説明

コンバイン

【課題】多条刈りの刈取搬送部における穀稈搬送姿勢の乱れを少なくして、刈取脱穀作業を円滑化する。
【解決手段】左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)の間に位置する中搬送チェン(9)を刈取フレーム(3)の前部から起立する動力取出用の伝動筒(10)の上部に軸架した駆動スプロケット(11)に係合させて伝動する構成とし、中搬送チェン(9)の始端部に軸架した単体の中掻込みスターホイル(14)を、左右両側の各掻込みスターホイル(12a,12b,13a,13b)よりも下方に配置して地面に接近させて軸架すると共に隣接する掻込みスターホイル(13a)の下側に外周縁(14a)をラップさせて設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、多条刈りのコンバインには、刈取後の穀稈条列を1条、乃至2条ごとに集めて、別々の前部搬送チェンで中間位置の穀稈合流部まで搬送する構成のY字搬送式(刈取後の穀稈を条列ごとに掻込みスターホイルで集めて、それぞれ対応する搬送チエンで後方へ搬送して各刈取条の穀稈を合流し、まとめて脱穀装置に搬送して供給する搬送形態の略称)の刈取搬送部が設けられたものがある。このY字搬送式の刈取搬送部では、左右両側の搬送チェンに挟まれた中搬送チェン、及び中掻込みスターホイルが重要な機能を果たしている。
【0003】
従来の多条刈りコンバインは、例えば、特開2001−148927号公開特許公報(特許文献1参照)に示されているように、一対を一組とした各掻込みスターホイル、左右搬送チェン、中搬送チェンから構成されている。そして、該公開公報に示されている多条刈りの掻込搬送装置は、添付図面の図2、及び図8に示されているように、中央に位置する掻込みスターホイルが左右両側の各掻込みスターホイルより高い位置に軸架した構成となっている。
【特許文献1】特開2001−148927号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、多条刈りのコンバインは、左右両側の搬送穀稈条列と、その間にある中央の搬送穀稈条列とを搬送途中で合流する構成にあっては、合流の中心となる中央搬送穀稈条列を整然と搬送することが、合流後の全体の穀稈搬送作用に大きく影響することが知られている。
【0005】
上記特許文献1(特に、図2、及び図8参照)に開示されている多条刈搬送装置は、中央に軸架された一対の掻込みスターホイルが、左右両側にあるそれぞれ一対の掻込みスターホイルより高い位置に軸架された構成になっている。したがって、中央の搬送条列となる穀稈は、刈取装置によって刈取られた直後に、掻込スターホイルによって搬送チエン側に掻き込まれるとき、刈取部位から上方に離れた高い位置に掻込みスターホイルが作用して、株元(刈取部に近い部位)の揃いが悪く、中搬送チエンが受け継いだ後も搬送が乱れ易く、整然と搬送できない課題がある。この傾向は、穀稈丈が極く短い短稈の刈取作用時に、特に顕著に現れ、整然とした刈取り、掻込み、その後の搬送が損なわれることが多い。
【0006】
それに対して、本件出願の発明は、中掻込スターホイルを単体とし、左右両側にあるそれぞれ一対の掻込みスターホイルより下方に配置し、穀稈に対して刈取位置に近い低い部位に掻込み作用ができる構成であるから、刈取端面の揃った状態で中搬送チェンに受け継がせることができる。そのために、搬送穀稈は、よく揃った状態で整然と後方に搬送され、合流部に達すると、中搬送穀稈条列を中心にして左右両側の穀稈条列が整然と合流することができる。特に、短稈地帯の刈取脱穀作業において、大きな効果が発揮できる。
【0007】
そして、本件出願に係る中掻込みスターホイルは、単体であることと、併せて、隣接した前記掻込みスターホイルの下側に、外周縁をラップさせて構成しているから、機体の左右横幅を極力抑制したコンパクトな多条刈りコンバインを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1に記載した発明は、脱穀装置(1)の前側に設けた刈取懸架台(2)から刈取フレーム(3)を前下方に向けて設け、該刈取フレーム(3)の前端部に横向きの刈取支持伝動ケース(4)を連結して刈取搬送支持機枠(5)を構成し、該刈取搬送支持機枠(5)には、前部低位置に配置した刈取装置(6)と、刈取条列ごとに穀稈を集めて後方の穀稈合流部(7)に搬送する左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)と、該左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)の間に位置する中搬送チェン(9)とを設け、該中搬送チェン(9)を前記刈取フレーム(3)の前部から起立する動力取出用の伝動筒(10)の上部に軸架した駆動スプロケット(11)に係合させて伝動する構成とし、前記左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)の始端部に各一対の掻込みスターホイル(12a,12b,13a,13b)を軸架して設け、前記中搬送チェン(9)の始端部に軸架した単体の中掻込みスターホイル(14)を、前記左右両側の各掻込みスターホイル(12a,12b,13a,13b)よりも下方に配置して地面に接近させて軸架すると共に隣接する掻込みスターホイル(13a)の下側に外周縁(14a)をラップさせて設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0009】
中搬送チェン9で搬送する中央の搬送穀稈条列を整然と保ち、穀稈合流部7における穀稈の合流を乱れなく行うものであり、特に、短稈の場合に大きな効果が期待できる。更に、中掻込みスターホイル14は、単体とし、隣接する掻込スターホイル13aの下側にラップした構成をとることによってコンバインの横幅の拡大を抑えて、多条刈りでありながらコンパクトな構成にすることができる。
【0010】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記中掻込みスターホイル(14)は、上側の回転取付板(15)との間にスペーサ(16)を介装して取付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0011】
スペーサ16の使用によって、取付位置を他の掻込みスターホイル12a,12b,13a,13bよりも下方にすることができるものでありながら、他の掻込みスターホイル12a,12b,13a,13bと同一の支持機構(シャフト41、軸受支持筒42、回転取付板15等を共用部品として使用する)を利用することができる。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載した発明によると、中搬送チェン9で搬送する中央の搬送穀稈条列を、中掻込みスターホイル14が、刈取端面に近い下部位置に作用しながら、刈取穀稈の株元の乱れを少なくして整然と掻込んで中搬送チェン9に受け継がせることができ、株元を揃えた状態で事後の搬送が整然と行われ、穀稈合流部7における左右両側の穀稈条列との合流を乱れなく行うことができる。そして、このような効果は、刈取時に受ける掻込み作用位置の上下の差によって乱れが発生し易い短稈の場合に大きな効果が発揮できる。
【0013】
更に、中掻込みスターホイル14を単体とし、その外周縁14aを隣接する掻込みスターホイル13aの下側にラップした構成をとることによって、コンバインの左右横幅の拡大を抑えて、多条刈りでありながらコンパクトな構成にすることができる特徴がある。
【0014】
そして、請求項2に記載した発明によると、上記請求項1の発明が奏する効果を発揮できる上に、スペーサ16の利用によって、他の掻込みスターホイル12a,12b,13a,13bと同一の支持機構、すなわち、シャフト41、軸受支持筒42、回転取付板15を共用することができ、部品点数を増加させることなく、低コストで目的を達成できた利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバイン18は、図4に示すように、クローラ19,19を装備した車体20上に、穀稈供給口21を前側に位置させて脱穀装置1を搭載し、その前方側には、刈取搬送装置22を設けて、一連の刈取脱穀作業ができる構成としている。
【0016】
そして、刈取搬送装置22は、図2、及び図4に示すように、前側から前部低位置の分草杆23と、その背後に上下方向に傾斜させた穀稈引起し装置24と、その後方で低位置の刈取装置6と、その上方位置で、前寄りに掻込みラグ付ベルト25、下側に軸架している掻込みスターホイル12a,12b・13a,13b・14、更に、左右側部搬送チェン8L,8R、中搬送チェン9、穂先搬送ラグ26、扱深さ調節チェン27等が、刈取・搬送支持機枠5に取付・支持され、伝動される構成となっている。
【0017】
そして、上記刈取・搬送支持機枠5は、図面に示すように、刈取入力軸30を内装軸架している刈取入力ケース31に、基部を連結した刈取フレーム3と、該刈取フレーム3の前端部に横向きの刈取支持伝動ケース4を連結して枠組みした構成としている。そして、刈取伝動軸32は、前記刈取フレーム3に内装して(図3参照)軸架し、始端部(上端部)を前記刈取入力軸30に伝動可能に接続し、終端部(下端部)を前記刈取支持伝動ケース4内の伝動軸に伝動可能に接続して、前記した刈取搬送装置22を構成している各装置を伝動する構成としている。
【0018】
そして、刈取搬送装置22は、刈取フレーム3の上部に一体に連結した刈取入力ケース31を、図4に示すように、刈取懸架台2上に刈取入力軸30を中心にして上下に回動自由に支持し、作業位置と非作業位置の切換や刈高さの調節ができるように、車体20との間に昇降油圧シリンダ33によって支持した構成としている。
【0019】
そして、上記の構成において、刈取フレーム3は、車体20に装備した走行ミッションケース34の左側を通して前方斜め下方に延長して設けた構成としている。
そして、刈取搬送装置22は、実施例の場合、図2に示すように、5条刈りの広幅の刈取装置6を設けた構成にしているから、前記した各装置は、5条の穀稈条列を刈取って搬送できるように対応した配置に構成している。すなわち、側部搬送チェン8L,8Rは、図面に示すように、左右両側にあって、前部を広くして刈幅いっぱいに外側に配置し、順次中央に寄せて後部が左右両方から合流するように配置し、その前側にはそれぞれ左右一対の掻込みラグ付ベルト25,25をハ字型に配置し、後続位置に左右一対の掻込みスターホイル12a,12b・13a,13bを軸架して2条の穀稈列を掻込んで搬送する構成としている。
【0020】
そして、中搬送チェン9は、上記側部搬送チェン8L,8Rの間に、図2から解るように、三角州的な部位に配置して、搬送始端部側に連続させて、前側から掻込みラグ付ベルト25と掻込みスターホイル14とを軸架して設け、刈取装置6が刈取った中央位置の1条の穀稈条列を掻込んで後方の穀稈合流部7まで搬送する構成としている。そして、前記側部搬送チェン8L,8Rと上記中搬送チェン9とは、穀稈の搬送側に対応させて挟持杆35,35・36をそれぞれ設けて穀稈を挟持状態にして搬送する構成としている。
【0021】
そして、上記中搬送チェン9の始端部に軸架した前記中掻込みスターホイル14は、図面に示すように、前記左右両側の各掻込みスターホイル12a,12b・13a,13bがそれぞれ一対の構成であるのに対して、単体であって、しかも、それら各掻込みスターホイル12a,12b・13a,13bより下方の低い位置に配置して地面に接近させて軸架した構成としている。この場合、中掻込みスターホイル14は、図1に示すように、回転取付板15との間にスペーサ16を介装してねじ止めして固着した構成としている。更に、中掻込みスターホイル14は、図面から解るように、隣接した左側の前記掻込みスターホイル13aの外周縁の下側に位置させて、平面視で外周縁14aをラップさせた構成としている。
【0022】
そして、前記中搬送チェン9は、前記刈取フレーム3の前部に、図1、及び図3に示すように、下部を連結した動力取出用の伝動筒10の上部に軸架した駆動スプロケット11に係合して伝動される構成としている。そして、伝動筒10は、内部構造の図示を省略したが、ユニバーサルジョイントを連結して屈曲可能に構成した伝動軸を内装し、刈取フレーム3内の刈取伝動軸32から2つの傘歯車によって動力を取り出す構成としている。
【0023】
そして、伝動筒10は、図1、及び図2に示すように、穀稈合流部7に接近させた位置に軸架した駆動スプロケット11に、前記の通り、中搬送チェン9を係合して伝動する構成としている。
【0024】
そして、中搬送チェン9のテンションアーム37は、図3に示すように、駆動スプロケット11から空間部Hを隔てた上方部位に回動支点38を設けて支持し、中搬送チエン9の移動経路から上方に隔てた構成とし、テンションスプリング39(図2参照)も高い位置に設けて、中間部分をクランク形状にして下げて先端に軸架したテンションプーリ40で中搬送チエン9を張圧するチェンテンション機構を構成している。
【0025】
このように、テンションアーム37は、駆動スプロケット11から空間部Hを隔てた上方位置に回動支点38を設けて支持したから、藁屑や泥の溜りがなくなり、テンション回動が良好に行われる。そして、上記空間部Hは、周辺の部材の分解、組み立て時に余裕スペースとして利用できるから、メンテナンスが容易になった特徴がある。そして、テンションスプリング39も、回動支点38と共に高い位置にあるから、藁屑や泥が詰まることがほとんどなく、作動不良等のトラブルが回避できて、常に、適確にテンション作用が働くものとなった。
【0026】
以上のように、本件出願の実施例に係る中掻込みスターホイル14は、中搬送チェン9に受け継がせて搬送する中央の刈取穀稈に対して、刈取端面に近い、低い位置に作用しながら、株元の乱れを少なくして整然と掻き込み、中搬送チェン9に受け継がせることができる。このような掻込み作用は、穀稈の稈身が短い場合、特に、短稈に対して効果的であって、適確に掻き込んで中搬送チェン9に受け継がせるから、事後の搬送が整然と行われ、穀稈合流部7における穀稈の合流作用を乱れなく行うことができる。
【0027】
このようにして合流した穀稈は、扱深さ調節チェン27を経由して後方上部に搬送され、脱穀装置1の穀稈供給口21に供給されて脱穀作用を受けるものである。
そして、実施例で説明したように、中掻込みスターホイル14は、単体とし、その外周縁14aを隣接する掻込みスターホイル13aの下側にラップした構成をとることによって、コンバインの横幅の拡大を抑えることができるから、多条刈りでありながら、コンパクトな構成のコンバインを提供できるものとなった。
【0028】
そして、中掻込みスターホイル14は、既に説明した通り、図1に示すように、下方に下げて軸架し、特有の効果が発揮できる構成としているが、この場合、スペーサ16を使用することによって、他の掻込みスターホイル12a,12b・13a,13bと同一の支持機構、すなわち、シャフト41、軸受支持筒42、回転取付板15を共用することができるから、部品点数の削減にもなる効果がある。
【0029】
つぎに、運転操縦席51から遠隔操作によって、作業位置(作業姿勢)と非作業位置(収納姿勢)とに出し入れ操作ができるナローガイド50について実施例を説明する。
従来から、車体の側部に設けたナローガイドを、運転操縦席から遠隔操作によって作業位置と非作業位置とに出し入れ操作したり、作業中に穀稈の丈や倒伏度合に応じて開度を調節する機構を装備したコンバインは、公知となっている。例えば、特開2006−166860号公開特許公報、特開2006−94794号公開特許公報、特開2006−42650号公開特許公報、特開2004−194623号公開特許公報、特開2004−194622号公開特許公報等にナローガイド(分草杆、サイドデバイダと表現されているものもある)を運転操縦席から遠隔操作で調節する技術が示されている。
【0030】
つぎに、本件出願のナローガイドの実施例を述べる。
まず、ナローガイド50は、図5、及び図7に示すように、コンバイン18の左側に設けられ、右側にある運転操縦席51から操作ができる位置に操作レバー52を設けて外側方に張出した作業位置と、車体側に収納した非作業位置とに操作したり、或いは、その中間位置で張出し量を調節できる構成としている。
【0031】
そして、実施例のナローガイド50は、その前部を、左側の分草支持杆53に、作業位置と非作業位置との間を回動可能に枢着支持した構成としている。なお、ナローガイド50は、その後端部を、図示を省略した後部ナローガイドに接続して車体の後方まで延長して設けている。そして、回動アーム54は、図5、及び図6に示すように、直角状態に折り曲げた基部54aを機体の支持部に回動可能に支持し、先端部をナローガイド50に設けた案内支持杆55に前後摺動自在に連結支持して設け、基部54aの回動に伴って張出した作業位置(図6の実線位置)と非作業位置(図6の仮想線の位置)とに回動する構成としている。
【0032】
そして、前記回動アーム54は、前記基部54aに、アーム54部分と一定の角度を保持した操作腕56,56を両側に突出させて設け、この操作腕56,56に2本の操作ワイヤー57,57のインナー部をそれぞれ接続して押し引き操作する構成としている。そして、上記2本の操作ワイヤー57,57は、図7に示すように、運転操縦席51のすぐ前側の一番右側にある穀稈引起しケース58の裏側に設けた操作レバー52に接続して、張出しと収納との切り替え操作ができる構成としている。
【0033】
そして、上記操作レバー52は、図8、図9、図10に示すように、穀稈引起しケース58の裏側において、引起し伝動ケース60を覆うカバー61で覆った構成とするが、この場合、注油装置(刈取搬送装置の各部に潤滑油を注油する装置)を構成している注油箇所の切替えコック62、注油作用を行うレバーの支点63が操作レバー52の近くに配置されており、これらをまとめて上記カバー61で覆った構成としている。
【0034】
このように、実施例は、レバー類を一箇所に纏めて装置し、伝動ケース60を覆うカバー61を利用して覆う構成としたから、藁屑等の溜りを防止できると共に、外観上もシンプルとなって優美な形状となった。そして、操作レバー52は、図9、及び図10に示す側面視で解るように、前後に偏らず機体に対する垂直面の方向に突出した構成としているから、周囲の機体との干渉がなく、操作も容易となる利点がある。
【0035】
そして、上記ナローガイド50の操作レバー52は、図5に示すように、運転操縦席51の左側にあって、各操作レバーを集中して設けた構成の操作パネル65のすぐ前方位置に配置しているから、オペレータが無理な体勢をとらなくても、容易に操作ができる利点がある。
【0036】
そして、操作レバー52は、図11に示す実施例の場合、刈取搬送装置22を構成する右端の穀稈引起しケース58の近くを通過する穀稈条列の穂先搬送通路66から退避する側に屈曲させて構成している。このように、操作レバー52は、穀稈条列の穂先搬送通路66から退避する位置に屈曲させることによって搬送穀稈の穂先部分への接触をなくし、搬送障害とならないものとしている。
【0037】
つぎに、ナローガイド50の他の実施例を、図12、乃至図14基づいて説明する。
まず、ナローガイド50は、図12に示すように、前記した図5、及び図6に示す実施例と同一であって、前部を分草支持杆53に枢着して後方に延長し、後部に杆方向に沿わせて設けた案内支持杆55に回動アーム54の先端を前後摺動可能に連結した構成としている。そして、回動アーム54は、図面に示すように、直角に折り曲げた基部54aを上に向けて機体のギヤケース70の側部に枢着し、操作腕56を設けている。そして、操作用ロット71は、刈取フレーム3の前端部に横向きに連結した前記ギヤケース70の背後に設けた支持具69に左右移動自由に支持し、左端部を前記ナローガイド50側の操作腕56に操作可能に接続し、右端部を操作レバー72に連結している連動リンク73に接続した構成としている。そして、前記操作レバー72は、図13、及び図14に示すように、引起し伝動筒74の外側に支持し、押し、引き2本の操作ワイヤー57,57を操作する構成としている。そして、該操作ワイヤー57,57は、操作リンク75、連動杆76を介して前記連動リンク73に連結し、前記操作用ロット71を左右方向に押し、引き可能に操作力が伝達できる構成としている。
【0038】
以上述べたように、実施例は、図12、乃至図14に示すように、未刈穀稈側となるコンバインの進行方向左側に設けたナローガイド50を、車体の右側前部に配置している運転操縦席51から操作するために、前部に横向きに配置しているギヤケース70の背後を利用して、操作用ロット71を左端から右端に設けて構成している。したがって、ナローガイド50は、オペレータが運転操縦席51から張出しと収納との操作を自由に行うことができるものとなり、ギヤケース70の背後に操作用ロット71を配置したために、刈取穀稈の搬送障害になるおそれはなく、又藁屑や泥土が操作連動の支障になることもない特徴がある。このようにして、実施例は、ナローガイド50の張出し・収納の操作を、運転操縦席51から、楽に、しかも円滑に行うことができ作業を効率よく行うことができる特徴がある。
【0039】
つぎに、ナローガイド50の他の実施例を、図15、及び図16に基づいて説明する。
まず、ナローガイド50は、図面に示すように、ギヤケース71の左端の分草支持杆53上に杆方向に沿わせて操作用平行リンク機構78を装備し、その前端部に連結して設け、該操作用平行リンク機構78の作動によって収納位置(図15参照)と張出し位置(図16参照)とに切替ができる構成としている。そして、回動腕79は、前記操作用平行リンク機構78の後端部分に接続して、押・引き2本の操作ワイヤー57,57を連結し、操作に連動して平行リンク機構78を操作できる構成としている。
【0040】
そして、上記操作ワイヤー57,57は、コンバインの運転操縦席51のすぐ前側にある穀稈引起しケースの裏側まで延長して操作レバーに接続した構成としている。
以上のように、実施例は、ギヤケース71の左端から前方に突出させて左分草杆23を支持する分草支持杆53を利用し、その上側に杆方向に沿わせて操作用平行リンク機構78を装備し、これにナローガイド50を支持して構成している。
【0041】
したがって、実施例の場合、ナローガイド50の操作支持機構が比較的簡単な構成となり、低コストで製作できる利点があり、藁屑や泥土の障害も少なくできる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】各掻込みスターホイルを配置している掻込み装置の正面図
【図2】刈取搬送装置の前部の平面図
【図3】刈取搬送装置の一部の側断面図
【図4】コンバインの前部の一部破断した側面図
【図5】ナローガイドの実施例であって、作用平面図
【図6】ナローガイドの作用平面図
【図7】コンバインの正面図
【図8】ナローガイドの操作レバーの作用背面図
【図9】ナローガイドの操作レバーの側面図
【図10】ナローガイドの操作レバーを示す側面図
【図11】穀稈引起し装置の裏側にナローガイド操作レバーを設けた構成の平面図
【図12】ナローガイドの他の実施例の作用平面図
【図13】前図12の側面図であって、コンバインの一部の右側面図
【図14】前図13の操作レバーの作用図
【図15】ナローガイドの他の実施例の平面図
【図16】前図15のナローガイドを張出した状態の平面図。
【符号の説明】
【0043】
1 脱穀装置 2 刈取懸架台
3 刈取フレーム 4 刈取支持伝動ケース
5 刈取搬送支持機枠 6 刈取装置
7 穀稈合流部 8L,8R 側部搬送チェン
9 中搬送チェン 10 伝動筒
11 駆動スプロケット 12a,12b 掻込みスターホイル
13a,13b 掻込みスターホイル
14 中掻込みスターホイル 15 回転取付板
16 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置(1)の前側に設けた刈取懸架台(2)から刈取フレーム(3)を前下方に向けて設け、該刈取フレーム(3)の前端部に横向きの刈取支持伝動ケース(4)を連結して刈取搬送支持機枠(5)を構成し、該刈取搬送支持機枠(5)には、前部低位置に配置した刈取装置(6)と、刈取条列ごとに穀稈を集めて後方の穀稈合流部(7)に搬送する左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)と、該左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)の間に位置する中搬送チェン(9)とを設け、該中搬送チェン(9)を前記刈取フレーム(3)の前部から起立する動力取出用の伝動筒(10)の上部に軸架した駆動スプロケット(11)に係合させて伝動する構成とし、前記左右両側の側部搬送チェン(8L,8R)の始端部に各一対の掻込みスターホイル(12a,12b,13a,13b)を軸架して設け、前記中搬送チェン(9)の始端部に軸架した単体の中掻込みスターホイル(14)を、前記左右両側の各掻込みスターホイル(12a,12b,13a,13b)よりも下方に配置して地面に接近させて軸架すると共に隣接する掻込みスターホイル(13a)の下側に外周縁(14a)をラップさせて設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記中掻込みスターホイル(14)は、上側の回転取付板(15)との間にスペーサ(16)を介装して取付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−271843(P2008−271843A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118785(P2007−118785)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】