説明

コンクリートの打ち込み型枠打撃用ハンマー

【課題】コンクリートの打ち込み型枠の打撃用ハンマーにおいて、その重量を効果的かつ不具合なく大きくできるようにして、その打撃時に型枠に作用される衝撃力を増加させる。
【解決手段】柄部分10と、この柄部分10の先端部10aからこの柄部分10に対し略直交する向きに延びる分枝部分11とを備えた金属製のハンマー主体1と、このハンマー主体1の分枝部分11の先端部に取り外し可能に取り付けられるゴム又はプラスチック製のハンマーヘッド2とを備えている。分枝部分11によって、このハンマーヘッド2の打撃面21と柄部分10との間に、コンクリートの打ち込み型枠Wの打撃時にこの型枠Wの型外面側に配されるバタパイプWaなどに柄部分10を接触させることのない間隔xが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリートの打ち込み型枠内に打ち込まれたコンクリートをこの型枠内に行き渡らせるために、この打ち込みの過程において型枠を外側から叩くために用いられるハンマーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
木製の柄100と、この柄100の先端部に組み付けられてこの柄100に直交する向きに延びる木製の長い頭部200とから構成されたコンクリートの打ち込み型枠の打撃用の木槌がある。(図4)かかる木槌は、型枠W内に打ち込まれたコンクリートMをこの型枠W内に行き渡らせるために、この打ち込みの過程において、この型枠Wの各所をその型外面側から叩くために用いられている。かかる木槌にあっては、その頭部200の長さによって、打撃時に型枠Wの外面側に配されたバタパイプWaや桟木WbやフォームタイWcなどの型枠構成材にその柄100が接触しないようになっている。(図3)
【0003】
しかるに、かかる木槌にあっては、その重量を大きくするのに限界があるため打撃時の衝撃力を大きくし難いものであった。このため、かかる木槌にあっては、型枠W内にコンクリートMを行き渡らせるために、型枠Wに対する打撃回数を減らし難いものであった。
【0004】
かかる木槌と同構成の金属製ハンマーを用いるとすると、重量は大きくできるがそれが過大となり過ぎて前記打撃操作が行い難くなってしまうと共に、型枠Wを構成する型枠パネルWdを打撃時に傷つけてしまうことが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のコンクリートの打ち込み型枠の打撃用ハンマーにおいて、その重量を効果的かつ不具合なく大きくできるようにして、その打撃時に型枠に作用される衝撃力を増加させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、コンクリートの打ち込み型枠打撃用ハンマーを以下の(1)〜(3)の構成を備えたものとした。
(1)柄部分と、この柄部分の先端部からこの柄部分に対し略直交する向きに延びる分枝部分とを備えた金属製のハンマー主体と、
(2)このハンマー主体の分枝部分の先端部に取り外し可能に取り付けられるゴム又はプラスチック製のハンマーヘッドとを備えており、
(3)前記分枝部分によって、このハンマーヘッドの打撃面と柄部分との間に、コンクリートの打ち込み型枠の打撃時にこの型枠の型外面側に配されるバタパイプなどに柄部分を接触させることのない間隔が形成されている。
【0007】
型枠の型外面側には、バタパイプや桟木やフォームタイなどが配されるが、かかるハンマーにあっては前記分枝部分によってハンマーヘッドの打撃面と柄部分との間に前記間隔が形成されることから、ハンマーヘッドを型枠の型外面、典型的には型枠パネルの外面に叩きつける打撃操作にあたり柄部分がバタパイプなどに接触することがなく、この叩きつけを円滑に行うことができる。
【0008】
また、ハンマー主体は金属製であることから、ハンマーの重量を効果的に大きくさせることができ、打撃時の衝撃力を十分に確保することができる。これにより、型枠の打撃回数を木槌の場合に比し減らしても型枠内にコンクリートを行き渡らせることが可能とされる。
【0009】
その反面、ハンマーヘッド自体はゴム又はプラスチック製であることから、ハンマーを過度に重くすることがないと共に、打撃にあたり型枠を傷つけることがない。また、打撃面が摩耗などした場合には、ハンマーヘッドをハンマー主体から取り外し新規のハンマーヘッドと交換することで所期の状態のハンマーとすることができ、ランニングコストは低廉とされる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかるハンマーにあっては、金属製のハンマー主体の分枝部分によって打撃時に柄部分が型枠の型外面側に配されるバタパイプなどに接触することがないようにできると共に、その重量を効果的かつ不具合なく大きくさせることができ、その打撃時に型枠に作用される衝撃力は木槌の場合に比し大きくなることから、打撃回数を減少させることができる。ハンマーヘッドはゴム又はプラスチック製であるので、打撃にあたり型枠を傷つけることがなく、摩耗などしたときは取り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1ないし図3に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
なお、ここで図1は、実施の形態にかかるハンマーを、また、図2は、かかるハンマーを構成する各部品を分離させた状態で、それぞれ示している。また、図3は、かかるハンマーによる打撃対象となる型枠Wの要部を断面にして示している。
【0013】
この実施の形態にかかるハンマーは、コンクリートMの打ち込み型枠W内に打ち込まれたコンクリートMをこの型枠W内に行き渡らせるために、この打ち込みの過程において型枠Wを外側から叩くために用いられるものである。
【0014】
かかるハンマーは、ハンマー主体1と、ハンマーヘッド2とを備えている。
【0015】
ハンマー主体1は、金属によって構成されている。また、かかるハンマー主体1は、柄部分10と、この柄部分10の先端部10aからこの柄部分10に対し略直交する向きに延びる分枝部分11とを備えている。
【0016】
図示の例では、柄部分10は、太棒体10bによって構成されている。典型的には、直径2cm前後で長さ40cm前後の断面を円形とする金属棒によって、かかる柄部分10を構成させる。図示の例では、この柄部分10の基部からこの柄部分10の長さ方向略中程の位置までがグリップ部10cとされ、このグリップ部10cにおいては太棒体10bの外周部が軟質材10dで覆われている。この軟質材10dによって型枠Wを打撃した際の衝撃がそのまま使用者に伝わることがないようになっている。
【0017】
また、図示の例では、短寸の連結棒体10eの長さ方向略中央に形成されためくら穴10fに前記太棒体10bの一端を入れ込ませた状態で、この連結棒体10eと太棒体10bとを溶接させることにより、柄部分10の先端部10aを構成させている。
【0018】
一方、分枝部分11は、細棒体11aによって構成されている。典型的には、直径1cm前後で長さ15cm前後の断面を円形とする金属棒によって、かかる分枝部分11を構成させる。図示の例では、連結棒体10eの一端部に形成されためくら穴10gにこの細棒体11aの一端を入れ込ませた状態で、この連結棒体10eと細棒体11aとを溶接させることにより、柄部分10と分枝部分11とを一体化させてハンマー主体1を構成させている。
【0019】
図示の例では、かかる細棒体11aの他端部、つまり、分枝部分11の先端部の外周に、雄ねじ部11bが形成されている。また、この雄ねじ部11bにはナット11cがねじ付けられていると共に、このナット11cから先の細棒体11aの他端部にはリング11dが通されている。
【0020】
ハンマーヘッド2は、かかるハンマー主体1の分枝部分11の先端部に取り外し可能に取り付けられるものであり、ゴム又はプラスチックによって構成されている。
【0021】
図示の例では、かかるハンマーヘッド2は円柱状をなすように構成されている。これとは別に、かかるハンマーヘッド2は例えば四角柱などの多角柱状をなすように構成させておくこともできる。
【0022】
かかるハンマーヘッド2には、その一端面の略中央に穴口を開設させるようにして雌ねじ穴20が形成されており、分枝部分11の先端部に形成された雄ねじ部11bをこの雌ねじ穴20に入れ込み、ハンマーヘッド2の前記一端面が前記リング11dを介して前記ナット11cに突き当たる位置までねじ付けることにより、ハンマー主体1にハンマーヘッド2を取り外し可能に取り付けることができるようになっている。このように取り付けられたハンマーヘッド2の他端面が打撃面21となる。
【0023】
そして、この実施の形態にあっては、前記ハンマー主体1の分枝部分11によって、かかるハンマーヘッド2の打撃面21と柄部分10との間に、コンクリート型枠Wの打撃時にコンクリート型枠Wの型外面側に配されるバタパイプWaなどに柄部分10を接触させることのない間隔xが形成されるようになっている。
【0024】
かかる間隔は、典型的には、20cm前後に設定させる。また、ハンマー全体の重量は、典型的には、700g〜1kgに設定される。
【0025】
型枠Wの型外面側には、バタパイプWaや桟木WbやフォームタイWcなどが配されるが、(図3)この実施の形態にかかるハンマーにあっては前記分枝部分11によってハンマーヘッド2の打撃面21と柄部分10との間に前記間隔xが形成されることから、ハンマーヘッド2を型枠Wの型外面、典型的には型枠パネルWdの外面に叩きつける打撃操作にあたり柄部分10がバタパイプWaなどに接触することがなく、この叩きつけを円滑に行うことができる。
【0026】
また、ハンマー主体1は金属製であることから、ハンマーの重量を効果的に大きくさせることができ、打撃時の衝撃力を十分に確保することができる。これにより、型枠Wの打撃回数を木槌の場合に比し減らしても型枠W内にコンクリートMを行き渡らせることが可能とされる。
【0027】
その反面、ハンマーヘッド2自体はゴム又はプラスチック製であることから、ハンマーを過度に重くすることがないと共に、打撃にあたり型枠Wを傷つけることがない。また、打撃面21が摩耗などした場合には、ハンマーヘッド2をハンマー主体1から取り外し新規のハンマーヘッド2と交換することで所期の状態のハンマーとすることができ、ランニングコストは低廉とされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ハンマーの斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】型枠Wの要部断面図
【図4】従来のハンマーの斜視図
【符号の説明】
【0029】
1 ハンマー主体
10 柄部分
10a 先端部
11 分枝部分
2 ハンマーヘッド
21 打撃面
W 型枠
Wa バタパイプ
M コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部分と、この柄部分の先端部からこの柄部分に対し略直交する向きに延びる分枝部分とを備えた金属製のハンマー主体と、
このハンマー主体の分枝部分の先端部に取り外し可能に取り付けられるゴム又はプラスチック製のハンマーヘッドとを備えており、
前記分枝部分によって、このハンマーヘッドの打撃面と柄部分との間に、コンクリートの打ち込み型枠の打撃時にこの型枠の型外面側に配されるバタパイプなどに柄部分を接触させることのない間隔が形成されていることを特徴とするコンクリートの打ち込み型枠打撃用ハンマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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