コークス炉移動機の位置検出装置
【課題】導入費および維持費を軽減してコークス炉移動機が作業を行っている窯を特定することができるコークス炉移動機の位置検出装置を提供する。
【解決手段】3相の給電装置41の各相に対応して移動機10の走行方向に沿って敷設された、移動機10への電源供給用の3本のトロリー線42R,42S,42Tを、それぞれ一定長Aの複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続した構成とする。そして、各トロリー線の電線部に変流器CTを設置すると共に、移動機10側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔Bをもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれ構成する。そして、各変流器CTの検出電流値に基づいて、移動機10の位置を検出する。
【解決手段】3相の給電装置41の各相に対応して移動機10の走行方向に沿って敷設された、移動機10への電源供給用の3本のトロリー線42R,42S,42Tを、それぞれ一定長Aの複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続した構成とする。そして、各トロリー線の電線部に変流器CTを設置すると共に、移動機10側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔Bをもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれ構成する。そして、各変流器CTの検出電流値に基づいて、移動機10の位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉に設置されている移動機(例えば、押出機,装炭車,ガイド車,消火車)の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原料石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉には、各種の移動機が設置されている。このコークス炉移動機としては、コークス炉に原料石炭を装入する装炭車、コークス炉から高温の赤熱状態のコークス(赤熱コークス)を押し出す押出機、赤熱コークスを消火設備に搬送する消火車、コークス炉から押し出された赤熱コークスを消火車に案内するガイド車などがある。
【0003】
コークス炉移動機が作業を行っている窯を特定する方法としては、コークス炉側の各窯の定位置中心に凸部を有するターゲットを配設し、作業機械に設けた照射装置からターゲットにスリット光を照射し、これをCCDカメラにより撮像することで、作業機械の停止位置と窯定位置との偏差を検出し、操業を行っている窯を特定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、コークス炉移動機の走行路全長にわたってデータ伝送を併せて行うことができる1本の撚り合わせ対型誘導無線線路を配設し、絶対位置検出方式による連続位置検出機構によりコークス炉移動機の位置を連続的に検出することで、操業を行っている窯を特定するものもある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、コークス炉の定位置にターゲットを配設し、同ターゲットにコークス炉作業機械の移動方向と直交する境界線の両側に白黒または明暗等のコントラストを設け、コークス炉移動機側には像検出器等および投光器を設け、像検出器等でターゲットの映像を電気信号に変換し、その信号によってコークス炉作業機械の位置とコークス炉作業定位置との相対関係を検出または計測することで、操業を行っている窯を特定するものもある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−51585号公報
【特許文献2】特公昭63−24633号公報
【特許文献3】特公昭55−44118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、位置検出機能を有した誘導無線装置による方法では、装置として車上局、地上局、誘導無線ケーブルの設置を行わなければならないのに加え、経年・温度などで変化する炉体に合わせ車上局アンテナと誘導無線ケーブルの離隔距離を適切に保つ必要がある。そのため、導入費、維持費が共に高価となるという問題がある。
また、CCDカメラによるスリット識別による方法も、CCDカメラを含めた車上局、コークス炉窯毎単位での識別用スリットの設置を行わなければならないのに加え、経年・温度などで変化する炉体に合わせCCDカメラと識別用スリットの離隔距離を適切に保つ必要があり、導入費、維持費が共に高価となる。
【0007】
導入費、維持費を安価にするために、移動機械遊輪軸よりチェーン・ベルトなどを通じパルス発生装置を回転させ、移動距離を演算する方法もあるが、この場合、遊輪のスリップやレール継ぎ目間での跳ね上げにより誤差が発生し、走行距離とともに検出位置の誤差が大きくなってしまう。近接スイッチ等で一定間隔毎に補正を行う方法もあるが、この場合には近接スイッチの調整が必要となり、やはり導入費、維持費共に高価となる。
そこで、本発明は、導入費および維持費を軽減してコークス炉移動機が作業を行っている窯を特定することができるコークス炉移動機の位置検出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るコークス炉移動機の位置検出装置は、コークス炉の操業に使用される移動機の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置であって、3相電源と、前記3相電源の各相に対応して前記移動機の走行方向に沿って敷設され、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した3本のトロリー線と、前記導体に流れる電流をそれぞれ検出する電流検出器と、前記移動機に連結され、前記トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれが構成される、各相に対応した3組の集電器と、前記電流検出器で検出された電流値に基づいて、前記移動機の位置を検出する位置検出手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように、移動機への電源供給用の3本のトロリー線を、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した構成とし、各トロリー線の導体部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器から構成する。したがって、安価な導入費で移動機の位置検出が可能となる。また導入後の定期的な調整が不要であるため、維持費を軽減することができる。さらに、トロリー線のトロリーの長さや、各相でのトロリー接続位置(電流検出位置)、2つの集電器間の距離(上記所定間隔)を調整することで、移動機の位置に応じて各電流検出器の検出電流値を変化させる構成とすることができる。したがって、各電流検出器の検出電流値を監視することで、容易且つ適切に操業を行っている窯を特定することができる。
【0010】
また、上記において、前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で一致させると共に、前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器が前記所定間隔の2倍の距離ずつずれて前記トロリー線に接触するように配置されており、前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴としている。
これにより、移動機が2つの集電器間の距離(上記所定間隔)ずつ移動する毎に、各電流検出器の検出電流値を変化させることができる。したがって、移動機の位置を、上記所定間隔単位で特定することができる。
【0011】
さらに、上記において、前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で前記所定間隔の2倍の距離ずつずらすと共に、前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器の前記トロリー線に接触する位置を一致させており、前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴としている。
これにより、移動機が2つの集電器間の距離(上記所定間隔)ずつ移動する毎に、各電流検出器の検出電流値を変化させることができる。したがって、移動機の位置を、上記所定間隔単位で特定することができる。
【0012】
また、上記において、前記所定間隔は、前記コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定することを特徴としている。
これにより、隣接する窯の中心間距離よりも短い単位で移動機の位置を特定することができるので、現在操業を行っている窯を確実に特定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動機への電源供給用の3本のトロリー線を、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した構成とし、各トロリー線の導体部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器から構成する。そして、各電流検出器の検出電流値に基づいて、移動機の位置を検出する。したがって、導入費や維持費を安価に抑えつつ、容易且つ適切に操業を行っている窯を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のコークス炉移動機の位置検出装置を適用するコークス炉の構成を示す図である。
【図2】移動機の駆動制御を示すブロック図である。
【図3】位置検出装置の具体的構成を示す図である(移動機械位置0m)。
【図4】給電トロリーの設置位置を示す図である。
【図5】変流器で検出される検出電流値を示す図である。
【図6】変流器で検出される検出電流値を示す図である。
【図7】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置1.5m)。
【図8】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置2m)。
【図9】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置3.5m)。
【図10】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置4m)。
【図11】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置5.5m)。
【図12】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置6m)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
図1は、本実施形態のコークス炉移動機の位置検出装置を適用するコークス炉の構成を示す図である。
図中、符号1はコークス炉である。このコークス炉1は、複数の炭化室2を直線状に併設した炉団を複数備えて構成されている。コークス炉1には、操業に使用する各種の移動機が設置されている。当該移動機としては、コークス炉1に原料石炭を装入する装炭車11、コークス炉1から赤熱コークスを押し出す押出機12、押出機12によってコークス炉1から押し出された赤熱コークスを消火車14に案内するガイド車13、赤熱コークスを消火設備3に搬送する消火車14がある。
【0016】
これらの各移動機11〜14は、1つのコークス炉1にそれぞれ複数台ずつ備えられている。また、コークス炉1の周辺には、各移動機専用のレールがコークス炉1に沿って直線状に敷設されている。各移動機11〜14は、図2に示すように、それぞれ専用の車上装置21〜24によって駆動されることで、各レール上を移動して所定位置に配置され、連携をなして一連の操業を行うようになっている。
【0017】
例えば、装炭車11を有人運転するシステムの場合、装炭車車上装置21は、地上側中央処理装置25から送信された作業窯番を受け取り、装炭車11の目標位置をオペレータが認識可能なように表示器に表示する。このとき、オペレータは、表示器に表示された目標位置(作業窯番)を目視で確認し、装炭車11が目標位置に移動するように駆動装置を手動で操作する。また、装炭車11を無人運転するシステムの場合、装炭車車上装置21は、誘導無線やCCDカメラなどを用いた方法により装炭車11の位置を検出し、検出した位置情報をもとに、装炭車11が、地上側中央処理装置25から送信された作業目標位置に移動するように、駆動装置を自動で操作する。なお、押出機車上装置22、ガイド車車上装置23及び消火車車上装置24も、装炭車車上装置21と同様の構成を有する。
【0018】
地上側中央処理装置25には、各位置検出装置31〜34でそれぞれ検出した各移動機11〜14の位置が入力される。これら位置検出装置31〜34は、後述するトロリー電流検出器により移動機11〜14の位置検出を行う装置であり、少なくとも移動機11〜14が作業を行っている窯を特定可能な位置検出精度を有する。そして、地上側中央処理装置25は、各位置検出装置31〜34から入力された各移動機11〜14の位置をもとに以下の合理性チェックを行う。
【0019】
例えば、各移動機11〜14を有人運転するシステムなど、各車上装置21〜24が移動機の位置検出機能を有していない場合には、位置検出装置31〜34から入力された移動機11〜14の位置をもとに、4台の移動機の相対的な位置を評価し合理性チェックを行ったり、移動機に送信している作業窯番を含めて、本来あるべき移動機械位置の合理性チェックを行う。このとき、オペレータが間違った窯に対して操業しようとしていると判断した場合には、異常を警報出力し、移動機に送信されるインターロック信号(炉蓋脱可、押出作業可など)を不成立とすることにより、作業を中断させる。
【0020】
また、各移動機11〜14を無人運転するシステムなど、各車上装置21〜24が移動機の位置検出機能を有している場合には、位置検出装置31〜34から入力された移動機11〜14の位置と、各車上装置21〜24の位置検出機能から入力された移動機11〜14の位置とをもとに合理性チェックを行う。そして、当該位置検出機能が誤った位置認識をしていると判断した場合には、異常を警報出力し、移動機に送信されるインターロック信号(炉蓋脱可、押出作業可など)を不成立とすることにより、作業を中断させる。以上により、重大な設備損傷を招く事故を防止することができる。
【0021】
各移動機11〜14の操業手順は以下のようになる。
先ず、装炭車11は、所定の炭化室2まで走行して炭化室2内に原料石炭を装入する。そして、炭化室2内で石炭の乾留が終了し完全にコークス化すると、押出機12は炭化室2の炉蓋を開け、赤熱コークスを炭化室2から押出し炉蓋を閉める。このとき、ガイド車13は、炭化室2を挟んで押出機12の反対側まで走行し、停止している。そして、このガイド車13は、炭化室2内の赤熱コークスが押出機12によって押し出される際、ガイド車13側の炭化室2の炉蓋を開け、押し出されてくる赤熱コークスを消火車14上に誘導する。消火車14は、ガイド車13の案内格子を通って押し出されてくる赤熱コークスを受けた後、消火設備3まで走行する。これにより、消火設備3内で赤熱コークスが散水消火される。
【0022】
次に、各位置検出装置31〜34の構成と、各位置検出装置31〜34による各移動機11〜14の位置検出方法について説明する。なお、各位置検出装置31〜34の構成はそれぞれ同一であるため、以下の説明では、各移動機11〜14を総称して移動機10とすると共に、各位置検出装置31〜34を総称して位置検出装置30として説明する。
図3は、位置検出装置30の具体的構成を示す図である。
この図3に示すように、位置検出装置30は、R相,S相,T相の3相の給電装置(3相電源)41と、R相,S相,T相に対応する3本のトロリー線42R,42S,42Tとを備える。
【0023】
ここで、トロリー線42R,42S,42Tは、各移動機11〜14への電源供給用の装置であり、図4に示すように、各移動機11〜14の近傍に、各移動機11〜14が走行するレールに沿って(図4の紙面垂直方向に)それぞれ敷設されている。なお、図4では、装炭車11用のトロリー線を42A、押出機12用のトロリー線を42B、ガイド車13用のトロリー線を42C、消火車14用のトロリー線を42Dで示している。
【0024】
トロリー線42R,42S,42Tの始端は、それぞれ給電装置41と電線(導体)43R1,43S1,43T1で接続されている。また、トロリー線42R,42S,42Tは、一定長A(例えば、6m)の複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続して構成されている。ここでは、それぞれ3本のトロリーバーを、R相では電線43R2,43R3、S相では電線43S2,43S3、T相では電線43T2,43T3で接続した構成を示している。また、トロリー線42R,42S,42Tにおける電線によるトロリーバーの接続部の位置(トロリー接続位置)は、移動機10の走行方向において各相で一致している。
【0025】
さらに、電線43R1〜43R3,43S1〜43S3,43T1〜43T3には、これらに流れる電流IR1〜IR3,IS1〜IS3,IT1〜IT3を検出するための電流検出器として、変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3が設けられている。これらの変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3で検出した電流値は、位置検出部44に入力される。
【0026】
また、位置検出装置30は、移動機10の走行方向で所定間隔B(例えば、1m)をもってトロリー線42Rと接触摺動する2つの集電器45R1,45R2と、上記所定間隔Bをもってトロリー線42Sと接触摺動する2つの集電器45S1,45S2と、上記所定間隔Bをもってトロリー線42Tと接触摺動する2つの集電器45T1,45T2とを備える。これら6つの集電器45R1,45R2,45S1,45S2,45T1,45T2からなる3組の集電器は、各相の集電器が移動機10の走行方向で所定間隔C(例えば、2m)ずつずれてトロリー線に接触するように、移動機10に連結される。
【0027】
ここで、同一相の集電器の設置間隔を示す所定間隔Bは、移動機10の位置検出を行う単位であり、炭化室2の中心間距離よりも短く設定することが好ましい。また、各相の集電器間のずれを示す所定間隔Cは、所定間隔Bの2倍の距離に設定する。さらに、トロリー長を示す一定長Aは、所定間隔Cの3倍(3相の場合)の距離、すなわち所定間隔Bの6倍(3相の場合)の距離に設定する。
このような構成により、R相では、移動機10の位置Pが0m≦P≦5mの範囲内にあり、集電器45R1及び45R2が共に変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触する場合には、変流器CTR1では電流値が検出されるが、変流器CTR2及びCTR3の検出電流は0になる。
【0028】
一方、移動機10の位置Pが5m<P<6mの範囲内にある場合には、集電器45R1は変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触するが、集電器45R2は変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触する。そのため、この場合には、変流器CTR1と変流器CTR2とで電流が検出され、変流器CTR3の検出電流は0になる。また、このときの変流器CTR2の検出電流は、変流器CTR2の検出電流の半分程度となる。
【0029】
さらに、移動機10の位置Pが6m≦P≦11mの範囲内にある場合には、集電器45R1及び45R2が共に変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触する。そのため、この場合には、変流器CTR1,CTR2の検出電流はほぼ等しく、変流器CTR3の検出電流は0になる。
このように、移動機10の位置Pに応じて変流器CTR1〜CTR3の検出電流値は変化する。また、各相で集電器を所定間隔Cずつずらして設置しているため、移動機10の走行方向で同一位置に設置された変流器(例えば、P=6m地点に設置されたCTR2,CTS2,CTT2)で検出電流値が変化するタイミングは異なる。
【0030】
すなわち、R相の変流器CTR2の検出電流値は、上述したように移動機10の位置Pが5mを越えた地点と6mに達した地点とで変化するが、S相の変流器CTS2の検出電流値は、移動機10の位置Pが3mを越えた地点と4mに達した地点とで変化することになる。
したがって、9個の変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3で検出した電流値をそれぞれ監視することで、移動機10の位置を1m単位で検出することができる。
【0031】
(動作)
次に、本実施形態における移動機10の位置検出方法について、具体的に説明する。
ここでは、図3に示すように、各トロリーバーの長さ(一定長A)を6m、移動機10の走行方向での各相のトロリー接続位置のずれを0m、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)を1m、各相の集電器の移動機10の走行方向でのずれ(所定間隔C)を2mとする。
移動機10の位置Pが0m≦P≦1mの位置にある場合、例えば図3に示すように、R相の集電器45R1及び45R2は、共に変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触している。また、S相の集電器45S1及び45S2は、共に変流器CTS1−CTS2間のトロリー線42Sに接触している。さらに、T相の集電器45T1及び45T2は、共に変流器CTT1−CTT2間のトロリー線42Tに接触している。そのため、この場合には、R相はCTR1、S相はCTS1、T相はCTT1のみ電流値を検出し、それ以外の変流器の検出電流値は0Aとなる。
【0032】
図5及び図6は、移動機10の位置Pと各変流器の検出電流値の関係を示す図である。図5において、(a)は変流器CTR1の検出電流値IR1、(b)は変流器CTS1の検出電流値IS1、(c)は変流器CTT1の検出電流値IT1、(d)は変流器CTR2の検出電流値IR2、(e)は変流器CTS2の検出電流値IS2である。また、図6において、(a)は変流器CTT2の検出電流値IT2、(b)は変流器CTR3の検出電流値IR3、(c)は変流器CTS3の検出電流値IS3、(d)は変流器CTT3の検出電流値IT3である。
【0033】
この図5及び図6に示すように、移動機10の位置Pが0m≦P≦1mの位置にある場合には、R相はCTR1、S相はCTS1、T相はCTT1のみ電流値(ここでは150A)を検出し、それ以外の変流器の検出電流値は0Aとなる。
この状態から移動機10が移動し、移動機10の位置Pが1m<P<2mとなると、例えば図7に示すように、T相において、集電器45T2が、変流器CTT1−CTT2間のトロリー線42Tに接触した状態から変流器CTT2−CTT3間のトロリー線42Tに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1、S相はCTS1のみ電流値150Aを検出するが、T相では、CTT1に加えてCTT2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45T1,45T2で分流するため、CTT2の電流値IT2はCTT1の電流値IT1の半分の75Aとなる。
【0034】
また、移動機10の位置Pが2m≦P≦3mでは、例えば図8に示すように、T相において、集電器45T1及び45T2が、共に変流器CTT2−CTT3間のトロリー線42Tに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1、S相はCTS1のみ電流値150Aを検出し、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1が150Aで等しくなる。
【0035】
また、移動機10の位置Pが3m<P<4mとなると、例えば図9に示すように、S相において、集電器45S2が、変流器CTS1−CTS2間のトロリー線42Sに接触した状態から変流器CTS2−CTS3間のトロリー線42Sに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1のみ電流値150Aを検出する。そして、S相では、CTS1に加えてCTS2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45S1,45S2で分流するため、CTS2の電流値IS2はCTS1の電流値IS1の半分の75Aとなる。また、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0036】
その後、移動機10の位置Pが4m≦P≦5mとなると、例えば図10に示すように、S相において、集電器45S1及び45S2が、共に変流器CTS2−CTS3間のトロリー線42Sに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1のみ電流値150Aを検出し、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1が150Aで等しくなる。また、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0037】
さらに、移動機10の位置Pが5m<P<6mとなると、例えば図11に示すように、R相において、集電器45R2が、変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触した状態から変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相では、CTR1に加えてCTR2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45R1,45R2で分流するため、CTR2の電流値IR2はCTR1の電流値IR1の半分の75Aとなる。また、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1は150Aで等しいままとなり、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0038】
その後、移動機10の位置Pが6m≦P≦7mとなると、例えば図12に示すように、R相において、集電器45R1及び45R2が、共に変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相では、CTR1とCTR2の電流値IR2,IR1が150Aで等しくなる。また、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1は150Aで等しいままとなり、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
以上のように、各変流器で検出される電流値は1スパン毎に一様であり、ここでは1m単位での移動機10の位置検出が可能となる。したがって、炭化室2の中心間距離が1m以上あるコークス炉1においては、移動機10の位置情報をもとに、操業を行っている窯を確実に特定することができる。
【0039】
また、一定長A(ここでは6m)のトロリーバーを延長する毎に変流器を各相に設置していけば、トロリー線42R,42S,42Tに制限なく1m単位での位置検出が可能となる。
なお、同一のトロリー線に複数台の移動機10が存在する場合には、1スパン毎の電流値の差分をとることにより、複数台の移動機10の位置検出が可能となる。
【0040】
(効果)
このように、上記実施形態では、移動機への電源供給用の3相分のトロリー線を、それぞれ一定長Aの複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続した構成とする。そして、各トロリー線の電線部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、それぞれトロリー線に所定間隔Bをもって接触摺動する2つの集電器から構成する。そして、各電流検出器の検出電流値に基づいて、移動機の位置を検出する。ここで、電流検出器としては、汎用的に用いられている変流器を用いる。したがって、誘導無線装置等で位置検出を行う場合と比較して、導入費を安価に抑えて、容易且つ適切に移動機の位置を特定することができる。
【0041】
さらに、移動機側に検出器、もしくは検出対象物を設置することなく移動機の位置を特定することができるので、経年、温度などで変化する炉体に合わせて装置を調整する必要がない。そのため、導入後の定期的な調整が不要となり、維持費を軽減することができる。
また、トロリー接続位置を各相で一致させると共に、各相の集電器を上記所定間隔Bの2倍の距離ずつずらして配置し、さらにトロリーバーの長さAを上記所定間隔Bの6倍の距離と等しくする。これにより、移動機が上記所定間隔Bずつ移動する毎に、各変流器の検出電流値を変化させることができる。したがって、各変流器の検出電流値を監視することで、移動機の位置を所定間隔B単位で特定することができる。
【0042】
さらにこのとき、所定間隔Bを、コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定すれば、移動機の位置を特定することで、現在操業を行っている窯を確実に特定することができる。
また、既に誘導無線やCCDカメラなどの位置検出機能を有し、移動機の無人運転を行っているコークス炉に、トロリー電流検出器による位置検出を併用することにより、上記位置検出機能との合理性チェックが可能となるため、信頼性の高い移動機の制御が可能となる。また、オペレータの目視のみにより操業を行っているコークス炉に適用した場合には、移動機械間インターロック信号に操業対象窯の合理性チェックを加えることができ、オペレータのミスによる設備焼損を防止することが可能となる。
【0043】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)を1mとし、1m単位で移動機10の位置検出を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば500mm単位で移動機10の位置検出を行うこともできる。この場合、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)をそれぞれ500mmとし、各相の集電器のずれ(所定間隔C)を1m、各トロリーバーの長さ(一定長A)を3mとすればよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、各相の集電器を所定間隔Cずつずらす場合について説明したが、所定間隔C=0mとし、各相の集電器の配置位置を移動機10の走行方向で一致させることもできる。この場合、例えば、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)をそれぞれ1m、各相のトロリー接続位置のずれを所定間隔Bの2倍の2m、各トロリーバーの長さ(一定長A)を6mとすれば、上記実施形態と同様に、1m単位での移動機10の位置検出が可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1…コークス炉、2…炭化室、3…消火設備、10…移動機、11…装炭車、12…押出機、13…ガイド車、14…消火車、21…装炭車車上装置、22…押出機車上装置、23…ガイド車車上装置、24…消火車車上装置、25…地上側中央処理装置、30…位置検出装置、31…装炭車位置検出装置、32…押出機位置検出装置、33…ガイド車位置検出装置、34…消火車位置検出装置、41…給電装置、42R,42S,42T…トロリー線、43R1〜43R3,43S1〜43S3,43T1〜43T3…電線、44…位置検出部、45R1,45R2,45S1,45S2,45T1,45T2…集電器、CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3…変流器
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉に設置されている移動機(例えば、押出機,装炭車,ガイド車,消火車)の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原料石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉には、各種の移動機が設置されている。このコークス炉移動機としては、コークス炉に原料石炭を装入する装炭車、コークス炉から高温の赤熱状態のコークス(赤熱コークス)を押し出す押出機、赤熱コークスを消火設備に搬送する消火車、コークス炉から押し出された赤熱コークスを消火車に案内するガイド車などがある。
【0003】
コークス炉移動機が作業を行っている窯を特定する方法としては、コークス炉側の各窯の定位置中心に凸部を有するターゲットを配設し、作業機械に設けた照射装置からターゲットにスリット光を照射し、これをCCDカメラにより撮像することで、作業機械の停止位置と窯定位置との偏差を検出し、操業を行っている窯を特定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、コークス炉移動機の走行路全長にわたってデータ伝送を併せて行うことができる1本の撚り合わせ対型誘導無線線路を配設し、絶対位置検出方式による連続位置検出機構によりコークス炉移動機の位置を連続的に検出することで、操業を行っている窯を特定するものもある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、コークス炉の定位置にターゲットを配設し、同ターゲットにコークス炉作業機械の移動方向と直交する境界線の両側に白黒または明暗等のコントラストを設け、コークス炉移動機側には像検出器等および投光器を設け、像検出器等でターゲットの映像を電気信号に変換し、その信号によってコークス炉作業機械の位置とコークス炉作業定位置との相対関係を検出または計測することで、操業を行っている窯を特定するものもある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−51585号公報
【特許文献2】特公昭63−24633号公報
【特許文献3】特公昭55−44118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、位置検出機能を有した誘導無線装置による方法では、装置として車上局、地上局、誘導無線ケーブルの設置を行わなければならないのに加え、経年・温度などで変化する炉体に合わせ車上局アンテナと誘導無線ケーブルの離隔距離を適切に保つ必要がある。そのため、導入費、維持費が共に高価となるという問題がある。
また、CCDカメラによるスリット識別による方法も、CCDカメラを含めた車上局、コークス炉窯毎単位での識別用スリットの設置を行わなければならないのに加え、経年・温度などで変化する炉体に合わせCCDカメラと識別用スリットの離隔距離を適切に保つ必要があり、導入費、維持費が共に高価となる。
【0007】
導入費、維持費を安価にするために、移動機械遊輪軸よりチェーン・ベルトなどを通じパルス発生装置を回転させ、移動距離を演算する方法もあるが、この場合、遊輪のスリップやレール継ぎ目間での跳ね上げにより誤差が発生し、走行距離とともに検出位置の誤差が大きくなってしまう。近接スイッチ等で一定間隔毎に補正を行う方法もあるが、この場合には近接スイッチの調整が必要となり、やはり導入費、維持費共に高価となる。
そこで、本発明は、導入費および維持費を軽減してコークス炉移動機が作業を行っている窯を特定することができるコークス炉移動機の位置検出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るコークス炉移動機の位置検出装置は、コークス炉の操業に使用される移動機の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置であって、3相電源と、前記3相電源の各相に対応して前記移動機の走行方向に沿って敷設され、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した3本のトロリー線と、前記導体に流れる電流をそれぞれ検出する電流検出器と、前記移動機に連結され、前記トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれが構成される、各相に対応した3組の集電器と、前記電流検出器で検出された電流値に基づいて、前記移動機の位置を検出する位置検出手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように、移動機への電源供給用の3本のトロリー線を、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した構成とし、各トロリー線の導体部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器から構成する。したがって、安価な導入費で移動機の位置検出が可能となる。また導入後の定期的な調整が不要であるため、維持費を軽減することができる。さらに、トロリー線のトロリーの長さや、各相でのトロリー接続位置(電流検出位置)、2つの集電器間の距離(上記所定間隔)を調整することで、移動機の位置に応じて各電流検出器の検出電流値を変化させる構成とすることができる。したがって、各電流検出器の検出電流値を監視することで、容易且つ適切に操業を行っている窯を特定することができる。
【0010】
また、上記において、前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で一致させると共に、前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器が前記所定間隔の2倍の距離ずつずれて前記トロリー線に接触するように配置されており、前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴としている。
これにより、移動機が2つの集電器間の距離(上記所定間隔)ずつ移動する毎に、各電流検出器の検出電流値を変化させることができる。したがって、移動機の位置を、上記所定間隔単位で特定することができる。
【0011】
さらに、上記において、前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で前記所定間隔の2倍の距離ずつずらすと共に、前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器の前記トロリー線に接触する位置を一致させており、前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴としている。
これにより、移動機が2つの集電器間の距離(上記所定間隔)ずつ移動する毎に、各電流検出器の検出電流値を変化させることができる。したがって、移動機の位置を、上記所定間隔単位で特定することができる。
【0012】
また、上記において、前記所定間隔は、前記コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定することを特徴としている。
これにより、隣接する窯の中心間距離よりも短い単位で移動機の位置を特定することができるので、現在操業を行っている窯を確実に特定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動機への電源供給用の3本のトロリー線を、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した構成とし、各トロリー線の導体部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器から構成する。そして、各電流検出器の検出電流値に基づいて、移動機の位置を検出する。したがって、導入費や維持費を安価に抑えつつ、容易且つ適切に操業を行っている窯を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のコークス炉移動機の位置検出装置を適用するコークス炉の構成を示す図である。
【図2】移動機の駆動制御を示すブロック図である。
【図3】位置検出装置の具体的構成を示す図である(移動機械位置0m)。
【図4】給電トロリーの設置位置を示す図である。
【図5】変流器で検出される検出電流値を示す図である。
【図6】変流器で検出される検出電流値を示す図である。
【図7】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置1.5m)。
【図8】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置2m)。
【図9】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置3.5m)。
【図10】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置4m)。
【図11】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置5.5m)。
【図12】本実施形態の動作を説明する図である(移動機械位置6m)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
図1は、本実施形態のコークス炉移動機の位置検出装置を適用するコークス炉の構成を示す図である。
図中、符号1はコークス炉である。このコークス炉1は、複数の炭化室2を直線状に併設した炉団を複数備えて構成されている。コークス炉1には、操業に使用する各種の移動機が設置されている。当該移動機としては、コークス炉1に原料石炭を装入する装炭車11、コークス炉1から赤熱コークスを押し出す押出機12、押出機12によってコークス炉1から押し出された赤熱コークスを消火車14に案内するガイド車13、赤熱コークスを消火設備3に搬送する消火車14がある。
【0016】
これらの各移動機11〜14は、1つのコークス炉1にそれぞれ複数台ずつ備えられている。また、コークス炉1の周辺には、各移動機専用のレールがコークス炉1に沿って直線状に敷設されている。各移動機11〜14は、図2に示すように、それぞれ専用の車上装置21〜24によって駆動されることで、各レール上を移動して所定位置に配置され、連携をなして一連の操業を行うようになっている。
【0017】
例えば、装炭車11を有人運転するシステムの場合、装炭車車上装置21は、地上側中央処理装置25から送信された作業窯番を受け取り、装炭車11の目標位置をオペレータが認識可能なように表示器に表示する。このとき、オペレータは、表示器に表示された目標位置(作業窯番)を目視で確認し、装炭車11が目標位置に移動するように駆動装置を手動で操作する。また、装炭車11を無人運転するシステムの場合、装炭車車上装置21は、誘導無線やCCDカメラなどを用いた方法により装炭車11の位置を検出し、検出した位置情報をもとに、装炭車11が、地上側中央処理装置25から送信された作業目標位置に移動するように、駆動装置を自動で操作する。なお、押出機車上装置22、ガイド車車上装置23及び消火車車上装置24も、装炭車車上装置21と同様の構成を有する。
【0018】
地上側中央処理装置25には、各位置検出装置31〜34でそれぞれ検出した各移動機11〜14の位置が入力される。これら位置検出装置31〜34は、後述するトロリー電流検出器により移動機11〜14の位置検出を行う装置であり、少なくとも移動機11〜14が作業を行っている窯を特定可能な位置検出精度を有する。そして、地上側中央処理装置25は、各位置検出装置31〜34から入力された各移動機11〜14の位置をもとに以下の合理性チェックを行う。
【0019】
例えば、各移動機11〜14を有人運転するシステムなど、各車上装置21〜24が移動機の位置検出機能を有していない場合には、位置検出装置31〜34から入力された移動機11〜14の位置をもとに、4台の移動機の相対的な位置を評価し合理性チェックを行ったり、移動機に送信している作業窯番を含めて、本来あるべき移動機械位置の合理性チェックを行う。このとき、オペレータが間違った窯に対して操業しようとしていると判断した場合には、異常を警報出力し、移動機に送信されるインターロック信号(炉蓋脱可、押出作業可など)を不成立とすることにより、作業を中断させる。
【0020】
また、各移動機11〜14を無人運転するシステムなど、各車上装置21〜24が移動機の位置検出機能を有している場合には、位置検出装置31〜34から入力された移動機11〜14の位置と、各車上装置21〜24の位置検出機能から入力された移動機11〜14の位置とをもとに合理性チェックを行う。そして、当該位置検出機能が誤った位置認識をしていると判断した場合には、異常を警報出力し、移動機に送信されるインターロック信号(炉蓋脱可、押出作業可など)を不成立とすることにより、作業を中断させる。以上により、重大な設備損傷を招く事故を防止することができる。
【0021】
各移動機11〜14の操業手順は以下のようになる。
先ず、装炭車11は、所定の炭化室2まで走行して炭化室2内に原料石炭を装入する。そして、炭化室2内で石炭の乾留が終了し完全にコークス化すると、押出機12は炭化室2の炉蓋を開け、赤熱コークスを炭化室2から押出し炉蓋を閉める。このとき、ガイド車13は、炭化室2を挟んで押出機12の反対側まで走行し、停止している。そして、このガイド車13は、炭化室2内の赤熱コークスが押出機12によって押し出される際、ガイド車13側の炭化室2の炉蓋を開け、押し出されてくる赤熱コークスを消火車14上に誘導する。消火車14は、ガイド車13の案内格子を通って押し出されてくる赤熱コークスを受けた後、消火設備3まで走行する。これにより、消火設備3内で赤熱コークスが散水消火される。
【0022】
次に、各位置検出装置31〜34の構成と、各位置検出装置31〜34による各移動機11〜14の位置検出方法について説明する。なお、各位置検出装置31〜34の構成はそれぞれ同一であるため、以下の説明では、各移動機11〜14を総称して移動機10とすると共に、各位置検出装置31〜34を総称して位置検出装置30として説明する。
図3は、位置検出装置30の具体的構成を示す図である。
この図3に示すように、位置検出装置30は、R相,S相,T相の3相の給電装置(3相電源)41と、R相,S相,T相に対応する3本のトロリー線42R,42S,42Tとを備える。
【0023】
ここで、トロリー線42R,42S,42Tは、各移動機11〜14への電源供給用の装置であり、図4に示すように、各移動機11〜14の近傍に、各移動機11〜14が走行するレールに沿って(図4の紙面垂直方向に)それぞれ敷設されている。なお、図4では、装炭車11用のトロリー線を42A、押出機12用のトロリー線を42B、ガイド車13用のトロリー線を42C、消火車14用のトロリー線を42Dで示している。
【0024】
トロリー線42R,42S,42Tの始端は、それぞれ給電装置41と電線(導体)43R1,43S1,43T1で接続されている。また、トロリー線42R,42S,42Tは、一定長A(例えば、6m)の複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続して構成されている。ここでは、それぞれ3本のトロリーバーを、R相では電線43R2,43R3、S相では電線43S2,43S3、T相では電線43T2,43T3で接続した構成を示している。また、トロリー線42R,42S,42Tにおける電線によるトロリーバーの接続部の位置(トロリー接続位置)は、移動機10の走行方向において各相で一致している。
【0025】
さらに、電線43R1〜43R3,43S1〜43S3,43T1〜43T3には、これらに流れる電流IR1〜IR3,IS1〜IS3,IT1〜IT3を検出するための電流検出器として、変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3が設けられている。これらの変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3で検出した電流値は、位置検出部44に入力される。
【0026】
また、位置検出装置30は、移動機10の走行方向で所定間隔B(例えば、1m)をもってトロリー線42Rと接触摺動する2つの集電器45R1,45R2と、上記所定間隔Bをもってトロリー線42Sと接触摺動する2つの集電器45S1,45S2と、上記所定間隔Bをもってトロリー線42Tと接触摺動する2つの集電器45T1,45T2とを備える。これら6つの集電器45R1,45R2,45S1,45S2,45T1,45T2からなる3組の集電器は、各相の集電器が移動機10の走行方向で所定間隔C(例えば、2m)ずつずれてトロリー線に接触するように、移動機10に連結される。
【0027】
ここで、同一相の集電器の設置間隔を示す所定間隔Bは、移動機10の位置検出を行う単位であり、炭化室2の中心間距離よりも短く設定することが好ましい。また、各相の集電器間のずれを示す所定間隔Cは、所定間隔Bの2倍の距離に設定する。さらに、トロリー長を示す一定長Aは、所定間隔Cの3倍(3相の場合)の距離、すなわち所定間隔Bの6倍(3相の場合)の距離に設定する。
このような構成により、R相では、移動機10の位置Pが0m≦P≦5mの範囲内にあり、集電器45R1及び45R2が共に変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触する場合には、変流器CTR1では電流値が検出されるが、変流器CTR2及びCTR3の検出電流は0になる。
【0028】
一方、移動機10の位置Pが5m<P<6mの範囲内にある場合には、集電器45R1は変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触するが、集電器45R2は変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触する。そのため、この場合には、変流器CTR1と変流器CTR2とで電流が検出され、変流器CTR3の検出電流は0になる。また、このときの変流器CTR2の検出電流は、変流器CTR2の検出電流の半分程度となる。
【0029】
さらに、移動機10の位置Pが6m≦P≦11mの範囲内にある場合には、集電器45R1及び45R2が共に変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触する。そのため、この場合には、変流器CTR1,CTR2の検出電流はほぼ等しく、変流器CTR3の検出電流は0になる。
このように、移動機10の位置Pに応じて変流器CTR1〜CTR3の検出電流値は変化する。また、各相で集電器を所定間隔Cずつずらして設置しているため、移動機10の走行方向で同一位置に設置された変流器(例えば、P=6m地点に設置されたCTR2,CTS2,CTT2)で検出電流値が変化するタイミングは異なる。
【0030】
すなわち、R相の変流器CTR2の検出電流値は、上述したように移動機10の位置Pが5mを越えた地点と6mに達した地点とで変化するが、S相の変流器CTS2の検出電流値は、移動機10の位置Pが3mを越えた地点と4mに達した地点とで変化することになる。
したがって、9個の変流器CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3で検出した電流値をそれぞれ監視することで、移動機10の位置を1m単位で検出することができる。
【0031】
(動作)
次に、本実施形態における移動機10の位置検出方法について、具体的に説明する。
ここでは、図3に示すように、各トロリーバーの長さ(一定長A)を6m、移動機10の走行方向での各相のトロリー接続位置のずれを0m、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)を1m、各相の集電器の移動機10の走行方向でのずれ(所定間隔C)を2mとする。
移動機10の位置Pが0m≦P≦1mの位置にある場合、例えば図3に示すように、R相の集電器45R1及び45R2は、共に変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触している。また、S相の集電器45S1及び45S2は、共に変流器CTS1−CTS2間のトロリー線42Sに接触している。さらに、T相の集電器45T1及び45T2は、共に変流器CTT1−CTT2間のトロリー線42Tに接触している。そのため、この場合には、R相はCTR1、S相はCTS1、T相はCTT1のみ電流値を検出し、それ以外の変流器の検出電流値は0Aとなる。
【0032】
図5及び図6は、移動機10の位置Pと各変流器の検出電流値の関係を示す図である。図5において、(a)は変流器CTR1の検出電流値IR1、(b)は変流器CTS1の検出電流値IS1、(c)は変流器CTT1の検出電流値IT1、(d)は変流器CTR2の検出電流値IR2、(e)は変流器CTS2の検出電流値IS2である。また、図6において、(a)は変流器CTT2の検出電流値IT2、(b)は変流器CTR3の検出電流値IR3、(c)は変流器CTS3の検出電流値IS3、(d)は変流器CTT3の検出電流値IT3である。
【0033】
この図5及び図6に示すように、移動機10の位置Pが0m≦P≦1mの位置にある場合には、R相はCTR1、S相はCTS1、T相はCTT1のみ電流値(ここでは150A)を検出し、それ以外の変流器の検出電流値は0Aとなる。
この状態から移動機10が移動し、移動機10の位置Pが1m<P<2mとなると、例えば図7に示すように、T相において、集電器45T2が、変流器CTT1−CTT2間のトロリー線42Tに接触した状態から変流器CTT2−CTT3間のトロリー線42Tに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1、S相はCTS1のみ電流値150Aを検出するが、T相では、CTT1に加えてCTT2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45T1,45T2で分流するため、CTT2の電流値IT2はCTT1の電流値IT1の半分の75Aとなる。
【0034】
また、移動機10の位置Pが2m≦P≦3mでは、例えば図8に示すように、T相において、集電器45T1及び45T2が、共に変流器CTT2−CTT3間のトロリー線42Tに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1、S相はCTS1のみ電流値150Aを検出し、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1が150Aで等しくなる。
【0035】
また、移動機10の位置Pが3m<P<4mとなると、例えば図9に示すように、S相において、集電器45S2が、変流器CTS1−CTS2間のトロリー線42Sに接触した状態から変流器CTS2−CTS3間のトロリー線42Sに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1のみ電流値150Aを検出する。そして、S相では、CTS1に加えてCTS2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45S1,45S2で分流するため、CTS2の電流値IS2はCTS1の電流値IS1の半分の75Aとなる。また、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0036】
その後、移動機10の位置Pが4m≦P≦5mとなると、例えば図10に示すように、S相において、集電器45S1及び45S2が、共に変流器CTS2−CTS3間のトロリー線42Sに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相はCTR1のみ電流値150Aを検出し、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1が150Aで等しくなる。また、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0037】
さらに、移動機10の位置Pが5m<P<6mとなると、例えば図11に示すように、R相において、集電器45R2が、変流器CTR1−CTR2間のトロリー線42Rに接触した状態から変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相では、CTR1に加えてCTR2でも電流値を検出することになる。このとき2台の集電器45R1,45R2で分流するため、CTR2の電流値IR2はCTR1の電流値IR1の半分の75Aとなる。また、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1は150Aで等しいままとなり、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
【0038】
その後、移動機10の位置Pが6m≦P≦7mとなると、例えば図12に示すように、R相において、集電器45R1及び45R2が、共に変流器CTR2−CTR3間のトロリー線42Rに接触した状態となる。そのため、この場合、図5及び図6に示すように、R相では、CTR1とCTR2の電流値IR2,IR1が150Aで等しくなる。また、S相では、CTS1とCTS2の電流値IS2,IS1は150Aで等しいままとなり、T相では、CTT1とCTT2の電流値IT2,IT1は150Aで等しいままとなる。
以上のように、各変流器で検出される電流値は1スパン毎に一様であり、ここでは1m単位での移動機10の位置検出が可能となる。したがって、炭化室2の中心間距離が1m以上あるコークス炉1においては、移動機10の位置情報をもとに、操業を行っている窯を確実に特定することができる。
【0039】
また、一定長A(ここでは6m)のトロリーバーを延長する毎に変流器を各相に設置していけば、トロリー線42R,42S,42Tに制限なく1m単位での位置検出が可能となる。
なお、同一のトロリー線に複数台の移動機10が存在する場合には、1スパン毎の電流値の差分をとることにより、複数台の移動機10の位置検出が可能となる。
【0040】
(効果)
このように、上記実施形態では、移動機への電源供給用の3相分のトロリー線を、それぞれ一定長Aの複数のトロリーバーを電線(導体)により1本に接続した構成とする。そして、各トロリー線の電線部に電流検出器を設置すると共に、移動機側に連結する3組の集電器を、それぞれトロリー線に所定間隔Bをもって接触摺動する2つの集電器から構成する。そして、各電流検出器の検出電流値に基づいて、移動機の位置を検出する。ここで、電流検出器としては、汎用的に用いられている変流器を用いる。したがって、誘導無線装置等で位置検出を行う場合と比較して、導入費を安価に抑えて、容易且つ適切に移動機の位置を特定することができる。
【0041】
さらに、移動機側に検出器、もしくは検出対象物を設置することなく移動機の位置を特定することができるので、経年、温度などで変化する炉体に合わせて装置を調整する必要がない。そのため、導入後の定期的な調整が不要となり、維持費を軽減することができる。
また、トロリー接続位置を各相で一致させると共に、各相の集電器を上記所定間隔Bの2倍の距離ずつずらして配置し、さらにトロリーバーの長さAを上記所定間隔Bの6倍の距離と等しくする。これにより、移動機が上記所定間隔Bずつ移動する毎に、各変流器の検出電流値を変化させることができる。したがって、各変流器の検出電流値を監視することで、移動機の位置を所定間隔B単位で特定することができる。
【0042】
さらにこのとき、所定間隔Bを、コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定すれば、移動機の位置を特定することで、現在操業を行っている窯を確実に特定することができる。
また、既に誘導無線やCCDカメラなどの位置検出機能を有し、移動機の無人運転を行っているコークス炉に、トロリー電流検出器による位置検出を併用することにより、上記位置検出機能との合理性チェックが可能となるため、信頼性の高い移動機の制御が可能となる。また、オペレータの目視のみにより操業を行っているコークス炉に適用した場合には、移動機械間インターロック信号に操業対象窯の合理性チェックを加えることができ、オペレータのミスによる設備焼損を防止することが可能となる。
【0043】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)を1mとし、1m単位で移動機10の位置検出を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば500mm単位で移動機10の位置検出を行うこともできる。この場合、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)をそれぞれ500mmとし、各相の集電器のずれ(所定間隔C)を1m、各トロリーバーの長さ(一定長A)を3mとすればよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、各相の集電器を所定間隔Cずつずらす場合について説明したが、所定間隔C=0mとし、各相の集電器の配置位置を移動機10の走行方向で一致させることもできる。この場合、例えば、同一相の集電器の設置間隔(所定間隔B)をそれぞれ1m、各相のトロリー接続位置のずれを所定間隔Bの2倍の2m、各トロリーバーの長さ(一定長A)を6mとすれば、上記実施形態と同様に、1m単位での移動機10の位置検出が可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1…コークス炉、2…炭化室、3…消火設備、10…移動機、11…装炭車、12…押出機、13…ガイド車、14…消火車、21…装炭車車上装置、22…押出機車上装置、23…ガイド車車上装置、24…消火車車上装置、25…地上側中央処理装置、30…位置検出装置、31…装炭車位置検出装置、32…押出機位置検出装置、33…ガイド車位置検出装置、34…消火車位置検出装置、41…給電装置、42R,42S,42T…トロリー線、43R1〜43R3,43S1〜43S3,43T1〜43T3…電線、44…位置検出部、45R1,45R2,45S1,45S2,45T1,45T2…集電器、CTR1〜CTR3,CTS1〜CTS3,CTT1〜CTT3…変流器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の操業に使用される移動機の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置であって、
3相電源と、
前記3相電源の各相に対応して前記移動機の走行方向に沿って敷設され、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した3本のトロリー線と、
前記導体に流れる電流をそれぞれ検出する電流検出器と、
前記移動機に連結され、前記トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれが構成される、各相に対応した3組の集電器と、
前記電流検出器で検出された電流値に基づいて、前記移動機の位置を検出する位置検出手段と、を備えることを特徴とするコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項2】
前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で一致させると共に、
前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器が前記所定間隔の2倍の距離ずつずれて前記トロリー線に接触するように配置されており、
前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項3】
前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で前記所定間隔の2倍の距離ずつずらすと共に、
前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器の前記トロリー線に接触する位置を一致させており、
前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項4】
前記所定間隔は、前記コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項1】
コークス炉の操業に使用される移動機の位置を検出するコークス炉移動機の位置検出装置であって、
3相電源と、
前記3相電源の各相に対応して前記移動機の走行方向に沿って敷設され、それぞれ一定長の複数のトロリーを導体により1本に接続した3本のトロリー線と、
前記導体に流れる電流をそれぞれ検出する電流検出器と、
前記移動機に連結され、前記トロリー線に所定間隔をもって接触摺動する2つの集電器からそれぞれが構成される、各相に対応した3組の集電器と、
前記電流検出器で検出された電流値に基づいて、前記移動機の位置を検出する位置検出手段と、を備えることを特徴とするコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項2】
前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で一致させると共に、
前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器が前記所定間隔の2倍の距離ずつずれて前記トロリー線に接触するように配置されており、
前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項3】
前記移動機の走行方向で、前記導体による前記トロリーの接続部の位置を各相で前記所定間隔の2倍の距離ずつずらすと共に、
前記移動機の走行方向で、前記各相の集電器の前記トロリー線に接触する位置を一致させており、
前記一定長は、前記所定間隔の6倍の距離と等しいことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【請求項4】
前記所定間隔は、前記コークス炉の炭化室中心間距離よりも短く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコークス炉移動機の位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−112749(P2013−112749A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260549(P2011−260549)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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