説明

ゴルフクラブ計測システム及びゴルフクラブ

【課題】シャフトに取り付けられたセンサから外部装置に信号を伝達するとともに、スイングされているときのシャフトの挙動が、その信号を伝達する配線が取り付けられていないときに比べて変化する度合い、を抑制すること。
【解決手段】センサ用配線20は、板体200と、接続部300と、コネクタ部400と、導線500とを備える。板体200は、ポリエチレンテレフタレートで形成された基板である。板体200には、接続部300及びコネクタ部400を介してセンサと外部装置との間で信号を伝達する導線が設けられている。センサ用配線20は、板体200の面をゴルフクラブのシャフトの表面に沿って撓ませた状態で取り付けられる。これにより、センサ用配線20は、スイング中に生じる空気抵抗を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのシャフトの物理量を計測するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフクラブのシャフトに取り付けたセンサからひずみ又はねじれ等、様々な物理量を計測することが行われている。これらの物理量は、ゴルフクラブを固定した状態で何らかの負荷をかけて計測されたものよりも、ゴルフクラブがスイングされているときに計測されたものの方が、ゴルフクラブのスイング又はゴルフボールの飛びに与える影響等を評価する上で望ましい。特許文献1には、シャフト上の任意の2点にひずみゲージを取り付け、ゴルフクラブのスイング中にこれらの2点でシャフトに生じるひずみを計測することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−102886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゴルフクラブのシャフトは、ヘッドに数グラムの重りを取り付けただけで、スイング中の挙動に影響が現れるものである。上記計測をするにあたり、シャフトに取り付けたひずみゲージとひずみを計測する装置とを電気的に接続するため、例えば配線用のケーブルをシャフトに取り付けると、取り付けたケーブルの重さによってシャフトの挙動が変化する。また、シャフトの挙動は、スイング中にそのケーブルが受ける空気抵抗による力が加わることによっても変化する。よって、上記計測にケーブルを用いると、このように挙動が変化したシャフトにおける物理量が計測されてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、シャフトに取り付けられたセンサから外部装置に信号を伝達するとともに、スイングされているときのシャフトの挙動が、その信号を伝達する配線が取り付けられていないときに比べて変化する度合い、を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、ゴルフクラブのシャフトに取り付けられ、当該ゴルフクラブがスイングされることによって変化する当該シャフトの物理量を計測するためのセンサと、第1方向に延在し、面を前記シャフトの表面に対向させて当該表面に沿って当該面を撓ませた状態で当該シャフトに取り付けられ、前記センサからの信号を伝達するフレキシブル基板とを備えることを特徴とするゴルフクラブ計測システムを提供する。
【0006】
上記構成において、前記フレキシブル基板は、前記シャフトに螺旋状に巻き付けられることが好ましい。
上記構成において、前記フレキシブル基板は、フレキシブルな板体と、前記第1方向に延伸するように前記板体に設けられた導線と、当該導線と電気的に接続され、且つ、前記センサと電気的に接続される第1接続部と、前記導線のうち前記第1接続部が接続されている側とは反対側で当該導線と電気的に接続される第2接続部とを備え、少なくとも前記板体の前記第1方向側と、他方の側とが前記シャフトに固定されることが好ましい。
【0007】
上記構成において、前記第2接続部と電気的に接続され、且つ、前記センサからの信号が伝達される外部装置をさらに備えることが好ましい。
上記構成において、前記フレキシブル基板の板体は、前記第1接続部と前記第2接続部との間において前記第1方向と異なる方向に迂回する迂回部を有することが好ましい。
上記構成において、前記フレキシブル基板の板体は、可視光を透過し、前記導線とは異なる色を帯びていることが好ましい。
【0008】
本発明は、上記いずれかのゴルフ計測システムを備えることを特徴とするゴルフクラブを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャフトの表面に沿って撓んだ状態で取り付けられる板体に設けられた導線によってセンサと外部装置とを電気的に接続するフレキシブル基板を備えない場合に比べて、シャフトに取り付けられたセンサから外部装置に信号を伝達するとともに、スイングされているときのシャフトの挙動が、その信号を伝達する配線が取り付けられていないときに比べて変化する度合い、を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るセンサ用配線の構成を示す図である。
【図2】接続部を拡大して示す図である。
【図3】板体、導線及び接続部の断面を示す図である。
【図4】センサ用配線を取り付けたゴルフクラブの全体構成を示す図である。
【図5】センサを拡大して示す図である。
【図6】シャフト及びグリップの断面を示す図である。
【図7】変形例に係るセンサ用配線の構成を示す図である。
【図8】迂回部を有するセンサ用配線の例を示す図である。
【図9】変形例に係るセンサ用配線の構成を示す図である。
【図10】ゴルフクラブにセンサ用配線が取り付けられた状態を示す図である。
【図11】変形例に係るセンサ用配線を取り付けたゴルフクラブの全体構成を示す図である。
【図12】シャフト及びセンサ用配線の断面を示す図である。
【図13】変形例に係るセンサ用配線を拡大して示す図である。
【図14】センサ用配線を用いてひずみを計測する動作を示すフローチャートである。
【図15】変形例に係るセンサ用配線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るセンサ用配線20の構成を示す図である。
センサ用配線20は、板体200と、接続部310、320、330、340、350、360(以下、それぞれを区別しない場合は「接続部300」という。)と、コネクタ部400と、24本の導線501ないし524(以下、それぞれを区別しない場合は「導線500」という。)とを備えている。
板体200は、ポリエチレンテレフタレートを材料に用いて形成されており、様々な形状に撓ませられる(すなわちフレキシブルな)ものである。特に、板体200は、平板状であるため、自身の面200Sに垂直な方向Rに対しては、他の方向に比べて容易に撓ませられる。板体200には、各導線500が延伸するように設けられており、板体200自身も、各導線500が延伸する方向(以下「延伸方向S」という。)に延在している。延伸方向Sは、本発明に係る「第1方向」の一例に相当する。
【0012】
導線500は、板体200に銅箔がプリント配線された金属配線であり、電気的な信号を伝達する。導線500は、周囲を板体200に覆われるようにして板体200に設けられている。板体200を形成するポリエチレンテレフタレートは、可視光を透過する性質を持っている。また、板体200では、銅とは異なる色を帯びたポリエチレンテレフタレートが用いられており、このため、導線500は、板体200越しに視認できるようになっている。なお、図1を含む以下の図では、各導線500を実線で示している。各導線500は、延伸方向Sと直交する方向に等間隔に並ぶようにして設けられている。この方向は、導線500及び板体200の幅を示す方向であり、以下では、この方向を幅方向Tという。幅方向Tは、延伸方向Sに直交する方向であり、本発明に係る「第2方向」の一例に相当する。また、導線500は、板体200の延伸方向Sの一方の端部から他方の端部まで延伸して設けられている。
【0013】
板体200の延伸方向Sの一方の端部には、コネクタ部400が設けられている。コネクタ部400では、導線500と連続する銅箔の金属配線が板体200と連続するコネクタ部板体204から露出するように設けられている。コネクタ部板体204は、板体200と一体的に形成されている。言い換えれば、ポリエチレンテレフタレートを材料に用いて形成された板体のうち、導線500が設けられている部分が板体200であり、コネクタ部400が設けられている部分がコネクタ部板体204である。コネクタ部400は、導線500と、後述する外部装置との間に設けられて、これらを電気的に接続するものである。また、コネクタ部400は、導線500のうち接続部300が接続されている側とは反対側で導線500と電気的に接続される部分である。
【0014】
板体200のコネクタ部400が設けられているのとは延伸方向Sに反対側の端部には、各接続部300が設けられている。
図2は、図1のA部で示されている接続部310を拡大して示す図である。接続部310は、導線501、502、503とそれぞれ連続する円形の銅箔の金属端子314、315、316が接続部板体203に設けられた接続部311、312、313を有している。接続部板体203は、コネクタ部板体204同様、板体200と一体的に形成されており、ポリエチレンテレフタレートを材料に用いて形成された板体のうち、接続部300が設けられている部分である。続いて、図2において、接続部311と導線501とが設けられている部分の詳細について、図3を用いて説明する。
図3は、図2のIII−III切断線における板体200、導線501及び接続部311の断面を示す図である。導線501は、上述したとおり、板体200に覆われて設けられており、その端部が、金属端子314と連続している。一方、金属端子314は、板体200の面200S側には露出し、反対側の面200R側には露出しないように設けられている。
センサ用配線20は、以上のとおり、板体200に接続部300からコネクタ部400までを結ぶ配線(導線500)がプリントされているフレキシブル基板である。
【0015】
続いて、センサ用配線20をゴルフクラブに取り付けた状態について説明する。
図4は、センサ用配線20を取り付けたゴルフクラブ10の全体構成を示す図である。ゴルフクラブ10は、シャフト12の両端にヘッド11とグリップ13とが取り付けられている。プレイヤーは、グリップ13を握り(グリップし)、ゴルフクラブ10を振って(スイングして)ヘッド11のフェース111でゴルフボールを打つ。シャフト12は、ヘッド11側に向けて細くなるテーパー状、かつ、中空の部材で形成されており、プレイヤーのスイングによって与えられる力と、ヘッド11及び自身の重さとで、スイングされているときにしなりが生じる。このしなりが生じる位置及び程度、すなわち、しなり方は、シャフトの強度の特性やスイングの仕方によって変化する。本実施形態では、このしなり方を評価するために、シャフト12の各位置のひずみを計測する。この計測は、図4に示すゴルフクラブ計測システム70を用いて行われる。ゴルフクラブ計測システム70は、センサ用配線20と、センサ61、62、63、64、65、66、67、68(以下、それぞれを区別しない場合は「センサ60」という。)とを備えている。シャフト12には、ひずみを計測する対象となる各位置(計測対象位置)に各センサ60が取り付けられている。これらの各センサ60の固定には、接着剤又は粘着テープ等が用いられている。
【0016】
各センサ60が取り付けられている位置について説明する。図4では、シャフト12に沿ってヘッド11からグリップ13に向かう方向をz軸方向、z軸方向に垂直で、ヘッド11のヒール側からトウ側に向かう方向をy軸方向、z軸方向及びy軸方向に垂直で、ヘッド11のフェースが向いている方向に向かう方向をx軸方向とそれぞれ示している。ゴルフクラブ10のスイングにおいて、上述したしなりは、主にx軸方向とy軸方向とに生じる。これらの方向へのしなり方を評価するため、センサ61、63、64、66、67、68は、シャフト12のx軸方向側に取り付けられており、センサ62、65は、シャフト12のy軸方向側に取り付けられている。センサ64は、ゴルフクラブ10の重心よりもグリップ13側に取り付けられている。また、センサ61は、センサ64よりも300mmだけグリップ13側に取り付けられ、センサ67は、センサ64よりも300mmだけヘッド11側に取り付けられている。センサ62、63は、センサ61、64の中間に取り付けられ、センサ65、66は、センサ67、64の中間に取り付けられている。また、センサ68は、センサ67よりもヘッド11側に取り付けられている。以上のとおり取り付けられたセンサ60により、シャフト12の6箇所でx軸方向へのひずみが計測され、そのうちの2箇所では、y軸方向へのひずみも計測される。
【0017】
続いて、センサ用配線20の固定方法について説明する。センサ用配線20は、板体200のコネクタ部400と接続部300との間にある部分をシャフト12に螺旋状に巻き付けて取り付けられている。この状態において、板体200(すなわちセンサ用配線20)は、面200Rをシャフト12の表面に対向させ、その表面に沿って面200Rを撓ませた状態でシャフト12に取り付けられている。このように取り付けられたセンサ用配線20は、その延伸方向Sが、z軸方向に対して角度をなすようになっている。また、センサ用配線20は、各センサ60と重ならないように取り付けられている。言い換えれば、センサ用配線20を取り付ける向き、すなわち、延伸方向Sとz軸方向とがなす角度は、センサ用配線20が各センサ60と重ならない位置を通るように決められている。センサ用配線20の板体200のコネクタ部400側は、グリップ13及びシャフト12の間に挟まれて固定されており、センサ用配線20の板体200のコネクタ部400と反対側の端部は、センサ68の近傍で接着剤又は粘着テープ等でシャフト12に固定されている。このように、センサ用配線20の板体200は、コネクタ部400側及びその反対側の端部のみがシャフト12に固定されている一方、板体200のその間の部分は、シャフト12に固定されていない。
【0018】
シャフト12は、スイング等によりしなりが生じると、その表面の2点のシャフト12に沿った距離が変化する。このため、例えばセンサ用配線20の全体をシャフト12に接着剤で固定すると、シャフト12にしなりが生じたときに、固定されている箇所からセンサ用配線20に対して力が加わり、接着剤が剥がれ、又はセンサ用配線20が破損するおそれがある。本実施形態に係るセンサ用配線20では、シャフト12のしなりによる力が加わっても、固定されていない部分が全体的に変形するため、シャフト12と接する位置がz軸方向にずれるだけで、上記のように破損するおそれが少ない。つまり、センサ用配線20においては、全体をシャフト12に固定する場合に比べて、シャフト12のしなりによる破損が抑制されている。
また、センサ用配線20は、シャフト12に巻き付けられているため、ある箇所に力が加わった場合に、その力の延伸方向Sへの分力によって、その分力が加わっていない状態に比べてシャフト12により強く密着させられる。これにより、センサ用配線20とシャフト12との間に働く摩擦力が大きくなり、センサ用配線20の位置がずれることが抑制され、延伸方向Sの両端で固定されている箇所に加わる力も抑制される。また、スイング動作により、センサ用配線20が遠心力又は重力で先端側へ片寄ってしまうこともある。その片寄りを抑制するために中間地点にシャフト12との中間固定部を追加することもできる。中間固定部は、例えば接続部300を粘着テープ等で固定することによって形成することができる。固定方法は、シャフトの撓みに影響しない方法が好ましい。中間固定部は、接続部300に限らずシャフト12の随所に形成することもできる。
【0019】
センサ用配線20は、各接続部300を介して各センサ60と接続している。その構成について、B部を例にとって説明する。
図5は、センサ61を中心とした図4のB部を拡大して示す図である。接続部310は、導線501、502、503と電気的にそれぞれ接続する接続部311、312、313で構成されている。センサ61は、導電材料で形成された接続線611、612、613(以下、それぞれを区別しない場合は「接続線610」という。)を介してこれらの接続部311、312、313とそれぞれ電気的に接続されている。このように、センサ61は、各接続線610、接続部310及び各導線500によって形成される3つの経路で電気的な信号を伝達する、いわゆる3線式のひずみゲージである。また、接続部311、312、313は、各導線500とセンサ61との間に設けられてこれらを電気的にそれぞれ接続する。言い換えると、接続部311、312、313は、各導線500と電気的に接続され、且つ、センサ61と電気的に接続されている。これらの接続部は、本発明に係る「第1接続部」の一例に各々が相当する。各接続線610の両端部は、接続部310及びセンサ61に対してそれぞれはんだ付けで固定されており、シャフト12には固定されていない。また、各接続線610は、変形可能である。このため、シャフト12にしなりが生じて接続部310とセンサ61との距離が変化しても、各接続線610が変形することで、はんだ付けの剥離や接続線610自身の破損が抑制されるようになっている。また、各接続線610は、例えば他の接続線610と接触すると破損する恐れがある。そのため、接続部310、各接続線610及びセンサ61をまとめて被履膜によって被履することによって、上述した中間固定部を形成してもよい。被履膜として粘着テープや熱収縮チューブ等を用いることで、被履しながらシャフトへ固定することができる。また、この被履膜によって、各接続線610の接続を強化することもできる。各接続線610を省いて接続部310とセンサ61とを直接接合する場合であっても、被履膜は、その接合を強化しつつ、中間固定部を形成することができる。
【0020】
センサ用配線20のコネクタ部400側の構成について、C部を示す図6を用いて説明する。
図6は、図4のC部におけるシャフト12及びグリップ13の断面を示す図である。シャフト12のグリップ13側の端部は開口しており、以下では、この部分を開口部121という。グリップ13は、ゴム等を材料に用いて、開口部121を覆って、かつ、プレイヤーがグリップ可能な形に形成されている。また、グリップ13は、シャフト12側の面の一部を削られ、又は、予めそのような形状で形成されて、シャフト12に取り付けたときにシャフト12との間に隙間Dができるようになっている。グリップ13は、隙間Dを除いてシャフト12と接着されている。隙間Dでは、グリップ13とシャフト12とが接着されておらず、この隙間Dを通って開口部121までセンサ用配線20が取り付けられている。センサ用配線20は、開口部121からシャフト12の内部に入り込み、コネクタ部400を介してひずみ計測装置40と電気的に接続されている。ひずみ計測装置40は、上述した外部装置にあたるものであり、コネクタ部400は、外部装置と導線500とを電気的に接続する本発明に係る「第2接続部」の一例に相当する。また、ひずみ計測装置40は、上述したセンサ用配線20及びセンサ60とともに、ゴルフクラブ計測システム70が備えるものである。
【0021】
ひずみ計測装置40は、導線500、接続部300、接続線610を介してセンサ60に電流を流し、計測される抵抗値の変化によってひずみを計測する装置である。この抵抗値の変化は、センサ60が計測するひずみの大きさを表すものであり、この抵抗値を表す電流は、センサ60により計測された結果を示す信号として、接続部300及び導線500によってひずみ計測装置40まで伝達される。つまり、センサ60からの信号は、センサ用配線20によってひずみ計測装置40まで伝達される。ひずみ計測装置40は、計測した値を記憶するメモリを備え、8つのセンサ60を用いてこれらが取り付けられた箇所におけるひずみの値を計測してそのメモリに一時的に記憶する。また、ひずみ計測装置40は、外部から無線で起動及び計測の開始を指示されるようになっており、これらの指示がされた状態でプレイヤーがゴルフクラブ10をスイングすることで、スイング中の各箇所のひずみの値を計測して記憶する。また、ひずみ計測装置40は、無線で通信する機能を有し、計測した値をこの機能によって同じく無線通信の機能を有する外部装置に出力する。
【0022】
以上のとおり、実施形態に係るセンサ用配線20と、センサ60及びひずみ計測装置40とをゴルフクラブ10に取り付けることで、プレイヤーがゴルフクラブ10をスイングしている最中のシャフト12のひずみを計測することができる。これらは、グリップを一度外して付け直すことで、完成されたゴルフクラブに対して後から取り付けることができるものであり、例えばプレイヤーが所持するゴルフクラブに取り付けて上記のとおり計測することができる。また、センサ用配線20をグリップ13とシャフト12との間の隙間Dに挟むことで、センサ用配線20のコネクタ部400側を接着材等の接着部材を用いずに固定することができ、接着部材を用いる場合に比べて軽くすることができる。また、センサ用配線20のコネクタ部400側のうち、グリップ13とシャフト12とに挟まれている部分より先の部分は、グリップ13によって周囲を覆われているため、スイング中に空気抵抗を生じさせないようにすることができる。
【0023】
また、センサ用配線20は、シャフトの表面に沿って撓んだ状態で取り付けられる板体を備えるものであるため、このような板体を備えないもの、例えば、ケーブルを配線として取り付ける場合(以下、「ケーブル配線」という。)に比べて、スイング中に生じる空気抵抗を抑制することができる。これにより、センサ用配線20は、ケーブル配線に比べて、スイング中のシャフト12の挙動がゴルフクラブ10に配線となるもの(センサ用配線20やケーブル配線)が何も取り付けられていないときに比べて変化する度合いを抑制することができる。
また、センサ用配線20は、板体200を用いることによって、2g程度の重さで形成することができ、同じ本数(24本)の導線をケーブルで配線する場合に比べて、重量を軽くすることができる。これにより、ケーブル配線に比べて、ゴルフクラブ10をスイングしたときの重量バランスの変化を抑制することができ、センサ用配線20等を取り付けていない状態でプレイヤーが行うスイングにより近いスイングにおける上記ひずみを計測することができる。また、センサ用配線20は、その重量がシャフト12の挙動に与える影響も、ケーブル配線に比べて抑制される。
また、これらのことを言い換えると、センサ用配線20は、シャフト12の挙動に与える影響を同程度とするなら、ケーブル配線に比べて、より多くの導線を設けることができる。その結果、センサ用配線20を取り付けるゴルフクラブ10には、ケーブル配線に比べて、より多くのセンサを取り付けて、より多くの箇所のひずみを計測することができる。これにより、センサ用配線20を用いた場合、ケーブル配線に比べて、スイング中のシャフト12に生じるしなりをより高い精度で評価することができる。
【0024】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、次のように種々の変形が可能であり、また、以下の各変形例は、必要に応じて組み合わせることも可能である。
【0025】
(変形例1)
本発明に係るセンサ用配線において、接続部を設ける位置及び個数と、導線を設ける位置及び個数は、上述した実施形態において示したものに限らない。
図7は、本変形例に係るセンサ用配線20aの構成を示す図である。センサ用配線20aでは、板体200aに18本の導線500a及び18個の接続部300aがそれぞれ設けられている。また、接続部300aは、導線500aが露出しているコネクタ部400a側から、3つずつ、6箇所に設けられている。また、接続部300aは、板体200aの幅方向Tの一方の端部側に3箇所、他方の端部側に3箇所設けられている。この場合、センサ用配線20aは、実施形態に係るセンサ60(3線式のひずみゲージ)であれば、6つ接続することができる。また、センサ用配線20aがゴルフクラブ10に螺旋状に巻き付けて取り付けられた場合、接続部300aは、センサ用配線20aのグリップ13側に位置するものと、ヘッド11側に位置するものとに別れる。この場合、各センサ60は、各接続部300aが位置する方に取り付けられていると、接続部300aとセンサ60とを接続する接続線をセンサ用配線20aに重ねずに設けることができる。つまり、センサ用配線20aは、そのようにセンサ60を取り付ける場合に用いられることが望ましい。要するに、本発明に係るセンサ用配線においては、ゴルフクラブのシャフトのどの位置にいくつセンサを設けるかによって、接続部を設ける位置及び個数と、導線を設ける位置及び個数とが決められればよい。
【0026】
(変形例2)
上述した実施形態に係るセンサ60は、シャフト12のひずみを計測するものであったが、本発明に係るセンサは、これに限らず、他の値を計測するものであってもよい。例えば、センサは、シャフト12のねじれを計測するものであってもよいし、取り付けられた位置における加速度等を計測するものであってもよい。これらは、いずれも、ゴルフクラブ10がスイングされることにより変化する物理量である。つまり、本発明に係るセンサは、このような物理量を計測するものであればよい。これらの場合、実施形態に係るひずみ計測装置40に代えて、計測する値に応じた装置が設けられる。本変形例に係るいずれのセンサが取り付けられた場合であっても、スイング中のシャフト12の挙動を評価することができる。
【0027】
(変形例3)
上述した実施形態及び変形例1に係る導線及び接続部は、いずれも複数設けられていたが、本発明に係る導線及び接続部は、1つであってもよい。例えば、変形例2において取り付けられるセンサが1線式のセンサであって、シャフト12のある1箇所の物理量を計測するのであれば、板体に導線及び接続部が1つずつ設けられたセンサ用配線によって、このセンサと計測装置とを接続する。
【0028】
(変形例4)
本発明において、板体の形状は、上述した実施形態に係るものに限らない。実施形態に係る板体200は、接続部300とコネクタ部400とを面200Sに沿って最短距離で結ぶ架空の線(以下「延在線」という。)が存在するとすれば、それらのいずれをも内包するように延在する形状のものであった。このような形状に限らず、板体は、延在線上にある一部の領域を含まない形状であってもよい。例えば、板体は、この領域を幅方向に迂回する形状であってもよい。この領域を迂回する部分(以下「迂回部」という。)を有する板体について、図8を参照して説明する。
【0029】
図8は、迂回部を有するセンサ用配線の例を示す図である。図8(a)では、迂回部200b1、200b2を有するセンサ用配線20bが示されている。センサ用配線20bの板体200bは、迂回部200b1において、上述した領域A1を幅方向Tに迂回し、迂回部200b2において、上述した領域A2を幅方向Tに迂回している。領域A1、A2は、いずれも、コネクタ部400bと接続部300bとを面200Sbに沿って最短距離で結ぶ延在線の一部からなる領域であり、延在線のうち、幅方向Tの端部にある延在線L1、L2の間に存在している。また、各導線500bは、迂回部200b1、210b2において、板体200b同様、各領域A1、A2を幅方向Tに迂回するようにして板体200bに設けられている。図8(b)では、迂回部200c1、210c2を有するセンサ用配線20cが示されている。センサ用配線20cの板体200cは、迂回部200c1及び200c2において、上述した領域A3を幅方向Tの互いに異なる方向にそれぞれ迂回している。領域A3は、コネクタ部400cと接続部300cとを面200Scに沿って最短距離で結ぶ延在線の一部からなる領域であり、延在線のうち、幅方向Tの端部にあるL3、L4の間に存在している。板体200cは、迂回部200c1、200c2において一旦2本に枝分かれしているが、領域A3を迂回した後に再び1本になる形状となっている。また、各導線500cは、迂回部200c1、200c2において、それぞれいずれかの迂回部を通って領域A3を迂回するように設けられている。
【0030】
センサ用配線には、スイング中、延伸方向Sに引っ張られる方向に力が加わる場合がある。センサ用配線20b、20cは、それぞれ迂回部が設けられていることにより、このような力が加わった場合であっても、迂回部が変形して、延伸方向Sの全体的な長さを伸ばすことができる。これにより、センサ用配線20b、20cは、迂回部を設けない場合に比べて、延伸方向Sに引っ張られる力による破損を抑制することができる。なお、本発明に係るセンサ用配線において、板体に設けられる迂回部の形状は、これらの形状に限らない。例えば、板体には、迂回部を2つ以上設けてもよいし、1つだけ設けてもよい。また、板体には、複数の迂回部を延伸方向Sに離して設けてもよい。要するに、板体は、実施形態における接続部300のような第1接続部とコネクタ部400のような第2接続部との間において、延伸方向Sと異なる方向に迂回する迂回部を有していればよい。
【0031】
(変形例5)
上述した実施形態に係るセンサ用配線は、1つの板体200を備えるものであったが、本発明に係るセンサ用配線は、複数の板体を備えていてもよい。
図9は、本変形例に係るセンサ用配線20dの構成を示す図である。センサ用配線20dは、配線部20d1、20d2を有する。配線部20d1、20d2は、実施形態に係るセンサ用配線20を幅方向Tに2つに分割したものに相当する構成を備えており、それぞれ、12本の導線と12個の接続部とを備えている。この場合、配線部20d1、20d2は、各々が備える接続部がそれぞれ接続されるべきセンサの近傍に位置するように取り付けられればよい。
【0032】
図10は、ゴルフクラブ10にセンサ用配線20dが取り付けられた状態を示す図である。配線部20d1は、グリップ13側からヘッド11に向けて螺旋を描くように巻き付けて取り付けられている。また、配線部20d2は、グリップ13側からヘッド11に向けて、配線部20d1とは反対向きに回転する螺旋を描くように巻き付けて取り付けられている。そのため、配線部20d2は、一部が配線部20d1と重なって取り付けられている。
センサ用配線がゴルフクラブに螺旋状に巻き付けて取り付けられている場合、センサ用配線には、シャフトのしなり又はプレイヤーの接触等により、図1に示した幅方向Tに曲げようとする力が加わることがある。この場合、センサ用配線は、板体の幅が小さいほど、小さな力のうちに板体が変形するため破損しにくく、その幅が大きいほど、力が大きくなるまで板体が変形しないため破損しやすい。つまり、本変形例に係るセンサ用配線20dでは、1つの板体で形成されたものに比べて、幅方向Tに加わった力による破損が抑制される。
【0033】
(変形例6)
上述した実施形態に係るセンサ用配線20では、コネクタ部400側とその反対側の端部との間の部分がシャフト12に固定されていなかったが、固定されていてもよい。その場合、一部が固定されていてもよいし、全体が固定されていてもよい。センサ用配線20は、シャフト12に固定される部分が多いほど、シャフト12との間に隙間が生じにくくなり、スイング中に発生する空気抵抗を少なくすることができる。
【0034】
(変形例7)
上述した実施形態に係るセンサ用配線20は、シャフト12に螺旋状に巻き付けて取り付けられたが、本発明に係るセンサ用配線を取り付ける方法は、これに限らない。例えば、センサ用配線は、シャフト12に沿った方向(z軸方向)に真っ直ぐ取り付けられてもよい。
図11は、変形例に係るセンサ用配線20fを取り付けたゴルフクラブ10の全体構成を示す図である。図11では、ゴルフクラブ10に取り付けられているセンサ60の個数及び位置が、図4と共通している。センサ用配線20fは、グリップ13側から、z軸方向に沿ってセンサ67、68の間まで延伸するようにして取り付けられている。センサ用配線20fは、グリップ13側をグリップ13とシャフト12により挟まれて固定され、その他の部分を接着剤又は粘着テープによりシャフト12に張り付けられて固定されている。また、センサ用配線20fは、シャフト12のy軸方向のヒール側に取り付けられており、これにより、センサ用配線20fとセンサ60とは、互いに重なることがない。なお、センサ用配線20fは、センサ60と重ならないように取り付けられているのが望ましいので、シャフト12のx軸方向のフェース側とは反対側に取り付けられてもよい。センサ用配線20fがシャフト12に取り付けられている状態を、図12を用いて説明する。
【0035】
図12は、図11のXII−XII切断線におけるシャフト12及びセンサ用配線20fの要部を示す断面図である。センサ用配線20fは、シャフト12の円状の表面12Sに沿って幅方向Tに撓んだ状態で取り付けられている。つまり、本発明に係るセンサ用配線は、変形可能な板体を備えているため、実施形態のように螺旋状に巻き付ける場合であっても、本変形例のように直線状に取り付ける場合であっても、表面12Sに沿って撓んだ状態で取り付けることができる。これにより、本発明に係るセンサ用配線を取り付けた場合、表面12Sに沿って撓ませることができない配線を取り付ける場合に比べて、表面12Sにおいて配線が形作る起伏を小さくし、表面12Sで生じる空気抵抗を小さくすることができる。よって、本発明に係るセンサ用配線においては、空気抵抗の増加に起因したシャフトの挙動の変化を抑制することができる。
【0036】
(変形例8)
上述した実施形態に係る板体200は、ポリエチレンテレフタレートを用いて形成されていたが、本発明に係る板体は、これに限らず、他の素材を用いて形成されていてもよい。例えば、板体は、ポリイミドを用いて形成されていてもよく、少なくとも、撓んだ状態でシャフト12に取り付けることができる基板を形成できるものであれば、どのような素材を用いて形成されてもよい。なお、板体を形成する素材は、シャフトの挙動又はスイングへの影響を低減するため、より軽量であることが望ましく、また、導線が断線したときに視認できる程度に透明であることが望ましい。
【0037】
(変形例9)
本発明に係るセンサ用配線においては、センサが、板体に直接設けられていてもよい。
図13は、本変形例に係るセンサ用配線20gのセンサ61gが取り付けられている部分を拡大して示す図である。センサ用配線20gは、板体200gと、板体200gに設けられた導線500g及び接続部311g、313g(以下、それぞれを区別しない場合は「接続部310g」という。)とを備えている。板体200gには、各接続部310gと例えば異方性導電フィルムなどの異方性導電材料により接続されたセンサ61gが設けられている。センサ61gは、接続部310gと接続されている面とは反対側の面が板体200gから露出しており、この面が、センサ用配線20gがシャフト12に取り付けられたときにシャフト12の表面に接触するようになっている。また、センサ61gは、センサ用配線20gがシャフト12に取り付けられたときに、ひずみを計測可能な方向がひずみを計測したい方向(例えばz軸方向)に沿うように設けられている。センサ用配線20gにおいては、各接続部310gが同様に板体200gに設けられた他のセンサと接続されている。これらのセンサは、センサ用配線20gがシャフト12に取り付けられると、各々がシャフト12の対応する位置に取り付けられ、ひずみ計測装置40と協働してスイング中のひずみを計測する。本変形例に係るセンサ用配線20gでは、センサとセンサ用配線20gとを別々にゴルフクラブ10に取り付ける必要がなく、また、これらの位置が重ならないように調整する必要もない。このため、センサ用配線20gは、センサ及びセンサ用配線を別々に取り付ける場合に比べて、少ない作業工程でゴルフクラブ10に取り付けることができる。
【0038】
(変形例10)
上述した実施形態に係る板体200は、延伸方向Sの長さが1200mmのものであったが、これには限らない。板体200は、シャフト12に取り付けられたときに、センサ60とひずみ計測装置40とを接続することができる長さのものであればよい。
【0039】
(変形例11)
上述した実施形態に係る板体200は、延伸方向Sに一続きのポリエチレンテレフタレートを用いて形成されていたが、本発明に係る板体は、これに限らず、複数の板体を延伸方向Sに接続したものであってもよい。そのような板体とは、例えば、導線が延伸する方向の長さが400mmの板体を3つ接続して、1200mmの長さとしたものである。この場合、板体同士を接続している部分(接続部分)は、他の箇所と比べて剛性が異なる場合がある。このため、本変形例に係る板体は、センサ用配線がシャフト12に取り付けられたときに、接続部分がシャフト12のz軸方向に沿った線状となっていることが望ましい。そうすることにより、センサ用配線がシャフト12に沿って撓んだ状態であっても、この接続部分に沿った方向には撓ませなくて済むため、接続部分の撓み方が他の箇所と違うことによって板体に歪みを生じさせることを抑制することができる。
【0040】
(変形例12)
上述した実施形態に係る導線500は、銅で形成されたものであったが、本発明に係る導線は、これに限らず、電気を通すことができるものであれば、他の材料で形成されたものであってもよい。なお、例えば、板体がポリイミドで形成されている場合、特に着色しなければ琥珀色となるため、銅線では板体越しに視認しにくくなることがある。この場合、板体を可視光が透過し、かつ、他の色に着色するか、異なる色の導線を用いることが望ましい。要するに、板体が可視光を通すものであったとしても、板体と導線とは互いに異なる色のものを用いるようにして、板体越しに導線が視認できるようにしておくことが望ましい。
【0041】
(変形例13)
上述した実施形態に係るセンサ用配線20は、ウッドであるゴルフクラブ10に取り付けられたが、ユーティリティやアイアンなど、他のゴルフクラブに取り付けられてもよい。また、センサ用配線20は、ゴルフクラブに限らず、釣り竿、テニスラケット又は棒高跳びの棒等、しなりやねじりが生じる棒状の道具であれば、どのようなものに取り付けられてもよい。
【0042】
(変形例14)
ひずみ計測装置40は、上述した実施形態では、シャフト12の中空の内部に設けられたが、シャフト12又はグリップ13の外周側に取り付けてもよい。この場合、グリップ13を付け直すことなく、センサ用配線20及びひずみ計測装置40を取り付けることができる。
【0043】
(変形例15)
上述した実施形態に係るひずみ計測装置40は、計測した値を無線で外部装置に出力するものであったが、これに限らず、他の方法でこの値を処理するものであってもよい。例えば、この値を、単にメモリに記憶するだけであってもよい。この場合、スイング中のひずみを計測した後に、グリップ13を外してひずみ計測装置40を取り出し、メモリに記憶された値を読み出すことで、これらの値を確認することができる。
【0044】
(変形例16)
本発明は、上述した実施形態又は変形例に係るセンサ用配線として用いられるフレキシブル基板又はこれを備えたゴルフクラブ計測システムやゴルフクラブとしても把握されるものである。また、本発明は、これらを用いてひずみ等の物理量を計測するための方法としても把握されるものである。
図14は、センサ用配線を用いてひずみを計測する動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、ゴルフクラブ10を利用する利用者が、実施形態に係るセンサ用配線20をゴルフクラブ10に取り付けてひずみを計測する一連の動作が表されている。まず、利用者は、シャフト12においてひずみを計測する位置(計測対象位置)を決定する(ステップS10)。そして、利用者は、センサ用配線20を、決定された計測対象位置に合わせてシャフト12に螺旋状に巻き付ける(ステップS20)。詳細には、利用者は、各接続部300が計測対象位置の近傍に位置するようにセンサ用配線20を巻き付ける。続いて、利用者は、センサ用配線20の両側の端部を、シャフト12にそれぞれ固定する(ステップS30)。この際、利用者は、グリップ13を取り外し、シャフト12の中空の内部に、コネクタ部400に接続したひずみ計測装置40を格納する。そして、そのグリップ13を取り付けると共に、グリップ13とシャフト12との間にセンサ用配線20を挟んでこれを固定し、センサ用配線20の反対側の端部を粘着テープ等で固定する。なお、グリップ13は、ステップS10又はS20よりも前に取り外しておいてもよい。次に、利用者は、センサ用配線20と各センサ60とを、上述した接続線を用いて接続する(ステップS40)。なお、各センサ60は、ステップS40においてシャフト12に取り付けてもよいし、ステップS10で計測対象位置を決定した後であれば、ステップS40よりも前に取り付けてもよい。以上で、実施形態において図4に示したゴルフクラブ10の状態ができあがる。そして、利用者は、外部から無線でひずみ計測装置40を起動させ(ステップS50)、その状態で、ゴルフクラブ10をスイングする(ステップS60)。ステップS60において、ひずみ計測装置40は、シャフト12に取り付けられた各センサ60から各計測対象位置におけるひずみを表す信号を受信して、それらの信号に基づきひずみを計測する(ステップS70)。この後は、ひずみ計測装置40が計測したひずみの値を外部装置に出力し、利用者は、その外部装置で計測されたひずみの値を参照する。以上のとおり、このフローチャートは、利用者がスイング中のシャフト12のひずみを計測するための方法を示すものである。なお、上記では、同一の利用者が上記各ステップの動作を行うものとして説明したが、これに限らず、複数の利用者がこれらの動作をそれぞれ行ってもよい。例えば、センサ用配線及びセンサの取り付け(ステップS10からS40まで)と、ゴルフクラブのスイング(ステップS60)と、ひずみの計測(ステップS50、S70)とは、それぞれ異なる利用者が行ってもよい。
【0045】
(変形例17)
センサ用配線は、上述した実施形態では、板体のコネクタ部と反対側の端部に接続部360を備えており、この端部、すなわち接続部360がシャフト12に固定されていたが、これには限らない。例えば、接続部360の先に配線及び接続部を備えない延長部を設けて、その延長部をシャフト12に固定してもよい。
図15は、本変形例に係るセンサ用配線20hの一例を示す図である。センサ用配線20hは、板体200hと、接続部360と、コネクタ部400と、延長部220とを備える。センサ用配線20hのコネクタ部400から接続部360までの間の構成は、センサ用配線20と共通している。延長部220は、板体200hの一部であり、図1に示す板体200を、コネクタ部400から最も離れた接続部360よりも延伸方向S側に延長した形をしている部分である。延長部220の延伸方向S側の端部221は、板体200hのコネクタ部400の反対側の端部となっている。
【0046】
センサ用配線20hは、例えば、板体200hのコネクタ部400側の端部と端部221とをシャフト12に固定すればよい。その場合、センサ用配線20hのヘッド11側でシャフト12に固定される部分、すなわち端部221には、接続部や導線が設けられていないことになるが、センサ用配線20hがシャフトの表面に沿って撓んだ状態で取り付けられる板体(つまり板体200h)を備えるという点ではセンサ用配線20と変わらない。このため、センサ用配線20hは、例えば上述したケーブル配線を取り付ける場合に比べて、スイング中に生じる空気抵抗を抑制することができるし、その他にも、上述したセンサ用配線20と同様の効果を奏する。このように、センサ用配線においては、少なくとも、板体の延伸方向Sにおける一方の端部(本変形例ではコネクタ部400側の端部)と、他方の端部(同じく端部221)とがシャフト12に固定されていればよい。なお、センサ用配線20hのコネクタ部400側に、延長部220と同様に配線及び接続部を備えない延長部を設けてもよい。この場合、コネクタ部400側の延長部がシャフト12に固定された状態で、コネクタ部400が配線等に接続される。
【0047】
(変形例18)
ゴルフクラブ計測システムは、上述した実施形態では、センサ用配線20と、センサ60と、ひずみ計測装置40とを備えるものであったが、例えば、センサ用配線20及びセンサ60のみを備えていてもよい。この場合、ゴルフクラブ計測システムをゴルフクラブに取り付けて利用する利用者が、ひずみ計測装置40のようにひずみを計測する装置を別途用意して、その装置とコネクタ部400とを電気的に接続させてゴルフクラブ計測システムを用いればよい。
【0048】
(変形例19)
センサ用配線の板体は、上述した実施形態及び変形例では、少なくとも延伸方向Sの両端部がシャフト12に固定されていたが、これには限らない。例えば、板体は、これらの端部よりも中央側の部分がシャフト12に固定されていてもよい。この場合、例えばグリップ13側のセンサ用配線の端部からシャフト12に固定されている部分までは、シャフト12から離して配置させることができるようになる。このようにシャフト12から離間して配置可能となる部分のことを、以下では「離間可能部」という。この離間可能部は、フレキシブル配線のように扱うことができ、シャフト12の外側において、ひずみ計測装置等の電子機器や別の配線などと接続させることができる。この場合、グリップ12の中にセンサ用配線を引き入れる必要がなく、簡素に電子機器と接続させたり、有線で信号を外部装置へ送ったりすることができる。また、ヘッド11側の端部が固定されていない場合は、ヘッド11側の離間可能部に加速度センサ等を接続させて、グリップ13側へ信号を取り出すことができる。さらに、これらの離間可能部には、LED(Light Emitting Diode)や、マイク、スピーカを接続させることもでき、より精度の高い測定を行うための補助情報に役立てることもできる。本変形例で述べたとおり、センサ用配線は、少なくとも板体の延伸方向S(第1方向)側と、他方の側とがシャフト12に固定されていればよい。
【符号の説明】
【0049】
10…ゴルフクラブ、11…ヘッド、12…シャフト、13…グリップ、111…フェース、121…開口部、20…センサ用配線、40…ひずみ計測装置、60…センサ、70…ゴルフクラブ計測システム、200…板体、203…接続部板体、204…コネクタ部板体、200b1、210b2、210c1、210c2…迂回部、220…延長部、300…接続部、400…コネクタ部、500…導線、610…接続線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのシャフトに取り付けられ、当該ゴルフクラブがスイングされることによって変化する当該シャフトの物理量を計測するためのセンサと、
第1方向に延在し、面を前記シャフトの表面に対向させて当該表面に沿って当該面を撓ませた状態で当該シャフトに取り付けられ、前記センサからの信号を伝達するフレキシブル基板と
を備えることを特徴とするゴルフクラブ計測システム。
【請求項2】
前記フレキシブル基板は、前記シャフトに螺旋状に巻き付けられる
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブ計測システム。
【請求項3】
前記フレキシブル基板は、
フレキシブルな板体と、前記第1方向に延伸するように前記板体に設けられた導線と、当該導線と電気的に接続され、且つ、前記センサと電気的に接続される第1接続部と、前記導線のうち前記第1接続部が接続されている側とは反対側で当該導線と電気的に接続される第2接続部と
を備え、
少なくとも前記板体の前記第1方向側と、他方の側とが前記シャフトに固定される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフクラブ計測システム。
【請求項4】
前記第2接続部と電気的に接続され、且つ、前記センサからの信号が伝達される外部装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ計測システム。
【請求項5】
前記フレキシブル基板の板体は、前記第1接続部と前記第2接続部との間において前記第1方向と異なる方向に迂回する迂回部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴルフクラブ計測システム。
【請求項6】
前記フレキシブル基板の板体は、可視光を透過し、前記導線とは異なる色を帯びている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴルフクラブ計測システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のゴルフ計測システムを備える
ことを特徴とするゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−48893(P2013−48893A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162459(P2012−162459)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】