コンバインの操作装置
【課題】 コンバインにおける条合わせのための進路方向の微調整の作業性を向上させること。
【解決手段】 運転席(20)の左側のサイドコラムに主変速レバー(54)を配設すると共に、運転席(20)の前方の運転操作部(19)に丸形の操向ハンドル(77)を配設し、同操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を設け、同スイッチ台(119)に、指先で操作可能なスイッチ(122)であって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチ(122)を設ける。
【解決手段】 運転席(20)の左側のサイドコラムに主変速レバー(54)を配設すると共に、運転席(20)の前方の運転操作部(19)に丸形の操向ハンドル(77)を配設し、同操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を設け、同スイッチ台(119)に、指先で操作可能なスイッチ(122)であって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチ(122)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱深さ調節用の扱深さスイッチや刈取昇降用の刈取昇降スイッチなど各種作業スイッチは、通常は主変速レバーや副変速レバーなど各種作業操作レバーの配設される運転席左側位置に設けられていて、左手でもってこれらの操作を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平7−39337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、操作頻度も多いためスイッチ操作に操作遅れが生じるなど、作業の対応性に欠ける不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで、本発明では、運転席の左側のサイドコラムに主変速レバーを配設すると共に、運転席の前方の運転操作部に丸形の操向ハンドルを配設し、同操向ハンドルの丸形外周の右内側にスイッチ台を設け、同スイッチ台に、指先で操作可能なスイッチであって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチを設けたことを特徴とするコンバインの操作装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、例えば、右手で操向ハンドルを操作しながら操向ハンドルの丸形外周の右内側に設けたスイッチ台のスイッチを操作して条合わせのための進路方向の微調整を容易に行うことができるので、同スイッチにより容易に条合わせを行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0006】
特に、レバーの設置数も多く操作頻度の多い左手側に対し、ハンドル操作のみの右手側に微調整用操向手段としてのスイッチを設けると共に、同スイッチを操向ハンドルの丸形外周の右内側に設けたスイッチ台に設けているため、頻繁に操作が行われるこの微調整用操向手段としてのスイッチの操作遅れなどのない迅速にして正確な操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は揺動選別部の側面説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀機である脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0008】
図4に示す如く、前記走行クローラ(2)を駆動するミッションケース(22)は、1対の第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)からなる主変速機構である走行用の油圧式無段変速機構(25)と、1対の第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)からなる操向機構である旋回用の油圧式無段変速機構(28)とを備え、前記エンジン(21)の出力軸(21a)に第1油圧ポンプ(23)の入力軸(23a)を伝達ベルト(29)を介し連動連結させると共に、第2油圧ポンプ(26)の入力軸(26a)を伝達ベルト(30)を介し前記第1油圧ポンプ(23)の入力軸(23a)に連動連結させている。
【0009】
そして、前記第1油圧モータ(24)の出力軸(31)に、副変速機構(32)及び差動機構(33)を介し走行クローラ(2)の駆動輪(34)を連動連結させるもので、前記差動機構(33)は左右対称の1対の遊星ギヤ機構(35)(35)を有し、各遊星ギヤ機構(35)は1つのサンギヤ(36)と、該サンギヤ(36)の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ(37)と、これらプラネタリギヤ(37)に噛合うリングギヤ(38)などで形成している。
【0010】
前記プラネタリギヤ(37)は、サンギヤ軸(39)と同軸線上とのキャリヤ軸(40)のキャリヤ(41)にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ(36)(36)を挾んで左右のキャリヤ(41)を対向配置させると共に、前記リングギヤ(38)は各プラネタリギヤ(37)に噛み合う内歯を有してサンギヤ軸(39)とは同一軸芯状に配置させ、サンギヤ軸(39)或いはキャリヤ軸(40)に回転自在に軸支させている。
【0011】
また、走行用の油圧式無段変速機構(25)は第1油圧ポンプ(23)の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ(24)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第1油圧モータ(24)の回転出力を出力軸(31)の伝達ギヤ(42)より副変速機構(32)を構成する各ギヤ(43)(44)(45)を介して、サンギヤ軸(39)に固定したセンタギヤ(46)に伝達してサンギヤ(41)を回転するように構成している。なお前記ギヤ(45)はブレーキ機構を有するブレーキ軸(47)に取付けられると共に、前記ギヤ(43)には作業機等に回転力を伝達するPTO軸(48)のPTO入力ギヤ(49)を噛合せている。
【0012】
そして、前記センタギヤ(46)を介しサンギヤ軸(39)に伝達された第1油圧モータ(24)からの駆動力を、左右の遊星ギヤ機構(35)を介しキャリヤ軸(40)に伝達させると共に、該キャリヤ軸(40)に伝達された回転を左右各一対の減速ギヤ(50)(51)を介し左右の駆動輪(34)の左右輪軸(34a)にそれぞれ伝えるように構成している。
【0013】
さらに、旋回用の油圧式無段変速機構(28)は第2油圧ポンプ(26)の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ(27)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第2油圧モータ(27)から出力軸(52)の伝達ギヤ(52a)(52b)に伝達される回転出力を、左側のリングギヤ(38)の外歯を対しては直接的に、また右側のリングギヤ(38)の外歯に対しては逆転軸(53)の逆転ギヤ(53a)を介し伝えて、第2油圧モータ(27)の正転時に左右のリングギヤ(38)を左右同一回転数で左ギヤ(38)を逆転、右ギヤ(38)を正転とさせるように構成している。
【0014】
而して、旋回用の第2油圧ポンプ(26)の駆動を停止させ左右リングギヤ(38)を静止固定させた状態で、走行用の第1油圧ポンプ(23)の駆動を行うと、第1油圧モータ(24)からの回転出力はセンタギヤ(47)から左右のサンギヤ(36)に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構(35)のプラネタリギヤ(37)・キャリヤ(41)及び減速ギヤ(50)(51)を介し左右の輪軸(34a)に左右同回転方向の同一回転数で伝達されて、機体の前後直進走行が行われる。一方、走行用の第1油圧ポンプ(23)の駆動を停止させ左右のサンギヤ(36)を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧ポンプ(26)を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構(35)が逆或いは正回転、また右側の遊星ギヤ機構が正或いは逆回転して、左右走行クローラ(2)の駆動方向を前後逆方向とさせて機体を左或いは右にその場でスピンターンさせるものである。
【0015】
また、走行用の第1油圧ポンプ(23)を駆動させながら、旋回用の第2油圧ポンプ(26)を駆動して機体を左右に旋回させる場合には旋回半径の大きい旋回を可能にできるもので、その旋回半径は左右走行クローラ(2)の速度に応じ決定される。
【0016】
図5乃至図8に示す如く、走行用の油圧式無段変速機構(25)に連結する主変速レバー(54)と、主クラッチペダル(55)とを主変速中立復帰機構(56)を介し連動連結させるもので、前記主変速レバー(54)は基端ボス(57)に変速操作板(58)を固設させ、該操作板(58)をレバー軸(59)を中心に回動自在に設けると共に、該操作板(58)に固定する2本の前進及び後進用ワイヤ(60)(61)を出力変換手段である変速及び旋回操作機構(62)を介して前記無段変速機構(25)に連動連結させている。
【0017】
そして、前記操作板(58)にL形状の規制ピン(63)を固設させ、該規制ピン(63)の先端部を前記中立復帰機構(56)を構成する二枚一組の上下拘束板(64a)(64b)によって拘束するもので、上下拘束板(64a)(64b)は基端を枢支軸(65)に回動自在に支持して、上下拘束板(64a)(64b)の対向内側面間に一定の開ぎ角(α)を有するとき、主変速レバー(54)の前進高速操作時から後進高速操作時におけるピン(63)の上下移動を許容するように構成している。
【0018】
また、上下拘束板(64a)(64b)の対向内側面には半円状の中立位置決め用切欠き(66)と前記ピン(63)に係合する切欠き長溝(67)を形成し、上下拘束板(64a)(64b)の開き角(α)を略0°に閉動作させるとき、前記ピン(63)を中央位置に戻して主変速レバー(54)を中立復帰させるように構成している。
【0019】
さらに、前記主クラッチペダル(55)を駐車ブレーキ機構(68)にワイヤ代(68a)を介し連動連結させ、該主クラッチペダル(55)のクラッチアーム(69)と前記上拘束板(64a)間を中立復帰ワイヤ(70)で連結させるもので、上拘束板(64a)にワイヤ(70)の一端側を連結させ、ワイヤ(70)の他端側をバネ(71)を介してクラッチアーム(69)に連結させると共に、前記ワイヤ(70)のアウタチューブ(70a)一端のアウタ受け(72)を下拘束板(64b)に、またアウタチューブ(70a)他端のアウタ受け(73)を、ペダル(55)のペダル受け台(74)に取付けて、ペダル(55)の踏み込み操作時(主クラッチの切時)に上下拘束板(64a)(64b)の開き角(α)を略0°とするように構成している。
【0020】
なお、このような上下拘束板(64a)(64b)の閉じ動作時にあっては、本機側フレームに連結する中立位置決めピン(75)と、前記切欠き(66)との係合によって、上下拘束板(64a)(64b)の間で閉じ動作や閉じ量に差があっても確実に中立位置に戻すことを可能とさせるものである。また(76)は自動走行制御用の変速モータである。
【0021】
図9乃至図13にも示す如く、単一のコンポーネントに形成する前記操作機構(62)には前記主変速レバー(54)と機体の旋回操作を行う丸形操向ハンドル(77)からの操作出力が入力され、それぞれ必要な動きに変換され、2つのポンプ(23)(26)・2つのモータ(24)(27)で構成する強制デフ式ミッションケース(22)に出力させて走行と旋回の制御を行うようにしたもので、主変速レバー(54)及び操向ハンドル(77)と、走行及び旋回用無段変速機構(25)(28)のコントロールレバー(78)(79)との間に前記操作機構(62)を介設したものである。
【0022】
前記操作機構(62)は、本機側のフレーム(80)の上部に固設するコンポーネントケース(81)と、該ケース(81)に左右両端の支軸(82)を回動自在に支持させる門形のベース部材であるベース(83)と、ケース(81)外側の支軸(82)に固設して主変速レバー(54)からの前記ワイヤ(60)(61)を上下に連結させる主変速入力アーム(84)と、前記ベース(83)の左右両側に固設する縦カム軸(85)(86)にそれぞれ回動自在に支持させるカム部材である主変速及び旋回カム(87)(88)と、前記ベース(83)の略中央に固設する入力アーム軸(89)に回動自在に支持させるステアリング操作入力アーム(90)と、該入力アーム(90)に固設して前記ハンドル(77)のステアリングアーム(91)からの左右旋回ワイヤ(92)を連結させる入力アームピン(93)と、前記入力アーム(90)に固設して主変速及び旋回カム(87)(88)の固定ギヤ(94)(95)に噛合せる旋回ギヤ(96a)(96b)と、前記フレーム(80)の下部に回動自在に枢支する横軸(97)に基端ボス(98a)を揺動自在に支持させる主変速用従動カム(98)と、前記横軸(97)に基端ボス(99a)を一体連結させる旋回用従動カム(99)と、前記主変速及び旋回カム(87)(88)と従動カム(98)(99)とにそれぞれ上下両端を自在継手(100)を介し連結させる変速及び旋回カムロッド(101)(102)と、前記ミッションケース(22)上部の軸受台(103)に固設する筒軸(104)に回動自在に支持させる操作伝達軸(105)と、前記ボス(98a)に右端を固設する揺動アーム(106)と伝達軸(105)に基端ボス(107a)を固設する揺動アーム(107)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる変速第1ロッド(108)と、前記横軸(97)に基端を固設する揺動アーム(109)と前記伝達軸(105)に基端ボス(110a)を回動自在に取付ける揺動アーム(110)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる旋回第1ロッド(111)と、前記伝達軸(105)に基端を固設する揺動アーム(112)と前記コントロールレバー(78)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる変速第2ロッド(113)と、前記ボス(110a)に基端を固設する揺動アーム(114)と前記コントロールレバー(79)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる旋回第2ロッド(115)とを備え、前記主変速レバー(54)及び操向ハンド(77)の各操作力を操作機構(62)でそれぞれ必要な動きに変換して各コントロールレバー(78)(79)に伝えるように構成している。
【0023】
前記主変速レバー(54)の操作に応じて支軸(82)を中心として傾斜角を変化させるベース(83)は、主変速の中立位置のとき一定角度前低後高状に傾斜(a)させ、該ベース(83)に直交させる縦カム軸(85)(86)の軸芯(b)下方延長線上に各従動カム(98)(99)とカムロッド(101)(102)との自在継手(100)の中心を配置させると共に、前記主変速アーム(87)のカムロッド(101)を連結するロッド操作アーム(87a)を、支軸(82)の軸芯(c)に直交させて前方に突設させるのに対し、旋回カム(88)のカムロッド(102)に連結するロッド操作アーム(88a)を、支軸(82)の軸芯(c)方向に突設させて該アーム(88a)とロッド(102)との自在継手(100)の中心を支軸(82)の軸芯(c)に一致させ、主変速の中立位置でハンドル(77)操作により各カム軸(85)(86)を中心としてカム(87)(88)を回動させるとき、これらカム(87)(88)と従動カム(98)(99)間の距離を一定状態に保って、コントロールレバー(78)(79)の中立を保持させる。
【0024】
一方、主変速レバー(54)の操作によって支軸(82)を中心としてベース(83)を上下方向に回動させるとき、旋回カム(88)とカムロッド(102)との自在継手(100)中心と支軸(82)の軸芯とが一致するため旋回用従動カム(79)は動作せず、主変速カム(87)の傾きの変化によって主変速カム(87)が動作して主変速コントロールレバー(78)のみが操作されて前進及び後進・低速及び高速の変速が行われる。
【0025】
また、斯る主変速の操作条件下でハンドル(77)により旋回操作が行われるときには、旋回カム(88)の回動による旋回カム(88)とカムロッド(102)との自在継手(100)中心と、支軸(82)の軸芯の位置ズレでもって従動カム(99)が動作し、旋回用コントロールレバー(79)が操作されて機体の左及び右旋回が行われるもので、またこの際ギヤ(94)(96a)の噛合せによる主変速カム(87)の回動によって走行速度が低速側(ハンドル(77)の直進位置のとき主変速にあってはそのレバー(54)操作位置での常に最高速位置にあって、ハンドル(77)の操舵角を大とする程主変速カム(87)は低速側に制御される)に減速されて安全旋回が行われる。さらに、この場合機体の前後進時の旋回方向も一致させることができて、従来の如く切換機構なども要することなく至便なものである。
【0026】
ところで、図13乃至図14に示す如く、前記運転キャビン(18)内の運転席(20)左側のサイドコラムには、前記主変速レバー(54)・副変速レバー(116)・刈取クラッチレバー(117)・脱穀クラッチレバー(118)を配設すると共に、運転席(20)前方の運転操作部(19)に前記操向ハンドル(77)を配設している。
【0027】
前記操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を固設して、脱穀部に挿入する穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節機構の扱深さ調節スイッチ(120)を前記スイッチ台(119)に設けて、右手で操向ハンドル(77)を回動操作しながら扱深さ調節も同時に可能とさせるように構成している。而して該構成の場合レバー(54)(116)(117)(118)の設置数も多く操作頻度の多い左手側に対し、ハンドル(77)操作のみの右手側に扱深さ調節スイッチ(120)を設けて、その操作性を向上させることができるものである。
【0028】
また、図15乃至図16は、操向ハンドル(77)に刈取部(8)を昇降操作する刈取昇降スイッチ(121)を設ける構成例を示すもので、前述の扱深さ調節スイッチ(120)に換え、ハンドル(77)のスイッチ台(119)に刈取昇降スイッチ(121)を設けて、頻繁に操作が行われるこの刈取昇降スイッチ(121)の操作遅れなどのない迅速にして正確な昇降操作を可能とさせるように構成したものである。
【0029】
さらに、図17は、指先だけで進路方向の微調整を行うフィットステアリングスイッチ(122)を操向ハンドル(77)右側のスイッチ台(119)に設ける構成例を示すもので、右手をその都度持ち換える必要もなく、ハンドル(77)の操作を行いながら条合わせなどにおいて方向の微調整を容易に可能とさせて、この作業性を向上させるように構成したものである。
【0030】
またさらに、図18及び図19は、刈取部(8)を高速で一定回転駆動する刈取一定回転機構(123)を備え、該回転機構(123)を操作する押ボタン式の高速一定回転スイッチ(124)をハンドル(77)右側のスイッチ台(119)に設ける構成例を示すもので、前記スイッチ(124)は押している間だけオンとなって刈取部(8)を高速で一定回転させ、例えば倒伏稈場所ではスイッチ(124)をオンして刈取部(8)を高速回転させ、倒伏稈場所を過ぎるとスイッチ(124)から指を離して通常の刈取回転に戻して刈取作業の作業性を向上させるように構成したものである。またこの場合刈り終り時に稈を脱穀部に流し込む作業も、スイッチ(124)のワンタッチ操作で容易に可能となる。
【0031】
前記刈取一定回転機構(123)は、カウンタケース(125)の刈取出力軸(126)に備えるもので、前記高速一定回転スイッチ(124)によってオンにする刈取高速クラッチ(127)と、刈取低速クラッチ(128)を設け、刈取出力軸(126)に一方向クラッチ(129)及び伝達ベルト(130)を介して刈取入力1軸(131)を連動連結させると共に、ミッションケース(22)の車速同調出力軸(132)に一方向クラッチ(133)及び伝達ベルト(134)及び刈取テンションクラッチ(135)を介して刈取入力1軸(131)を連動連結させ、刈取テンションクラッチ(135)切のとき、刈取出力軸(125)の低高速出力により1軸(131)を駆動すると共に、テンションクラッチ(135)入によって、低速走行状態で車速同調出力軸(132)回転数が刈取出力軸(126)回転数よりも低いとき、刈取出力軸(126)によって1軸(131)を駆動する一方、高速走行状態で車速同調出力軸(132)回転数が刈取出力軸(126)回転数よりも高いとき、車速同調出力軸(132)によって1軸(131)を駆動し、走行速度に比例した速度で刈取部(8)を駆動するように構成している。
【0032】
なお、前述実施例にあっては、各作業スイッチ(120)(121)(122)(124)をハンドル(77)に直接的に取付ける構成を示したが、ハンドル(77)にハンドル操作用ノブを設置して、該ノブにこれらスイッチ(120)(121)(122)(123)を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】操作ハンドル部の平面説明図である。
【図2】コンバインの全体側面図である。
【図3】コンバインの全体平面図である。
【図4】ミッション駆動系の説明図である。
【図5】主変速レバー部の説明図である。
【図6】主変速中立復帰機構部の説明図である。
【図7】主変速中立復帰機構部の説明図である。
【図8】拘束板部の説明図である。
【図9】操作機構部の正面説明図である。
【図10】操作機構部の側面説明図である。
【図11】主変速用カム部の説明図である。
【図12】ベース部の説明図である。
【図13】カム部の平面説明図である。
【図14】操向ハンドルの正面説明図である。
【図15】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図16】操向ハンドルの側面説明図である。
【図17】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図18】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図19】刈取一定回転機構の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
(77) 操向ハンドル
(120)(121)(122)(124) スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱深さ調節用の扱深さスイッチや刈取昇降用の刈取昇降スイッチなど各種作業スイッチは、通常は主変速レバーや副変速レバーなど各種作業操作レバーの配設される運転席左側位置に設けられていて、左手でもってこれらの操作を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平7−39337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、操作頻度も多いためスイッチ操作に操作遅れが生じるなど、作業の対応性に欠ける不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで、本発明では、運転席の左側のサイドコラムに主変速レバーを配設すると共に、運転席の前方の運転操作部に丸形の操向ハンドルを配設し、同操向ハンドルの丸形外周の右内側にスイッチ台を設け、同スイッチ台に、指先で操作可能なスイッチであって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチを設けたことを特徴とするコンバインの操作装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、例えば、右手で操向ハンドルを操作しながら操向ハンドルの丸形外周の右内側に設けたスイッチ台のスイッチを操作して条合わせのための進路方向の微調整を容易に行うことができるので、同スイッチにより容易に条合わせを行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0006】
特に、レバーの設置数も多く操作頻度の多い左手側に対し、ハンドル操作のみの右手側に微調整用操向手段としてのスイッチを設けると共に、同スイッチを操向ハンドルの丸形外周の右内側に設けたスイッチ台に設けているため、頻繁に操作が行われるこの微調整用操向手段としてのスイッチの操作遅れなどのない迅速にして正確な操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は揺動選別部の側面説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀機である脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0008】
図4に示す如く、前記走行クローラ(2)を駆動するミッションケース(22)は、1対の第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)からなる主変速機構である走行用の油圧式無段変速機構(25)と、1対の第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)からなる操向機構である旋回用の油圧式無段変速機構(28)とを備え、前記エンジン(21)の出力軸(21a)に第1油圧ポンプ(23)の入力軸(23a)を伝達ベルト(29)を介し連動連結させると共に、第2油圧ポンプ(26)の入力軸(26a)を伝達ベルト(30)を介し前記第1油圧ポンプ(23)の入力軸(23a)に連動連結させている。
【0009】
そして、前記第1油圧モータ(24)の出力軸(31)に、副変速機構(32)及び差動機構(33)を介し走行クローラ(2)の駆動輪(34)を連動連結させるもので、前記差動機構(33)は左右対称の1対の遊星ギヤ機構(35)(35)を有し、各遊星ギヤ機構(35)は1つのサンギヤ(36)と、該サンギヤ(36)の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ(37)と、これらプラネタリギヤ(37)に噛合うリングギヤ(38)などで形成している。
【0010】
前記プラネタリギヤ(37)は、サンギヤ軸(39)と同軸線上とのキャリヤ軸(40)のキャリヤ(41)にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ(36)(36)を挾んで左右のキャリヤ(41)を対向配置させると共に、前記リングギヤ(38)は各プラネタリギヤ(37)に噛み合う内歯を有してサンギヤ軸(39)とは同一軸芯状に配置させ、サンギヤ軸(39)或いはキャリヤ軸(40)に回転自在に軸支させている。
【0011】
また、走行用の油圧式無段変速機構(25)は第1油圧ポンプ(23)の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ(24)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第1油圧モータ(24)の回転出力を出力軸(31)の伝達ギヤ(42)より副変速機構(32)を構成する各ギヤ(43)(44)(45)を介して、サンギヤ軸(39)に固定したセンタギヤ(46)に伝達してサンギヤ(41)を回転するように構成している。なお前記ギヤ(45)はブレーキ機構を有するブレーキ軸(47)に取付けられると共に、前記ギヤ(43)には作業機等に回転力を伝達するPTO軸(48)のPTO入力ギヤ(49)を噛合せている。
【0012】
そして、前記センタギヤ(46)を介しサンギヤ軸(39)に伝達された第1油圧モータ(24)からの駆動力を、左右の遊星ギヤ機構(35)を介しキャリヤ軸(40)に伝達させると共に、該キャリヤ軸(40)に伝達された回転を左右各一対の減速ギヤ(50)(51)を介し左右の駆動輪(34)の左右輪軸(34a)にそれぞれ伝えるように構成している。
【0013】
さらに、旋回用の油圧式無段変速機構(28)は第2油圧ポンプ(26)の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ(27)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第2油圧モータ(27)から出力軸(52)の伝達ギヤ(52a)(52b)に伝達される回転出力を、左側のリングギヤ(38)の外歯を対しては直接的に、また右側のリングギヤ(38)の外歯に対しては逆転軸(53)の逆転ギヤ(53a)を介し伝えて、第2油圧モータ(27)の正転時に左右のリングギヤ(38)を左右同一回転数で左ギヤ(38)を逆転、右ギヤ(38)を正転とさせるように構成している。
【0014】
而して、旋回用の第2油圧ポンプ(26)の駆動を停止させ左右リングギヤ(38)を静止固定させた状態で、走行用の第1油圧ポンプ(23)の駆動を行うと、第1油圧モータ(24)からの回転出力はセンタギヤ(47)から左右のサンギヤ(36)に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構(35)のプラネタリギヤ(37)・キャリヤ(41)及び減速ギヤ(50)(51)を介し左右の輪軸(34a)に左右同回転方向の同一回転数で伝達されて、機体の前後直進走行が行われる。一方、走行用の第1油圧ポンプ(23)の駆動を停止させ左右のサンギヤ(36)を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧ポンプ(26)を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構(35)が逆或いは正回転、また右側の遊星ギヤ機構が正或いは逆回転して、左右走行クローラ(2)の駆動方向を前後逆方向とさせて機体を左或いは右にその場でスピンターンさせるものである。
【0015】
また、走行用の第1油圧ポンプ(23)を駆動させながら、旋回用の第2油圧ポンプ(26)を駆動して機体を左右に旋回させる場合には旋回半径の大きい旋回を可能にできるもので、その旋回半径は左右走行クローラ(2)の速度に応じ決定される。
【0016】
図5乃至図8に示す如く、走行用の油圧式無段変速機構(25)に連結する主変速レバー(54)と、主クラッチペダル(55)とを主変速中立復帰機構(56)を介し連動連結させるもので、前記主変速レバー(54)は基端ボス(57)に変速操作板(58)を固設させ、該操作板(58)をレバー軸(59)を中心に回動自在に設けると共に、該操作板(58)に固定する2本の前進及び後進用ワイヤ(60)(61)を出力変換手段である変速及び旋回操作機構(62)を介して前記無段変速機構(25)に連動連結させている。
【0017】
そして、前記操作板(58)にL形状の規制ピン(63)を固設させ、該規制ピン(63)の先端部を前記中立復帰機構(56)を構成する二枚一組の上下拘束板(64a)(64b)によって拘束するもので、上下拘束板(64a)(64b)は基端を枢支軸(65)に回動自在に支持して、上下拘束板(64a)(64b)の対向内側面間に一定の開ぎ角(α)を有するとき、主変速レバー(54)の前進高速操作時から後進高速操作時におけるピン(63)の上下移動を許容するように構成している。
【0018】
また、上下拘束板(64a)(64b)の対向内側面には半円状の中立位置決め用切欠き(66)と前記ピン(63)に係合する切欠き長溝(67)を形成し、上下拘束板(64a)(64b)の開き角(α)を略0°に閉動作させるとき、前記ピン(63)を中央位置に戻して主変速レバー(54)を中立復帰させるように構成している。
【0019】
さらに、前記主クラッチペダル(55)を駐車ブレーキ機構(68)にワイヤ代(68a)を介し連動連結させ、該主クラッチペダル(55)のクラッチアーム(69)と前記上拘束板(64a)間を中立復帰ワイヤ(70)で連結させるもので、上拘束板(64a)にワイヤ(70)の一端側を連結させ、ワイヤ(70)の他端側をバネ(71)を介してクラッチアーム(69)に連結させると共に、前記ワイヤ(70)のアウタチューブ(70a)一端のアウタ受け(72)を下拘束板(64b)に、またアウタチューブ(70a)他端のアウタ受け(73)を、ペダル(55)のペダル受け台(74)に取付けて、ペダル(55)の踏み込み操作時(主クラッチの切時)に上下拘束板(64a)(64b)の開き角(α)を略0°とするように構成している。
【0020】
なお、このような上下拘束板(64a)(64b)の閉じ動作時にあっては、本機側フレームに連結する中立位置決めピン(75)と、前記切欠き(66)との係合によって、上下拘束板(64a)(64b)の間で閉じ動作や閉じ量に差があっても確実に中立位置に戻すことを可能とさせるものである。また(76)は自動走行制御用の変速モータである。
【0021】
図9乃至図13にも示す如く、単一のコンポーネントに形成する前記操作機構(62)には前記主変速レバー(54)と機体の旋回操作を行う丸形操向ハンドル(77)からの操作出力が入力され、それぞれ必要な動きに変換され、2つのポンプ(23)(26)・2つのモータ(24)(27)で構成する強制デフ式ミッションケース(22)に出力させて走行と旋回の制御を行うようにしたもので、主変速レバー(54)及び操向ハンドル(77)と、走行及び旋回用無段変速機構(25)(28)のコントロールレバー(78)(79)との間に前記操作機構(62)を介設したものである。
【0022】
前記操作機構(62)は、本機側のフレーム(80)の上部に固設するコンポーネントケース(81)と、該ケース(81)に左右両端の支軸(82)を回動自在に支持させる門形のベース部材であるベース(83)と、ケース(81)外側の支軸(82)に固設して主変速レバー(54)からの前記ワイヤ(60)(61)を上下に連結させる主変速入力アーム(84)と、前記ベース(83)の左右両側に固設する縦カム軸(85)(86)にそれぞれ回動自在に支持させるカム部材である主変速及び旋回カム(87)(88)と、前記ベース(83)の略中央に固設する入力アーム軸(89)に回動自在に支持させるステアリング操作入力アーム(90)と、該入力アーム(90)に固設して前記ハンドル(77)のステアリングアーム(91)からの左右旋回ワイヤ(92)を連結させる入力アームピン(93)と、前記入力アーム(90)に固設して主変速及び旋回カム(87)(88)の固定ギヤ(94)(95)に噛合せる旋回ギヤ(96a)(96b)と、前記フレーム(80)の下部に回動自在に枢支する横軸(97)に基端ボス(98a)を揺動自在に支持させる主変速用従動カム(98)と、前記横軸(97)に基端ボス(99a)を一体連結させる旋回用従動カム(99)と、前記主変速及び旋回カム(87)(88)と従動カム(98)(99)とにそれぞれ上下両端を自在継手(100)を介し連結させる変速及び旋回カムロッド(101)(102)と、前記ミッションケース(22)上部の軸受台(103)に固設する筒軸(104)に回動自在に支持させる操作伝達軸(105)と、前記ボス(98a)に右端を固設する揺動アーム(106)と伝達軸(105)に基端ボス(107a)を固設する揺動アーム(107)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる変速第1ロッド(108)と、前記横軸(97)に基端を固設する揺動アーム(109)と前記伝達軸(105)に基端ボス(110a)を回動自在に取付ける揺動アーム(110)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる旋回第1ロッド(111)と、前記伝達軸(105)に基端を固設する揺動アーム(112)と前記コントロールレバー(78)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる変速第2ロッド(113)と、前記ボス(110a)に基端を固設する揺動アーム(114)と前記コントロールレバー(79)の各先端間を自在継手(100)を介し連結させる旋回第2ロッド(115)とを備え、前記主変速レバー(54)及び操向ハンド(77)の各操作力を操作機構(62)でそれぞれ必要な動きに変換して各コントロールレバー(78)(79)に伝えるように構成している。
【0023】
前記主変速レバー(54)の操作に応じて支軸(82)を中心として傾斜角を変化させるベース(83)は、主変速の中立位置のとき一定角度前低後高状に傾斜(a)させ、該ベース(83)に直交させる縦カム軸(85)(86)の軸芯(b)下方延長線上に各従動カム(98)(99)とカムロッド(101)(102)との自在継手(100)の中心を配置させると共に、前記主変速アーム(87)のカムロッド(101)を連結するロッド操作アーム(87a)を、支軸(82)の軸芯(c)に直交させて前方に突設させるのに対し、旋回カム(88)のカムロッド(102)に連結するロッド操作アーム(88a)を、支軸(82)の軸芯(c)方向に突設させて該アーム(88a)とロッド(102)との自在継手(100)の中心を支軸(82)の軸芯(c)に一致させ、主変速の中立位置でハンドル(77)操作により各カム軸(85)(86)を中心としてカム(87)(88)を回動させるとき、これらカム(87)(88)と従動カム(98)(99)間の距離を一定状態に保って、コントロールレバー(78)(79)の中立を保持させる。
【0024】
一方、主変速レバー(54)の操作によって支軸(82)を中心としてベース(83)を上下方向に回動させるとき、旋回カム(88)とカムロッド(102)との自在継手(100)中心と支軸(82)の軸芯とが一致するため旋回用従動カム(79)は動作せず、主変速カム(87)の傾きの変化によって主変速カム(87)が動作して主変速コントロールレバー(78)のみが操作されて前進及び後進・低速及び高速の変速が行われる。
【0025】
また、斯る主変速の操作条件下でハンドル(77)により旋回操作が行われるときには、旋回カム(88)の回動による旋回カム(88)とカムロッド(102)との自在継手(100)中心と、支軸(82)の軸芯の位置ズレでもって従動カム(99)が動作し、旋回用コントロールレバー(79)が操作されて機体の左及び右旋回が行われるもので、またこの際ギヤ(94)(96a)の噛合せによる主変速カム(87)の回動によって走行速度が低速側(ハンドル(77)の直進位置のとき主変速にあってはそのレバー(54)操作位置での常に最高速位置にあって、ハンドル(77)の操舵角を大とする程主変速カム(87)は低速側に制御される)に減速されて安全旋回が行われる。さらに、この場合機体の前後進時の旋回方向も一致させることができて、従来の如く切換機構なども要することなく至便なものである。
【0026】
ところで、図13乃至図14に示す如く、前記運転キャビン(18)内の運転席(20)左側のサイドコラムには、前記主変速レバー(54)・副変速レバー(116)・刈取クラッチレバー(117)・脱穀クラッチレバー(118)を配設すると共に、運転席(20)前方の運転操作部(19)に前記操向ハンドル(77)を配設している。
【0027】
前記操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を固設して、脱穀部に挿入する穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節機構の扱深さ調節スイッチ(120)を前記スイッチ台(119)に設けて、右手で操向ハンドル(77)を回動操作しながら扱深さ調節も同時に可能とさせるように構成している。而して該構成の場合レバー(54)(116)(117)(118)の設置数も多く操作頻度の多い左手側に対し、ハンドル(77)操作のみの右手側に扱深さ調節スイッチ(120)を設けて、その操作性を向上させることができるものである。
【0028】
また、図15乃至図16は、操向ハンドル(77)に刈取部(8)を昇降操作する刈取昇降スイッチ(121)を設ける構成例を示すもので、前述の扱深さ調節スイッチ(120)に換え、ハンドル(77)のスイッチ台(119)に刈取昇降スイッチ(121)を設けて、頻繁に操作が行われるこの刈取昇降スイッチ(121)の操作遅れなどのない迅速にして正確な昇降操作を可能とさせるように構成したものである。
【0029】
さらに、図17は、指先だけで進路方向の微調整を行うフィットステアリングスイッチ(122)を操向ハンドル(77)右側のスイッチ台(119)に設ける構成例を示すもので、右手をその都度持ち換える必要もなく、ハンドル(77)の操作を行いながら条合わせなどにおいて方向の微調整を容易に可能とさせて、この作業性を向上させるように構成したものである。
【0030】
またさらに、図18及び図19は、刈取部(8)を高速で一定回転駆動する刈取一定回転機構(123)を備え、該回転機構(123)を操作する押ボタン式の高速一定回転スイッチ(124)をハンドル(77)右側のスイッチ台(119)に設ける構成例を示すもので、前記スイッチ(124)は押している間だけオンとなって刈取部(8)を高速で一定回転させ、例えば倒伏稈場所ではスイッチ(124)をオンして刈取部(8)を高速回転させ、倒伏稈場所を過ぎるとスイッチ(124)から指を離して通常の刈取回転に戻して刈取作業の作業性を向上させるように構成したものである。またこの場合刈り終り時に稈を脱穀部に流し込む作業も、スイッチ(124)のワンタッチ操作で容易に可能となる。
【0031】
前記刈取一定回転機構(123)は、カウンタケース(125)の刈取出力軸(126)に備えるもので、前記高速一定回転スイッチ(124)によってオンにする刈取高速クラッチ(127)と、刈取低速クラッチ(128)を設け、刈取出力軸(126)に一方向クラッチ(129)及び伝達ベルト(130)を介して刈取入力1軸(131)を連動連結させると共に、ミッションケース(22)の車速同調出力軸(132)に一方向クラッチ(133)及び伝達ベルト(134)及び刈取テンションクラッチ(135)を介して刈取入力1軸(131)を連動連結させ、刈取テンションクラッチ(135)切のとき、刈取出力軸(125)の低高速出力により1軸(131)を駆動すると共に、テンションクラッチ(135)入によって、低速走行状態で車速同調出力軸(132)回転数が刈取出力軸(126)回転数よりも低いとき、刈取出力軸(126)によって1軸(131)を駆動する一方、高速走行状態で車速同調出力軸(132)回転数が刈取出力軸(126)回転数よりも高いとき、車速同調出力軸(132)によって1軸(131)を駆動し、走行速度に比例した速度で刈取部(8)を駆動するように構成している。
【0032】
なお、前述実施例にあっては、各作業スイッチ(120)(121)(122)(124)をハンドル(77)に直接的に取付ける構成を示したが、ハンドル(77)にハンドル操作用ノブを設置して、該ノブにこれらスイッチ(120)(121)(122)(123)を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】操作ハンドル部の平面説明図である。
【図2】コンバインの全体側面図である。
【図3】コンバインの全体平面図である。
【図4】ミッション駆動系の説明図である。
【図5】主変速レバー部の説明図である。
【図6】主変速中立復帰機構部の説明図である。
【図7】主変速中立復帰機構部の説明図である。
【図8】拘束板部の説明図である。
【図9】操作機構部の正面説明図である。
【図10】操作機構部の側面説明図である。
【図11】主変速用カム部の説明図である。
【図12】ベース部の説明図である。
【図13】カム部の平面説明図である。
【図14】操向ハンドルの正面説明図である。
【図15】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図16】操向ハンドルの側面説明図である。
【図17】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図18】操向ハンドル部の平面説明図である。
【図19】刈取一定回転機構の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
(77) 操向ハンドル
(120)(121)(122)(124) スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(20)の左側のサイドコラムに主変速レバー(54)を配設すると共に、運転席(20)の前方の運転操作部(19)に丸形の操向ハンドル(77)を配設し、同操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を設け、同スイッチ台(119)に、指先で操作可能なスイッチ(122)であって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチ(122)を設けたことを特徴とするコンバインの操作装置。
【請求項1】
運転席(20)の左側のサイドコラムに主変速レバー(54)を配設すると共に、運転席(20)の前方の運転操作部(19)に丸形の操向ハンドル(77)を配設し、同操向ハンドル(77)の丸形外周の右内側にスイッチ台(119)を設け、同スイッチ台(119)に、指先で操作可能なスイッチ(122)であって、条合わせのための進路方向の微調整を行う微調整用操向手段としてのスイッチ(122)を設けたことを特徴とするコンバインの操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−94870(P2006−94870A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374890(P2005−374890)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【分割の表示】特願2004−258730(P2004−258730)の分割
【原出願日】平成8年3月18日(1996.3.18)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【分割の表示】特願2004−258730(P2004−258730)の分割
【原出願日】平成8年3月18日(1996.3.18)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
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