像について示している。図8(a−2)、図8(b−2)、図8(c−2)において、A211、A221、A231の領域は、遠隔側人物映像を示している。また、A212、A222、A232の領域は、遠隔側背景映像を示している。
【0081】
図8(a−3)は、利用者視線方向θE2が0度の場合(図8(a−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。図8(b−3)は、利用者視線方向θE2が負の角度(例えば、−45度)の場合(図8(b−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。図8(c−3)は、利用者視線方向θE2が正の角度(例えば、+45度)の場合(図8(c−1)の状態の場合)に、回転制御部107Aがディスプレイ本体131の画面を向ける方向について示している。
【0082】
図8(a−3)に示すように、利用者視線方向θE2が0度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を0度の方向に向けるように回転量θT1を決定して制御する。また、図8(b−3)に示すように、利用者視線方向θE2が−45度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を、画面方向θS1=−θS2=+45度となるように、回転量θT1を決定して制御する。さらに、図8(c−3)に示すように、利用者視線方向θE2が+45度の場合には、回転制御部107Aは、ディスプレイ本体131の画面を、画面方向θS1=−θS2=−45度となるように、回転量θT1を決定して制御する。
【0083】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のコミュニケーションシステム1Aの動作を説明する。
【0084】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10A−1の動作を中心として説明する。
【0085】
図9は、コミュニケーションシステム1Aを構成するコミュニケーション装置10Aの動作について示したフローチャートである。
【0086】
まず、コミュニケーション装置10A−1とコミュニケーション装置10A−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S200)。
【0087】
そして、コミュニケーション装置10A−2の映像処理部102Aにより、映像取得部101より取得された第2の利用者U2の映像を用いて、第2の利用者U2の利用者情報(利用者視線方向θE2)が算出される。そして、コミュニケーション装置10A−2で算出された利用者情報(利用者視線方向θE2)が、コミュニケーション装置10A−1に供給されたものとする(S201)。
【0088】
そして、コミュニケーション装置10A−1において、回転制御部107Aにより、上述のステップS201で供給された利用者視線方向θE2に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、回転制御部107Aにより、決定された回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)が回転動作するように制御される(S202)。
【0089】
そして、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10A−2からの映像データが取得され、さらに、その映像データの映像についての合成処理等がおこなわれる(S203)。
【0090】
ステップS203では、映像合成部105にて、コミュニケーション装置10A−2からの映像データの映像について、遠隔側人物映像が抽出され、さらに、予め保持していた遠隔側背景映像について最新の画面方向θS1に応じた射影変換が行われる。そして、映像合成部105にて、抽出された遠隔側人物映像と、射影変換後の遠隔側背景映像が合成されて、合成後の映像データが、映像表示部106に与えられる。
【0091】
そして、映像表示部106により、映像合成部105から与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131の画面の表示される(S204)。なお、ステップS203、S204の処理は、次に、遠隔側利用者の利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0092】
そして、コミュニケーション装置10A−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10A−1、10A−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S205)。ステップS205にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS201の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS205にて、コミュニケーション装置10A−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S206)。
【0093】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0094】
第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aでは、遠隔側利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、例えば、コミュニケーション装置10Aでは、遠隔側利用者が頭部の向きを右方向へ回転させた場合に、それに対応して自装置のディスプレイ本体131の画面方向を、右方向へ回転させている。また、第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aでは、自装置のディスプレイ本体131の画面方向θSに応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側背景映像を、ディスプレイ本体131の画面の回転方向と逆方向に歪ませる処理(射影変換処理)を行っている。これにより、コミュニケーション装置10Aでは、自装置利用者に、遠隔側人物映像が静止しているかのように見せること等ができる。このことで、コミュニケーション装置10Aでは、自装置利用者へ、遠隔側利用者の些細な動作を、ディスプレイ本体131の画面の回転として強調して表現することができ、自装置利用者に対して遠隔側利用者の存在感を伝達することができる。
【0095】
また、第2の実施形態のコミュニケーション装置10Aは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構を設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0096】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0097】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心として説明する。
【0098】
第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bでは、コミュニケーション装置10(10−1、10−2)が、コミュニケーション装置10B(10B−1、10B−2)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0099】
第3のコミュニケーション装置10Bのハードウェア構成は、上述の図3に示す構成において、カメラ12がカメラシステム14(詳細については後述する)に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。一方、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bを構成するコミュニケーション装置本体11Bの機能的構成については、上述の図1により示すことができる。
【0100】
第3の実施形態では、コミュニケーション装置10Bを構成するコミュニケーション装置本体11Bは、機能的には、映像取得部101B、映像処理部102、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105B、映像表示部106、回転制御部107、及び制御部108を有している。第3の実施形態のコミュニケーション装置本体11Bでは、機能的には、映像取得部101B及び映像合成部105B以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0101】
次に、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bにおける、複数のカメラ15を備えるカメラシステム14について説明する。
【0102】
図10は、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bが備えるカメラシステム14の構成について示した説明図である。図10では、カメラシステム14を構成する複数のカメラ15、利用者U、及びディスプレイ本体131の位置関係を上方向から見た構成について示している。
【0103】
図10に示すように、カメラシステム14は、3つのカメラ15(15−1〜15−3)を備えている。また、図10に示すように、それぞれのカメラ15(15−1〜15−3)は、カメラ本体151(151−1〜151−3)及び、カメラ回転板152(152−1〜152−3)を備えている。それぞれのカメラ15は、第1の実施形態のカメラ12と同様のものを適用することができる。そして、カメラ15−1は、第1の実施形態のカメラ12と同様の位置に配置されているものとする。そして、カメラ15−2及びカメラ15−3は、利用者Uから見て、カメラ15−1とは異なる方向から、利用者Uを撮像できるように配置されているものとする。
【0104】
図10では、初期状態において所定の基準位置に利用者Uが位置した場合に、利用者Uから見て、カメラ15−1は、利用者Uの正面方向(ディスプレイ本体131の回転軸と同じ方向)に配置されており、カメラ15−2は利用者から見て左側、カメラ15−3は利用者から見て右側に、それぞれ配置されている。なお、カメラシステム14において、配置するカメラ15の数及び配置する位置(撮像する方向)については限定されないものである。そして、カメラシステム14では、それぞれのカメラ15で撮像した映像データを、映像取得部101Bに供給する。
【0105】
映像取得部101Bは、それぞれのカメラ15から供給された映像データを、遠隔側装置にリアルタイムで送信する。
【0106】
第1の実施形態のコミュニケーション装置10では、遠隔側装置から自装置に供給されてくる映像データは1種類であったが、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、上述の通り3種類の映像データが供給されてくる。したがって、第3の実施形態の映像合成部105Bでは、処理対象となる映像データの選択を行う必要がある。ここでは、映像合成部105Bは、自装置利用者の利用者頭部方向θHに応じて、映像データを選択するものとする。例えば、自装置利用者の利用者頭部方向θHが90度だった場合には、自装置利用者は、ディスプレイ本体131から見て右側に移動したことになる。そして、このときディスプレイ本体131に、遠隔利用者を右側から撮影することができるカメラ15−3が撮影した映像を表示することで、自装置利用者には、あたかもその場に遠隔利用者が存在するような臨場感を与えることができる。
【0107】
ここでは、カメラ15ごとに対応する利用者頭部方向θHの情報が、映像合成部105Bに登録されているものとする。ここでは、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが−45度〜+45の範囲内の場合にカメラ15−1の映像データを処理対象として選択するものとする。また、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが+45度〜+90の範囲内の場合にカメラ15−3の映像データを処理対象として選択するものとする。さらに、映像合成部105Bは、利用者頭部方向θHが−45度〜―90の範囲内の場合にカメラ15−2の映像データを処理対象として選択するものとする。
【0108】
そして、ここでは、映像合成部105Bは、選択した映像データについて、加工せずに、そのまま映像表示部106に供給するものとする。
【0109】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態のコミュニケーションシステム1Bの動作を説明する。
【0110】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10B−1の動作を中心として説明する。
【0111】
図11は、コミュニケーションシステム1Bを構成するコミュニケーション装置10Bの動作について示したフローチャートである。
【0112】
以下では、図11を用いて、コミュニケーション装置10B−1が、利用する第1の利用者U1の動きに応じて動作する場合について説明する。
【0113】
まず、コミュニケーション装置10B−1とコミュニケーション装置10B−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S300)。
【0114】
次に、コミュニケーション装置10B−1の映像処理部102Bにて、映像取得部101Bより取得された第1の利用者U1の映像を用いて、第1の利用者U1の利用者情報として利用者頭部方向θH1が算出される(S301)。
【0115】
次に、映像処理部102Bにて、上述のステップS301で算出された利用者頭部方向θH1に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、映像処理部102Bから回転制御部107へ決定された回転量θT1の情報が与えられる。そして、回転制御部107は、与えられた回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)を回転動作させる(S302)。
【0116】
そして、映像合成部105Bにて、遠隔側装置(コミュニケーション装置10B−2)からの映像データ(複数種類の映像データ)が取得される(S303)。
【0117】
そして、映像合成部105Bにて、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH1)に基づいて、遠隔側装置から供給された複数種類の映像データから処理対象となるものが1つ選択され、映像表示部106に与えられる(S304)。
【0118】
そして、映像表示部106により、映像合成部105Bから与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S305)。なお、ステップS303〜S305の処理は、次に利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0119】
そして、コミュニケーション装置10B−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10B−1、10B−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S306)。ステップS306にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS301の処理に戻って、動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS306にて、コミュニケーション装置10B−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S307)。
【0120】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0121】
第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。具体的には、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に、ディスプレイ本体131の画面を正対させるように、ディスプレイ本体131の画面方向を制御している。
【0122】
また、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH)に応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側映像(遠隔側利用者を撮像する角度)を切替えている。これにより、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に対して、遠隔側利用者が自身の動作に追従しているように見せることができる。このことで、コミュニケーション装置10Bでは、自装置利用者に対して、遠隔側利用者を様々な角度から見回われるような感覚を与えることができ、相手(遠隔側利用者)の存在感を高めることができる。
【0123】
また、第3の実施形態のコミュニケーション装置10Bは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構や、複数のカメラを設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0124】
(D)第4の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0125】
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cの構成も、上述の図2により示すことができる。以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との差異を中心として説明する。
【0126】
第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cでは、コミュニケーション装置10B(10B−1、10B−2)が、コミュニケーション装置10C(10C−1、10C−2)に置き換わっている点で、第3の実施形態と異なっている。
【0127】
第4のコミュニケーション装置10Cのハードウェア構成は、第3の実施形態と同様の構成となっている。すなわち、第4のコミュニケーション装置10Cは、第3の実施形態と同様に、カメラシステム14を備えている。また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cを構成するコミュニケーション装置本体11Cの機能的構成については、上述の図1により示すことができる。
【0128】
第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cを構成するコミュニケーション装置本体11Cは、機能的には、映像取得部101B、映像処理部102C、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105C、映像表示部106、回転制御部107C、及び制御部108を有している。第4の実施形態のコミュニケーション装置本体11Cでは、機能的には、映像処理部102C、映像合成部105C及び回転制御部107C以外の構成については、第3の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0129】
映像処理部102Cは、利用者情報として、利用者頭部方向θHではなく、利用者視線方向θEを把握する点で、第3の実施形態と異なっている。
【0130】
第3の実施形態において、映像処理部102Bは、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、遠隔側装置から自装置に供給されてくる複数種類の映像データから、1種類の映像データを選択していた。これに対して、第4の実施形態の映像処理部102Cでは、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに応じて、映像データを選択するものとする。ここでは、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEに基づいて、遠隔側利用者の顔をできるだけ正面から撮影した映像データを選択するものとする。
【0131】
図10に示すように、遠隔側装置のカメラシステム14には、3台のカメラ15−1〜15−3が配置されている。そして、カメラ15ごとに対応する遠隔側利用者の利用者視線方向θEの情報が、映像合成部105Cで保持されているものとする。例えば、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが−45度〜+45の範囲内の場合にカメラ15−1の映像データを処理対象として選択するものとする。また、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが+45度〜+90の範囲内の場合にカメラ15−2の映像データを処理対象として選択するものとする。さらに、映像合成部105Cは、利用者視線方向θEが−45度〜―90の範囲内の場合にカメラ15−3の映像データを処理対象として選択するものとする。
【0132】
そして、ここでは、映像合成部105Cは、選択した映像データについて、加工せずに、そのまま映像表示部106に供給するものとする。
【0133】
第3の実施形態の回転制御部107は、第1の実施形態と同様に、自装置利用者の利用者頭部方向θHに基づいて、自装置のディスプレイ本体131を向ける方向(画面方向θS)を決定していた。これに対して、第4の実施形態の回転制御部107Cでは、第2の実施形態の回転制御部107Aと同様に、遠隔側利用者の利用者視線方向θEに基づいて、自装置の画面方向θSを決定するものとする。すなわち、回転制御部107Cは、第2の実施形態の回転制御部107Aと同様の処理を行うものであり、ここでは詳しい説明を省略する。
【0134】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態のコミュニケーションシステム1Cの動作を説明する。
【0135】
以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10C−1の動作を中心として説明する。
【0136】
図12は、コミュニケーションシステム1Cを構成するコミュニケーション装置10Cの動作について示したフローチャートである。
【0137】
まず、コミュニケーション装置10C−1とコミュニケーション装置10C−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S400)。
【0138】
そして、コミュニケーション装置10C−2の映像処理部102により、映像取得部101で取得された第2の利用者U2の映像を用いて、第2の利用者U2の状態に関する利用者情報(利用者視線方向θE2)が算出される。そして、コミュニケーション装置10C−2で算出された利用者情報(利用者視線方向θE2)が、コミュニケーション装置10C−1に供給されたものとする(S401)。
【0139】
そして、コミュニケーション装置10−1において、回転制御部107Cにより、上述のステップS401で供給された利用者視線方向θE2に基づいて、画面方向θS1及び回転量θT1が決定される。そして、回転制御部107Cにより、決定された回転量θT1にしたがって、ディスプレイ本体131(ディスプレイ回転板132)が回転動作するように制御される(S402)。
【0140】
そして、映像合成部105Cにて、遠隔側利用者の利用者視線方向θE2に基づいて、遠隔側装置から供給された複数種類の映像データから処理対象となるものが1つ選択され、映像表示部106に与えられる(S403)。
【0141】
そして、映像表示部106により、映像合成部105Cから与えられた映像データの映像が、ディスプレイ本体131に表示される(S404)。なお、ステップS403、S404の処理は、次に利用者情報が更新されるまで繰り返し行われる。
【0142】
そして、コミュニケーション装置10C−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10C−1、10C−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S405)。ステップS405にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS401の処理に戻って動作するように、各構成要素を制御する。一方、ステップS405にて、コミュニケーション装置10C−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S406)。
【0143】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0144】
第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cでは、第2の実施形態と同様に、遠隔側利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に、自装置のディスプレイ本体131の画面方向を追従させている。また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者の利用者情報(利用者視線方向θE)に応じて、ディスプレイ本体131の画面に表示する遠隔側映像(遠隔側利用者を撮像する角度)を切替えている。例えば、コミュニケーション装置10Cでは、複数の角度から遠隔側利用者を撮影した映像データのうち、できるだけ遠隔側利用者が正面を向いている映像の映像データを選択して、ディスプレイ本体131の画面に表示している。これにより、コミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者に対して、常に、正面方向から撮影した遠隔側利用者を提示することができる。これにより、コミュニケーション装置10Cでは、自装置利用者へ、第2の実施形態のような存在感を伝達すると同時に、遠隔側利用者の顔の表情を同時に見せることができ、より臨場感のあるコミュニケーションを提供することができる。
【0145】
また、第4の実施形態のコミュニケーション装置10Cは、ハードウェア的には、従来のビデオ会議端末等に、ディスプレイの画面方向を制御できる機構や、複数のカメラを設けるだけで構築することができるため、低コストで実現することが可能である。
【0146】
(E)第5の実施形態
以下、本発明によるコミュニケーションシステム及びコミュニケーション装置の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0147】
(E−1)第5の実施形態の構成
第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dの構成も、図2により示すことができる。
【0148】
第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dは、コミュニケーション装置10D(10D−1、10D−2)を有している。
【0149】
第5の実施形態のコミュニケーション装置10Dは、動作モードを切り替えることにより、第1〜第4の実施形態のいずれかの処理を実現する構成を備えている。すなわち、第5の実施形態のコミュニケーション装置10Dは、第1の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM1」と表わす)と、第2の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM2」と表わす)と、第3の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM3」と表わす)と、第4の実施形態と同様の動作を行うことができる動作モード(以下、「モードM4」と表わす)とを備えており、動作モードを切り替えて動作することができる。
【0150】
以下、第5の実施形態について、第1〜第4の実施形態との差異について説明する。
【0151】
コミュニケーション装置10Dは、ハードウェア的には、第3及び第4の実施形態のコミュニケーション装置10B、10Cと同様の構成を備えているものとする。ここでは、コミュニケーション装置10Dは、第3、第4の実施形態と同様に、カメラシステム14を備えており、モードM1、モードM2で動作する場合には、カメラシステム14を構成する一つのカメラ15(ここでは、カメラ15−1であるものとする)が、第1及び第2の実施形態におけるカメラ12として動作するものとして説明する。
【0152】
図13は、コミュニケーション装置10Dを構成するコミュニケーション装置本体11Dの機能的構成について示した説明図である。
【0153】
コミュニケーション装置10Dを構成するコミュニケーション装置本体11Dは、機能的には、映像取得部101D、映像処理部102D、情報送信部103、情報受信部104、映像合成部105D、映像表示部106、回転制御部107D、制御部108、及びコミュニケーション推定部109を有している。情報送信部103、情報受信部104、映像表示部106、及び制御部108については、第1〜第4の実施形態と同様のものを適用することができるので、詳しい説明を省略する。
【0154】
コミュニケーション推定部109は、自装置利用者と遠隔側利用者との間のコミュニケーションの状況に応じて、自装置の動作モードを選択する。そして、コミュニケーション推定部109は、選択した動作モードで動作するように自装置の各構成要素を制御する処理を行う。なお、この実施形態において、コミュニケーション装置10Dは、上述の通り、モードM1〜モードM4に対応するものとして説明するが、対応する動作モードの数や組合せは限定されないものである。例えば、コミュニケーション装置10Dでは、モードM1〜モードM4のうち一部の動作モードについてだけ対応するようにしても良いし、さらに他の動作モードを追加するようにしても良い。
【0155】
そして、映像取得部101D、映像処理部102D、映像合成部105D、及び回転制御部107Dは、コミュニケーション推定部109で選択された動作モードに従った処理を行うようになる。例えば、コミュニケーション推定部109で、モードM1が選択された場合には、映像取得部101D、映像処理部102D、映像合成部105D、及び回転制御部107Dは、第1の実施形態と同様の処理(例えば、上述の図6に示すフローチャートの処理)を行うことになる。
【0156】
コミュニケーション推定部109が、初期において選択する動作モードは限定されないものであり、例えば、予め設定された動作モードで動作を開始し、その後他の動作モードに切り替えるようにしても良い。
【0157】
また、コミュニケーション推定部109が、動作モードを切り替える契機については限定されないものである。コミュニケーション推定部109が、動作モードを切り替える契機については、例えば、自装置利用者又は遠隔側利用者の操作(例えば、図示しないキーボードやタッチパネル等を用いた操作)に基づいて、切り替えるようにしても良い。また、コミュニケーション推定部109は、例えば、利用者情報や、利用者の発話した音声に基づいて、自装置利用者と遠隔側利用者との間のコミュニケーションの状況を推定し、その推定結果に基づいて、自装置の動作モードを切り替えるようにしても良く、具体例としては、以下のような方法が挙げられる。
【0158】
[コミュニケーション時間に応じた切替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、コミュニケーション時間が挙げられる。
【0159】
例えば、コミュニケーション推定部109は、自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってすぐの間(例えば、遠隔側装置との呼接続が開始されてから一定時間経過するまでの間)は、モードM1とするようにしてもよい。自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってからすぐの間は、お互いの存在を認め合う必要があるため、相手(遠隔側利用者)の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像変換が変動しない方が良いと推定できるためである。そして、自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってから一定時間が経過した場合(例えば、呼が接続してから一定時間経過した場合)には、コミュニケーション推定部109は、自装置の動作モードをモードM2とするようにしてもよい。自装置利用者と遠隔側利用者との間の会話が始まってから一定時間が経過した場合には、会話が乗ってきており、相手(遠隔側利用者)の反応がコミュニケーションに特に重要になるため、相手の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像を変動させた方が良いと推定できるためである。
【0160】
[発話者の交代に応じた切替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、発話者の交代に応じた切替え方法が挙げられる。
【0161】
具体的には、コミュニケーション推定部109は、話し手と聞き手の交代に応じたモードの切り替えを行うようにしても良い。コミュニケーション推定部109は、例えば、自装置が備えるマイクが捕捉した自装置利用者の音声信号と、遠隔側のコミュニケーション装置10Bから供給された遠隔側利用者の音声信号とを保持し、保持した2つの音声信号に基づいて、現在の話し手がいずれの利用者であるのかを判定するようにしても良い。コミュニケーション推定部109が、いずれの利用者が話し手であるかを判定する方法については限定されないものであるが、例えば、いずれかの利用者がある一定時間発言を続けている場合(たとえば、一定時間以上、音声信号のパワーが閾値以上だった場合)には、その利用者を話し手として判断し、他方を聞き手と判断するようにしても良い。コミュニケーション推定部109が、いずれの利用者が話し手であるかを判定する方法としては、その他にも参考文献5(特開2010−32792号公報)に記載されているような発話者の切り替えを検出することで発話者の交代を認識することや、うなずきの回数を測定して判定するようにしても良い。
【0162】
そして、コミュニケーション推定部109は、現在の話し手が、自装置利用者であると判定した場合には、モードM2とするようにしても良い。これは、自装置利用者が話し手の場合には、自分の話している内容に対する相手(遠隔側利用者)の反応が知りたいと考えられるため、遠隔側利用者の動作に応じて、画面方向及び遠隔側背景映像変換を制御する方が良いと推定できるためである。また、コミュニケーション推定部109は、現在の聞き手が、自装置利用者であると判定した場合には、モードM1とするようにしても良い。これは、自装置利用者が聞き手の場合には、話している相手が目の前にいるような感覚が望まれると推定できるためである。
【0163】
[利用者の身体的位置情報に応じた切り替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、遠隔側利用者又は自装置利用者の身体的位置情報に応じたモードの切り替えが挙げられる。ここで、身体的位置情報とは、例えば、利用者頭部方向θHや利用者視線方向θE等の利用者情報に含まれるパラメータが挙げられる。コミュニケーション推定部109は、例えば、遠隔側利用者又は字装置利用者の利用者情報(利用者頭部方向θH又は利用者視線方向θE)が、所定範囲を超えて変動した場合にモード切換えを行うようにしてもよい。
【0164】
例えば、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが、ディスプレイ本体131の正面から見て、ある一定範囲以内の角度(例えば、−45度〜45度の範囲内)で遷移している場合には、コミュニケーション推定部109は、モードM1又はモードM2を選択するようにしても良い。また、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが上述の範囲外の角度となった場合には、コミュニケーション推定部109は、モードM3又はモードM4を選択するようにしても良い。これは、遠隔側利用者の利用者頭部方向θHが上述の一定範囲内の角度を外れた場合には、遠隔利用者の側面方向に興味の対象があると推定できるためである。
【0165】
[遠隔地の映像に対応した切り替え]
コミュニケーション推定部109が、自装置の動作モードの選択を行う方法としては、例えば、遠隔側装置から供給された映像データの映像に、遠隔側背景映像および遠隔側人物映像以外の物体が写っていた場合に対応したモードの切り替えが挙げられる。
【0166】
例えば、遠隔側利用者が、自装置利用者の興味の引くような物体を提示した場合には、自装置利用者はその物体(例えば、取引商品等)を様々な角度から見たいと推定できる。このとき、コミュニケーション推定部109は、自装置の動作モードをモードM3へと切り替えることで、自装置利用者は、その物体を様々な角度から身を乗り出しながらその物体を見ることができる。コミュニケーション推定部109が、遠隔側装置から供給された映像データに基づいて、遠隔地背景および遠隔人物像以外の物体を判定するためには、例えばパターンマッチングなどの物体追跡手法が考えられる。具体的には、遠隔側利用者が所定パターンが付された物体(例えば、2次元バーコード等が付された商品)を提示した場合、コミュニケーション推定部109は、遠隔側装置から供給された映像データの内容から、その所定のパターンを認識して、動作モードをモードM3へ切り替えるようにしても良い。
【0167】
(E−2)第5の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第5の実施形態のコミュニケーションシステム1Dの動作を説明する。
【0168】
図14は、コミュニケーションシステム1を構成するコミュニケーション装置10D(コミュニケーション推定部109)の動作について示したフローチャートである。以下では、第1の利用者U1が利用するコミュニケーション装置10D−1(コミュニケーション推定部109)の動作を中心として説明する。
【0169】
まず、コミュニケーション装置10D−1とコミュニケーション装置10D−2との間でビデオ通話が開始されたものとする(S500)。ここでは、初期状態として、コミュニケーション装置10D−1では、モードM1で動作するように設定されているものとする。
【0170】
そして、コミュニケーション装置10D−1において、コミュニケーション推定部109により、自装置の動作モードの変更の要否が判定される。そして、コミュニケーション推定部109は、動作モードの変更が必要と判定した場合には、変更後のモードに応じた動作をするように、自装置内の各構成要素を制御する(S501)。
【0171】
ここでは、例として、コミュニケーション推定部109は、コミュニケーション時間に応じて、自装置の動作モード変更の要否を判定するものとする。その場合、コミュニケーション推定部109は、ビデオ通話が開始されたタイミング(上述のステップS500のタイミング)で、時間を計測するためのタイマ(図示せず)をスタートさせ、そのタイマの計測時間が一定時間以下の場合には、動作モード変更は不要と判定するようにしても良い。そして、コミュニケーション推定部109は、上述のタイマの計測時間が一定時間異常の場合に、自装置の動作モードをモードM2に変更すると判定するようにしても良い。なお、コミュニケーション推定部109が同時に行う判定処理(コミュニケーションの状況の推定処理)は、1種類であっても良いし、複数種類であってもよく、その種類や数は限定されないものである。
【0172】
そして、コミュニケーション装置10D−1の制御部108にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続しているか否か、すなわち、コミュニケーション装置10D−1、10D−2の間の回線がつながっているか否かが確認される(S502)。ステップS502にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が接続中の場合)には、制御部108は、上述のステップS501の処理に戻って、動作する。一方、ステップS502にて、コミュニケーション装置10D−2とのコミュニケーションが継続していると判定された場合(回線が切断された場合)には、制御部108は、上述の一連の処理を終了する(S503)。
【0173】
(E−3)第5の実施形態の効果
第5の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0174】
コミュニケーション装置10D−1、10D−2では、利用者のディスプレイ本体131の動作と、ディスプレイ本体131の画面に表示される遠隔側の映像の加工・変形操作等の連動手法を、利用者間のコミュニケーションの状況に応じて動的に切り替えている。これにより、コミュニケーションシステム1Dでは、第1〜第4の実施形態と比較して、さらなる臨場感を利用者に提供することができる。
【0175】
(F)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0176】
(F−1)上記の各実施形態では、映像合成部が、遠隔側装置から供給された映像データの映像から、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とを分離する際に、映像処理(背景差分法)を用いる例について説明した。しかし、映像合成部の分離方法はこれに限定されず、例えば、深度センサを有したカメラなどを用いて利用者を撮像することで、計測された深度に応じて複数に分離された映像群を用いて、遠隔側背景映像と遠隔側人物映像とを分離するようにしても良い。例えば、映像合成部は、上述の深度センサを有したカメラに最も近距離の物体の映像が利用者の映像(遠隔側人物映像)であり、それよりも遠距離の物体の映像を背景の映像(遠隔側背景映像)であると認識するようにしても良い。
【0177】
(F−2)上記の各実施形態において、ディスプレイ本体は、ディスプレイ回転板により左右方向(水平方向)にのみ画面を回転できる構成として説明したが、上下方向(水平方向)に画面を回転できる構成としても良いし、左右方向及び上下方向の両方に画面を回転できる構成としても良い。なお、利用者を撮像するカメラについてもディスプレイ本体と同様に、左右方向及び又は上下方向に回転可能な構成としても良い。
【0178】
(F−3)第5の実施形態では、コミュニケーション装置は、遠隔側装置から供給される利用者情報および、遠隔側装置から供給される音声信号から得られる発話音声を用いて、動作モードを切り替えるためのコミュニケーションの推定を行うことを説明した。しかし、コミュニケーション装置は、その他にも超音波センサなどに代表される距離センサや赤外線カメラなどで取得できる利用者の位置情報等から、統合的に利用者情報を構成してコミュニケーションの推定処理に適用するようにしても良いし、それを上記の実施形態に組み合わせて、コミュニケーションの推定処理の精度を向上させるようにしても良い。
【0179】
(F−4)上記の各実施形態におけるコミュニケーション装置が行う情報処理(利用者に対する入出力処理は除く)について、どの処理をどの装置が行うかは、上記の各実施形態の例に限定されないものである。例えば、利用者に対する入出力処理以外の情報処理については、第1又は第2の利用者が利用するコミュニケーション装置のいずれか一方でのみ行うようにしても良い。また、各コミュニケーション装置は、利用者に対する入出力処理のみを行い、その他の処理(利用者情報の取得や、映像の合成、ディスプレイ本体の画面の向きの制御等)を一括して、ASP(Application Service Provider)形式でサーバによる処理を行うようにしても良い。この場合、各コミュニケーション装置は、上述のサーバを介して、遠隔側装置と接続する構成となる。
【0180】
(F−5)上記の各実施形態では、2者間のコミュニケーションを提供するシステムとして説明したが、3者以上の利用者間のコミュニケーションに適用するようにしても良い。例えば、音声だけを3者会議とし、ディスプレイ本体の画面及び画面の向きを変更する対象として、いずれか1人の遠隔側利用者を選択(例えば、利用者の操作により選択するようにしても良い)して適用するようにしても良い。
【0181】
(F−6)第3及び第4の実施形態では、映像合成部は、遠隔側背景映像について特に加工を行っていないが、第1の実施形態と同様に、ディスプレイ本体の画面の向きに応じた加工を施すようにしても良い。また、第1及び第2の実施形態では、映像合成部は、遠隔側背景映像について射影変換等の加工をおこなっているが、特に加工せずに、ディスプレイ本体の画面に表示するようにしても良い。
【符号の説明】
【0182】
1…コミュニケーションシステム、10、10−1、10−2…コミュニケーション装置、N…ネットワーク、11…コミュニケーション装置本体、12…カメラ、121…カメラ本体、122…カメラ回転板、13…ディスプレイ、131…ディスプレイ本体、132…ディスプレイ回転板、101…映像取得部、102…映像処理部、103…情報送信部、104…情報受信部、105…映像合成部、106…映像表示部、107…回転制御部、108…制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムにおいて、
1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する映像データ保持手段と、
上記映像データ保持手段が保持した映像データに基づく映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段と
を有することを特徴とするコミュニケーションシステム。
【請求項2】
上記ディスプレイの画面方向に応じて、上記映像データ保持手段が保持した映像データの映像を加工する映像データ加工手段をさらに有し、
上記映像表示手段は、上記映像データ加工手段が加工した映像データの映像を、上記ディスプレイの画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項3】
上記映像データ加工手段は、上記ディスプレイの画面方向に応じて、上記映像データ保持手段が保持した映像データの映像の射影変換を行うことを特徴とする請求項2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項4】
映像データ保持手段は、それぞれ異なる方向から、上記第2の利用者を撮像する複数のカメラを備えており、それぞれの上記カメラが撮像した映像の映像データを保持し、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記カメラが撮像した映像データのうち、いずれかの映像データを選択する映像データ選択手段をさらに備え、
上記映像表示手段は、上記映像データ選択手段が選択した映像データに基づく映像を、上記ディスプレイの画面に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項5】
第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムを構成する、上記第1の利用者が利用する第1のコミュニケーション装置において、
上記第2の利用者が利用する第2のコミュニケーション装置から、1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像データを取得する映像データ取得手段と、
上記映像データ取得手段が取得した映像データの映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段と
を有することを特徴とするコミュニケーション装置。
【請求項1】
第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムにおいて、
1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像の映像データを保持する映像データ保持手段と、
上記映像データ保持手段が保持した映像データに基づく映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段と
を有することを特徴とするコミュニケーションシステム。
【請求項2】
上記ディスプレイの画面方向に応じて、上記映像データ保持手段が保持した映像データの映像を加工する映像データ加工手段をさらに有し、
上記映像表示手段は、上記映像データ加工手段が加工した映像データの映像を、上記ディスプレイの画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項3】
上記映像データ加工手段は、上記ディスプレイの画面方向に応じて、上記映像データ保持手段が保持した映像データの映像の射影変換を行うことを特徴とする請求項2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項4】
映像データ保持手段は、それぞれ異なる方向から、上記第2の利用者を撮像する複数のカメラを備えており、それぞれの上記カメラが撮像した映像の映像データを保持し、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記カメラが撮像した映像データのうち、いずれかの映像データを選択する映像データ選択手段をさらに備え、
上記映像表示手段は、上記映像データ選択手段が選択した映像データに基づく映像を、上記ディスプレイの画面に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項5】
第1の利用者と第2の利用者との間のコミュニケーションを可能とするコミュニケーションシステムを構成する、上記第1の利用者が利用する第1のコミュニケーション装置において、
上記第2の利用者が利用する第2のコミュニケーション装置から、1又は複数のカメラを用いて、上記第2の利用者を撮像した映像データを取得する映像データ取得手段と、
上記映像データ取得手段が取得した映像データの映像を、上記第1の利用者に提示するために画面表示するディスプレイと、上記ディスプレイの画面方向を制御に応じた方向に向ける画面方向制御機構とを備える映像表示手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報を取得する身体的位置情報取得手段と、
上記第1の利用者又は上記第2の利用者の身体的位置情報に応じて、上記ディスプレイの新たな画面方向を決定し、上記ディスプレイの画面方向が決定した画面方向となるように、上記画面方向制御機構を制御する画面方向制御手段と
を有することを特徴とするコミュニケーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−9111(P2013−9111A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139821(P2011−139821)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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