コンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置
【課題】 電動機が起動不能な状態(拘束状態)にあることを、(運転用)進相コンデンサの電圧を検出することによって検知し、拘束状態にあるときには、一定時間、補助コンデンサを接続してコンデンサ容量を増やして起動トルクを増加させることにより、上記の問題点を解決することができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供する。
【解決手段】 電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、前記運転用コンデンサ3の両端の電圧を検出回路4,4´によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチRyaを閉状態にして前記補助コンデンサC1を閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させる方法。
【解決手段】 電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、前記運転用コンデンサ3の両端の電圧を検出回路4,4´によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチRyaを閉状態にして前記補助コンデンサC1を閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンデンサ電動機の起動トルク調整構造としては、たとえば実開昭49−12415号明細書(特許文献1)が知られている。
この先行技術によると、図6に示すように、電動機100の主巻線101と補助巻線102を共通端子103で接続するとともに、これら主巻線101と補助巻線102の他方端子104,105間に運転用コンデンサ106が接続されている。この運転用コンデンサ106には、互いに直列接続された常時開放型の始動トルク増大用開閉器107と始動用コンデンサ108が並列接続されている。電動機100には開閉器109を介して単相交流電源110が接続されている。
【0003】
このように先行技術では、運転用コンデンサ106と並列に始動用コンデンサ108が接続されており、運転用コンデンサ106だけではコンデンサ容量が不足して電動機100が始動しない時に、 始動トルク増大用の開閉器107を手で押せば、電動機100の始動トルクを一時的に数倍に増加させることができ、電動機本来の始動トルクだけでは始動できなかった電動機100を容易に始動させることができるというものである。
【特許文献1】実開昭49−12415号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行技術にあっては、起動トルクを一時的に増加させるためには、電動機が起動不能な状態になったことを作業者による目視、または検出装置を用いるなどして検知し、さらに開閉器107を人手または装置を用いて操作しなければならない。
したがってこのままではロボット等の自動機械に用いることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点(欠点)に着目してなされたもので、電動機が起動不能な状態(拘束状態)にあることを、(運転用)進相コンデンサの電圧を検出することによって検知し、拘束状態にあるときには、一定時間、補助コンデンサを接続してコンデンサ容量を増やして起動トルクを増加させることにより、上記の問題点を解決することができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、起動トルクを増加させることにより、従来は実質的に使用が不可能だった起動トルク以上のトルク領域での使用を可能にし、電動機が本来持っている性能を十分発揮させることができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを、本発明の他の目的とする。
さらに、本発明は、起動トルクを増加させても拘束状態から復帰できないときには、異常信号を外部へ出力することによって、電動機や電動機を用いた装置を保護することができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを本発明のまた他の目的とする。
またさらに、本発明は、電動機が無負荷状態または軽負荷状態にあるときは、一定時間補助コンデンサを電動機から切断してコンデンサ容量を減らしてトルクを減少させることにより、軽負荷時の電動機損失を減少させることができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを、本発明の他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出回路によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させることにある。
また、本発明は、ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサに並列接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理器で処理することによって、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出することにある。
さらに、本発明は、前記論理処理器の出力信号をタイマー回路で計測し、該タイマー回路によって一定の時間だけ前記常時開放型スイッチを閉状態にすることにある。
またさらに、本発明は、前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることにある。
また、本発明は、主巻線および補助巻線からなる電動機巻線に運転用コンデンサを接続し、この運転用コンデンサに、互いに直列接続された補助コンデンサおよび常時開放型スイッチを並列接続し、コンデンサ容量が不足して起動不能状態にあるときに該常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整装置において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出する検出回路を設け、該検出回路の検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間トルクを増加させる制御回路を設けたことにある。
さらに、本発明は、ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理する論理処理器を設け、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出する制御回路を設けたことにある。
またさらに、本発明は、前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは前記常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果としては、起動トルクを上げることにより、今までは実質使用不可能であった起動トルク以上の領域での使用が可能となり、モータの持つパフォーマンスを十分に発揮できるようになる。
また、起動トルクを上げても拘束状態から復帰できない状態を検出でき、異常状態として外部へ信号出力することができるため、装置の異常またはモータの異常を、モータ内蔵サーマルが働く前またはモータ破損にいたる前に検出でき、早急な対応ができる。
同様な方法にて、起動トルクUPだけではなく、軽負荷時の損失低減を目的とした進相コンデンサ調整や、過負荷時のトルクアップが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図示の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のコンデンサ電動機のトルク調整装置を示した概念図、図2は、本発明のコンデンサ電動機のトルク調整装置の実施の形態を示す回路図である。
【0009】
図1において、1はコンセント2を介して単相電源に接続されたコンデンサラン型誘導電動機で、このコンデンサラン型誘導電動機1の図示しない巻線には、運転用進相コンデンサ3が並列接続されている。4は、運転用進相コンデンサ3に並列接続された負荷検出および制御回路である。
【0010】
負荷検出および制御回路4は、図2に示すように、運転用進相コンデンサ3に並列接続された起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1と常時開放型スイッチRyaの直列回路に並列接続されている。常時開放型スイッチRyaは、直流電源Eによって作動する外部リレーRyの作動により励磁されて閉成するものである。
【0011】
前記負荷検出および制御回路4は、図2に示すように、進相コンデンサ3に、抵抗5、ツェナーダイオード6および発光ダイオード(LED)7の直列回路8を複数(図示例では4)並列接続したもので、この直列回路8に、抵抗5および発光ダイオード7の直列回路9が並列接続されて構成されている。抵抗5、ツェナーダイオード6、および発光ダイオード7の直列回路81〜84は、発光ダイオード7のアノードに抵抗5の一方を接続し、発光ダイオード7のカソードにツェナーダイオード6のカソードが接続されている。図2の回路ではそれぞれ2個のツェナーダイオード6が直列接続され、一端のツェナーダイオード6のアノードが互いに共通接続されて進相コンデンサ3の一方に接続されている。各抵抗5の他方は共通接続されて進相コンデンサ3の他方に接続されている。各直列回路81〜84は、各ツェナーダイオード61〜64の導通するツェナー電圧が異なるように設定されているので、どのツェナーダイオード61〜64が導通するかによって、発光ダイオード71〜74を点燈させて、電圧値を読み取ることができる。直列回路85は、抵抗5および発光ダイオード75のみを直列接続したもので、発光ダイオード75の点燈によって拘束状態であることを表す。
【0012】
前記負荷検出および制御回路4は、前記直列回路81〜84のひとつにフォトカプラ10を接続し、直列回路9の抵抗5と発光ダイオード75との間にフォトカプラ11を接続したものである。
フォトカプラ10、11は、発光素子に、発光ダイオード、受光素子に、フォトトランジスタを用いたものである。フォトカプラ10、11の各フォトトランジスタ部のコレクタ側は、抵抗R1,R2を介して電源に接続されている。
12は、フォトカプラ10、11からの信号が入力される排他的論理和回路(EOR)である。13は排他的論理和回路(EOR)12の出力がベースに入力される出力用トランジスタであり、このトランジスタ13はコレクタ側にアラーム(ALARM)が接続され、エミッタ側が接地(GND)されている。VccはEOR12のゲートに電流を流すゲート駆動用の電源端子である。
19は、排他的論理和回路(EOR)12と出力用トランジスタ13のベースとの間に挿入されたタイマー回路であり、EOR12の信号に基づき、一定時間、出力用トランジスタ13のベースに電流を流すものである。出力用トランジスタ13のコレクタとエミッタ間には前記直流電源Eが接続されている。
【0013】
次に上記コンデンサ電動機のトルク調整装置の動作を説明する。
コンデンサ電動機はモータの負荷状況により、進相コンデンサ3の両端電圧が変化するため、その電圧値を読み取り、モータの負荷状況を推測する。
図2に示す検出部では、進相コンデンサ3の両端電圧の検出の具体的な方法として、ツェナーダイオード61〜64による電圧検出を用い、本実施の形態においては、5段階でモータの負荷状況を表示する例を示している。
【0014】
モータの拘束状態を検出する方法の1例として、図2に示すようにコンデンサ電圧の2状態のEORを取ることにより検出する方法を示している。
ツェナーダイオード64、フォトカプラ10、抵抗5の直列回路84と、フォトカプラ11、抵抗5の直列回路9を、運転用進相コンデンサ3の両端に各々接続する。
電動機の電源がONされると進相コンデンサ3に電圧が発生し、フォトカプラ11がONする。通常の負荷で電動機が駆動されると進相コンデンサ3にはツェナーダイオード64のツェナー電圧より大きな電圧がかかるためフォトカプラ10もONする。
【0015】
ここで、モータの負荷が大きくなり拘束状態になったとする。
すると進相コンデンサ3の電圧がツェナーダイオード64のツェナー電圧を下回り、フォトカプラ10はOFFされる。この検出回路により拘束状態を検出した時、タイマー回路19とそれに接続されたトランジスタ13により一定時間、外部リレーRyにより、常時開放型スイッチRyaが閉路し、補助コンデンサC1がONする。
これにより起動時のトルクUPが実現される。仮にモータが本当に拘束状態に有る場合でも、起動トルクを上げている期間は一定期間であるためモータへ過剰な電流供給は行われることはない。また、一定時間トルクを上げたにも関わらず、起動しない(=拘束状態のまま)ということを検出し、異常状態として外部にアラームとして出力させることも可能となる。
【0016】
具体的なモータ特性図で説明すると、図3(a)は従来のモータの回転速度−トルク特性における起動トルクと定格トルクの関係を示す特性図で、この図からもわかるように、通常、モータの定格トルクに比べ起動トルクが低い値となっているため、通常の使用では起動トルク以下の範囲が実際の使用可能範囲となる。これに対し、起動トルクUP後の使用可能範囲を示した図3(b)で示すように起動トルクを一時的に上げ、モータを回転させることにより、使用可能範囲が図で示すように起動トルクがUPされたところまで引き上げられ、定格トルク付近での使用が可能となる。
【0017】
図4は、図2と同一部分は同符号を付して示す、本発明の他の実施の形態で、この場合、 負荷検出および制御回路4´は、コンデンサの切替えを拘束状態のみならず、無負荷状態(=軽負荷状態)においても切替えられるようにしたものである。
この場合、運転用進相コンデンサ3に並列接続された起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1と常時開放型スイッチRy1aの直列回路に、軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)C2と常時閉鎖型スイッチRy2aの直列回路が並列接続されている。常時開放型スイッチRy1aは、直流電源E1によって作動する外部リレーRy1の作動により励磁されて閉成するものである。
常時閉鎖型スイッチRy2aは、直流電源E1とは別の直流電源E2によって作動する外部リレーRy2の作動により励磁されて開放するものである。
【0018】
102は、直列回路81のツェナーダイオード61と発光ダイオード71の間に挿入されたフォトカプラ102であり、このフォトカプラ102は、直列回路84のツェナーダイオード64と発光ダイオード74の間に挿入されたフォトカプラ101と同様に、トランジスタ部のコレクタ側を抵抗5を介して電源に接続され、エミッタ側を接地されている。
また、フォトカプラ102は、トランジスタ部のコレクタ側にタイマー回路172が接続され、トランジスタ132のベースに信号を出力するものである。このトランジスタ132は、コレクタ側を前記外部リレーRy2を介して電源E2の正側に接続され、エミッタ側を電源E2の負側に接続されている。
【0019】
こうして、上記実施の形態では、フォトカプラ102の作動により、タイマー回路172により、一定時間、トランジスタ132を作動し、リレーRy2を励磁する。こうして、常時閉鎖型スイッチRy2aを開放して、無負荷時のコンデンサ容量を減らして、無負荷時のモータ損失を低減させることができる。
起動トルクUPについては、図2の実施の形態と同じであり、同様な回路を軽負荷検出部に追加し、進相コンデンサをON/OFF調整する。
【0020】
コンデンサ容量を切替えるにあたっては、拘束時と同様に一定時間保持させるためのタイマーをタイマー回路172に持たせ、切替えの電圧閾値に対してはヒステリシスを持たせることにより切替えのハンチングを防止する。
また、図5に示すように軽負荷領域で進相コンデンサ容量を調整するのと同様に過負荷領域で進相コンデンサ3を調整する機能をつけることにより、一時的な過負荷状態、例えば紙送り機構での紙詰まりなど、において、一時的に進相コンデンサ容量を増大させ、トルクを上げることにより、過負荷状態を回避する(例として、紙詰まりが解消する)手段となる。
この一時的にトルクを上げることも過負荷状態が回避できないことを想定し、タイマーを設け、一定時間のみトルクを上げるように調整する。
【0021】
上記実施の形態によれば、起動トルクを上げることにより、今までは実質使用不可能であった起動トルク以上の領域での使用が可能となり、モータの持つパフォーマンスを十分に発揮できるようになる。
また、起動トルクを上げても拘束状態から復帰できない状態を検出でき、異常状態として外部へ信号出力することができるため、装置の異常またはモータの異常を、モータ内蔵サーマルが働く前またはモータ破損にいたる前に検出でき、早急な対応ができる。
同様な方法にて、起動トルク向上だけではなく、軽負荷時の損失低減を目的とした進相コンデンサ調整や、過負荷時のトルクアップが可能となる。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、コンデンサラン型誘導電動機について、説明したが、コンデンサ電動機であれば、他の電動機にも適用しうることは言うまでもない。また、起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1あるいは、軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)C2は、1つに限らず複数用いることができる。常時開放型スイッチRyaあるいはRy1a、および常時閉鎖型スイッチRy2aは、起動トルクUP用コンデンサあるいはトルク調整用進相コンデンサの回路を開閉できるものであれば、リレーの接点に限らず、他の接点を用いることもできる。またさらに、発光ダイオード71〜75としては、5個の場合について説明したが、5個よりも少なくても良く、あるいは多くても良いことは言うまでもない。さらに、ツェナーダイオード61〜64としては2個直列接続にしたものを4個用いて説明したが、ツェナーダイオードは、1個あるいは2個以上を直列接続しても良く、あるいは、ツェナーダイオード61〜64の直列回路も4個以上でも4個以下でも良いことは言うまでもない。その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す回路図である。
【図3】起動トルクと定格トルクとの関係を示す特性図で、(a)は従来のコンデンサ電動機の特性図、(b)は本発明のコンデンサ電動機のトルク調整方法による特性図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す回路図である。
【図5】図4に示すコンデンサ電動機のトルク調整方法における起動トルクと定格トルクとの関係を示す特性図である。
【図6】従来のコンデンサ電動機の起動トルク調整構造を示す回路図である。
【符号の説明】
【0024】
1 コンデンサラン型誘導電動機
2 単相電源
3 進相コンデンサ
4,4´ 負荷検出および制御回路
5 抵抗
6,61〜64 ツェナーダイオード
7,71〜74,75 発光ダイオード(LED)
8,81〜84,9 直列回路
10,101,102,11 フォトカプラ
12 排他的論理和回路(EOR)
13,131,132 出力用トランジスタ
171,172 タイマー回路
C1 起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)
C2 軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)
Ry,Ry1,Ry2 リレー
Rya,Ry1a 常時開放型スイッチ
Ry2a 常時閉鎖型スイッチ
E,E1,E2 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンデンサ電動機の起動トルク調整構造としては、たとえば実開昭49−12415号明細書(特許文献1)が知られている。
この先行技術によると、図6に示すように、電動機100の主巻線101と補助巻線102を共通端子103で接続するとともに、これら主巻線101と補助巻線102の他方端子104,105間に運転用コンデンサ106が接続されている。この運転用コンデンサ106には、互いに直列接続された常時開放型の始動トルク増大用開閉器107と始動用コンデンサ108が並列接続されている。電動機100には開閉器109を介して単相交流電源110が接続されている。
【0003】
このように先行技術では、運転用コンデンサ106と並列に始動用コンデンサ108が接続されており、運転用コンデンサ106だけではコンデンサ容量が不足して電動機100が始動しない時に、 始動トルク増大用の開閉器107を手で押せば、電動機100の始動トルクを一時的に数倍に増加させることができ、電動機本来の始動トルクだけでは始動できなかった電動機100を容易に始動させることができるというものである。
【特許文献1】実開昭49−12415号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行技術にあっては、起動トルクを一時的に増加させるためには、電動機が起動不能な状態になったことを作業者による目視、または検出装置を用いるなどして検知し、さらに開閉器107を人手または装置を用いて操作しなければならない。
したがってこのままではロボット等の自動機械に用いることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点(欠点)に着目してなされたもので、電動機が起動不能な状態(拘束状態)にあることを、(運転用)進相コンデンサの電圧を検出することによって検知し、拘束状態にあるときには、一定時間、補助コンデンサを接続してコンデンサ容量を増やして起動トルクを増加させることにより、上記の問題点を解決することができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、起動トルクを増加させることにより、従来は実質的に使用が不可能だった起動トルク以上のトルク領域での使用を可能にし、電動機が本来持っている性能を十分発揮させることができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを、本発明の他の目的とする。
さらに、本発明は、起動トルクを増加させても拘束状態から復帰できないときには、異常信号を外部へ出力することによって、電動機や電動機を用いた装置を保護することができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを本発明のまた他の目的とする。
またさらに、本発明は、電動機が無負荷状態または軽負荷状態にあるときは、一定時間補助コンデンサを電動機から切断してコンデンサ容量を減らしてトルクを減少させることにより、軽負荷時の電動機損失を減少させることができるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置を提供することを、本発明の他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出回路によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させることにある。
また、本発明は、ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサに並列接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理器で処理することによって、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出することにある。
さらに、本発明は、前記論理処理器の出力信号をタイマー回路で計測し、該タイマー回路によって一定の時間だけ前記常時開放型スイッチを閉状態にすることにある。
またさらに、本発明は、前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることにある。
また、本発明は、主巻線および補助巻線からなる電動機巻線に運転用コンデンサを接続し、この運転用コンデンサに、互いに直列接続された補助コンデンサおよび常時開放型スイッチを並列接続し、コンデンサ容量が不足して起動不能状態にあるときに該常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整装置において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出する検出回路を設け、該検出回路の検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間トルクを増加させる制御回路を設けたことにある。
さらに、本発明は、ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理する論理処理器を設け、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出する制御回路を設けたことにある。
またさらに、本発明は、前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは前記常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果としては、起動トルクを上げることにより、今までは実質使用不可能であった起動トルク以上の領域での使用が可能となり、モータの持つパフォーマンスを十分に発揮できるようになる。
また、起動トルクを上げても拘束状態から復帰できない状態を検出でき、異常状態として外部へ信号出力することができるため、装置の異常またはモータの異常を、モータ内蔵サーマルが働く前またはモータ破損にいたる前に検出でき、早急な対応ができる。
同様な方法にて、起動トルクUPだけではなく、軽負荷時の損失低減を目的とした進相コンデンサ調整や、過負荷時のトルクアップが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図示の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のコンデンサ電動機のトルク調整装置を示した概念図、図2は、本発明のコンデンサ電動機のトルク調整装置の実施の形態を示す回路図である。
【0009】
図1において、1はコンセント2を介して単相電源に接続されたコンデンサラン型誘導電動機で、このコンデンサラン型誘導電動機1の図示しない巻線には、運転用進相コンデンサ3が並列接続されている。4は、運転用進相コンデンサ3に並列接続された負荷検出および制御回路である。
【0010】
負荷検出および制御回路4は、図2に示すように、運転用進相コンデンサ3に並列接続された起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1と常時開放型スイッチRyaの直列回路に並列接続されている。常時開放型スイッチRyaは、直流電源Eによって作動する外部リレーRyの作動により励磁されて閉成するものである。
【0011】
前記負荷検出および制御回路4は、図2に示すように、進相コンデンサ3に、抵抗5、ツェナーダイオード6および発光ダイオード(LED)7の直列回路8を複数(図示例では4)並列接続したもので、この直列回路8に、抵抗5および発光ダイオード7の直列回路9が並列接続されて構成されている。抵抗5、ツェナーダイオード6、および発光ダイオード7の直列回路81〜84は、発光ダイオード7のアノードに抵抗5の一方を接続し、発光ダイオード7のカソードにツェナーダイオード6のカソードが接続されている。図2の回路ではそれぞれ2個のツェナーダイオード6が直列接続され、一端のツェナーダイオード6のアノードが互いに共通接続されて進相コンデンサ3の一方に接続されている。各抵抗5の他方は共通接続されて進相コンデンサ3の他方に接続されている。各直列回路81〜84は、各ツェナーダイオード61〜64の導通するツェナー電圧が異なるように設定されているので、どのツェナーダイオード61〜64が導通するかによって、発光ダイオード71〜74を点燈させて、電圧値を読み取ることができる。直列回路85は、抵抗5および発光ダイオード75のみを直列接続したもので、発光ダイオード75の点燈によって拘束状態であることを表す。
【0012】
前記負荷検出および制御回路4は、前記直列回路81〜84のひとつにフォトカプラ10を接続し、直列回路9の抵抗5と発光ダイオード75との間にフォトカプラ11を接続したものである。
フォトカプラ10、11は、発光素子に、発光ダイオード、受光素子に、フォトトランジスタを用いたものである。フォトカプラ10、11の各フォトトランジスタ部のコレクタ側は、抵抗R1,R2を介して電源に接続されている。
12は、フォトカプラ10、11からの信号が入力される排他的論理和回路(EOR)である。13は排他的論理和回路(EOR)12の出力がベースに入力される出力用トランジスタであり、このトランジスタ13はコレクタ側にアラーム(ALARM)が接続され、エミッタ側が接地(GND)されている。VccはEOR12のゲートに電流を流すゲート駆動用の電源端子である。
19は、排他的論理和回路(EOR)12と出力用トランジスタ13のベースとの間に挿入されたタイマー回路であり、EOR12の信号に基づき、一定時間、出力用トランジスタ13のベースに電流を流すものである。出力用トランジスタ13のコレクタとエミッタ間には前記直流電源Eが接続されている。
【0013】
次に上記コンデンサ電動機のトルク調整装置の動作を説明する。
コンデンサ電動機はモータの負荷状況により、進相コンデンサ3の両端電圧が変化するため、その電圧値を読み取り、モータの負荷状況を推測する。
図2に示す検出部では、進相コンデンサ3の両端電圧の検出の具体的な方法として、ツェナーダイオード61〜64による電圧検出を用い、本実施の形態においては、5段階でモータの負荷状況を表示する例を示している。
【0014】
モータの拘束状態を検出する方法の1例として、図2に示すようにコンデンサ電圧の2状態のEORを取ることにより検出する方法を示している。
ツェナーダイオード64、フォトカプラ10、抵抗5の直列回路84と、フォトカプラ11、抵抗5の直列回路9を、運転用進相コンデンサ3の両端に各々接続する。
電動機の電源がONされると進相コンデンサ3に電圧が発生し、フォトカプラ11がONする。通常の負荷で電動機が駆動されると進相コンデンサ3にはツェナーダイオード64のツェナー電圧より大きな電圧がかかるためフォトカプラ10もONする。
【0015】
ここで、モータの負荷が大きくなり拘束状態になったとする。
すると進相コンデンサ3の電圧がツェナーダイオード64のツェナー電圧を下回り、フォトカプラ10はOFFされる。この検出回路により拘束状態を検出した時、タイマー回路19とそれに接続されたトランジスタ13により一定時間、外部リレーRyにより、常時開放型スイッチRyaが閉路し、補助コンデンサC1がONする。
これにより起動時のトルクUPが実現される。仮にモータが本当に拘束状態に有る場合でも、起動トルクを上げている期間は一定期間であるためモータへ過剰な電流供給は行われることはない。また、一定時間トルクを上げたにも関わらず、起動しない(=拘束状態のまま)ということを検出し、異常状態として外部にアラームとして出力させることも可能となる。
【0016】
具体的なモータ特性図で説明すると、図3(a)は従来のモータの回転速度−トルク特性における起動トルクと定格トルクの関係を示す特性図で、この図からもわかるように、通常、モータの定格トルクに比べ起動トルクが低い値となっているため、通常の使用では起動トルク以下の範囲が実際の使用可能範囲となる。これに対し、起動トルクUP後の使用可能範囲を示した図3(b)で示すように起動トルクを一時的に上げ、モータを回転させることにより、使用可能範囲が図で示すように起動トルクがUPされたところまで引き上げられ、定格トルク付近での使用が可能となる。
【0017】
図4は、図2と同一部分は同符号を付して示す、本発明の他の実施の形態で、この場合、 負荷検出および制御回路4´は、コンデンサの切替えを拘束状態のみならず、無負荷状態(=軽負荷状態)においても切替えられるようにしたものである。
この場合、運転用進相コンデンサ3に並列接続された起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1と常時開放型スイッチRy1aの直列回路に、軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)C2と常時閉鎖型スイッチRy2aの直列回路が並列接続されている。常時開放型スイッチRy1aは、直流電源E1によって作動する外部リレーRy1の作動により励磁されて閉成するものである。
常時閉鎖型スイッチRy2aは、直流電源E1とは別の直流電源E2によって作動する外部リレーRy2の作動により励磁されて開放するものである。
【0018】
102は、直列回路81のツェナーダイオード61と発光ダイオード71の間に挿入されたフォトカプラ102であり、このフォトカプラ102は、直列回路84のツェナーダイオード64と発光ダイオード74の間に挿入されたフォトカプラ101と同様に、トランジスタ部のコレクタ側を抵抗5を介して電源に接続され、エミッタ側を接地されている。
また、フォトカプラ102は、トランジスタ部のコレクタ側にタイマー回路172が接続され、トランジスタ132のベースに信号を出力するものである。このトランジスタ132は、コレクタ側を前記外部リレーRy2を介して電源E2の正側に接続され、エミッタ側を電源E2の負側に接続されている。
【0019】
こうして、上記実施の形態では、フォトカプラ102の作動により、タイマー回路172により、一定時間、トランジスタ132を作動し、リレーRy2を励磁する。こうして、常時閉鎖型スイッチRy2aを開放して、無負荷時のコンデンサ容量を減らして、無負荷時のモータ損失を低減させることができる。
起動トルクUPについては、図2の実施の形態と同じであり、同様な回路を軽負荷検出部に追加し、進相コンデンサをON/OFF調整する。
【0020】
コンデンサ容量を切替えるにあたっては、拘束時と同様に一定時間保持させるためのタイマーをタイマー回路172に持たせ、切替えの電圧閾値に対してはヒステリシスを持たせることにより切替えのハンチングを防止する。
また、図5に示すように軽負荷領域で進相コンデンサ容量を調整するのと同様に過負荷領域で進相コンデンサ3を調整する機能をつけることにより、一時的な過負荷状態、例えば紙送り機構での紙詰まりなど、において、一時的に進相コンデンサ容量を増大させ、トルクを上げることにより、過負荷状態を回避する(例として、紙詰まりが解消する)手段となる。
この一時的にトルクを上げることも過負荷状態が回避できないことを想定し、タイマーを設け、一定時間のみトルクを上げるように調整する。
【0021】
上記実施の形態によれば、起動トルクを上げることにより、今までは実質使用不可能であった起動トルク以上の領域での使用が可能となり、モータの持つパフォーマンスを十分に発揮できるようになる。
また、起動トルクを上げても拘束状態から復帰できない状態を検出でき、異常状態として外部へ信号出力することができるため、装置の異常またはモータの異常を、モータ内蔵サーマルが働く前またはモータ破損にいたる前に検出でき、早急な対応ができる。
同様な方法にて、起動トルク向上だけではなく、軽負荷時の損失低減を目的とした進相コンデンサ調整や、過負荷時のトルクアップが可能となる。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、コンデンサラン型誘導電動機について、説明したが、コンデンサ電動機であれば、他の電動機にも適用しうることは言うまでもない。また、起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)C1あるいは、軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)C2は、1つに限らず複数用いることができる。常時開放型スイッチRyaあるいはRy1a、および常時閉鎖型スイッチRy2aは、起動トルクUP用コンデンサあるいはトルク調整用進相コンデンサの回路を開閉できるものであれば、リレーの接点に限らず、他の接点を用いることもできる。またさらに、発光ダイオード71〜75としては、5個の場合について説明したが、5個よりも少なくても良く、あるいは多くても良いことは言うまでもない。さらに、ツェナーダイオード61〜64としては2個直列接続にしたものを4個用いて説明したが、ツェナーダイオードは、1個あるいは2個以上を直列接続しても良く、あるいは、ツェナーダイオード61〜64の直列回路も4個以上でも4個以下でも良いことは言うまでもない。その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す回路図である。
【図3】起動トルクと定格トルクとの関係を示す特性図で、(a)は従来のコンデンサ電動機の特性図、(b)は本発明のコンデンサ電動機のトルク調整方法による特性図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるコンデンサ電動機のトルク調整方法およびトルク調整装置の構成を示す回路図である。
【図5】図4に示すコンデンサ電動機のトルク調整方法における起動トルクと定格トルクとの関係を示す特性図である。
【図6】従来のコンデンサ電動機の起動トルク調整構造を示す回路図である。
【符号の説明】
【0024】
1 コンデンサラン型誘導電動機
2 単相電源
3 進相コンデンサ
4,4´ 負荷検出および制御回路
5 抵抗
6,61〜64 ツェナーダイオード
7,71〜74,75 発光ダイオード(LED)
8,81〜84,9 直列回路
10,101,102,11 フォトカプラ
12 排他的論理和回路(EOR)
13,131,132 出力用トランジスタ
171,172 タイマー回路
C1 起動トルクUP用コンデンサ(第1の補助コンデンサ)
C2 軽負荷時のトルク調整用進相コンデンサ(第2の補助コンデンサ)
Ry,Ry1,Ry2 リレー
Rya,Ry1a 常時開放型スイッチ
Ry2a 常時閉鎖型スイッチ
E,E1,E2 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、
前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出回路によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させることを特徴とするコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項2】
ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサに並列接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理器で処理することによって、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項3】
前記論理処理器の出力信号をタイマー回路で計測し、該タイマー回路によって一定の時間だけ前記常時開放型スイッチを閉状態にすることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項4】
前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項5】
主巻線および補助巻線からなる電動機巻線に運転用コンデンサを接続し、この運転用コンデンサに、互いに直列接続された補助コンデンサおよび常時開放型スイッチを並列接続し、コンデンサ容量が不足して起動不能状態にあるときに該常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整装置において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出する検出回路を設け、該検出回路の検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間トルクを増加させる制御回路を設けたことを特徴とするコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【請求項6】
ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理する論理処理器を設け、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出する制御回路を設けたことを特徴とする請求項5に記載のコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【請求項7】
前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは前記常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることを特徴とする請求項5または6に記載のコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【請求項1】
電動機巻線に接続された運転用コンデンサに補助コンデンサを並列接続し、該補助コンデンサに接続された常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整方法において、
前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出回路によって検出し、該検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間、起動トルクを増加させることを特徴とするコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項2】
ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサに並列接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理器で処理することによって、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項3】
前記論理処理器の出力信号をタイマー回路で計測し、該タイマー回路によって一定の時間だけ前記常時開放型スイッチを閉状態にすることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項4】
前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ電動機のトルク調整方法。
【請求項5】
主巻線および補助巻線からなる電動機巻線に運転用コンデンサを接続し、この運転用コンデンサに、互いに直列接続された補助コンデンサおよび常時開放型スイッチを並列接続し、コンデンサ容量が不足して起動不能状態にあるときに該常時開放型スイッチを閉状態にして該補助コンデンサを作動し、前記コンデンサ容量を増加させてトルクを調整するコンデンサ電動機のトルク調整装置において、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出する検出回路を設け、該検出回路の検出値が所定値以下のときには電動機が拘束状態にあると判定し、前記常時開放型スイッチを閉状態にして前記補助コンデンサを閉状態にして、一時的にコンデンサ容量を増加させて、所定時間トルクを増加させる制御回路を設けたことを特徴とするコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【請求項6】
ツェナーダイオード、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続するとともに、フォトカプラ、抵抗を直列接続した回路を前記運転用コンデンサの両端に接続し、かつ、前記2つのフォトカプラからの出力信号を論理処理する論理処理器を設け、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧を閾値として、前記運転用コンデンサの両端電圧を検出する制御回路を設けたことを特徴とする請求項5に記載のコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【請求項7】
前記運転用コンデンサと並列に接続された第2の補助コンデンサを備え、該補助コンデンサは前記常時閉鎖型スイッチによって開状態または閉状態を選択でき、前記運転用コンデンサの両端の電圧を検出し、該検出値が所定値以上のときには電動機が軽負荷状態にあると判定し、前記常時閉鎖型スイッチを開状態にして補助コンデンサを開状態にして、一時的にコンデンサ容量を減少させて、所定時間トルクを減少させることを特徴とする請求項5または6に記載のコンデンサ電動機のトルク調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−148021(P2009−148021A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320540(P2007−320540)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
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