説明

サーバ装置およびそのプログラム

【課題】デスクトップアプリケーションで利用される階層型アドレス帳用データと、ウェブアプリケーションで利用される階層型アドレス帳用データを、それぞれで共通に利用でき、一元管理することができるサーバ装置およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態のサーバ装置は、ウェブアプリケーションおよびこのウェブアプリケーションに組み込まれるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳を有する。また、他コンピュータからも参照可能な所定のサーバ装置に保存された階層型アドレス帳用データを参照する参照部と、参照部により参照した階層型アドレス帳用データを、クライアント装置に配信し表示させるための表示用データに変換する変換部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、PC上では、メーラー等のデスクトップアプリケーションが利用されている。一方、ネットワークを介して、Webサーバ上のメーラー等のウェブアプリケーションを利用できるようにもなってきている。
【0003】
メーラー等のアプリケーションでは、アドレス帳が一般的に利用されるが、企業内(あるいは企業間)などでは、組織内の人を探すためのアドレス帳として、組織ツリーの中から組織に属している個人を探すことができる階層型アドレス帳が利用される場合がある。企業内(あるいは企業間)で、階層型アドレス帳を利用する、デスクトップアプリケーションとウェブアプリケーションの両方が使用されるような環境では、階層型アドレス帳用のデータが組織の変更や人の移動にともないも変更される必要があることから、そのデータは、共通して利用でき、かつ、一元的に管理できることが望まれた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的には、デスクトップアプリケーションまたはそのアドインが使用する階層型アドレス帳用データと、ウェブアプリケーションまたはその組み込みプログラムが使用する階層型アドレス帳用データとでは、フォーマットが異なっていたり、データを保存する場所が異なっていたりするので、共通に利用することができず、また、二重に管理することとなっていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、デスクトップアプリケーションで利用される階層型アドレス帳用データと、ウェブアプリケーションで利用される階層型アドレス帳用データを、それぞれで共通に利用でき、一元管理することができるサーバ装置およびそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のサーバ装置は、ウェブアプリケーションおよびこのウェブアプリケーションに組み込まれるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳を有する。また、他コンピュータからも参照可能な所定のサーバ装置に保存された階層型アドレス帳用データを参照する参照部と、参照部により参照した階層型アドレス帳用データを、クライアント装置に配信し表示させるための表示用データに変換する変換部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、一実施形態としてのWebサーバを含むシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、階層型アドレス帳用データおよびその表示データに基づくGUIである階層型アドレス帳について説明するための組織例を示す図である。
【図5】図5は、階層型アドレス帳用データの一例を示す図である。
【図6】図6は、ウェブアプリケーションとしてのメーラーの一例(GUI)を示す図である。
【図7】図7は、新規のメールを作成するための画面例を示す図である。
【図8】図8は、アドレス帳画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、アドレス帳画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、組み込みプログラムであるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳による動作フローを示す図である。
【図11】図11は、ファイルサーバ、Webサーバ、およびクライアントPCの基本的なハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
はじめに一実施形態としてのWebサーバを含むシステムの全体構成について説明する。図1は、その全体構成を示すブロック図である。
【0009】
Webサーバ(サーバ装置)30は、組み込みプログラムであるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31が組み込まれたウェブアプリケーション32を実装している。
【0010】
クライアントPC40は、それに実装されたWebブラウザ41により、ネットワークを介して接続されるWebサーバ30のウェブアプリケーション32が提供するサービス(例えば、ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31による階層型アドレス帳)を、Webブラウザ41上に提示する。クライアントPC40のユーザは、こうして提示された階層型アドレス帳等のサービスを、クライアントPC40の画面上で利用することができる。
【0011】
一方、クライアントPC50は、それに実装されたデスクトップアプリケーション52により、そのデスクトップ上でサービス(例えば、デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51による階層型アドレス帳)を提示する。クライアントPC50のユーザは、こうして提示された階層型アドレス帳等のサービスを、クライアントPC50の画面上で利用することができる。
【0012】
ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51が共通して利用する階層型アドレス帳用データ21は、階層型アドレス帳用データ作成ツール10で作成されて(例えば、XMLデータとして作成され)、ファイルサーバ20に保存される。こうしてファイルサーバ20に保存された階層型アドレス帳用データ21が、ネットワークを介して、ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51で、共通に利用されることとなる。また、ファイルサーバ20に保存された階層型アドレス帳用データ21は、一元的に管理することができる。なお、本実施形態では、階層型アドレス帳用データ21をファイルサーバ20に保存するものとするが、これに限らず、ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51のいずれもが参照できる装置に保存されておればよい。
【0013】
図2および図3に、それぞれウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51の機能構成を示す。
【0014】
図2に示すウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31は、ファイルサーバ20にある階層型アドレス帳用データ21を参照する階層型アドレス帳用データ参照部31aと、そのデータに基づく階層型アドレス帳を、クライアントPC40のWebブラウザ41からの要求に応じて、Webページの一部または全部を形成するための表示用データに変換する階層型アドレス帳用データ変換部31bを備える。この階層型アドレス帳用データ変換部31bによる表示用データは、ウェブアプリケーション32によりクライアントPC40に配信され、Webブラウザ41上で表示されることとなる。
【0015】
図3に示すデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51は、ファイルサーバ20にある階層型アドレス帳用データ21を参照する階層型アドレス帳用データ参照部51aと、階層型アドレス帳用データ参照部51aにより参照したデータを、クライアントPC50のデスクトップアプリケーション用の階層型アドレス帳の表示用データに変換する階層型アドレス帳用データ変換部51bを備える。この階層型アドレス帳用データ変換部51bによる表示用データは、デスクトップアプリケーション52により、クライアントPC50の画面に表示されることとなる。
【0016】
図4に、階層型アドレス帳用データ21およびその表示データに基づくGUIである階層型アドレス帳について説明するため、階層型アドレス帳用データ作成の際に、その基となる組織の組織例を示す。
【0017】
上記図4の組織例に対し、階層型アドレス帳用データ作成ツール10で作成される階層型アドレス帳用データ(XML(Extensible Markup Language)データ)21の一例を図5に示す。なお、階層型アドレス帳用データ作成ツール10としてテキストエディタ等のアプリケーションを用い、管理者が階層型アドレス帳用データ(XMLデータ)21を作成することもできる。
【0018】
図5の例では、階層型アドレス帳用データ21は、組織の階層に応じてタグを使って階層化された、組織の表示名、所属するユーザの名称およびメールアドレスが設定されている。具体的には、organizationタグの下、属性displayNameおよびmalにより、組織の表示名とそのメールアドレスが設定される。また、userタグの下、属性funおよびemlにより該当の組織に所属するユーザの氏名およびそのメールアドレスが設定される。
【0019】
(ウェブアプリケーションとしてのメーラー)
図6に、クライアントPC40のWebブラウザ41上で表示されるウェブアプリケーション32としてのメーラーの一例を示す。そのGUI(Graphical User Interface)の表示態様は、従来のメーラーと同様のものである。以下では、Webブラウザ41上に表示されるメーラーおよびアドレス帳をその表示態様を例に説明する。なお、Webブラウザ41およびウェブアプリケーション32としてのメーラー間の挙動は、前述のとおりである。
【0020】
符号101の“新規作成”がクリック等により指定されると、新規のメールを作成するための画面(図7)が表示される。
【0021】
この画面上で、符号102で示す“宛先...”または“CC...”部分がクリック等により指定されると、ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31が起動し、アドレス帳画面(図8)が表示される。ここでアドレス帳の右側ペインには、例えば、既定の情報が表示される。
【0022】
このアドレス帳画面のアドレス帳一覧で、符号103の“全体組織階層アドレス帳”または“事業部別階層アドレス帳”がクリック等により指定されると(ここでは、事業部別階層アドレス帳が指定されたとする)、階層型アドレス帳用データ参照部31aが、その指定に対応する階層型アドレス帳用データ21を参照し(図10:ステップS101)、階層型アドレス帳用データ変換部31bがこの参照データを表示用データに変換する(図10:ステップS102)ことにより、ウェブアプリケーション32が、図9に一例を示す、符号104の事業部別階層アドレス帳の画面を含むアドレス帳画面を形成して、Webブラウザ41上で表示させる。なお、図10は、組み込みプログラムであるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31およびデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51による動作フローを示す図である。
【0023】
図9の例では、アドレス帳の右側ペインに事業部別階層(組織階層)が表示され、さらに、その中の特定の事業部(ここではIT・メディア営業部2部)が指定されるとアドレス帳の右側ペインの一部(図9では右上領域)に、その事業部に所属するユーザの一覧が、ユーザの氏名およびメールアドレスを含んで表示される。ユーザの一覧には、会社名、苗字、名前、ミドルネーム、場所、携帯電話番号等の個人情報を含めることができる。これらの情報は、階層型アドレス帳用データ作成ツール10で階層型アドレス帳用データ21を作成する際に含めることができる。
【0024】
(デスクトップアプリケーションとしてのメーラー)
クライアントPC50上のデスクトップアプリケーション52としてのメーラーも、画面上は、図6〜9を用いて前述した表示態様と同様のものとなる。
図7の符号102で示す“宛先...”または“CC...”部分がクリック等により指定されると、デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51が起動し、アドレス帳画面(図8)が表示される。
【0025】
このアドレス帳画面のアドレス帳一覧で、符号103の“全体組織階層アドレス帳”または“事業部別階層アドレス帳”がクリック等により指定されると(ここでは、事業部別階層アドレス帳が指定されたとする)、階層型アドレス帳用データ参照部51aが、対応する階層型アドレス帳用データ21を参照し(図10:ステップS101)、階層型アドレス帳用データ変換部51bがこの参照データを表示用データに変換する(図10:ステップS102)ことにより図9に一例を示すアドレス帳画面を生成して、クライアントPC50の画面に表示させる。表示態様等の詳細は、上述のウェブアプリケーション32としてメーラーの場合と同様であり、その説明は省略する。
【0026】
(各サーバおよびクライアントPCのハードウェア構成)
図11は、ファイルサーバ20、Webサーバ30、およびクライアントPC40および50の基本的なハードウェア構成例を示すブロック図である。図11に示すように、各装置は、CPU201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)103と、二次記憶装置204と、表示部205と、通信I/F部206と、入力部207を含んで構成されるコンピュータである。
【0027】
CPU201は、ROM202や二次記憶装置204に格納された所定の制御プログラムをRAM203上にロードして実行することにより、装置全体を制御する。ROM202には、初期プログラムや各種データが記憶される。
【0028】
RAM203は、主記憶として、また各種プログラムを実行する際に各種データを一時的に保持するワークメモリとして使用される揮発性の半導体メモリである。二次記憶装置204は、各種プログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。
【0029】
表示部205は、CPU201により生成される各種の画像を表示する手段であり、例えば液晶パネルなどで構成される。通信I/F206は、ネットワークを介して他装置との間で通信を行うためのインタフェース装置である。入力部207は、キーボードやマウス等の入力手段である。
【0030】
以上、実施形態の詳細を説明した。上述した実施形態によれば、階層型アドレス帳用データ21を、階層型アドレス帳用データ作成ツール10で作成しファイルサーバ20に保存して、ウェブアプリケーション32に組み込まれるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31、および、デスクトップアプリケーション52に組み込まれるデスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51の双方で、このデータに基づき階層型アドレス帳を形成する。すなわち、階層型アドレス帳用データ21を共通して利用することができ、またこのデータを一元的に管理することができるようになる。
【0031】
なお、前述したウェブアプリケーション用階層型アドレス帳31、デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳51、および階層型アドレス帳用データ作成ツール10等のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。あるいは、このプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより、または配信することにより提供するように構成してもよい。あるいは、このプログラムを、ROMやHDD等の不揮発性の記憶装置に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、Webサーバ30の実現には、単独のサーバ装置に限らず、例えば、クラウドコンピューティングを利用できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10 階層型アドレス帳用データ作成ツール
20 ファイルサーバ
21 階層型アドレス帳用データ
30 Webサーバ
31 ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳
32 ウェブアプリケーション
40,50 クライアントPC
41 Webブラウザ
51 デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳
52 デスクトップアプリケーション
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 二次記憶装置
205 表示部
206 通信I/F
207 入力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2007−058457号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブアプリケーションおよび該ウェブアプリケーションに組み込まれるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳を有するサーバ装置であって、
他コンピュータからも参照可能な所定のサーバ装置に保存された階層型アドレス帳用データを参照する参照部と、
前記参照部により参照した階層型アドレス帳用データを、クライアント装置に配信し表示させるための表示用データに変換する変換部と、
を備える、サーバ装置。
【請求項2】
ウェブアプリケーション用階層型アドレス帳プログラムは、ウェブアプリケーションによるGUI(Graphical User Interface)上でメールの宛先を設定するための操作がなされたとき、起動し、アドレス帳の画面を形成する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
クライアント装置における前記アドレス帳の画面上で、階層型アドレス帳を指定する操作がなされたときに、該操作に応じて、前記参照部は、前記階層型アドレス帳用データを参照し、前記変換部は、前記参照部が参照した階層型アドレス帳用データを前記表示用データに変換する、請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記ウェブアプリケーションは、メーラーである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記階層型アドレス帳用データは、XML(Extensible Markup Language)により記述される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
ウェブアプリケーションに組み込まれるウェブアプリケーション用階層型アドレス帳プログラムであって、
デスクトップアプリケーション用階層型アドレス帳プログラムにより他コンピュータからも参照可能な所定のサーバ装置に保存された階層型アドレス帳用データを参照する参照機能と、
前記参照部により参照した階層型アドレス帳用データを、クライアント装置に配信し表示させるための表示用データに変換する変換機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−101538(P2013−101538A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245460(P2011−245460)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】