説明

コンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法

【課題】駐車中の車両の充電を行うことが可能なコンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法を提供する。
【解決手段】コンベア式立体駐車装置1では、車両Cに搭載されるバッテリを充電するための充電器12が設置され、充電器12の一方の極性には、駐車ます6において前輪用コンベア6fに接触する第1給電シュー19aが接続され、充電器12の他方の極性には、駐車ます6において後輪用コンベア6rに接触する第2給電シュー19bが接続されている。したがって、コンベア式立体駐車装置1では、第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bが接続されることによって前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rが充電器12の電極として機能するので、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rを介して車両Cへの給電を実行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、コンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全などの観点から、二酸化炭素などの排出量を極めて抑えることができる電気自動車の普及が進んできている。電気自動車では、内燃機関と併用するハイブリッド式のものも含め、一定の走行後にバッテリの充電を行う必要がある。一般に、電気自動車の充電には時間がかかるため、充電設備を充実させることが電気自動車の更なる普及のための重要な課題となっている。
【0003】
充電設備としては、従来のガソリンスタンドに充電器を設置することが考えられる。しかしながら、ガソリンスタンドでの充電は、車両による移動を中断して行わなければならず、充電に時間がかかってしまうと電気自動車の使い勝手は低下してしまうことになる。そこで、充電器の設置のし易さを活かして立体駐車装置に充電器を設置し、駐車中の電気自動車の充電を可能にする技術が着目されている。
【0004】
立体駐車装置に充電器を設置した技術としては、例えば特許文献1に記載の立体駐車装置がある。この従来の立体駐車装置では、車両が搭載されるパレットの側面又は底面に、車両の格納位置において給電用接点と接続される充電用接点が設けられている。車両の格納位置には、給電用接点に電気を供給する電源設備が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−4620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、立体駐車装置としては、コンベアによって入出庫バースと駐車ますとの間で車両を移送するコンベア式立体駐車装置がある。コンベア式立体駐車装置では、例えば車両の前輪と後輪とに対応してそれぞれコンベアが配置され、車両が幅方向に移送されるようになっている。
【0007】
このようなコンベア式立体駐車装置では、車両の入庫時から出庫時まで同一のパレットに車両が載置される特許文献1の立体駐車装置とは異なり、コンベア上で車両と一緒に移送される部材が存在しない。そのため、コンベア式立体駐車装置で車両の充電を行うには、パレットに充電用接点を設けた従来構成とは異なる新たな構成を適用する必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、駐車中の車両の充電を行うことが可能なコンベア式立体駐車装置、コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケット、及びコンベア式立体駐車装置における車両の充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本発明に係るコンベア式立体駐車装置は、車両が入出庫する入出庫バースと、車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、入出庫バースと駐車フロアとの間を移動して車両を移送する移送体と、車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、入出庫バースと移送体との間及び移送体と駐車ますとの間で車両を移送するコンベア装置と、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベアに接触する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第2のコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されていることを特徴としている。
【0010】
このコンベア式立体駐車装置では、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器が設置されており、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベアに接触する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第2のコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されている。したがって、このコンベア式立体駐車装置では、給電接触子が接続されることによって第1のコンベア及び第2のコンベア自体が充電器の電極として機能し、第1のコンベア及び第2のコンベアを介して車両への給電を行うことができる。
【0011】
また、第1のコンベア及び第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、スラットとチェーンとは、絶縁材を介して結合されていることが好ましい。この場合、第1の給電接触子及び第2の給電接触子が接触した際、第1のコンベア及び第2のコンベアにおいて通電範囲を制限できる。これにより、コンベア式立体駐車装置の安全性をより確実に確保できる。また、通電範囲をスラットのみに制限することで、コンベア装置への負荷が抑えられる。
【0012】
また、本発明に係るコンベア式立体駐車装置は、車両が入出庫する入出庫バースと、車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、入出庫バースと駐車フロアとの間を移動して車両を移送する移送体と、車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、入出庫バースと移送体との間及び移送体と駐車ますとの間で車両を移送するコンベア装置と、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、第1のコンベア及び第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、スラットとチェーンとは、絶縁材を介して結合され、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方に接触する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子と所定の間隔をもって第1の給電接触子と同じコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されていることを特徴としている。
【0013】
このコンベア式立体駐車装置では、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器が設置されており、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方に接触する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子と所定の間隔をもって第1の給電接触子と同じコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されている。また、第1の給電接触子が接続される部分と第2の給電接触子が接続される部分とは、コンベア装置におけるスラットとチェーンとが絶縁材を介して結合されることによって絶縁されている。したがって、このコンベア式立体駐車装置では、給電接触子が接続されることによって第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方が充電器の電極として機能し、車両への給電を行うことができる。
【0014】
また、本発明に係るコンベア式立体駐車装置は、車両が入出庫する入出庫バースと、車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、入出庫バースと駐車フロアとの間を移動して車両を移送する移送体と、車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、入出庫バースと移送体との間及び移送体と駐車ますとの間で車両を移送するコンベア装置と、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、第1のコンベア及び第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、スラットの少なくとも表面は、絶縁材からなり、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子と所定の間隔をもって第1の給電接触子と同じコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されていることを特徴としている。
【0015】
このコンベア式立体駐車装置では、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器が設置されており、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子と所定の間隔をもって第1の給電接触子と同じコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されている。また、第1の給電接触子が接続される部分と第2の給電接触子が接続される部分とは、コンベア装置のスラットの少なくとも表面が絶縁材からなることで絶縁されている。したがって、このコンベア式立体駐車装置では、第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方から突出する給電接触子が充電器の電極として機能し、車両への給電を行うことができる。
【0016】
また、本発明に係るコンベア式立体駐車装置は、車両が入出庫する入出庫バースと、車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、入出庫バースと駐車フロアとの間を移動して車両を移送する移送体と、車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、入出庫バースと移送体との間及び移送体と駐車ますとの間で車両を移送するコンベア装置と、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、第1のコンベア及び第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、スラットの少なくとも表面は、絶縁材からなり、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子とは異なるコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されていることを特徴としている。
【0017】
このコンベア式立体駐車装置では、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器が設置されており、充電器の第1の極性には、駐車ますにおいて第1のコンベア及び第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、充電器の第2の極性には、駐車ますにおいて第1の給電接触子とは異なるコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されている。また、第1の給電接触子が接続される部分と第2の給電接触子が接続される部分とは、コンベア装置のスラットの少なくとも表面が絶縁材からなることで絶縁されている。したがって、このコンベア式立体駐車装置では、第1のコンベア及び第2のコンベアからそれぞれ突出する給電接触子が充電器の電極として機能し、車両への給電を行うことができる。
【0018】
また、上記コンベア式立体駐車装置では、第1のコンベアと第2のコンベアとの間に絶縁材が設けられていることが好ましい。この場合、コンベア式立体駐車装置の安全性を一層確実に確保できる。
【0019】
また、本発明に係る集電ブラケットは、上記コンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケットであって、車両の車輪を挟み込むようにコンベア装置上に載置可能であると共に、少なくともコンベア装置との接触部分が導電性を有する脚部と、脚部に立設され、接触部分に接続される配線が通されると共に、配線に接続されるプラグソケットが設けられた柱部と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
この集電ブラケットは、コンベア装置との接触部分が導電性を有する脚部を有しており、接触部分から繋がる配線に接続されたプラグソケットが柱部に設けられている。したがって、車両の給電口ソケットとプラグソケットとの間をケーブルで接続することにより、充電器の電極と車両の給電口とを簡単に接続できる。また、集電ブラケットの脚部は、車両の車輪を挟み込む構造を有しているので、コンベア装置による車両の移送の際、車両と共に安定して一体的に移動可能となっている。したがって、例えば入出庫バースで車両に集電ブラケットを取り付ければ、より確実に駐車ますでの車両の充電を実行できる。
【0021】
また、本発明に係る車両の充電方法は、上記コンベア式立体駐車装置と集電ブラケットとを用いた車両の充電方法であって、入出庫バースにおいて、コンベア装置に載置された車両の一方輪に集電ブラケットをそれぞれ取り付け、車両の給電口ソケットとプラグソケットとをケーブルで接続するステップと、車両を移送体によって入出庫バースから駐車フロアに移送し、所定の駐車ますに車両を駐車させるステップと、駐車ますにおいて第1の給電接触子を第1のコンベア又は一方の集電ブラケットに接触させると共に、第2の給電接触子を第2のコンベア又は他方の集電ブラケットに接触させるステップと、を備えたことを特徴としている。
【0022】
この車両の充電方法では、入出庫バースにおいて車両の一方輪に集電ブラケットを取り付けた状態で車両を駐車ますまで移送し、駐車ますにおいて第1の給電接触子を第1のコンベア又は一方の集電ブラケットに接触させると共に、第2の給電接触子を第2のコンベア又は他方の集電ブラケットに接触させる。これにより、駐車ますにおいて充電器の電極と車両の給電口とが接続され、車両の給電を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンベア式立体駐車装置において、駐車中の車両の充電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンベア式立体駐車装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】集電ブラケットの一例を示す斜視図である。
【図3】駐車ますにおける前輪用コンベア及び後輪用コンベアを示す側面図である。
【図4】スラットを示す平面図である。
【図5】スラットの端部の拡大図である。
【図6】車両への集電ブラケットの取り付け状態を示す斜視図である。
【図7】車両の充電方法を示す図である。
【図8】変形例に係る車両の充電方法を示す図である。
【図9】変形例に係る給電シューを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るコンベア式立体駐車装置、集電ブラケット、及び車両の充電方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベア式立体駐車装置の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、コンベア式立体駐車装置1は、例えば地上階に設けられる入出庫バース2と、地下階に設けられる駐車フロア3とを備え、空間の有効利用を図るために発案された立体駐車装置である。また、このコンベア式立体駐車装置1は、駐車中の電気自動車のバッテリの充電を行う充電設備としての機能を有している。
【0027】
入出庫バース2には、ボックスタイプの入出庫ブース4が配置されており、入出庫ブース4の内部には、入出庫バース2と駐車フロア3との間を昇降するリフト装置5が配置されている。このリフト装置5により、入出庫バース2と駐車フロア3との間で車両Cが移送される。
【0028】
一方、駐車フロア3には、車両Cを移送するための駐車ます6を複数備えた車両格納棚7が設置されている。車両格納棚7は、フレーム材を升目状に組み立てることで上下2段に構成されると共に、複数の駐車ます6を併設した例えば4列の駐車区画列8を有している。
【0029】
さらに、車両格納棚7の上段及び下段において、互いに平行な2列の駐車区画列8の間には、例えば2本のガイドレール9が全長に渡って水平に敷設されており、このガイドレール9に沿って走行台車10が走行する。走行台車10は、ガイドレール9上を走行自在であり、リフト装置5と各駐車ます6との間で車両Cの受け渡しを行う。
【0030】
ここで、リフト装置5は、車両Cを幅方向に移送するための前輪用コンベア5fと後輪用コンベア5rとを有している。同様に、走行台車10も車両Cを幅方向に移送するための前輪用コンベア10fと後輪用コンベア10rとを有しており、駐車ます6も前輪用コンベア6fと後輪用コンベア6rとを有している。これらのコンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rには、後述するスラットコンベアが用いられている。
【0031】
上述した走行台車10は、ガイドレール9上を走行すると共に、リフト装置5の側方と任意の駐車ます6の側方とで停止する。走行台車10がリフト装置5の側方に停止すると、走行台車10の前輪用コンベア10fとリフト装置5の前輪用コンベア5fとが一列に整列し、同時に、走行台車の後輪用コンベア10rとリフト装置5の後輪用コンベア5rとが一列に整列する。
【0032】
また、走行台車10が任意の駐車ます6の側方に停止すると、走行台車10の前輪用コンベア10fと駐車ます6の前輪用コンベア6fとが一列に整列し、同時に、走行台車の後輪用コンベア10rと駐車ます6の後輪用コンベア6rとが一列に整列する。したがって、これらのコンベアを適宜協働させることにより、リフト装置5と走行台車10との車両Cの受け渡し、及び走行台車10と駐車ます6との車両Cの受け渡しが適切に行われることとなる。
【0033】
続いて、駐車中の電気自動車のバッテリの充電を行う充電設備としてのコンベア式立体駐車装置1の構成について説明する。充電設備としてのコンベア式立体駐車装置1は、電気自動車である車両Cに接続される集電ブラケット11と、各駐車ます6に設けられた充電器12とを備えている。
【0034】
図2は、集電ブラケット11の一例を示す斜視図である。図2に示すように、集電ブラケット11は、前後又は左右一対の第1ブラケット13及び第2ブラケット14を有している。第1ブラケット13及び第2ブラケット14のそれぞれは、平面視でコの字状をなす脚部15と、脚部15に立設された柱部16とによって構成されている。
【0035】
第1ブラケット13における脚部15の底面には、充電器12の一方の極性に接続される金属製の第1導電面15aが設けられており、第2ブラケット14における脚部15の底面には、充電器12の他方の極性に接続される金属製の第2導電面15bが設けられている。
【0036】
また、第1ブラケット13における柱部16の内部には、第1導電面15aに接続された第1配線17aが通されており、第2ブラケット14における柱部16の内部には、第2導電面15bに接続された第2配線17bが通されている。さらに、第2ブラケット14における柱部16の上部には、車両Cの給電口41から延びるケーブル42(図7参照)のプラグを接続可能なプラグソケット18が設けられている。
【0037】
第1配線17aは、第1ブラケット13における柱部16の上部から外部に引き出され、第2ブラケット14における柱部16の上部を通ってプラグソケット18に接続されている。第2配線17bは、第2ブラケット14における柱部16の内部を通ってプラグソケット18に接続されている。
【0038】
このような集電ブラケット11は、例えば入出庫ブース4において、コンベア式立体駐車装置1の収容台数に応じて複数常備されている。そして、車両Cの入庫の際、例えば運転者又は係員が集電ブラケット11の脚部15を車両Cの車輪の側方から差し込むことで、集電ブラケット11は、車両Cの車輪を挟み込んだ状態でコンベア上に設置され、車両Cと共に所定の駐車ます6まで移送される。
【0039】
一方、図3は、駐車ますにおける充電器の構成を示す図である。図3に示すように、充電器12は、例えば駐車ます6における前輪用コンベア6fと後輪用コンベア6rの間の位置に配置されている。充電器12の一方の極性には、前輪用コンベア6fのスラット27に接触する第1給電シュー19aが接続され、充電器12の他方の極性には、後輪用コンベア6rのスラット27に接触する第2給電シュー19bが接続されている。
【0040】
第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bは、ブラシ片などによって前輪用コンベア6fのスラット27及び後輪用コンベア6rのスラット27に対して常時接触していてもよく、所定の駆動手段及び制御手段により、駐車ます6への車両Cの移送が完了して前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rが停止した後に、スラット27に接触させるようにしてもよい。
【0041】
第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bの接触により、前輪用コンベア6fのスラット27及び後輪用コンベア6rのスラット27が、充電器12の電極として機能する。そして、車両Cと共に集電ブラケット11が駐車ます6に移送されてくると、前輪用コンベア6fのスラット27を介して第1ブラケット13の第1導電面15aと第1給電シュー19aとが接続され、後輪用コンベア6rのスラット27を介して第2ブラケット14の第2導電面と第2給電シュー19bとが接続される。
【0042】
図3に示すように、前輪用コンベア6fの両側のサイドフレーム20の下部、及び後輪用コンベア6rの両側のサイドフレーム20の下部には、ゴムやベークライト等からなる絶縁材31がそれぞれ配置されている。これにより、前輪用コンベア6fと後輪用コンベア6rとの間の電気的な絶縁性が確保されている。なお、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rに車両Cが載置された状態では、前輪用コンベア6fのスラット27及び後輪用コンベア6rのスラット27に接触するのは車両Cのタイヤ部分であるため、車両Cを介した電気的な経路が形成されるおそれもない。
【0043】
ここで、図4は、前輪用コンベア及び後輪用コンベアのスラットを示す平面図である。図5は、スラットの端部を示す拡大図である。図4に示すように、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rは、前後一対のスプロケット(不図示)に巻き付けられたチェーン21を有している。左右のチェーン21,21は、内リンク22と外リンク23とを交互に組み合わせたローラーチェーンであり、内リンク22には、加締めピン24によってL字状のブラケット26が固定されている。ブラケット26は、チェーン21,21に等間隔に固定され、左右のブラケット26,26によってスラット27の両端が保持されている。
【0044】
また、図5に示すように、スラット27は、リベット28によってブラケット26に固定されており、リベット28とスラット27との間には、ゴムやベークライト等からなる絶縁材32が介在した状態となっている。これにより、スラット27とチェーン21との電気的な絶縁性が確保され、スラット27,27間の電気的な絶縁性が確保される。なお、リベット28とスラット27との間の絶縁材32は、スラット27の1本毎に介在させてもよく、数本毎に介在させてもよい。
【0045】
続いて、上述したコンベア式立体駐車装置1における車両の充電方法について説明する。
【0046】
まず、入出庫ブース4に車両Cを駐車し、車両Cの前輪を前輪用コンベア5fに載置し、後輪を後輪用コンベア5rに載置する。次に、集電ブラケット11を用意し、例えば図6に示すように、第1ブラケット13の脚部15を車両Cの左側の前輪に横から差し込むと共に、第2ブラケット14の脚部を車両Cの左側の後輪に横から差し込む。また、車両Cの給電口41と集電ブラケット11とを所定のケーブル42で接続する。
【0047】
集電ブラケット11の設置及びケーブル42の接続を終えた後、所定の操作盤(不図示)の操作によって、リフト装置5、走行台車C、及びコンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rを作動させ、集電ブラケット11及びケーブル42を接続した状態のまま、車両Cを入出庫バース2から所定の駐車ます6まで移送する。
【0048】
車両Cが駐車ます6まで移送されてくると、図7に示すように、第1ブラケット13の第1導電面15aに接する前輪用コンベア6fのスラット27に第1給電シュー19aが接触すると共に、第2ブラケット14の第2導電面15bに接する後輪用コンベア6rのスラット27に第2給電シュー19bが接触する。これにより、充電器12から車両Cの給電口41までの電気的な経路が確立され、車両Cのバッテリの充電が実行される。
【0049】
以上説明したように、コンベア式立体駐車装置1では、車両Cに搭載されるバッテリを充電するための充電器12が設置されており、充電器12の一方の極性には、駐車ます6において前輪用コンベア6fに接触する第1給電シュー19aが接続され、充電器12の他方の極性には、駐車ます6において後輪用コンベア6rに接触する第2給電シュー19bが接続されている。
【0050】
したがって、このコンベア式立体駐車装置1では、第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bが接続されることによって前輪用コンベア6fのスラット27及び後輪用コンベア6rのスラット27が充電器12の電極として機能するので、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rを介して車両Cへの給電を行うことができる。
【0051】
また、コンベア式立体駐車装置1では、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rが、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーン21,21と、チェーン21,21間に架け渡された複数本のスラット27とを有し、スラット27とチェーン21とが絶縁材32を介して結合されている。
【0052】
これにより、スラット27,27間の電気的な絶縁性が確保されるので、第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bが接触した際、前輪用コンベア6f及び後輪用コンベア6rにおける通電範囲を制限できる。これにより、コンベア式立体駐車装置1の安全性をより確実に確保できる。また、通電範囲をスラット27のみに制限することで、コンベア6f,6rへの負荷が抑えられる。コンベア式立体駐車装置1の安全性は、前輪用コンベア6fと後輪用コンベア6rとの間に設けられた絶縁材31によって更に向上が図られている。
【0053】
さらに、このコンベア式立体駐車装置1では、車両Cの充電を行うにあたって集電ブラケット11を用いている。この集電ブラケット11を用いて車両Cの給電口41とプラグソケット18との間をケーブル42で接続することにより、充電器12の電極と車両Cの給電口41とを簡単に接続できる。
【0054】
また、集電ブラケット11の脚部は、車両Cの車輪を挟み込む構造を有しているので、コンベア5f,5r,6f,6r,10f,10rによる車両Cの移送の際、集電ブラケット11を車両Cと共に安定して一体的に移動させることができる。したがって、例えば入出庫バース2で車両Cに集電ブラケット11を取り付ければ、より確実に駐車ます6での車両Cの充電を実行できる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、車両Cの左側の前輪及び後輪に集電ブラケット11の第1ブラケット13及び第2ブラケット14をそれぞれ取り付けているが、例えば図8に示すように、車両Cの右側の前輪及び左側の前輪に集電ブラケット11の第1ブラケット13及び第2ブラケット14をそれぞれ取り付け、充電器12から延びる第1給電シュー19aと第2給電シュー19bとを、所定の間隔をもって前輪用コンベア6fのスラット27に接触させるようにしてもよい。
【0056】
また、図8の別の形態として、例えば図9に示すように、第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bを櫛歯状に形成してもよい。この場合、前輪用コンベア6fにおけるスラット27の表面を絶縁材で覆うか、或いはスラット27自体を絶縁材で形成し、スラット27の間から櫛歯33の先端部分を突出させることによって、集電ブラケット11の第1導電面15a及び第2導電面15bに第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bを直接接触させる。
【0057】
このとき、例えば集電ブラケット11の第1ブラケット13及び第2ブラケット14に磁石を取り付けておくと、第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bに駆動手段を設けなくとも、車両Cが駐車ます6に移送されてきたときに磁力で集電ブラケット11の第1導電面15a及び第2導電面15bに第1給電シュー19a及び第2給電シュー19bを接触させることができる。
【0058】
なお、図7に示したように、集電ブラケット11の第1ブラケット13を前輪用コンベア6fに載置すると共に、第2ブラケット14を後輪用コンベア6rに載置し、第1給電シュー19aを前輪用コンベア6fにおけるスラット27から突出させると共に、第2給電シュー19bを後輪用コンベア6rから突出させるようにすることも可能である。
【0059】
また、上述した実施形態では、車両Cの前輪を前輪用コンベア6fに載置すると共に後輪を後輪用コンベア6rに載置し、車両Cの幅方向に移送を行っているが、車両Cの右輪を一方のコンベアに載置すると共に左輪を他方のコンベアに載置し、車両Cの前後方向に移送を行うタイプのコンベア式立体駐車装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…立体駐車装置、2…入出庫バース、3…駐車フロア、5…リフト装置、6…駐車ます、6f…前輪用コンベア、6r…後輪用コンベア、10…走行台車、11…集電ブラケット、15…脚部、16…柱部、12…充電器、17a…第1配線、17b…第2配線、18…プラグソケット、19a…第1給電シュー、19b…第2給電シュー、21…チェーン、27…スラット、31,32…絶縁材、C…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が入出庫する入出庫バースと、
車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、
前記入出庫バースと前記駐車フロアとの間を移動して前記車両を移送する移送体と、
前記車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び前記車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、前記入出庫バースと前記移送体との間及び前記移送体と前記駐車ますとの間で前記車両を移送するコンベア装置と、
前記車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、
前記充電器の第1の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1のコンベアに接触する第1の給電接触子が接続され、
前記充電器の第2の極性には、前記駐車ますにおいて前記第2のコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されていることを特徴とするコンベア式立体駐車装置。
【請求項2】
前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、前記チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、
前記スラットと前記チェーンとは、絶縁材を介して結合されていることを特徴とする請求項1記載のコンベア式立体駐車装置。
【請求項3】
車両が入出庫する入出庫バースと、
車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、
前記入出庫バースと前記駐車フロアとの間を移動して前記車両を移送する移送体と、
前記車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び前記車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、前記入出庫バースと前記移送体との間及び前記移送体と前記駐車ますとの間で前記車両を移送するコンベア装置と、
前記車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、
前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、前記チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、
前記スラットと前記チェーンとは、絶縁材を介して結合され、
前記充電器の第1の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアのいずれか一方に接触する第1の給電接触子が接続され、
前記充電器の第2の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1の給電接触子と所定の間隔をもって前記第1の給電接触子と同じコンベアに接触する第2の給電接触子が接続されていることを特徴とするコンベア式立体駐車装置。
【請求項4】
車両が入出庫する入出庫バースと、
車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、
前記入出庫バースと前記駐車フロアとの間を移動して前記車両を移送する移送体と、
前記車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び前記車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、前記入出庫バースと前記移送体との間及び前記移送体と前記駐車ますとの間で前記車両を移送するコンベア装置と、
前記車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、
前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、前記チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、
前記スラットの少なくとも表面は、絶縁材からなり、
前記充電器の第1の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、
前記充電器の第2の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1の給電接触子と所定の間隔をもって前記第1の給電接触子と同じコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されていることを特徴とするコンベア式立体駐車装置。
【請求項5】
車両が入出庫する入出庫バースと、
車両を収容可能な駐車ますが複数設けられた駐車フロアと、
前記入出庫バースと前記駐車フロアとの間を移動して前記車両を移送する移送体と、
前記車両の一方輪が載置される第1のコンベア及び前記車両の他方輪が載置される第2のコンベアを有し、前記入出庫バースと前記移送体との間及び前記移送体と前記駐車ますとの間で前記車両を移送するコンベア装置と、
前記車両に搭載されるバッテリを充電するための充電器と、を備えたコンベア式立体駐車装置であって、
前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアは、一対のスプロケットに巻き付けられると共に左右で一対をなすチェーンと、前記チェーン間に架け渡された複数本のスラットとを有し、
前記スラットの少なくとも表面は、絶縁材からなり、
前記充電器の第1の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1のコンベア及び前記第2のコンベアのいずれか一方から突出する第1の給電接触子が接続され、
前記充電器の第2の極性には、前記駐車ますにおいて前記第1の給電接触子とは異なるコンベアから突出する第2の給電接触子が接続されていることを特徴とするコンベア式立体駐車装置。
【請求項6】
前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとの間に絶縁材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のコンベア式立体駐車装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載のコンベア式立体駐車装置に用いる集電ブラケットであって、
前記車両の車輪を挟み込むように前記コンベア装置上に載置可能であると共に、少なくとも前記コンベア装置との接触部分が導電性を有する脚部と、
前記脚部に立設され、前記接触部分に接続される配線が通されると共に、前記配線に接続されるプラグソケットが設けられた柱部と、を備えたことを特徴とする集電ブラケット。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項記載のコンベア式立体駐車装置と、請求項7記載の集電ブラケットとを用いた車両の充電方法であって、
前記入出庫バースにおいて、前記コンベア装置に載置された車両の一方輪に前記集電ブラケットをそれぞれ取り付け、前記車両の給電口ソケットと前記プラグソケットとをケーブルで接続するステップと、
前記車両を前記移送体によって前記入出庫バースから前記駐車フロアに移送し、所定の駐車ますに前記車両を駐車させるステップと、
前記駐車ますにおいて前記第1の給電接触子を第1のコンベア又は一方の集電ブラケットに接触させると共に、前記第2の給電接触子を第2のコンベア又は他方の集電ブラケットに接触させるステップと、を備えたことを特徴とする車両の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−63947(P2011−63947A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213437(P2009−213437)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)