説明

コージェネレーション装置

【課題】エネルギ効率よく運転することができるコージェネレーション装置を提供すること。
【解決手段】発電機4および内燃機関3を同一パッケージ2内に収容するとともに、パッケージ2に換気部1を設けてパッケージ2内を外気により空冷可能にしたコージェネレーション装置であって、前記パッケージ2内の温度および発電機4の出力に応じて、発電機4の出力が低いほど前記パッケージ2内の許容上限温度を高く設定する一方、発電機4の出力が高いほど前記パッケージ2内の許容上限温度を低く設定する制御を行う制御部8を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機および内燃機関を同一パッケージ内に収容するとともに、前記パッケージに換気部を設けてパッケージ内部を外気により空冷可能にしたコージェネレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコージェネレーションシステムとしては、発電機および内燃機関を同一パッケージ内に収容するとともに、前記パッケージに換気部を設けてパッケージ内部を外気により空冷可能にしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
通常このようなパッケージ内の換気は、前記換気部を、一定の設定出力で常時運転することにより行われている。しかし、このような設定によると、発電機および内燃機関高が出力ときの放熱に応じた冷却能力を発揮するべく換気部の設定を行わざるを得ないため、発電機および内燃機関の低出力ときには換気過剰となりエネルギーロスが多くなるという問題があった。すなわちパッケージ内から外部への放熱量が多くなる。
【0004】
そこで、特許文献2に示すように、前記パッケージを2分割にして、冷却の必要な発電制御部等を、発電機とエンジンとは異なる部屋に収容することにより、換気部により効率よく換気冷却を行うことが考えられている。さらに、特許文献2によると、発電機および内燃機関の動作環境温度を所定温度に維持すべく、前記パッケージ内に温度センサを設けるとともに、温度センサ出力に閾値を設けて、その動作環境温度が許容上限温度以上にならないように換気量を調整することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−020955号公報
【特許文献2】特開2009−047053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述の特許文献2に記載の技術において、閾値は、発電機が所定の出力を出力可能な許容上限温度に基き設定せざるを得ないから、所定出力として発電機の通常出力を想定すると、発電機の出力が前記通常出力より高くなった場合には、所定出力(通常出力)で想定される発電機からの熱出力よりも大きな熱出力が発電機から出力され、パッケージ内の温度が高い事に起因して発電機の動作効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
一方、発電機の所定出力を通常出力に代え、発電機の最大出力とすると、常時換気過剰になりエネルギ効率が低下するという問題が生じる。
【0008】
したがって、本発明は、さらにエネルギ効率よくパッケージ内を換気冷却することができ、エネルギ効率よく運転することができるコージェネレーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明のコージェネレーション装置の特徴構成は、
発電機および内燃機関を同一パッケージ内に収容するとともに、前記パッケージに換気部を設けてパッケージ内部を外気により空冷可能にし、前記パッケージ内部の温度および前記発電機の出力に応じて、前記発電機の出力が低いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を高く設定する一方、前記発電機の出力が高いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を低く設定する制御を行う制御部を設けてある点にある。
ここで出力の高低は、2点の出力の関係について大小を決めるものであり、許容上限温度がその高出力の点に対し低く設定され、低出力の点に対して高く設定されていれば良い。
【0010】
〔作用効果1〕
上記構成によると、発電機の熱出力は発電出力に応じて高くなるから、発電機の出力が高くなるほどパッケージ内に放出される熱量は増加する。ここで、前記発電機が所定出力のときに、前記発電機から前記パッケージ内に対して、前記発電機が効率よく運転できる許容上限温度に達する熱出力があるとして、コージェネレーション装置の運転条件を設定すると、前記所定出力を超えて前記発電機を運転したときに、前記発電機には所定出力ときより大きな熱出力が発生する。すると、前記発電機の保有する熱は増加傾向になり動作効率が低下する。そこで、前記制御部により前記発電機の出力が高いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を低く設定すると、前記発電機が出力の上昇に伴って熱出力を増加する運転状態になったとしても、前記発電機の保有する熱は適度に抑制されることになり、前記発電機の動作効率の低下を抑制することができる。
【0011】
逆に、前記所定出力に満たない出力で前記発電機を運転したときには、前記発電機には所定出力ときより小さな熱出力しか発生しない。すると、前記発電機の保有する熱は減少傾向になり、コージェネレーション装置全体としてさらに熱出力のある運転条件であっても、前記発電機は高効率に運転が可能な状態になっている。そこで、前記制御部により前記発電機の出力が低いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を高く設定すると、前記発電機が出力の低下に伴って熱出力を減少する運転状態になったとしても、前記発電機の保有する熱は高くなりすぎることはなく、前記発電機の動作効率を維持しつつコージェネレーション装置全体としての運転効率を高めることができる。
【0012】
〔構成2〕
また、上記構成において、前記制御部は、前記発電機の出力が低いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を高く設定し、換気量を低減する一方、前記発電機の出力が高いほど前記パッケージ内部の許容上限温度を低く設定し、換気量を増加させる制御を行うことが好ましい。
【0013】
〔作用効果2〕
上記構成において、前記許容上限温度の設定を高くした場合、前記パッケージ内の温度は前記発電機の出力に対して低い状態にあることになる。このとき、前記発電機は、小さな出力しか出さなくてよいから、コージェネレーション装置の運転状態を、より熱出力の多い状態で運転してパッケージ内から熱を受けても、高効率に運転が可能な状態にある。そこで、前記換気部による換気量を低減し、コージェネレーション装置を熱出力の多い状態が許容される環境で運転することにより、よりエネルギ効率の良いコージェネレーション装置の運転が可能になる。
【0014】
また、前記許容上限温度の設定を低くした場合、前記発電機の熱出力は大きくなっており、前記発電機の保有熱を減小させる必要がある状態になっているわけであるから、前記換気部の換気量を増加させる事により、パッケージ内の温度を低下させる事により、前記発電機の保有熱を減小させることができ、よりエネルギ効率の良いコージェネレーション装置の運転が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
したがって、発電機の出力に応じてパッケージ内部の許容上限温度を適切に設定する制御が行えるから、安定してエネルギ効率の良いコージェネレーション装置の運転が継続できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のコージェネレーション装置の概略図である。
【図2】本発明のコージェネレーション装置の発電機出力とパッケージ内部温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のコージェネレーション装置を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0018】
本発明のコージェネレーション装置は、外気を取り入れる外気取入口11を備えたパッケージ2内に、内燃機関としてのエンジン3と、前記エンジン3により駆動される発電機4とを設けてあり、前記エンジン3および発電機4が前記パッケージ2内の温度を上げる熱源となる。
【0019】
前記エンジン3には、パッケージ2外の外気を燃焼用空気として取り込む吸気路31が備えられると共に、燃焼後の排ガスをパッケージ外へ導く排気路32が備えられている。エンジン3の駆動軸33に発電機4が連結されている。前記発電機4は、前記エンジン3より動力を得て電力を発生する。
【0020】
また、エンジン3には、発生した熱を回収すべく、エンジン冷却回路34が設けられており、前記排気路32に設けられた排熱回収熱交換器35、および、エンジン3のエンジン冷却部36に対して、ポンプ37により冷却水を循環させる。これにより、排熱回収熱交換器35にて排ガスの保有する熱を回収すると共に、エンジン冷却部36にてエンジン3の冷却に寄与して、発生した熱を回収する。尚、当該エンジン3より発生する熱は、上記冷却水にて全て回収されるわけではなく、その一部は、パッケージ2内に放出され、パッケージ2内の温度を上昇させる。
【0021】
発電機4は、前記エンジン3により駆動されて、発生した電力をインバータ5に送る。当該インバータ5は、送られた電力を、所定の電圧値及び周波数に変調して、電力線6を介して、電力負荷又は商用系統にて利用可能に変換して送る。当該発電機4が働くことにより発生する熱は、パッケージ2内に放出され、同様にパッケージ2内の温度を上昇させる。
【0022】
本発明のコージェネレーション装置は、上述の如く、エンジン3や発電機4が発生する熱を、適切に回収して放熱ロスを抑制可能としながらも、パッケージ2内のエンジン3、発電機4等の良好な運転状態が維持きるように、換気部1を設けてある。換気部1は、外気取入口11と、その外気取入口11と協働してパッケージ2内の内気を外気と置換する換気装置12とを備える。
【0023】
パッケージ2内には温度センサ7が設けられ、パッケージ2内の内気の温度をモニタするとともに、発電機4の出力に応じてパッケージ2内の許容上限温度を設定し、換気部1の換気量を調節するとともに、温度センサ7の出力に応じて、エンジン3の運転状態(例えば吸気路31に接続される燃料供給路38からの燃料供給量)を調節する制御部8が設けてある。
【0024】
前記制御部8は、例えば下記の制御を行う。この制御を図2に基き説明する。
【0025】
本発明のコージェネレーション装置における発電機4は、低出力、通常出力、高出力の3段階に切替運転可能に構成されている。(例えば低出力を0.75W、通常出力を1.00kW、高出力を1.25kWと設定する。)このとき、発電機4が通常運転時には、パッケージ2内の温度を50℃〜80℃の所定温度(t℃)以下に維持するように、制御部8は、パッケージ2内の許容上限温度を前記所定温度(t℃)に設定するとともに、換気部1の換気量を調節する。
【0026】
発電機4の出力が低出力に切換わり、換気量を通常出力時の許容上限温度と同等の温度制御を行う環境とすると(2点鎖線)、図2に示すように、パッケージ2内の温度が所定温度−3℃(t−3℃)まで低下する運転条件になるので、制御部8は、パッケージ2内の許容上限温度を所定温度+1℃(t+1℃)に設定する(実線)とともに、換気部1の換気量を少なく調節する(図2内左側矢印)。また、このとき、エンジン3の運転状態は、燃料供給量を減少し、低回転となるように制御する。
【0027】
発電機4の出力が高出力に切換わり、換気量を通常出力時の許容上限温度とどう等の温度制御を行う環境とすると(2点鎖線)、図2に示すように、パッケージ2内の温度が所定温度+3℃(t+3℃)まで上昇する運転条件になるので、制御部8は、パッケージ2内の許容上限温度を所定温度−1℃(t−1℃)に設定する(実線)とともに、換気部1の換気量を多く調節する(図2内右側矢印)。また、このとき、エンジン3の運転状態は、燃料供給量を増加し、高回転としてなるように制御する。
【0028】
これにより、発電機4の出力が低く、パッケージ2内の温度が高くても発電機4を安定運転できる低出力時には、換気部1の換気を少なくして、過剰換気にならないように運転することができるので、エネルギ効率高くコージェネレーション装置を運転することができ、かつ、発電機4の出力が高く、発電機4を高出力で運転するためには、発電機4の保有する熱を低下させることが好ましいときには、換気部1による換気を多くして、発電機4の効率運転を図る事ができ、いずれの状況に対しても、エネルギ効率高くコージェネレーション装置を運転することができるようになった。
【0029】
〔その他の実施の形態〕
先の実施の形態では、発電機4の出力を3段階に切り換えて用いる場合の制御形態を例示したが、これに限らず、更に多段階の制御を行っても良いし、連続的に発電機4の出力を変更可能として、パッケージ2内の許容上限温度を発電機4の出力に応じて連続的に変更する制御形態とすることもできる。
【0030】
また、発電機4の出力の変更に応じて、前記パッケージ2内の許容上限温度を変更した場合、パッケージ2内の温度を前記許容上限温度に追従させるには、エンジン3に対する燃料供給料を制御するとともに、換気部1の換気量を制御する形態の他、エンジン3の点火タイミングを制御して動力出力に対する発熱量の割合を変更する形態などによっても行うことができ、種々公知の制御を組み合わせて行うことにより、より安定に制御を行うことができるようになる。
【0031】
また、換気部1の換気量は発電機4の出力に応じてのみ変更する形態を例示したが、発電機4の出力が一定の場合、パッケージ2内の温度に追従して換気部1の換気量を増減するなど種々公知の制御を加えてもかまわない。
【0032】
また、前記インバータ5や制御部8などは、前記エンジン3、前記発電機4等の熱源とは別のパッケージ2に収容したり、同一パッケージ2内であっても、前記熱源とは仕切られた別の空間に収容することによって、前記熱源から熱を受けないようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
従って、エネルギ効率高く運転できるコージェネレーション装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 :換気部
11 :外気取入口
12 :換気装置
2 :パッケージ
3 :エンジン
31 :吸気路
32 :排気路
33 :駆動軸
34 :エンジン冷却回路
35 :排熱回収熱交換器
36 :エンジン冷却部
37 :ポンプ
38 :燃料供給路
4 :発電機
5 :インバータ
6 :電力線
7 :温度センサ
8 :制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機および内燃機関を同一パッケージ内に収容するとともに、前記パッケージに換気部を設けてパッケージ内部を外気により空冷可能にしたコージェネレーション装置であって、
前記パッケージ内の温度および前記発電機の出力に応じて、前記発電機の出力が低いほど前記パッケージ内の許容上限温度を高く設定する一方、前記発電機の出力が高いほど前記パッケージ内の許容上限温度を低く設定する制御を行う制御部を設けてあるコージェネレーション装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記発電機の出力が低いほど前記パッケージ内の許容上限温度を高く設定し、前記換気部による換気量を低減する一方、前記発電機の出力が高いほど前記パッケージ内の許容上限温度を低く設定し、前記換気部による換気量を増加させる制御を行う請求項1に記載のコージェネレーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate