シャワー吐水装置
【課題】羽根車の円滑且つ安定的な回転を確保して、シャワー水を良好にパルス状吐水することのできるシャワー吐水装置を提供する。
【解決手段】シャワー孔と、羽根車124と、散水板の内面に沿って延びる形態で羽根車124に設けられたシャワー孔遮断部とを含み、シャワー孔遮断部の回動によってシャワー孔を断続的に遮断及び開放することでシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置において、シャワー孔の上部を構成する連通孔118Bの上端の開口を円周上に並べて配置するとともに、その上端の開口を散水板の内面に設けた円周状の溝160-1,160-2,160-3の底面で開口させ、溝160-1〜160-3にてシャワー孔118の上端の開口と羽根車124の羽根129Aと129Aとの間に形成される空間Kとを円周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を形成する。
【解決手段】シャワー孔と、羽根車124と、散水板の内面に沿って延びる形態で羽根車124に設けられたシャワー孔遮断部とを含み、シャワー孔遮断部の回動によってシャワー孔を断続的に遮断及び開放することでシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置において、シャワー孔の上部を構成する連通孔118Bの上端の開口を円周上に並べて配置するとともに、その上端の開口を散水板の内面に設けた円周状の溝160-1,160-2,160-3の底面で開口させ、溝160-1〜160-3にてシャワー孔118の上端の開口と羽根車124の羽根129Aと129Aとの間に形成される空間Kとを円周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシャワー吐水装置に関し、詳しくはシャワー孔からシャワー水を断続的にパルス状に吐水するシャワー吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワー孔を断続的に遮断及び開放することによって、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置が公知である。
従来において、この種のシャワー装置では、散水板に設けられた複数のシャワー孔と、軸と軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として羽根車の羽根に衝突させ、羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り羽根車に設けられ、羽根車の回転により上記の軸周りに回動運動し、回動に伴ってシャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、そのシャワー孔遮断部によるシャワー孔の断続的な遮断及び開放に基づいてシャワー水をパルス状に吐水するようにしている。
【0003】
シャワー水をパルス状に吐水するこの種のシャワー吐水装置では、シャワー孔を円周上に並べて配置しておいた場合、シャワー孔遮断部の回動運動に伴って、円周上に並んだシャワー孔を順次に且つ連続して遮断及び開放して行くことができ、これによりシャワー孔遮断部にて遮断されていないシャワー孔から広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー水のパルス状吐水を実現できて望ましい。
【0004】
ところでこのようにした場合、周方向に隣接した羽根と羽根との間の空間内に上端の開口が位置したシャワー孔と、羽根の丁度下側の隠れた位置に上端の開口が位置したシャワー孔とが常時生ずることとなる。
この場合、羽根と羽根との間の空間内の水は、その空間内に上端の開口が位置しているシャワー孔を通じて外部に円滑に排出され得るが、上端の開口が羽根の下側の隠れた位置にあるシャワー孔を通じては外部に円滑に排出され難く、そのことによって同空間内の水がそこに籠った状態となり易い。
この場合同空間内の水の籠り圧が羽根車に対する回転の抵抗となり、そのことによって羽根車が円滑に安定して回転しなくなり、シャワー水をスムーズにパルス状吐水することが難しくなる問題が生ずる。
【0005】
尚、本発明に対する先行技術として下記特許文献1に開示されたものがある。
図16はその具体例を示している。
図16(A)中、200はシャワーヘッドで、202はシャワー水を断続的にパルス状吐水するシャワー吐水部である。
この特許文献1に開示のものでは、図16(B)に示す流路切替機構204に設けた螺旋状の通水路206を湯水が通過して、羽根車208の羽根210に当ることで羽根車208を回転させ、そして羽根車208の底板(シャワー孔遮断部)212が、散水部214の底部に周方向にスポット的に設けた通水路216を断続的に遮断及び開放することで、シャワー吐水部202からシャワー水をパルス状吐水する。
【0006】
しかしながらこの特許文献1に開示のシャワー吐水装置の場合、周方向に隣接した羽根210と210との間の空間が、スポット的に設けられた通水路216から周方向に外れた位置にあるときには、同空間内の水が通水路216及びシャワー吐水部202を通じて外部へと逃げることができず、同空間内に水が閉じ込められてそこに籠り圧が生じ、その籠り圧が羽根車208の円滑な回転を阻害する点で、上記の課題を内在したものである。
またこのシャワー吐水装置の場合、シャワー水をパルス状吐水するシャワー吐水部202が、シャワー孔を円周上に並べて配置したものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−38378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、羽根車の円滑且つ安定的な回転を確保して、シャワー水を良好にパルス状吐水することのできるシャワー吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)軸と該軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(c)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、(d)前記散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り前記羽根車に設けられ、該羽根車の回転により前記軸周りに回動運動し、回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー吐水装置であって、前記散水板の内面で開口する前記シャワー孔の上端の開口を前記軸の軸心を中心とした円周上に並べて配置するとともに、該シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置において該散水板の内面に円周状の溝を設けて、該溝の底面に前記上端の開口を位置させるか、又は/及び、前記羽根車における前記散水板の内面側の下側部位であって前記シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置に位置する部分を円周状に切り欠くことで、該上端の開口と前記羽根車との間に、周方向に隣接した該羽根と羽根との間に形成される各空間と該上端の開口とを前記円周方向に連絡する、前記円周状の溝又は/及び前記切り欠きを設けた径方向位置とは異なる径方向位置での前記散水板の内面と前記羽根車の下側部位との間の隙間に対して大きな隙間の部分的な拡大隙間を形成したことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0010】
以上のように本発明は、シャワー孔の上端の開口を円周上に並べて配置するとともに、その上端の開口と同じ径方向位置において散水板の内面に円周状の溝を設けて、その溝の底面にシャワー孔の上端の開口を位置させるか、又は/及び、羽根車における散水板側の下側部位且つシャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置を円周状に切り欠くことで、その上端の開口と羽根車との間に、周方向に隣接した羽根と羽根との間に形成される各空間とシャワー孔の上端の開口とを円周方向に連絡する、部分的な拡大隙間を形成したものである。
【0011】
本発明では、シャワー孔の上端の開口が円周上に並べて配置してあることによって、シャワー孔遮断部の回転運動に伴い、広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー孔遮断部によるシャワー孔の遮断及び開放によってシャワー水のパルス状吐水を実現できるのに加えて、以下のような利点が得られる。
【0012】
本発明では、周方向に隣接した羽根と羽根との間に形成される空間内の位置に上端開口が位置しているシャワー孔を通じて、同空間内の水を外部に排出する(逃がす)ことができるのみならず、同空間内の水を円周状の溝や切欠部にて形成される部分的な拡大隙間を通じて、羽根の下側の隠れた位置に上端開口が位置しているシャワー孔に回り込ませて、そこから外部へと排出させることができるため、羽根と羽根との間の空間に水が籠った状態となって、そこに籠り圧を生ぜしめるのを防ぐことができる。
これにより羽根車を円滑且つ安定して回転させることができ、シャワー水を良好にパルス状吐水させることが可能となる。
【0013】
尚、羽根車を単に円滑に回転させるためだけならば、羽根車自体を散水板の内面から上方に大きく離隔して配置しておくことでも実現できる。
しかしながらこの場合、羽根の下端と散水板内面との間の隙間が大きくなるとともに、シャワー孔遮断部と散水板内面との間の隙間も大きくなり、この場合、羽根の下端と散水板内面との間の隙間を通じて羽根と羽根との間の空間から周方向に漏れた水が、シャワー孔遮断部と散水板内面との間の隙間に多量に流れ込んで、シャワー孔遮断部の下側に位置するシャワー孔を通じても外部に排出されてしまう。
そのようになるとシャワー孔遮断部により、シャワー孔が良好に遮断されなくなり、シャワー水のパルス状吐水機能が損なわれてしまう。
【0014】
このようなことを防ぐため、本発明では、羽根車の羽根及びシャワー孔遮断部が散水板内面にできるだけ近くに位置するようにして羽根車を設けた上で、上記の円周状の溝若しくは切欠部を設けることで、羽根と羽根との間の空間内の水を円周方向に回り込ませるようにしておくことが望ましい。
【0015】
そのようにすることで、シャワー孔遮断部により遮断状態にあるシャワー孔からの水の漏出を効果的に防止して、シャワー水のパルス状吐水を良好に行わしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー吐水装置を備えたシャワーヘッドを示した図である。
【図2】図1のシャワーヘッドの内部構造を示した図である。
【図3】図2の要部を拡大して示した図である。
【図4】(ア)図2のア−ア視図である。(イ)図2のイ−イ視図である。(ウ)図2のウ−ウ視図である。
【図5】(A)図2におけるエ−エ視図である。(B)図5(A)の回転体の斜視図である。
【図6】図2の第1パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図7】図6の回転体を異なった方向で示した図である。
【図8】図2及び図6の散水板内面のガイド溝を示した図である。
【図9】同実施形態における各部品を分解して示した分解斜視図である。
【図10】図9の羽根車を示した図である。
【図11】図9のノズルシート押えの要部を拡大して示した斜視図である。
【図12】(A)図9におけるノズルシート押えの底部の上面の形状を示した図である。(B)同ノズルシート押えの底部の下面の形状を示した図である。
【図13】(A)同実施形態における第2パルスシャワー機構の要部を拡大して示した縦断面図である。(B)同第2パルスシャワー機構の要部を拡大して示した横断面図である。
【図14】第2パルスシャワー機構における要部を示した斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図16】従来公知のシャワー吐水装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はシャワーヘッドで、12はその握り部、14は頭部である。
図2に、シャワーヘッド10の内部構造が具体的に示してある。
図2に示しているようにシャワーヘッド10は、上部ケース16と、仕切部材18と、下部ケース20とを有している。
仕切部材18は、樹脂製の第1部材22と第2部材24とから成っていて、それらが樹脂同士の溶着により接合一体化されており、上流側の水路26に連通した主水室28をそれらの内側に形成している。
ここで仕切部材18は、固定部30においてボルト32により上部ケース16に固定されている。
【0018】
上部ケース16の下端部且つ外周部には、ねじ部34が設けられており、そこにねじ固定具36が内嵌状態に螺合されている。
上記の仕切部材18は、このねじ固定具36によって外周部が上向きに押圧され、固定されている。
尚、このねじ固定具36は場合によって省略しても良い。
【0019】
下部ケース20もまた樹脂製の上側の第1部材38と、下側の第2部材40とから成っており、それらが樹脂同士の溶着により接合されて一体化されている。
下部ケース20は、中心部の固定部42においてボルト44により段付形状のスリーブ46を介して上記の仕切部材18のボス部47に固定され、支持されている。
【0020】
48はキャップで自身の外周壁部50と、下部ケース20の周壁部52との螺合によって下部ケース20に、即ちシャワーヘッド10の頭部14に組み付けられている。
キャップ48は、外周壁部50と内周壁部51との2重壁構造をなしており、その外周壁部50と内周壁部51との間に、つまりキャップ48の底部60を含んで構成された散水板58の外周側に第1水室54が形成され、また内周壁部51の内側に、つまり散水板58の内周側に第2水室56が形成されている。
【0021】
更に第1水室54の外周側の位置に、第3水室68が周方向に沿って複数個所、ここでは16個所に設けられている。
尚この複数の第3水室68にはミスト機構70が設けられており、これら第3水室68に導かれた水は、このミスト機構70によりミストとされて、下部ケース20の環状の底部に形成されたミスト孔72から外部に噴射される。
ここでミスト孔72は、孔径(最小径部)がφ1.0mmの大きさとされている。
尚この実施形態では、後述の第1パルスシャワー機構91の散水板58-1がキャップ48の底部60自体にて構成され、また第2パルスシャワー機構92の散水板58-2が、底部60と後述のノズルシート140のシート部142、及びノズルシート押え148の底部152にて3層積層構造で構成されている。
【0022】
下部ケース20の外周面には、リング状の切替操作部64が外嵌状態に嵌着されており、切替操作部64によって、下部ケース20及びキャップ48の全体がそれらへの組付部材とともに、ボルト44周りに回転せしめられるようになっている。
尚切替操作部64には、図1に示しているように突出形状の摘み66が設けられている。
【0023】
下部ケース20には、上記第1水室54に連通した第1水路74と、第2水室56に連通した第2水路76、及び第3水室68に連通した環状の第3水路78が形成されている。
一方上記仕切部材18には、図4(ア)に示しているように主水室28に連通した流出開口80が設けられている。
また下部ケース20には、第1水路74に連通した第1流入開口82,第2水路76に連通した第2流入開口84、及び第3水路78に連通した第3流入開口86が同一円周上に設けられている。
【0024】
この実施形態では、切替操作部64を回転操作して第1流入開口82を流出開口80に合致させると、上流側の水路26から流れて来た水が主水室28から流出開口80,第1流入開口82を経て第1水路74へと流入し、次いで図2及び図4(ウ)に示す連通開口88を経て第1水室54へと流入する。
一方第2流入開口84を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第2流入開口84を経て第2水路76へと流入し、次いで図4(ウ)に示す連通開口90を経て第2水室56へと流入する。
また第3流入開口86を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第3流入開口86を経て第3水路78に流入し、次いで第3水室68へと流入して、そこでミスト化されてミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0025】
上記第1水室54内に流入した水は、第1パルスシャワー機構91によって断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
また第2水室56に流入した水は、第2パルスシャワー機構92により断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
【0026】
尚、図4はシャワーヘッド10の頭部14の内部を図1中上側から下向きに見た図であり、また図1は頭部14を下側から上向きに見た図である。
これらの図において、切替操作部64の摘み66が中立位置にあるとき、第2流入開口84が流出開口80に合致した状態にあり、従ってこのときには主水室28内の水が第2水室56に流入して、第2パルスシャワー機構92によりパルスシャワー吐水される。
【0027】
この状態で切替操作部64を図4において反時計方向(図1では時計方向)に回転させると、第1流入開口82が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第1水室54内に流入し、第1パルスシャワー機構91によりパルスシャワー吐水される。
逆に切替操作部64を図4において時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0028】
図5〜図8に、第1パルスシャワー機構91の構成が具体的に示してある。
図6,図7,図8及び図2に示しているように、第1パルスシャワー機構91は、キャップ48の上面即ち散水板58-1の内面(上面)に設けられた環状且つ円形のガイド溝93を有している。
そしてこのガイド溝93の底部に且つ底部に沿って周方向に一定間隔ごとに第1シャワー孔94が設けられている。
ここで第1シャワー孔94は内径がφ1.8mmの大径のものである。
本実施形態では、この第1シャワー孔94が周方向に一定間隔ごとに合計8個設けられている。
【0029】
第1パルスシャワー機構91はまた、図6に示しているように回転体96と水流噴射部材98(これらは何れも樹脂製)とを更に有している。
回転体96は円形のリング状をなす部材であって、図7(B)にも示しているように底部100と周壁部102とを有しており、周方向に120°ごと離れた3個所にボール保持部104を有している。
またそれらボール保持部104と104との間において、平面視略L字形状をなす複数の壁106を互いに等間隔で複数有している。
ここで壁106は、図5に示すように円環状をなす周壁部102からその中心方向、即ち求心方向に延びる主部106Aと、主部106Aの先端で折れ曲った曲げ部106Cとを有している。
壁106における主部106Aの凹面側の、周壁部102への付根部106Bは曲面形状とされており、また主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部106Dが、同じく湾曲した曲り形状とされている。
【0030】
この回転体96には、底部100に一定ピッチで複数のスリット状の貫通の開口108が設けられ、また図5に示すように平面視において隣接するL字状の壁106と106との間に側面の開口110が形成されている。
回転体96における上記のボール保持部104は、図中下面で開口した球面状、厳密には部分球面状をなす保持穴112(図7(B)参照)を有しており、各保持穴112においてボール114(ボール114もまた樹脂製)を、それらの下部を僅かに下向きに突出させる状態に回転可能に保持している。
【0031】
回転体96は、各保持穴112から下部を突出させたボール114を、横断面形状が円弧形状の凹形状をなす上記のガイド溝93に凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ、ガイド溝93の中心(径方向中心)を回転中心として回転運動する。
即ちガイド溝93とボール114との凹凸嵌合にて画定される回転軌跡に沿って回転運動させられる。
【0032】
このとき、ガイド溝93に沿って転動運動するボール114が、ガイド溝93の底部に設けられたシャワー孔94に到ると、そこでシャワー孔94がボール114にて遮断され、更にこれをボール114が通過することでシャワー孔94が開放される。
即ち各ボール114は、ガイド溝93に沿って周回運動する際、断続的に各シャワー孔94を遮断及び開放する。
【0033】
一方、上記の水流噴射部材98は全体として円板状をなしており、周方向に沿って一定ピッチで複数の噴射孔116を有している。
各噴射孔116は斜孔をなしており、上流側から流れて来た水をこれら噴射孔116を通じて下流側に通過させ、その際に通過水を噴射水流として回転体96に備えた上記の壁106に衝突させ、回転体96を回転駆動する。
【0034】
本実施形態において、上記の第1パルスシャワー機構91は次のように作用する。
リング状の切替操作部64の回転操作で、図4(イ)に示す第1流入開口82を主水室28の流出開口80に合致させることにより第1水路74に流入した水は、連通開口88を経由して水流噴射部材98の上面に図中下向きに到達する。
水流噴射部材98は、このようにして到達した水を、自身の噴射孔116を通じて図中下向き且つ回転方向に斜め向きに水流として噴射する。
その噴射水流は回転体96の壁106に当ってこれを回転運動させる。
【0035】
このとき回転体96は、ボール114とガイド溝93との凹凸嵌合に基づいて画定された回転軌跡に沿って、またボール114のベアリングとしての働きにより、滑らかに回転運動する。
その際、ボール114は回転体96に保持されながらこれと一体にガイド溝93を転動運動(回動運動)し、その回転運動に伴って即ち第1シャワー孔94を通過するごとにこれを遮断及び開放し、以て第1シャワー孔94からシャワー水を断続してパルスシャワー吐水せしめる。
【0036】
即ちこの実施形態において、ボール114は、ガイド溝93と協働して回転体96の回転軌跡を画定する働きと、ベアリング作用によって回転体96の回転抵抗を可及的に小さくする働きと、第1シャワー孔94を開閉する弁としての3つの働きを同時になしている。
【0037】
この第1パルスシャワー機構91において、第1シャワー孔94は孔径の大きな大径のシャワー孔であり、またこの第1シャワー孔94は全体として全周に亘り8個だけの少ない数で大きいピッチで設けられているため、各第1シャワー孔94からは太くて勢いの強い水流が噴射され、従ってこの第1シャワー孔94からのシャワー水流の断続によって、使用者に対して効果的にマッサージが施される。
【0038】
図2,図3,図5及び図9に、第2パルスシャワー機構92の構成が詳しく示してある。
この第2パルスシャワー機構92の散水板58-2は、上記のようにキャップ48の底部60と、これに重ねられたノズルシート140のシート部142と、更にこれに重ねられたノズルシート押え148の底部152との3層積層構造で構成されている。
ノズルシート140はゴム製(他のエラストマー材料から成るものであっても良い)であり、このノズルシート140は、図3及び図9に示しているようにシート部142と、このシート部142から下向きに突き出した多数のノズル部144とを有しており、各ノズル部144が、樹脂製のキャップ48の底部60に形成された挿通孔146を挿通して、それぞれの先端部が下向きに突き出している。
【0039】
これら複数のノズル部144は、内部にノズル孔118Aを有しており、それらノズル孔118Aによって、第2パルスシャワー機構92における、第1シャワー孔94の内周側の第2シャワー孔118(図1参照)の下部を形成している。
ノズル部144は、4重の同心円状に配置されており、そしてそれらノズル部144のノズル孔118Aによって、図1に示す4重の同心円状のシャワー孔118(詳しくはシャワー孔118の下部)を形成している。
ここで第2シャワー孔118は、それぞれの大きさが第1シャワー孔94よりも小孔径とされている。具体的にはここでは第2シャワー孔118は、その何れもが下端の開口の孔径がφ0.8mmとされている。
【0040】
図1において、118-1は最外周のシャワー孔(詳しくはシャワー孔の下部。以下同様)を、118-2はその内側のシャワー孔を、118-3は更にその内側のシャワー孔を、118-4は最内周のシャワー孔をそれぞれ示しており、それら4重のシャワー孔の下部が、上記のノズル部144のノズル孔118Aにて形成されている。
尚最内周のシャワー孔118-4は、周方向に120°ごと隔たった3個所に形成されている。
【0041】
ノズルシート140のシート部142は、図3に示しているように下面が下向きに凸、上面が下向きに凹となるような湾曲形状をなしており、そしてその下面から直角に立ち下る形状で、各ノズル部144がシート部142に一体に形成されている。
【0042】
上記ノズルシート押え148は、ノズルシート140をキャップ48の底部60に押し付けて固定する部材であって、硬質(ここでは樹脂製)の部材から成っており、上面が開放された形状の容器状をなしていて、その内側に第2水室56を形成しており、そこに後述の羽根車124を収容している。
このノズルシート押え148は、円形の周壁部150と、底部152とを有している。底部152の下面は、ノズルシート140におけるシート部142の凹曲面に対応した凸曲面をなしている。
【0043】
このノズルシート押え148は、キャップ48を下部ケース20の周壁部52に上向きにねじ込むことで、後述の水流噴射部材127を介して下部ケース20とキャップ48の底部60とで挟まれて固定される。
その際のキャップ48のねじ込み力により、自身の底部152によってノズルシート140のシート部142を、キャップ48の底部60に対して下向きに押圧し、ノズルシート140をキャップ48に対して固定状態とする。
【0044】
容器状をなすノズルシート押え148の底部152には、ノズル孔118Aと連通し、上記の第2シャワー孔118の上部を形成する多数の連通孔118Bが、底部152を貫通し且つ上端が第2水室56内に開口する形態で設けられている。
図12(A)は、ノズルシート押え148の底部152の平面視を、また図15(B)は底面視をそれぞれ表しており、これらの図に示しているように連通孔118Bは、上端の開口及び下端の開口が何れも3重の同心円状に配置されている。
【0045】
最外周の連通孔118Bは、4重の同心円状に配置されたノズル部144のうちの最外周のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通しており、そのノズル孔118Aとともに図1の最外周のシャワー孔118-1を形成している。
またその内側の連通孔118Bは、同じく最外周の次の内側のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通しており、そのノズル孔118Aとともに図1のシャワー孔118-2を形成している。
更にその内側の連通孔118Bは、同じく最外周から3番目の内周側のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通し、そのノズル孔118Aとともに図1のシャワー孔118-3を形成している。
【0046】
図12(A)における最内周の位置のノズル孔118Bのうちの一部は、図12(B)に示しているように、底部152の下面側の一部が底部152中心に向って分岐して延びており、その分岐部Tの中心側端において、4重の同心円をなすノズル部144のうちの最内周のノズル部144のノズル孔118Aと連通し、以て図1に示す最内周のシャワー孔118-4を形成している。
従って第2水室56から図12(A)中最内周の連通孔118Bに流入した水は、その最内周の連通孔118Bを通じて、最外周から3番目のノズル孔118Aと最内周のノズル孔118Aとの両方に給水される。
【0047】
第2パルスシャワー機構92は、上記の第2シャワー孔118の他に、第2水室56内に回転可能に配置された図10に示す羽根車124と、羽根車124の中心部の円筒部122を回転可能に嵌合させる軸126(図1,図3参照)を備えた水流噴射部材127とを備えている。
【0048】
水流噴射部材127は円板状をなしていて、外周部において、下部ケース20の圧入孔125(図3参照)に圧入され、そこに固定されている。
この水流噴射部材127は、図4(イ)の流入開口84及び図4(ウ)の連通開口90を通じて流れ込んで来た水を噴射孔128に導入してこれを通過させる。そしてそこで噴射水流を発生させて、これを図中下側の羽根車124の羽根129に当て、羽根車124を回転駆動する。
ここで噴射孔128は、図9に示しているようにここから噴射した水流が、羽根車124の湾曲した羽根129の凹面側に当るように、その向きが定められている。
【0049】
羽根車124は、図10に示しているように中心の円筒部122の周りにおいて、周方向に一定ピッチで配置された多数の羽根129A,129Bを有している。
ここで羽根129A及び129Bは同一形状をなしている。
これらの羽根129A,129Bは、部分螺旋形状を描くようにして中心部の円筒部122から外周に向け延出せしめられている。
【0050】
この羽根車124には、羽根129Bの下側位置において部分円板状(略半円形状の板状)をなすシャワー孔遮断部130が設けられており、羽根129Bと129Bとの間の空間は、その下面がこのシャワー孔遮断部130にて閉鎖されている。
一方羽根129Aと129Aとの間の空間は下面が開放されており、またそれら羽根129Aは、略半円の円弧状をなす連結部131にてそれらの外周端が互いに連結されている。
尚、円筒部122と羽根129Bとの間及び羽根129Aの上部との間には環状の隙間が形成されている。
またシャワー孔遮断部130には、周方向に離隔した2個所に羽根129Bと129Bとの間の空間に連通したスリット孔133が形成されている。
【0051】
図3に示しているように、羽根車124は、中心の円筒部122の下端部を、直接ノズルシート押え148の底部152の上面、即ち第2パルスシャワー機構92における散水板58-2の内面に当接させる状態で、散水板58-2の内面上に載置されており、上記のシャワー孔遮断部130は、散水板58-2の内面に対し微小クリアランスを形成する状態で、散水板58-2の内面の直近位置でその内面に沿って延びている。
【0052】
尚、羽根129B及びシャワー孔遮断部130と散水板58-2内面との間の設定クリアランスは0.4mmである。
【0053】
この第2パルスシャワー機構92は次のように作用する。
切替操作部64の回転操作で、図4の流入開口84を流出開口80に合致させることにより図2の第2水路76に流入した水は、図3の連通開口90を経て水流噴射部材127へと到る。
水流噴射部材127は、流れて来た水を自身の噴射孔128を通過させ、その際に通過水を噴射水流となして、これを下側の羽根車124の各羽根129に衝突させる。
ここにおいて羽根車124は、その噴射水流の勢いで軸126周りに回転運動する。
このとき、羽根車124の下面の略半分を覆った状態のシャワー孔遮断部130は、回動とともに第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放し、第2シャワー孔118からシャワー水を断続的にパルス吐水せしめる。
【0054】
尚この第2シャワー孔118は、全体として数も多く、また1つ1つのシャワー孔も第1パルスシャワー機構91における第1シャワー孔94よりも孔径の小さなものであるため、通常のシャワー水が吐水される。
そしてそのシャワー水が断続的に吐水及び吐水停止することで、即ち間欠シャワー吐水されることで節水を果たすことができる。
【0055】
上記のように、ノズルシート押え148の底部152の内面(上面)で開口した連通孔118Bの上端の開口は、図9,図11〜14に示すように水流噴射部材127の軸126の軸心を中心とする3重の同心円をなす円周上に並べて配置してある。
即ち、第2パルスシャワー機構92におけるシャワー孔118の上端の開口は、散水板58-2の内面において3重の同心円をなす円周上に並べて配置してある。
この散水板58-2の内面、詳しくはノズルシート押え148の底部152の内面には、3重の同心円をなす3つの円周状の溝160が設けてある。溝160は溝深さの浅いもので、ここでは溝深さが0.2mmとされている。
【0056】
ここで最外周の溝160-1は最外周の連通孔118B、つまり最外周のシャワー孔118の上端の開口と同じ径方向位置に位置するように設けられ、またその内側の溝160-2は、最外周の次の円周上の連通孔118Bの上端の開口と同じ径方向位置に位置するように、また最内周の溝160-3は、最内周の円周上の連通孔118Bの上端の開口と同じ径方向位置にそれぞれ位置するように設けられている。
そして溝160-1,160-2,160-3のそれぞれの底面で連通孔118Bの上端がそれぞれ開口せしめられている。
【0057】
これにより、図13に示すように溝160-1の底面で開口するシャワー孔118の上端の開口、つまり連通孔118Bの上端の開口と、羽根車124におけるシャワー孔遮断部130の位置していない個所の羽根129Aと129Aとの間に形成される空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1が、羽根129Aの下端とノズルシート押え148における底部152の内面、つまり第2パルスシャワー機構92における散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
【0058】
またその次の内周側の溝160-2の底面で開口する連通孔118Bの上端の開口と上記の空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-2が、羽根129Aの下端と散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
更に最内周の溝160-3の底面で開口する連通孔118Bの上端の開口と上記の空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-3が、羽根129Aと散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
【0059】
上記のような部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3が生じていない場合、羽根129Aと129Aとの間の空間K内の水は、空間K内に上端の開口が位置している(羽根129Aと129Aとの間に位置している)連通孔118B、つまりシャワー孔118を通じて円滑に外部に排出され得るものの、上端の開口が羽根129Aの下側に全体的に若しくは部分的に隠れて位置している連通孔118Bを通じて外部に円滑に排出されず、そのことによって空間K内の水がそこに籠ったような状態となって、同空間K内に籠り圧が生じてしまう。
そうすると、その籠り圧による抵抗で羽根車124が安定して円滑に回転できず、シャワー水が良好にパルス状吐水されなくなってしまう。
【0060】
しかるにこの実施形態では、羽根129Aと散水板58-2の上面との間に、連通孔118Bの上端の開口と空間Kとを円周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3が生ぜしめられているために、空間K内の水は、その空間K内に上端開口が位置している連通孔118B、つまりシャワー孔118を通じシャワー水となって外部に円滑に排出されるだけでなく、上記の部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を通じて空間K内の水が、羽根129Aの下側まで十分に回り込むことができるため、羽根129Aの下側に上端の開口が全体的に若しくは部分的に隠れて位置している連通孔118Bを通じてもシャワー水となって円滑に外部に排出される。
従ってシャワー孔遮断部130にて遮断されていない連通孔118Bのそれぞれを通じて、シャワー水が均等に排出(吐水)されるのみならず、空間K内に籠り圧が生じることで羽根車124の回転が阻害されるのを防止し得て、羽根車124を安定して円滑に回転させることができる。
【0061】
以上のような本実施形態によれば、シャワー孔118の上端の開口が円周上に並べて配置してあることによって、シャワー孔遮断部130の回転運動に伴い、シャワー孔遮断部130にて遮断されていないシャワー孔118から広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー孔遮断部130によるシャワー孔118の遮断及び開放によりシャワー水をパルス状に吐水することができる。
【0062】
また本実施形態では、周方向に隣接した羽根129Aと羽根129Aとの間に形成される空間K内に上端開口が位置しているシャワー孔118のみならず、羽根129Aの下側の隠れた位置に上端開口が位置しているシャワー孔118を通じても空間K内の水を外部へと円滑に排出できるため、空間Kに籠り圧を生ぜしめることなく、羽根車124を円滑且つ安定して回転させることができ、シャワー水を良好にパルス状吐水させることができる。
【0063】
以上の例では、散水板58-2の内面に円周状の溝160を設けることで、部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようにしているが、図15に示しているように羽根129A及びシャワー孔遮断部130における散水板58-2の内面側の下側部位を、3重の同心円をなす3つの円周上に並んで配置された連通孔118Bと同じ径方向位置で円周状に切り欠き、その切欠部164-1,164-2,164-3にて部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようになしても良い。
或いは円周状の溝160-1,160-2,160-3と切欠部164-1,164-2,164-3とを併せて設けることで、部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようになしても良い。
これらの場合においても基本的に上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0064】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば、本発明では上記の第1パルスシャワー機構91を省略することも可能であるし、またキャップ48の底部60に設けた孔を第2パルスシャワー機構92の散水孔118となし、第2パウスシャワー機構92の散水板58-2を、上記のノズルシート140のシート部142,ノズルシート押え148の底部152を省いて、キャップ48の底部60自体で構成することも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0065】
58,58-2 散水板
118 第2シャワー孔(シャワー孔)
126 軸
122 円筒部
124 羽根車
129A,129B 羽根
130 シャワー孔遮断部
160,160-1,160-2,160-3 溝
164-1〜164-3 切欠部
K 空間
S 拡大隙間
【技術分野】
【0001】
この発明はシャワー吐水装置に関し、詳しくはシャワー孔からシャワー水を断続的にパルス状に吐水するシャワー吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワー孔を断続的に遮断及び開放することによって、シャワー孔からシャワー水をパルス状に吐水するシャワー吐水装置が公知である。
従来において、この種のシャワー装置では、散水板に設けられた複数のシャワー孔と、軸と軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として羽根車の羽根に衝突させ、羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り羽根車に設けられ、羽根車の回転により上記の軸周りに回動運動し、回動に伴ってシャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部とを含み、そのシャワー孔遮断部によるシャワー孔の断続的な遮断及び開放に基づいてシャワー水をパルス状に吐水するようにしている。
【0003】
シャワー水をパルス状に吐水するこの種のシャワー吐水装置では、シャワー孔を円周上に並べて配置しておいた場合、シャワー孔遮断部の回動運動に伴って、円周上に並んだシャワー孔を順次に且つ連続して遮断及び開放して行くことができ、これによりシャワー孔遮断部にて遮断されていないシャワー孔から広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー水のパルス状吐水を実現できて望ましい。
【0004】
ところでこのようにした場合、周方向に隣接した羽根と羽根との間の空間内に上端の開口が位置したシャワー孔と、羽根の丁度下側の隠れた位置に上端の開口が位置したシャワー孔とが常時生ずることとなる。
この場合、羽根と羽根との間の空間内の水は、その空間内に上端の開口が位置しているシャワー孔を通じて外部に円滑に排出され得るが、上端の開口が羽根の下側の隠れた位置にあるシャワー孔を通じては外部に円滑に排出され難く、そのことによって同空間内の水がそこに籠った状態となり易い。
この場合同空間内の水の籠り圧が羽根車に対する回転の抵抗となり、そのことによって羽根車が円滑に安定して回転しなくなり、シャワー水をスムーズにパルス状吐水することが難しくなる問題が生ずる。
【0005】
尚、本発明に対する先行技術として下記特許文献1に開示されたものがある。
図16はその具体例を示している。
図16(A)中、200はシャワーヘッドで、202はシャワー水を断続的にパルス状吐水するシャワー吐水部である。
この特許文献1に開示のものでは、図16(B)に示す流路切替機構204に設けた螺旋状の通水路206を湯水が通過して、羽根車208の羽根210に当ることで羽根車208を回転させ、そして羽根車208の底板(シャワー孔遮断部)212が、散水部214の底部に周方向にスポット的に設けた通水路216を断続的に遮断及び開放することで、シャワー吐水部202からシャワー水をパルス状吐水する。
【0006】
しかしながらこの特許文献1に開示のシャワー吐水装置の場合、周方向に隣接した羽根210と210との間の空間が、スポット的に設けられた通水路216から周方向に外れた位置にあるときには、同空間内の水が通水路216及びシャワー吐水部202を通じて外部へと逃げることができず、同空間内に水が閉じ込められてそこに籠り圧が生じ、その籠り圧が羽根車208の円滑な回転を阻害する点で、上記の課題を内在したものである。
またこのシャワー吐水装置の場合、シャワー水をパルス状吐水するシャワー吐水部202が、シャワー孔を円周上に並べて配置したものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−38378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、羽根車の円滑且つ安定的な回転を確保して、シャワー水を良好にパルス状吐水することのできるシャワー吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)軸と該軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(c)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、(d)前記散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り前記羽根車に設けられ、該羽根車の回転により前記軸周りに回動運動し、回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー吐水装置であって、前記散水板の内面で開口する前記シャワー孔の上端の開口を前記軸の軸心を中心とした円周上に並べて配置するとともに、該シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置において該散水板の内面に円周状の溝を設けて、該溝の底面に前記上端の開口を位置させるか、又は/及び、前記羽根車における前記散水板の内面側の下側部位であって前記シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置に位置する部分を円周状に切り欠くことで、該上端の開口と前記羽根車との間に、周方向に隣接した該羽根と羽根との間に形成される各空間と該上端の開口とを前記円周方向に連絡する、前記円周状の溝又は/及び前記切り欠きを設けた径方向位置とは異なる径方向位置での前記散水板の内面と前記羽根車の下側部位との間の隙間に対して大きな隙間の部分的な拡大隙間を形成したことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0010】
以上のように本発明は、シャワー孔の上端の開口を円周上に並べて配置するとともに、その上端の開口と同じ径方向位置において散水板の内面に円周状の溝を設けて、その溝の底面にシャワー孔の上端の開口を位置させるか、又は/及び、羽根車における散水板側の下側部位且つシャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置を円周状に切り欠くことで、その上端の開口と羽根車との間に、周方向に隣接した羽根と羽根との間に形成される各空間とシャワー孔の上端の開口とを円周方向に連絡する、部分的な拡大隙間を形成したものである。
【0011】
本発明では、シャワー孔の上端の開口が円周上に並べて配置してあることによって、シャワー孔遮断部の回転運動に伴い、広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー孔遮断部によるシャワー孔の遮断及び開放によってシャワー水のパルス状吐水を実現できるのに加えて、以下のような利点が得られる。
【0012】
本発明では、周方向に隣接した羽根と羽根との間に形成される空間内の位置に上端開口が位置しているシャワー孔を通じて、同空間内の水を外部に排出する(逃がす)ことができるのみならず、同空間内の水を円周状の溝や切欠部にて形成される部分的な拡大隙間を通じて、羽根の下側の隠れた位置に上端開口が位置しているシャワー孔に回り込ませて、そこから外部へと排出させることができるため、羽根と羽根との間の空間に水が籠った状態となって、そこに籠り圧を生ぜしめるのを防ぐことができる。
これにより羽根車を円滑且つ安定して回転させることができ、シャワー水を良好にパルス状吐水させることが可能となる。
【0013】
尚、羽根車を単に円滑に回転させるためだけならば、羽根車自体を散水板の内面から上方に大きく離隔して配置しておくことでも実現できる。
しかしながらこの場合、羽根の下端と散水板内面との間の隙間が大きくなるとともに、シャワー孔遮断部と散水板内面との間の隙間も大きくなり、この場合、羽根の下端と散水板内面との間の隙間を通じて羽根と羽根との間の空間から周方向に漏れた水が、シャワー孔遮断部と散水板内面との間の隙間に多量に流れ込んで、シャワー孔遮断部の下側に位置するシャワー孔を通じても外部に排出されてしまう。
そのようになるとシャワー孔遮断部により、シャワー孔が良好に遮断されなくなり、シャワー水のパルス状吐水機能が損なわれてしまう。
【0014】
このようなことを防ぐため、本発明では、羽根車の羽根及びシャワー孔遮断部が散水板内面にできるだけ近くに位置するようにして羽根車を設けた上で、上記の円周状の溝若しくは切欠部を設けることで、羽根と羽根との間の空間内の水を円周方向に回り込ませるようにしておくことが望ましい。
【0015】
そのようにすることで、シャワー孔遮断部により遮断状態にあるシャワー孔からの水の漏出を効果的に防止して、シャワー水のパルス状吐水を良好に行わしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー吐水装置を備えたシャワーヘッドを示した図である。
【図2】図1のシャワーヘッドの内部構造を示した図である。
【図3】図2の要部を拡大して示した図である。
【図4】(ア)図2のア−ア視図である。(イ)図2のイ−イ視図である。(ウ)図2のウ−ウ視図である。
【図5】(A)図2におけるエ−エ視図である。(B)図5(A)の回転体の斜視図である。
【図6】図2の第1パルスシャワー機構の構成部品を分解して示した図である。
【図7】図6の回転体を異なった方向で示した図である。
【図8】図2及び図6の散水板内面のガイド溝を示した図である。
【図9】同実施形態における各部品を分解して示した分解斜視図である。
【図10】図9の羽根車を示した図である。
【図11】図9のノズルシート押えの要部を拡大して示した斜視図である。
【図12】(A)図9におけるノズルシート押えの底部の上面の形状を示した図である。(B)同ノズルシート押えの底部の下面の形状を示した図である。
【図13】(A)同実施形態における第2パルスシャワー機構の要部を拡大して示した縦断面図である。(B)同第2パルスシャワー機構の要部を拡大して示した横断面図である。
【図14】第2パルスシャワー機構における要部を示した斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態の要部を示した図である。
【図16】従来公知のシャワー吐水装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はシャワーヘッドで、12はその握り部、14は頭部である。
図2に、シャワーヘッド10の内部構造が具体的に示してある。
図2に示しているようにシャワーヘッド10は、上部ケース16と、仕切部材18と、下部ケース20とを有している。
仕切部材18は、樹脂製の第1部材22と第2部材24とから成っていて、それらが樹脂同士の溶着により接合一体化されており、上流側の水路26に連通した主水室28をそれらの内側に形成している。
ここで仕切部材18は、固定部30においてボルト32により上部ケース16に固定されている。
【0018】
上部ケース16の下端部且つ外周部には、ねじ部34が設けられており、そこにねじ固定具36が内嵌状態に螺合されている。
上記の仕切部材18は、このねじ固定具36によって外周部が上向きに押圧され、固定されている。
尚、このねじ固定具36は場合によって省略しても良い。
【0019】
下部ケース20もまた樹脂製の上側の第1部材38と、下側の第2部材40とから成っており、それらが樹脂同士の溶着により接合されて一体化されている。
下部ケース20は、中心部の固定部42においてボルト44により段付形状のスリーブ46を介して上記の仕切部材18のボス部47に固定され、支持されている。
【0020】
48はキャップで自身の外周壁部50と、下部ケース20の周壁部52との螺合によって下部ケース20に、即ちシャワーヘッド10の頭部14に組み付けられている。
キャップ48は、外周壁部50と内周壁部51との2重壁構造をなしており、その外周壁部50と内周壁部51との間に、つまりキャップ48の底部60を含んで構成された散水板58の外周側に第1水室54が形成され、また内周壁部51の内側に、つまり散水板58の内周側に第2水室56が形成されている。
【0021】
更に第1水室54の外周側の位置に、第3水室68が周方向に沿って複数個所、ここでは16個所に設けられている。
尚この複数の第3水室68にはミスト機構70が設けられており、これら第3水室68に導かれた水は、このミスト機構70によりミストとされて、下部ケース20の環状の底部に形成されたミスト孔72から外部に噴射される。
ここでミスト孔72は、孔径(最小径部)がφ1.0mmの大きさとされている。
尚この実施形態では、後述の第1パルスシャワー機構91の散水板58-1がキャップ48の底部60自体にて構成され、また第2パルスシャワー機構92の散水板58-2が、底部60と後述のノズルシート140のシート部142、及びノズルシート押え148の底部152にて3層積層構造で構成されている。
【0022】
下部ケース20の外周面には、リング状の切替操作部64が外嵌状態に嵌着されており、切替操作部64によって、下部ケース20及びキャップ48の全体がそれらへの組付部材とともに、ボルト44周りに回転せしめられるようになっている。
尚切替操作部64には、図1に示しているように突出形状の摘み66が設けられている。
【0023】
下部ケース20には、上記第1水室54に連通した第1水路74と、第2水室56に連通した第2水路76、及び第3水室68に連通した環状の第3水路78が形成されている。
一方上記仕切部材18には、図4(ア)に示しているように主水室28に連通した流出開口80が設けられている。
また下部ケース20には、第1水路74に連通した第1流入開口82,第2水路76に連通した第2流入開口84、及び第3水路78に連通した第3流入開口86が同一円周上に設けられている。
【0024】
この実施形態では、切替操作部64を回転操作して第1流入開口82を流出開口80に合致させると、上流側の水路26から流れて来た水が主水室28から流出開口80,第1流入開口82を経て第1水路74へと流入し、次いで図2及び図4(ウ)に示す連通開口88を経て第1水室54へと流入する。
一方第2流入開口84を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第2流入開口84を経て第2水路76へと流入し、次いで図4(ウ)に示す連通開口90を経て第2水室56へと流入する。
また第3流入開口86を流出開口80に合致させると、上流部からの水が主水室28から流出開口80,第3流入開口86を経て第3水路78に流入し、次いで第3水室68へと流入して、そこでミスト化されてミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0025】
上記第1水室54内に流入した水は、第1パルスシャワー機構91によって断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
また第2水室56に流入した水は、第2パルスシャワー機構92により断続的にシャワー吐水、即ちパルスシャワー吐水される。
【0026】
尚、図4はシャワーヘッド10の頭部14の内部を図1中上側から下向きに見た図であり、また図1は頭部14を下側から上向きに見た図である。
これらの図において、切替操作部64の摘み66が中立位置にあるとき、第2流入開口84が流出開口80に合致した状態にあり、従ってこのときには主水室28内の水が第2水室56に流入して、第2パルスシャワー機構92によりパルスシャワー吐水される。
【0027】
この状態で切替操作部64を図4において反時計方向(図1では時計方向)に回転させると、第1流入開口82が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第1水室54内に流入し、第1パルスシャワー機構91によりパルスシャワー吐水される。
逆に切替操作部64を図4において時計方向に回転させると、第3流入開口86が流出開口80に合致して、主水室28内の水が第3水室68内に流入し、ミスト孔72から外部にミスト噴射される。
【0028】
図5〜図8に、第1パルスシャワー機構91の構成が具体的に示してある。
図6,図7,図8及び図2に示しているように、第1パルスシャワー機構91は、キャップ48の上面即ち散水板58-1の内面(上面)に設けられた環状且つ円形のガイド溝93を有している。
そしてこのガイド溝93の底部に且つ底部に沿って周方向に一定間隔ごとに第1シャワー孔94が設けられている。
ここで第1シャワー孔94は内径がφ1.8mmの大径のものである。
本実施形態では、この第1シャワー孔94が周方向に一定間隔ごとに合計8個設けられている。
【0029】
第1パルスシャワー機構91はまた、図6に示しているように回転体96と水流噴射部材98(これらは何れも樹脂製)とを更に有している。
回転体96は円形のリング状をなす部材であって、図7(B)にも示しているように底部100と周壁部102とを有しており、周方向に120°ごと離れた3個所にボール保持部104を有している。
またそれらボール保持部104と104との間において、平面視略L字形状をなす複数の壁106を互いに等間隔で複数有している。
ここで壁106は、図5に示すように円環状をなす周壁部102からその中心方向、即ち求心方向に延びる主部106Aと、主部106Aの先端で折れ曲った曲げ部106Cとを有している。
壁106における主部106Aの凹面側の、周壁部102への付根部106Bは曲面形状とされており、また主部106Aから曲げ部106Cにかけての移行部106Dが、同じく湾曲した曲り形状とされている。
【0030】
この回転体96には、底部100に一定ピッチで複数のスリット状の貫通の開口108が設けられ、また図5に示すように平面視において隣接するL字状の壁106と106との間に側面の開口110が形成されている。
回転体96における上記のボール保持部104は、図中下面で開口した球面状、厳密には部分球面状をなす保持穴112(図7(B)参照)を有しており、各保持穴112においてボール114(ボール114もまた樹脂製)を、それらの下部を僅かに下向きに突出させる状態に回転可能に保持している。
【0031】
回転体96は、各保持穴112から下部を突出させたボール114を、横断面形状が円弧形状の凹形状をなす上記のガイド溝93に凹凸嵌合させ、その凹凸嵌合状態を保持しながらボール114をガイド溝93に沿って周回運動させつつ、ガイド溝93の中心(径方向中心)を回転中心として回転運動する。
即ちガイド溝93とボール114との凹凸嵌合にて画定される回転軌跡に沿って回転運動させられる。
【0032】
このとき、ガイド溝93に沿って転動運動するボール114が、ガイド溝93の底部に設けられたシャワー孔94に到ると、そこでシャワー孔94がボール114にて遮断され、更にこれをボール114が通過することでシャワー孔94が開放される。
即ち各ボール114は、ガイド溝93に沿って周回運動する際、断続的に各シャワー孔94を遮断及び開放する。
【0033】
一方、上記の水流噴射部材98は全体として円板状をなしており、周方向に沿って一定ピッチで複数の噴射孔116を有している。
各噴射孔116は斜孔をなしており、上流側から流れて来た水をこれら噴射孔116を通じて下流側に通過させ、その際に通過水を噴射水流として回転体96に備えた上記の壁106に衝突させ、回転体96を回転駆動する。
【0034】
本実施形態において、上記の第1パルスシャワー機構91は次のように作用する。
リング状の切替操作部64の回転操作で、図4(イ)に示す第1流入開口82を主水室28の流出開口80に合致させることにより第1水路74に流入した水は、連通開口88を経由して水流噴射部材98の上面に図中下向きに到達する。
水流噴射部材98は、このようにして到達した水を、自身の噴射孔116を通じて図中下向き且つ回転方向に斜め向きに水流として噴射する。
その噴射水流は回転体96の壁106に当ってこれを回転運動させる。
【0035】
このとき回転体96は、ボール114とガイド溝93との凹凸嵌合に基づいて画定された回転軌跡に沿って、またボール114のベアリングとしての働きにより、滑らかに回転運動する。
その際、ボール114は回転体96に保持されながらこれと一体にガイド溝93を転動運動(回動運動)し、その回転運動に伴って即ち第1シャワー孔94を通過するごとにこれを遮断及び開放し、以て第1シャワー孔94からシャワー水を断続してパルスシャワー吐水せしめる。
【0036】
即ちこの実施形態において、ボール114は、ガイド溝93と協働して回転体96の回転軌跡を画定する働きと、ベアリング作用によって回転体96の回転抵抗を可及的に小さくする働きと、第1シャワー孔94を開閉する弁としての3つの働きを同時になしている。
【0037】
この第1パルスシャワー機構91において、第1シャワー孔94は孔径の大きな大径のシャワー孔であり、またこの第1シャワー孔94は全体として全周に亘り8個だけの少ない数で大きいピッチで設けられているため、各第1シャワー孔94からは太くて勢いの強い水流が噴射され、従ってこの第1シャワー孔94からのシャワー水流の断続によって、使用者に対して効果的にマッサージが施される。
【0038】
図2,図3,図5及び図9に、第2パルスシャワー機構92の構成が詳しく示してある。
この第2パルスシャワー機構92の散水板58-2は、上記のようにキャップ48の底部60と、これに重ねられたノズルシート140のシート部142と、更にこれに重ねられたノズルシート押え148の底部152との3層積層構造で構成されている。
ノズルシート140はゴム製(他のエラストマー材料から成るものであっても良い)であり、このノズルシート140は、図3及び図9に示しているようにシート部142と、このシート部142から下向きに突き出した多数のノズル部144とを有しており、各ノズル部144が、樹脂製のキャップ48の底部60に形成された挿通孔146を挿通して、それぞれの先端部が下向きに突き出している。
【0039】
これら複数のノズル部144は、内部にノズル孔118Aを有しており、それらノズル孔118Aによって、第2パルスシャワー機構92における、第1シャワー孔94の内周側の第2シャワー孔118(図1参照)の下部を形成している。
ノズル部144は、4重の同心円状に配置されており、そしてそれらノズル部144のノズル孔118Aによって、図1に示す4重の同心円状のシャワー孔118(詳しくはシャワー孔118の下部)を形成している。
ここで第2シャワー孔118は、それぞれの大きさが第1シャワー孔94よりも小孔径とされている。具体的にはここでは第2シャワー孔118は、その何れもが下端の開口の孔径がφ0.8mmとされている。
【0040】
図1において、118-1は最外周のシャワー孔(詳しくはシャワー孔の下部。以下同様)を、118-2はその内側のシャワー孔を、118-3は更にその内側のシャワー孔を、118-4は最内周のシャワー孔をそれぞれ示しており、それら4重のシャワー孔の下部が、上記のノズル部144のノズル孔118Aにて形成されている。
尚最内周のシャワー孔118-4は、周方向に120°ごと隔たった3個所に形成されている。
【0041】
ノズルシート140のシート部142は、図3に示しているように下面が下向きに凸、上面が下向きに凹となるような湾曲形状をなしており、そしてその下面から直角に立ち下る形状で、各ノズル部144がシート部142に一体に形成されている。
【0042】
上記ノズルシート押え148は、ノズルシート140をキャップ48の底部60に押し付けて固定する部材であって、硬質(ここでは樹脂製)の部材から成っており、上面が開放された形状の容器状をなしていて、その内側に第2水室56を形成しており、そこに後述の羽根車124を収容している。
このノズルシート押え148は、円形の周壁部150と、底部152とを有している。底部152の下面は、ノズルシート140におけるシート部142の凹曲面に対応した凸曲面をなしている。
【0043】
このノズルシート押え148は、キャップ48を下部ケース20の周壁部52に上向きにねじ込むことで、後述の水流噴射部材127を介して下部ケース20とキャップ48の底部60とで挟まれて固定される。
その際のキャップ48のねじ込み力により、自身の底部152によってノズルシート140のシート部142を、キャップ48の底部60に対して下向きに押圧し、ノズルシート140をキャップ48に対して固定状態とする。
【0044】
容器状をなすノズルシート押え148の底部152には、ノズル孔118Aと連通し、上記の第2シャワー孔118の上部を形成する多数の連通孔118Bが、底部152を貫通し且つ上端が第2水室56内に開口する形態で設けられている。
図12(A)は、ノズルシート押え148の底部152の平面視を、また図15(B)は底面視をそれぞれ表しており、これらの図に示しているように連通孔118Bは、上端の開口及び下端の開口が何れも3重の同心円状に配置されている。
【0045】
最外周の連通孔118Bは、4重の同心円状に配置されたノズル部144のうちの最外周のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通しており、そのノズル孔118Aとともに図1の最外周のシャワー孔118-1を形成している。
またその内側の連通孔118Bは、同じく最外周の次の内側のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通しており、そのノズル孔118Aとともに図1のシャワー孔118-2を形成している。
更にその内側の連通孔118Bは、同じく最外周から3番目の内周側のノズル部144のノズル孔118Aと合致してこれと連通し、そのノズル孔118Aとともに図1のシャワー孔118-3を形成している。
【0046】
図12(A)における最内周の位置のノズル孔118Bのうちの一部は、図12(B)に示しているように、底部152の下面側の一部が底部152中心に向って分岐して延びており、その分岐部Tの中心側端において、4重の同心円をなすノズル部144のうちの最内周のノズル部144のノズル孔118Aと連通し、以て図1に示す最内周のシャワー孔118-4を形成している。
従って第2水室56から図12(A)中最内周の連通孔118Bに流入した水は、その最内周の連通孔118Bを通じて、最外周から3番目のノズル孔118Aと最内周のノズル孔118Aとの両方に給水される。
【0047】
第2パルスシャワー機構92は、上記の第2シャワー孔118の他に、第2水室56内に回転可能に配置された図10に示す羽根車124と、羽根車124の中心部の円筒部122を回転可能に嵌合させる軸126(図1,図3参照)を備えた水流噴射部材127とを備えている。
【0048】
水流噴射部材127は円板状をなしていて、外周部において、下部ケース20の圧入孔125(図3参照)に圧入され、そこに固定されている。
この水流噴射部材127は、図4(イ)の流入開口84及び図4(ウ)の連通開口90を通じて流れ込んで来た水を噴射孔128に導入してこれを通過させる。そしてそこで噴射水流を発生させて、これを図中下側の羽根車124の羽根129に当て、羽根車124を回転駆動する。
ここで噴射孔128は、図9に示しているようにここから噴射した水流が、羽根車124の湾曲した羽根129の凹面側に当るように、その向きが定められている。
【0049】
羽根車124は、図10に示しているように中心の円筒部122の周りにおいて、周方向に一定ピッチで配置された多数の羽根129A,129Bを有している。
ここで羽根129A及び129Bは同一形状をなしている。
これらの羽根129A,129Bは、部分螺旋形状を描くようにして中心部の円筒部122から外周に向け延出せしめられている。
【0050】
この羽根車124には、羽根129Bの下側位置において部分円板状(略半円形状の板状)をなすシャワー孔遮断部130が設けられており、羽根129Bと129Bとの間の空間は、その下面がこのシャワー孔遮断部130にて閉鎖されている。
一方羽根129Aと129Aとの間の空間は下面が開放されており、またそれら羽根129Aは、略半円の円弧状をなす連結部131にてそれらの外周端が互いに連結されている。
尚、円筒部122と羽根129Bとの間及び羽根129Aの上部との間には環状の隙間が形成されている。
またシャワー孔遮断部130には、周方向に離隔した2個所に羽根129Bと129Bとの間の空間に連通したスリット孔133が形成されている。
【0051】
図3に示しているように、羽根車124は、中心の円筒部122の下端部を、直接ノズルシート押え148の底部152の上面、即ち第2パルスシャワー機構92における散水板58-2の内面に当接させる状態で、散水板58-2の内面上に載置されており、上記のシャワー孔遮断部130は、散水板58-2の内面に対し微小クリアランスを形成する状態で、散水板58-2の内面の直近位置でその内面に沿って延びている。
【0052】
尚、羽根129B及びシャワー孔遮断部130と散水板58-2内面との間の設定クリアランスは0.4mmである。
【0053】
この第2パルスシャワー機構92は次のように作用する。
切替操作部64の回転操作で、図4の流入開口84を流出開口80に合致させることにより図2の第2水路76に流入した水は、図3の連通開口90を経て水流噴射部材127へと到る。
水流噴射部材127は、流れて来た水を自身の噴射孔128を通過させ、その際に通過水を噴射水流となして、これを下側の羽根車124の各羽根129に衝突させる。
ここにおいて羽根車124は、その噴射水流の勢いで軸126周りに回転運動する。
このとき、羽根車124の下面の略半分を覆った状態のシャワー孔遮断部130は、回動とともに第2シャワー孔118を断続的に遮断及び開放し、第2シャワー孔118からシャワー水を断続的にパルス吐水せしめる。
【0054】
尚この第2シャワー孔118は、全体として数も多く、また1つ1つのシャワー孔も第1パルスシャワー機構91における第1シャワー孔94よりも孔径の小さなものであるため、通常のシャワー水が吐水される。
そしてそのシャワー水が断続的に吐水及び吐水停止することで、即ち間欠シャワー吐水されることで節水を果たすことができる。
【0055】
上記のように、ノズルシート押え148の底部152の内面(上面)で開口した連通孔118Bの上端の開口は、図9,図11〜14に示すように水流噴射部材127の軸126の軸心を中心とする3重の同心円をなす円周上に並べて配置してある。
即ち、第2パルスシャワー機構92におけるシャワー孔118の上端の開口は、散水板58-2の内面において3重の同心円をなす円周上に並べて配置してある。
この散水板58-2の内面、詳しくはノズルシート押え148の底部152の内面には、3重の同心円をなす3つの円周状の溝160が設けてある。溝160は溝深さの浅いもので、ここでは溝深さが0.2mmとされている。
【0056】
ここで最外周の溝160-1は最外周の連通孔118B、つまり最外周のシャワー孔118の上端の開口と同じ径方向位置に位置するように設けられ、またその内側の溝160-2は、最外周の次の円周上の連通孔118Bの上端の開口と同じ径方向位置に位置するように、また最内周の溝160-3は、最内周の円周上の連通孔118Bの上端の開口と同じ径方向位置にそれぞれ位置するように設けられている。
そして溝160-1,160-2,160-3のそれぞれの底面で連通孔118Bの上端がそれぞれ開口せしめられている。
【0057】
これにより、図13に示すように溝160-1の底面で開口するシャワー孔118の上端の開口、つまり連通孔118Bの上端の開口と、羽根車124におけるシャワー孔遮断部130の位置していない個所の羽根129Aと129Aとの間に形成される空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1が、羽根129Aの下端とノズルシート押え148における底部152の内面、つまり第2パルスシャワー機構92における散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
【0058】
またその次の内周側の溝160-2の底面で開口する連通孔118Bの上端の開口と上記の空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-2が、羽根129Aの下端と散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
更に最内周の溝160-3の底面で開口する連通孔118Bの上端の開口と上記の空間Kとを周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-3が、羽根129Aと散水板58-2の内面との間に生ぜしめられている。
【0059】
上記のような部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3が生じていない場合、羽根129Aと129Aとの間の空間K内の水は、空間K内に上端の開口が位置している(羽根129Aと129Aとの間に位置している)連通孔118B、つまりシャワー孔118を通じて円滑に外部に排出され得るものの、上端の開口が羽根129Aの下側に全体的に若しくは部分的に隠れて位置している連通孔118Bを通じて外部に円滑に排出されず、そのことによって空間K内の水がそこに籠ったような状態となって、同空間K内に籠り圧が生じてしまう。
そうすると、その籠り圧による抵抗で羽根車124が安定して円滑に回転できず、シャワー水が良好にパルス状吐水されなくなってしまう。
【0060】
しかるにこの実施形態では、羽根129Aと散水板58-2の上面との間に、連通孔118Bの上端の開口と空間Kとを円周方向に連絡する部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3が生ぜしめられているために、空間K内の水は、その空間K内に上端開口が位置している連通孔118B、つまりシャワー孔118を通じシャワー水となって外部に円滑に排出されるだけでなく、上記の部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を通じて空間K内の水が、羽根129Aの下側まで十分に回り込むことができるため、羽根129Aの下側に上端の開口が全体的に若しくは部分的に隠れて位置している連通孔118Bを通じてもシャワー水となって円滑に外部に排出される。
従ってシャワー孔遮断部130にて遮断されていない連通孔118Bのそれぞれを通じて、シャワー水が均等に排出(吐水)されるのみならず、空間K内に籠り圧が生じることで羽根車124の回転が阻害されるのを防止し得て、羽根車124を安定して円滑に回転させることができる。
【0061】
以上のような本実施形態によれば、シャワー孔118の上端の開口が円周上に並べて配置してあることによって、シャワー孔遮断部130の回転運動に伴い、シャワー孔遮断部130にて遮断されていないシャワー孔118から広い角度範囲に亘ってシャワー水を吐水しつつ、シャワー孔遮断部130によるシャワー孔118の遮断及び開放によりシャワー水をパルス状に吐水することができる。
【0062】
また本実施形態では、周方向に隣接した羽根129Aと羽根129Aとの間に形成される空間K内に上端開口が位置しているシャワー孔118のみならず、羽根129Aの下側の隠れた位置に上端開口が位置しているシャワー孔118を通じても空間K内の水を外部へと円滑に排出できるため、空間Kに籠り圧を生ぜしめることなく、羽根車124を円滑且つ安定して回転させることができ、シャワー水を良好にパルス状吐水させることができる。
【0063】
以上の例では、散水板58-2の内面に円周状の溝160を設けることで、部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようにしているが、図15に示しているように羽根129A及びシャワー孔遮断部130における散水板58-2の内面側の下側部位を、3重の同心円をなす3つの円周上に並んで配置された連通孔118Bと同じ径方向位置で円周状に切り欠き、その切欠部164-1,164-2,164-3にて部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようになしても良い。
或いは円周状の溝160-1,160-2,160-3と切欠部164-1,164-2,164-3とを併せて設けることで、部分的な拡大隙間S-1,S-2,S-3を生ぜしめるようになしても良い。
これらの場合においても基本的に上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0064】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば、本発明では上記の第1パルスシャワー機構91を省略することも可能であるし、またキャップ48の底部60に設けた孔を第2パルスシャワー機構92の散水孔118となし、第2パウスシャワー機構92の散水板58-2を、上記のノズルシート140のシート部142,ノズルシート押え148の底部152を省いて、キャップ48の底部60自体で構成することも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0065】
58,58-2 散水板
118 第2シャワー孔(シャワー孔)
126 軸
122 円筒部
124 羽根車
129A,129B 羽根
130 シャワー孔遮断部
160,160-1,160-2,160-3 溝
164-1〜164-3 切欠部
K 空間
S 拡大隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)軸と該軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(c)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、(d)前記散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り前記羽根車に設けられ、該羽根車の回転により前記軸周りに回動運動し、回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー吐水装置であって、
前記散水板の内面で開口する前記シャワー孔の上端の開口を前記軸の軸心を中心とした円周上に並べて配置するとともに、該シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置において該散水板の内面に円周状の溝を設けて、該溝の底面に前記上端の開口を位置させるか、又は/及び、前記羽根車における前記散水板の内面側の下側部位であって前記シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置に位置する部分を円周状に切り欠くことで、
該上端の開口と前記羽根車との間に、周方向に隣接した該羽根と羽根との間に形成される各空間と該上端の開口とを前記円周方向に連絡する、前記円周状の溝又は/及び前記切り欠きを設けた径方向位置とは異なる径方向位置での前記散水板の内面と前記羽根車の下側部位との間の隙間に対して大きな隙間の部分的な拡大隙間を形成したことを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項1】
(a)散水板に設けられた複数のシャワー孔と、(b)軸と該軸に回転可能に嵌合する筒状部との嵌合に基づいて該軸周りに回転運動する羽根車と、(c)上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として該羽根車の羽根に衝突させ、該羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、(d)前記散水板の内面に沿って延びる形態で所定周長に亘り前記羽根車に設けられ、該羽根車の回転により前記軸周りに回動運動し、回動に伴って前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放するシャワー孔遮断部と、を含み、該シャワー孔からシャワー水を吐水するシャワー吐水装置であって、
前記散水板の内面で開口する前記シャワー孔の上端の開口を前記軸の軸心を中心とした円周上に並べて配置するとともに、該シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置において該散水板の内面に円周状の溝を設けて、該溝の底面に前記上端の開口を位置させるか、又は/及び、前記羽根車における前記散水板の内面側の下側部位であって前記シャワー孔の上端の開口と同じ径方向位置に位置する部分を円周状に切り欠くことで、
該上端の開口と前記羽根車との間に、周方向に隣接した該羽根と羽根との間に形成される各空間と該上端の開口とを前記円周方向に連絡する、前記円周状の溝又は/及び前記切り欠きを設けた径方向位置とは異なる径方向位置での前記散水板の内面と前記羽根車の下側部位との間の隙間に対して大きな隙間の部分的な拡大隙間を形成したことを特徴とするシャワー吐水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−66618(P2013−66618A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208088(P2011−208088)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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