コンバイン
【課題】コンバイン作業の安全性を向上させると共に、圃場と圃条との間を移動する際に作業者が楽な姿勢で移動することができるものとし、疲労を軽減してコンバインの作業能率を向上させる。
【解決手段】機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設ける。
【解決手段】機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとして、例えば下記特許文献1に例示するように、機体を走行させる走行装置と、穀稈を刈り取る刈取装置と、該刈取装置によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパーと、該ホッパーによって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップと、該ステップに搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材を設けたものがある。
【0003】
このような背部支持部材を設けることによって、コンバインの刈取走行中に、ステップに搭乗した作業者がコンバインから振り落とされるような危険を少なくしようとするものである。
【特許文献1】実開平6−75120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のコンバインにおいては、ステップ上に腰を掛けられる部分がないものであった。このため、刈取走行中において、作業者は、ステップ上に立ったままの姿勢で袋詰めを行なわなければならない。また、コンバインを移動させる際にも、作業者は、ステップ上に立ったままであり、腰を掛けて休むことができない。
【0005】
このため、作業者が疲れ易く、長時間の連続作業または長距離の移動を行なうことは困難であった。
この発明は、作業者の疲労を軽減してコンバインの作業能率を高めることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して吊り下げ状態に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して角度変更自在に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記背部支持部材(36)を前側の第1支持フレーム(34a)と後側の第2支持フレーム(34b)によって支持し、該第1支持フレーム(34a)の基部をホッパー(4)の前側の位置に軸着し、該第2支持フレーム(34b)の基部をホッパー(4)の後側の位置に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、刈取走行しながらホッパー4によって穀粒の袋詰めをする際には、ステップ35に搭乗した作業者が背部支持部材36によって背中部分を支えられるために、コンバインから振り落とされるような危険が少なくなり、コンバイン作業の安全性を向上させることができる。また、例えば圃場と圃条との間を移動する際には、作業者が腰部支持部材39に座って楽な姿勢で移動することができ、疲労を軽減してコンバインの作業能率を向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、腰部支持部材39を背部支持部材36に対して吊り下げ状態に軸着することによって、該腰部支持部材39を支持するための特別な部材を必要とせず、コンバインの製造コストを低減して安価に提供することができる。
【0012】
また、請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、腰部支持部材39を作業者の体格や好みに応じて角度変更することができ、作業者が楽な姿勢で腰部支持部材37に座ることができ、疲労を軽減してコンバインの作業能率を向上させることができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背部支持部材36が前側の第1支持フレーム34aと後側の第2支持フレーム34bによって支持されるために、該背部支持部材36の支持強度が高まり、該背部支持部材36にもたれる作業者がコンバインから振り落とされるような危険をより少なくして、コンバイン作業の安全性を向上させることができる。また、腰部支持部材を背部支持部材36に支持させた場合には、この腰部支持部材に掛かる作業者の体重を、背部支持部材36によって適切に支えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明におけるコンバインの実施の形態を、4条刈の自脱型コンバインを例示して説明する。
図1、図2に示すように、コンバインの機体は、機台1の下側に走行装置2を設け、機台1上に脱穀装置3とホッパー4を左右に併設し、該ホッパー4の前側に操縦部5を設け、前記脱穀装置3の前側に刈取装置6を昇降自在に設けて構成する。
【0015】
前記走行装置2は、機台1の下面側に左右の主フレーム7,7を溶接し、該左右の主フレーム7,7間にわたって前後の横フレーム8,8を溶接し、該前後の横フレーム8,8の下面側に前後の脚部フレーム9,9の上端部を溶接し、該前後の脚部フレーム9,9の左右の下端部に左右の転輪フレーム10、10を溶接し、該転輪フレーム10,10に多数の転輪11、11を軸支し、走行ミッション(図示省略)から設けた駆動スプロケットと当該転輪11,11とにわたって無端帯式のクローラ12,12を巻き掛けて構成する。
【0016】
前記操縦部5は、機台1上に搭載したエンジン13を覆うエンジンカバー14と、該エンジンカバー14の上側に取り付けた座席15と、該座席15の前方に設けた操向用の操作レバー16と、該座席15の左側方に配置した副変速レバー17及び主変速レバー18及び刈取クラッチレバー19及び脱穀クラッチレバー20と、前記エンジンカバー14の後部上側に設けたエアクリーナ21と、該エアクリーナ21から上方へ延設したプレエアクリーナ22と、乗り降り口側の低位置に設けたサブステップ23から構成する。
【0017】
前記刈取装置6は、前端部に設けた分草板24と、該分草板24の後側に設けた引起装置25と、該引起装置25の後側低位置に設けた刈刃26と、該刈刃26の上側から後方へ延設した株元搬送装置27と、該株元搬送装置27から刈取穀稈を引き継いで後上方へ搬送する供給搬送装置28とから構成する。
【0018】
前記脱穀装置5は、扱口側にフィードチェン29を備えた扱室と、該扱室の下側において前側から唐箕と一番移送螺旋と二番移送螺旋とを設けると共に、これらの上側に揺動選別棚を設けた選別室とから構成する。前記一番移送螺旋から一番揚穀筒31介して、後述するホッパー4ヘ穀粒を投入する構成である。また、この脱穀装置5の後側には、脱穀後の排藁を切断して圃場に拡散放出する排藁カッター30を設ける。
【0019】
前記ホッパー4は、機台1後部から排藁カッター支持フレーム32を立ち上げ、該排藁カッター支持フレーム32の上端部を前方へ向けて屈曲させ、該排藁カッター支持フレーム32の屈曲端部にホッパー4の後端部を連結し、前記エンジン13を囲うように設置したエンジンルーム形成フレームにホッパー4の前端部を連結することによって支持する。該ホッパー4の下部には2連または3連の穀粒排出口を設け、該穀粒排出口には、シャッターを備えたシュータを設ける。尚、前記排藁カッター支持フレーム32の上部は、脱穀装置3側のフレームによって連結補強している。また、ホッパー4の下方において、機台1の上面側に板体を取り付け、該板体の側縁部にキャリア35を前後方向の軸芯を中心として回動自在に取り付ける。前記板体およびキャリア35を総称してステップと呼ぶ。
【0020】
そして、前記エンジンルーム形成フレームの上部にステー33aを固着し、該ステー33aに前側の第1支持フレーム34aの基部を軸着し、前記排藁カッター支持フレーム32の屈曲端部にステー33bを固着し、該ステー33bに第2支持フレーム34bの基部を軸着する。
【0021】
図3に示すように、1本のパイプ状の支持フレーム34をコ字形状に曲げて、その平行な2辺を形成する部分を、夫々、第1支持フレーム34a及び第2支持フレーム34bと呼ぶ。そして、該支持フレーム34の中間部には、スポンジ状の材質から形成した円筒状の背部支持部材36を串刺し状に嵌めて取り付ける。これにより、背部支持部材36を、ホッパー4の上側を経て脱穀装置3の上側まで回動させた格納位置と、ホッパー4の外側へ向けて張り出させた使用位置とにわたり、回動自在に構成するものである。
【0022】
また、腰部支持フレーム37を、1本のパイプ状の支持フレームをコ字形状に曲げて形成し、その平行な2辺を形成する部分の両端部にボス部38,38を固定する。そして、該ボス部38,38を、前記支持フレーム34における背部支持部材36の前側及び後側の部分に夫々回動自在に軸支する。また、腰部支持フレーム37における残り1辺の部分には、スポンジ状の材質から形成した円筒状の腰部支持部材39を串刺し状に嵌めて取り付ける。これにより、腰部支持部材39を、背部支持部材36の直下よりも機体内側へ移動させて、この腰部支持部材39へ作業者が着座することができるものである。
【0023】
図5〜8に示すように、前記ボス部38,38を支持フレーム34に対して摺動自在に嵌合させ、後側のボス部38を前方へ押圧付勢するスプリング40を設け、前側のボス部38と一体で回動する摺動自在なピン40を設ける。そして、前記支持フレーム34側に固定した円盤41に、円周方向に所定の間隔をおいて多数の孔41aを設け、該孔41aにピン40が嵌合するように構成する。この構成により、腰部支持部材39をスプリング40の押圧力に抗して後方へ摺動させると、前記ピン40が孔41aから抜け、腰部支持部材39を回動させて角度調節できる状態となる。角度調節終了後は、腰部支持部材39をスプリング40の押圧力によって前方へ摺動させ、ピン40を変更後の孔41aに嵌合させて固定する。即ち、背部支持部材36に対する腰部支持部材39の位置を多段階に調節でき、例えば図7に示すように、腰部支持部材39を背部支持部材36の直下位置に調節すれば、この腰部支持部材39が、作業者がキャリア35上に立って作業する際の保護部材として機能する。また、図8に示すように、腰部支持部材39を背部支持部材36よりも機体内側に入り込んだ位置に調節すると、作業者がこの腰部支持部材39上に腰を掛けることができ、コンバインを長距離走行させても、疲れにくくなる。これにより、キャリア35上に別途座席を設ける必要がなく、コンバインを安価に提供することができる。また、キャリア35上で袋詰め作業を行なう際に邪魔にならず、作業能率を低下させずにすむ。
【0024】
また、上記の構成において、腰部支持部材39の直径をボス部38の直径よりも大きく形成することで、作業者の背中部分がボス部38,38に接触しにくくなり、快適に作業することができる。
【0025】
また、図9に示すように、前記支持フレーム34の第1支持フレーム34aと第2支持フレーム34bにも円筒状のスポンジから形成したクッション部材42を串刺し状態に取り付けてもよい。これにより、コンバインの急発進や急停止によってキャリア35上の作業者がつんのめっても、この作業者の体が支持フレーム34に直接当たることがなく、快適な作業を行なうことができる。
【0026】
また、図10に示すように、腰部支持フレーム37および腰部支持部材39を前後に2分割して構成し、該腰部支持部材39の角度調節機構を、前述の構成と同様に、前後対称に独立して設けてもよい。これにより、2人の作業者が袋詰め作業を行なう際に、前後の腰部支持部材39,39を、夫々の作業者に適した状態に調節することができる。
【0027】
尚、図11〜13に参考例として示す背部支持部材36は、支持フレーム34の後端部のみを機体側に軸着し、前端部側を自由端としたものである。この場合、背部支持部材36は板状のクッション材とし、支持フレーム34の前端部を機体内側に向けて屈曲させて構成する。この背部支持部材36を作業状態とした場合に、支持フレーム34の前端部が機体内側に向かって屈曲していることにより、この屈曲部が保護部材として機能し、作業者が前方へ振り落とされることが防止できる。
【0028】
図14は、上記のように支持フレーム34の前端部を機体内側に向けて屈曲させたうえに、背部支持部材36として円筒状のクッション材を取り付けた例である。
また、図15は、上記のように支持フレーム34の前端部を機体内側へ向けて屈曲させたうえに、円筒状のクッション材を、この屈曲した前端部まで一体的に覆ったものである。これにより、作業者の体が直接支持フレーム34に当たって怪我をするようなことが少なくなる。
【0029】
また、図16は、円筒状のクッション材を、支持フレーム34の基部側(第2支持フレーム34b)まで、一体的に覆ったものである。これにより、作業者の体が直接支持フレーム34に当たって怪我をするようなことが更に少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンバインの平面図である。
【図2】コンバインの背面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】コンバインの平面図である。
【図5】コンバインの背面図である。
【図6】要部の斜視図である。
【図7】作用状態の説明図である。
【図8】作用状態の説明図である。
【図9】要部の斜視図である。
【図10】要部の斜視図である。
【図11】コンバインの平面図である。
【図12】コンバインの背面図である。
【図13】要部の斜視図である。
【図14】要部の斜視図である。
【図15】要部の斜視図である。
【図16】要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
2 走行装置
3 脱穀装置
4 ホッパー
6 刈取装置
34a 第1支持フレーム
34b 第2支持フレーム
35 ステップ
36 背部支持部材
39 腰部支持部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとして、例えば下記特許文献1に例示するように、機体を走行させる走行装置と、穀稈を刈り取る刈取装置と、該刈取装置によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパーと、該ホッパーによって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップと、該ステップに搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材を設けたものがある。
【0003】
このような背部支持部材を設けることによって、コンバインの刈取走行中に、ステップに搭乗した作業者がコンバインから振り落とされるような危険を少なくしようとするものである。
【特許文献1】実開平6−75120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のコンバインにおいては、ステップ上に腰を掛けられる部分がないものであった。このため、刈取走行中において、作業者は、ステップ上に立ったままの姿勢で袋詰めを行なわなければならない。また、コンバインを移動させる際にも、作業者は、ステップ上に立ったままであり、腰を掛けて休むことができない。
【0005】
このため、作業者が疲れ易く、長時間の連続作業または長距離の移動を行なうことは困難であった。
この発明は、作業者の疲労を軽減してコンバインの作業能率を高めることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して吊り下げ状態に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して角度変更自在に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記背部支持部材(36)を前側の第1支持フレーム(34a)と後側の第2支持フレーム(34b)によって支持し、該第1支持フレーム(34a)の基部をホッパー(4)の前側の位置に軸着し、該第2支持フレーム(34b)の基部をホッパー(4)の後側の位置に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、刈取走行しながらホッパー4によって穀粒の袋詰めをする際には、ステップ35に搭乗した作業者が背部支持部材36によって背中部分を支えられるために、コンバインから振り落とされるような危険が少なくなり、コンバイン作業の安全性を向上させることができる。また、例えば圃場と圃条との間を移動する際には、作業者が腰部支持部材39に座って楽な姿勢で移動することができ、疲労を軽減してコンバインの作業能率を向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、腰部支持部材39を背部支持部材36に対して吊り下げ状態に軸着することによって、該腰部支持部材39を支持するための特別な部材を必要とせず、コンバインの製造コストを低減して安価に提供することができる。
【0012】
また、請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、腰部支持部材39を作業者の体格や好みに応じて角度変更することができ、作業者が楽な姿勢で腰部支持部材37に座ることができ、疲労を軽減してコンバインの作業能率を向上させることができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背部支持部材36が前側の第1支持フレーム34aと後側の第2支持フレーム34bによって支持されるために、該背部支持部材36の支持強度が高まり、該背部支持部材36にもたれる作業者がコンバインから振り落とされるような危険をより少なくして、コンバイン作業の安全性を向上させることができる。また、腰部支持部材を背部支持部材36に支持させた場合には、この腰部支持部材に掛かる作業者の体重を、背部支持部材36によって適切に支えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明におけるコンバインの実施の形態を、4条刈の自脱型コンバインを例示して説明する。
図1、図2に示すように、コンバインの機体は、機台1の下側に走行装置2を設け、機台1上に脱穀装置3とホッパー4を左右に併設し、該ホッパー4の前側に操縦部5を設け、前記脱穀装置3の前側に刈取装置6を昇降自在に設けて構成する。
【0015】
前記走行装置2は、機台1の下面側に左右の主フレーム7,7を溶接し、該左右の主フレーム7,7間にわたって前後の横フレーム8,8を溶接し、該前後の横フレーム8,8の下面側に前後の脚部フレーム9,9の上端部を溶接し、該前後の脚部フレーム9,9の左右の下端部に左右の転輪フレーム10、10を溶接し、該転輪フレーム10,10に多数の転輪11、11を軸支し、走行ミッション(図示省略)から設けた駆動スプロケットと当該転輪11,11とにわたって無端帯式のクローラ12,12を巻き掛けて構成する。
【0016】
前記操縦部5は、機台1上に搭載したエンジン13を覆うエンジンカバー14と、該エンジンカバー14の上側に取り付けた座席15と、該座席15の前方に設けた操向用の操作レバー16と、該座席15の左側方に配置した副変速レバー17及び主変速レバー18及び刈取クラッチレバー19及び脱穀クラッチレバー20と、前記エンジンカバー14の後部上側に設けたエアクリーナ21と、該エアクリーナ21から上方へ延設したプレエアクリーナ22と、乗り降り口側の低位置に設けたサブステップ23から構成する。
【0017】
前記刈取装置6は、前端部に設けた分草板24と、該分草板24の後側に設けた引起装置25と、該引起装置25の後側低位置に設けた刈刃26と、該刈刃26の上側から後方へ延設した株元搬送装置27と、該株元搬送装置27から刈取穀稈を引き継いで後上方へ搬送する供給搬送装置28とから構成する。
【0018】
前記脱穀装置5は、扱口側にフィードチェン29を備えた扱室と、該扱室の下側において前側から唐箕と一番移送螺旋と二番移送螺旋とを設けると共に、これらの上側に揺動選別棚を設けた選別室とから構成する。前記一番移送螺旋から一番揚穀筒31介して、後述するホッパー4ヘ穀粒を投入する構成である。また、この脱穀装置5の後側には、脱穀後の排藁を切断して圃場に拡散放出する排藁カッター30を設ける。
【0019】
前記ホッパー4は、機台1後部から排藁カッター支持フレーム32を立ち上げ、該排藁カッター支持フレーム32の上端部を前方へ向けて屈曲させ、該排藁カッター支持フレーム32の屈曲端部にホッパー4の後端部を連結し、前記エンジン13を囲うように設置したエンジンルーム形成フレームにホッパー4の前端部を連結することによって支持する。該ホッパー4の下部には2連または3連の穀粒排出口を設け、該穀粒排出口には、シャッターを備えたシュータを設ける。尚、前記排藁カッター支持フレーム32の上部は、脱穀装置3側のフレームによって連結補強している。また、ホッパー4の下方において、機台1の上面側に板体を取り付け、該板体の側縁部にキャリア35を前後方向の軸芯を中心として回動自在に取り付ける。前記板体およびキャリア35を総称してステップと呼ぶ。
【0020】
そして、前記エンジンルーム形成フレームの上部にステー33aを固着し、該ステー33aに前側の第1支持フレーム34aの基部を軸着し、前記排藁カッター支持フレーム32の屈曲端部にステー33bを固着し、該ステー33bに第2支持フレーム34bの基部を軸着する。
【0021】
図3に示すように、1本のパイプ状の支持フレーム34をコ字形状に曲げて、その平行な2辺を形成する部分を、夫々、第1支持フレーム34a及び第2支持フレーム34bと呼ぶ。そして、該支持フレーム34の中間部には、スポンジ状の材質から形成した円筒状の背部支持部材36を串刺し状に嵌めて取り付ける。これにより、背部支持部材36を、ホッパー4の上側を経て脱穀装置3の上側まで回動させた格納位置と、ホッパー4の外側へ向けて張り出させた使用位置とにわたり、回動自在に構成するものである。
【0022】
また、腰部支持フレーム37を、1本のパイプ状の支持フレームをコ字形状に曲げて形成し、その平行な2辺を形成する部分の両端部にボス部38,38を固定する。そして、該ボス部38,38を、前記支持フレーム34における背部支持部材36の前側及び後側の部分に夫々回動自在に軸支する。また、腰部支持フレーム37における残り1辺の部分には、スポンジ状の材質から形成した円筒状の腰部支持部材39を串刺し状に嵌めて取り付ける。これにより、腰部支持部材39を、背部支持部材36の直下よりも機体内側へ移動させて、この腰部支持部材39へ作業者が着座することができるものである。
【0023】
図5〜8に示すように、前記ボス部38,38を支持フレーム34に対して摺動自在に嵌合させ、後側のボス部38を前方へ押圧付勢するスプリング40を設け、前側のボス部38と一体で回動する摺動自在なピン40を設ける。そして、前記支持フレーム34側に固定した円盤41に、円周方向に所定の間隔をおいて多数の孔41aを設け、該孔41aにピン40が嵌合するように構成する。この構成により、腰部支持部材39をスプリング40の押圧力に抗して後方へ摺動させると、前記ピン40が孔41aから抜け、腰部支持部材39を回動させて角度調節できる状態となる。角度調節終了後は、腰部支持部材39をスプリング40の押圧力によって前方へ摺動させ、ピン40を変更後の孔41aに嵌合させて固定する。即ち、背部支持部材36に対する腰部支持部材39の位置を多段階に調節でき、例えば図7に示すように、腰部支持部材39を背部支持部材36の直下位置に調節すれば、この腰部支持部材39が、作業者がキャリア35上に立って作業する際の保護部材として機能する。また、図8に示すように、腰部支持部材39を背部支持部材36よりも機体内側に入り込んだ位置に調節すると、作業者がこの腰部支持部材39上に腰を掛けることができ、コンバインを長距離走行させても、疲れにくくなる。これにより、キャリア35上に別途座席を設ける必要がなく、コンバインを安価に提供することができる。また、キャリア35上で袋詰め作業を行なう際に邪魔にならず、作業能率を低下させずにすむ。
【0024】
また、上記の構成において、腰部支持部材39の直径をボス部38の直径よりも大きく形成することで、作業者の背中部分がボス部38,38に接触しにくくなり、快適に作業することができる。
【0025】
また、図9に示すように、前記支持フレーム34の第1支持フレーム34aと第2支持フレーム34bにも円筒状のスポンジから形成したクッション部材42を串刺し状態に取り付けてもよい。これにより、コンバインの急発進や急停止によってキャリア35上の作業者がつんのめっても、この作業者の体が支持フレーム34に直接当たることがなく、快適な作業を行なうことができる。
【0026】
また、図10に示すように、腰部支持フレーム37および腰部支持部材39を前後に2分割して構成し、該腰部支持部材39の角度調節機構を、前述の構成と同様に、前後対称に独立して設けてもよい。これにより、2人の作業者が袋詰め作業を行なう際に、前後の腰部支持部材39,39を、夫々の作業者に適した状態に調節することができる。
【0027】
尚、図11〜13に参考例として示す背部支持部材36は、支持フレーム34の後端部のみを機体側に軸着し、前端部側を自由端としたものである。この場合、背部支持部材36は板状のクッション材とし、支持フレーム34の前端部を機体内側に向けて屈曲させて構成する。この背部支持部材36を作業状態とした場合に、支持フレーム34の前端部が機体内側に向かって屈曲していることにより、この屈曲部が保護部材として機能し、作業者が前方へ振り落とされることが防止できる。
【0028】
図14は、上記のように支持フレーム34の前端部を機体内側に向けて屈曲させたうえに、背部支持部材36として円筒状のクッション材を取り付けた例である。
また、図15は、上記のように支持フレーム34の前端部を機体内側へ向けて屈曲させたうえに、円筒状のクッション材を、この屈曲した前端部まで一体的に覆ったものである。これにより、作業者の体が直接支持フレーム34に当たって怪我をするようなことが少なくなる。
【0029】
また、図16は、円筒状のクッション材を、支持フレーム34の基部側(第2支持フレーム34b)まで、一体的に覆ったものである。これにより、作業者の体が直接支持フレーム34に当たって怪我をするようなことが更に少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンバインの平面図である。
【図2】コンバインの背面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】コンバインの平面図である。
【図5】コンバインの背面図である。
【図6】要部の斜視図である。
【図7】作用状態の説明図である。
【図8】作用状態の説明図である。
【図9】要部の斜視図である。
【図10】要部の斜視図である。
【図11】コンバインの平面図である。
【図12】コンバインの背面図である。
【図13】要部の斜視図である。
【図14】要部の斜視図である。
【図15】要部の斜視図である。
【図16】要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
2 走行装置
3 脱穀装置
4 ホッパー
6 刈取装置
34a 第1支持フレーム
34b 第2支持フレーム
35 ステップ
36 背部支持部材
39 腰部支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して吊り下げ状態に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して角度変更自在に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記背部支持部材(36)を前側の第1支持フレーム(34a)と後側の第2支持フレーム(34b)によって支持し、該第1支持フレーム(34a)の基部をホッパー(4)の前側の位置に軸着し、該第2支持フレーム(34b)の基部をホッパー(4)の後側の位置に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
機体を走行させる走行装置(2)と、穀稈を刈り取る刈取装置(6)と、該刈取装置(6)によって刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置(3)と、該脱穀装置(3)によって脱穀した穀粒を袋詰めするホッパー(4)と、該ホッパー(4)によって穀粒の袋詰めをする際に作業者が搭乗するステップ(35)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の背中部分を支える背部支持部材(36)と、該ステップ(35)に搭乗した作業者の腰部を支える腰部支持部材(39)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して吊り下げ状態に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記腰部支持部材(39)を背部支持部材(36)に対して角度変更自在に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記背部支持部材(36)を前側の第1支持フレーム(34a)と後側の第2支持フレーム(34b)によって支持し、該第1支持フレーム(34a)の基部をホッパー(4)の前側の位置に軸着し、該第2支持フレーム(34b)の基部をホッパー(4)の後側の位置に軸着したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−271907(P2008−271907A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121666(P2007−121666)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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