説明

コンデンサ放電式エンジン点火装置

【課題】点火コイルとエキサイタコイルとを共通の鉄心に巻回したコンデンサ放電式点火装置において、エキサイタコイルの影響を受けて点火コイルの二次誘起電圧が低下するのを防止し、点火コイル及びエキサイタコイルと点火ユニットとの接続を簡単にする。
【解決手段】点火用コンデンサを充電するエキサイタコイルEXと点火コイルIGとを共通の鉄心に並べて巻装する。エキサイタコイルEXと点火コイルIGとの間に隙間Gを確保して、エキサイタコイルEXと点火コイルIGとの間の干渉を低減する。エキサイタコイルEX及び点火コイルIGを点火ユニットの回路基板に接続するために両コイルから引き出す接続端子ta〜teをすべてエキサイタコイルEXと点火コイルIGとの間の隙間Gを通して引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ放電式のエンジン点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの点火装置は、点火コイルと、エンジンの点火時期に点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させるようにその一次コイルに流す電流を制御する点火ユニットとにより構成される。エンジンの点火装置は耐候性を有している必要があるため、通常は、特許文献1に示されているように、点火コイルと点火ユニットとをケース内に収容して樹脂で注型している。
【0003】
コンデンサ放電式のエンジン点火装置は、点火コイルと、点火電源部と、点火コイルの一次側に設けられた点火用コンデンサと、点火電源部の出力で点火用コンデンサを充電するコンデンサ充電回路と、点火信号が与えられたときに導通して点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電回路と、放電回路に点火信号与える時期を制御する点火時期制御回路とを備えている。この点火装置では、点火用コンデンサと、コンデンサ充電回路、放電回路及び点火時期制御回路の構成部品とを回路基板に実装して点火ユニットを構成している。
【0004】
コンデンサ放電式の点火装置においては、点火用コンデンサが点火電源部の出力で一方の極性に充電される。エンジンの点火時期に点火時期制御回路から放電回路に点火信号が与えられたときに点火用コンデンサの電荷が点火コイルの一次コイルを通して放電させられ、この点火用コンデンサの放電により、立ち上がりが急峻な放電電流が点火コイルの一次コイルを通して流れる。これにより、点火コイルの鉄心内で大きな磁束変化が生じ、この磁束変化により、点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。この点火用高電圧は、エンジンの気筒に取りつけられた点火プラグに印加されるため、点火プラグの放電ギャップで火花放電が生じ、エンジンが点火される。
【0005】
上記点火電源部としては、エンジンに取りつけられる磁石発電機の固定子側に設けられたエキサイタコイルが多く用いられる。エンジンに取りつける磁石発電機の回転子として、フライホイールの内周に永久磁石が取りつけられた内磁石型の磁石回転子を用いる場合には、上記エキサイタコイルが磁石発電機の他の電機子コイルとともに回転子の内側に配置され、点火コイルと前記点火ユニットとをケース内に収容して樹脂で注型した構造のユニットが磁石発電機の外部に配置される。
【0006】
これに対し、エンジンに取りつける磁石発電機として、フライホイールの外周側に永久磁石を有する外磁石型の磁石回転子を備えたものが用いられる場合には、磁石回転子の磁極に対向する磁極部を両端に有する鉄心にエキサイタコイルが巻回されて、このエキサイタコイルが磁石回転子の外側に配置される。このような構成をとる場合には、特許文献2に示されているように、点火装置をコンパクトに構成するために、エキサイタコイルと点火コイルとを共通の鉄心に巻回して両コイルによりコイルユニットを構成し、このコイルユニットを点火ユニットともにケース内に収容して樹脂で注型する構成をとることがある。
【0007】
従来のこの種の点火装置に用いるコイルユニットにおいては、特許文献2に示されているように、点火コイルの一次コイルを巻回するコイル巻回部とエキサイタコイルを巻回するコイル巻回部とが軸線方向に並べて設けられたコイル巻回用ボビンを用いて、点火コイルの一次コイルとエキサイタコイルとを軸線方向に並べて巻回するか、または特許文献3に示されているように、別々のボビンに巻回された点火コイルとエキサイタコイルとを軸線方向に並べて近接配置して、鉄心の共通の脚部に嵌装していた。
【特許文献1】特開2002−161843号公報
【特許文献2】特開平10−196503号公報
【特許文献3】特開2006−97525号公報(図8参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2や特許文献3に示された従来の点火装置では、同一の鉄心にエキサイタコイルと点火コイルとを近接させて隣り合わせに巻装していたが、このような構成をとった場合、点火コイルの誘起電圧がエキサイタコイルの誘起電圧の影響を受け、エキサイタコイル及び点火コイルを別々の鉄心に巻装した場合に比べて、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低くなって、点火性能が低下するという問題があることが明らかになった。
【0009】
また従来のエンジン点火装置では、エキサイタコイル及び点火コイルからそれぞれ引き出された複数の端子がコイルユニットの軸線方向に位置を異にして設けられていたため、該複数の端子を回路基板の孔に挿入する作業が面倒になり、装置の組立て作業能率が悪くなるのを避けられなかった。また、エキサイタコイル及び点火コイルから引き出された複数の端子が離れた位置に分れて配置されていると、端子と回路基板の端子パターンとの半田付け作業をロボットまたは手作業で行う際に、一連の半田付け箇所を順次半田付けする際の工具の移動距離が長くなるため、作業能率が悪くなり、製造コストの低減を図ることが難しいという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、点火コイルとエキサイタコイルとが共通の鉄心に巻回されてコイルユニットが構成されるコンデンサ放電式エンジン点火装置において、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低下するのを防ぐとともに、コイルユニットと点火ユニットの回路基板との半田付け部を1箇所にまとめて配置して、両者の半田付け作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、エンジンにより回転駆動される磁石回転子の磁極に対向させられる磁極部を有する鉄心に巻装されてエンジンの回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイルとこのエキサイタコイルの横に並べてエキサイタコイルとともに上記鉄心に巻装された点火コイルとを備えたコイルユニットと、点火用コンデンサとエキサイタコイルの出力で点火用コンデンサを充電するコンデンサ充電回路の構成部品と点火信号が与えられたときに点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電回路の構成部品と放電回路に点火信号を与える時期を制御する点火時期制御回路の構成部品とを回路基板に実装してなる点火ユニットとを備えたコンデンサ放電式エンジン点火装置を対象とする。本発明が対象とする点火装置においては、上記コイルユニットと点火ユニットとが鉄心の磁極部を外部に配置した状態でケース内に収納されて、ケース内に樹脂が注型される。
【0012】
本発明においては、点火ユニットの回路基板が、その主たる板面(厚み方向に相対する広い面)をコイルユニットの軸線と平行させた状態でコイルユニットの側方に配置される。また点火コイルとエキサイタコイルとの間に隙間が形成されて、点火コイルを回路基板に接続するために点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子及びエキサイタコイルを回路基板に接続するためにエキサイタコイルから引き出された複数のエキサイタコイル接続端子がすべて点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間を通して回路基板側に引き出されて該回路基板に接続されている。
【0013】
上記のように、点火コイルとエキサイタコイルとの間に隙間を形成しておくと、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低下するのを防ぐことができることが確認された。点火コイルとエキサイタコイルとを共通の鉄心に巻回した場合に、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低下する理由は、点火用コンデンサの電荷の放電により鉄心中で生じた磁束の変化によって、点火コイルの二次コイルに点火用電圧が誘起する際に、同時にエキサイタコイルにも高い電圧が誘起して、エキサイタコイルから磁束が発生し、この磁束が点火コイルの二次コイルと鎖交する磁束の変化を妨げる方向に働くことにあると思われる。本発明によれば、点火コイルとエキサイタコイルとの間に隙間を確保したことにより、両コイル間の相互インダクタンスを小さくし、エキサイタコイルから発生した磁束が点火コイルと鎖交するのを抑制するようにしたので、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低下するのを防ぐことができる。
【0014】
上記点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間の大きさは、点火用コンデンサを放電させた際に点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧の低下を許容範囲内に収めるように実験的に決定する。即ち、点火コイルとエキサイタコイルとを共通の鉄心に巻装した場合に点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧と、点火コイルとエキサイタコイルとを別々の鉄心に巻装した場合に点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧との差電圧と、点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間の大きさとの関係を求める実験を行って、この実験により求めた差電圧を許容範囲内に収めるように、点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間の大きさを決定する。
【0015】
また上記のように、点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子と、エキサイタコイルから引き出されたエキサイタ接続端子とをすべて点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間を通して回路基板側に引き出すと、コイルユニットと点火ユニットの回路基板との半田付け部をコイルユニットの軸線方向の1箇所にまとめて配置することができるため、コイルユニットから引き出された複数の接続端子を回路基板の孔に挿入する作業を簡単にすることができ、組立て作業能率を高くすることができる。
【0016】
また上記のように、複数の点火コイル接続端子と、エキサイタ接続端子とをすべて点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間を通して回路基板側に引き出すと、コイルユニットと点火ユニットの回路基板との半田付け部をコイルユニットの軸線方向の1箇所にまとめて配置することができるため、一連の半田付け箇所を半田付けする際の工具の移動距離を短くして半田付けの作業能率を高めることができる。
【0017】
本発明の好ましい態様では、エキサイタコイルが、軸線方向の一端及び他端にそれぞれ第1のフランジ及び第2のフランジを有して鉄心に嵌装されたエキサイタ巻回用ボビンに巻回されて、エキサイタ巻回用ボビンが第1のフランジを鉄心の一端側に位置させて該鉄心に嵌装される。
また点火コイルの一次コイルは、エキサイタ巻回用ボビンとともに鉄心に嵌装された一次コイル巻回用胴部と該胴部の軸線方向の一端に形成された大径の第1の鍔部と第1の鍔部よりも小さい径方向寸法を持って胴部の他端に形成された第2の鍔部とを有する一次ボビンの一次コイル巻回用胴部に巻回されて、該一次ボビンの第1の鍔部がエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジに隙間を介して対向配置される。
点火コイルの二次コイルは、一次コイルと一次ボビンの第2の鍔部とを取り囲むように配置された二次コイル巻回用胴部と該二次コイル巻回用胴部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ形成された一端側鍔部及び他端側鍔部と該一端側鍔部及び他端側鍔部の間を軸線方向に並ぶ複数のコイル巻回部に仕切る複数の仕切り壁とを有する二次ボビンの複数のコイル巻回部にそれぞれ巻回された単位コイルを直列に接続した構成を有して、二次ボビンの一端側鍔部が一次ボビンの第1の鍔部に当接された状態で配置される。
また、点火ユニットの回路基板は、その板面をコイルユニットの軸線と平行させた状態でコイルユニットの側方に配置され、点火コイルを回路基板に接続するために点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子が一次ボビンの第1の鍔部に支持され、エキサイタコイルを回路基板に接続するためにエキサイタコイルから引き出された複数のエキサイタコイル接続端子がエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジに支持される。
複数のエキサイタコイル接続端子及び複数の点火コイル接続端子は、一次ボビンの第1の鍔部とエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間の隙間を通して回路基板側に引き出されて該回路基板に接続されている。
【0018】
本発明の好ましい態様では、上記一次ボビンが、第1の鍔部の鉄心寄りの部分からエキサイタ巻回用ボビン側に突出したボス部を一体に有して、該ボス部がエキサイタ巻回用ボビンに当接されることにより、一次ボビンの第1の鍔部とエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間の隙間が維持される。
【0019】
本発明の他の好ましい態様では、エキサイタ巻回用ボビンが、第2のフランジの鉄心寄りの部分から一次ボビン側に突出したボス部を一体に有して、該ボス部が一次ボビンに当接されることにより、一次ボビンの第1の鍔部とエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間の隙間が維持される。
【0020】
上記複数のエキサイタコイル接続端子及び複数の点火コイル接続端子は、それぞれの先端が、コイルユニットの軸線と直交する一平面上に一列に並んだ状態で、前記回路基板側に引き出されていることが好ましい。
【0021】
上記複数の点火コイル接続端子は、通常点火コイルの一次コイルのアース側の一端から引き出された一次コイル側アース端子と点火コイルの二次コイルのアース側の一端から引き出された二次コイル側アース端子とを備えている。この場合、一次コイル側アース端子と二次コイル側アース端子とは隣接配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明によれば、点火コイルとエキサイタコイルとの間に隙間を形成して、点火コイルの一次コイルとエキサイタコイルとの間の相互インダクタンスを小さくし、点火用コンデンサの電荷が点火コイルの一次コイルを通して放電した際にエキサイタコイルから発生する磁束が、点火コイルに鎖交する磁束の変化を妨げるように働くのを抑制して、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が低下するのを防ぐことができる。
【0023】
また本発明によれば、点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子と、エキサイタコイルを回路基板に接続するためにエキサイタコイルから引き出されたエキサイタコイル接続端子とをすべて点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間を通して回路基板側に引き出して、コイルユニットと点火ユニットの回路基板との半田付け部をコイルユニットの軸線方向の1箇所にまとめて配置したので、一連の接続端子を回路基板の孔に挿入する作業を簡単にすることができる上に、両者の半田付け作業を行う際の工具の移動距離を短くして、半田付け作業の作業能率を向上させることができる。従って、点火装置の製造能率を向上させて、そのコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1ないし図5は本発明の一実施形態を示したもので、図1は要部の断面図、図2は本実施形態で用いるコイルユニットの斜視図、図3は同コイルユニットの側面図、図4は点火装置の一部を断面して示した正面図、図5は本実施形態の点火装置の電気的な構成を示す回路図である。
【0025】
図1において、1はエンジンのクランク軸に取付けられて本発明に係わる点火装置と協働する外磁石型の磁石回転子、2は本発明に係わる点火装置である。磁石回転子1は、鉄等の強磁性体からなっていて、円筒面状の外周面101aを有するフライホイール101と、フライホイール101の外周面に形成された凹部101b内に取り付けられた弧状の永久磁石102とからなっている。永久磁石102は、磁化の方向がフライホイール101の径方向に向くように着磁されている。図示の例では、永久磁石102の径方向の外周側の磁極面がN極となっており、フライホイールの周方向に相対する凹部101bの両端部付近のフライホイールの外周面101a1,101a2にそれぞれ磁石のS極が導出されている。永久磁石102の外周側の磁極(N極)と、凹部101bの両端部付近のフライホイールの外周面に導出された2つのS極とにより、3極の磁石界磁が構成されている。フライホイール101の軸心部には、ボス部101cが設けられていて、このボス部がエンジンのクランク軸Sに嵌着されることにより、磁石回転子1がクランク軸Sに取り付けられる。
【0026】
図示の点火装置2は、鉄心3と、鉄心3に巻装されたコイルユニット4と、回路基板501(図4参照)にマイクロプロセッサMPUや点火用コンデンサCを実装して構成した点火ユニット5と、コイルユニット4と点火ユニットとを収容した樹脂製のケース6と、ケース6内に注型された樹脂7とにより構成されている。
【0027】
鉄心3は、鋼板の積層体からなっていて、I字形のコイル巻装部301と、該コイル巻装部301の両端に蟻(アリ)結合されて取り付けられた1対の脚部302,302とによりコの字形に形成され、その両端(脚部302、302の先端)には磁石回転子の磁極に対向させられる磁極部302a,302aが形成されている。1対の脚部302,302の中間部には、点火装置をエンジンに固定するためのネジが挿通される取り付け孔302b,302bが形成されている。
【0028】
コイルユニット4は、鉄心3のコイル巻装部301に、軸線方向に並べて巻装されたエキサイタコイルEXと、一次コイルL1及び二次コイルL2を有する点火コイルIGとからなっている。
【0029】
エキサイタコイルEXは、コイル巻回用胴部401aと、該胴部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ形成された第1のフランジ401b及び第2のフランジ401cとを一体に有するエキサイタ巻回用ボビン401の胴部401aに巻回されている。本実施形態では、エキサイタ巻回用ボビンの胴部401a及びフランジ401b,401cのそれぞれの横断面の輪郭形状が、正方形の4つの角部に丸みを付けた形状を呈するように形成され、エキサイタコイルEXは、ほぼ直方体状を呈するように巻回されている。従ってエキサイタコイルEXは互いに90度異なる方向に向いた4つの側面を有しており、これら4つの側面の内の一つの側面が点火ユニットの回路基板の主たる板面と対向する点火ユニット対向面Seとなっている。
【0030】
エキサイタコイルEXは、ボビン401の第1のフランジ401bを鉄心3の一端3A側に位置させて鉄心3のコイル巻装部301に嵌装される。エキサイタコイルを点火ユニット5の回路基板501に接続するため、エキサイタコイルの両端につながる2つのエキサイタ接続端子ta,tbが、それぞれの一部がエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジ401cにモールドされた状態で、該第2のフランジ401cに支持されている。エキサイタ接続端子ta,tbは、エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジ401cの外面に沿うように折り曲げられて、エキサイタコイルEXの点火ユニット対向面Se側に引き出されている。
【0031】
点火コイルIGの一次コイルL1は、一次コイル巻回用胴部411aと該胴部の軸線方向の一端に形成された大径の第1の鍔部411bと、第1の鍔部よりも小さい径方向寸法を持って胴部411aの他端に形成された第2の鍔部411cとを一体に有する一次ボビン411の一次コイル巻回用胴部411aに巻回されている。一次コイルL1が巻回された一次ボビン411は、その第1の鍔部411bをエキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401c側に向けた状態で鉄心3のコイル巻装部301に嵌装されて、該一次ボビン411の第1の鍔部411bがエキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401cに隙間Gを介して対向配置される。
【0032】
本実施形態では、一次ボビン411の第1の鍔部411bの鉄心3寄りの部分及び第2の鍔部411cの鉄心寄りの部分にそれぞれ鉄心3の一端3A側及び他端3B側に突出したボス部411e及び411fが形成され、エキサイタ巻回用ボビン401と一次ボビン411とが鉄心3のコイル巻装部301に嵌装された際に、鉄心3の一端3A側(エキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401c側)に突出した一次ボビン411のボス部411eがエキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401cに当接することにより、一次ボビン411の第1の鍔部411bとエキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401cとの間に隙間Gが維持されるようになっている。
【0033】
点火コイルの二次コイルL2は、一次コイルL1の外周と一次ボビン411の第2の鍔部411cの外周とを取り囲むように配置された二次コイル巻回用胴部421aと、該二次コイル巻回用胴部421aの軸線方向の一端及び他端にそれぞれ形成された一端側鍔部421b及び他端側鍔部421cと該一端側鍔部及び他端側鍔部の間を軸線方向に並ぶ複数のコイル巻回部に仕切る複数の仕切り壁421d,421d,…とを一体に有する二次ボビン421の複数のコイル巻回部にそれぞれ巻回された単位コイルw,w,…を直列に接続した構成を有し、二次ボビン421の一端側の鍔部421bが一次ボビン411の第1の鍔部411bに当接させられている。
【0034】
一次ボビン411及び二次ボビン421の胴部並びに両ボビンの鍔部は、エキサイタ巻回用ボビンと同様に、それぞれの横断面が、正方形の4つの角部に丸みを付した形状を呈するように形成され、一次コイルL1及び二次コイルL2はほぼ直方体状を呈するように巻回されている。従って二次コイルL2は互いに90度異なる方向に向いた4つの側面を有し、これらの側面の内の1つの側面が点火ユニット対向面Siとなっている。
【0035】
二次ボビン421の他端側鍔部421cの外面には、高圧コードホルダ430が固定される。高圧コードホルダ430は、一端が開口した筒状部430aと該筒状部430aの他端から径方向の外側に突出した板状の取り付け部430bとを一体に有し、筒状部430aの他端を塞ぐように形成された端部壁を貫通させて、木ねじからなる高圧コード接続端子tfが取り付けられている。高圧コードホルダ430は、その取り付け部430bを二次ボビン421の他端側鍔部421cに当接させた状態で配置され、取り付け部430bに形成された孔に二次ボビンの他端側鍔部421cに形成された位置決め突起421e(図2及び図4参照)が圧入されることにより、高圧コードホルダ430が、その筒状部430aをコイルユニットの軸線方向に向けた状態で二次ボビンの所定の位置に位置決めされている。高圧コード接続端子tfは、接続端子金具431を介して二次コイルL2の巻き終わりの端末部に接続されている。高圧コードホルダ430の筒状部430aに高圧コード8の一端が圧入されて、高圧コードの芯線に高圧コード接続端子tfがねじ込まれることにより、高圧コード8が二次コイルL2の巻き終わりの端末部に接続されている。
【0036】
一次ボビン411に巻かれた一次コイルL1の外周と一次ボビン411の第2の鍔部411cの外周とを取り囲むように二次コイルL2が巻かれた二次ボビン421が配置されて点火コイルIGが組み立てられ、この点火コイルIGとエキサイタコイルEXとが鉄心3のコイル巻装部301に嵌装されてコイルユニット4が組み立てられる。
【0037】
点火コイルの一次コイルL1の巻き終わりの端末部につながる点火コイル接続端子tcと、一次コイルの巻き始めの端末部につながる点火コイル接続端子tdとが一次ボビン411の第1の鍔部411bにそれぞれの一部を埋め込んだ状態で保持されている。これらの端子tc及びtdは、一次ボビン411の第1の鍔部411bの外面に沿うように折り曲げられて前記点火ユニット対向面Si側に引き出されている。また二次コイルL2の巻き始めの端末部に接続された点火コイル接続端子teが、その一部を二次ボビン421の一端側鍔部421bに埋め込んだ状態で設けられ、この点火コイル接続端子teは、一次ボビン411の第1の鍔部411bを貫通して該鍔部411bの外側に引き出されている。第1の鍔部411bの外側に引き出された点火コイル接続端子teは、第1の鍔部411bの外面に沿うように折り曲げられて、点火ユニット対向面Si側に引き出されている。
【0038】
エキサイタ接続端子ta,tb及び点火コイル接続端子tcないしteは、コイルユニット4を組み立てた状態で、それぞれの先端(点火ユニットの回路基板に接続される端部)がコイルユニット4の軸線と直交する一平面上に平行に並んだ状態で配置されるように設けられて、点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間Gを通して一方向に(点火ユニットの回路基板側に)引き出される。点火コイル接続端子ta〜teのうち、端子td及びteはそれぞれ点火コイルの一次コイル及び二次コイルのアース側端子であり、これらの端子は互いに隣接(近接)させて配置されている。このようにアースされる接続端子td及びteを隣接させて配置しておくと、両接続端子を回路基板501の一つの大きめの孔に挿入して回路基板のアースパターンに半田付けすることができるため、半田付け箇所を少なくすることができる。
【0039】
図4に示したように、点火ユニット5の構成要素が実装された回路基板501は、コイルユニット4の側方に、その主たる板面の一方を点火ユニット対向面Se及びSiに対向させた状態で配置され、エキサイタコイルEXの両端から引き出されたエキサイタコイル接続端子ta,tbと、点火コイルIGから引き出された点火コイル接続端子tcないしteとが、回路基板501に設けられたスルーホールに挿入されて、該基板に設けられた端子パターンに半田付けされる。図4には詳細に図示してないが、回路基板501には、コンデンサ放電式点火装置の点火用コンデンサと、コンデンサ充電回路の構成部品と、放電回路の構成部品と、点火時期制御回路の構成部品とが実装されている。
【0040】
ケース6は、一端が底部6aにより閉じられ、他端が開口した樹脂製の筒状体からなっていて、その開口端寄りの側壁部の一部には、高圧コードホルダ430を収容する膨出部6bが形成され、底部6aの中央部には、鉄心3のコイル巻装部301を貫通させる孔6cが形成されている。
【0041】
点火装置を組み立てる際には、エキサイタコイルEXを巻いたエキサイタ巻回用ボビン401と、点火コイルの一次コイルL1が巻回された一次ボビンの外側に二次コイルが巻回された二次ボビン421を配置して構成した点火コイルIGとを、それぞれの点火ユニット対向面Se及びSiを同じ側に向けて鉄心3のコイル巻装部301に嵌装してコイルユニット4を組み立て、エキサイタ巻回用ボビン401のフランジ401aとボビン410の鍔部411aとの間から引き出されている接続端子taないしteを回路基板501のスルーホールに挿入して、該回路基板の端子パターンに半田付けする。
【0042】
本実施形態では、接続端子taないしteの先端がコイルユニットの軸線と直交する一平面上に平行に並ぶ状態で、点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間Gを通して回路基板側に引き出されているため、コイルユニットから引き出された接続端子を回路基板に設けられたスルーホールに挿入する作業を簡単にすることができる。またコイルユニットから引き出された接続端子と回路基板との半田付け箇所がコイルユニットの軸線方向の中間部にまとめて配置されるため、両者を半田付けする際の工具の移動距離を短くして半田付け作業の能率を向上させることができる。また本実施形態では、点火コイルのアース側端子td,teを隣接させて配置しているので、これらの端子を回路基板に設けた一つの孔に挿入して回路基板のアースパターンに一度に半田付けすることができ、半田付け箇所を少なくすることができる。
【0043】
上記のようにしてコイルユニット4に点火ユニット5を接続した後、コイルユニット4を点火ユニット5とともにケース6内に収容して、鉄心3のコイル巻装部301の両端をケース6から外方に突出させる。この状態で、ケース6の開口部を上方に向けた状態に保持して、該ケース内にエポキシ樹脂等の樹脂7を注型し、該樹脂7を硬化させる。これにより、コイルユニット4及び点火ユニット5が樹脂でモールドされ、高圧コードホルダ430が二次ボビンに対して固定される。その後鉄心3のコイル巻装部301の両端に脚部302,302を取り付けて点火装置2を完成する。
【0044】
この点火装置は、エキサイタコイルに誘起する電圧の位相が、所定の点火位置で点火動作を行わせるために適した位相となるように、磁石回転子1の磁極に対して所定の位置関係を有する位置に位置決めされて、鉄心の脚部302,302に設けられた取り付け孔302b,302bを貫通させたボルトにより、エンジンのケースなどに固定され、鉄心の脚部302,302の先端に設けられた磁極部302a,302aが磁石回転子1の外周面に所定のエアギャップを介して対向させられる。
【0045】
図5を参照すると、点火ユニット5の電気的構成の一例が示されている。同図に示された点火ユニット5においては、点火コイルIGの一次コイルL1の非接地側の端子に点火用コンデンサC1の一端が接続され、点火用コンデンサC1の他端と接地間に放電用スイッチとして機能するサイリスタThが、そのカソードを接地側に向けて接続されている。サイリスタThのアノード・カソード間には、ダイオードD1がそのアノードを接地側に向けて接続され、サイリスタThのゲートカソード間には、抵抗器R1が接続されている。点火用コンデンサC1の他端にはダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD2のアノードにエキサイタコイルEXから引き出されたエキサイタ接続端子taが接続されている。ダイオードD2のアノードと接地間にはダイオードD3がそのアノードを接地側に向けて接続されている。エキサイタコイルから引き出された他の接続端子tbにはマイクロプロセッサを備えた点火時期制御回路ICCの入力ポートが接続され、点火時期制御回路ICCの出力ポートからサイリスタThのゲートに点火信号Siが入力されるようになっている。エキサイタコイルから引き出された接続端子tbと接地間にはアノードを接地側に向けた電流帰還用ダイオードD4が接続されている。また接続端子tbは電源回路PSの入力端子に接続され、該電源回路PSから点火時期制御回路ICCのマイクロプロセッサに電源電圧が与えられている。点火コイルIGの二次コイルL2の出力電圧(点火用高電圧)は高圧コード8を通してエンジンの一つの気筒に設けられた点火プラグPLに印加されている。
【0046】
図示の例では、エキサイタ接続端子ta−ダイオードD2−点火用コンデンサC1−点火コイルの一次コイルL1−ダイオードD4−エキサイタ接続端子tbの回路により、エキサイタコイルの出力電圧で点火用コンデンサC1を充電するコンデンサ充電回路が構成され、点火用コンデンサC1−サイリスタTh−点火コイルの一次コイルL1−サイリスタThの回路により点火用コンデンサC1の放電回路が構成されている。
【0047】
上記コンデンサ充電回路と、放電回路と、点火時期制御回路ICCと、電源回路PSとにより点火ユニット5が構成され、この点火ユニット5とコイルユニット4とによりコンデンサ放電式のエンジン点火装置が構成される。エンジンが2以上の気筒を有する場合には、同様に構成された点火装置が気筒数分設けられる。
【0048】
本実施形態において、エンジンのクランク軸が回転すると、エキサイタコイルEXに図6(A)に示すような交流電圧Veが、点火装置が配置された位置により決まる一定のクランク角位置でクランク軸の1回転当たり1回発生する。この交流電圧は、第1の負の半波の電圧Vn1と、正の半波の電圧Vpと、第2の負の半波の電圧Vn2とが順に現れる波形を有する電圧である。エキサイタコイルEXは一定のクランク角位置で交流電圧Veを発生するため、交流電圧Veの波形はエンジンのクラック角情報及び回転速度情報を含んでいる。
【0049】
エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧Vn1及びVn2は電源回路PSにより一定の直流電圧Vccに変換されて点火時期制御回路ICCのマイクロプロセッサに電源電圧として印加される。エキサイタコイルEXの出力の負の半波の期間にエキサイタコイルから電源回路PSに流れ込んだ電流は接地回路とダイオードD3とを通してエキサイタコイルに帰還する。
【0050】
点火時期制御回路ICCは電源回路PSから電源電圧が印加されたときに動作を開始して、エキサイタコイルEXの出力電圧Veから得たエンジンのクランク角情報及び回転速度情報を用いて、エンジンの各回転速度における点火位置(点火動作を行うクランク角位置)を演算し、エンジンのクランク角位置が演算した点火位置に一致したことを検出した時にサイリスタThに点火信号Siを与える。
【0051】
図示の点火ユニットにおいては、エキサイタコイルEXが正の半波の電圧Vpを出力したときに、該電圧VpによりダイオードD2と、点火コイルの一次コイルL1と、ダイオードD4とを通して点火用コンデンサC1が図示の極性に充電され、図6(B)に示したように点火用コンデンサの両端の電圧Vcが上昇する。次いで点火時期制御回路ICCが点火位置θi1で点火信号Siを発生すると、サイリスタThがオン状態になるため、点火用コンデンサC1に蓄積された電荷がサイリスタThと点火コイルの一次コイルL1とを通して放電する。これにより鉄心3中で大きな磁束変化が生じるため、点火コイルの二次コイルL2に点火用の高電圧が誘起する。この高電圧は点火プラグPLに印加されるため、点火プラグPLで火花放電が生じてエンジンが点火され、エンジンが始動する。エンジンの点火位置はエンジンの回転速度の上昇に伴って進角させられ、高速時の点火位置は例えば図6(B)のθi2のようになる。
【0052】
点火位置で点火用コンデンサC1が放電した際には、エキサイタコイルEXにも電圧が誘起し、エキサイタコイルEXから生じる磁束が点火コイルの二次コイルと鎖交する磁束の変化を妨げようとするが、本発明においては、エキサイタコイルEXと点火コイルIGとの間に隙間Gを形成して、この隙間Gの大きさを適正に設定することにより、エキサイタコイルで生じる磁束が点火コイルの二次コイルと鎖交する磁束の変化に影響を与える度合いを少なくすることができるようにしたため、点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電圧が顕著に低下して点火性能が低下するのを防ぐことができる。
【0053】
上記の実施形態では、一次ボビン411に設けたボス部411eをエキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジ401cに当接させることにより、エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジと一次ボビンの一端側鍔部との間に隙間Gを確保するようにしたが、エキサイタ巻回用ボビン401の第2のフランジの鉄心寄りの部分から一次ボビン411の第1の鍔部411b側に突出したボス部をエキサイタ巻回用ボビンに一体に設けて、該ボス部を一次ボビン411に当接させることにより、一次ボビンの第1の鍔部とエキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間に隙間Gを形成するようにしてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、鉄心3としてコの字形のものを用いたが、特許文献3に示されているように、E字形の3脚鉄心を用いてこの鉄心の中央の脚部にエキサイタコイルと点火コイルとを並べて巻装する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態の要部の断面図である。
【図2】本実施形態で用いるコイルユニットの斜視図である。
【図3】本実施形態で用いるコイルユニットの側面図である。
【図4】本実施形態に係わる点火装置の一部を断面して示した正面図である。
【図5】本実施形態の点火装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図6】図5の点火装置のエキサイタコイルの誘起電圧及び点火用コンデンサの充電電圧の波形を示した波形図である。
【符号の説明】
【0056】
1 磁石発電機
2 点火装置
3 鉄心
301 コイル巻装部
302a,302b 磁極部
4 コイルユニット
401 エキサイタ巻回用ボビン
411 一次ボビン
421 二次ボビン
EX エキサイタコイル
IG 点火コイル
5 点火ユニット
501 回路基板
6 ケース
7 樹脂
8 高圧コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより回転駆動される磁石回転子の磁極に対向させられる磁極部を有する鉄心に巻装されて前記エンジンの回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイルと前記エキサイタコイルの横に並べて前記エキサイタコイルとともに前記鉄心に巻装された点火コイルとを備えたコイルユニットと、点火用コンデンサと前記エキサイタコイルの出力で前記点火用コンデンサを充電するコンデンサ充電回路の構成部品と点火信号が与えられたときに前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電回路の構成部品と前記放電回路に点火信号を与える時期を制御する点火時期制御回路の構成部品とを回路基板に実装してなる点火ユニットとを備え、前記コイルユニットと点火ユニットとが前記鉄心の磁極部を外部に配置した状態でケース内に収納されて、前記ケース内に樹脂が注型されてなるコンデンサ放電式エンジン点火装置において、
前記点火ユニットの回路基板は、その板面を前記コイルユニットの軸線と平行させた状態で前記コイルユニットの側方に配置され、
前記点火コイルとエキサイタコイルとの間に隙間が形成されて、前記点火コイルを前記回路基板に接続するために前記点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子及び前記エキサイタコイルを前記回路基板に接続するために前記エキサイタコイルから引き出された複数のエキサイタコイル接続端子がすべて前記点火コイルとエキサイタコイルとの間の隙間を通して前記回路基板側に引き出されて該回路基板に接続されているコンデンサ放電式エンジン点火装置。
【請求項2】
エンジンにより回転駆動される磁石回転子の磁極に対向させられる磁極部を有する鉄心に巻装されて前記エンジンの回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイルと前記エキサイタコイルの横に並べて前記エキサイタコイルとともに前記鉄心に巻装された点火コイルとを備えたコイルユニットと、点火用コンデンサと前記エキサイタコイルの出力で前記点火用コンデンサを充電するコンデンサ充電回路の構成部品と点火信号が与えられたときに前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電回路の構成部品と前記放電回路に点火信号を与える時期を制御する点火時期制御回路の構成部品とを回路基板に実装してなる点火ユニットとを備え、前記コイルユニットと点火ユニットとが前記鉄心の磁極部を外部に配置した状態でケース内に収納されて、前記ケース内に樹脂が注型されてなるコンデンサ放電式エンジン点火装置において、
前記エキサイタコイルは、軸線方向の一端及び他端にそれぞれ第1のフランジ及び第2のフランジを有して前記鉄心に嵌装されたエキサイタ巻回用ボビンに巻回されて、前記エキサイタ巻回用ボビンが前記第1のフランジを前記鉄心の一端側に位置させて前記鉄心に嵌装され、
前記点火コイルの一次コイルは、前記エキサイタ巻回用ボビンとともに前記鉄心に嵌装された一次コイル巻回用胴部と該胴部の軸線方向の一端に形成された大径の第1の鍔部と前記第1の鍔部よりも小さい径方向寸法を持って前記胴部の他端に形成された第2の鍔部とを有する一次ボビンの前記一次コイル巻回用胴部に巻回されて、該一次ボビンの第1の鍔部が前記エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジに隙間を介して対向配置され、
前記点火コイルの二次コイルは、前記一次コイルと前記一次ボビンの第2の鍔部とを取り囲むように配置された二次コイル巻回用胴部と該二次コイル巻回用胴部の軸線方向の一端及び他端にそれぞれ形成された一端側鍔部及び他端側鍔部と該一端側鍔部及び他端側鍔部の間を軸線方向に並ぶ複数のコイル巻回部に仕切る複数の仕切り壁とを有する二次ボビンの前記複数のコイル巻回部にそれぞれ巻回された単位コイルを直列に接続した構成を有して、前記二次ボビンの前記一端側鍔部が前記一次ボビンの第1の鍔部に当接され、
前記点火ユニットの回路基板は、その板面を前記コイルユニットの軸線と平行させた状態で前記コイルユニットの側方に配置され、
前記点火コイルを前記回路基板に接続するために前記点火コイルから引き出された複数の点火コイル接続端子が前記一次ボビンの第1の鍔部に支持され、
前記エキサイタコイルを前記回路基板に接続するために前記エキサイタコイルから引き出された複数のエキサイタコイル接続端子が前記エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジに支持され、
前記複数のエキサイタコイル接続端子及び複数の点火コイル接続端子は、前記一次ボビンの前記第1の鍔部と前記エキサイタ巻回用ボビンの前記第2のフランジとの間の隙間を通して前記回路基板側に引き出されて該回路基板に接続されているコンデンサ放電式エンジン点火装置。
【請求項3】
前記一次ボビンは、前記第1の鍔部の前記鉄心寄りの部分から前記エキサイタ巻回用ボビン側に突出したボス部を一体に有して、該ボス部が前記エキサイタ巻回用ボビンに当接されることにより、前記一次ボビンの第1の鍔部と前記エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間の隙間が維持されている請求項2に記載のコンデンサ放電式エンジン点火装置。
【請求項4】
前記エキサイタ巻回用ボビンは、前記第2のフランジの前記鉄心寄りの部分から前記一次ボビン側に突出したボス部を一体に有して、該ボス部が前記一次ボビンに当接されることにより、前記一次ボビンの第1の鍔部と前記エキサイタ巻回用ボビンの第2のフランジとの間の隙間が維持されている請求項2に記載のコンデンサ放電式エンジン点火装置。
【請求項5】
前記複数のエキサイタコイル接続端子及び複数の点火コイル接続端子は、それぞれの先端が、前記コイルユニットの軸線と直交する一平面上に一列に並んだ状態で、前記回路基板側に引き出されている請求項2,3または4に記載のコンデンサ放電式エンジン点火装置。
【請求項6】
前記複数の点火コイル接続端子は、前記点火コイルの一次コイルのアース側の一端から引き出された一次コイル側アース端子と前記点火コイルの二次コイルのアース側の一端から引き出された二次コイル側アース端子とを備えていて、該一次コイル側アース端子と二次コイル側アース端子とが隣接配置されている請求項1ないし5のいずれか一つに記載のコンデンサ放電式エンジン点火装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−121376(P2009−121376A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297496(P2007−297496)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】