説明

コンクリート締め固め作業用の補助装置

【課題】バイブレーターの振動による作業者の負担を軽減することが可能なコンクリート締め固め作業用の補助装置を提供することを目的とする。
【解決手段】バイブレーター本体2が設けられたコード3を、繰り出し・巻き取り可能に保持するリール手段は、コード3を挟む主回転軸10および補助回転軸11と、主回転軸10を回転させるためのレバー12とを有しており、リール手段が先端に設けられるアーム部20,20は、バイブレーター本体2からハンドル部30への振動を減衰する振動減衰手段22を有するコンクリート締め固め作業用の補助装置1。これにより、作業者は、コンクリートの締め固め作業中においてコードに触れずに作業を行うことができるとともに、振動減衰手段によって、バイブレーター本体からハンドル部への振動を確実に減衰できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイブレーターによってコンクリートを締め固める際に用いる補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場において打設されたコンクリートの締め固めにコンクリート締め固め用のバイブレーターが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなバイブレーターによる締め固め作業は、作業者が鞘管の後端側を把持し、打設された生コンクリートの任意位置にバイブレーター本体を差し込み、このバイブレーター本体の振動により生コンクリート中の水や気泡を外部に抜き出すことによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−158651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の技術では、作業者がバイブレーター本体に連結された鞘管を把持しながら締め固め作業を行うので、バイブレーター本体からの伝達振動を腕に受けながら作業しなければならず、作業が重労働になりがちになるため、作業条件の改善が望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、バイブレーターの振動による作業者の負担を軽減することが可能なコンクリート締め固め作業用の補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、コンクリート締め固め作業用の補助装置であって、生コンクリート内で振動するバイブレーター本体が設けられたコードを、繰り出し・巻き取り可能に保持するリール手段と、このリール手段が先端に設けられるアーム部と、このアーム部と一体形成されるハンドル部と、このハンドル部に取り付けられるとともに、作業者の身体に装着されるベルト部とを備えており、
前記リール手段は、前記コードを挟んでその一方に配置されて、前記コードの外周面の一方に当接する主回転軸と、他方に配置されて、前記コードの外周面の他方に当接して押さえとなる補助回転軸と、前記主回転軸と連結されるとともに、この主回転軸を回転させるためのレバーとを有しており、
前記アーム部は、前記主回転軸を回転自在に保持する保持部と、前記バイブレーター本体からハンドル部への振動を減衰する振動減衰手段とを有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置において、前記補助回転軸は、前記アーム部に、前記主回転軸から所定間隔離間して配置されるとともに回転自在に保持されており、
このアーム部は、前記補助回転軸を、前記主回転軸に向かって付勢する付勢手段を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置において、前記レバーの基端部には、前記主回転軸と同軸上に配置されるとともに、この主回転軸と連結されるギア部と、このギア部に係合するとともに、このギア部の回転方向を正逆切替可能に制御する爪部とを有するラチェット機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置において、前記アーム部の保持部には、前記コードを、このコードの長さ方向に沿って支持するガイドプレートが設けられており、
前記主回転軸の外周面は、このガイドプレートの上面よりも上方に突出していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置において、前記主回転軸および補助回転軸のうち、少なくとも主回転軸の外周面には、軸方向および周方向に沿って、前記コードの外周面に当接する突部が複数設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リール手段は、コードを挟んでその一方に配置されて、コードの外周面の一方に当接する主回転軸と、他方に配置されて、コードの外周面の他方に当接して押さえとなる補助回転軸と、主回転軸と連結されるとともに、この主回転軸を回転させるためのレバーとを有しているので、主回転軸と補助回転軸との間にコードを挟み、補助回転軸を押さえとしながら主回転軸をレバーの操作によって回転させることで、コードの繰り出し・巻き取りを確実かつ容易に行うことができる。
また、作業者は、ベルト部を身体に装着するとともに、ハンドルを把持し、さらに、レバーを操作することによって主回転軸を回転させて、コードの繰り出し・巻き取りを行うことができるので、コンクリートの締め固め作業中においてコードに触れずに作業を行うことができる。
さらに、アーム部は、バイブレーター本体からハンドル部への振動を減衰する振動減衰手段とを有しているので、この振動減衰手段によって、バイブレーター本体からハンドル部への振動を確実に減衰することができる。
これによって、バイブレーター本体からの振動が作業者の身体へと伝わりにくくなるので、コンクリートの締め固め作業中において、バイブレーターの振動による作業者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のコンクリート締め固め作業用の補助装置を示す斜視図である。
【図2】図1のコンクリート締め固め作業用の補助装置の主要部付近を示す拡大図である。
【図3】図1のコンクリート締め固め作業用の補助装置の主要部付近を示す拡大断面図である。
【図4】主回転軸、補助回転軸の外周面の実施形態であり、(a)は山谷状の突部を設けた外周面の形態を示す概略図であり、(b)は突起状の突部を設けた外周面の形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、先端にバイブレーター本体2が設けられたコード3を把持しながら、バイブレーター本体2を生コンクリート内に挿入して、生コンクリートの締め固め作業を行う、コンクリート締め固め作業用の補助装置1を示している。
【0015】
本実施の形態の補助装置1は、前記コード3を、繰り出し・巻き取り可能に保持するリール手段と、このリール手段が先端に設けられるアーム部20,20と、このアーム部20,20と一体形成されるハンドル部30と、このハンドル部30に取り付けられるとともに、作業者の身体に装着されるベルト部40とを備えている。
【0016】
ここで、前記バイブレーター本体2の内部には、図示はしないが、振動錘と、この振動錘を偏心回転駆動する小型振動モータとが内蔵されている。また、その大きさや形状は適宜変更可能である。
また、前記コード3は、可撓性を有するものであり、その内部には、図示はしないが、前記小型振動モータへの電力を供給するための供給ケーブルが内蔵されている。さらに、このコード3は生コンクリート内に挿入されるものであるため、耐久性等に優れている。
【0017】
一方、前記リール手段は、図1〜図3に示すように、前記コード3を挟んでその一方に配置されて、前記コード3の外周面の一方に当接する主回転軸10と、他方に配置されて、前記コード3の外周面の他方に当接して押さえとなる補助回転軸11と、前記主回転軸10と連結されるとともに、この主回転軸10を回転させるためのレバー12とを有している。
【0018】
また、前記アーム部20,20は一対で用いられており、前記主回転軸10を回転自在に保持する保持部21,21と、前記バイブレーター本体2からハンドル部30への振動を減衰する振動減衰手段22,22と、前記補助回転軸11を、前記主回転軸10に向かって付勢する付勢手段23とを有している。
なお、前記保持部21,21は環状に形成されており、これら一対の保持部20同士は、互いに孔同士が対向した状態となっている。
【0019】
前記主回転軸10は、前記保持部21,21によって、前記アーム部20,20の先端に回転自在に保持されている。
すなわち、図2に示すように、前記環状に形成された保持部21,21の対向する孔の双方に挿通された状態となっている。
【0020】
前記補助回転軸11は、前記アーム部20,20に、前記主回転軸10から所定間隔離間して配置されるとともに回転自在に保持されている。
すなわち、この補助回転軸11は、前記付勢手段23が備える保持部23eによって回転自在に保持されている。
【0021】
なお、前記付勢手段23は、前記アーム部20,20に固定される板状の固定部23aと、この固定部23aのリール手段側の面の中央に固定されるとともに、例えばコイルバネ等の弾性体23cを内蔵するケーシング23bと、このケーシング23bに摺動可能に挿入されるとともに前記弾性体23cと連結するロッド23dと、このロッド23dの先端に固定される前記保持部23eと、この保持部23eを前記アーム部20,20の長さ方向に沿って摺動可能に保持するレール部23g,23gとを備えている。
そして、このような付勢手段23の保持部23eによって前記補助回転軸11を保持できるので、この補助回転軸11を、前記アーム部20,20の長さ方向に沿って前記主回転軸10に向かって確実に付勢することができる。
また、前記補助回転軸11を前記主回転軸10側と反対の方向に摺動させて、前記主回転軸10と補助回転軸11との間隔を広げることによって、これら主回転軸10と補助回転軸11との間に前記コード3を挟み込んだり、抜き取ったりする作業を容易に行うことができる。
【0022】
また、前記弾性体23cの弾性強度は、前記主回転軸10と補助回転軸11とで前記コード3を挟んで、このコード3の繰り出し・巻き取り作業を行う際に、前記コード3を確実かつ円滑に繰り出したり、巻き取ったりできる程度に設定されている。
【0023】
さらに、前記レール部23g,23gは、図2および図3に示すように、前記保持部23eの両端部に設けられるフランジ部23f,23fが摺動可能に係合するレール溝23hをそれぞれ備えており、このレール溝23hは、前記アーム部20,20の長さ方向に沿って長尺に形成されている。
【0024】
一方、前記レバー12は、上述のように前記主回転軸10に連結されている。
また、本実施の形態のレバー12の基端部には、図1および図2に示すように、前記主回転軸10と同軸上に配置されるとともに、この主回転軸10と連結されるギア部13aと、このギア部13aに係合するとともに、このギア部13aの回転方向を正逆切替可能に制御する爪部13bとを有するラチェット機構13が設けられている。
【0025】
なお、前記ギア部13aは、図2に示すように、このギア部13aと前記主回転軸10とを連結する連結軸10aを介して、前記主回転軸10と連結されている。
また、このレバー12は、2枚の長尺な鋼板を対向して設け、この2枚の鋼板の間に前記ラチェット機構13が組み込まれる構成となっている。
【0026】
したがって、前記レバー12を、一方向に傾けてから他方向に戻したり、他方向に傾けてから一方向に戻したりするような動作をすることで、前記ギア部13aと主回転軸10とを一方向または他方向に回転させることができる。
この時、例えば、前記レバー12を一方向に傾ける際に、前記爪部13bが前記ギア部13aに係合している状態だとすると、この爪部13bは、前記レバー12を他方向へと戻した際に、前記ギア部13aへの係合状態が解除されるようになる。
つまり、前記主回転軸10を回転させて前記コード3を繰り出したり、巻き取ったりする際は、前記レバー12を一方向に傾けてから他方向に戻したり、他方向に傾けてから一方向に戻したりするような動作を複数回往復して行うことによって可能となっている。
【0027】
また、このラチェット機構13は、前記爪部13bの前記ギア部13aへの係合状態を切り替えることで、前記ギア部13aの回転方向を正逆切替できるようになっている。
すなわち、前記爪部13bは、図2に示すように、この爪部13bを前記レバー12に対して回転可能に支持する軸部13cによって軸支されている。また、図示はしないが、前記爪部13bは、前記軸部13c付近から前記ギア部13aに向かって枝分かれした略Y字状に形成されている。
【0028】
さらに、この爪部13bの上端部には、図示しない板バネが係合しており、この板バネの弾性力によって、前記爪部13bのY字のいずれかの先端部を前記ギア部13aに係合させた状態を維持できるようになっている。
なお、この板バネは、図2に示すように、前記レバー12を構成する2枚の鋼板の側縁部間に設けられるプレート13eによって動作範囲が設定されているので、板バネが前記爪部13bの上端部から外れてしまうことを防ぐことができ、前記爪部13bの前記ギア部13aへの係合状態が解除されることを防げるようになっている。
【0029】
また、前記爪部13bは、前記軸部13cよりも上方に、該爪部13bの前記ギア部13aへの係合状態を切り替えるための切替ツマミ13eを備えている。すなわち、この切替ツマミ13eをつまんで、前記爪部13bを回転させることによって、前記板バネの弾性方向が切り替わるとともに、前記爪部13bの先端部のいずれかが前記ギア部13aに係合するようになっている。
なお、この切替ツマミ13eは、前記レバー12を構成する鋼板の一部に形成された開口部(図示せず)から外側へと突出しており、作業者がつまみやすくなっている。
【0030】
なお、本実施の形態では、前記レバー12の基端部にラチェット機構13を設けるものとしたが、例えば、単に前記主回転軸10を正逆方向に回転させるだけの構成としてもよいものとする。
【0031】
一方、前記アーム部20,20の振動減衰手段22,22は、前記ハンドル部30と一体形成される2本のロッド22a,22aと、これらロッド22a,22aと連結するとともに該ロッド22a,22aを、前記アーム部20,20の長さ方向に沿って弾性的に上下往復動させる弾性体(図示せず)と、この弾性体を内蔵するとともに前記ロッド22a,22aの端部が摺動可能に挿入されるケーシング22b,22bとを備えている。
また、これらケーシング22b,22bは前記アーム部20,20の保持部21,21と接合されている。さらに、これらケーシング22b,22b間に前記付勢手段23が設けられている。
【0032】
このような振動減衰手段22,22によれば、前記ロッド22a,22aが、前記弾性体を介して前記ケーシング22b,22bに摺動可能に挿入されているので、前記弾性体の弾性力によって、前記バイブレーター本体2からハンドル部30への振動を確実に減衰することができる。
【0033】
また、前記アーム部20,20の保持部21,21には、図1および図3に示すように、前記コード3を、このコード3の長さ方向に沿って支持するガイドプレート50が設けられている。このガイドプレート50は、上方に向かって膨らんだ弧を描くようにして湾曲している。
【0034】
さらに、このガイドプレート50は、前記保持部21,21付近、すなわち前記主回転軸10の付近に開口部51を備えている。そして、図3に示すように、この開口部51の内側に前記主回転軸10が配置された状態となっており、前記主回転軸10とガイドプレート50との接触を防げるようになっている。
また、前記主回転軸10の外周面は、このガイドプレート50の上面よりも上方に突出している。これにより、前記主回転軸10の外周面が前記コード3に確実に当接することになるので、前記主回転軸10の回転による前記コード3の繰り出し・巻き取りが前記ガイドプレート50によって妨げられることがない。
【0035】
また、前記ガイドプレート50の後端には、図1に示すように、半円金具52が設けられており、この半円金具52と前記ハンドル部30との間には吊り紐53が張設されている。これにより、前記ガイドプレーと50の後端部分を、作業者の身体に近い前記ハンドル部30によって支持できるので、前記ガイドプレート50による前記コード3の支持状態をより安定的なものにできる。
【0036】
前記ハンドル部30は、前記アーム部20,20の2本のロッド22a,22aと一体形成されるとともに、縦横に複数回折り曲げられた棒状部材が用いられている。このハンドル部30の端部を作業者が把持できるようになっている。
また、前記ベルト部40は、前記ハンドル部30に取り付けられており、作業者の腰や肩などに装着できるようになっている。
【0037】
なお、前記主回転軸10の回転によって、前記コード3をより確実かつ効率良く繰り出したり、巻き取ったりする手段として、前記主回転軸10および補助回転軸11のうち、少なくとも主回転軸10の外周面に、軸方向および周方向に沿って、前記コード3の外周面に当接する突部10b,10c(11b,11c)を複数設けるようにしてもよい。
すなわち、図4(a)に示すように、前記主回転軸10(11)の外周面に、山谷状の突部10b(11b)を設けるようにしてもよいし、図4(b)に示すように、柱状の突部10b(11c)を設けるようにしてもよい。
これによって、前記主回転軸10と補助回転軸11とによって前記コード3を挟む際の摩擦力が向上するので、前記コード3をより確実かつ効率良く繰り出したり、巻き取ったりすることができる。
【0038】
その他にも、例えば前記主回転軸10の直径を大きくすることによって、前記コード3の繰り出し長さ・巻き取り長さを長くしたり、前記ラチェット機構13のギア部13aに複数の大きさの異なる歯車等を噛ませることによって前記主回転軸10の回転効率を高めるようにしてもよい。
【0039】
次に、前記補助装置1を用いて、生コンクリートを締め固める際の手順について説明する。
【0040】
まず、作業者の身体に前記ベルト部40を装着する。
続いて、前記主回転軸10に向かって付勢されている補助回転軸11を、前記主回転軸とは反対の方向に戻して、前記バイブレーター本体2およびコード3を、前記主回転軸10と補助回転軸11との間を挿通させる。
この時、前記コード3を必要長さ分、繰り出しておき、必要長さとなったら、再び前記補助回転軸11を前記主回転軸10に向かって付勢させて、前記主回転軸10と補助回転軸11との間に前記コード3を挟み込む。
【0041】
続いて、前記バイブレーター本体2を、生コンクリートの任意位置に差し込み、図示しない電源スイッチをONにして、前記バイブレーター本体2を振動させる。
この時、作業者は、一方の手で前記ハンドル部30を把持するとともに、前記レバー12を他方の手で把持し、身体とコード3とが接触しないようにする。
前記バイブレーター本体2からの振動は、このように身体とコード3が接触しないだけでも作業者の負担を軽減できるが、前記振動減衰手段22によって振動を確実かつ効率良く減衰できるので、作業者の負担をより軽減できる。
【0042】
一定時間締め固めた後、前記レバー12を操作して前記コード3を巻き取って、生コンクリート内から前記バイブレーター本体2を引き抜き、さらに位置を変えて生コンクリート内に挿入する。挿入する際は、前記レバー12を操作して前記コード3を繰り出すようにする。このような作業を繰り返すことで、生コンクリートを締め固めることができるようになっている。
このようにバイブレーター本体2の抜き差しを繰り返す際も、前記コード3と身体とが接触しないので、作業者の負担を確実に軽減できる。
【0043】
なお、前記バイブレーター本体2を生コンクリート中で振動させることで、生コンクリート中の水や気泡を外部に抜き出すことができるので、生コンクリートを締め固めることができるようになっている。
生コンクリートの締め固め作業が終了したら、電源スイッチをOFFにして前記バイブレーター本体2の振動を止めて、前記レバー12を操作して前記バイブレーター本体2を生コンクリート内から引き出す。
【0044】
本実施の形態によれば、前記リール手段は、前記コード3を挟む主回転軸10および補助回転軸11と、前記主回転軸10を回転させるためのレバー12とを有しているので、前記主回転軸10と補助回転軸11との間に前記コード3を挟み、前記補助回転軸11を押さえとしながら主回転軸10をレバー12の操作によって回転させることで、前記コード3の繰り出し・巻き取りを確実かつ容易に行うことができる。
また、作業者は、前記ベルト部40を身体に装着するとともに、前記ハンドル30を把持し、さらに、前記レバー12を操作することによって主回転軸10を回転させて、前記コード3の繰り出し・巻き取りを行うことができるので、コンクリートの締め固め作業中において前記コード3に触れずに作業を行うことができる。
さらに、前記アーム部20,20は、前記バイブレーター本体2からハンドル部30への振動を減衰する振動減衰手段22,22とを有しているので、この振動減衰手段22,22によって、前記バイブレーター本体2からハンドル部30への振動を確実に減衰することができる。
これによって、前記バイブレーター本体2からの振動が作業者の身体へと伝わりにくくなるので、コンクリートの締め固め作業中において、バイブレーターの振動による作業者の負担を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 補助装置
2 バイブレーター本体
3 コード
10 主回転軸
11 補助回転軸
12 レバー
13 ラチェット機構
20 アーム部
22 振動減衰手段
23 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート内で振動するバイブレーター本体が設けられたコードを、繰り出し・巻き取り可能に保持するリール手段と、このリール手段が先端に設けられるアーム部と、このアーム部と一体形成されるハンドル部と、このハンドル部に取り付けられるとともに、作業者の身体に装着されるベルト部とを備えており、
前記リール手段は、前記コードを挟んでその一方に配置されて、前記コードの外周面の一方に当接する主回転軸と、他方に配置されて、前記コードの外周面の他方に当接して押さえとなる補助回転軸と、前記主回転軸と連結されるとともに、この主回転軸を回転させるためのレバーとを有しており、
前記アーム部は、前記主回転軸を回転自在に保持する保持部と、前記バイブレーター本体からハンドル部への振動を減衰する振動減衰手段とを有していることを特徴とするコンクリート締め固め作業用の補助装置。
【請求項2】
前記補助回転軸は、前記アーム部に、前記主回転軸から所定間隔離間して配置されるとともに回転自在に保持されており、
このアーム部は、前記補助回転軸を、前記主回転軸に向かって付勢する付勢手段を有していることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置。
【請求項3】
前記レバーの基端部には、前記主回転軸と同軸上に配置されるとともに、この主回転軸と連結されるギア部と、このギア部に係合するとともに、このギア部の回転方向を正逆切替可能に制御する爪部とを有するラチェット機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置。
【請求項4】
前記アーム部の保持部には、前記コードを、このコードの長さ方向に沿って支持するガイドプレートが設けられており、
前記主回転軸の外周面は、このガイドプレートの上面よりも上方に突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置。
【請求項5】
前記主回転軸および補助回転軸のうち、少なくとも主回転軸の外周面には、軸方向および周方向に沿って、前記コードの外周面に当接する突部が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンクリート締め固め作業用の補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−236298(P2010−236298A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86594(P2009−86594)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】