説明

コージェネレーション導入シミュレーション方法及びシステム、並びにコージェネレーション機器販売促進方法及びシステム

この発明の方法及びシステムは、小規模の事業所や一般家庭におけるコージェネレーション導入のコスト予測のための好適なものである。電力計1により計測された各施設の電力消費量のデータと、各ガス量計2により計測された各施設のガス消費量のデータとを、各施設の送信器3が無線送信して受信器4が受信する。受信されたデータから、各施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを見積もり手段5が見積もりプログラムにより行う。見積もり手段5による見積もり結果から、年間コスト見積もり手段が年間を通したコスト見積もりを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コージェネレーションの導入に際してのコスト見積もりの技術に関するものであり、また、コージェネレーションに用いられる機器を販売するに際しての販売促進の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションとは、一つのエネルギー源から、電気と熱のような複数のエネルギーを取り出して利用するシステムのことである。地球温暖化防止などの環境問題に対する関心の高まりや、省エネによる効率改善などの要請のもと、社会的に非常に注目を集めている分野の一つである。コージェネレーションの典型的な構成は、発電機が発生する熱を暖房用等のために利用するものである。
【0003】
コージェネレーションの典型的なものの一つは、発電機が発する熱を利用して給湯や暖房を行う電熱併給である。電力を消費する場所で発電を行うことから、送電の際のロスもほとんどなく、効率良さの点でも注目されている。
このようなコージェネレーションは、これまで中小規模のビルや工場に多く導入されてきたが、1995年の電気事業法改正で1000kW未満の小規模設備に専門整備員の配置が不要になり、さらに小規模の事業所や一般家庭への普及が期待されている。
【特許文献1】特開2002−7523号公報
【発明の開示】
【0004】
コージェネレーションの導入における課題の一つは、そのコスト見積もりにある。コージェネレーションがいくらエネルギー効率が良く地球環境にとって好適だといっても、保有者が支払う全体のコストが、現状のものに比べて高くなってしまっては、導入を躊躇する傾向が強くなることが否めない。電気や熱の利用状況、コージェネレーション機器の購入価格によっては、コージェネレーションの導入前に比べて全体のコストが安くなる場合もあるであろうし、高くなってしまう場合もあるであろう。
本願の発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、小規模の事業所や一般家庭におけるコージェネレーション導入のコスト予測のための好適なシミュレーション方法及びシミュレーションシステムを提供し、もって小規模の事業所や一般家庭へのコージェネレーション機器の販売促進に寄与するという技術的意義を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
[図1]この発明の実施形態に係るコージェネレーション導入シミュレーションシステムの概略構成を示した図である。
[図2]電力計測ユニット10の概略構成を示した図である。
[図3]ガス流量積算送信ユニット30の概略構成を示した図である。
[図4]データ変換プログラムにおけるプロトコルの一例について、概念的に示したものである。
[図5]受信ユニット40の概略構成を示した図である。
[図6]施設情報テーブルの一例を示した図である。
[図7]データテーブルの一例を示した図である。
[図8]施設電力テーブルの一例を示した概略図である。
[図9]施設ガス量テーブルの一例を示した概略図である。
[図10]見積もりプログラムの概略を示したフローチャートである。
[図11]コージェネレーション機器販売促進システムの概略構成を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、この発明の実施形態に係るコージェネレーション導入シミュレーションシステムの概略構成を示した図である。図1に示すシステムは、複数の施設におけるコージェネレーションの導入後のコスト見積もりを行うシステムである。このシステムは、各施設における電力消費量を計測するよう各施設に設けられた電力計1と、各施設におけるガス消費量を計測するよう各施設に設けられたガス量計2と、電力計1で計測された電力消費量のデータ及びガス量計2で計測されたガス消費量のデータを無線送信するよう各施設に設けられた送信器3と、送信器3から送信されたデータを受信する受信器4と、受信器4で受信されたデータ量から各施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う見積もり手段5とを備えている。
【0007】
電力計1は、電力計測ユニット10を構成する部品として設けられている。図2は、電力計測ユニット10の概略構成を示した図である。電力計測ユニット10は、施設の配電盤に接続される電圧端子11と、同じく配電盤に接続される電流端子12と、電圧端子11からの電圧入力及び電流端子12から電流入力をもとにして電力を計測する電力計1と、電力計1からの出力を積算して出力する電力積算器13等から構成されている。
電力計1としては、エムシステム技研製KUWTのような電力量をパルス出力するものが使用される。本実施形態でのパルス出力は、1Wh/1パルスの設定となっている。本実施形態では、単相2線式の電力計1を1台用いているが、単相3線式のR相電力とT相電力を計測するため、単相2線式電力計を2台用いる場合もある。
【0008】
電力積算器13は、電力計1からの出力パルスを常時積算する累積電力量カウンタと1分単位で積算するユニットカウンタより構成されている。ユニットカウンタの積算値を用いて、これを60倍することにより、1時間に換算した瞬時電力も計算する。
また、電力計測ユニット10は、ローカル送信器14を備えており、上記累積電力量カウンタ値及び瞬時電力を外部に発信できる機能を有している。ローカル送信器14には、特定小電力無線やPHS等が使用できる。
この他、電力計測ユニット10は、電源回路15を備えている。
これら各機器はユニットボックス内に収められており、ユニットボックス上には、動作状態を示すインジケーターが設けられている。
【0009】
一方、送信器3は、ガス流量積算送信ユニット30を構成する部品として設けられている。ガス流量積算送信ユニット30の概略構成について、図3を使用して説明する。図3は、ガス流量積算送信ユニット30の概略構成を示した図である。
ガス流量積算送信ユニット30は、ガス量計2と信号ケーブル31でつながっている。ガス量計2は、シナガワ製DS−6Aのようなガス流量をパルス出力することができるものが使用される。本実施形態でのパルス出力は、0.1リットル/1パルスの設定となっている。
【0010】
ガス流量積算送信ユニット30は、信号ケーブル31が接続された入力端子32と、入力端子32を介してガス量計2からの信号が入力されるガス積算器33等から構成されている。
ガス積算器33は、ガス量計2からの出力パルスを例えば10分毎に積算する積算カウンタを有している。また、ガス流量積算送信ユニット30は、電力計測ユニット10のローカル送信器14からの無線送信データを受信するローカル受信器34を備えている。ローカル受信器34も、ローカル送信器14と同様の特定小電力無線やPHS等が使用できる。
【0011】
ガス流量積算送信ユニット30は、送信用プロセッサ35を備えている。ローカル受信器34は、信号ケーブル36によって送信用プロセッサ35に接続されており、ローカル受信器34が受信した累積電力量カウンタ値及び瞬時電力データは、送信用プロセッサ35に入力されるようになっている。
送信用プロセッサ35は、CPUやメモリ(ROM及びRAM)等を備えた一種のデータ端末である。累積電力量カウンタ値、瞬時電力、ガス積算値のデータは、メモリ(RAM)の所定の領域に記憶されるようになっている。また、送信用プロセッサ35のメモリ(ROM)には、累積電力量カウンタ値、瞬時電力、ガス積算値のデータを所定のプロトコルに変換するためのプログラム(以下、データ変換プログラム)がインストールされている。
【0012】
図4は、データ変換プログラムにおけるプロトコルの一例について、概念的に示したものである。後述するように、本実施形態ではテレメタリング周期は3時間であり、3時間に一回送信が行われる。従って、一回に送信される累積電力量カウンタ値、瞬時電力及びガス積算値は、3時間のデータである。
図4に示す例では、最初に、IPヘッダがある。IPヘッダは、電力量やガス量を計測した施設を特定するための符号である。IPヘッダの次には、データ日時IDが続く。データ日時IDは、いつの時のデータであるか示すためのもので、例えば、2003年8月1日15時のような日時を符号化したものである。データ日時IDの次に、累積電力量カウンタ値及び瞬時電力のデータであることを示すデータヘッダ(電力データヘッダ)が続き、その次に累積電力量カウンタ値、瞬時電力のデータ本体の符号(電力データ)が続く。その次に、ガス量のデータであることを示すデータヘッダ(ガスデータヘッダ)が続き、その後、ガス積算値のデータ本体(ガス量データ)が続く。そして、データ日時ID、電力データヘッダ、電力データ、ガスデータヘッダ、ガス量データが、さらに必要な回数(例えば2回)繰り返される。このようなプロトコルで変換されたデータは、メモリの所定の領域に記憶される。
【0013】
送信器(以下、ローカル送信器14と区別するためにグローバル送信器と呼ぶ)3は、信号ケーブル37で送信用プロセッサ35に接続されている。上記のようなプロトコルで変換されてメモリに記憶された累積電力量カウンタ、瞬時電力、ガス積算値のデータは、信号ケーブル37を介してグローバル送信器3に送られ、グローバル送信器3から無線送信されるようになっている。
本実施形態では、グローバル送信器3は、テレメタリング対応のPHS端末が使用されており、PHSの外線通話により送信を行うようになっている。テレメタリング対応のPHS端末及び上記送信用プロセッサ35に相当する製品が各社から市販されており(例えば松下電工(株)製のWP10 PHS DATA UNIT)、任意のものが使用できる。
【0014】
一方、受信器(以下、ローカル受信器34と区別するためにグローバル受信器と呼ぶ)4は、受信ユニット40を構成する部品の一つとして設けられている。図5は、受信ユニット40の概略構成を示した図である。受信ユニット40は、グローバル受信器4と、グローバル受信器4が受信した信号の変換の処理等を行う受信用プロセッサ41等から構成されている。
グローバル受信器4は、基本的にグローバル送信器3と同じ構成でよく、テレメタリング対応のPHS端末が使用できる。受信用プロセッサ41は、CPUやメモリを備えた一種の情報端末である。前述した松下電工(株)製のWP10 PHS DATA UNIT等を、同様にグローバル受信器4と受信用プロセッサ41に相当するものとして採用することができる。
【0015】
受信用プロセッサ41のメモリ(ROM)には、設定されたテレメタリング周期に従ってテレメタリング指令を行うテレメタリングプログラム(以下、TMP)がインストールされている。受信用プロセッサ41のメモリには、各施設のグローバル送信器3の外線番号が記憶されている。TMPは、テレメタリング周期毎にメモリに記憶された外線番号を次々に呼び出し、グローバル送信器3を介して送信用プロセッサ35のメモリに記憶されたデータ(累積電力量カウンタ、瞬時電力、ガス積算値のデータ)を送信させるようになっている。
送信させたデータは、受信用プロセッサ41のメモリ(RAM)に一時的に記憶される。メモリ(ROM)には、前述したプロトコルに従いデジタル信号を復号する復号化プログラムや、復号したデータを所定の形式のファイルに変換してデータサーバに送るサーバ送信プログラム等がインストールされている。
受信ユニット40は、この他、データサーバにデータを送るためのインターフェース42や、電源回路43等を備えている。インターフェースは、例えばRS232Cインターフェースであり、RS232Cケーブルによってデータサーバにつながっている。10/100BASE−TのようなLANインターフェースが使用される場合もある。
【0016】
次に、見積もり手段5について説明する。
見積もり手段5は、図1に示すように、グローバル受信器4で受信された信号が入力されるデータサーバ50と、データサーバ50に対してLAN500を介してつながっている管理用クライアント501等から主に構成されている。
データサーバ50は、バスラインに沿ってCPU、メモリ、ハードディスク等が設けられたコンピュータである。ハードディスクには、OSの他、データベース管理ソフトウェア(DBMS)がインストールされている。DBMSは、マイクロソフト社のAccess(同社の登録商標)やオラクル社のOracle(同社の登録商標)のようないわゆるリレーショナルなデータベース管理ソフトウェアである。さらに、ハードディスクには、グローバル受信器4から出力されたデータを元にして、各施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う見積もりプログラムがインストールされている。
【0017】
ハードディスクには、DBMSによって管理されるオブジェクトファイル(OBF)が多数記録されている。OBFの一つは、本システムによってコージェネレーション導入後のシミュレーションが行われる各施設の情報を記録したテーブル(以下、施設情報テーブル)である。図6は、施設情報テーブルの一例を示した図である。図6に示すように、施設情報テーブルは、
IPヘッダ
施設ID
施設名称
施設住所
施設電話番号
電力テーブル名称
ガス量テーブル名称
見積もりテーブル名称
年間見積もりテーブル名称
等のフィールドからなるレコードを多数記録したものとなっている。施設IDは、施設を識別するために付与するIDで、通常は英文字及び/又は数字から成る。施設名称は、施設が会社所有のものであれば「○○株式会社××工場」とか、「有限会社△△本社」のような名称になる。また、個人の自宅の場合には、「山田太郎宅」のような名称になる。尚、IPヘッダは、図4に示すプロトコルにおけるものと同じである。IPヘッダと施設IDは、一対一で対応する。
【0018】
一方、受信用プロセッサ41にインストールされている復号プログラム及びサーバ送信プログラムは、TMPを実行した後、自動実行されるようになっている。復号プログラム及びサーバ送信プログラムは、累積電力量カウンタ、瞬時電力、ガス積算値のデータ(以下、受信データ)を例えばCSV形式のファイルとし、データサーバ50のハードディスクの所定のパスに記憶するよう構成されている。
そして、データサーバ50のハードディスクには、記憶された受信データを変換してテーブルにそのまま登録するプログラム(以下、受信データ登録PGM)が作成されており、ハードディスクにインストールされている。図7は、受信データ登録PGMによって作成・記録される各施設の累積電力量カウンタ値、瞬時電力、ガス積算値のデータのテーブル(以下、データテーブル)の一例を示した図である。
【0019】
図7に示すように、データテーブルは、施設ID、データ日時ID、累積電力量カウンタ値、瞬時電力、ガス積算値のフィールドからなるレコードがサンプリング回数分(例えば三つ)登録されたものとなっている。受信データ登録PGMは、IPヘッダを検索キーにして施設情報テーブルを検索し、ここから施設IDを読みとってデータテーブルに結合させるようになっている。受信データ登録PGMは、作成したデータテーブルをハードディスク内の所定のパスに記憶する。
一方、データテーブルのデータから、各施設における累積電力量カウンタ値及び瞬時電力のデータをまとめたテーブル(以下、施設電力テーブル)と、各施設におけるガス積算値のデータをまとめたテーブル(以下、施設ガス量テーブル)が作成されており、データサーバ50のハードディスクに記憶されている。また、データテーブルのデータを施設電力テーブル及び施設ガス量テーブルに追加された新しいレコードとして結合させるプログラム(以下、データ追加PGM)がハードディスクにインストールされている。
【0020】
図8は施設電力テーブルの一例を示した概略図、図9は施設ガス量テーブルの一例を示した概略図である。データ追加PGMは、受信データPGMが実行された後、自動実行されるようになっている。
図8に示すように、施設電力テーブルは、データ日時IDのフィールド、累積電力量カウンタ値及び瞬時電力のフィールドから成るレコードを多数登録したテーブルである。施設電力テーブルは、施設毎に作成されており、施設IDに対応したテーブル名称が与えられている。データ追加PGMは、施設IDを検索キーにして施設情報テーブルを検索して電力テーブル名称を取得し、その施設電力テーブルにデータを追加するようになっている。図7に示すようにサンプリング回数分(例えば三つ)のレコードが一回に施設電力テーブルに追加される。
【0021】
また、図9に示すように、施設ガス量テーブルは、データ日時IDのフィールド及びガス積算値のフィールドから成るレコードを多数登録したテーブルである。施設ガス量テーブルも、施設毎に作成されており、施設IDに対応したテーブル名称が与えられている。同様に、施設IDに従ってガス量テーブル名称を取得し、その施設ガス量テーブルにサンプリング回数分のデータを新しいレコードとして追加するようになっている。
【0022】
次に、本実施形態のシステムの大きな特徴点の一つである見積もりプログラムについて説明する。
コージェネレーション機器導入後のコストの見積もりは、機器の種類や能力、利用の仕方等の様々な因子によって左右される。以下の説明では、ガスによりタービンを回して発電する小型発電機を導入し、その排熱を利用する場合のコストシミュレーションについて説明する。
【0023】
小型発電機を導入した場合でも、通常は、その施設における全ての電力をその発電機でまかなうのではなく、発電機の故障等を考慮して、電力会社との契約を維持し、一部の電力を電力会社からの供給による。以下の説明において、コージェネ導入後の発電機の負荷負担の割合をa(0<a<1)とする。電力会社から供給された電力の負荷負担の割合は、1−aとなる。
また、小型発電機を導入した場合、発電した電力の一部を電力会社に販売する場合がある。発電した電力全体をPcoとし、電力会社に販売する分の割合をbとすると(0≦b<1)とすると、Pco=(1−b)Pco+bPcoとなる。(1−b)Pcoは、小型発電機で発生させた電力のうち、自家消費した分である。
【0024】
現状(コージェネ導入前)の電力料金のうち、基本料金をE、従量料金をEとすると、現状の電力料金FEcuは、
FEcu=E+E
=E+αPcu(E=αPcuだから)
で表される。Pcuは、現状の消費電力量であり、αは従量料金を算出するための係数である。
コージェネ導入後は、電力会社からの供給される電力は現状の(1−a)倍となるから、コージェネ導入後の電力料金FEnewは、
FEnew=E+(1−a)E−E
=E+(1−a)αPcu−E
である。上式において、Eは、電力会社に対する電力の販売代金で、電力料金と相殺されるとする。電力会社への電力の販売は完全な従量制であり、その係数をβとすると、電力会社に販売する電力はE=βbPcoである。従って、コージェネ導入後の電力料金FEnewは、
FEnew=E+(1−a)αPcu−βbPco
となる。
【0025】
今、小型発電機による発電が、施設で必要となる電力に完全に連動して行われ、蓄電池等による蓄電は考えないとすると、(1−b)Pco=aPcuとなり、従って、Pco={a/(1−b)}Pcuとなる。従って、コージェネ導入後の電力料金FEnewは、
FEnew=E+(1−a)αPcu−βb{a/(1−b)}Pcu
=E+{(1−a)α−βba/(1−b)}Pcu
となる。
【0026】
一方、現状のガス料金のうち、基本料金をG、従量料金をGとすると、現状のガス料金FGcuは、
FGcu=G+G
=G+γVcu
で表される。Vcuは、現状のガス消費量であり、γは従量料金を算出するための係数である。
ガスについては、発電機に使用される分が加わるのでコージェネ導入によって消費量が多くなる。この増加分をGとする。また、コージェネの導入のメリットは、発電機が出す排熱の利用ができることである。発電機に水を供給して温めてもらい、それを利用する。利用の仕方は、キッチンや浴場への給湯、暖房等である。従って、コージェネを導入すると、これらにかかっていたガス料金は無くなる。どの程度ガス料金が下がるかは、どの程度、給湯や暖房へのガスの消費分が全体に占める割合による。この割合をc(0<c<1)とすると、コージェネ導入後のガス料金FGnewは、従量料金Gが(1−c)Gになるので、
FGnew=FGcu−cG+G
=G+G−cG+G
=G+(1−c)G+G
=G+(1−c)γVcu+G
となる。増加分Gは、発電機による発電量Pcoに依存し(1ワット発電当たりどの程度のガスを要するか)、G=δPcoである。従って、
FGnew=G+(1−c)γVcu+δPco
となる。
前述したように、Pco=a/(1−b)Pcuであるので、
FGnew=G+(1−c)γVcu+δa/(1−b)Pcu
となる。
a,b,c,k,α,β,γ,δはすべて定数であるので、コージェネ導入後の電力料金、コージェネ導入後のガス料金は、結局、変数である現状の電力消費量Pcuとガス消費量Vcuに従って算出できることになる。
【0027】
コージェネ導入後の最終的なコストには、コージェネ機器のコストを加算する必要がある。また、コージェネ導入を促進する自治体などから補助金が支給される場合もあり、その場合にはその分をコストから差し引く必要がある。
以上、まとめると、コージェネ導入前のトータルコストTcuは、
Tcu=FEcu+FGcu
=E+αPcu+G+γVcu
となる。コージェネ導入後のトータルコストTnewは、
Tnew=FEnew+FGnew+R−S
=E+{(1−a)α−βba/(1−b)}Pcu
+G+(1−c)γVcu+δa/(1−b)Pcu
+R−S
となる。Rは、月あたりのコージェネ機器のコスト(原価償却費又はリース料等)であり、Sは補助金が支給される場合のその月額である。
【0028】
図10は、見積もりプログラムの概略を示したフローチャートである。見積もりプログラムは、毎月1回(例えば毎月1日)に自動実行される。見積もりプログラムは、最初に施設情報テーブルを開き、最初のレコードにポインタを移動させる。そして、そのレコードの「電力テーブル名称」のフィールドのデータを読み込み、この名称の施設電力テーブルを開く。そして、施設電力テーブルの「電力量データ」のフィールドに記録されたデータを次々に読み込んで加算し、当月の電力消費量Pcuを算出する。この際、「瞬時電力」のフィールドのデータを利用し、当月のレコードを特定する。算出した当月電力消費量のデータは、メモリ変数に一時的に記憶される。
【0029】
次に、見積もりプログラムは、施設情報テーブルのそのレコードの「ガス量テーブル名称」のデータを読み込み、この名称の施設ガス量テーブルを開く。そして、ガス量テーブルの「ガス量データ」のフィールドに記録されたデータを次々に読み込んで加算し、当月のガス消費量Vcuを算出する。この際、同様に「データID」のフィールドを利用して当月の範囲のレコードを特定する。当月ガス消費量Vcuは、別のメモリ変数に一時的に記憶される。
次に、見積もりプログラムは、コージェネ導入後のコスト見積もりを行い、その結果を、見積もりテーブルに新しいレコードとして追加する。見積もりテーブルは、各施設毎に作成されており、「データ年月」、「電力消費量」、「ガス消費量」、「現状電気料金」、「現状ガス料金」、「現状総コスト」、「導入後総発電量」、「販売電力量」、「販売電力代金」、「予想ガス増加量」、「予想ガス消費低下量」、「予想電気料金」、「予想ガス料金」、「導入後総コスト」、「コスト削減額」、「コスト削減率」等のフィールドから成るレコードが多数登録されたテーブルである。
【0030】
「現状電力料金」には上記FEcuの値、「現状ガス料金」には上記FGcuの値、「現状総コスト」には上記Tcuの値、「導入後総発電量」には上記Pcoの値、「販売電力量」には上記bPcoの値、「販売電力量」には上記E3=βbPcoの値、「予想ガス増加量」には上記G3=δPcoの値、「予想ガス消費低下量」には上記cγVcuの値、「予想電力料金」には上記FEnewの値、「予想ガス料金」には上記FGnewの値、「導入後総コスト」には上記Tnewの値がそれぞれ入力される。そして、「コスト増減額」には、Tnew−Tcuの値が入力される。コスト増なら+、コスト減なら−である。「コスト増減率」には、(Tnew−Tcu)/Tcuの値が百分率で入力される。
【0031】
見積もりプログラムは、当月の電力消費量Pcuとガス消費量Vcuを算出した後、施設IDを検索キーにして施設情報テーブルを検索し、その施設の見積もりテーブル名称を取得する。そのテーブルを開いた後、新しいレコードを一つ追加し、上記各式に従って算出された各値を各フィールドにそれぞれ入力する。
見積もりテーブルへの新規レコードの追加の後、見積もりプログラムは、施設情報テーブルにおいて、レコードポインタを次のレコードに移動させる。そして、同様の処理を繰り返し、最終的に見積もりテーブルに新しいレコードを追加する。この処理を繰り返し、施設情報テーブルの最後のレコードまで処理を行ったら、見積もりプログラムは終了する。
【0032】
尚、上記データ処理において、係数cは、現状のガス消費量における給湯及び暖房に要している部分の割合である。この値は、季節によって大きく変化すると予想される。例えば、夏季では暖房費等が無くなるので0.1程度だが、冬季では暖房費や給湯費がかさむので0.6程度、春や秋では0.4程度という具合である。係数cは、過去のデータから経験的に定めることになるが、実際の値とそれほど大きなズレはないものと思われる。
場合によっては、コージェネ導入によって低下する暖房用や給湯用のガス消費量を計測するため、専用のガス量計を設けてもよい。暖房用に使用しているガスの配管、給湯用に使用しているガスの配管にガス量計を設け、そこで計測されたデータを合算して他の計測データとは別に送信させるようにする。そして、このデータを上記−cGの値として利用する。
LAN500を介してデータサーバ50につながっている管理用クライアント501には、データサーバ50にアクセスし、DBMSで管理されている各オブジェクトを閲覧するためのプログラムがインストールされている。従って、前述した見積もりテーブルは、管理用クライアント501のディスプレイ上に表示したり、プリンタに出力したりすることができるようになっている。
【0033】
上述したように、小型発電機をコージェネレーション機器として導入する場合、発電機の排熱を給湯や暖房に使用するため、導入後のコストは冬季において導入前を大きく下回ることが予想される。反面、他の季節では、コスト低下はそれほどでもないことが予想される。言い換えると、コージェネレーション導入のコスト見積もりは、年間を通したものとして行うことが好ましい。このような点を考慮し、本実施形態のシステムは、年間を通したコスト見積もりを行う年間コスト見積もり手段を備えている。以下、この点について説明する。
【0034】
年間コスト見積もり手段は、ハードウェアとしてのデータサーバ50と、データサーバ50のハードディスクにインストールされた年間見積もりプログラム(以下、年間見積もりPGM)とから構成されている。年間見積もりPGMは、管理用クライアント501からのアクセスにより実行可能となっている。この際、管理用クライアント501において、施設名称及びデータ期間を入力させてデータサーバ50に送るようになっている。データ期間は、ある年の1月から12月、ある年の4月から翌年の3月、というように12ヶ月の期間である。
【0035】
年間見積もりPGMは、年間を通したコスト見積もりの結果を、管理用コンピュータ上で閲覧可能な所定のフォーマットに出力するようになっている。前述したマイクロソフト社のAccessでは、この種の出力フォーマットは「レポート」と呼ばれるので、以後、この名称を使用し、「年間見積もりレポート」と呼ぶ。データサーバ50のハードディスクには、年間見積もりレポートのOBFが記憶されている。年間見積もりレポートは、ある施設のある年間期間の、現状総コスト、導入後総コスト、コスト削減額等のデータをリストにして表示したものとなっている。
【0036】
年間見積もりPGMは、まず、引数として渡された施設名称を検索キーにして施設情報テーブルを検索し、該当する施設の見積もりテーブル名称を取得する。そして、その名称の見積もりテーブルを開く。次に、引数として渡されたデータ期間に従い、「データ年月」の列をキーにしてレコードの範囲を指定する。そして、その範囲のレコードをコピーし、年間見積もりレポートに貼り付ける。また、指定された範囲の「コスト増減額」を合計し、その結果を、年間見積もりレポート中の「年間コスト見積もり」と表示された部分の横に表示する。そして、年間見積もりPGMは、指定された範囲の「コスト増減額」のデータをグラフ化する。グラフ化された「コスト増減額」は、年間見積もりレポート中に表示される。
【0037】
コージェネレーション導入シミュレーション方法の発明の実施形態の説明も兼ね、上記システムの動作について説明する。
各施設に設けられた電力計1及びガス量計2は、各施設で消費される電力及びガスの量を日々刻々と計測する。計測されたデータは、電力積算器13、ガス積算器33でそれぞれ1時間当たりの値に積分され、送信用プロセッサ35のメモリに記憶される。
一方、見積もり手段5が備える受信用プロセッサ41にインストールされたTMPは、各施設のグローバル送信器3の外線番号に3時間毎に電話をかけ、各送信用プロセッサ35のメモリに記憶されたデータを所定のプロトコルで送信させる。送信されたデータは、グローバル受信器4で受信され、受信用プロセッサ41のメモリに一時的に記憶される。その後、受信用プロセッサ41にインストールされた復号化プログラム及びサーバ送信プログラムが自動的に動作する。これにより、メモリにあるデータがCSV形式のような所定のファイルに変換され、データサーバ50のハードディスクの所定のパスに送って記憶させる。
サーバ送信プログラムが実行された後、受信用プロセッサ41からのコマンドにより、データサーバ50のハードディスクにある受信データ登録PGMが自動実行される。これにより、データテーブルが新たに作成される。その後、データ追加PGMが自動実行され、施設毎に作られた施設電力テーブルと施設ガス量テーブルにそれぞれレコードが追加される。
【0038】
以上で、3時間に一回行われる動作は終了であり、3時間経つと、TMPの実行から同じ動作を繰り返す。尚、送信用プロセッサ35のメモリに記憶された3時間分のデータは、TMPの実行後に自動的に削除され、新たな3時間分のデータを蓄積していくよう構成される。
一方、本システムの運営管理者などの許可された者は、管理用クライアント501を操作してデータサーバ50にアクセスする。そして、任意の見積もりテーブルを開き、ディスプレイ上に表示したり、プリンタに出力して印刷したりする。また、必要に応じて、年間見積もりPGMを実行し、コージェネレーション導入の年間を通したコスト見積もりをディスプレイ上に表示したり印刷したりする。
【0039】
上記実施形態のコージェネレーション導入シミュレーション方法及びコージェネレーション導入シミュレーションシステムによれば、各施設において現状消費している電力及びガスの量のデータから、コージェネレーションを導入した場合のコストが自動的に計算され、導入によるコスト増減の程度が自動的に算出されるので、コージェネレーション導入の是非を的確に判断することができる。さらに、コージェネレーション導入の年間を通したコスト見積もりが可能なため、さらに的確に導入の是非を判断することが可能となっている。
【0040】
上記実施形態においては、見積もり手段5に設けられた受信器4は、有線受信を行うものであってもよい。具体的には、例えばテレメタリングサービスを展開するPHS等の電話会社は、中継局から送信をインターネット等の有線ネットワークより行うサービスも展開している。従って、見積もり手段5がインターネット等の有線ネットワークにつながるコンピュータを備えるようにし、このコンピュータで電力消費量のデータ及びガス消費量のデータを受信するようにする。この際、CSV形式のような汎用性の高い形式へのデータ変換は、電話会社が保有するサーバ上で行われる場合もある。
【0041】
尚、上記実施形態において、ローカル送信器14及びローカル受信器34を特定小電力無線やPHSの内線機能により実現すると、その間の無線送受信には料金が掛からないので好適である。電力消費量の変動は大きく、詳細なデータのためには頻繁に送信する必要があり、送信が無料になることは有益である。
また、電力計1は屋内に配置されていることが多く、その一方、ガス量計2は屋外に配置されていることが多い。従って、両者のデータをまとめておくるために有線の送信手段を利用すると、施設の外壁を通して配線をすることが必要になるが、無線の場合にはそのような面倒はなく、好適である。尚、上記実施形態では、電力計1のデータをローカル送信したが、ガス量計2のデータをローカル送信し、電力計1のデータとともに受信器4にグローバル送信する構成が採用されることもある。
【0042】
次に、コージェネレーション機器販売促進方法の発明の実施形態及びコージェネレーション機器販売促進システムの発明の実施形態について説明する。
図11は、コージェネレーション機器販売促進システムの概略構成を示した図である。図11に示すシステムは、上記コージェネレーション導入シミュレーションシステムと同様、各施設における電力消費量を計測するよう各施設に設けられた電力計1と、各施設におけるガス消費量を計測するよう各施設に設けられたガス量計2と、電力計1で計測された電力消費量のデータ及びガス量計2で計測されたガス消費量のデータを無線送信するよう各施設に設けられた送信器3と、送信器3から送信されたデータを受信する受信器4と、受信器4で受信されたデータから各施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う見積もり手段5とを備えている。これらの構成要素は、前述したコージェネレーション導入シミュレーションシステムとほぼ同様なので、説明は省略する。
【0043】
図11に示すシステムは、これらに加え、見積もり手段5によるコスト見積もり結果を出力する出力手段6を備えている。出力手段6は、施設に対するコージェネレーション機器の販売を行う営業担当者(以下、単に営業担当者)又は施設へのコージェネレーション機器の導入の決定に関係する者(以下、導入決定者)が閲覧可能な状態でコスト見積もり結果を出力するものである。
出力手段6は、本実施形態では、営業担当者又は導入決定者がクライアントコンピュータ(以下、CC)8を操作してネットワークを経由してアクセスを行った際に、データサーバ50からファイルをCC8に送信するものとなっている。具体的に説明すると、本実施形態では、ネットワークとしてはインターネット(The Internet)7が想定されており、出力手段6は、ルーター61を介してインターネット7につながっているウェッブサーバ(WWWサーバ)62を備えている。ウェッブサーバ62には、ルーター63を介してイントラネット(LAN)64がつながっており、イントラネット64上に、前述したデータサーバ50が設けられている。ルーター61,63及びウェッブサーバ62は、ファイアーウォールを構成しており、権限の無い者のイントラネット64へのアクセスを防いでいる。
【0044】
ウェッブサーバ62は、UNIX(登録商標)やリナックスのような周知のOS上で稼働するウェッブサーバソフトウェアがインストールされたコンピュータであり、インターネットを介して閲覧可能なページファイル(HTMLファイル,XMLファイル等、以下単にページファイル)を提供するものとなっている。また、ウェッブサーバ62には、認証サーバやデータサーバ50との間でデータのやりとりを行うCGI(Common Gateway Interface)及び各種のCGIプログラムが設けられている。
また、イントラネット64上には認証サーバ65が設けられている。認証サーバ65によって行われる認証の一つは、コスト見積もり結果の出力要求が正しい者からされたかどうかの認証である。また、認証サーバ65は、IDとパスワードをデータベース化したデータベースファイルを有しているが、このデータベースの各レコードには、データサーバ50のDBMSで管理されている顧客情報テーブルにおける「顧客ID」のデータがリンクして記録されている。尚、認証サーバ65のIDは、ウェッブページ閲覧用のIDである。ID及びパスワードは、施設毎及び営業担当者毎に各々一つずつ発行される。また、認証サーバ65のデータベースの各レコードには、そのID保有者が営業担当者であるか導入決定者であるかを識別するデータを登録したフィールドを有している。
【0045】
ウェッブサーバ62のハードディスクに記憶されたページファイルには、トップページを表示するファイルの他、見積もり結果の閲覧を受け付けるためのページを表示するためのファイル(以下、閲覧受付ページファイル)がある。トップページには、IDとパスワードの入力欄と、送信ボタンを有している。送信ボタンには、閲覧受付用のCGIプログラム(以下、閲覧受付CGI−P)が埋め込まれており、送信ボタンがクリックされると、閲覧受付CGI−Pが実行されるようになっている。閲覧受付用CGI−Pは、まずサブプログラムとして認証用CGIプログラムを実行し、ID及びパスワードが正しいかどうか認証サーバ65に判断させるようになっている。これらが正しいと、閲覧受付CGI−Pは、閲覧受付ページファイルをCC8上に送って表示する。
【0046】
閲覧受付ページファイルでは、営業担当者か導入決定者であるかによって異なるページレイアウトとなっている。「月別導入コスト見積もり」のボタンと、「年間導入コスト見積もり」のボタンとが設けられている点で共通しているが、営業担当者の場合、これらに加え、どの施設の見積もりテーブルを表示するかを選択する欄(施設選択欄)が設けられている。
また、データサーバ50のハードディスクには、DBMSによって管理されるテーブルとして、営業担当者の情報をデータベース化したテーブル(以下、担当者情報テーブル)と、営業担当者が担当する施設の情報をデータベース化したテーブル(以下、担当施設テーブル)のOBFが記憶されている。担当者情報テーブルは、「ID」、「担当者氏名」、「営業所名」に加え、「担当施設テーブル名称」のフィールドから成るレコードを多数登録したものである。また、担当施設テーブルは、担当する施設の「施設ID」、「施設名称」等をフィールドから成るレコードを多数登録したものである。
【0047】
さらに、データサーバ50のハードディスクには、導入決定者のIDと施設IDとを対応させたテーブル(以下、対応テーブル)のOFBが記憶されている。対応テーブルは、導入決定者の「ID」と、その導入決定者が決定権の持つ施設の「施設ID」のフィールドから成るレコードを多数登録したものである。
閲覧受付CGI−Pは、認証サーバ65のデータベースから、アクセスしてきたCC8が営業担当者のものであるか導入決定者であるかを判断する。営業担当者のものであった場合には、IDを検索キーにして担当者情報テーブルを検索し、その営業担当者の「担当施設テーブル名称」のデータを取得する。そして、その名称の担当施設テーブルを開き、登録されているレコードのデータを読み取り、閲覧受付ページ内に施設選択欄として表示する。
【0048】
ウェッブサーバ62のハードディスクには、見積もりテーブルのデータをCC8に送って送信するCGIプログラム(以下、見積もりデータ送信CGI−P)がインストールされている。閲覧受付CGI−Pは、閲覧受付ページで送信ボタンがクリックされると、施設IDを引数として見積もりデータ送信CGI−Pを実行するようになっている。この際、導入決定者からのアクセスの場合、対応テーブルを開き、IDを検索キーにして対応テーブルを検索して施設IDを取得する。また、営業担当者の場合には、施設選択欄から選ばせる。施設選択欄は、担当する施設の施設名称をリスト化した例えばプルダウンメニューであり、そのいずれかが選択されると、その施設の施設IDが引数として設定されるようになっている。
【0049】
「月別導入コスト見積もり」のボタンがクリックされた場合、見積もりデータ送信CGI−Pは、施設IDを検索キーにして施設情報テーブルを検索し、その施設IDの「見積もりテーブル名称」のデータを取得する。そしてその名称の見積もりテーブルを開き、その内容を所定の形式(HTML形式、XML形式等)に変換して送信する。この際、表示するデータ年月の範囲を指定させてその範囲で表示を行うようにしてもよい。また、「年間導入コスト見積もり」のボタンがクリックされた場合、見積もりデータ送信CGI−Pは、同様に施設IDを検索キーにして施設情報テーブルを検索し、その施設IDの「年間見積もりテーブル名称」のデータを取得する。そしてその名称の年間見積もりテーブルを開き、その内容を所定の形式に変換して送信する。
導入決定者のアクセスによって送信されたコスト見積もりのデータは、施設内等に設置されたCC8上に表示され、導入の決定に参考情報として供される。また、営業担当者のアクセスによって送信されたデータは、営業所等に設置されたCC8上で表示されて、営業情報として供される。
【0050】
この実施形態によれば、導入決定者は、自己の施設へのコージェネレーション導入後のコスト見積もり結果を閲覧することができるので、導入の是非を容易に判断することができる。この際、現状の消費電力量や消費ガス量の計測や見積もりのための計算などを行う必要がなく、システムの方で自動的にやってくれるので、極めて便利である。さらに、年間コスト見積もり結果も閲覧できるので、より的確な判断が行える。
【0051】
また、営業担当者にとっては、自分が担当している売り込み先の施設におけるコージェネレーション導入のコスト見積もり結果を閲覧することができるので、コスト見積もり結果を容易に営業に活用することができる。そして、コージェネレーション導入により大きなコスト削減となる施設とそうでない施設とを見分けることなどが可能になるので、効率の良い営業が期待できる。このため、販売促進ツールとして極めて好適である。例えば、より導入の期待値の高い顧客を選別し、重点的に営業活動を行うようにすることができる。さらに、送信されたデータをプリンタで印刷して営業の際に持参して提示したりすることで、コージェネレーション機器の購入をより効果的に勧めることができる。このため、コージェネレーション機器の販売促進として極めて優れたものになっている。さらに、年間コスト見積もりの結果を顧客に提示することができるので、より説得力のあるデータによ 尚、上記説明において、「導入決定者」とは、極めて広い意味であり、施設におけるコージェレーション機器の導入決定に関係する人、という程度の意味である。会社や団体であれば、コージェネレーション機器の購入に関する部署の職員又は決定権限を持つ者、一般家庭であれば、その家庭に住んでいる人などである。
【0052】
また、上記各実施形態においては、電力量のデータとガス量のデータは、一つの送信器3で送信されたが、別々の送信器で送信される場合もある。受信器4も同様で、別々の受信器で受信する場合もある。
尚、上記各実施形態では、複数の施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりが自動的に算出されたが、一つの施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う場合であっても同様の効果が得られる。但し、複数の施設に適用した場合、複数の施設におけるコスト見積もりにコスト見積もり手段等を共用することができるので、見積もりに要する費用が低減され、営業活動の効率化や営業経費の軽減等の効果がもたらされる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、施設において現状消費している電力及びガスの量が自動的に計測され、これらのデータからコージェネレーションを導入した場合のコストが自動的に計算され、導入によるコスト増減の程度が自動的に算出されるので、コージェネレーション導入の是非を容易に且つ的確に判断することができる。従って、この方法及びシステムは、コージェネレーション機器の販売促進のために好適に利用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設におけるコージェネレーションの導入後のコスト見積もりを行うコージェネレーション導入シミュレーション方法であって、
施設に設けられた電力計が施設における電力消費量を計測するステップと、
施設に設けられたガス量計が施設におけるガス消費量を計測するステップと、
施設に設けられた送信器が、電力計で計測された電力消費量のデータ及びガス量計で計測されたガス消費量のデータを送信するステップと、
受信器が、送信器から送信されたデータを受信するステップと、
受信器で受信されたデータから、施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを見積もり手段が見積もりプログラムにより行うステップとを備えているコージェネレーション導入シミュレーション方法。
【請求項2】
前記見積もり手段による見積もり結果から、年間コスト見積もり手段が年間を通したコスト見積もりを行うステップを備えていることを特徴とする請求の範囲第1項記載のコージェネレーション導入シミュレーション方法。
【請求項3】
前記電力計が単相2線式電力計であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のコージェネレーション導入シミュレーション方法。
【請求項4】
前記送信器は無線式送信器であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のコージェネレーション導入シミュレーション方法。
【請求項5】
施設には、前記送信器と別に設けられたローカル送信器及びローカル受信器が設けられており、前記電力計で計測された電力消費量のデータをローカル送信器が送信してローカル受信器が受信し、受信したデータを、前記ガス量計で計測されたガス消費量のデータとともに前記送信器が送信することを特徴とする請求の範囲第1項記載のコージェネレーション導入シミュレーション方法。
【請求項6】
施設におけるコージェネレーションの導入後のコスト見積もりを行うコージェネレーション導入シミュレーションシステムであって、
施設における電力消費量を計測するよう施設に設けられた電力計と、
施設におけるガス消費量を計測するよう施設に設けられたガス量計と、
電力計で計測された電力消費量のデータ及びガス量計で計測されたガス消費量のデータを送信するよう施設に設けられた送信器と、
送信器から送信されたデータを受信する受信器と、
受信器で受信されたデータから施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う見積もり手段とを備えており、
見積もり手段は、受信器が受信した信号をもとにして施設毎に見積もりを行う見積もりプログラムを備えていることを特徴とするコージェネレーション導入シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記見積もり手段による見積もり結果から、年間を通したコスト見積もりを行う年間コスト見積もり手段を備えていることを特徴とする請求の範囲第6項記載のコージェネレーション導入シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記電力計が単相2線式電力計であることを特徴とする請求の範囲第6項記載のコージェネレーション導入シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記送信器は無線式送信器であることを特徴とする請求の範囲第6項記載のコージェネレーション導入シミュレーションシステム。
【請求項10】
施設には、前記送信器と別に設けられたローカル送信器及びローカル受信器が設けられており、ローカル送信器は、前記電力計で計測された電力消費量のデータを送信するものであり、ローカル受信器は、ローカル送信器が送信したデータを受信して、前記ガス量計で計測されたガス消費量のデータとともに前記送信器に送信させるものであることを特徴とする請求の範囲第6項記載のコージェネレーション導入シミュレーションシステム。
【請求項11】
施設におけるコージェネレーションの導入後のコスト見積もりを行い、見積もり結果を施設の保有者に告知することでコージェネレーション機器の販売促進が行われるよう見積もり結果を出力するコージェネレーション機器販売促進方法であって、
施設に設けられた電力計が施設における電力消費量を計測するステップと、
施設に設けられたガス量計が施設におけるガス消費量を計測するステップと、
施設に設けられた送信器が、電力計で計測された電力消費量のデータ及びガス量計で計測されたガス消費量のデータを送信するステップと、
受信器が、送信器から送信されたデータを受信するステップと、
受信器で受信されたデータから、施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを見積もり手段が見積もりプログラムにより行うステップと、
見積もり手段によるコスト見積もり結果を出力手段が出力するステップとを備えており、
出力手段は、当該施設に対するコージェネレーション機器の販売を行う営業担当者又は当該施設へのコージェネレーション機器の導入の決定に関係する者である導入決定者が閲覧可能な状態でコスト見積もり結果を出力することを特徴とするコージェネレーション機器販売促進方法。
【請求項12】
前記見積もり手段による見積もり結果から、年間コスト見積もり手段が年間を通したコスト見積もりを行うステップを備えており、
前記出力手段が、年間コスト見積もり手段による年間コスト見積もり結果を、前記営業担当者又は前記導入決定者が閲覧可能な状態で出力することを特徴とする請求の範囲第11項記載のコージェネレーション機器販売促進方法。
【請求項13】
前記電力計が単相2線式電力計であることを特徴とする請求の範囲第11項記載のコージェネレーション機器販売促進方法。
【請求項14】
前記送信器は無線式送信器であることを特徴とする請求の範囲第11項記載のコージェネレーション機器販売促進方法。
【請求項15】
施設には、前記送信器と別に設けられたローカル送信器及びローカル受信器が設けられており、前記電力計で計測された電力消費量のデータをローカル送信器が送信してローカル受信器が受信し、受信したデータを、前記ガス量計で計測されたガス消費量のデータとともに前記送信器が送信することを特徴とする請求の範囲第11項記載のコージェネレーション機器販売促進方法。
【請求項16】
施設におけるコージェネレーションの導入後のコスト見積もりを行い、見積もり結果を施設の保有者に告知することでコージェネレーション機器の販売促進が行われるよう見積もり結果を出力するコージェネレーション機器販売促進システムであって、
施設における電力消費量を計測するよう施設に設けられた電力計と、
施設におけるガス消費量を計測するよう施設に設けられたガス量計と、
電力計で計測された電力消費量のデータ及びガス量計で計測されたガス消費量のデータを送信するよう施設に設けられた送信器と、
送信器から送信されたデータを受信する受信器と、
受信器で受信されたデータから施設におけるコージェネレーション導入後のコスト見積もりを行う見積もり手段と、
見積もり手段によるコスト見積もり結果を出力する出力手段とを備えており、
見積もり手段は、受信器が受信した信号をもとにして施設毎に見積もりを行う見積もりプログラムを備えており、
出力手段は、当該施設に対するコージェネレーション機器の販売を行う営業担当者又は当該施設へのコージェネレーション機器の導入の決定に関係する者である導入決定者が閲覧可能な状態でコスト見積もり結果を出力するものであることを特徴とするコージェネレーション機器販売促進システム。
【請求項17】
前記見積もり手段による見積もり結果から、年間を通したコスト見積もりを行う年間コスト見積もり手段を備えており、前記出力手段は、年間コスト見積もり手段による年間コスト見積もり結果を前記営業担当者又は前記導入決定者が閲覧可能な状態で出力するものであることを特徴とする請求の範囲第16項記載のコージェネレーション機器販売促進システム。
【請求項18】
前記電力計が単相2線式電力計であることを特徴とする請求の範囲第16項記載のコージェネレーション機器販売促進システム。
【請求項19】
前記送信器は無線式送信器であることを特徴とする請求の範囲第16項記載のコージェネレーション機器販売促進システム。
【請求項20】
施設には、前記送信器と別に設けられたローカル送信器及びローカル受信器が設けられており、ローカル送信器は、前記電力計で計測された電力消費量のデータを送信するものであり、ローカル受信器は、ローカル送信器が送信したデータを受信して、前記ガス量計で計測されたガス消費量のデータとともに前記送信器に送信させるものであることを特徴とする請求の範囲第16項記載のコージェネレーション機器販売促進システム。

【国際公開番号】WO2005/041092
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515007(P2005−515007)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015855
【国際出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.リナックス
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)