コンデンサ形計器用変圧器
【課題】コンデンサ形計器用変圧器の電圧検出精度を向上する。
【解決手段】主コンデンサ2回路と分圧コンデンサ3回路とを直列に接続し、この直列回路1の両端が入力端に導かれ、直列回路内の接続点4が出力端に導かれたコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側のコンデンサ(主コンデンサ2)として真空コンデンサを用い、低圧側のコンデンサ(分圧コンデンサ3)として、温度に対する静電容量変化率が正特性(温度が高くなるにつれ静電容量が増加する特性)のフィルムコンデンサと温度に対する静電容量変化率が負特性(温度が高くなるにつれ静電容量が減少する特性)のフィルムコンデンサと、を組み合わせて用いる。
【解決手段】主コンデンサ2回路と分圧コンデンサ3回路とを直列に接続し、この直列回路1の両端が入力端に導かれ、直列回路内の接続点4が出力端に導かれたコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側のコンデンサ(主コンデンサ2)として真空コンデンサを用い、低圧側のコンデンサ(分圧コンデンサ3)として、温度に対する静電容量変化率が正特性(温度が高くなるにつれ静電容量が増加する特性)のフィルムコンデンサと温度に対する静電容量変化率が負特性(温度が高くなるにつれ静電容量が減少する特性)のフィルムコンデンサと、を組み合わせて用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出用コンデンサ形計器用変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
計器用変圧器として、電磁形計器用変圧器とコンデンサ形計器用変圧器(CVT:Capacitor Voltage Transformer)が知られている。
【0003】
電磁形計器用変圧器は、主として一次巻き線、二次巻き線及び鉄心で構成され、高圧線路の一次電圧を巻き線比に比例した二次電圧に変成するように構成されている。また、巻き戻しという工程を入れることにより正確な変圧比(比誤差精度)を実現している。電磁形計器用変圧器は、比誤差が1%以内(確度階級1級)の正確な変圧比を実現していることから、回路電圧としては全電圧範囲で使用されている。
【0004】
一方、コンデンサ形計器用変圧器は、例えば、一次線路側端子と分圧点との間の主コンデンサと、分圧点と接地側端子との間の分圧コンデンサから構成される。そして、コンデンサ形計器用変圧器には、分圧コンンデンサに直接または共振リアクトルを通して並列に電圧検出回路が接続されて分圧コンデンサの分担電圧を計測し、この分担電圧より、一次線路側端子の電圧が得られるように構成されている。
【0005】
このコンデンサ形計器用変圧器は、電圧階級としては 高電圧(66kV〜550kV)の領域で主に使用され、 例えば、ブッシング用コンデンサ形計器用変圧器が一般的である。ブッシング用のコンデンサ形計器用変圧器は、変圧器の一次線路側端子に使用される樹脂含浸絶縁紙やエポキシ等の固体絶縁体及び絶縁油等により構成されるコンデンサブッシングを主コンデンサとして利用している。
【0006】
また、ブッシング用以外のコンデンサ形計器用変圧器としては、主コンデンサと分圧コンデンサにフィルムコンデンサを用いた形態や、主コンデンサと分圧コンデンサの両方にセラミックコンデンサを用いた形態(例えば、特許文献1)がある。また、セラミックコンデンサとフィルムコンデンサとを組み合わせたコンデンサ回路を用いたコンデンサ形計器用変圧器(例えば、特許文献2〜5)や、真空コンデンサを用いたコンデンサ形計器用変圧器(例えば、特許文献6)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−115833号公報
【特許文献2】特開平08−115832号公報
【特許文献3】特開2007−205785号公報
【特許文献4】特開2007−205786号公報
【特許文献5】特開2003−215167号公報
【特許文献6】特開平10−031037号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「計器用変成器」JEC−1201−2007、株式会社 電気書院、2007年、p.75−76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電磁形計器用変圧器は、一次線路側の電力系統から雷サージや開閉サージといった立ち上がりが急峻なサージ電圧が一次巻き線側に加わった場合、一次巻き線の絶縁層に過大な電圧が分担され、絶縁破壊・焼損に至るおそれがある。
【0010】
また、コンデンサ形計器用変圧器では、コンデンサ形計器用変圧器を構成する樹脂含浸絶縁紙やエポキシ等固体絶縁及び絶縁油等の誘電体の誘電率が、温度や水分、さらには気圧等の変動に応じて変動する。このように、誘電率が安定しないとコンデンサ形計器用変圧器で検出される電圧も不安定となる。検出電圧が不安定であると、計器用変圧器としての確度階級が低くなり、測定対象となる配電線等の電力機器に適用した場合、正確な保護・計測が困難となってしまうおそれがある。また、一般的にセラミックコンデンサの静電容量は、印加電圧に対して非線形に変化する特性がある。ゆえに、主コンデンサにセラミックコンデンサを用いると、コンデンサ形計器用変圧器の一次線路側端子に印加される電圧変動に対する検出電圧の変動幅が大きい。そのため、コンデンサ形計器用変圧器においては変圧比(比誤差精度)が±1%以内のものは得られていない。
【0011】
すなわち、主コンデンサとして用いられるコンデンサの静電容量が、温度変化やコンデンサに印加される電圧の変化に対して不安定であると、検出電圧の精度が低下するので、そのようなコンデンサを用いたコンデンサ形計器用変圧器は、センサとしての役目を果たすことができない。なお、コンデンサ形計器用変圧器の主コンデンサにセラミックコンデンサやフィルムコンデンサを用いた場合、雷サージや開閉サージにより短絡した場合に、誘電体が焼損してしまい絶縁性能が大幅に変化してしまうという問題もある。
【0012】
本発明の目的は、コンデンサ形計器用変圧器において、電磁形計器用変圧器と同様に一次線路側電圧変動に対しても正確な変圧比(比誤差精度1.0級)を実現し、かつ電磁形計器用変圧器の問題点となる絶縁破壊による焼損がない安全性の高い計器用変圧器を提供することに貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、第1のコンデンサ回路(高圧側コンデンサ)と第2のコンデンサ回路(低圧側コンデンサ)を直列に接続して構成されるコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側コンデンサに真空コンデンサを用いることを特徴とする。そして、低圧側コンデンサとして、温度変化に対して静電容量が増加するフィルムコンデンサと温度に対して静電容量が減少するフィルムコンデンサとを組み合わせた回路を用いることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とすることを特徴としている。
【0015】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記真空コンデンサの静電容量が30pF以上300pF以下であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記低圧側コンデンサの静電容量を、前記高圧側コンデンサの静電容量の5000倍以上とすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、第1のコンデンサ回路(高圧側コンデンサ)と第2のコンデンサ回路(低圧側コンデンサ)を直列に接続して構成されるコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側コンデンサ、及び低圧側コンデンサに真空コンデンサを用いることを特徴としている。そして、前記高圧側コンデンサとして備えられる真空コンデンサの電極間距離が5mm以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
以上の発明によれば、コンデンサ形計器用変圧器の電圧検出精度の向上、及び絶縁破壊による焼損に対する安全性の向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器のコンデンサ回路の説明図である。
【図2】周囲温度の変化に対するフィルムコンデンサの静電容量の変化率を示す図である。
【図3】周囲温度の変化に対するフィルムコンデンサを組み合わせて構成されるコンデンサ回路の静電容量の変化率を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器の周囲温度の変化に対する分圧コンデンサの分担電圧の変化量を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器へ入力される電圧変動に対する分圧コンデンサの分担電圧検出誤差の変化量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器について、図を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器のコンデンサ回路1は、高電圧を分担する主コンデンサ2(高圧側コンデンサ)と低電圧を分担する分圧コンデンサ3(低圧側コンデンサ)が直列に接続されて直列回路1が構成される。この直列回路1の両端は入力端に導かれ、直列回路1内の接続点4(分圧点)が出力端に導かれる。なお、各コンデンサ2、3は、少なくとも1つのコンデンサを含むコンデンサ回路により構成される。
【0022】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、この直列回路1において、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いることを特徴としている。絶縁媒体を真空としている真空コンデンサは、真空インタラプタと同様に絶緑性能が極めて優れている。そして、主コンデンサ2がインパルス(例えば、雷サージや開閉サージ等)耐電圧を有する真空コンデンサとなるように真空コンデンサの電極間距離を適正な値とする。例えば、真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とすると、150kVの雷サージや開閉サージに耐えることができる。
【0023】
図1に示す直列回路1において、一次線路側端子電圧Vaを主コンデンサ2(静電容量をC1とする)と分圧コンデンサ3(静電容量をC2とする)で分圧した時の、分圧コンデンサ3の両端電圧Vは、(1)式で示される。
【0024】
V=C1/(C1+C2)Va …(1)
したがって、検出されるべき一次線路側電圧Vaが入力されると、この電圧Vaは主コンデンサ2の静電容量と分圧コンデンサ3の静電容量の比に応じて分圧され、分圧コンデンサ3の分担電圧Vが出力端に出力される。この分圧コンデンサ3の分担電圧Vに基づいて、一次線路側電圧Vaの検出を行うことができる。
【0025】
計器用変圧器は、比誤差及び位相角、周波数特性を満足することは当然ながら、定格の一つである雷インパルス試験電圧も満足しなければならない。例えば、公称電圧22kVに形計器用変圧器を適用する場合、非接地形及び接地形計器用変圧器は150kVのインパルス耐電圧を有さなければならない。避雷器などの保護装置によって過電圧が低いレベルに抑制された場合、あるいは雷過電圧浸入頻度・過電圧レベルが小さい場合は125kV、高性能化を図った避雷器を設置する場合でも100kVのインパルス耐電圧を有さなければならない(例えば、非特許文献1)。
【0026】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いているので、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧が加わった場合、そのサージ電圧に耐えることができる。また、真空コンデンサは絶緑媒体を真空としていることから、万が一短絡が発生したとしても、焼損に至る問題は生じない。
【0027】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器に備えられる真空コンデンサは、例えば、ステンレスからなる1対の電極を対向させて配置し、この電極間を真空状態にすることにより構成される。電極間を真空状態にすることで、大気中の10倍以上の絶縁性能を得ることができる。ここでいう真空状態とは、大気中と比べて気体分子密度が極めて小さい状態を意味する。例えば、後述の実施例で用いた真空コンデンサは、気体分子密度が2.7×1010個/cm3である(大気圧中での気体分子密度は2.7×1019個/cm3である)。
【0028】
真空コンデンサを構成する電極の材質は特に限定されるものではなく、真空コンデンサは、真空度、電極間距離、電極面積を制御することにより所定の静電容量となるように構成される。また、この真空コンデンサとして静電容量を変更できる可変真空コンデンサを用いて、回路に応じてコンデンサの静電容量を調節できるようにしてもよい。
【0029】
以下、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器について、図1〜5を参照して詳細に説明する。
【0030】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器は、図1に示す回路において、主コンデンサ2に真空コンデンサを用い、分圧コンデンサ3にフィルムコンデンサを用いて構成される。
【0031】
真空コンデンサは、温度変動や電圧変動に対して、静電容量の変化が少ない(静電容量安定性が高い)。よって、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いることで、温度変動や一次線路側電圧変動に対して主コンデンサ2の静電容量安定性を高くすることができる。そして、この真空コンデンサの静電容量安定性のメリットを最大限に活かすためには、分圧コンデンサ3にも真空コンデンサとほぼ同等の温度変動や電圧変動に対する静電容量安定性が求められる。
【0032】
そこで、本実施形態では、分圧コンデンサ3に印加電圧の電圧変動に対する変動幅がセラミックコンデンサと比較して小さく、しかも静電容量が1μF程度の大容量を有し、雷サージや開閉サージ等のサージ電圧に対して数十Vの耐電圧を有するコンデンサであるフィルムコンデンサを用いた。
【0033】
図2示すように、フィルムコンデンサの周囲温度に対する静電容量安定性は、フィルムコンデンサを構成する誘電体材料に依存する。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、マイカを用いたフィルムコンデンサの温度に対する静電容量変化は、正特性(温度が高くなるにつれ静電容量が増加する特性)である。一方、誘電体材料にポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いたフィルムコンデンサの温度に対する静電容量の変化は、負特性(温度が高くなるにつれ静電容量が減少する特性)である。
【0034】
フィ ルムコンデンサは、電圧変動に対する静電容量安定性は高い。しかしながら、図2に示すように、汎用のフィルムコンデンサは、−20℃〜80℃の温度領域において静電容量が±2%程度変化する。したがって、単に分圧コンデンサに汎用のフィルム コンデンサを用いた場合、主コンデンサに真空コンデンサを用いたとしてとしても分圧コンデンサの検出感度の変動幅を±1%(確度階級1級)以内とすることは難しい。
【0035】
そこで、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器では、周囲温度に対する静電容量の変化が正特性のフィルムコンデンサと静電容量が負特性のフィルムコンデンサを直列、または並列、若しくは直列と並列を組み合わせて回路を構成している。このように正特性のコンデンサと負特性のコンデンサとを組み合わせて分圧コンデンサの回路を構成することにより、分圧コンデンサ全体としての静電容量の温度変動を小さくできる。
【0036】
(1)式で示すように、主コンデンサ2(静電容量C1)と分圧コンデンサ3(静電容量C2)で分圧した時の分圧コンデンサ3の両端電圧Vは、主コンデンサ2の静電容量C1に対して分圧コンデンサ3の静電容量C2を大きくすれば大きくするほど分圧コンデンサ3の分担電圧Vを小さくすることができる。例えば、一次側端子電圧Vaが22/√3kVの場合、C1を100pFとしてC2を1μFとすれば、分圧コンデンサ3の分担電圧は1.27Vとなる。また、一次側端子に150kVの雷インパルスが侵入した場合、150kVの雷インパルスに対する分圧コンデンサの電圧分担は15.0Vと極めて低い電圧となり、主コンデンサ2が150kVのほとんどの電圧を分担することになる。
【0037】
すなわち、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧に耐えることができる真空コンデンサを主コンデンサ2に用いることで、分圧コンデンサ3に雷サージや開閉サージに対する耐電圧が小さいコンデンサを使用することができる。そして、静電容量の温 度変動が小さくなるように設計された分圧コンデンサ3と、 静電容量の温度変化が極めて小さい真空コンデンサ を備えた主コンデンサ2とを組み合わせることにより、温度特性に優れたコンデンサ形計器用変圧器を構成することができる。
【0038】
(実施例1)
図3は、−20℃〜80℃の範囲でフィルムコンデンサの周囲温度を変化させた場合における、フィルムコンデンサの静電容量変化率を示したものである。測定対象のフィルムコンデンサ回路として、静電容量が0.22μFのポリエチレンテレフタレート(PET)と静電容量が0.22μFポリプロピレン(PP)のフィルムコンデンサを単独で用いた回路、PETとPPを直列に接続して合成容量を0.11μFとしたコンデンサ回路、PETとPPを並列に接続して合成容量を0.44μFとしたコンデンサ回路を用いた。20℃の時の静電容量を基準値とした場合、PET単体の静電容量変化率は、−20℃において−2.0%、80℃において1.3%程度変化した。同様にPP単体の静電容量変化率は、−20℃において0.8%、80℃において−1.6%程度変化した。一方、PETとPPを直列接続した場合、また並列接続した場合のフィルムコンデンサの静電容量変化率は、それぞれ−20℃において−0.6%、80℃において−0.1%程度の変化量に留まった。
【0039】
図3に示すように、フィルムコンデンサを単独で用いた場合には、フィルムコンデンサの周囲温度が変化することによりフィルムコンデンサの静電容量が大きく変動する。一方、正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサを組み合わせた場合には、フィルムコンデンサ回路の合成容量は周囲温度が変化しても大きく変化することがなかった。なお、正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサの組合せは、直列、並列、直列と並列の両方を含むいずれの組合せにおいても温度変化に対する静電容量の変化を抑制することができることを実験で確認した。
【0040】
(コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度に対する検出電圧の安定性)
本発明の実施例1に係るコンデンサ形計器用変圧器の検出電圧の周囲温度依存性について確認した。実施例1では、図1に示す回路において、主コンデンサ2を150kVのインパルス耐電圧を有し100pFの静電容量を持つ真空コンデンサとした。また、0.22μFのポリエチレンテレフタレート(PET)と0.22μFのポリプロピレン(PP)のフィルムコンデンサをそれぞれ2個用意し、この4個をすべて並列接続し合成容量を0.88μFとしたものを分圧コンデンサ3とした。
【0041】
分圧コンデンサ3の合成容量を0.88μFとしたのは、分圧コンデンサ3の両端電圧Vの出力を1〜2Vとするためである。一次側線路電圧として22/√3kVを印加して、周囲温度を−20〜60℃の範囲で変化させて分圧コンデンサ3の分担電圧を測定した。
【0042】
図4に示すように、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を−20〜60℃まで変化させても、20℃を基準とした分圧コンデンサ3の分担電圧の変化量は、−20℃において−0.6%、60℃において−0.2%の変化量に留まった。
【0043】
(コンデンサ形計器用変圧器の電圧変化に対する検出電圧の安定性)
次に、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器の一次線路端子に印加される電圧の変動に対する、検出電圧の安定性を確認した。図1に示した直列回路1に、定格一次電圧(Va=22/√3kV)に対して0.7Va〜l.1Vaの範囲の電圧を印加して、各電圧で分圧コンデンサ3の分担電圧を測定した。
【0044】
図5に示すように、温度20℃において、一次線路側電圧を8.9kV(0.7Va)〜15.5kV (1.1Va)まで変化させた時の分圧コンデンサ3の検出電圧誤差は、一次線路側電圧が8.9kVの時0.05%、15.5kVの時ほぼ0%の変化量に留まった。
【0045】
以上、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器は、温度変動に対しても、印加電圧の変動に対しても、分圧コンデンサ3の分担電圧(検出電圧)の変化量は極めて小さいことがわかる。さらに、主コンデンサ2に絶縁性能に極めて優れる真空コンデンサを用いたことから、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧が加わった場合にも、その雷サージや開閉サージに耐えることができる。
【0046】
また、万が一短絡が発生しても、絶縁媒体が真空である真空コンデンサを主コンデンサ2として用いていることから焼損に至るような問題は生じない。
【0047】
さらに、コンデンサの周囲温度の変化に対する静電容量変化が正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサとを組み合わせたコンデンサを分圧コンデンサ3に用いることにより、コンデンサ形計器用変圧器の静電容量の温度変動が極めて小さく正確な変圧比(比誤差精度)を得ることができた。
【0048】
なお、上記の実施例1は本発明のコンデンサ形計器用変圧器の単なる例示にすぎず、本発明の効果を損なわない範囲で構成を変更することが可能であり、変更された実施形態についても本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器である(後述の実施例2についても同様である)。
【0049】
例えば、主コンデンサ2を構成する真空コンデンサ及び分圧コンデンサ3を構成する各フィルムコンデンサの静電容量は適宜コンデンサ形計器用変圧器が備えられる計器に応じて設定すればよい。なお、真空コンデンサの静電容量を30〜300pF、かつ真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とし、分圧コンデンサの合成容量を真空コンデンサの5000倍以上とすることで、雷サージや開閉サージ電圧に耐えることができ、確度階級が1級のコンデンサ形計器用変圧器を得ることができた。
【0050】
また、分圧コンデンサ3を構成する各フィルムコンデンサの種類や組み合わせる数、及び組合せ方法については特に限定するものではなく、周囲温度の変化に対する合成容量の変化が、コンデンサ形計器用変圧器の検出精度に影響しないように正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサを組み合わせて用いればよい。
【0051】
そして、実施例1では、一次線路側端子電圧として22/√3kVの電圧がコンデンサ形計器用変圧器に印加される例を挙げて説明したが、主コンデンサ2となる真空コンデンサに要求されるインパルス耐電圧を満足するように電極間距離を決定し、また主コンデンサ2の静電容量を適当な値に決定することにより、33/√3kV、11/√3kV、6.6/√3kV他の電圧階級に適用できることはいうまでもない。すなわち、従来のコンデンサ形計器用変圧器が用いられていた電圧領域(66kV〜550kV)だけでなく、従来のコンデンサ形計器用変圧器が適用されていない66kV未満の電圧領域に、確度階級1級を満足するコンデンサ形計器用変圧器を提供することができる。
【0052】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、図1に示す直列回路1において、主コンデンサ2と、分圧コンデンサ3のそれぞれに真空コンデンサを用いて構成される。
【0053】
主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサは、実施形態1に係る真空コンデンサと同様である。また、分圧コンデンサ3に用いられる真空コンデンサは、静電容量が主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサより大きいこと以外は主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
本発明の実施形態2に係るコンデンサ形計器用変圧器は、実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器と同様に、主コンデンサ2のインパルス耐電圧は150kVを有していることから、インパルス耐電圧的に何ら問題はない。また、主コンデンサ2と分圧コンデンサ3の両方のコンデンサに真空コンデンサを用いていることから、温度変動、一次線路側電圧変動に対して静電容量安定性が極めて高いコンデンサ形計器用変圧器が得られる。
【0055】
また、分圧コンデンサ3に真空コンデンサを用いることで、分圧コンデンサ3の耐電圧性が向上するので、雷サージや開閉サージといったサージ電圧の一部を分圧コンデンサ3にも分担させることができる。
【0056】
(実施例2)
本発明の実施形態2に係るコンデンサ形計器用変圧器を用いて、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を変化させて、コンデンサ形計器用変圧器の検出電圧の変化を測定した。
【0057】
実施例2では、図1に示す回路において、主コンデンサ2として、150kVのインパルス耐電圧を有し、静電容量C1が100pFの真空コンデンサを用いた。そして、分圧コンデンサ3は、20kVのインパルス耐電圧を有し、静電容量C2が1000pFの真空コンデンサを用いた。なお、分圧コンデンサ3の電極間距離を0.5mmに設定することで、20kVのインパルス耐電圧を得ることができる。
【0058】
(1)式から、一次側端子電圧Vaが22/√3kVの場合、主コンデンサ2の分担電圧は11.5kVとなり、分圧コンデンサ3の分担電圧は1.15kVとなる。また、一次側端子に150kVの雷インパルスが浸入した場合、150kVの雷インパルスに対する主コンデンサ2の分担電圧は136kVとなり、分圧コンデンサ3の電圧分担は13.6kVとなる。
【0059】
図1に示した直列回路1の一次線路電圧Vaを22/√3kVとして、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を−20℃〜80℃の範囲で変化させて、分圧コンデンサ3の分担電圧Vの変化量を測定した。その結果、本発明の実施例2に係るコンデンサ形計器用変圧器では、20℃時の測定値と比較して、−20℃において0.05%、80℃においても−0.03%の電圧変化量に留まった。
【0060】
(コンデンサ形計器用変圧器の電圧変化に対する検出電圧の安定性)
次に、本発明の実施例2に係るコンデンサ形計器用変圧器の一次線路端子に印加される電圧の変動に対する、検出電圧の安定性を確認した。図1に示した直列回路1に、定格一次電圧(Va=22/√3kV)に対して0.7Va〜l.1Vaの範囲で電圧を印加して、各電圧での分圧コンデンサ3で分担電圧を測定した。温度20℃において、一次線路側電圧を8.9kV(0.7Va)〜15.5kV(1.1Va)まで変化させた時の分圧コンデンサ3の検出電圧誤差は、定格一次線路電圧が8.9kV(0.7Va)の時、0.02%、15.5kV(1.1Va)の時0.01%の変化量に留まった。
【0061】
以上、実施例1、2を挙げて説明したように、本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、主コンデンサに真空コンデンサを用いたことにより、温度、周波数、電圧の変化に対して主コンデンサの静電容量安定性を高くすることができる。
【0062】
真空コンデンサは静電容量安定性が高いので、従来、材料や充填率により静電容量のバラつきが多かったセラミックコンデンサを主コンデンサとして用いた場合では、分圧コンデンサ回路を調整して対応していたが、その必要がなくなる。また、分圧コンデンサ回路を自由に設計することができる。例えば、分圧コンデンサに用いられるコンデンサの種類としては、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ等の既知のコンデンサを用いることができる。
【0063】
さらに、真空コンデンサは、雷サージや開閉サージに対して高い耐電圧特性を有するので、分圧コンデンサの静電容量を主コンデンサの静電容量と比較して非常に大きくして(例えば、5000倍以上)、雷サージや開閉サージによる電圧の大部分を真空コンデンサに分担させることができる。その結果、分圧コンデンサの回路設計の自由度が向上するので、フィルムコンデンサ等の雷サージや開閉サージ耐性が低いコンデンサを分圧コンデンサに用いることができる。
【0064】
また、分圧コンデンサに真空コンデンサを用いれば、温度、周波数、電圧の変化に対して、主コンデンサ及び分圧コンデンサともに温度変化や印加される電圧の変化に対して静電容量安定性を高くすることができる。その結果、コンデンサ形計器用変圧器の検出精度が向上する。
【0065】
以上のように、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、コンデンサ形計器用変圧器に印加される電圧の変化や周囲温度の変化に対しても高い検出電圧の精度を有し、さらに雷サージや開閉サージ等に対しても良好な耐電圧特性を有する。よって、検出精度が求められる電力機器等における形計器用変圧器として本発明のコンデンサ形計器用変圧器を用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…コンデンサ形計器用変圧器
2…主コンデンサ(高圧側コンデンサ)
3…分圧コンデンサ(低圧側コンデンサ)
4…分圧点
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出用コンデンサ形計器用変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
計器用変圧器として、電磁形計器用変圧器とコンデンサ形計器用変圧器(CVT:Capacitor Voltage Transformer)が知られている。
【0003】
電磁形計器用変圧器は、主として一次巻き線、二次巻き線及び鉄心で構成され、高圧線路の一次電圧を巻き線比に比例した二次電圧に変成するように構成されている。また、巻き戻しという工程を入れることにより正確な変圧比(比誤差精度)を実現している。電磁形計器用変圧器は、比誤差が1%以内(確度階級1級)の正確な変圧比を実現していることから、回路電圧としては全電圧範囲で使用されている。
【0004】
一方、コンデンサ形計器用変圧器は、例えば、一次線路側端子と分圧点との間の主コンデンサと、分圧点と接地側端子との間の分圧コンデンサから構成される。そして、コンデンサ形計器用変圧器には、分圧コンンデンサに直接または共振リアクトルを通して並列に電圧検出回路が接続されて分圧コンデンサの分担電圧を計測し、この分担電圧より、一次線路側端子の電圧が得られるように構成されている。
【0005】
このコンデンサ形計器用変圧器は、電圧階級としては 高電圧(66kV〜550kV)の領域で主に使用され、 例えば、ブッシング用コンデンサ形計器用変圧器が一般的である。ブッシング用のコンデンサ形計器用変圧器は、変圧器の一次線路側端子に使用される樹脂含浸絶縁紙やエポキシ等の固体絶縁体及び絶縁油等により構成されるコンデンサブッシングを主コンデンサとして利用している。
【0006】
また、ブッシング用以外のコンデンサ形計器用変圧器としては、主コンデンサと分圧コンデンサにフィルムコンデンサを用いた形態や、主コンデンサと分圧コンデンサの両方にセラミックコンデンサを用いた形態(例えば、特許文献1)がある。また、セラミックコンデンサとフィルムコンデンサとを組み合わせたコンデンサ回路を用いたコンデンサ形計器用変圧器(例えば、特許文献2〜5)や、真空コンデンサを用いたコンデンサ形計器用変圧器(例えば、特許文献6)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−115833号公報
【特許文献2】特開平08−115832号公報
【特許文献3】特開2007−205785号公報
【特許文献4】特開2007−205786号公報
【特許文献5】特開2003−215167号公報
【特許文献6】特開平10−031037号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「計器用変成器」JEC−1201−2007、株式会社 電気書院、2007年、p.75−76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電磁形計器用変圧器は、一次線路側の電力系統から雷サージや開閉サージといった立ち上がりが急峻なサージ電圧が一次巻き線側に加わった場合、一次巻き線の絶縁層に過大な電圧が分担され、絶縁破壊・焼損に至るおそれがある。
【0010】
また、コンデンサ形計器用変圧器では、コンデンサ形計器用変圧器を構成する樹脂含浸絶縁紙やエポキシ等固体絶縁及び絶縁油等の誘電体の誘電率が、温度や水分、さらには気圧等の変動に応じて変動する。このように、誘電率が安定しないとコンデンサ形計器用変圧器で検出される電圧も不安定となる。検出電圧が不安定であると、計器用変圧器としての確度階級が低くなり、測定対象となる配電線等の電力機器に適用した場合、正確な保護・計測が困難となってしまうおそれがある。また、一般的にセラミックコンデンサの静電容量は、印加電圧に対して非線形に変化する特性がある。ゆえに、主コンデンサにセラミックコンデンサを用いると、コンデンサ形計器用変圧器の一次線路側端子に印加される電圧変動に対する検出電圧の変動幅が大きい。そのため、コンデンサ形計器用変圧器においては変圧比(比誤差精度)が±1%以内のものは得られていない。
【0011】
すなわち、主コンデンサとして用いられるコンデンサの静電容量が、温度変化やコンデンサに印加される電圧の変化に対して不安定であると、検出電圧の精度が低下するので、そのようなコンデンサを用いたコンデンサ形計器用変圧器は、センサとしての役目を果たすことができない。なお、コンデンサ形計器用変圧器の主コンデンサにセラミックコンデンサやフィルムコンデンサを用いた場合、雷サージや開閉サージにより短絡した場合に、誘電体が焼損してしまい絶縁性能が大幅に変化してしまうという問題もある。
【0012】
本発明の目的は、コンデンサ形計器用変圧器において、電磁形計器用変圧器と同様に一次線路側電圧変動に対しても正確な変圧比(比誤差精度1.0級)を実現し、かつ電磁形計器用変圧器の問題点となる絶縁破壊による焼損がない安全性の高い計器用変圧器を提供することに貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、第1のコンデンサ回路(高圧側コンデンサ)と第2のコンデンサ回路(低圧側コンデンサ)を直列に接続して構成されるコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側コンデンサに真空コンデンサを用いることを特徴とする。そして、低圧側コンデンサとして、温度変化に対して静電容量が増加するフィルムコンデンサと温度に対して静電容量が減少するフィルムコンデンサとを組み合わせた回路を用いることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とすることを特徴としている。
【0015】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記真空コンデンサの静電容量が30pF以上300pF以下であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、上記のコンデンサ形計器用変圧器において、前記低圧側コンデンサの静電容量を、前記高圧側コンデンサの静電容量の5000倍以上とすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、第1のコンデンサ回路(高圧側コンデンサ)と第2のコンデンサ回路(低圧側コンデンサ)を直列に接続して構成されるコンデンサ形計器用変圧器において、高圧側コンデンサ、及び低圧側コンデンサに真空コンデンサを用いることを特徴としている。そして、前記高圧側コンデンサとして備えられる真空コンデンサの電極間距離が5mm以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
以上の発明によれば、コンデンサ形計器用変圧器の電圧検出精度の向上、及び絶縁破壊による焼損に対する安全性の向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器のコンデンサ回路の説明図である。
【図2】周囲温度の変化に対するフィルムコンデンサの静電容量の変化率を示す図である。
【図3】周囲温度の変化に対するフィルムコンデンサを組み合わせて構成されるコンデンサ回路の静電容量の変化率を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器の周囲温度の変化に対する分圧コンデンサの分担電圧の変化量を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器へ入力される電圧変動に対する分圧コンデンサの分担電圧検出誤差の変化量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器について、図を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器のコンデンサ回路1は、高電圧を分担する主コンデンサ2(高圧側コンデンサ)と低電圧を分担する分圧コンデンサ3(低圧側コンデンサ)が直列に接続されて直列回路1が構成される。この直列回路1の両端は入力端に導かれ、直列回路1内の接続点4(分圧点)が出力端に導かれる。なお、各コンデンサ2、3は、少なくとも1つのコンデンサを含むコンデンサ回路により構成される。
【0022】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、この直列回路1において、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いることを特徴としている。絶縁媒体を真空としている真空コンデンサは、真空インタラプタと同様に絶緑性能が極めて優れている。そして、主コンデンサ2がインパルス(例えば、雷サージや開閉サージ等)耐電圧を有する真空コンデンサとなるように真空コンデンサの電極間距離を適正な値とする。例えば、真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とすると、150kVの雷サージや開閉サージに耐えることができる。
【0023】
図1に示す直列回路1において、一次線路側端子電圧Vaを主コンデンサ2(静電容量をC1とする)と分圧コンデンサ3(静電容量をC2とする)で分圧した時の、分圧コンデンサ3の両端電圧Vは、(1)式で示される。
【0024】
V=C1/(C1+C2)Va …(1)
したがって、検出されるべき一次線路側電圧Vaが入力されると、この電圧Vaは主コンデンサ2の静電容量と分圧コンデンサ3の静電容量の比に応じて分圧され、分圧コンデンサ3の分担電圧Vが出力端に出力される。この分圧コンデンサ3の分担電圧Vに基づいて、一次線路側電圧Vaの検出を行うことができる。
【0025】
計器用変圧器は、比誤差及び位相角、周波数特性を満足することは当然ながら、定格の一つである雷インパルス試験電圧も満足しなければならない。例えば、公称電圧22kVに形計器用変圧器を適用する場合、非接地形及び接地形計器用変圧器は150kVのインパルス耐電圧を有さなければならない。避雷器などの保護装置によって過電圧が低いレベルに抑制された場合、あるいは雷過電圧浸入頻度・過電圧レベルが小さい場合は125kV、高性能化を図った避雷器を設置する場合でも100kVのインパルス耐電圧を有さなければならない(例えば、非特許文献1)。
【0026】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いているので、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧が加わった場合、そのサージ電圧に耐えることができる。また、真空コンデンサは絶緑媒体を真空としていることから、万が一短絡が発生したとしても、焼損に至る問題は生じない。
【0027】
本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器に備えられる真空コンデンサは、例えば、ステンレスからなる1対の電極を対向させて配置し、この電極間を真空状態にすることにより構成される。電極間を真空状態にすることで、大気中の10倍以上の絶縁性能を得ることができる。ここでいう真空状態とは、大気中と比べて気体分子密度が極めて小さい状態を意味する。例えば、後述の実施例で用いた真空コンデンサは、気体分子密度が2.7×1010個/cm3である(大気圧中での気体分子密度は2.7×1019個/cm3である)。
【0028】
真空コンデンサを構成する電極の材質は特に限定されるものではなく、真空コンデンサは、真空度、電極間距離、電極面積を制御することにより所定の静電容量となるように構成される。また、この真空コンデンサとして静電容量を変更できる可変真空コンデンサを用いて、回路に応じてコンデンサの静電容量を調節できるようにしてもよい。
【0029】
以下、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器について、図1〜5を参照して詳細に説明する。
【0030】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器は、図1に示す回路において、主コンデンサ2に真空コンデンサを用い、分圧コンデンサ3にフィルムコンデンサを用いて構成される。
【0031】
真空コンデンサは、温度変動や電圧変動に対して、静電容量の変化が少ない(静電容量安定性が高い)。よって、主コンデンサ2に真空コンデンサを用いることで、温度変動や一次線路側電圧変動に対して主コンデンサ2の静電容量安定性を高くすることができる。そして、この真空コンデンサの静電容量安定性のメリットを最大限に活かすためには、分圧コンデンサ3にも真空コンデンサとほぼ同等の温度変動や電圧変動に対する静電容量安定性が求められる。
【0032】
そこで、本実施形態では、分圧コンデンサ3に印加電圧の電圧変動に対する変動幅がセラミックコンデンサと比較して小さく、しかも静電容量が1μF程度の大容量を有し、雷サージや開閉サージ等のサージ電圧に対して数十Vの耐電圧を有するコンデンサであるフィルムコンデンサを用いた。
【0033】
図2示すように、フィルムコンデンサの周囲温度に対する静電容量安定性は、フィルムコンデンサを構成する誘電体材料に依存する。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、マイカを用いたフィルムコンデンサの温度に対する静電容量変化は、正特性(温度が高くなるにつれ静電容量が増加する特性)である。一方、誘電体材料にポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いたフィルムコンデンサの温度に対する静電容量の変化は、負特性(温度が高くなるにつれ静電容量が減少する特性)である。
【0034】
フィ ルムコンデンサは、電圧変動に対する静電容量安定性は高い。しかしながら、図2に示すように、汎用のフィルムコンデンサは、−20℃〜80℃の温度領域において静電容量が±2%程度変化する。したがって、単に分圧コンデンサに汎用のフィルム コンデンサを用いた場合、主コンデンサに真空コンデンサを用いたとしてとしても分圧コンデンサの検出感度の変動幅を±1%(確度階級1級)以内とすることは難しい。
【0035】
そこで、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器では、周囲温度に対する静電容量の変化が正特性のフィルムコンデンサと静電容量が負特性のフィルムコンデンサを直列、または並列、若しくは直列と並列を組み合わせて回路を構成している。このように正特性のコンデンサと負特性のコンデンサとを組み合わせて分圧コンデンサの回路を構成することにより、分圧コンデンサ全体としての静電容量の温度変動を小さくできる。
【0036】
(1)式で示すように、主コンデンサ2(静電容量C1)と分圧コンデンサ3(静電容量C2)で分圧した時の分圧コンデンサ3の両端電圧Vは、主コンデンサ2の静電容量C1に対して分圧コンデンサ3の静電容量C2を大きくすれば大きくするほど分圧コンデンサ3の分担電圧Vを小さくすることができる。例えば、一次側端子電圧Vaが22/√3kVの場合、C1を100pFとしてC2を1μFとすれば、分圧コンデンサ3の分担電圧は1.27Vとなる。また、一次側端子に150kVの雷インパルスが侵入した場合、150kVの雷インパルスに対する分圧コンデンサの電圧分担は15.0Vと極めて低い電圧となり、主コンデンサ2が150kVのほとんどの電圧を分担することになる。
【0037】
すなわち、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧に耐えることができる真空コンデンサを主コンデンサ2に用いることで、分圧コンデンサ3に雷サージや開閉サージに対する耐電圧が小さいコンデンサを使用することができる。そして、静電容量の温 度変動が小さくなるように設計された分圧コンデンサ3と、 静電容量の温度変化が極めて小さい真空コンデンサ を備えた主コンデンサ2とを組み合わせることにより、温度特性に優れたコンデンサ形計器用変圧器を構成することができる。
【0038】
(実施例1)
図3は、−20℃〜80℃の範囲でフィルムコンデンサの周囲温度を変化させた場合における、フィルムコンデンサの静電容量変化率を示したものである。測定対象のフィルムコンデンサ回路として、静電容量が0.22μFのポリエチレンテレフタレート(PET)と静電容量が0.22μFポリプロピレン(PP)のフィルムコンデンサを単独で用いた回路、PETとPPを直列に接続して合成容量を0.11μFとしたコンデンサ回路、PETとPPを並列に接続して合成容量を0.44μFとしたコンデンサ回路を用いた。20℃の時の静電容量を基準値とした場合、PET単体の静電容量変化率は、−20℃において−2.0%、80℃において1.3%程度変化した。同様にPP単体の静電容量変化率は、−20℃において0.8%、80℃において−1.6%程度変化した。一方、PETとPPを直列接続した場合、また並列接続した場合のフィルムコンデンサの静電容量変化率は、それぞれ−20℃において−0.6%、80℃において−0.1%程度の変化量に留まった。
【0039】
図3に示すように、フィルムコンデンサを単独で用いた場合には、フィルムコンデンサの周囲温度が変化することによりフィルムコンデンサの静電容量が大きく変動する。一方、正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサを組み合わせた場合には、フィルムコンデンサ回路の合成容量は周囲温度が変化しても大きく変化することがなかった。なお、正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサの組合せは、直列、並列、直列と並列の両方を含むいずれの組合せにおいても温度変化に対する静電容量の変化を抑制することができることを実験で確認した。
【0040】
(コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度に対する検出電圧の安定性)
本発明の実施例1に係るコンデンサ形計器用変圧器の検出電圧の周囲温度依存性について確認した。実施例1では、図1に示す回路において、主コンデンサ2を150kVのインパルス耐電圧を有し100pFの静電容量を持つ真空コンデンサとした。また、0.22μFのポリエチレンテレフタレート(PET)と0.22μFのポリプロピレン(PP)のフィルムコンデンサをそれぞれ2個用意し、この4個をすべて並列接続し合成容量を0.88μFとしたものを分圧コンデンサ3とした。
【0041】
分圧コンデンサ3の合成容量を0.88μFとしたのは、分圧コンデンサ3の両端電圧Vの出力を1〜2Vとするためである。一次側線路電圧として22/√3kVを印加して、周囲温度を−20〜60℃の範囲で変化させて分圧コンデンサ3の分担電圧を測定した。
【0042】
図4に示すように、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を−20〜60℃まで変化させても、20℃を基準とした分圧コンデンサ3の分担電圧の変化量は、−20℃において−0.6%、60℃において−0.2%の変化量に留まった。
【0043】
(コンデンサ形計器用変圧器の電圧変化に対する検出電圧の安定性)
次に、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器の一次線路端子に印加される電圧の変動に対する、検出電圧の安定性を確認した。図1に示した直列回路1に、定格一次電圧(Va=22/√3kV)に対して0.7Va〜l.1Vaの範囲の電圧を印加して、各電圧で分圧コンデンサ3の分担電圧を測定した。
【0044】
図5に示すように、温度20℃において、一次線路側電圧を8.9kV(0.7Va)〜15.5kV (1.1Va)まで変化させた時の分圧コンデンサ3の検出電圧誤差は、一次線路側電圧が8.9kVの時0.05%、15.5kVの時ほぼ0%の変化量に留まった。
【0045】
以上、本発明の実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器は、温度変動に対しても、印加電圧の変動に対しても、分圧コンデンサ3の分担電圧(検出電圧)の変化量は極めて小さいことがわかる。さらに、主コンデンサ2に絶縁性能に極めて優れる真空コンデンサを用いたことから、一次線路側の電力系統からの雷サージや開閉サージといった立ち上がりの急峻なサージ電圧が加わった場合にも、その雷サージや開閉サージに耐えることができる。
【0046】
また、万が一短絡が発生しても、絶縁媒体が真空である真空コンデンサを主コンデンサ2として用いていることから焼損に至るような問題は生じない。
【0047】
さらに、コンデンサの周囲温度の変化に対する静電容量変化が正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサとを組み合わせたコンデンサを分圧コンデンサ3に用いることにより、コンデンサ形計器用変圧器の静電容量の温度変動が極めて小さく正確な変圧比(比誤差精度)を得ることができた。
【0048】
なお、上記の実施例1は本発明のコンデンサ形計器用変圧器の単なる例示にすぎず、本発明の効果を損なわない範囲で構成を変更することが可能であり、変更された実施形態についても本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器である(後述の実施例2についても同様である)。
【0049】
例えば、主コンデンサ2を構成する真空コンデンサ及び分圧コンデンサ3を構成する各フィルムコンデンサの静電容量は適宜コンデンサ形計器用変圧器が備えられる計器に応じて設定すればよい。なお、真空コンデンサの静電容量を30〜300pF、かつ真空コンデンサの電極間距離を5mm以上とし、分圧コンデンサの合成容量を真空コンデンサの5000倍以上とすることで、雷サージや開閉サージ電圧に耐えることができ、確度階級が1級のコンデンサ形計器用変圧器を得ることができた。
【0050】
また、分圧コンデンサ3を構成する各フィルムコンデンサの種類や組み合わせる数、及び組合せ方法については特に限定するものではなく、周囲温度の変化に対する合成容量の変化が、コンデンサ形計器用変圧器の検出精度に影響しないように正特性のフィルムコンデンサと負特性のフィルムコンデンサを組み合わせて用いればよい。
【0051】
そして、実施例1では、一次線路側端子電圧として22/√3kVの電圧がコンデンサ形計器用変圧器に印加される例を挙げて説明したが、主コンデンサ2となる真空コンデンサに要求されるインパルス耐電圧を満足するように電極間距離を決定し、また主コンデンサ2の静電容量を適当な値に決定することにより、33/√3kV、11/√3kV、6.6/√3kV他の電圧階級に適用できることはいうまでもない。すなわち、従来のコンデンサ形計器用変圧器が用いられていた電圧領域(66kV〜550kV)だけでなく、従来のコンデンサ形計器用変圧器が適用されていない66kV未満の電圧領域に、確度階級1級を満足するコンデンサ形計器用変圧器を提供することができる。
【0052】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、図1に示す直列回路1において、主コンデンサ2と、分圧コンデンサ3のそれぞれに真空コンデンサを用いて構成される。
【0053】
主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサは、実施形態1に係る真空コンデンサと同様である。また、分圧コンデンサ3に用いられる真空コンデンサは、静電容量が主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサより大きいこと以外は主コンデンサ2に用いられる真空コンデンサと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
本発明の実施形態2に係るコンデンサ形計器用変圧器は、実施形態1に係るコンデンサ形計器用変圧器と同様に、主コンデンサ2のインパルス耐電圧は150kVを有していることから、インパルス耐電圧的に何ら問題はない。また、主コンデンサ2と分圧コンデンサ3の両方のコンデンサに真空コンデンサを用いていることから、温度変動、一次線路側電圧変動に対して静電容量安定性が極めて高いコンデンサ形計器用変圧器が得られる。
【0055】
また、分圧コンデンサ3に真空コンデンサを用いることで、分圧コンデンサ3の耐電圧性が向上するので、雷サージや開閉サージといったサージ電圧の一部を分圧コンデンサ3にも分担させることができる。
【0056】
(実施例2)
本発明の実施形態2に係るコンデンサ形計器用変圧器を用いて、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を変化させて、コンデンサ形計器用変圧器の検出電圧の変化を測定した。
【0057】
実施例2では、図1に示す回路において、主コンデンサ2として、150kVのインパルス耐電圧を有し、静電容量C1が100pFの真空コンデンサを用いた。そして、分圧コンデンサ3は、20kVのインパルス耐電圧を有し、静電容量C2が1000pFの真空コンデンサを用いた。なお、分圧コンデンサ3の電極間距離を0.5mmに設定することで、20kVのインパルス耐電圧を得ることができる。
【0058】
(1)式から、一次側端子電圧Vaが22/√3kVの場合、主コンデンサ2の分担電圧は11.5kVとなり、分圧コンデンサ3の分担電圧は1.15kVとなる。また、一次側端子に150kVの雷インパルスが浸入した場合、150kVの雷インパルスに対する主コンデンサ2の分担電圧は136kVとなり、分圧コンデンサ3の電圧分担は13.6kVとなる。
【0059】
図1に示した直列回路1の一次線路電圧Vaを22/√3kVとして、コンデンサ形計器用変圧器の周囲温度を−20℃〜80℃の範囲で変化させて、分圧コンデンサ3の分担電圧Vの変化量を測定した。その結果、本発明の実施例2に係るコンデンサ形計器用変圧器では、20℃時の測定値と比較して、−20℃において0.05%、80℃においても−0.03%の電圧変化量に留まった。
【0060】
(コンデンサ形計器用変圧器の電圧変化に対する検出電圧の安定性)
次に、本発明の実施例2に係るコンデンサ形計器用変圧器の一次線路端子に印加される電圧の変動に対する、検出電圧の安定性を確認した。図1に示した直列回路1に、定格一次電圧(Va=22/√3kV)に対して0.7Va〜l.1Vaの範囲で電圧を印加して、各電圧での分圧コンデンサ3で分担電圧を測定した。温度20℃において、一次線路側電圧を8.9kV(0.7Va)〜15.5kV(1.1Va)まで変化させた時の分圧コンデンサ3の検出電圧誤差は、定格一次線路電圧が8.9kV(0.7Va)の時、0.02%、15.5kV(1.1Va)の時0.01%の変化量に留まった。
【0061】
以上、実施例1、2を挙げて説明したように、本発明の実施形態に係るコンデンサ形計器用変圧器は、主コンデンサに真空コンデンサを用いたことにより、温度、周波数、電圧の変化に対して主コンデンサの静電容量安定性を高くすることができる。
【0062】
真空コンデンサは静電容量安定性が高いので、従来、材料や充填率により静電容量のバラつきが多かったセラミックコンデンサを主コンデンサとして用いた場合では、分圧コンデンサ回路を調整して対応していたが、その必要がなくなる。また、分圧コンデンサ回路を自由に設計することができる。例えば、分圧コンデンサに用いられるコンデンサの種類としては、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ等の既知のコンデンサを用いることができる。
【0063】
さらに、真空コンデンサは、雷サージや開閉サージに対して高い耐電圧特性を有するので、分圧コンデンサの静電容量を主コンデンサの静電容量と比較して非常に大きくして(例えば、5000倍以上)、雷サージや開閉サージによる電圧の大部分を真空コンデンサに分担させることができる。その結果、分圧コンデンサの回路設計の自由度が向上するので、フィルムコンデンサ等の雷サージや開閉サージ耐性が低いコンデンサを分圧コンデンサに用いることができる。
【0064】
また、分圧コンデンサに真空コンデンサを用いれば、温度、周波数、電圧の変化に対して、主コンデンサ及び分圧コンデンサともに温度変化や印加される電圧の変化に対して静電容量安定性を高くすることができる。その結果、コンデンサ形計器用変圧器の検出精度が向上する。
【0065】
以上のように、本発明のコンデンサ形計器用変圧器は、コンデンサ形計器用変圧器に印加される電圧の変化や周囲温度の変化に対しても高い検出電圧の精度を有し、さらに雷サージや開閉サージ等に対しても良好な耐電圧特性を有する。よって、検出精度が求められる電力機器等における形計器用変圧器として本発明のコンデンサ形計器用変圧器を用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…コンデンサ形計器用変圧器
2…主コンデンサ(高圧側コンデンサ)
3…分圧コンデンサ(低圧側コンデンサ)
4…分圧点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空コンデンサからなる高圧側コンデンサと、
温度に対する静電容量変化率が正特性のフィルムコンデンサと前記静電容量変化率が負特性のフィルムコンデンサとを有する低圧側コンデンサと、を具備する
ことを特徴とするコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項2】
前記真空コンデンサの電極間距離が5mm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項3】
前記真空コンデンサの静電容量が30pF以上300pF以下である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
器用変圧器。
【請求項4】
前記低圧側コンデンサの静電容量は、前記高圧側コンデンサの静電容量の5000倍以上である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項5】
電極間距離が5mm以上である真空コンデンサからなる高圧側コンデンサと、
真空コンデンサからなる低圧側コンデンサと、を具備する
ことを特徴とするコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項1】
真空コンデンサからなる高圧側コンデンサと、
温度に対する静電容量変化率が正特性のフィルムコンデンサと前記静電容量変化率が負特性のフィルムコンデンサとを有する低圧側コンデンサと、を具備する
ことを特徴とするコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項2】
前記真空コンデンサの電極間距離が5mm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項3】
前記真空コンデンサの静電容量が30pF以上300pF以下である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
器用変圧器。
【請求項4】
前記低圧側コンデンサの静電容量は、前記高圧側コンデンサの静電容量の5000倍以上である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンデンサ形計器用変圧器。
【請求項5】
電極間距離が5mm以上である真空コンデンサからなる高圧側コンデンサと、
真空コンデンサからなる低圧側コンデンサと、を具備する
ことを特徴とするコンデンサ形計器用変圧器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−114135(P2012−114135A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259830(P2010−259830)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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