説明

コンバイン

【課題】補助キャリア上に大きな荷重が掛かっても補助キャリアが変形するおそれないホッパータイプの簡易籾処理装置を有するコンバイン用を提供する。
【解決手段】脱穀された穀粒を一時貯留する穀粒貯留用のホッパー部の近傍に配置する籾袋を載置するキャリア35を備え、キャリア35に隣接する位置にサブキャリア37を配置し、該サブキャリア37の両端にチューブ38を立設し、該チューブ38をキャリヤ35のサブキャリア37との隣接する端部に立設したフレーム39内で上下方向にスライドさせるスライド機構を設けた簡易籾処理装置であり、サブチューブ38がフレーム39内をスライド可能であるので、サブキャリア37をメインキャリア35よりも低い位置まで下降させることで、籾袋をサブキャリア37上に一段余分に積み込むことができ、湿田圃場や面積の大きい圃場等での連続作業が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場において穀類の収穫作業を行う農業用のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、エンジンを駆動源とする走行装置の上部に、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置と脱穀装置で脱穀した穀粒を一時的に貯蔵するグレンタンク又はホッパーを備え、前記脱穀装置の前側に、植立穀稈を分草する分草体と植立穀稈を引き起こす引起装置と引き起こされた穀稈を刈り取る刈刃を有する刈取装置を設けた構成である。
このような従来のホッパータイプのコンバインでは、ホッパーの下方に籾受け用のキャリアが設けられている。またさらに前記キャリアの外側に補助キャリアを付設しているケースがある。
【特許文献1】特開昭61−72138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の発明では、籾受け用のキャリアに付設している補助キャリアを使用するときにはコンバインの機体の側方に大きく張り出すが、補助キャリア上に大きな荷重が掛かると補助キャリアの先端側が垂れ下がるように変形するおそれがある。
【0004】
本発明の課題は、補助キャリア上に大きな荷重が掛かっても補助キャリアが変形するおそれないホッパータイプの簡易籾処理装置を有するコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行装置(3)を備えた機体フレーム(1)の前部に刈取装置(5)を上下回動自在に支持し、該刈取装置(5)の後側における機体フレーム(1)の左側に脱穀装置(6)を搭載し、該脱穀装置(6)の右側に、脱穀された穀粒を一時貯留する穀粒貯留用のホッパー部(30)と、該ホッパー部(30)の近傍に配置する籾袋を載置するキャリア(35)を備え、該キャリア(35)に隣接する位置にサブキャリア(37)を配置し、該サブキャリア(37)の両端に支持フレーム(38)を立設し、該支持フレーム(38)をキャリヤ(35)の端部に立設したフレーム(39)内で上下方向にスライドさせるスライド機構を設けたコンバインである。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記フレーム(39)の下端部を、キャリア(35)の上面に回動自在に取り付けた請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、支持フレーム38がフレーム39内をスライド可能であるので、サブキャリア37をメインキャリア35よりも低い位置まで下降させることで、籾袋をサブキャリア37上に一段余分に積み込むことができ、湿田圃場や面積の大きい圃場等での連続作業が可能となり、コンバインによる収穫作業の能率を高めることができる。また、サブキャリア37を下げた状態にして籾袋をサブキャリア37から楽に降ろすことができる。さらに、人間がメインキャリア35上に乗るときには、サブキャリア37を下げておき人間がサブキャリア37上に乗った後にサブキャリア37を上昇させると、楽にメインキャリア35上に乗ることが可能となる。また、支持フレーム38がフレーム39内をスライドするため、サブキャリア37の上面は常に地面と水平で移動することができる。また、サブキャリア37上に籾袋が載っていても、サブキャリア37が籾袋の重みで傾くことがなく、籾袋の落下を防止してコンバインによる収穫作業を円滑に行うことができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、メインキャリア35の外側の前方側と後方側に設けたフレーム39を、そのメインキャリア35との接続部分を中心に回動させることで、サブキャリア37を収納位置に移動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1に本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの右側面図を示し、図2にコンバインの正面図を示し、図3に図1,2とは異なるメインキャリアとサブキャリアを有する実施例のコンバインの背面図を示す。
なお、本明細書ではコンバイン前進方向に沿って左方向、右方向をそれぞれ左側、右側といい、前方向、後方向をそれぞれ前側、後側ということとする。
【0010】
図1に示すコンバインの機体フレーム1の下部には、ゴムなどの可撓性材料から成る無端帯状に成型したクローラ2により、乾田はもちろんのこと、湿田においても沈下しないで走行できる走行装置3を備える。該走行装置3は、ミッションケースから駆動される前端部の駆動スプロケット3aと転輪フレーム3bに支持される転輪群3c・・・と後端部の緊張輪3dとにわたって前記クローラ2を巻き掛けて構成する。また、機体フレーム1の前部には刈取装置5を上下回動自在に支持し、該刈取装置5の後側における機体フレーム1の後部左側には脱穀装置6を搭載する。
【0011】
また、機体フレーム1の前部右側には操作席7aを有する操縦部7を設ける。前記操縦部7は、エンジンを被覆するエンジンカバー13上に取り付けた操作席7aと、該操作席7aの前方に配置した前部操作パネル(図示せず)と、操作席7aの左側に配置した側部操作パネル(図示せず)から構成する。前記前部操作パネル上には、操縦者が立ち姿勢で操縦する際に把持するハンドル7bと、前記ミッションケース内の伝動機構を切り換えて機体の走行方向を左右に調節する操向レバー7cとを設ける。また、前記側部操作パネル上には、エンジン(図示せず)の回転数を調節するスロットルレバー7dと、前記ミッションケースへ駆動入力する静油圧式無段変速装置を変速操作する主変速レバー7eと、ミッションケース内の副変速機構を変速切換操作する副変速レバー7fと、刈取装置5の駆動を入り切り操作する刈取クラッチレバー(図示省略)と、脱穀装置6の駆動を入り切り操作する脱穀クラッチレバー(図示省略)を設ける。
【0012】
前記刈取装置5は、基部を機体フレーム1に回動自在に取付けた前後方向の縦支持フレーム9によって支持され、刈取シリンダ(図示せず)により上下動自在に構成される。該刈取装置5は、最前方位置に複数の分草体10を設け、各分草体10の後方には分草した穀稈を引起す引起ラグ11aを備えた引起装置11をそれぞれ設ける。
【0013】
本実施例のコンバインは、図1に示すように、機体前方に刈取装置5を設け、その後方に脱穀装置6を設け、該脱穀装置6の右側に隣接してホッパー部(グレンタンク)30を設け、該ホッパー部30の前側に操作席7aを有する操縦部7を設けている。そして、該ホッパー部30と排藁カッター部31の間に燃料タンク32を設置した。
【0014】
従来のコンバインでは、機体前方に刈取装置を設け、その後方に脱穀装置を設け、脱穀装置の後方に燃料タンクを設置していたため、ホッパータイプのホッパー部を備えたコンバインでは機体の左右バランスがとれず、機体左側が重くなり、機体右側の後方にウエイトを付けバランス修正をする必要があり、機体重量の増加による湿田走行性能の低下及びコストアップの要因になっていた。
【0015】
しかし、上記本実施例の構成によると、ウエイトを用いることなく機体の左右バランスの適正化が図れ、機体重量の軽量化及びコストの上昇を抑えられる。また、本実施例では、燃料タンク32をホッパー部30よりも後方で且つ排藁カッター部31よりも前方の位置に配置したので、ホッパー部30の設置部側から給油が容易に行える。
【0016】
排藁カッター部31は、排藁カッター部31の右側のカッター部開閉支点となるカッターフレーム31dを中心として開閉可能とし、該カッターフレーム31dを燃料タンク32より後方に設けているので、カッター部31が燃料タンク32に干渉せずに開閉可能となる。
【0017】
また、図1に示すようにホッパー部30の漏斗部30aにはシャッタ(図示せず)を設け、漏斗部30aの下方にはビニール製の円筒部30bを接続しており、該円筒部30bの両側には穀粒を袋詰めする袋を仮止めするホルダ30cがあり、該ホルダ30cに袋の鳩目部(袋の上部の左右両隅部に設けた貫通孔)を差し込み可能になっている。
【0018】
また、ホッパー部30の後端部よりも後側に燃料タンク32を配置しているため、この燃料タンク32が、ホッパー部30の下側において穀粒を袋詰めする作業の邪魔にならず、コンバイン作業の能率を高めることができる。
【0019】
また、前記ホルダ30cはホッパー部30を支持する支持フレーム30dに設けてあり、該支持フレーム30dに一番揚穀筒29の上下中間部を連結し、さらに一番揚穀筒29の下部と二番揚穀筒36の下部の間を別の連結フレーム(図示せず)で溶接接続する。これにより、支持フレーム30dと連結フレームでホッパー部30を強固に支持固定することができ、脱穀作業中の安定性が良くなる。
【0020】
図3に示すように脱穀装置6の後部には、排藁を細かく切断するディスク式の排藁カッター(図示せず)を内蔵したカッター部31を設けているが、該カッター部31を機体外部に向けて開放自在とするために、該カッター部31を縦軸回動自在に支持するカッターフレーム31dを設けている。
【0021】
カッターフレーム31dをホッパー支持フレーム30dの後端部と連結した構成とし、作業者の背もたれ用の背もたれ部材90の回動支点取付部材90aをカッターフレーム31dの頂部に設けた。そして、前記背もたれ部材90の回動支点取付部材90aをカッターフレーム31dのパイプよりも上部に設けている。
【0022】
作業者が脱穀装置側壁面に開閉自在に取り付けたキャリア35上で作業する時には、背もたれ部材90を機体右側に張り出すように回動させると、回動支点取付部材90aの端面と前記背もたれ部材90の端面とが当接して該背もたれ部材90の張り出し姿勢が支持される。このため、作業者が前記背もたれ部材90の自由端側に設けたクッション材からなる当接部材90bに背中を支持させながら作業を行うことができ、又それ以上前記背もたれ部材90が下がらないので安全である。前記回動支点取付部材90aでストッパの役割を兼ねることができるので安価な構成となり、また背もたれ部材90を収納する時には図3の一点鎖線で示す位置に背もたれ部材90を回動させる。このように背もたれ部材90を収納する時には、ホッパー部30の左側と脱穀装置6の扱胴カバー6eの間でホッパー部30の上面とほぼ同じ高さに収納可能としている。このように、背もたれ部材90を収納した時にも、該背もたれ部材90がコンバインの高さより高くなることが無く、コンバインをコンパクトに構成でき、脱穀装置6の扱胴カバー6eを開けても干渉することがない。
【0023】
図1、図3に示すようにホッパー部30の後側面にウインカ92を取り付けると共に、背もたれ部材90の回動支点取付部材90a及び回動軌跡をこのウインカ92に近づけて配置しているので、ウインカ92は後方及び右側から見えやすい位置(機体上部で、右側の後方位置)に配置され、かつ作業者が背もたれ部材90の出し入れを容易に行える位置に配置されることになる。
なお、図1、図2に示すように、図示しないエンジンのエアクリーナよりも上手に、該エアクリーナによって濾過する前の外気を予め濾過する第1エアクリーナ16が設けられている。
【0024】
図1の機体右側面図と図2の機体正面図に示すように、ホッパー部30の下方に配置されるキャリア35の外側に隣接して配置したサブキャリア37が下端の回動軸Pを中心に開放可能な構成にされており、サブキャリア37を開放した状態とすれば、エンジンカバー13をサブキャリア37の上方位置で回動できる構成としている。
【0025】
図2にはサブキャリア37を無負荷姿勢で開放した状態を示し、このとき前記サブキャリア37の上面が外側ほど高くなる上がり傾斜姿勢に設定し、エンジンカバー13の開放時に、開放状態のサブキャリア37の上端面よりも上側の位置をエンジンカバー13の下端面が通過するように構成した。こうして、作業者がサブキャリア37上で作業できる状態のまま、エンジンカバー13を開けてメンテナンス作業を行うことができる。
【0026】
前記サブキャリア37は、その後端部を燃料タンク32の後部側方の位置まで延長した長さを有する(図1参照)。これにより、サブキャリア37を起立姿勢にまで回動させて収納させると、このサブキャリア37が燃料タンク32の外側方の保護部材となり、燃料タンク32に障害物が衝突せず安全である。
【0027】
図4の斜視図は図3の実施例のキャリア35とサブキャリア37を示す。図4に示すようにメインのキャリア35の外側にサブキャリア37を配置した。該サブキャリア37におけるメインキャリア35(以下、サブキャリア37と区別するためのキャリア35をメインキャリア35と言うことがある)側の両端に角柱状のチューブ(支持フレーム)38を鉛直方向に取り付け、このチューブ38をメインキャリア35の外側の両端(前方と後方)に鉛直方向に立てたコの字型フレーム39内に納め、チューブ38の上部とコの字型フレーム39の上面を油圧シリンダ40で連結した。
【0028】
こうして、油圧シリンダ40の伸縮によりチューブ38がコの字型フレーム39内をスライド可能となり、サブキャリア37をメインキャリア35よりも低い位置まで下降させることができるようにした。
【0029】
また、チューブ38がコの字型フレーム39内をスライドするため、サブキャリア37の上面は常に地面と水平で移動することができる。また、サブキャリア37上に籾袋を載せていても、サブキャリア37が籾袋の重みで傾くことがない。
【0030】
また、油圧シリンダ40の伸び縮みで、サブキャリア37が上下するので、サブキャリア37を下げることで籾袋を一段余分に積み込むことができ、湿田圃場や面積の大きい圃場等での連続作業が可能となった。
【0031】
また、籾袋をコンバインから降ろす時もサブキャリア37を下げた状態にすることで籾袋を楽に降ろすことができる。また、人間がメインキャリア35上に乗るときには、サブキャリア37を下げておき、人間がサブキャリア37上に乗った後にサブキャリア37を上昇させると、楽にメインキャリア35上に乗り移ることが可能となる。
なお、サブキャリア37の最大下げ位置は、サブキャリア37が地面に着かない高さまでとすることで、サブキャリア37が地面に触れて損傷することを防ぐ。
【0032】
また、サブキャリア37の最大上げ位置は、サブキャリア37を上昇させたときに、メインキャリア35の上面の方がサブキャリア37の上面よりも上側にあるような位置とすることで、籾袋の籾をこぼした時などにメインキャリア35とサブキャリア37の接合部に籾が引っかかることがなくなる。
【0033】
さらにメインキャリア35の外側の前方側と後方側に設けたコの字型フレーム39とメインキャリア35との接続部分における該フレーム39の機体側端部に設けた回動折線R上に回動支点を設けて、該回動支点を中心にコンバイン側にコの字型フレーム39を回動させることができるようにした。
【0034】
この構成により、サブキャリア37をメインキャリア35と同一面となる位置まで上昇させて、前記回動支点を中心にコの字型フレーム39を回動させることで、サブキャリア37もチューブ35の底部に固着しているので、サブキャリア37を収納することが可能となる。
【0035】
図5には別実施例のサブキャリア37のメインキャリア35への取付構造の要部側面図を示す。籾袋を受ける位置に設けられたメインキャリア35の外側に、該メインキャリア35の上面とほぼ同じ位置にサブキャリア37の上面が配置されるようにサブキャリア37を取り付ける。また、このときメインキャリア35をサブキャリア37の上に少しオーバラップさせるように取り付けておくと両キャリア35,37の接合部に籾が入り込むことを防止できる。
【0036】
また、メインキャリア35の上面とほぼ同一平面を形成する状態におけるサブキャリア37の上面は回動支点37aを最低位置として傾斜するように構成すると、両方のキャリア35,37の上面にこぼれ落ちた籾は、両キャリア35,37の接合部付近に籾が集まりやすくなる。
【0037】
また、両方のキャリア35,37の接合部にはサブキャリア37の回動支点37aを支持する支持部材41をメインキャリア35の先端側に設ける。該支持部材41はメインキャリア35の側面に沿って、その両側に固定されており、該支持部材41とサブキャリア37をボルトなどで回動自在に支持させる。
【0038】
この構成ではサブキャリア37を収納する場合には回動支点37aを中心にしてメインキャリア35の上側にサブキャリア37を折りたたむことができ、またサブキャリア37の回動による収納時にメインキャリア35とサブキャリア37が干渉することがない。
【0039】
また、サブキャリア37の回動支点37aをメインキャリア35の下方に設けることにより、メインキャリア35をサブキャリア37の上にオーバラップさせることができ、籾をこぼしたときに籾がキャリア35の下に落ちることがなく、後でキャリア35上の籾を回収できるようにする。
【0040】
さらに図6に示すように、メインキャリア35上にペダル42を設けておき、該ペダル42を踏むとサブキャリア37の回動支点37aを中心にサブキャリア37が下方に回動する構成にすると、サブキャリア37の傾斜面上から籾袋を降ろし易くなる。またサブキャリア37の上面に前記傾斜面に沿って多数の溝(図示せず)を設けておくと、メインキャリア35とサブキャリア37上にこぼれている籾を集めやすくなる。
【0041】
なお、ペダル42を踏むとサブキャリア37の回動支点37aを中心にサブキャリア37が下方に回動する構成の作動機構は次の通りである。
即ち、図6の丸枠内の図6の一部拡大図に示すように、キャリア35の上面側にストッパ43の一端部を回動軸44によって上下回動自在に軸支し、該回動軸44と同軸上にトルクスプリング45を装着し、このトルクスプリング45の両端間に、キャリア35側に固定した固定ピン49aとストッパ43側に固定した移動ピン49bとを挟むように取り付ける。このトルクスプリング45の弾性力によって、ストッパ43は水平姿勢となる上昇側へ常時付勢されている。
【0042】
このストッパ43の自由端側はL字形状に屈折させており、この屈折部分に前記サブキャリア37を載せることによって、該サブキャリア37の姿勢が保持される構成とする。この構成によって、ストッパ43に一体に設けたペダル42を踏むと、該ストッパ43が下方回動し、このストッパ43に支持されるサブキャリア37も下方回動する。
【0043】
次に、キャリア35上に簡易籾処理装置としてのターンテーブル46を配置する例を説明する。
図7にコンバインの右側面図、図8にコンバインの平面図を示し、図9(a)のターンテーブル46の斜視図と図9(b)の籾袋48を載置した状態のターンテーブル46の斜視図を示す。
【0044】
ターンテーブル46は上面視でテーブル46を4分割するように、ガードパイプ47を取り付けている。ガードパイプ47はターンテーブル46を4等分する上面の4つの端部にそれぞれ立設した4本の脚47aと該4本の脚47aの上端部同士をターンテーブル46の中央部で連結して水平方向に向いた4股状のパイプ47bを一体的に接続した構成からなる。またガードパイプ47の中心部にパイプ47cを立設して4股状のパイプ47bの中心部と一体的に接続した構成にしても良い。この構成によるとターンテーブル46の回転中心部にパイプ47cを設けているので籾袋の倒れを防止することができる。
【0045】
上面視でターンテーブル46を4分割するガードパイプ47により、籾袋はターンテーブル46に整然と置くことができる。また、ターンテーブル46はコンバインのキャリア35とは別部品で構成され、キャリア35上に載せるだけで利用できるので、キャリア35のあるコンバインであれば、どんなコンバインにも取り付けできる。
【0046】
また図10(a)のターンテーブル46の斜視図と図10(b)の籾袋48を載置した状態のターンテーブル46の斜視図に示すように、ターンテーブル46上に設けたガードパイプ47の4本の脚47a及びパイプ47cの高さを調節可能にしても良い。ガードパイプ46の高さ調節は前記4股状のパイプ47bの各端部を下向きに曲げて4本の脚47aに着脱自在に装着し、同時にパイプ47cに脚47eを装着し、該装着部を上下方向に移動可能にすることで行う。
【0047】
地域によって籾採り者が籾袋48に入れる籾の量がまちまちであるが、上記図10に示す構成は籾袋48に入れる籾の量が比較的少ないところではガードパイプ47の高さを低くし、籾の量を多く入れるところはガードパイプ47の高さを高くして、条件に応じて対応できる様にしたことを特長とする。
【0048】
また、図11(a)、図11(b)にターンテーブル46の回動機構を説明する斜視図を示す。
ターンテーブル46の荷重は、ターンテーブル46の底面に当接するキャリア(図示せず)の上面に突出して、回転自在に支持された複数のボール51に支持されている。図11には4つのボール受け52内のボール51がターンテーブル46の底面端部に、ターンテーブル46の円周方向に対して均等な4箇所の位置で当接していることを示している。また、ターンテーブル46の回転はターンテーブル46の底面に固定されたギヤ53がワイパーモータ54により駆動されることで行われる。
【0049】
また、ターンテーブル46の外周側面には均等な間隔でカム55が設けられ、またターンテーブル46の外側のキャリア(図示せず)にはリミットスイッチ57が配置されている。従って、例えば前記リミットスイッチ57に前記カム55が当接するとモータ54の駆動が停止する構成にすることで、グレンタンク30の側壁面に設けたターンテーブル駆動スイッチ59を押してターンテーブル46を回転させたとき、該テーブル46が一周する間に1/4回転毎に該カム55が当接して停止させられる。
【0050】
この構成により、ターンテーブル46上に籾袋48を載置する毎に、または降ろす毎に、ターンテーブル46を一定角度毎に回転させることができる。
一袋の籾袋48をターンテーブル46上に置く毎に、または、降ろす毎にターンテーブル46が一定角度回転するので籾採り作業が一人作業でも、連続作業がスムーズに行え、場所も取らず時間短縮にもなる。
【0051】
また、図12(a)のターンテーブル46の斜視図と図12(b)の籾袋48を載置した状態のターンテーブル46の斜視図に示すように、ターンテーブル46の中心部に立設したパイプ47cの高さ方向の約1/2の高さ部分とターンテーブル46の円周端部に立設された4つ脚47aの高さ方向の約1/2の高さ部分とを接続する横パイプ47dを一体化して設けた構成にしても良い。このようなガードパイプ47の構成によって、図12(b)に示すようにガードパイプ47により各籾袋48は、図9に示すガードパイプ47により確実に保持され、作業中の倒れ等が防止される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、圃場において穀類の収穫作業を行う農業用のコンバインに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの右側面図を示す。
【図2】図1のコンバインの正面図を示す。
【図3】図1のコンバインのサブ、メインキャリアとは異なるサブ、メインキャリアを備えたコンバインの背面図を示す。
【図4】図1のコンバインの一実施例のメインのキャリアの外側にサブキャリアを配置した構成の斜視図を示す。
【図5】別実施例のサブキャリアのメインキャリアへの取付構造の要部側面図を示す。
【図6】別実施例のサブキャリアのメインキャリアへの取付構造の要部側面図を示す。
【図7】本発明の一実施例のコンバインの右側面図を示す。
【図8】図7のコンバインの平面図を示す。
【図9】図7のコンバインの一実施例のターンテーブルの斜視図(図9(a))と籾袋を載置した状態のターンテーブルの斜視図(図9(b))を示す。
【図10】図7のコンバインの一実施例のターンテーブルの斜視図(図10(a))と籾袋を載置した状態のターンテーブルの斜視図(図10(b))を示す。
【図11】図7のコンバインの一実施例のターンテーブルの回動機構を説明する斜視図(図11(a)、図11(b))を示す。
【図12】図7のコンバインの一実施例のターンテーブルの斜視図(図12(a))と籾袋を載置した状態のターンテーブルの斜視図(図12(b))を示す。
【符号の説明】
【0054】
1 機体フレーム 2 クローラ
3 走行装置 5 刈取装置
6 脱穀装置 7 操縦部
9 縦支持フレーム 10 分草体
11 引起装置 11a 引起しラグ
13 エンジンカバー 16 第1エアクリーナ
29 一番揚穀筒 30 ホッパー部(グレンタンク)
30a ホッパー漏斗部 30b ホッパー円筒部
30c 袋仮止ホルダ 30d ホッパー支持フレーム
31 排藁カッター部 31d カッターフレーム
32 燃料タンク 35 (メイン)キャリア
36 二番揚穀筒 37 サブキャリア
38 チューブ(支持フレーム)
39 フレーム 40 油圧シリンダ
41 支持部材 42 ペダル
43 ストッパ 44 回動軸
45 トルクスプリング 46 ターンテーブル
47 ガードパイプ 48 籾袋
49a 固定ピン 49b 移動ピン
51 ボール 52 ボール受け
53 ギヤ 54 ワイパーモータ
55 カム 57 リミットスイッチ
59 ターンテーブル駆動スイッチ
90 背もたれ部材 90a 回動支点取付部材
90b 当接部材 92 ウインカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(3)を備えた機体フレーム(1)の前部に刈取装置(5)を上下回動自在に支持し、該刈取装置(5)の後側における機体フレーム(1)の左側に脱穀装置(6)を搭載し、該脱穀装置(6)の右側に、脱穀された穀粒を一時貯留する穀粒貯留用のホッパー部(30)と、該ホッパー部(30)の近傍に配置する籾袋を載置するキャリア(35)を備え、該キャリア(35)に隣接する位置にサブキャリア(37)を配置し、該サブキャリア(37)の両端に支持フレーム(38)を立設し、該支持フレーム(38)をキャリヤ(35)の端部に立設したフレーム(39)内で上下方向にスライドさせるスライド機構を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記フレーム(39)の下端部を、キャリア(35)の上面に回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−104323(P2010−104323A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281465(P2008−281465)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】