コンバイン
【課題】 扱胴を駆動するための動力と、その扱胴の配設スペースを有効利用して効果的な塵埃処理を行えるコンバインを提供する。
【解決手段】 機体前部に刈取り前処理装置3を備え、その後方側に脱穀装置5を装備し、前記脱穀装置5の扱胴50を構成するドラム51の前部に吸引口51aを形成するとともに後部に排出口51bを形成し、前記ドラム51内に吸引口51a側から排出口51b側へ送風する羽根部材53を設けてある。
【解決手段】 機体前部に刈取り前処理装置3を備え、その後方側に脱穀装置5を装備し、前記脱穀装置5の扱胴50を構成するドラム51の前部に吸引口51aを形成するとともに後部に排出口51bを形成し、前記ドラム51内に吸引口51a側から排出口51b側へ送風する羽根部材53を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置や引き起こし装置、及び後方搬送装置などで構成される刈取り前処理装置を機体前部側に備え、その後方側に脱穀装置が配備されているコンバインにおいて、作業と共に発生する塵埃の処理を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインでは、穀稈の引き起こしや刈取搬送作業に伴って大量の塵埃が発生することがあり、この塵埃が舞い上がって運転部側に入り込んでくると作業環境の悪化につながるため、運転部側への塵埃の入り込みを抑制する手段を講じる必要がある。
その手段として、従来では、下記〔1〕または〔2〕に示す技術手段を講じることが知られている。
〔1〕 機体フレームの下面側に被装板を設けたもの、引き起こし装置の後面側や、運転座席の後面側、あるいは刈取装置側の側面に防塵シートやカバーを設けること(特許文献1参照)。
〔2〕 刈取装置からの搬送用フィーダの途中から、及び運転部から塵埃を吸引排出する排塵ファンを設けたもの(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−318173号公報(段落番号〔0011〕、〔0020〕、〔0028〕及び〔0033〕、ならびに図2,図3,図6,図8,図15)
【特許文献2】特開2000−102315号公報(段落番号〔0027〕、〔0033〕及び、図1,図2,図4,図7,図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、防塵シートやカバー等の遮蔽物を用いて運転部側への塵埃の移行を制限しているものであるが、このような遮蔽物を用いての防塵手段では、充分な防塵効果を得ることは困難であった。
また、特許文献2に記載の従来技術では、搬送系や運転部から塵埃を除去するための専用の排塵ファンや、排塵ファンによる塵埃除去を効果的に行えるようにするための関連構造が必要であり、コンバインのコスト増や動力ロスを招く傾向がある。
【0005】
本発明の目的は、扱胴の駆動するための動力と、その扱胴の配設スペースを有効利用して効果的な塵埃処理を行えるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
本発明のコンバインは、請求項1の記載のように、機体前部に刈取り前処理装置を備え、その後方側に脱穀装置を装備し、前記脱穀装置の扱胴を構成するドラムの前部に吸引口を形成するとともに後部に排出口を形成し、前記ドラム内に吸引口側から排出口側へ送風する羽根部材を設けてある。
【0007】
〔作用効果〕
上記構成によると、脱穀装置の扱胴を構成するドラムを、前後に吸引口と排出口との夫々が形成されたトンネル状に形成するとともに、そのドラム内に羽根部材を付設し、ドラム内を風路として前方の前処理部で発生した塵埃を後方側へ移行させ、運転部から遠ざけて排出できるようにしている。
その結果、比較的慣性の大きい扱胴の回転動力を有効に利用して、ドラム内の羽根部材による塵埃の排出側への移行を効率良く行うことができる。
また、径の大きい扱胴のドラム内空間を利用することにより、大きな羽根部材であっても他の装置の配設スペースを削減することなく所要スペースを確保して配置することができる。しかも羽根部材が大きいことにより、比較的低回転で大容量の風を送ることができ、高回転で駆動されるファンを用いる場合に比べて送風音を低減できる点でも有利である。
さらに、扱胴の前後に吸引口と排出口とを設けることにより、メンテナンス時にドラム内に手を入れての作業も可能になるので、損傷した扱き歯を交換する際の作業などを行い易くなる利点もある。
【0008】
〔解決手段2〕
本発明のコンバインは、請求項2の記載のように、扱胴軸に固定した羽根部材によって扱胴ドラムを支持したものでもよい。
【0009】
〔作用効果〕
上記構成によると、羽根部材がドラムを支持する部材としても作用することになるので、扱胴軸にドラムを連結支持させる部材を、羽根部材とは別に設ける場合に比べて、より構造の簡素化を図ることができる利点がある。
【0010】
〔解決手段3〕
本発明のコンバインは、請求項3の記載のように、ドラム内周側の後部に形成される開口のうち、扱胴軸を支承する扱室後壁に対向する部位を閉塞して排出風の吹き出しを規制する規制板を扱室後壁に固定し、扱室後壁に対向していない部位を開放して排出口を構成するとよい。
【0011】
〔作用効果〕
上記のように規制板を配設することにより、ドラムの後部から排出される大量の排出風が扱室後壁と衝突して扱室の上流側に逆流する現象を未然に防止することが可能となる。したがって、前記排出風の逆流によって脱穀処理後のワラ屑などが再び扱胴の始端側に返されて、再度脱穀処理が行われるような、処理負荷の増大を招く不具合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔コンバインの全体構成〕
図1に、本発明に係るコンバインの左側面が示され、図2に平面視の構造が示されている。
このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に、刈取り前処理装置3を揺動昇降可能に連結するとともに、走行機体2上に、運転部4、脱穀装置5、穀粒タンク6、などを搭載して構成されている。刈取り前処理装置3で刈り取られた穀稈は、縦搬送装置で後方上方に搬送されて、脱穀装置5のフィードチェーン8に横倒れ姿勢で受け渡され、フィードチェーン8で後方に挟持搬送される間に脱穀処理され、排藁は排藁搬送装置で後方へ送られ、排藁カッタ9で細断処理されて機外に放出される。また、脱穀装置5で選別回収された穀粒が揚穀装置60を経て前記穀粒タンク6に貯留され、穀粒搬出用オーガ7を介して外部へ搬出されるようになっている。
【0013】
〔脱穀選別部〕
図3に、前記脱穀装置5の内部構造が示されている。この脱穀装置5の上部には、扱胴50が軸芯X1を前後方向に沿う水平姿勢で支架されているとともに、受網12を張設した扱室10が設けられ、その下方に、篩い選別用のシーブケース14および風選用の唐箕15を備えた選別部16が設けられている。
【0014】
前記シーブケース14は、その前部が揺動リンク21の下端に吊り下げ支持されるとともに、後部が偏心輪を有した駆動部22に連動連結されており、駆動部22での偏芯輪の回転に連動してシーブケース14が一定ストロークで前後に往復揺動駆動されるようになっている。そして、このシーブケース14の前部には、受網12の前半部から漏下してきた脱穀処理物を受け止める波形のグレンパン23が設けられるとともに、その後方には、開度調節可能なチャフシーブ24、開度固定のチャフシーブ25、および、後ろ向き片持ち状のストローラック26が順次設けられている。
また、シーブケース14における前後方向中間の上部には、前記扱室10後部の送塵口27から搬出される処理物を受け止めるグレンパン付きラック28が設けられ、さらに、チャフシーブ24の下方に精選別用のグレンシーブ29が備えられている。
【0015】
そして、選別部16の下部には、グレンシーブ29から漏下してきた穀粒(1番物)を回収して横スクリュウ40で揚穀装置60側に送り、穀粒タンク6に搬出する1番回収部41と、チャフシーブ25やストローラック26から漏下してきた枝梗付き穀粒などの2番物を回収して横スクリュウ42で2番還元装置43に送り込む2番回収部44が設けられ、2番還元装置43で搬送された2番物はシーブケース14の前部に還元されて再度の選別処理を受けるようになっている。
【0016】
この脱穀装置5の基本構成は以上のようであり、扱室10に搬入された穀稈の穀粒の大部分は扱室10の前半部で穀稈から分離され、脱穀された穀粒や細かい藁屑の多くが受網12の前半部を漏下してグレンパン23に供給されるとともに、受網12を漏下しなかった藁屑や一部の穀粒は送塵口27から排出されてグレンパン付きラック28に供給される。
【0017】
グレンパン23上の脱穀処理物は、後方に揺動移送される間に比重差選別作用を受け、比較的重い穀粒は下層に、また、比較的軽い藁屑は上層に分離された状態でチャフシーブ24の前部に受け渡される。チャフシーブ24においては、穀粒や細かい藁屑と長い藁屑とを分離する粗選別が行われ、穀粒や細かい藁屑はチャフシーブ24を漏下し、その下方に配備されたてグレンシーブ29に供給され、グレンシーブ29で篩い選別されて漏下する際に、唐箕15からの選別風を受けて、軽い藁屑は後方に飛散され、重い穀粒が1番回収部41に回収される。
チャフシーブ24を漏下しなかった処理物は開度固定のチャフシーブ25上に移動され、グレンパン付きラック28でほぐされた処理物とともに篩い選別作用を受け、藁屑を含む2番物は2番回収部44に落下回収されるとともに、長い藁屑は落下することなくストローラック26に送り出され、さらに、ストローラック26での篩い選別作用によって、長い藁屑中に含まれる2番物が2番回収部44に落下回収され、ストローラック26の終端に至った藁屑だけが排塵口17から機外に排出されてゆく。
【0018】
〔塵埃排出装置〕
脱穀装置5の扱室内には、本発明の羽根部材53を備えた塵埃排出装置Aが装備されている。
前記塵埃排出装置Aは、図3〜図5に示すように、扱胴軸心X1を機体前後方向に沿わせて配設された扱胴50と、その扱胴50のドラム51を回転自在に支承する扱胴軸52と、前記ドラム51内に配設された羽根部材53とによって構成されている。
【0019】
前記ドラム51には、その機体前方側端部に吸引口51aが開口され、機体後方側端部には排出口51bが開口されて、全体が円筒状に形成されているとともに、その円筒状のドラム51内に、前記吸引口51a側から排出口51b側へ向けて風の流れを起こす羽根部材53を設けてある。
前記羽根部材53は、扱胴軸52とドラム51の内周面とを連結して、ドラム51が扱胴軸52と一体に回転駆動されるように、つまり、羽根部材53が、起風羽根としての機能と、前記扱胴軸52に対してドラム51を連結支持させる手段としての機能を兼ねるように構成されている。
【0020】
前記ドラム51の吸引口51aと対向する扱室前壁10A部分には、図4に示すように、刈取り前処理装置3側から導入される刈取茎稈を、フィードチェーン8での挟持搬送に伴って受け入れる前側ワニ口11Aが形成されていて、その前側ワニ口11Aの一部が前記ドラム51の吸引口51aの一部に対向している。そして、その前側ワニ口11Aの上側でも、前記吸引口51aに対向する箇所の扱室前壁10A部分に多数の通気孔13が形成されている。
【0021】
図5に示すように、前記ドラム51の後部側の開口と対向する扱室後壁10B部分には、フィードチェーン8での挟持搬送に伴って脱穀済み排ワラを送り出す後側ワニ口11Bが形成されている。この後側ワニ口11Bは、ドラム51の内周側の後部における開口の面積のうちの下半側の多くを開放するように、変形した形状に形成されている。このように後側ワニ口11Bの形状を変形させると、ドラム51の後部の開口のうち、下半側の大部分は扱室後壁10Bと対向せずに開放された状態となる。
そして、扱胴軸52を支承する扱室後壁10Bの上側部分が、前記ドラム51の後部側の開口の上半側を閉塞する位置で開口に対向しているが、前記ドラム51の後部側の開口の上半側に対しては、図3、及び図5中に示すように、ドラム51の後部に入り込む状態で規制板54が設けてあり、この規制板54が設けられていない開口部分によって排出口51bが構成されている。
【0022】
前記規制板54は、連結ブラケット55を介して扱室後壁10Bに固定されており、ドラム51の後部から排出される排出風が扱室後壁10Bに直接衝突することを抑制している。このように規制板54を配設することにより、ドラム51の後部から排出される大量の排風が扱室後壁10Bと衝突して扱室10上流側に逆流する現象を未然に防止することが可能となる。したがって、前記排風の逆流によって脱穀処理後のワラ屑などが再び扱胴50の始端側に返されて、再度脱穀処理が行われるような、処理負荷の増大を招く不具合を回避することができる。
【0023】
〔穀粒搬出用オーガ〕
グレンタンク6に貯留されている穀粒を排出するための穀粒搬出用オーガ7は次のように構成されている。
図1に示すように、穀粒搬出用オーガ7は、グレンタンク6に貯留されている穀粒を取り出して揚上搬送する縦送りスクリューコンベア71と、その縦送りスクリューコンベア71に対して上下軸心y周りで旋回自在に、かつ、水平方向軸心x2周りで起伏揺動自在に接続された横送りスクリューコンベア72とを備えて構成されている。
【0024】
前記横送りスクリューコンベア72は、図1、及び図6に示すように、揺動基端側の第1コンベア73と、先端側の第2コンベア74と、その第2コンベア74の先端側に一体に設けられた吐出口カバー75とからなり、第1コンベア73に対して第2コンベア74を穀粒搬送方向に沿って相対移動自在に構成してある。
前記第1コンベア73は、筒状ケース73a内で回転駆動されるスクリュー軸73bの周部に、一定の螺旋軌跡に沿って所定間隔毎に螺旋羽根73cを付設して構成されている。
前記第2コンベアは、先端側が大径となる円錐状の先端ケース74a内に、先端側ほど回転半径が大きくなる状態で板状の4枚の羽根体74cを回転軸74bに固定して設けてある。
【0025】
前記第2コンベア74の各羽根体74cは、回転軸74bの軸線方向の途中から、第1コンベア73に近い側の端部までの一部が、第1コンベア73の筒状ケース73aの外側に重なることができるように、部分的に切り欠き形成されている。
前記回転軸74bの第1コンベア73側の一部は、第1コンベア73のスクリュー軸73bの中心部に形成されたスプライン孔に係合するスプライン部分を形成してあって、第1コンベア73のスクリュー軸73bと一体回転自在に、かつ軸線方向での相対移動で横送りスクリューコンベア72の長さを伸縮可能に構成してある。
前記第2コンベア74の円錐状の先端ケース74aは、その先端側で前記回転軸74bを回転自在に枢支するとともに、小径の基端側を前記第1コンベア73の筒状ケース73aに外嵌させている。そして、その基端側端部から筒状ケース73aの外面に沿ってネジ軸76を延設し、筒状ケース73a側に前記ネジ軸76と螺合する雌ネジ部材77を固定し、前記ネジ軸を回転駆動する電動モータ78を装備して、電動モータ78の正逆転駆動によりネジ軸76を介して第2コンベア74の全体を第1コンベア73に対して相対移動させ、横送りスクリューコンベア72の伸縮作動を可能に構成してある。
【0026】
上記のように構成された横送りスクリューコンベア72では、第1コンベア73のスクリュー軸73bの回転に伴って螺旋状に配設された各羽根体73cが筒状ケース73a内の穀粒を先端側へ強制的に移送する。そして、第2コンベア74側では、前記スクリュー軸73bと一体的に回転する回転軸74bによって板状の羽根体74cが回転駆動される。
このとき、各羽根体74c自体は回転軸74bの軸線方向に沿う送り作用力を有していないが、円錐状の先端ケース74a内に位置する穀粒を回転させて遠心力を付与することにより、遠心力を与えられた穀粒が徐々に円錐面に沿って先端側へ移行し、先端の吐出口70から外部へ放出されることになる。
【0027】
〔分草装置〕
図7は、刈取り前処理装置3の引き起こし装置30の前部に設けられる分草装置31を示す。
この分草装置31は、刈取り前処理装置3の刈取フレーム32に対してコイルスプリング33を介して連結された板状の取付枠34と、その取付枠34の上方に取り付けられた分草体35と、前記取付枠34の下側に設けた橇体36とで構成されている。
【0028】
上記のように、分草装置31をコイルスプリング33を介して支持することにより、分草体35が他物と接触して上下、左右、前後の何れの方向からの外力を受けたとしても、その外力による影響を前記コイルスプリング33によって緩和し、分草体35の損傷や変形を回避し易くなる。
特に、橇体36を備えて地面近くに分草体35の先端を位置させて作業を行う際、他物との接触の機会も増加する傾向にあるが、多少の接触を気にせずに作業を行い易い点で有利である。
【0029】
〔別実施形態〕
本発明のコンバインは、次のように構成してもよい。
[1] 扱胴50のドラム51内に設けられる羽根部材53しては、実施の形態で示したように支持部材を兼ねる構造のものに限らず、支持部材とは別部材で構成してもよい。
[2] 羽根部材53は、ドラム51内の軸線方向で一箇所のみでもよく、3箇所以上の多数箇所に配設してもよい。
[3] 羽根部材53としては、プロペラ式のものに限らず、シロッコファンを採用してもよい。この場合、支持部材を併用する必要がある。
【0030】
[4] 横送りスクリューコンベア72としては、図8〜図10に示すような構造のものを採用してもよい。
この構造では、第1コンベア73は前述の実施の形態で示した構造のものと同様に、筒状ケース73aで回転駆動されるスクリュー軸73bの周部に、一定の螺旋軌跡に沿って所定間隔毎に螺旋羽根73cを付設して構成されている。
第2コンベア74は、前記第1コンベア73の筒状ケース73aに対して内嵌される延長筒状ケース74aを先端ケースとして備え、その延長筒状ケース74aの内周側に螺旋羽根74cを一体に付設して羽根体を構成している。この延長筒状ケース74aは、第1コンベア73のスクリュー軸73bの中心部に形成されたスプライン孔に係合するスプライン部分を形成した回転軸74bの先端側に一体的に連結されていて、第1コンベア73のスクリュー軸73bと一体回転自在に構成され、かつ、第1コンベア73のスクリュー軸73bに対して軸線方向で相対移動することにより、横送りスクリューコンベア72の長さを伸縮変更可能に構成してある。
上記のように構成された第1コンベア73のスクリュー軸73bに形成される螺旋羽根73cと、第2コンベア74の延長筒状ケース74a内に形成される螺旋羽根74cとは、横送りスクリューコンベア72の筒軸芯方向視での位相が互いに異なるように配設されていて、第1コンベア73と第2コンベア74との相対移動によっても干渉しないように配設されている。
尚、この第2コンベア74の先端側に設けられる吐出口カバー75は、延長筒状ケース74aに対して相対回転自在に装着され、自重で吐出口70の開口が下向きとなるように構成されている。
【0031】
[5] 分草装置31としては、分草体35と橇体36とを別々に設けるものに限らず、図11に示すように、全体を合成樹脂材のブロー成形などによる、中空の一体成形品で構成し、分草体35部分と橇体36部分とを一体に構成してもよい。
【0032】
[6] 分草装置31としては、前記図8に示した橇体36を省略した構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】コンバインの脱穀選別部を示す側面図
【図4】扱胴と塵埃排出装置を示す正面図
【図5】扱胴と塵埃排出装置を示す背面図
【図6】穀粒排出オーガの先端部を示す筒軸線に沿う断面図
【図7】分草装置を示を示し、(イ)は側面図、(ロ)は正面図
【図8】穀粒排出オーガの他の実施形態における先端部を示す筒軸線に沿う断面図
【図9】穀粒排出オーガの他の実施形態を示し、(イ)はスクリュー軸に沿う側面図、(ロ)はスクリュー軸に交差する断面図
【図10】穀粒排出オーガの他の実施形態を示し、(イ)は筒軸線に沿う断面図、(ロ)及び(ハ)は(イ)におけるa−a線断面図とb−b線断面図
【図11】分草装置の他の実施形態を示を示し、(イ)は側面図、(ロ)は断面図
【符号の説明】
【0034】
3 刈取り前処理部
4 運転部
5 脱穀装置
6 穀粒タンク
7 穀粒搬出用オーガ
10 扱室
10A 扱室前壁
10B 扱室後壁
50 扱胴
51 ドラム
51a 吸引口
51b 排出口
52 扱胴軸
53 羽根部材
54 規制板
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置や引き起こし装置、及び後方搬送装置などで構成される刈取り前処理装置を機体前部側に備え、その後方側に脱穀装置が配備されているコンバインにおいて、作業と共に発生する塵埃の処理を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインでは、穀稈の引き起こしや刈取搬送作業に伴って大量の塵埃が発生することがあり、この塵埃が舞い上がって運転部側に入り込んでくると作業環境の悪化につながるため、運転部側への塵埃の入り込みを抑制する手段を講じる必要がある。
その手段として、従来では、下記〔1〕または〔2〕に示す技術手段を講じることが知られている。
〔1〕 機体フレームの下面側に被装板を設けたもの、引き起こし装置の後面側や、運転座席の後面側、あるいは刈取装置側の側面に防塵シートやカバーを設けること(特許文献1参照)。
〔2〕 刈取装置からの搬送用フィーダの途中から、及び運転部から塵埃を吸引排出する排塵ファンを設けたもの(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−318173号公報(段落番号〔0011〕、〔0020〕、〔0028〕及び〔0033〕、ならびに図2,図3,図6,図8,図15)
【特許文献2】特開2000−102315号公報(段落番号〔0027〕、〔0033〕及び、図1,図2,図4,図7,図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、防塵シートやカバー等の遮蔽物を用いて運転部側への塵埃の移行を制限しているものであるが、このような遮蔽物を用いての防塵手段では、充分な防塵効果を得ることは困難であった。
また、特許文献2に記載の従来技術では、搬送系や運転部から塵埃を除去するための専用の排塵ファンや、排塵ファンによる塵埃除去を効果的に行えるようにするための関連構造が必要であり、コンバインのコスト増や動力ロスを招く傾向がある。
【0005】
本発明の目的は、扱胴の駆動するための動力と、その扱胴の配設スペースを有効利用して効果的な塵埃処理を行えるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
本発明のコンバインは、請求項1の記載のように、機体前部に刈取り前処理装置を備え、その後方側に脱穀装置を装備し、前記脱穀装置の扱胴を構成するドラムの前部に吸引口を形成するとともに後部に排出口を形成し、前記ドラム内に吸引口側から排出口側へ送風する羽根部材を設けてある。
【0007】
〔作用効果〕
上記構成によると、脱穀装置の扱胴を構成するドラムを、前後に吸引口と排出口との夫々が形成されたトンネル状に形成するとともに、そのドラム内に羽根部材を付設し、ドラム内を風路として前方の前処理部で発生した塵埃を後方側へ移行させ、運転部から遠ざけて排出できるようにしている。
その結果、比較的慣性の大きい扱胴の回転動力を有効に利用して、ドラム内の羽根部材による塵埃の排出側への移行を効率良く行うことができる。
また、径の大きい扱胴のドラム内空間を利用することにより、大きな羽根部材であっても他の装置の配設スペースを削減することなく所要スペースを確保して配置することができる。しかも羽根部材が大きいことにより、比較的低回転で大容量の風を送ることができ、高回転で駆動されるファンを用いる場合に比べて送風音を低減できる点でも有利である。
さらに、扱胴の前後に吸引口と排出口とを設けることにより、メンテナンス時にドラム内に手を入れての作業も可能になるので、損傷した扱き歯を交換する際の作業などを行い易くなる利点もある。
【0008】
〔解決手段2〕
本発明のコンバインは、請求項2の記載のように、扱胴軸に固定した羽根部材によって扱胴ドラムを支持したものでもよい。
【0009】
〔作用効果〕
上記構成によると、羽根部材がドラムを支持する部材としても作用することになるので、扱胴軸にドラムを連結支持させる部材を、羽根部材とは別に設ける場合に比べて、より構造の簡素化を図ることができる利点がある。
【0010】
〔解決手段3〕
本発明のコンバインは、請求項3の記載のように、ドラム内周側の後部に形成される開口のうち、扱胴軸を支承する扱室後壁に対向する部位を閉塞して排出風の吹き出しを規制する規制板を扱室後壁に固定し、扱室後壁に対向していない部位を開放して排出口を構成するとよい。
【0011】
〔作用効果〕
上記のように規制板を配設することにより、ドラムの後部から排出される大量の排出風が扱室後壁と衝突して扱室の上流側に逆流する現象を未然に防止することが可能となる。したがって、前記排出風の逆流によって脱穀処理後のワラ屑などが再び扱胴の始端側に返されて、再度脱穀処理が行われるような、処理負荷の増大を招く不具合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔コンバインの全体構成〕
図1に、本発明に係るコンバインの左側面が示され、図2に平面視の構造が示されている。
このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に、刈取り前処理装置3を揺動昇降可能に連結するとともに、走行機体2上に、運転部4、脱穀装置5、穀粒タンク6、などを搭載して構成されている。刈取り前処理装置3で刈り取られた穀稈は、縦搬送装置で後方上方に搬送されて、脱穀装置5のフィードチェーン8に横倒れ姿勢で受け渡され、フィードチェーン8で後方に挟持搬送される間に脱穀処理され、排藁は排藁搬送装置で後方へ送られ、排藁カッタ9で細断処理されて機外に放出される。また、脱穀装置5で選別回収された穀粒が揚穀装置60を経て前記穀粒タンク6に貯留され、穀粒搬出用オーガ7を介して外部へ搬出されるようになっている。
【0013】
〔脱穀選別部〕
図3に、前記脱穀装置5の内部構造が示されている。この脱穀装置5の上部には、扱胴50が軸芯X1を前後方向に沿う水平姿勢で支架されているとともに、受網12を張設した扱室10が設けられ、その下方に、篩い選別用のシーブケース14および風選用の唐箕15を備えた選別部16が設けられている。
【0014】
前記シーブケース14は、その前部が揺動リンク21の下端に吊り下げ支持されるとともに、後部が偏心輪を有した駆動部22に連動連結されており、駆動部22での偏芯輪の回転に連動してシーブケース14が一定ストロークで前後に往復揺動駆動されるようになっている。そして、このシーブケース14の前部には、受網12の前半部から漏下してきた脱穀処理物を受け止める波形のグレンパン23が設けられるとともに、その後方には、開度調節可能なチャフシーブ24、開度固定のチャフシーブ25、および、後ろ向き片持ち状のストローラック26が順次設けられている。
また、シーブケース14における前後方向中間の上部には、前記扱室10後部の送塵口27から搬出される処理物を受け止めるグレンパン付きラック28が設けられ、さらに、チャフシーブ24の下方に精選別用のグレンシーブ29が備えられている。
【0015】
そして、選別部16の下部には、グレンシーブ29から漏下してきた穀粒(1番物)を回収して横スクリュウ40で揚穀装置60側に送り、穀粒タンク6に搬出する1番回収部41と、チャフシーブ25やストローラック26から漏下してきた枝梗付き穀粒などの2番物を回収して横スクリュウ42で2番還元装置43に送り込む2番回収部44が設けられ、2番還元装置43で搬送された2番物はシーブケース14の前部に還元されて再度の選別処理を受けるようになっている。
【0016】
この脱穀装置5の基本構成は以上のようであり、扱室10に搬入された穀稈の穀粒の大部分は扱室10の前半部で穀稈から分離され、脱穀された穀粒や細かい藁屑の多くが受網12の前半部を漏下してグレンパン23に供給されるとともに、受網12を漏下しなかった藁屑や一部の穀粒は送塵口27から排出されてグレンパン付きラック28に供給される。
【0017】
グレンパン23上の脱穀処理物は、後方に揺動移送される間に比重差選別作用を受け、比較的重い穀粒は下層に、また、比較的軽い藁屑は上層に分離された状態でチャフシーブ24の前部に受け渡される。チャフシーブ24においては、穀粒や細かい藁屑と長い藁屑とを分離する粗選別が行われ、穀粒や細かい藁屑はチャフシーブ24を漏下し、その下方に配備されたてグレンシーブ29に供給され、グレンシーブ29で篩い選別されて漏下する際に、唐箕15からの選別風を受けて、軽い藁屑は後方に飛散され、重い穀粒が1番回収部41に回収される。
チャフシーブ24を漏下しなかった処理物は開度固定のチャフシーブ25上に移動され、グレンパン付きラック28でほぐされた処理物とともに篩い選別作用を受け、藁屑を含む2番物は2番回収部44に落下回収されるとともに、長い藁屑は落下することなくストローラック26に送り出され、さらに、ストローラック26での篩い選別作用によって、長い藁屑中に含まれる2番物が2番回収部44に落下回収され、ストローラック26の終端に至った藁屑だけが排塵口17から機外に排出されてゆく。
【0018】
〔塵埃排出装置〕
脱穀装置5の扱室内には、本発明の羽根部材53を備えた塵埃排出装置Aが装備されている。
前記塵埃排出装置Aは、図3〜図5に示すように、扱胴軸心X1を機体前後方向に沿わせて配設された扱胴50と、その扱胴50のドラム51を回転自在に支承する扱胴軸52と、前記ドラム51内に配設された羽根部材53とによって構成されている。
【0019】
前記ドラム51には、その機体前方側端部に吸引口51aが開口され、機体後方側端部には排出口51bが開口されて、全体が円筒状に形成されているとともに、その円筒状のドラム51内に、前記吸引口51a側から排出口51b側へ向けて風の流れを起こす羽根部材53を設けてある。
前記羽根部材53は、扱胴軸52とドラム51の内周面とを連結して、ドラム51が扱胴軸52と一体に回転駆動されるように、つまり、羽根部材53が、起風羽根としての機能と、前記扱胴軸52に対してドラム51を連結支持させる手段としての機能を兼ねるように構成されている。
【0020】
前記ドラム51の吸引口51aと対向する扱室前壁10A部分には、図4に示すように、刈取り前処理装置3側から導入される刈取茎稈を、フィードチェーン8での挟持搬送に伴って受け入れる前側ワニ口11Aが形成されていて、その前側ワニ口11Aの一部が前記ドラム51の吸引口51aの一部に対向している。そして、その前側ワニ口11Aの上側でも、前記吸引口51aに対向する箇所の扱室前壁10A部分に多数の通気孔13が形成されている。
【0021】
図5に示すように、前記ドラム51の後部側の開口と対向する扱室後壁10B部分には、フィードチェーン8での挟持搬送に伴って脱穀済み排ワラを送り出す後側ワニ口11Bが形成されている。この後側ワニ口11Bは、ドラム51の内周側の後部における開口の面積のうちの下半側の多くを開放するように、変形した形状に形成されている。このように後側ワニ口11Bの形状を変形させると、ドラム51の後部の開口のうち、下半側の大部分は扱室後壁10Bと対向せずに開放された状態となる。
そして、扱胴軸52を支承する扱室後壁10Bの上側部分が、前記ドラム51の後部側の開口の上半側を閉塞する位置で開口に対向しているが、前記ドラム51の後部側の開口の上半側に対しては、図3、及び図5中に示すように、ドラム51の後部に入り込む状態で規制板54が設けてあり、この規制板54が設けられていない開口部分によって排出口51bが構成されている。
【0022】
前記規制板54は、連結ブラケット55を介して扱室後壁10Bに固定されており、ドラム51の後部から排出される排出風が扱室後壁10Bに直接衝突することを抑制している。このように規制板54を配設することにより、ドラム51の後部から排出される大量の排風が扱室後壁10Bと衝突して扱室10上流側に逆流する現象を未然に防止することが可能となる。したがって、前記排風の逆流によって脱穀処理後のワラ屑などが再び扱胴50の始端側に返されて、再度脱穀処理が行われるような、処理負荷の増大を招く不具合を回避することができる。
【0023】
〔穀粒搬出用オーガ〕
グレンタンク6に貯留されている穀粒を排出するための穀粒搬出用オーガ7は次のように構成されている。
図1に示すように、穀粒搬出用オーガ7は、グレンタンク6に貯留されている穀粒を取り出して揚上搬送する縦送りスクリューコンベア71と、その縦送りスクリューコンベア71に対して上下軸心y周りで旋回自在に、かつ、水平方向軸心x2周りで起伏揺動自在に接続された横送りスクリューコンベア72とを備えて構成されている。
【0024】
前記横送りスクリューコンベア72は、図1、及び図6に示すように、揺動基端側の第1コンベア73と、先端側の第2コンベア74と、その第2コンベア74の先端側に一体に設けられた吐出口カバー75とからなり、第1コンベア73に対して第2コンベア74を穀粒搬送方向に沿って相対移動自在に構成してある。
前記第1コンベア73は、筒状ケース73a内で回転駆動されるスクリュー軸73bの周部に、一定の螺旋軌跡に沿って所定間隔毎に螺旋羽根73cを付設して構成されている。
前記第2コンベアは、先端側が大径となる円錐状の先端ケース74a内に、先端側ほど回転半径が大きくなる状態で板状の4枚の羽根体74cを回転軸74bに固定して設けてある。
【0025】
前記第2コンベア74の各羽根体74cは、回転軸74bの軸線方向の途中から、第1コンベア73に近い側の端部までの一部が、第1コンベア73の筒状ケース73aの外側に重なることができるように、部分的に切り欠き形成されている。
前記回転軸74bの第1コンベア73側の一部は、第1コンベア73のスクリュー軸73bの中心部に形成されたスプライン孔に係合するスプライン部分を形成してあって、第1コンベア73のスクリュー軸73bと一体回転自在に、かつ軸線方向での相対移動で横送りスクリューコンベア72の長さを伸縮可能に構成してある。
前記第2コンベア74の円錐状の先端ケース74aは、その先端側で前記回転軸74bを回転自在に枢支するとともに、小径の基端側を前記第1コンベア73の筒状ケース73aに外嵌させている。そして、その基端側端部から筒状ケース73aの外面に沿ってネジ軸76を延設し、筒状ケース73a側に前記ネジ軸76と螺合する雌ネジ部材77を固定し、前記ネジ軸を回転駆動する電動モータ78を装備して、電動モータ78の正逆転駆動によりネジ軸76を介して第2コンベア74の全体を第1コンベア73に対して相対移動させ、横送りスクリューコンベア72の伸縮作動を可能に構成してある。
【0026】
上記のように構成された横送りスクリューコンベア72では、第1コンベア73のスクリュー軸73bの回転に伴って螺旋状に配設された各羽根体73cが筒状ケース73a内の穀粒を先端側へ強制的に移送する。そして、第2コンベア74側では、前記スクリュー軸73bと一体的に回転する回転軸74bによって板状の羽根体74cが回転駆動される。
このとき、各羽根体74c自体は回転軸74bの軸線方向に沿う送り作用力を有していないが、円錐状の先端ケース74a内に位置する穀粒を回転させて遠心力を付与することにより、遠心力を与えられた穀粒が徐々に円錐面に沿って先端側へ移行し、先端の吐出口70から外部へ放出されることになる。
【0027】
〔分草装置〕
図7は、刈取り前処理装置3の引き起こし装置30の前部に設けられる分草装置31を示す。
この分草装置31は、刈取り前処理装置3の刈取フレーム32に対してコイルスプリング33を介して連結された板状の取付枠34と、その取付枠34の上方に取り付けられた分草体35と、前記取付枠34の下側に設けた橇体36とで構成されている。
【0028】
上記のように、分草装置31をコイルスプリング33を介して支持することにより、分草体35が他物と接触して上下、左右、前後の何れの方向からの外力を受けたとしても、その外力による影響を前記コイルスプリング33によって緩和し、分草体35の損傷や変形を回避し易くなる。
特に、橇体36を備えて地面近くに分草体35の先端を位置させて作業を行う際、他物との接触の機会も増加する傾向にあるが、多少の接触を気にせずに作業を行い易い点で有利である。
【0029】
〔別実施形態〕
本発明のコンバインは、次のように構成してもよい。
[1] 扱胴50のドラム51内に設けられる羽根部材53しては、実施の形態で示したように支持部材を兼ねる構造のものに限らず、支持部材とは別部材で構成してもよい。
[2] 羽根部材53は、ドラム51内の軸線方向で一箇所のみでもよく、3箇所以上の多数箇所に配設してもよい。
[3] 羽根部材53としては、プロペラ式のものに限らず、シロッコファンを採用してもよい。この場合、支持部材を併用する必要がある。
【0030】
[4] 横送りスクリューコンベア72としては、図8〜図10に示すような構造のものを採用してもよい。
この構造では、第1コンベア73は前述の実施の形態で示した構造のものと同様に、筒状ケース73aで回転駆動されるスクリュー軸73bの周部に、一定の螺旋軌跡に沿って所定間隔毎に螺旋羽根73cを付設して構成されている。
第2コンベア74は、前記第1コンベア73の筒状ケース73aに対して内嵌される延長筒状ケース74aを先端ケースとして備え、その延長筒状ケース74aの内周側に螺旋羽根74cを一体に付設して羽根体を構成している。この延長筒状ケース74aは、第1コンベア73のスクリュー軸73bの中心部に形成されたスプライン孔に係合するスプライン部分を形成した回転軸74bの先端側に一体的に連結されていて、第1コンベア73のスクリュー軸73bと一体回転自在に構成され、かつ、第1コンベア73のスクリュー軸73bに対して軸線方向で相対移動することにより、横送りスクリューコンベア72の長さを伸縮変更可能に構成してある。
上記のように構成された第1コンベア73のスクリュー軸73bに形成される螺旋羽根73cと、第2コンベア74の延長筒状ケース74a内に形成される螺旋羽根74cとは、横送りスクリューコンベア72の筒軸芯方向視での位相が互いに異なるように配設されていて、第1コンベア73と第2コンベア74との相対移動によっても干渉しないように配設されている。
尚、この第2コンベア74の先端側に設けられる吐出口カバー75は、延長筒状ケース74aに対して相対回転自在に装着され、自重で吐出口70の開口が下向きとなるように構成されている。
【0031】
[5] 分草装置31としては、分草体35と橇体36とを別々に設けるものに限らず、図11に示すように、全体を合成樹脂材のブロー成形などによる、中空の一体成形品で構成し、分草体35部分と橇体36部分とを一体に構成してもよい。
【0032】
[6] 分草装置31としては、前記図8に示した橇体36を省略した構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】コンバインの脱穀選別部を示す側面図
【図4】扱胴と塵埃排出装置を示す正面図
【図5】扱胴と塵埃排出装置を示す背面図
【図6】穀粒排出オーガの先端部を示す筒軸線に沿う断面図
【図7】分草装置を示を示し、(イ)は側面図、(ロ)は正面図
【図8】穀粒排出オーガの他の実施形態における先端部を示す筒軸線に沿う断面図
【図9】穀粒排出オーガの他の実施形態を示し、(イ)はスクリュー軸に沿う側面図、(ロ)はスクリュー軸に交差する断面図
【図10】穀粒排出オーガの他の実施形態を示し、(イ)は筒軸線に沿う断面図、(ロ)及び(ハ)は(イ)におけるa−a線断面図とb−b線断面図
【図11】分草装置の他の実施形態を示を示し、(イ)は側面図、(ロ)は断面図
【符号の説明】
【0034】
3 刈取り前処理部
4 運転部
5 脱穀装置
6 穀粒タンク
7 穀粒搬出用オーガ
10 扱室
10A 扱室前壁
10B 扱室後壁
50 扱胴
51 ドラム
51a 吸引口
51b 排出口
52 扱胴軸
53 羽根部材
54 規制板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部に刈取り前処理装置を備え、その後方側に脱穀装置を装備し、前記脱穀装置の扱胴を構成するドラムの前部に吸引口を形成するとともに後部に排出口を形成し、前記ドラム内に吸引口側から排出口側へ送風する羽根部材を設けてあるコンバイン。
【請求項2】
扱胴軸に固定した羽根部材によって扱胴ドラムを支持してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
ドラム内周側の後部に形成される開口のうち、扱胴軸を支承する扱室後壁に対向する部位を閉塞して排出風の吹き出しを規制する規制板を扱室後壁に固定し、扱室後壁に対向していない部位を開放して排出口を構成してある請求項1または2記載のコンバイン。
【請求項1】
機体前部に刈取り前処理装置を備え、その後方側に脱穀装置を装備し、前記脱穀装置の扱胴を構成するドラムの前部に吸引口を形成するとともに後部に排出口を形成し、前記ドラム内に吸引口側から排出口側へ送風する羽根部材を設けてあるコンバイン。
【請求項2】
扱胴軸に固定した羽根部材によって扱胴ドラムを支持してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
ドラム内周側の後部に形成される開口のうち、扱胴軸を支承する扱室後壁に対向する部位を閉塞して排出風の吹き出しを規制する規制板を扱室後壁に固定し、扱室後壁に対向していない部位を開放して排出口を構成してある請求項1または2記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−212117(P2008−212117A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57345(P2007−57345)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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