説明

コンデンサ放電式内燃機関用点火装置

【課題】装置の大形化やコストの上昇を招くことなく、点火時の放電継続時間を長くして点火性能の向上を図ることができるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を提供する。
【解決手段】点火コイルに第1の一次コイル1a1と第2の一次コイル1a2を設け、第1の点火用コンデンサ401及び第2の点火用コンデンサ501を点火コイルの一次側に設ける。第1の点火用コンデンサ401を第1の放電用スイッチ402と第1の一次コイル1a1とを通して放電させ、第2の点火用コンデンサ501を第2の放電用スイッチ502と第1の一次コイル1a1及び第2の一次コイル1a2の直列回路とを通して放電させるように、第1及び第2の点火回路4及び5を構成する。第1の放電用スイッチにトリガ信号を与えた後、点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に第2の放電用スイッチにトリガ信号を与えるように点火時期制御部15を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2輪車に搭載される内燃機関や汎用の内燃機関等を点火するために、コンデンサ放電式の点火装置が用いられている。コンデンサ放電式の点火装置は、点火コイルと、該点火コイルの一次側に設けられて点火用の電源部の出力により一方の極性に充電される点火用コンデンサと、該点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用スイッチとを備えていて、点火用コンデンサに蓄積された電荷の放電により点火コイルの一次コイルに立上りの速い電流を流して、該点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させる。
【0003】
ところで、最近、内燃機関の排気ガス規制の強化に伴って、排気ガスのより一層の浄化を図るために、燃料(混合気)を希薄にして燃焼させることが行なわれるようになっている。一般に、希薄混合気に点火するためには、大きな放電エネルギを有し、放電持続時間が長い火花放電を必要とする。
【0004】
コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置は、点火コイルの二次電圧の立上り時間(ライズタイム)が短いため、点火プラグの汚損(電極へのカーボンの付着等)による漏洩電流に起因する二次電圧の低下が少ないという特長があり、また点火コイルを小形に構成できる等の長所を有しているが、一方では、点火プラグの放電ギャップで生じる放電の継続時間(点火コイルに二次電流が流れている時間)が短いという欠点を有している。
【0005】
そこで、放電継続時間を長くするための工夫をしたコンデンサ放電式点火装置として、特許文献1に示された装置が提案されている。特許文献1に示された点火装置は、単一の一次コイル及び単一の二次コイルを有する点火コイルと、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部と、点火コイルの一次側に設けられて電源部の出力により一方の極性に充電される第1及び第2の点火用コンデンサと、第1及び第2の点火用コンデンサのそれぞれに対して設けられて第1及び第2のトリガ信号がそれぞれ与えられたときに導通して第1及び第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次側を通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチと、内燃機関の点火時期に第1の放電用スイッチに第1のトリガ信号を与え、第1の放電用スイッチの導通により点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に第2の放電用スイッチに第2のトリガ信号を与える点火時期制御部とを備えていて、第1の放電用スイッチの導通により1回目の点火動作を行なわせた後、続いて第2の放電用スイッチの導通により2回目の点火動作を行なわせることにより、放電継続時間を長くするようにしている。
【0006】
図5は、特許文献1に開示された点火装置の構成を概略的に示したもので、同図において、1は一端が接地された一次コイル1a及び二次コイル1bを有する点火コイル、2は図示しない内燃機関の気筒に取り付けられて、点火コイルの二次コイルに誘起する電圧が印加される点火プラグ、3は点火コイルの一次コイル1aの両端に接続されたフライホイールダイオードである。また4及び5はそれぞれ第1及び第2の点火回路で、第1及び第2の点火回路4及び5はそれぞれ、点火コイル1の一次コイル1aの非接地側の端子に一端が共通に接続された第1及び第2の点火用コンデンサ401及び501と、点火用コンデンサ401及び501の他端と接地間に接続されて、第1のトリガ信号Vt1及び第2のトリガ信号Vt2がそれぞれ与えられたときに導通して点火用コンデンサ401及び501にそれぞれ蓄積された電荷を点火コイル1の一次コイル1aを通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチ402及び502とにより構成されている。図示の例では、第1及び第2の放電用スイッチ402及び502がそれぞれサイリスタTh1及びTh2からなっている。
【0007】
6は内燃機関により駆動される磁石発電機のステータに設けられたエキサイタコイルで、エキサイタコイル6は、図6(A)に示したように、負の半波の電圧Venと正の半波の電圧Vepとからなる1サイクルの交流電圧Veを、機関のクランク軸が1回転する間に1回発生する。
【0008】
エキサイタコイル6の一端は、アノードをエキサイタコイルの一端側に向けたダイオード7を通して第1及び第2の点火用コンデンサ401及び501の他端に接続されている。エキサイタコイル6の一端はまた、カソードをエキサイタコイルの一端側に向けたダイオード8を通して接地回路に接続され、エキサイタコイル6の他端はカソードをエキサイタコイルの他端側に向けたダイオード9を通して接地されている。
【0009】
エキサイタコイル6の他端はまた、アノードをエキサイタコイル6の他端側に向けたダイオード10を通して電源回路11の非接地側入力端子に接続されるとともに、アノードをエキサイタコイルの他端側に向けたダイオード12を通して波形整形回路13の入力端子に接続されている。
【0010】
15はマイクロコンピュータ(CPU)を有する点火時期制御部で、エキサイタコイル6が出力する負の半波の電圧Venが波形整形回路13を通してマイクロコンピュータに入力されている。波形整形回路13は、図6(B)に示すように、負の半波の電圧Venの立上りでパルス信号Vpを出力する。この例では、内燃機関のピストンが上死点に達したときのクランク角位置(上死点位置という。)よりも十分に進角したクランク角位置に設定された基準クランク角位置でパルス信号Vpが発生するように、磁石発電機のステータとロータとの間の位置関係が設定されている。
【0011】
電源回路11はエキサイタコイル6の負の半波の電圧Venを一定のレベルを有する直流電圧Vccに変換する。この直流電圧Vccは、点火時期制御部15の電源端子や、波形整形回路13の電源端子(図示せず。)に与えられる。
【0012】
図5に示した点火装置においては、エキサイタコイル6が正の半波の電圧Vepを出力したときにダイオード7と、点火用コンデンサ401及び501と、点火コイルの一次コイル1a及びフライホイールダイオード3と、ダイオード9とを通して電流が流れて、点火用コンデンサ401及び501が図示の極性に充電され、図6(C)及び(D)に示されているように、コンデンサ401及び501のそれぞれの両端の電圧Vc1及びVc2が正の半波の電圧Vepの波高値(約200V)まで上昇していく。
【0013】
点火時期制御部15は、エキサイタコイル6が出力する負の半波の電圧Venを波形整形して得たパルス信号Vpの発生周期(機関が1回転するのに要する時間)から機関の回転速度を求めて、この回転速度に対して機関の点火時期を計測するために用いる点火時期検出用計時データT1を演算する。この点火時期検出用計時データT1は、機関のクランク軸が現在の回転速度で基準クランク角位置(パルス信号Vpが発生する位置)から点火時期に相当するクランク角位置まで回転するのに要する時間である。
【0014】
点火時期制御部15はまた、時刻t1に(基準クランク角位置で)パルス信号Vpが発生した時に演算された点火時期検出用計時データT1をタイマにセットして、その計測を開始する。そして、タイマが点火時期検出用計時データT1の計測を完了した時(点火時期を検出した時)に第1の放電用スイッチ402に第1のトリガ信号Vt1を与え、続いてタイマが更に設定された遅れ時間T2を計測したときに第2の放電用スイッチ502に第2のトリガ信号Vt2を与える。
【0015】
第1の放電用スイッチ402に第1のトリガ信号Vt1が与えられると、第1の放電用スイッチ402が導通するため、第1の点火用コンデンサ401に蓄積された電荷が第1の放電用スイッチ402と点火コイルの一次コイル1aとを通して放電し、図7(A)に示すように立ち上がりが速い一次電流ic1が流れる。この一次電流ic1がピークを過ぎて減少していく過程で一次コイル1aに図示の矢印方向(電流ic1の減少を妨げる方向)の誘起電圧が発生し、この誘起電圧によりフライホイールダイオード3と一次コイル1aとを通してフライホイール電流if1が流れる。
【0016】
上記一次電流ic1が流れることにより点火コイルの鉄心中で生じる磁束の変化により、点火プラグ2の放電ギャップの破壊電圧(数十KV)以上の点火用高電圧が二次コイル1bに誘起する。この点火用高電圧は点火プラグ2に印加されるため、点火プラグ2の放電ギャップ間に火花放電が生じ、点火コイルの二次コイル1bと点火プラグ2とを通して二次電流i21が流れる。フライホイール電流if1はこの二次電流i21が流れる時間を長くするように作用する。
【0017】
上記二次電流i21が流れている間に(放電が継続している間に)第2の放電用スイッチ502を導通させように、第1のトリガ信号Vt1が発生してから第2のトリガ信号Vt2が発生するまでの遅れ時間T2が設定されている。第2の放電用スイッチ502に第2のトリガ信号Vt2が与えられると、第2の放電用スイッチ502が導通するため、第2の点火用コンデンサ501に蓄積された電荷が第2の放電用スイッチ502と点火コイルの一次コイル1aとを通して放電し、図7(C)に示すように一次電流ic2が流れる。この一次電流ic2がピークを過ぎて減少していく過程で一次コイル1aに図示の矢印方向(電流ic2の減少を妨げる方向)の誘起電圧が発生し、図7(D)に示すようにこの誘起電圧によりフライホイールダイオード3と一次コイル1aとを通してフライホイール電流if2が流れる。立ち上がりが速い一次電流ic2が流れることにより図7(E)に示すように二次電流i22′が立ち上がり、点火コイルに二次電流が流れる時間(放電継続時間)が延長される。点火コイルに二次電流が流れている間の点火プラグの放電ギャップ間の電圧は通常2KV程度である。
【特許文献1】特開平10−252624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記従来のコンデンサ放電式点火装置において、放電継続時間を長くするためには、点火コイルの一次コイルのインダクタンスを大きくすればよいが、二次コイルに放電ギャップの破壊電圧以上の点火用高電圧(数十KV)を誘起させるためには、一次コイルに大きな電流を流す必要があるため、点火コイルの一次コイルのインダクタンスを大きくするには限界があった。そのため、従来は、点火用コンデンサの静電容量を大きく設定していたが、点火用コンデンサとして静電容量が大きいものを用いると点火装置が大形化したり、コストが高くなったりするという問題が生じる。また点火回路を3個設けることも考えられが、点火回路の数を増加させると点火装置の構造が複雑になる上にコストの上昇を招くため好ましくない。
【0019】
内燃機関用点火装置としては、コンデンサ放電式の点火装置の他に、点火コイルの一次コイルに流しておいた一次電流を遮断することにより点火用高電圧を誘起させる一次電流遮断式の点火装置が用いられているが、この一次電流遮断式の点火装置で流れる点火コイルの二次電流のピーク値は50mA程度である。これに対し、コンデンサ放電式の点火装置で流れる点火コイルの二次電流のピーク値は500mA程度である。図5に示した点火装置において、第1の点火回路4の動作時に流れる二次電流のピーク値は500mA程度必要であるとしても、放電継続時間を長くするために第2の点火回路5の動作時に流す二次電流のピーク値は、一次電流遮断式の点火装置で流れる二次電流のピーク値と同等でもよい。
【0020】
ところが、図5に示した従来の点火装置では、第1の点火回路4が動作したときに流れる一次電流ic1のピーク値と第2の点火回路5が動作したときに流れる一次電流ic2のピーク値とがほぼ同等であるため、点火回路4の動作により二次電流i21が流れている間に点火回路5の動作により流れる二次電流i22のピーク値は、点火回路4が動作したときに流れる二次電流i21のピーク値以上に大きくなる。そのため、従来の点火装置では、点火動作時に流れる二次電流の平均値が大きくなって、点火コイルの二次コイルの温度が高くなるという問題があり、この問題に対処するために、点火コイルの絶縁階級を高くしておく必要があったため、点火コイルのコストが高くなるのを避けられなかった。
【0021】
本発明の目的は、点火装置の大形化やコストの上昇を招くことなく、点火動作時の放電継続時間を長くして、点火性能の向上を図ることができるようにしたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグが二次側に接続された点火コイルと、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部と、点火コイルの一次側に設けられて電源部の出力により一方の極性に充電される第1及び第2の点火用コンデンサと、第1及び第2の点火用コンデンサのそれぞれに対して設けられて第1及び第2のトリガ信号がそれぞれ与えられたときに導通して第1及び第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次側を通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチと、内燃機関の点火時期に第1の放電用スイッチに前記第1のトリガ信号を与え、第1の放電用スイッチの導通により点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に第2の放電用スイッチに第2のトリガ信号を与える点火時期制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を対象とする。
【0023】
本発明においては、点火コイルが、第1の一次コイルと該第1の一次コイルに対して直列に接続された第2の一次コイルとを一次側に備えている。第1の放電用スイッチは、導通した際に第1の点火用コンデンサに蓄積された電荷を第1の一次コイルを通して放電させるように設けられ、第2の放電用スイッチは、導通した際に第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路を通して放電させるように設けられる。そして、点火コイルの第1の一次コイルに対して並列に第1のフライホイールダイオードが接続されるとともに、点火コイルの第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路に対して並列に第2のフライホイールダイオードが接続される。
【0024】
上記のように構成すると、第1の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値を大きくするために第1の点火用コンデンサの放電回路の一部を構成する点火コイルの一次コイル(第1の一次コイル)のインダクタンスを小さくしても、第2の一次コイルの巻数を十分に多くして第2の一次コイルのインダクタンスを大きくすることにより、第2の点火用コンデンサの放電回路の一部を構成する点火コイルの一次コイル(第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路)のインダクタンスを十分に大きくすることができる。そのため、第1の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値をなんら制限することなく、第2の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値を第1の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値よりも小さくすることができる。従って、第1の点火用コンデンサの放電時に大きなピーク値を有する二次電流が流れるのを許容しつつ、第2の点火用コンデンサの放電時に流れる二次電流のピーク値を制限して、点火コイルの二次電流の平均値を小さくすることができ、点火コイルの二次コイルの温度上昇を抑制することができ、これにより点火コイルの絶縁階級を従来よりも低くして、そのコストの低減を図ることができる。
【0025】
一般にコンデンサ放電式の点火装置においては、点火用コンデンサの静電容量を一定とした場合、点火コイルの一次コイルの抵抗RとインダクタンスLとの比R/Lが小さければ小さいほど点火プラグで生じる火花放電の継続時間が長くなる。上記のように構成すると、第1の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値を抑制することなく、第2の点火用コンデンサを放電する回路の一部を構成する一次コイルのインダクタンスを大きくしてR/Lを小さくすることができるため、点火用コンデンサの静電容量を特に大きくしたり、点火回路の数を増やしたりしなくても、放電継続時間を長くすることができる。
【0026】
本発明の好ましい態様では、点火コイルが、一端が接地された第1の一次コイルと該第1の一次コイルの他端に一端が接続されて該第1の一次コイルに対して直列に接続された第2の一次コイルとを一次側に備えていて、第1の一次コイルの他端及び第2の一次コイルの他端にそれぞれ第1の点火用コンデンサの一端及び第2の点火用コンデンサの一端が接続される。第1の放電用スイッチ及び第2の放電用スイッチはそれぞれ第1の点火用コンデンサの他端と接地間及び第2の点火用コンデンサの他端と接地間に接続され、点火コイルの第1の一次コイルの他端と接地間にカソードを接地側に向けた第1のフライホイールダイオードが接続されるとともに、点火コイルの第2の一次コイルの他端と接地間にカソードを接地側に向けた第2のフライホイールダイオードが接続される。
【0027】
上記のように、第1の一次コイルと第2の一次コイルとを直列に接続しておくと、第2の点火用コンデンサの電荷を放電させる点火コイルの一次コイルのインダクタンスを大きくすることが容易になる。しかし、本発明は、上記のように第1の一次コイルと第2の一次コイルとを直列に接続する場合に限定されるものではなく、第1の点火用コンデンサ及び第2の点火用コンデンサをそれぞれ第1の一次コイル及び第2の一次コイルを通して放電させるようにしてもよい。
【0028】
この場合は、点火コイルの一次側に、第1の一次コイルと該第1の一次コイルよりも巻き数が多い第2の一次コイルとが設けられる。第1の放電用スイッチは、導通した際に第1の点火用コンデンサに蓄積された電荷を第1の一次コイルを通して放電させるように設けられ、第2の放電用スイッチは、導通した際に第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を第2の一次コイルを通して放電させるように設けられる。そして、点火コイルの第1の一次コイルに対して並列に第1のフライホイールダイオードが接続され、点火コイルの第2の一次コイルに対して並列に第2のフライホイールダイオードが接続される。
【0029】
このように構成した場合も、第2の一次コイルの巻数を多くして、そのインダクタンスを十分に大きくしておくことにより、第1の一次コイル及び第2の一次コイルを直列に接続して、第2の点火用コンデンサの電荷を第1の一次コイルと第2の一次コイルとを通して放電させる構成をとる場合と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によれば、点火コイルに第1の一次コイルと第2の一次コイルとを設けて、第1の点火用コンデンサを第1の一次コイルを通して放電させた後、第2の点火用コンデンサを、インダクタンスが大きい第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路を通して放電させるか、または第1の点火用コンデンサを第1の一次コイルを通して放電させた後、第2の点火用コンデンサを第1の一次コイルよりもインダクタンスが大きい第2の一次コイルを通して放電させるようにしたので、第1の点火用コンデンサの放電時に大きなピーク値を有する二次電流が流れるのを許容しつつ、第2の点火用コンデンサの放電時に流れる二次電流のピーク値を制限して、点火コイルの二次電流の平均値を小さくすることができる。従って、点火コイルの二次コイルの温度上昇を抑制して、点火コイルの絶縁階級を従来よりも低くすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0031】
また本発明によれば、第1の点火用コンデンサの放電時に流れる一次電流のピーク値を抑制することなく、第2の点火用コンデンサを放電する回路の一部を構成する一次コイルのインダクタンスを大きくすることができるため、点火用コンデンサの静電容量を特に大きくしたり、点火回路の数を増やしたりしなくても、放電継続時間を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下図1ないし図3を参照して本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
図1は本実施形態の構成を示した回路図で、同図において、図5に示した従来の点火装置の各部と同等の部分にはそれぞれ同一の符号が付されている。
図1において、1は点火コイルで、この点火コイルは、一端が接地された第1の一次コイル1a1と、第1の一次コイル1a1の他端に一端が接続されて該第1の一次コイルに対して直列に接続された第2の一次コイル1a2とを一次側に備え、二次側には、一端が接地された一つの二次コイル1bを備えている。カソードが接地された第1のフライホイールダイオード301が点火コイルの第1の一次コイル1a1に対して並列に接続され、同じくカソードが接地された第2のフライホイールダイオード302が、点火コイルの第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路に対して並列に接続されている。
【0033】
また第1の一次コイル1a1の他端及び第2の一次コイル1a2の他端にそれぞれ第1の点火用コンデンサ401の一端及び第2の点火用コンデンサ501の一端が接続され、第1の点火用コンデンサ401の他端と接地間及び第2の点火用コンデンサ501の他端と接地間にそれぞれ第1の放電用スイッチ402及び第2の放電用スイッチ502を構成するサイリスタTh1及びTh2が、それぞれのカソードを接地側に向けて接続されている。
【0034】
第1の点火用コンデンサ401と第1の放電用スイッチ402とにより第1の点火回路4が構成され、第2の点火用コンデンサ401と第2の放電用スイッチ402とにより第2の点火回路5が構成されている。
【0035】
6は内燃機関により駆動される磁石発電機のステータに設けられたエキサイタコイルで、エキサイタコイル6は、図2(A)に示したように、負の半波の電圧Venと正の半波の電圧Vepとからなる1サイクルの交流電圧Veを、機関のクランク軸が1回転する間に1回だけ発生する。
【0036】
磁石発電機としては、例えば、機関のクランク軸に取り付けられたフライホイールの外周の一部に設けられた凹部内にフライホイールの径方向に着磁された磁石を取り付けて、該磁石の外側の磁極と、該磁石の両側のフライホイール外周面とにより3極の磁極を構成したフライホイール磁石回転子と、このフライホイール磁石回転子の磁極に対向する磁極部を両端に有する鉄心とこの鉄心に巻回されたエキサイタコイルとからなる固定子とにより構成されるものを用いることができる。このような磁石発電機を用いた場合、図2(A)に示した波形の負の半波の電圧Venに先だって波高値が小さい正の半波の電圧が発生し、正の半波の電圧Vepに続いて波高値が小さい負の半波の電圧が発生するが、図2(A)においては、電圧Venの前、及び電圧Vepの後に発生する波高値が小さい正負の半波の電圧を無視している。
【0037】
エキサイタコイル6の一端は、ダイオード7のアノードに接続され、ダイオード7のカソードは、第1及び第2の点火用コンデンサ401及び501の他端に接続されている。エキサイタコイル6の一端はまた、アノードが接地されたダイオード8のカソードに接続され、エキサイタコイル6の他端は、アノードが接地されたダイオード9のカソードに接続されている。
【0038】
エキサイタコイル6の他端はまた、アノードをエキサイタコイル6の他端側に向けたダイオード10を通して電源回路11の非接地側入力端子に接続されるとともに、アノードをエキサイタコイルの他端側に向けたダイオード12を通して波形整形回路13の入力端子に接続されている。波形整形回路13は、図2(B)に示すように、負の半波の電圧Venの立上りでパルス信号Vpを出力する。本実施形態においても、内燃機関のピストンが上死点に達したときのクランク角位置よりも十分に進角したクランク角位置に設定された基準クランク角位置でパルス信号Vpが発生するように、磁石発電機のステータとロータとの間の位置関係が設定されている。波形整形回路13が発生するパルス信号Vpは、点火時期制御部15内のマイクロコンピュータに入力されている。
【0039】
電源回路11は、エキサイタコイル6の負の半波の電圧Venを一定のレベルを有する直流電圧Vccに変換して、この直流電圧Vccを点火時期制御部15の電源端子や、波形整形回路13の電源端子に与える。
【0040】
図1に示した点火装置においては、エキサイタコイル6が正の半波の電圧Vepを出力したときに、エキサイタコイル6−ダイオード7−点火用コンデンサ401−一次コイル1a1及びフライホイールダイオード301−ダイオード9−エキサイタコイル6の回路と、エキサイタコイル6−ダイオード7−点火用コンデンサ501−一次コイル1a2,1a1の直列回路及びフライホイールダイオード302−ダイオード9−エキサイタコイル6の回路とに電流が流れて、第1及び第2の点火用コンデンサ401及び501が図示の極性に充電され、図2(C)及び(D)に示されているように、コンデンサ401及び501のそれぞれの両端の電圧Vc1及びVc2が正の半波の電圧Vepの波高値(約200V)まで上昇していく。この例では、エキサイタコイル6と、ダイオード7ないし9とにより、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部が構成されている。
【0041】
点火時期制御部15は、エキサイタコイル6が出力する負の半波の電圧Venを波形整形して得たパルス信号Vpの発生周期から機関の回転速度を求めて、この回転速度に対して機関の点火時期を計測するために用いる点火時期検出用計時データT1[機関のクランク軸が現在の回転速度で基準クランク角位置(パルス信号Vpが発生する位置)から点火時期に相当するクランク角位置まで回転するのに要する時間]を演算する。
【0042】
点火時期制御部15はまた、基準クランク角位置に相当する時刻t1にパルス信号Vpが発生した時に演算された点火時期検出用計時データT1をタイマにセットして、その計測を開始する。そして、タイマが点火時期検出用計時データT1の計測を完了した時(点火時期を検出した時)に第1の放電用スイッチ402に第1のトリガ信号Vt1を与え、続いてタイマが設定された遅れ時間T2を計測したときに第2の放電用スイッチ502に第2のトリガ信号Vt2を与える。
【0043】
第1の放電用スイッチ402に第1のトリガ信号Vt1が与えられると、第1の放電用スイッチ402が導通するため、第1の点火用コンデンサ401に蓄積された電荷が第1の放電用スイッチ402とインダクタンスが小さい第1の一次コイル1a1とを通して放電し、図3(A)に示すように立ち上がりが速い一次電流ic1が流れる。この一次電流ic1がピークを過ぎて減少していく過程で一次コイル1a1に電流ic1の減少を妨げる方向の誘起電圧が発生し、この誘起電圧によりフライホイールダイオード301と一次コイル1a1とを通してフライホイール電流if1(図3B)が流れる。
【0044】
上記一次電流ic1が流れることにより点火コイルの鉄心中で生じる磁束の変化により、点火プラグ2の放電ギャップの破壊電圧(数十KV)以上の点火用高電圧が二次コイル1bに誘起する。この点火用高電圧は点火プラグ2に印加されるため、点火プラグ2の放電ギャップ間に火花放電が生じ、図3(E)に示すように、点火コイルの二次コイル1bと点火プラグ2とを通して二次電流i21が流れる。
【0045】
上記二次電流i21が流れている間に(放電が継続している間に)第2の放電用スイッチ502を導通させように、第1のトリガ信号Vt1が発生してから第2のトリガ信号Vt2が発生するまでの遅れ時間T2が設定されている。第2の放電用スイッチ502に第2のトリガ信号Vt2が与えられると、第2の放電用スイッチ502が導通するため、第2の点火用コンデンサ501に蓄積された電荷が第2の放電用スイッチ502と第1の一次コイル1a1と第2の一次コイル1a2との直列回路とを通して放電し、図3(C)に示すように一次電流ic2が流れる。第2の点火用コンデンサ501の放電回路の一部を構成する点火コイルの一次コイルは、互いに直列接続された2つの一次コイル1a1及び1a2からなっているため、そのインダクタンスは、第1の一次コイル1a1単体のインダクタンスよりも大きい。従って、第2の点火用コンデンサ501が放電させられたときに流れる一次電流ic2の波高値は、第1の点火用コンデンサ401が放電させられたときに流れる一次電流ic1の波高値よりも小さくなる。この一次電流ic2がピークを過ぎて減少していく過程で一次コイル1aに電流ic2の減少を妨げる方向の誘起電圧が発生し、この誘起電圧によりフライホイールダイオード3と一次コイル1aとを通してフライホイール電流if2(図3D)が流れる。立ち上がりが速い一次電流ic2が流れることにより図2(G)及び図3(E)に示すように二次電流i22が立ち上がり、点火コイルに二次電流が流れる時間(放電継続時間)が延長される。
【0046】
本実施形態では、第2の一次コイル1a2の巻数を十分に多くして、そのインダクタンスを十分に大きくしておくことにより、第2の点火用コンデンサ501の放電回路の一部を構成する一次コイルのインダクタンスを、図5に示した従来の点火装置における点火コイルの一次コイル1aのインダクタンスに比べて(2ないし5倍程度に)大きくすることができるため、第2の点火用コンデンサ501の放電回路の一部を構成する一次コイルの抵抗RとインダクタンスLとの比R/Lを小さくして、放電継続時間を長くすることができる。
【0047】
第2の点火用コンデンサの静電容量を一定とした場合、第2の点火用コンデンサを一次コイル1a1及び1a2を通して放電させることにより得られる放電継続時間T4(図2G、図3E)は、図5に示した従来の点火装置において、第2の点火用コンデンサ501を一次コイル1aを通して放電させることにより得られる放電継続時間T4′(図6G、図7E)に比べて大幅に長くすることができるため、点火用コンデンサ501の静電容量を特に大きくしなくても点火火花の放電継続時間を十分に長くして点火性能を向上させることができる。
【0048】
また、第2の点火用コンデンサ501を放電させる回路のインダクタンスを大きくすることができるため、第2の点火用コンデンサの放電時に流れる二次電流i22の波高値を低くして、二次電流の平均値を小さくすることができ、二次コイルからの発熱を少なくすることができる。
【0049】
コンデンサ放電式の点火装置において、点火プラグ2に火花放電が生じているときの二次コイル1bの両端の電圧は2KV程度である。すなわち、点火プラグ2のギャップ間に火花放電を生じさせた後、その放電を持続させるためには、点火コイルの二次コイルに2KV以上の電圧を発生させるようにすればよい。
【0050】
一例として、点火用コンデンサ401及び501の充電電圧を200Vとした場合、点火コイルの第1の一次コイル1a1にはピーク値が60Aの一次電流が流れる。このとき二次コイルに20KV(二次無負荷電圧)が誘起するとすると、点火用コンデンサ501の放電時に一次コイル1a1と1a2との直列回路を通して流れる一次電流が6A以上になるように一次コイル1a2のインピーダンスを設定すれば、二次コイル1bに、点火プラグ2での放電を維持するために必要な2KV以上の電圧を発生させることができる。
【0051】
上記の実施形態では、第1の一次コイル1a1と第2の一次コイル1a2とを直列に接続したが、図4に示したように、第1の一次コイル1a1と第2の一次コイル1a2とを直列に接続することなく、第1の点火用コンデンサ401を第1の放電用スイッチ402と第1の一次コイル1a1とを通して放電させ、第2の点火用コンデンサ501を第2の放電用スイッチ502と第2の一次コイル1a2とを通して放電させるように、第1及び第2の点火回路4及び5を構成してもよい。
【0052】
図4に示した例では、第1の一次コイル1a1の一端と第2の一次コイル1a2の一端とが接地されて、第1の一次コイル1a1の他端及び第2の一次コイル1a2の他端にそれぞれ第1の点火用コンデンサ401の一端及び第2の点火用コンデンサ501の一端が接続され、第2の点火用コンデンサ401の他端と接地間及び第2の点火用コンデンサ501の他端と接地間にそれぞれ第1の放電用スイッチ402及び第2の放電用スイッチ502を構成するサイリスタTh1及びTh2がそれぞれのカソードを接地側に向けて接続されている。
この場合、第2の一次コイル1a2が第1の一次コイル1a1のインダクタンスよりも十分に大きいインダクタンスを持つように、第2の一次コイル1a2が、第1の一次コイル1a1よりも十分に多い巻数をもって巻回されている。そして、点火コイルの第1の一次コイル1a1に対して並列に第1のフライホイールダイオード301が接続され、点火コイルの第2の一次コイル1a2に対して並列に第2のフライホイールダイオード302が接続されている。
【0053】
図4に示したように構成した場合も、第1の一次コイル1a1の巻数を少なくしてそのインダクタンスを小さくし、第2の一次コイル1a2の巻数を多くして、そのインダクタンスを十分に大きくしておくことにより、第1の一次コイル及び第2の一次コイルを直列に接続して、第2の点火用コンデンサの電荷を第1の一次コイルと第2の一次コイルとを通して放電させる構成(図1の構成)をとる場合と同様の効果を得ることができる。
【0054】
上記の各実施形態では、第1の放電用スイッチ及び第2の放電用スイッチをサイリスタにより構成しているが、これらの放電用スイッチは自己保持機能を有するスイッチであればよく、サイリスタに限定されない。例えば、2つのMOSFETを組み合わせて、サイリスタと同等の機能を持たせたスイッチを放電用スイッチとして用いてもよい。
【0055】
上記の実施形態では、エキサイタコイル6と、ダイオード7ないし9とにより、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部を構成したが、コンデンサ充電用電源部の構成はこれに限定されない。例えば、バッテリとその端子電圧を2百数十ボルトまで昇圧するDC/DCコンバータとによりコンデンサ充電用電源部を構成することもできる。また機関により駆動される磁石発電機内に設けた、比較的巻数が少ない発電コイルと、この発電コイルの誘起電圧を昇圧するチョッパ回路と、該チョッパ回路の出力を整流する整流器とによりコンデンサ充電用電源部を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図1に示した点火装置の各部の電圧波形及び電流波形を示した波形図である。
【図3】図1に示した点火装置の点火コイルの一次側に流れる電流及び二次電流の波形を示した波形図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の構成を示した回路図である。
【図5】従来のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置の構成を示した回路図である。
【図6】図5に示した従来の点火装置の各部の電圧波形及び電流波形を示した波形図である。
【図7】図5に示した従来の点火装置の点火コイルの一次側に流れる電流及び二次電流の波形を示した波形図である。
【符号の説明】
【0057】
1 点火コイル
1a1 第1の一次コイル
1a2 第2の一次コイル
1b 二次コイル
2 点火プラグ
301 第1のフライホイールダイオード
302 第2のフライホイールダイオード
4 第1の点火回路
401 第1の点火用コンデンサ
402 第1の放電用スイッチ
5 第2の点火回路
501 第2の点火用コンデンサ
502 第2の放電用スイッチ
6 エキサイタコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグが二次側に接続された点火コイルと、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部と、前記点火コイルの一次側に設けられて前記電源部の出力により一方の極性に充電される第1及び第2の点火用コンデンサと、前記第1及び第2の点火用コンデンサのそれぞれに対して設けられて第1及び第2のトリガ信号がそれぞれ与えられたときに導通して前記第1及び第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次側を通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチと、前記内燃機関の点火時期に前記第1の放電用スイッチに前記第1のトリガ信号を与え、前記第1の放電用スイッチの導通により前記点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に前記第2の放電用スイッチに前記第2のトリガ信号を与える点火時期制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記点火コイルは、第1の一次コイルと該第1の一次コイルに対して直列に接続された第2の一次コイルとを一次側に備え、
前記第1の放電用スイッチは、導通した際に前記第1の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記第1の一次コイルを通して放電させるように設けられ、
前記第2の放電用スイッチは、導通した際に前記第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路を通して放電させるように設けられ、
前記点火コイルの第1の一次コイルに対して並列に第1のフライホイールダイオードが接続されるとともに、前記点火コイルの第1の一次コイルと第2の一次コイルとの直列回路に対して並列に第2のフライホイールダイオードが接続されていること、
を特徴とするコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
【請求項2】
内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグが二次側に接続された点火コイルと、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部と、前記点火コイルの一次側に設けられて前記電源部の出力により一方の極性に充電される第1及び第2の点火用コンデンサと、前記第1及び第2の点火用コンデンサのそれぞれに対して設けられて第1及び第2のトリガ信号がそれぞれ与えられたときに導通して前記第1及び第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次側を通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチと、前記内燃機関の点火時期に前記第1の放電用スイッチに前記第1のトリガ信号を与え、前記第1の放電用スイッチの導通により前記点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に前記第2の放電用スイッチに前記第2のトリガ信号を与える点火時期制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記点火コイルは、一端が接地された第1の一次コイルと該第1の一次コイルの他端に一端が接続されて該第1の一次コイルに対して直列に接続された第2の一次コイルとを一次側に備えていて、前記第1の一次コイルの他端及び第2の一次コイルの他端にそれぞれ前記第1の点火用コンデンサの一端及び第2の点火用コンデンサの一端が接続され、
前記第1の放電用スイッチ及び第2の放電用スイッチはそれぞれ前記第1の点火用コンデンサの他端と接地間及び前記第2の点火用コンデンサの他端と接地間に接続され、
前記点火コイルの第1の一次コイルの他端と接地間にカソードを接地側に向けた第1のフライホイールダイオードが接続されるとともに、前記点火コイルの第2の一次コイルの他端と接地間にカソードを接地側に向けた第2のフライホイールダイオードが接続されていること、
を特徴とするコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
【請求項3】
内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグが二次側に接続された点火コイルと、コンデンサ充電用の電圧を発生するコンデンサ充電用電源部と、前記点火コイルの一次側に設けられて前記電源部の出力により一方の極性に充電される第1及び第2の点火用コンデンサと、前記第1及び第2の点火用コンデンサのそれぞれに対して設けられて第1及び第2のトリガ信号がそれぞれ与えられたときに導通して前記第1及び第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次側を通して放電させる第1及び第2の放電用スイッチと、前記内燃機関の点火時期に前記第1の放電用スイッチに前記第1のトリガ信号を与え、前記第1の放電用スイッチの導通により前記点火プラグに発生した火花放電が消滅する前に前記第2の放電用スイッチに前記第2のトリガ信号を与える点火時期制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記点火コイルは、第1の一次コイルと該第1の一次コイルよりも巻き数が多い第2の一次コイルとを一次側に備え、
前記第1の放電用スイッチは、導通した際に前記第1の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記第1の一次コイルを通して放電させるように設けられ、
前記第2の放電用スイッチは、導通した際に前記第2の点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記第2の一次コイルを通して放電させるように設けられ、
前記点火コイルの第1の一次コイルに対して並列に第1のフライホイールダイオードが接続されるとともに、前記点火コイルの第2の一次コイルに対して並列に第2のフライホイールダイオードが接続されていること、
を特徴とするコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−120374(P2007−120374A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312382(P2005−312382)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】