説明

ゴルフクラブシャフトの評価方法

【課題】ゴルフクラブシャフトの周方向における均一性を評価することができるゴルフクラブシャフトの評価方法を提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法は、ゴルフクラブシャフトについて、このゴルフクラブシャフトの長手方向と直交する第1の方向に振動させて、第1の方向の振動と、第1の方向と直交する第2の方向の振動とを同時に測定する工程と、ゴルフクラブシャフトの中心軸を回転中心として、第1の方向に対して、ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、相対的に回転させて、ゴルフクラブシャフトを第1の方向に振動させ、第1の方向の振動と第2の方向の振動とを同時に測定することを繰り返す工程と、ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定した第1の方向の振動および第2の方向の振動の組を用いてゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を評価する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブシャフトの周方向における均一性を評価するゴルフクラブシャフトの評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ゴルフクラブシャフトとして、金属により形成された金属製のゴルフクラブシャフトと、繊維強化複合材(FRP)で形成されたFRP製のゴルフクラブシャフトがある。金属製のゴルフクラブシャフトのうち、特に、スチール製のものはスチールシャフトと呼ばれ、FRP製のゴルフクラブシャフトのうち、カーボン繊維強化複合材(CFRP)で形成されたゴルフクラブシャフトはカーボンシャフトと呼ばれている。
金属製のゴルフクラブシャフトは、シャフトを構成する金属が等方性を有するものであるため、ゴルファが試打したときに感覚的に感じる、シャフトの周方向において変形特性が異なることが起こりにくい。
【0003】
これに対して、FRP製のゴルフクラブシャフトは、例えば、シート状のFRPを芯となる金属棒に巻きつけて形成している。FRP製のゴルフクラブシャフトにおいては、形成時に、FRPを金属棒に巻きつけたとき、FRPが重なる部分が生じ、周方向において厚さが不均一な部分が生じる。また、FRP自体にも異方性がある。これらのことから、FRP製のゴルフクラブシャフトにおいては、シャフトの周方向において変形特性が異なることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴルファが試打したとき、ゴルフクラブシャフトにおいて、シャフトの周方向において変形特性が異なると(左右のぶれが発生すると)、打感および打球の方向性に影響がある。
しかしながら、このゴルフクラブシャフトの周方向において変形特性が異なること(ゴルフクラブシャフトの左右ぶれ)について、定量的な評価方法はなく、ゴルフクラブシャフトの周方向において変形特性が異なることについては、ゴルファが感覚的に感じるものであり、例えば、このゴルフクラブシャフトはぶれやすい等、感覚的な評価にとどまっているのが現状である。
【0005】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、ゴルフクラブシャフトの周方向における均一性を評価することができるゴルフクラブシャフトの評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ゴルフクラブシャフトについて、前記ゴルフクラブシャフトの長手方向と直交する第1の方向に振動させて、前記第1の方向の振動と、前記第1の方向と直交する第2の方向の振動とを同時に測定する工程と、前記ゴルフクラブシャフトの中心軸を回転中心として、前記第1の方向に対して、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、相対的に回転させて、前記ゴルフクラブシャフトを前記第1の方向に振動させ、前記第1の方向の振動と、前記第2の方向の振動とを同時に測定することを繰り返す工程と、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定した前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動の組を用いて前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を評価する工程を有することを特徴とするゴルフクラブシャフトの評価方法を提供するものである。
【0007】
本発明の第2の態様においては、ゴルフクラブシャフトの一方の端部を固定し、他方の端部を前記ゴルフクラブシャフトの長手方向に対して直交する第1の方向に振動させ、前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向の振動と前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向および前記長手方向と直交する第2の方向の振動とを同時に所定の時間測定する第1の工程と、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、前記ゴルフクラブの中心軸を回転中心として回転させた後、前記一方の端部を固定し、前記他方の端部を前記第1の方向に振動させ、前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向の振動と前記ゴルフクラブシャフトの前記第2の方向の振動とを同時に所定の時間測定することを繰返し行う第2の工程と、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定した前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動の組を用いて、前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を評価する第3の工程とを有することを特徴とするゴルフクラブシャフトの評価方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明においては、前記第3の工程の前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動との組みは、前記第1の工程および前記第2の工程で得られた各前記第1の方向の振動の時系列データおよび各前記第2の方向の振動の時系列データを、それぞれ所定の時間間隔で複数のブロックに分割し、各前記第1の方向の振動の時系列データの前記各ブロック毎に前記第1の方向の振動の二乗和の平方根を計算し前記第1の方向の平均振幅を得るとともに、各前記第2の方向の振動の時系列データの前記各ブロック毎に前記第2の方向の振動の二乗和の平方根を計算し前記第2の方向の平均振幅を得て、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定された前記第1の方向の振動の時系列データの各ブロックの前記第1の方向の平均振幅と、前記第2の方向の振動の時系列データの各ブロックの前記第2の方向の平均振幅とを組として対応付けたものであることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明においては、前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、各ブロックの前記第2の方向の平均振幅のうち、最大値が用いられることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、各ブロックの第2の方向の平均振幅の全てを平均した平均値が用いられることが好ましい。
また、本発明においては、前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、縦軸が前記第1の方向の平均振幅、横軸が前記第2の方向の平均振幅の座標系に、前記各位置で測定されて得られた前記各ブロックの前記第1の方向の平均振幅および前記各ブロックの前記第2の方向の平均振幅の組を点としてプロットし、前記第1の方向に振動を開始させたブロック順に前記各点を接続した線と、前記縦軸または前記横軸との間で形成される領域の大きさが用いられることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明においては、前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動は、それぞれ加速度の振動であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法によれば、ゴルフクラブシャフトについて、ゴルフクラブシャフトの長手方向と直交する第1の方向に振動させて、第1の方向の振動と、第1の方向と直交する第2の方向の振動とを同時に測定し、ゴルフクラブシャフトの中心軸を回転中心として、第1の方向に対して、ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、相対的に回転させて、ゴルフクラブシャフトを第1の方向に振動させ、第1の方向の振動と第2の方向の振動とを同時に測定することを繰り返すだけであるため、ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を容易に評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法に用いられる振動測定装置を示す模式図であり、(b)は、図1(a)に示す振動測定装置における第1の加速度センサ、および第2の加速度センサの取り付け位置を拡大して示す模式図である。
【0013】
図1に示すように、振動測定装置10は、ゴルフクラブシャフト22の振動を測定するものであり、ゴルフクラブシャフト22を固定する固定部12と、ゴルフクラブシャフト22の振動を検出する第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16と、FFTアナライザ18と、コンピュータ(以下、PCという)20とを有する。
本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法においては、評価するゴルフクラブシャフト22の種類は、特に限定されるものではない。評価するゴルフクラブシャフト22としては、例えば、カーボンシャフト、およびスチールシャフトを評価することができる。
【0014】
本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法においては、例えば、評価するゴルフクラブシャフト22の後端部24aを固定し、先端部24bを振動させて、ゴルフクラブシャフト22の振動特性を測定する。
ここで、ゴルフクラブシャフト22の後端部24aとは、ゴルフクラブシャフト22をゴルフクラブヘッド(図示せず)に取り付け、ゴルフクラブ(図示せず)とする場合、グリップ(図示せず)が取り付けられる側の端部のことである。
ゴルフクラブシャフト22の先端部24bとは、ゴルフクラブヘッド(図示せず)に取り付ける側の端部のことである。また、ゴルフクラブシャフトの長さは、例えば、1170mmである。
【0015】
本実施形態の振動測定装置10において、固定部12は、ゴルフクラブシャフト22の後端部24aを固定するものである。この固定部12は、例えば、水平面Bの上に設けられている。固定部12にゴルフクラブシャフト22が固定された場合、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cが水平面Bと平行になる。
また、固定部12におけるゴルフクラブシャフト22の後端部24aの長さは、例えば、170mmである。
なお、固定部12のゴルフクラブシャフト22の固定方法は、特に限定されるものではない。
【0016】
第1の加速度センサ14は、ゴルフクラブシャフト22の長手方向Lと直交する上下方向(第1の方向)Vにおけるゴルフクラブシャフト22の先端部24bの振動を測定するものである。なお、上下方向Vは、水平面Bに対して垂直である。
この第1の加速度センサ14は、例えば、ゴルフクラブシャフト22の先端22aから後端部24a側に30mm離れた位置で、かつゴルフクラブシャフト22の周面22bにおいて、水平面Bから上記上下方向Vにおける距離が最も離れた位置に設けられている。換言すれば、第1の加速度センサ14は、ゴルフクラブシャフト22の先端22aから後端部24a側に30mm離れた位置で、かつゴルフクラブシャフト22の周面22bにおいて、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを通り上記上下方向Vと平行な線Y上に設けられている。この第1の加速度センサ14が設けられる位置を第1の取付位置αという。
【0017】
第2の加速度センサ16は、ゴルフクラブシャフト22の長手方向Lおよび上下方向Vと直交する左右方向(第2の方向)Hにおけるゴルフクラブシャフト22の先端部24bの振動を測定するものである。
この第2の加速度センサ16は、第1の加速度センサ14を、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを回転中心にして90°回転させた位置に設けられている。換言すれば、第2の加速度センサ16は、ゴルフクラブシャフト22の先端22aから後端部24a側に30mm離れた位置で、かつゴルフクラブシャフト22の周面22bにおいて、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを通り長手方向Lおよび上下方向Vと直交する左右方向Hと平行な線X上に設けられている。この第2の加速度センサ16が設けられる位置を第2の取付位置βという。
【0018】
本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22の先端22aに、水平面Bに向う下方向Vに、例えば、20mmの変位を与えてゴルフクラブシャフト22を自由減衰振動させる。このとき、第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16により、ゴルフクラブシャフト22の自由減衰振動が加速度として測定される。
【0019】
FFTアナライザ18は、第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16に接続されており、第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16のそれぞれから得られた加速度信号を時系列で取り込み、PC20に出力するものである。
このFFTアナライザ18においては、例えば、第1の加速度センサ14の加速度信号、および第2の加速度センサ16の加速度信号について、それぞれ振動を開始してから例えば、1ミリ秒のサンプリング周期で4秒間(サンプリング時間)取り込む。FFTアナライザ18により、第1の加速度センサ14による上下方向Vの加速度(第1の加速度)の時系列データ(時間波形)が得られ、第2の加速度センサ16による左右方向Hの加速度(第2の加速度)の時系列データ(時間波形)が得られる。
【0020】
なお、FFTアナライザ18による加速度信号についてのサンプリング周期は、1ミリ秒に限定されるものではなく、要求される振動の測定精度に応じて適宜変更可能である。
さらには、FFTアナライザ18による加速度信号についての取り込み時間(サンプリング時間)も、4秒に限定されるものではなく、ゴルフクラブシャフト22の特性、要求される振動の測定精度に応じて適宜変更可能である。
【0021】
PC20は、FFTアナライザ18からの上下方向Vの加速度の時系列データ、および左右方向Hの加速度の時系列データを、例えば、100ミリ秒毎に分割し、この分割したものを1ブロックとする。この場合、4秒間の時間波形を100ミリ秒毎に分割しているため、上下方向Vの加速度の時系列データ、および左右方向Hの加速度の時系列データは、それぞれ40ブロックに分割される。本実施形態においては、1ブロックには100個の加速度信号の値が含まれる。
なお、1ブロックは、100ミリ秒に限定されるものではなく、ゴルフクラブシャフト22の特性、要求される振動の測定精度に応じて適宜変更可能である。
【0022】
また、PC20は、上下方向Vの加速度の時系列データの各ブロック毎に加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に、上下方向Vの平均加速度(以下、上下平均加速度という)を求める。
さらに、左右方向Hの加速度の時系列データの各ブロック毎に加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に、左右方向Hの平均加速度(以下、左右平均加速度という)を求める。
【0023】
PC20においては、例えば、同時に測定して得られた上下平均加速度(上下方向Vの加速度)の時系列データおよび左右平均加速度(左右方向Hの加速度)の時系列データについて40ブロックに分割する場合、各ブロックに番号を付し、この番号により、上下方向Vの加速度のブロックと左右方向Hの加速度のブロックとを組として対応付ける。これにより、求められた各ブロックの上下方向Vの平均加速度と、各ブロックの左右方向Hの平均加速度とを組として対応付けることができる。
なお、本実施形態においては、後述するように、1つのゴルフクラブシャフト22について、周方向θに回転させて、振動を測定する。周方向θに回転させて測定を繰り返すため、振動のレベルはばらつく。このため、ゴルフクラブシャフト22の初期変位を基準化するために各測定において、ブロックのうち、加速度が最大値をとる振動開始直後の1ブロック目の平均加速度を一定に揃える。これに合わせて各ブロックの平均加速度の値を正規化する。
【0024】
PC20は、一般的なパーソナルコンピュータと同様の構成を有するものであり、CPU、メモリを備え、キーボード、マウスなどのコンピュータの入力に用いられる入力部と、入力部からの入力情報およびCPUで情報処理された情報を表示するLCDなどの表示部とを有する。
なお、PC20は、FFTアナライザ18による第1の加速度センサ14の加速度信号、および第2の加速度センサ16の加速度信号の取り込むこともできる。この場合、第1の加速度センサ14の加速度信号、および第2の加速度センサ16の加速度信号をAD変換するAD変換ボードをPC20に組み込み、各加速度信号をコンピュータ20に直接取り込む構成としてもよい。
【0025】
次に、本実施形態のゴルフクラブシャフトの評価方法について、ゴルフクラブシャフト22に、長さが1170mmのカーボンシャフトを例に説明する。
図2(a)〜(d)は、図1に示す振動測定装置によるゴルフクラブシャフトの振動の測定方法を工程順に示す模式図である。
【0026】
先ず、図1(a)に示す振動測定装置10の固定部12にゴルフクラブシャフト22の後端部24aを、例えば、170mmの固定長さで固定する。この固定部12によるゴルフクラブシャフト22の固定圧力は、例えば、19.6N(2kgf)である。
【0027】
次に、第1の加速度センサ14を、ゴルフクラブシャフト22の先端22aから30mm、かつゴルフクラブシャフト22の周面22bにおける中心軸Cを通る線Y上、すなわち、第1の取付位置αに取り付ける。
第2の加速度センサ16を、第1の加速度センサ14の位置から、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを回転中心として90°回転させた位置、すなわち、第2の取付位置βに取り付ける。
ここで、ゴルフクラブシャフト22を評価する場合、初めに振動を測定するとき、図2(a)に示すように、例えば、ゴルフクラブシャフト22の先端22aにマーク26をつける。このマーク26の位置を、例えば、基準位置(第1の位置)とする。
【0028】
なお、本実施形態においては、後述するように、ゴルフクラブシャフト22を周方向θ(図2(a)参照)に回転させて振動計測を複数回行うが、ゴルフクラブシャフト22が回転しても第1の加速度センサ14を取り付ける第1の取付位置α、および第2の加速度センサ16を取り付ける第2の位置βは変わらない。
【0029】
ゴルフクラブシャフト22の後端部24aを固定し、第1の加速度センサ14と第2の加速度センサ16とを取り付けた後、ゴルフクラブシャフト22の先端22aを下方向Vに20mm変位させた後、先端22aを解放する。これにより、ゴルフクラブシャフト22の先端部24aが振動する。
このとき、第1の加速度センサ14により上下方向Vの加速度(以下、上下加速度という)が測定され、第2の加速度センサ16により左右方向Hの加速度(以下、左右加速度という)が同時に測定され、各加速度の信号がFFTアナライザ18に出力され、FFTアナライザ18に取り込まれる。
【0030】
本実施形態においては、FFTアナライザ18には、先端22aを解放した後、例えば、1ミリ秒のサンプリング周期で4秒間(サンプリング時間)の加速度信号が取得される。これにより、第1の位置における図3(a)に示すように、第1の位置における上下加速度の時系列データ、および図3(b)に示すように、第1の位置における左右加速度の時系列データが得られる。
【0031】
次に、第1の加速度センサ14と第2の加速度センサ16とをゴルフクラブシャフト22から外すとともに、固定部12からゴルフクラブシャフト22を外す。
次に、図2(b)に示すように、図2(a)の基準位置(第1の位置)からゴルフクラブシャフト22を中心軸Cを回転軸として周方向θに45°回転させ、固定部12でゴルフクラブシャフト22の後端部24aを固定する。この位置を第2の位置という。
次に、第1の加速度センサ14を第1の取付位置αに取り付け、第2の加速度センサ16を第2の取付位置βに取り付ける。
そして、ゴルフクラブシャフト22の先端22aを下方向Vに20mm変位させた後、先端22aを解放し、ゴルフクラブシャフト22の先端部24aを振動させる。
このとき、第1の加速度センサ14により上下加速度が、第2の加速度センサ16により左右加速度が、それぞれ同時に測定され、FFTアナライザ18に、先端22aを解放した後、例えば、1ミリ秒のサンプリング周期で4秒間の加速度信号が取得される。これにより、図3(c)に示すように、第2の位置における上下加速度の時系列データ、および図3(d)に示すように、第2の位置における左右加速度の時系列データが得られる。
【0032】
更に、本実施形態においては、図2(c)に示すように、図2(b)の第2の位置からゴルフクラブシャフト22を周方向θに45°回転させる。この位置を第3の位置という。
次に、上述のように、第1の加速度センサ14を第1の取付位置αに取り付け、第2の加速度センサ16を第2の取付位置βに取り付ける。そして、ゴルフクラブシャフト22の先端22aを下方向Vに20mm変位させた後、先端22aを解放し、ゴルフクラブシャフト22の先端部24aを振動させ、第1の加速度センサ14により上下加速度が、第2の加速度センサ16により左右加速度が、それぞれ同時に測定される。FFTアナライザ18に、先端22aを解放した後、例えば、1ミリ秒のサンプリング周期で4秒間の加速度信号が取得される。これにより、図3(e)に示すように、第3の位置における上下加速度の時系列データ、および図3(f)に示すように、第3の位置における左右加速度の時系列データが得られる。
【0033】
さらにまた、本実施形態においては、図2(d)に示すように、図2(c)の位置からゴルフクラブシャフト22を周方向θに45°回転させる。この位置を第4の位置という。
次に、上述のように、第1の加速度センサ14を第1の取付位置αに取り付け、第2の加速度センサ16を第2の取付位置βに取り付ける。そして、ゴルフクラブシャフト22の先端22aを下方向Vに20mm変位させた後、先端22aを解放し、ゴルフクラブシャフト22の先端部24aを振動させ、第1の加速度センサ14により上下加速度が、第2の加速度センサ16により左右加速度が、それぞれ同時に測定される。FFTアナライザ18に、先端22aを解放した後、例えば、1ミリ秒のサンプリング周期で4秒間の加速度信号が取得される。これにより、図3(g)に示すように、第4の位置における上下加速度の時系列データ、および図3(h)に示すように、第4の位置における左右加速度の時系列データが得られる。
【0034】
次に、第1の位置〜第4の位置で得られた図3(a)、図3(c)、図3(e)および図3(g)に示す上下加速度の各時系列データについて、PC20で、上下加速度の加速度信号の取得間隔を100ミリ秒毎に1ブロックとして分割し、合計40ブロックに分割する。そして、各ブロックについて加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に、上下平均加速度を得る。
【0035】
次に、第1の位置〜第4の位置で得られた図3(b)、図3(d)、図3(f)および図3(h)に示す左右加速度の各時系列データについて、PC20で、左右加速度の加速度信号の取得間隔を100ミリ秒毎に1ブロックとして分割し、合計40ブロックに分割する。そして、各ブロックについて加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に、左右平均加速度を得る。
【0036】
各ブロックにおいて求められた上下平均加速度、および左右平均加速度を対応付け組みとする。この場合、分割する40ブロックそれぞれに、振動開始直後から順に、1番から、番号を付しておき、この番号により上下平均加速度および左右平均加速度について、この番号を一致させることにより、組として対応付ける。
例えば、図4に示すように、縦軸を上下平均加速度とし、横軸を左右平均加速度をとした座標系に、各ブロックで求められて対応付けられた上下平均加速度および左右平均加速度の組を点として、プロットすることができる。
【0037】
本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22を評価する場合、例えば、図4に示すように左右加速度が大きい程、左右ぶれ(ゴルフクラブシャフト22の周方向において変形特性が異なること)が大きいものと評価できる。
また、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに回転させて測定した第1の位置〜第4の位置のうち、左右加速度が最も大きい位置が左右ぶれ(ゴルフクラブシャフト22の周方向において変形特性が異なること)が大きいところと評価できる。これにより、ゴルフクラブシャフト22が、どの向きで左右ぶれが発生するかを評価できるため、左右ぶれ(ゴルフクラブシャフト22の周方向において変形特性が異なること)が発生する向きを特定することができる。
このように、本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22のゴルフクラブシャフト22の周方向における均一性を評価することができる。
また、本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22の周方向における均一性を評価する際には、ゴルフクラブシャフト22の先端部24bの上下加速度および左右加速度を測定すればよいため、容易に評価することができる。
なお、本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22の先端22aに付けたマーク26の位置を、基準位置(第1の位置)として、ゴルフクラブシャフト22を回転させて振動を測定したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ゴルフクラブシャフト22を固定し、このゴルフクラブシャフト22のマーク26の位置を基準位置として振動方向、すなわち、振動させる向きを変更し、振動を測定する方向を変更してもよい。
【0038】
なお、本発明においては、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性の評価は、例えば、各ブロックの左右平均加速度のうち、最大値を用いて評価してもよい。この場合、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに回転させた程度に依らず、図4に示される点の左右平均加速度の最大値、すなわち、点pの左右平均加速度の値Aにより評価する。
また、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性の評価は、例えば、各ブロックの左右平均加速度の全てを平均した平均値を用いて評価してもよい。この場合、図4に示される全ての点のプロットにおける左右平均加速度の平均値で評価する。
【0039】
さらに、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性の評価は、図4に示すように、上下平均加速度と左右平均加速度との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、上下平均加速度を示す縦軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。例えば、図4に示すように、第1の位置(◇マーク)、第2の位置(□マーク)、第3の位置(○マーク)、および第4の位置(◆マーク)で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域Dの面積で評価する。
この領域Dは、第3の位置で測定して得られた各点をブロック順に接続した線mと上下平均加速度を示す縦軸との間で形成される領域である。
ここで、ブロック順とは、上下加速度または左右加速度の時系列データをブロックに分割するとき、振動開始直後から順に、各ブロックに付した番号の順番のことである。
【0040】
また、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性の評価は、上下平均加速度と左右平均加速度との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、左右平均加速度を示す横軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。
この場合においても、例えば、第1の位置〜第4の位置で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域の面積で評価する。
【0041】
なお、本実施形形態のゴルフクラブシャフト22の評価方法は、カーボンシャフトの評価に限定されるものではない。例えば、スチールシャフトについて、カーボンシャフトと同様に、振動測定装置10を用いて第1の位置〜第4の位置で、それぞれ上下加速度と左右加速度との測定を行い、図3(a)〜(h)に示されるような上下加速度と左右加速度の時系列データ(時間波形)を得ることができる。
【0042】
上下加速度および左右加速度の各時系列データ(時間波形)について、上述のように、上下加速度の時系列データの各ブロック毎に加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に、上下平均加速度を得る。また、左右加速度の時系列データの各ブロック毎に加速度信号の値の二乗和の平方根を計算し、1ブロック毎に左右平均加速度を得る。そして、上述のように、各ブロックの上下平均加速度と、各ブロックの左右平均加速度との組みを対応付ける。
例えば、図5に示すように、縦軸を上下平均加速度とし、横軸を左右平均加速度をとした座標系に、各ブロックで求められて組として対応付けられた上下平均加速度および左右平均加速度の組を点としてプロットする。
【0043】
ゴルフクラブシャフト22として、スチールシャフトを評価する場合、上述のカーボンシャフトと同様に、図5に示すように、左右平均加速度が大きい程、左右ぶれ(ゴルフクラブシャフト22の周方向において変形特性が異なること)が大きいものと評価できる。また、上述のように、図5に示す第1の位置(□マーク)、第2の位置(◇マーク)、第3の位置(△マーク)、および第4の位置(+マーク)のうち、左右加速度が最も大きい位置から、ゴルフクラブシャフト22が、どの向きで左右ぶれ(ゴルフクラブシャフト22の周方向において変形特性が異なること)が発生するかを特定することもできる。
【0044】
また、スチールシャフトについても、カーボンシャフトと同様に、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに回転させた程度に依らず、図5に示される点の左右平均加速度の最大値(各ブロックの左右平均加速度のうち最大値)、すなわち、点pの左右平均加速度の値Aにより評価することができる。
また、例えば、各ブロックの左右平均加速度の全ての平均値で、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性を評価してもよい。この場合、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに回転させた程度に依らず、図5に示される全てのプロットにおける左右平均加速度の平均値、すなわち、各ブロックの左右平均加速度の全てを平均した平均値を用いて評価する。
【0045】
さらに、図5に示すように、上下平均加速度と左右平均加速度との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、上下平均加速度を示す縦軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。この場合、例えば、図5に示すように、第1の位置〜第4の位置で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域Dの面積で評価する。
この領域Dは、第2の位置(◇マーク)で測定して得られた各点をブロック順に接続した線mと上下平均加速度を示す縦軸との間で形成される領域である。
【0046】
また、ゴルフクラブシャフト22の周方向の均一性の評価は、上下平均加速度と左右平均加速度との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、左右平均加速度を示す横軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。
この場合においても、例えば、第1の位置〜第4の位置で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域の面積で評価する。
【0047】
なお、図4に示すカーボンシャフトと、図5に示すスチールシャフトとを比較した場合、スチールシャフトの方が左右平均加速度の値が小さく、かつばらつきも少ないため、スチールシャフトは、カーボンシャフトよりも周方向の均一性が良い。このことから、本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法による周方向の均一性の評価は、一般的に言われているゴルフクラブシャフトの左右のぶれ(ゴルフクラブシャフトの周方向において変形特性が異なること)についての感覚的な評価と一致する。
【0048】
本実施形態においては、1つのゴルフクラブシャフト22について、周方向θに45°ずつ回転させて、合計4回、上下加速度、および左右加速度を測定したが、これに限定されるものではない。本実施形態においては、例えば、測定範囲が、ゴルフクラブシャフト22を最初の測定位置から180°の範囲であること好ましく、この範囲であれば、測定する度に変える角度、および測定回数は、特に限定されるものではない。
【0049】
また、本実施形態においては、第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16を用いたが、本発明においては、ゴルフクラブシャフト22について第1の取付位置αで上下方向Vの振動を測定でき、第2の取付位置βにおいて左右方向Hの振動を測定することができれば、これに限定されるものではない。第1の加速度センサ14および第2の加速度センサ16に代えて、例えば、レーザドップラー振動計、または超音波振動計などの非接触式の振動計を用いることができる。
非接触式の振動計を用いた場合、加速度センサのように質量体をゴルフクラブシャフト22に取り付ける必要がなくなるため、より高い精度で、上下方向Vの振動および左右方向Hの振動を測定することができる。
【0050】
このように非接触式の振動計を用いた場合、上述の実施形態における加速度が振動の振幅の値に変わり、上下加速度が上下振幅(第1の方向の振幅の値)、左右加速度が左右振幅(第2の方向の振幅の値)となる。
また、上下振幅の二乗和の平方根を計算することにより上下平均振幅(第1の方向の平均振幅)が得られ、さらに、左右振幅の二乗和の平方根を計算することにより左右平均加速度が左右平均振幅(第2の方向の平均振幅)が得られる。上下平均振幅が、本実施形態の上下平均加速度に相当し、左右平均振幅が本実施形態の左右平均加速度に相当する。
これらの点が本実施形態と異なるものの、それ以外については、本実施形態の同様に、上下平均振幅および左右平均振幅に基づいて、本実施形態の上下平均加速度および左右平均加速度と同様に、ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性について評価することができる。
【0051】
また、ゴルフクラブシャフトを評価する場合、左右平均振幅の最大値(各ブロックの左右平均振幅のうち最大値)で評価することもでき、また、各ブロックの左右平均振幅の全ての平均値で評価することもできる。
更には、縦軸を上下平均振幅とし、横軸を左右平均振幅とした座標系において、上下平均振幅と左右平均振幅との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、上下平均振幅を示す縦軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。この場合、第1の位置〜第4の位置で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域の面積で評価する。
さらには、上下平均振幅と左右平均振幅との組みを、点としてプロットした場合、各点をブロック順に接続した線と、例えば、左右平均振幅を示す横軸との間で形成される領域の大きさで評価してもよい。
この場合においても、例えば、第1の位置〜第4の位置で測定して得られた各種の点のうち、最も大きい領域の面積で評価する。
【0052】
なお、本実施形態においては、ゴルフクラブシャフト22を振動させる方向を下方向Vとし、第1の加速度センサ14の第1の取付位置αおよび第2の加速度センサ16の第2の取付位置βを固定したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに回転させることなく固定し、第1の加速度センサ14の第1の取付位置および第2の加速度センサ16の第2の取付位置を、ゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを回転中心として、所定の角度回転させた位置に変え、さらに第1の加速度センサ14の第1の取付位置αに対して鉛直方向に、ゴルフクラブシャフト22の先端22aに変位させて振動をさせてもよい。
このように、本発明においては、ゴルフクラブシャフト22を振動させる方向の振動と、この振動させる方向と直交する方向の振動とを測定することができ、かつゴルフクラブシャフト22の中心軸Cを回転中心として、振動させる方向に対して、ゴルフクラブシャフト22を周方向θに所定の角度、相対的に回転させて、ゴルフクラブシャフト22について、振動させる方向の振動と、この振動させる方向と直交する方向の振動とを同時に測定することができれば、その振動させる方向および測定方法については、特に限定されるものではない。
【0053】
本発明は、基本的に以上のようなものである。以上、本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は、本発明のゴルフクラブシャフトの評価方法に用いられる振動測定装置を示す模式図であり、(b)は、図1(a)に示す振動測定装置における第1の加速度センサ、および第2の加速度センサの取り付け位置を拡大して示す模式図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1に示す振動測定装置によるゴルフクラブシャフトの振動の測定方法を工程順に示す模式図である。
【図3】(a)は、縦軸に上下加速度をとり、横軸に時間をとって第1の加速度センサにより得られた基準位置におけるカーボンシャフトの上下加速度の時系列データであり、(b)は、縦軸に左右加速度をとり、横軸に時間をとって第2の加速度センサにより得られた基準位置におけるカーボンシャフトの左右加速度の時系列データであり、(c)は、縦軸に上下加速度をとり、横軸に時間をとって第1の加速度センサにより得られた第2の位置におけるカーボンシャフトの上下加速度の時系列データであり、(d)は、縦軸に左右加速度をとり、横軸に時間をとって第2の加速度センサにより得られた第2の位置におけるカーボンシャフトの左右加速度の時系列データであり、(e)は、縦軸に上下加速度をとり、横軸に時間をとって第1の加速度センサにより得られた第3の位置におけるカーボンシャフトの上下加速度の時系列データであり、(f)は、縦軸に左右加速度をとり、横軸に時間をとって第2の加速度センサにより得られた第3の位置におけるカーボンシャフトの左右加速度の時系列データであり、(g)は、縦軸に上下加速度をとり、横軸に時間をとって第1の加速度センサにより得られた第4の位置におけるカーボンシャフトの上下加速度の時系列データであり、(h)は、縦軸に左右加速度をとり、横軸に時間をとって第2の加速度センサにより得られた第4の位置におけるカーボンシャフトの左右加速度の時系列データである。
【図4】縦軸に上下平均加速度をとり、横軸に左右平均加速度をとって、カーボンシャフトにおける上下平均加速度と左右平均加速度との関係を示すグラフである。
【図5】縦軸に上下平均加速度をとり、横軸に左右平均加速度をとって、スチールシャフトにおける上下平均加速度と左右平均加速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
10 振動測定装置
12 固定部
14 第1の加速度センサ
16 第2の加速度センサ
18 FFTアナライザ
20 コンピュータ(PC)
22 ゴルフクラブシャフト
22a 先端
24a 後端部
24b 先端部
26 マーク
C 中心軸
L 長手方向
α 第1の取付位置
β 第2の取付位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブシャフトについて、前記ゴルフクラブシャフトの長手方向と直交する第1の方向に振動させて、前記第1の方向の振動と、前記第1の方向と直交する第2の方向の振動とを同時に測定する工程と、
前記ゴルフクラブシャフトの中心軸を回転中心として、前記第1の方向に対して、前記ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、相対的に回転させて、前記ゴルフクラブシャフトを前記第1の方向に振動させ、前記第1の方向の振動と、前記第2の方向の振動とを同時に測定することを繰り返す工程と、
前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定した前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動の組を用いて前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を評価する工程を有することを特徴とするゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項2】
ゴルフクラブシャフトの一方の端部を固定し、他方の端部を前記ゴルフクラブシャフトの長手方向に対して直交する第1の方向に振動させ、前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向の振動と前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向および前記長手方向と直交する第2の方向の振動とを同時に所定の時間測定する第1の工程と、
前記ゴルフクラブシャフトを周方向に所定の角度、前記ゴルフクラブの中心軸を回転中心として回転させた後、前記一方の端部を固定し、前記他方の端部を前記第1の方向に振動させ、前記ゴルフクラブシャフトの前記第1の方向の振動と前記ゴルフクラブシャフトの前記第2の方向の振動とを同時に所定の時間測定することを繰返し行う第2の工程と、
前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定した前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動の組を用いて、前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性を評価する第3の工程とを有することを特徴とするゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項3】
前記第3の工程の前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動との組みは、
前記第1の工程および前記第2の工程で得られた各前記第1の方向の振動の時系列データおよび各前記第2の方向の振動の時系列データを、それぞれ所定の時間間隔で複数のブロックに分割し、
各前記第1の方向の振動の時系列データの前記各ブロック毎に前記第1の方向の振動の二乗和の平方根を計算し前記第1の方向の平均振幅を得るとともに、各前記第2の方向の振動の時系列データの前記各ブロック毎に前記第2の方向の振動の二乗和の平方根を計算し前記第2の方向の平均振幅を得て、
前記ゴルフクラブシャフトを周方向に回転させた各位置で測定された前記第1の方向の振動の時系列データの各ブロックの前記第1の方向の平均振幅と、前記第2の方向の振動の時系列データの各ブロックの前記第2の方向の平均振幅とを組として対応付けたものである請求項2に記載のゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項4】
前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、各ブロックの前記第2の方向の平均振幅のうち、最大値が用いられる請求項3に記載のゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項5】
前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、各ブロックの第2の方向の平均振幅の全てを平均した平均値が用いられる請求項3に記載のゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項6】
前記第3の工程の前記ゴルフクラブシャフトの周方向の均一性の評価は、縦軸が前記第1の方向の平均振幅、横軸が前記第2の方向の平均振幅の座標系に、前記各位置で測定されて得られた前記各ブロックの前記第1の方向の平均振幅および前記各ブロックの前記第2の方向の平均振幅の組を点としてプロットし、前記第1の方向に振動を開始させたブロック順に前記各点を接続した線と、前記縦軸または前記横軸との間で形成される領域の大きさが用いられる請求項3に記載のゴルフクラブシャフトの評価方法。
【請求項7】
前記第1の方向の振動および前記第2の方向の振動は、それぞれ加速度の振動である請求項1または2に記載のゴルフクラブシャフトの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−172052(P2009−172052A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11797(P2008−11797)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】