説明

コードハンガー

【課題】顕微鏡の本体に対して着脱自在であり、顕微鏡本体への装着が容易であるとともに顕微鏡本体から外れにくいコードハンガーを提供する。
【解決手段】電源コードが巻き付けられるコード巻付部と、コード巻付部の表面からそれぞれ突出し、先端が当該コードハンガーの長手方向に沿って同じ方向を向く鉤状をなす複数のフックと、複数のフックの先端が指向する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなし、複数のフックよりも前記長手方向の一方の端部の近くに位置し、当該コードハンガーを顕微鏡に取り付けた状態で顕微鏡からの抜け止めを行う抜止部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡の本体に着脱自在に取り付けられ、顕微鏡の電源コードを含む電源モジュールを収容するコードハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡の電源コードを巻いた状態で顕微鏡本体に取り付けられるコードハンガーとして、顕微鏡本体の背面板に設けられた複数の放熱用のスリットに掛止して固定するものが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
図16は、従来のコードハンガーおよび顕微鏡の背面側の構成とコードハンガーの顕微鏡への取り付けの概要を示す図である。同図に示すコードハンガー201は、胴部202と、フック203、204と、抜止部205と、コード受け部206、207と、を備える。
【0004】
胴部202は、略L字状の外形を有し、内部に複数のリブが形成され、一方の主面が開口した中空形状をなし、電源コードが巻き付けられる。
【0005】
フック203は、胴部202の表面のうち顕微鏡301への取付時に顕微鏡301の背面に設けられる背面板302と対向する側の表面であって略L字の底辺部分の表面から突出して鉤状をなしている。
図17は、フック203の構成を示す側面図である。フック203は、胴部202から突出しており、略L字の縦辺の頂点側には、背面板302のスリット302aに引っ掛け可能な切り欠き203aが形成されている。切り欠き203aの基端部の幅wは、背面板302の厚さと同程度であってその厚さよりも若干大きい。切り欠き203aが形成された部分のフック203の端部には、末端へ向けて先細となるテーパ形状をなし、フック203をスリット302aへ引っ掛ける際のガイドとなるガイド部203bが設けられている。
フック203は、略L字の底辺部分に沿って二つ並べて配設されている。
【0006】
フック204は、胴部202の表面のうちフック203が突出する側の表面であって略L字の縦辺部分から突出している。フック204は、フック203と略同じ形状をなしている。
【0007】
抜止部205は、胴部202の表面のうちフック204が突出する側の表面であってフック204よりも略L字の縦辺部分の頂点に近い位置に設けられ、外部から加わる荷重に応じて変形し、顕微鏡301に取り付けられた状態で背面板302からの抜け止め機能を有する。
【0008】
コード受け部206、207は、胴部202の表面のうちフック203等が突出する側の表面と反対側の表面から胴部202の厚み方向と直交する方向にそれぞれ延在し、胴部202に巻かれた電源コードが胴部202の厚み方向に沿って外れてしまうのを抑制する。
【0009】
図18は、抜止部205の構成を示す側面図である。抜止部205は、コードハンガー201の本体部から片持ち梁状をなして延びている。抜止部205は、胴部202の長手方向に沿って延びる延在部205aと、延在部205aから胴部202の中空部分へ曲がって略くの字状をなして延びるレバー部205bと、延在部205aの先端から、レバー部205bが曲がる側と反対側に突起してスリット302bの上端に嵌合保持される突出部205cとを有する。
【0010】
以上の構成を有するコードハンガー201を背面板302へ取り付ける際には、背面板302の上部において水平方向に沿って並べて形成され、各々が顕微鏡301の高さ方向に沿って細長の開口を有する5つのスリットのうち両端から2つ目のスリット302aに2つのフック203をそれぞれ引っ掛けるとともに、背面板302の略中央下部に形成され、顕微鏡301の高さ方向に沿って細長の開口を有するスリット302cにフック204を引っ掛けた後、胴部202の略L字の縦辺部分の頂点付近を背面板302へ押し付ける。これにより、抜止部205は、突出部205cが背面板302に当接して押圧力を受け、図19に示すように、延在部205aの基端部を中心として回動しながら撓み始める。
【0011】
抜止部205が撓み始めると、コードハンガー201は徐々に下方へ移動していく。コードハンガー201が下方への移動を続けていくと、抜止部205は、スリット302cの略斜め下方に形成され、顕微鏡301の高さ方向に沿って細長の開口を有するスリット302bに入り込んでスリット302cの上端にやがて当接する(図18を参照)。コードハンガー201は、抜止部205がスリット302bの上端に当接した状態で、背面板302に対して固定される。
【0012】
図20は、コードハンガー201の背面板302からの取り外し方法の概要を示す図である。コードハンガー201を取り外す際には、抜止部205のレバー部205bを背面板302から離れる方向へ回動させる(図19を参照)ことにより、抜止部205とスリット302bとの当接状態を解除する。レバー部205bを回動させる際には、図20に示すように、ドライバDrを用いてレバー部205bを引いてもよい。レバー部205bの回動を行う際、ユーザは空いた方の手でコードハンガー201を斜め上方へ引き上げる。これにより、フック203とスリット302aが離間するとともにフック204とスリット302cが離間し、コードハンガー201の背面板302からの取り外しが完了する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】オリンパス株式会社,教育用生物顕微鏡CX21取扱説明書,2011年1月,p.19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来のコードハンガー201の場合、上向きの過大な力が加わると、突出部205c がスリット302bから外れるおそれがあった。これは、抜止部205の回動中心が突出部205cに対して上方に位置した状態で背面板302へ取り付けられるため、コードハンガー201に上向きの過大な力が加わると、突出部205cの上端には下向きの力が作用し、突出部205cがスリット302bから離間する方向に撓みやすいことに起因している。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顕微鏡の本体に対して着脱自在であり、顕微鏡本体への装着が容易であるとともに顕微鏡本体から外れにくいコードハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコードハンガーは、電源コードを含む電源モジュールを介して電源を供給する顕微鏡に着脱自在に取り付けられ、前記電源モジュールを保持するコードハンガーであって、前記電源コードが巻き付けられるコード巻付部と、前記コード巻付部の表面からそれぞれ突出し、先端が当該コードハンガーの長手方向に沿って同じ方向を指向する鉤状をなす複数のフックと、前記複数のフックの先端が指向する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなし、前記複数のフックよりも前記長手方向の一方の端部の近くに位置し、当該コードハンガーを前記顕微鏡に取り付けた状態で前記顕微鏡からの抜け止めを行う抜止部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るコードハンガーは、上記発明において、前記抜止部は、当該コードハンガーの本体から延びる延在部と、前記延在部の先端から、前記複数のフックが突出する側と反対側へ曲がって延びるレバー部と、前記延在部の先端であって前記レバー部との境界付近に形成され、前記フックが突出する側と同じ側へ突出する突出部と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るコードハンガーは、上記発明において、前記コード巻付部は、前記長手方向に沿って並べて配置され、前記長手方向の一端部で前記電源コードを巻き付けるための側面をそれぞれ有する第1および第2胴部と、前記第1胴部と前記第2胴部の間に設けられ、前記第1および第2胴部よりも厚み方向に窪んだ形状をなす凹部と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るコードハンガーは、上記発明において、前記コード巻付部は、前記長手方向の両端部で前記電源コードを巻き付けるための側面を有する胴部と、前記胴部の中間部の側面に設けられ、前記コード巻付部の幅方向に貫通する貫通孔部と、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るコードハンガーは、上記発明において、前記長手方向の端部であって前記複数のフックの先端が指向する方向と反対側の端部に設けられ、前記電源モジュールが有するACアダプタを保持するACアダプタ保持部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、顕微鏡に掛止される複数のフックの先端が指向する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなし、複数のフックよりも長手方向の一方の端部の近くに位置し、顕微鏡に取り付けた状態で顕微鏡からの抜け止めを行う抜止部を備えているため、顕微鏡本体に対して着脱自在であり、顕微鏡本体への装着が容易であるとともに顕微鏡本体から外れにくいコードハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの顕微鏡へ取り付ける側の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の矢視A方向の正面図である。
【図3】図3は、図1の矢視B方向の背面図である。
【図4】図4は、図2の矢視C方向の側面図である。
【図5】図5は、図2の矢視D方向の上面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの抜止部の構成を示す図である。
【図7】図7は、図6の矢視E方向の側面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの使用状態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの顕微鏡への取り付けの際の状態変化を側面から見た図である。
【図10】図10は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの顕微鏡への取り付けの際の状態変化を背面板の正面から見た図である。
【図11】図11は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーを顕微鏡から取り外す状況を模式的に示す図である。
【図12】図12は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーを顕微鏡に取り付けて顕微鏡用の木箱へ収容した状態を示す部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施の形態の変形例1に係るコードハンガーの抜止部の構成を示す側面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態の変形例2に係るコードハンガーの抜止部の構成を示す側面図である。
【図15】図15は、本発明の一実施の形態の変形例3に係るコードハンガーの構成を示す側面図である。
【図16】図16は、従来のコードハンガーおよび顕微鏡の背面側の構成とコードハンガーの顕微鏡への取り付けの概要を示す図である。
【図17】図17は、従来のコードハンガーのフックの構成を示す側面図である。
【図18】図18は、従来のコードハンガーの抜止部の構成を示す側面図である。
【図19】図19は、従来のコードハンガーの抜止部の撓みを説明する図である。
【図20】図20は、従来のコードハンガーの背面板からの取り外し方法の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態に係るコードハンガーの顕微鏡へ取り付ける側の構成を示す斜視図である。図2は、図1の矢視A方向の正面図である。図3は、図1の矢視B方向の背面図である。図4は、図2の矢視C方向の側面図である。図5は、図2の矢視D方向の上面図である。以下の説明においては、図16に示す顕微鏡301に対してコードハンガーを取り付けるものとする。
【0025】
図1〜図5に示すコードハンガー1は、顕微鏡301の背面板302に着脱自在に取り付けられ、ACアダプタと、該ACアダプタにそれぞれ連結される電源コードおよび出力コネクタコードとを有する顕微鏡用の電源モジュールを保持する。
【0026】
コードハンガー1は、外周の一部に電源コードが巻き付けられる第1胴部2と、第1胴部2と同じ厚みを有し、外周の一部に電源コードおよび出力コネクタコードが巻き付けられる第2胴部3と、第1胴部2と第2胴部3との間に位置して第1胴部2および第2胴部3よりも肉薄であり、第2胴部3との段差部分に出力コネクタコードが巻き付けられる凹部4と、各々が第1胴部2から第1胴部2の厚み方向に鉤状をなして突出する二つのフック5と、第2胴部3から第2胴部3の厚み方向に鉤状をなして突出するフック6と、顕微鏡301に取り付けられた状態でコードハンガー1を顕微鏡301から抜け止めする抜止部7と、第1胴部2および第2胴部3に巻き付けられた電源コードおよび出力コネクタコードの第1胴部2および第2胴部3の厚み方向への動きを抑制するコード受け部8と、電源モジュールの一部をなすACアダプタを保持するACアダプタ保持部9と、を備える。第1胴部2、第2胴部3および凹部4は、コード巻付部を構成する。
【0027】
第1胴部2の端面であってフック5が突出している側の端面には、顕微鏡301に取り付ける際に対向する位置に形成されているスリット302fに進入する突起部21が設けられている。スリット302fは背面板302の上部で横方向に5つ並んだスリットの両端に位置している(後述する図10を参照)。
第2胴部3は、顕微鏡301に取り付けられた状態で第1胴部2よりも下方に位置する。第2胴部3の端面であってフック6が突出している側の端面には、突起部21と同じ形状をなしてスリット302bの横に設けられるスリット302eに進入する突起部31が形成されている。
第1胴部2および第2胴部3は、内部に複数のリブが形成され、一方の主面が開口した中空形状をなしている。
【0028】
2つのフック5は、顕微鏡301に取り付ける際に、それぞれ対応するスリット302aに掛止される。フック5には、背面板302のスリット302aに引っ掛け可能な切り欠き5aが形成されている。切り欠き5aの基端部の幅は、背面板302の厚さと同程度であってその厚さよりも若干大きい。切り欠き5aが形成された部分のフック5の端部には、末端へ向けて先細となるテーパ形状をなし、フック5をスリット302aへ引っ掛ける際のガイドとなるガイド部5bが設けられている。
【0029】
フック6は、顕微鏡301に取り付ける際にスリット302cに掛止される。フック6には、背面板302のスリット302cに引っ掛け可能な切り欠き6aが形成されている。切り欠き6aの基端部の幅は、背面板302の厚さと同程度であってその厚さよりも若干大きい。切り欠き6aが形成された部分のフック6の端部には、末端へ向けて先細となるテーパ形状をなし、フック6をスリット302cへ引っ掛ける際のガイドとなるガイド部6bが設けられている。
【0030】
2つのフック5およびフック6は、コードハンガー1の長手方向に沿って先端が同じ方向を指向する鉤状をなしている。なお、フック5、6の配置位置および個数は、適宜変更することが可能である。
【0031】
抜止部7は、2つのフック5の間に設けられ、2つのフック5の先端が施行する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなす。図6は、抜止部7の構成を示す正面図である。図7は、図6の矢視E方向の側面図である。図6および図7に示す抜止部7は、第1胴部2から延びる延在部71と、延在部71の先端からフック5、6が突出する側と反対側(第1胴部2の中空部分)へ曲がって略くの字状をなして延びるレバー部72と、延在部71の先端に設けられ、延在部71が延びる方向と略直交する方向であってレバー部72が曲がるのと反対側に向けて突出する突出部73とを有する。突出部73の上端部73aは、略半円筒形状をなしている。
【0032】
コード受け部8は、第1胴部2および第2胴部3の一方の面であってフック5および6がそれぞれ突出する方向と異なる面に設けられ、第1胴部2および第2胴部3の側面から広がる方向に延びる。
【0033】
ACアダプタ保持部9は、第1胴部2の端部であって顕微鏡301への取り付け時に第1胴部2の上方に位置する端部(以下、上端部という)に連なり、第1胴部2の開口面と略平行な平板状をなす主板部91と、主板部91の二つの端部であって二つのフック5が並んだ方向に沿った二つの端部から主板部91と略直交する方向にそれぞれ延びる2つの側板部92とを有し、略C字状をなす。ACアダプタ保持部9が保持したACアダプタは、第1胴部2の上端部に載置される。
【0034】
以上の構成を有するコードハンガー1では、鉛直上方向へ過大な力が加わると、突出部73は、上方で横方向に5つ並んだスリットのうち中央に位置するスリット302dの上端でより食い込む方向に倒れる。したがって、コードハンガー1が顕微鏡301の本体から外れにくいという格別な効果を奏する。この意味で、コードハンガー1は、抜止部7のレバー部72を背面板302からある程度(例えば10mm程度)離れる方向へ引かないと背面板302から外すことができないようにしておけばより好ましい。この場合には、上向きの過大な力が加わっても、コードハンガー1が背面板302から不意に外れてしまう可能性が一段と低くなる。
【0035】
図8は、以上の構成を有するコードハンガー1の使用状態を示す図である。図8に示すように、コードハンガー1は、顕微鏡301の背面板302に固定された状態で電源モジュール101を保持する。電源モジュール101は、ACアダプタ102と、ACアダプタ102にL字コネクタ103を介して着脱自在に接続され、先端部に電源プラグ104が設けられた電源コード105と、ACアダプタ102から延在し、端部に出力コネクタ106が設けられた出力コネクタコード107とを有する。
【0036】
電源コード105の長さは、第1胴部2および第2胴部3に所定回数巻き付けた状態で、電源プラグ104が電源モジュール101の最下部付近で鉛直下方にぶら下がるように設定されている。このように電源コード105の長さを設定することにより、電源コード105の巻き付け反力による浮き上がりを防止して安定した状態で電源モジュールを収納することができる。なお、より一般に、電源コード105の長さは、第1胴部2および第2胴部3に所定回数巻き付けた状態で、電源プラグ104が電源モジュール101の重心よりも低い位置に位置するように設定すればよい。
【0037】
出力コネクタコード107は、第2胴部3および凹部4に所定回数巻き付けた状態で、出力コネクタ106が、顕微鏡301に設けられる入力コネクタ303に過不足なく取り付けられるような長さを有する。
【0038】
従来のコードハンガー201は、ACアダプタ102を保持する構成を有しておらず、電源モジュール101を固定して収納することができなかった。また、出力コネクタ106を顕微鏡301の本体に接続した状態でACアダプタ102が机上面から落下すると、出力コネクタ106に直接負荷が加わり、破損してしまう場合もあった。これに対し、本実施の形態のコードハンガー1は、ACアダプタ保持部9がACアダプタ102を保持するとともに、出力コネクタコード107をコードハンガー1へ巻き付けた状態で出力コネクタ106を入力コネクタ303に接続しているため、万が一ACアダプタ102を落下させてしまっても、出力コネクタ106及び入力コネクタ303に大きな衝撃が加わることがない。したがって、出力コネクタ106および入力コネクタ303の損傷を最小限に抑えることができる。
【0039】
図9は、コードハンガー1の顕微鏡301への取り付けの際の状態変化を側面から見た図である。図10は、コードハンガー1の顕微鏡301への取り付けの際の状態変化を背面板302の正面側から見た図である。なお、図9(a)と図10(a)、図9(b)と図10(b)は、それぞれ同じ状態を示している。
【0040】
まず、図9(a)および図10(a)に示すように、背面板302のスリット302a、302cにフック5、6の先端をそれぞれ挿入して抜止部7を背面板302の表面に当接させる。
【0041】
続いて、コードハンガー1を斜め下方向へ押しながらスライドさせる。このとき、抜止部7は、コードハンガー1が下降するにしたがって徐々に撓みが大きくなる。
【0042】
その後、突出部73の上端部73aがスリット302d内部へ進入してスリット302dの上端に当接することにより、コードハンガー1は、図9(b)および図10(b)に示すように、背面板302に固定された状態で取り付けられる。この際、突出部73の上端部73aは円筒形状をなしているため、スリット302dの上端に確実に接触させることができる。
【0043】
図11は、コードハンガー1を顕微鏡301の背面板302から取り外す状況を模式的に示す図である。コードハンガー1を背面板302から取り外す際、ユーザは、抜止部7のレバー部72を背面板302から遠ざかる方向へ回動させる(図11の矢印I)。この際には、ドライバDrを用いてレバー部72を回動させてもよいし、ユーザの指で直接レバー部72を回動させてもよい。レバー部72を回動させる際、ユーザは、レバー部72を回動させている手と異なる手でコードハンガー1を上方へスライドさせる(図11の矢印II)。これにより、突出部73が背面板302から退避してスリット302dとの当接状態が解除され、コードハンガー1を背面板302から取り外すことができる。なお、レバー部72を回動させる際には、ドライバDr以外の工具または治具を使用してもよい。
【0044】
図12は、コードハンガー1を顕微鏡301に取り付けて顕微鏡用の木箱へ収容した状態を示す部分断面図である。小中学校等の教育現場では、木箱を保管するために木箱の寸法に合った棚が設けられていることが多い。木箱の寸法が変化すると棚の寸法も変えなければならなくなるため、顕微鏡を新調する際に、従来の木箱をそのまま使用したいという要求が多い。このように、従来の木箱に合わせて収納可能な大きさの顕微鏡が求められている一方で、近年の顕微鏡は照明用の光源を備えているため、従来になかったACアダプタ102の収納スペースが必要となる。この点に関し、コードハンガー1は、ACアダプタ102を顕微鏡301の背面上方部のデッドスペースを利用して保持しているため、ACアダプタ102を収納するために収納スペースを拡大しないで済む。したがって、ユーザは、木箱401として従来品を使用しながら、顕微鏡301のみの買い替えを行うことが可能となる。
【0045】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、顕微鏡に掛止される複数のフックの先端が指向する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなし、複数のフックよりも長手方向の一方の端部の近くに位置し、顕微鏡に取り付けた状態で顕微鏡からの抜け止めを行う抜止部を備えているため、顕微鏡本体に対して着脱自在であり、顕微鏡本体への装着が容易であるとともに顕微鏡本体から外れにくいコードハンガーを提供することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、顕微鏡301に取り付けた場合、抜止部7のレバー部72が全てのフック5、6よりも上方に位置するため、ユーザが作業を行う際の視認性が良好であり、作業効率が高い。
【0047】
図13は、本実施の形態の変形例1に係るコードハンガーの抜止部の構成を示す側面図である。なお、図13に示す抜止部11以外のコードハンガーの構成は、上述したコードハンガー1の構成と同様である。
【0048】
抜止部11は、延在部111と、レバー部112と、突出部113とを有する。
延在部111およびレバー部112は、抜止部7の延在部71およびレバー部72とそれぞれ同じ構成を有している。
突出部113は、延在部111の先端部に設けられ、レバー部112が曲がる側と反対側に突出している。突出部113の上端部113aは、半円筒形状をなすとともに、延在部111が延びる方向に対して傾斜したテーパ形状をなしている。このような形状を有する上端部113aを備えることにより、鉛直上向きに過大な力が加わると、スリット302aへの食い込みが一段と大きくなる。したがって、本変形例1によれば、顕微鏡へ取り付けた状態でより確実な抜け止め効果を得ることができる。
【0049】
図14は、本実施の形態の変形例2に係るコードハンガーの抜止部の構成を示す側面図である。なお、図14に示す抜止部12以外のコードハンガーの構成は、上述したコードハンガー1の構成と同じである。
【0050】
抜止部12は、弾性部121と、延在部122と、レバー部123と、突出部124と、を有する。
弾性部121は、第1胴部2から延びるとともにレバー部123を介して加えられる外力によって弾性変形可能である。
延在部122は、弾性部121の先端から延在する。
レバー部123は、延在部122の先端から第1胴部2の中空部分へ曲がって略くの字状をなして延びる。
突出部124は、延在部122の先端に設けられ、延在部122が延びる方向と略直交する方向であってレバー部123が曲がるのと反対側に向けて突出する。突出部124の形状は上述した抜止部11の突出部113の形状と同じである。具体的には、突出部124は、上端部124aが延在部122が延びる方向から斜め方向であって延在部122からレバー部123が曲がるのと反対方向へ向けて突出している。
【0051】
以上の構成を有する抜止部12を備えたコードハンガーが一旦背面板302へ固定されると、弾性部121の作用により、突出部124の上端部124aは、スリット302dの上端を弾性力によって強く押圧し、スリット302dに食い込むように当接する。
【0052】
したがって、本変形例2によれば、一段と背面板302から外れにくいコードハンガーを提供することができる。このようなコードハンガーは、製造時に背面板302への取付を行った後に取り外すことが想定されないような場合に好適である。
【0053】
図15は、本実施の形態の変形例3に係るコードハンガーの構成を示す側面図である。図15において、コードハンガー1の構成要素と対応する構成要素には、コードハンガー1と同じ符号を付してある。
【0054】
図15に示すコードハンガー13は、電源コードを巻き付けるための側面を有する胴部131と、胴部131の中間部の側面に設けられ、コードハンガー13の幅方向(図15の場合、紙面に垂直な方向)に貫通する貫通孔部132とを有する。
【0055】
貫通孔部132は、コードハンガー1の凹部4と同じ機能を有している。すなわち、貫通孔部132には、出力コネクタコード107が巻き付けられる。このため、コードハンガー13においては、胴部131および貫通孔部132によってコード巻付部が構成されている。
【0056】
以上説明した本実施の形態の変形例3によれば、胴部に貫通孔部を設けているため、コードハンガーの強度をより強くすることができる。
【0057】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
【0058】
例えば、上述したコードハンガーの形状はあくまでも一例に過ぎず、同様の効果が得られる形状であれば任意に変更することが可能である。具体的には、コードハンガーにおける複数のフックの配置位置は、顕微鏡への取付時に上下方向に沿って配置される必要はなく、例えば顕微鏡への取り付け時に水平方向に並ぶように配置してもよい。
【0059】
このように、本発明は、上述した一実施の形態とは異なる様々な実施の形態等を含みうるものである。
【符号の説明】
【0060】
1、13、201 コードハンガー
2 第1胴部
3 第2胴部
4 凹部
5、6、203、204 フック
5a、6a、203a 切り欠き
5b、6b、203b ガイド部
7、11、12、205 抜止部
8、206、207 コード受け部
9 ACアダプタ保持部
21、31 突起部
71、111、122、205a 延在部
72、112、123、205b レバー部
73、113、124、205c 突出部
73a、113a、124a 上端部
91 主板部
92 側板部
101 電源モジュール
102 ACアダプタ
103 L字コネクタ
104 電源プラグ
105 電源コード
106 出力コネクタ
107 出力コネクタコード
121 弾性部
131、202 胴部
132 貫通孔部
301 顕微鏡
302 背面板
302a、302b、302c、302d、302e スリット
303 入力コネクタ
401 木箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コードを含む電源モジュールを介して電源を供給する顕微鏡に着脱自在に取り付けられ、前記電源モジュールを保持するコードハンガーであって、
前記電源コードが巻き付けられるコード巻付部と、
前記コード巻付部の表面からそれぞれ突出し、先端が当該コードハンガーの長手方向に沿って同じ方向を指向する鉤状をなす複数のフックと、
前記複数のフックの先端が指向する方向と反対方向へ延びる片持ち梁状をなし、前記複数のフックよりも前記長手方向の一方の端部の近くに位置し、当該コードハンガーを前記顕微鏡に取り付けた状態で前記顕微鏡からの抜け止めを行う抜止部と、
を備えたことを特徴とするコードハンガー。
【請求項2】
前記抜止部は、
当該コードハンガーの本体から延びる延在部と、
前記延在部の先端から、前記複数のフックが突出する側と反対側へ曲がって延びるレバー部と、
前記延在部の先端であって前記レバー部との境界付近に形成され、前記フックが突出する側と同じ側へ突出する突出部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のコードハンガー。
【請求項3】
前記コード巻付部は、
前記長手方向に沿って並べて配置され、前記長手方向の一端部で前記電源コードを巻き付けるための側面をそれぞれ有する第1および第2胴部と、
前記第1胴部と前記第2胴部の間に設けられ、前記第1および第2胴部よりも厚み方向に窪んだ形状をなす凹部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコードハンガー。
【請求項4】
前記コード巻付部は、
前記長手方向の両端部で前記電源コードを巻き付けるための側面を有する胴部と、
前記胴部の中間部の側面に設けられ、前記コード巻付部の幅方向に貫通する貫通孔部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコードハンガー。
【請求項5】
前記長手方向の端部であって前記複数のフックの先端が指向する方向と反対側の端部に設けられ、前記電源モジュールが有するACアダプタを保持するACアダプタ保持部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコードハンガー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−86899(P2013−86899A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227480(P2011−227480)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】