説明

ショーケースのガラス枠

【課題】ガラスの厚みに関係なく共通で前後の部品が使用でき、コスト面、生産面、在庫管理面などで効果あるショーケースのガラス枠を提供する。
【解決手段】断熱パネルで構成するショーケースの本体ケースのトップに遮蔽板としてのガラス9を直立設置する取付溝10を形成するため設けるショーケースのガラス枠18において、ガラス枠18を前記取付溝10の底側で重合するように前側部材18aと後側部材18bに分割し、この重合程度を変更することで、厚さの異なるガラス9に対応できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースのガラス枠に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍・冷蔵ショーケースには、商品を取り出す扉付きのクローズドタイプと商品を取り出す扉の無いオープンタイプがあり、また、オープンタイプには主として惣菜、ドリンク類、アルコール飲料等を保冷するための陳列室が一つ以上あり、棚板に阻害されること無く前面にエアーカーテンを形成した多段式ショーケース(天井吹出型)と、主として惣菜、ドリンク類、アルコール飲料等を保冷するための陳列室が一つ以上あり、上面にエアーカーテンを形成した平形ショーケースがある。
【0003】
図10はこのようなオープンタイプの一例として催事用の冷凍と冷蔵の両面平形オープンショーケースを示すもので、上面が開口する断面コ字形の本体ケース1を備え、この本体ケース1は内側パネル板と外側パネル板と及びその間に充填されるウレタン発泡材などの断熱材からなる断熱パネルでなる外箱2と、この外箱2の内側に適当な間隙をおいて配置される内箱3とによって構成され、前記間隙が前後上端に吸込口4aおよび吹出口4bを備える冷気循環路4を形成し、ここにファン5及び蒸発器(エバポレータ)6が配設される。
【0004】
ショーケースの保冷運転時には図示矢印のように冷風が循環送風され、その循環通風の途上で蒸発器(エバポレータ)6との熱交換により低温になった冷気が庫内に吹き出して、ケース本体の上面開放面を閉塞する冷気エアーカーテン7を形成し、これが内箱3内の商品収納スペース8に陳列した商品を保冷することは周知の通りである。
【0005】
同様な平形オープンショーケースは下記特許文献にも示されている。
【特許文献1】特許3186429号公報
【0006】
ショーケースの本体ケース1のトップには、遮蔽板としてのガラス9が下端部を取付溝10に挿入支持されて直立設置され、又取付溝10に上端部を係止させて外箱2の前面上に化粧パネル11が取り付けられる。この化粧パネル11はプライスプレートを取り付けるプライスを構成する。
【0007】
なお、多段式ショーケースについては、説明を省略する。
【0008】
図11、図12に示すように、この取付溝10はガラス枠(樹脂製)12により形成されるもので、このガラス枠12はその脚部12aを外箱2の断熱材2c中に埋め込むことで、外箱2の上端の固定される。図11は多段式ショーケースの場合、図12は平形オープンショーケースの場合である。
【0009】
図11は、外箱2の断熱パネル厚さが薄く、ガラス9には比較的薄い単板ガラスを用いる場合、図12は外箱2の断熱パネル厚さが厚く、ガラス9には比較的厚いガラスである、ペアガラス(積層ガラス)等を用いる場合である。図中16はヒーターである。
【0010】
図13は平形オープンショーケース(冷凍)において、ガラス9を取り付けずに手摺13をショーケースの本体ケース1のトップに設けた場合である。
【0011】
手摺13は形材によるものであり、後方側を下方に直角に折曲げてビス止め片13aを形成してビス15で止める。
【0012】
このようなガラス枠(樹脂製)12や手摺13を使用する場合、前記化粧パネル11は、正確にはガラス枠(樹脂製)12や手摺13に形成するスリットに上端部を引掛けて係止させ、下端部は外箱2の外側パネル板に添わせてビス15で止める。
【0013】
図中、14は前面化粧板で、上端を前記化粧パネル11にビス15で止める。
【0014】
図14は多段式ショーケースでガラスなしの場合であり、手摺13をショーケースの本体ケース1の外箱2のトップに設ける点については、前記図13と同じであり、図示の例では、ガード17を添設している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように冷凍・冷蔵ショーケースのガラス枠12は、ショーケースの種類にかかわらず、ガラスの厚さの異なる種類毎に、それに合わせたものを準備しなければならず、ガラス枠(樹脂製)を新規に型を製作し部品としても専用で購入する必要があり、コスト面でデメリットである。
【0016】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ガラスの厚みに関係なく共通で前後の部品が使用でき、コスト面、生産面、在庫管理面などで効果あるショーケースのガラス枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載の本発明は、断熱パネルで構成するショーケースの本体ケースのトップに遮蔽板としてのガラスを直立設置する取付溝を形成するため設けるショーケースのガラス枠において、ガラス枠を前記取付溝底側で重合するように前側部材と後側部材に分割し、この重合程度を変更することで、厚さの異なるガラスに対応できるようにしたことを要旨とするものである。
【0018】
請求項1記載の本発明によれば、ガラス枠(下)を前後で分割し、ガラス厚みにフレキシブルに対応することができる。
【0019】
請求項2記載の本発明は、前記ガラス枠の前側部材のみを使用し、後側部材の代わりに手摺を使用し、この前側部材と手摺とを下部同士を重合して設置することを要旨とするものである。
【0020】
請求項2記載の本発明によれば、手摺を設ける場合でも、ガラス枠の前側部材との組み合わせで設置できるので、前後に幅の狭い薄い手摺部材ですみ、ガラス板を使用しない場合でも、ガラス枠の一部の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように本発明のショーケースのガラス枠は、ガラス枠(下)を前後で分割し、ガラス厚みにフレキシブルに対応することができるので、ガラスの厚みに関係なく共通で前後の部品が使用でき、コスト面、生産面、在庫管理面などで効果のあるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す縦断側面図で、多段式ショーケースの場合である。
【0023】
図1は前記従来例を示す図11に対応するもので、同一構成要素には同一参照符号を付しているが、内側パネル板と外側パネル板と及びその間に充填されるウレタン発泡材などの断熱材からなる断熱パネルで構成するショーケースの本体ケースのトップに遮蔽板としてのガラス9を直立設置する取付溝10を形成するため設けるショーケースのガラス枠18である。
【0024】
本発明はこのガラス枠18は塩化ビニルを材質とするもので、図2、図3に示すように、前記取付溝10の底側で重合するように前側部材18aと後側部材18bに分割した。各前側部材18aと後側部材18bは取付溝10の底を形成する重合片19a、19bを形成してなり、これら重合片19a、19bにはビス孔20を穿設している。
【0025】
前側部材18aの重合片19aにはビス孔20は複数形成してあり、後側部材18bの重合片19bと重ね合わせた際に、重合片19bのビス孔20と合致する重合片19aのビス孔20を重ね合わせ程度で選択できるようにした。
【0026】
また、前側部材18aの重合片19aには上向きの突起21aを、後側部材18bの重合片19bには突起21bを突設して、これらを相互に係合させて重合片19a、19bの重ね合わせがずれないように配慮した。
【0027】
このようにして、ガラス枠18はショーケースの本体ケースのトップに設置する際に、取付溝10底側で重合片19a、19bを重合させ、ビス孔20をもってネジ22で固定する。
【0028】
図4は前記従来例を示す図12に対応するものとして、平形オープンショーケースの場合で、外箱2の断熱パネル厚さが厚く、ガラス9には比較的厚いガラスである、ペアガラス(積層ガラス)等を用いる場合である。
【0029】
図5は同じく平形オープンショーケースの場合であるが、ガラス9には比較的薄い単板ガラスを用いる場合である。
【0030】
ガラス枠18は重合片19a、19bの重合程度を変更することで、厚さの異なるガラスに対応できる。
【0031】
図6、図7はガラスなしで手摺23を設ける場合であるが、手摺23は図8、図9に示すように、前記ガラス枠18の前側部材18aのみを使用し、後側部材の代わりに手摺23を使用し、この前側部材18aと手摺23とを下部同士を重合してビス15で固定して設置する。
【0032】
手摺23は下部に重合片23aを形成してあり、この重合片23aを前側部材18aの重合片19aに重ね合わせて、ビス15で止める。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、多段式ショーケースに設けた場合の縦断側面図である。
【図2】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、分解状態の縦断側面図である。
【図3】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、組立状態の縦断側面図である。
【図4】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、平形オープンショーケースの場合で、ガラスには比較的厚いガラスを用いる場合の縦断側面図である。
【図5】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、平形オープンショーケースの場合で、ガラスには比較的薄い単板ガラスを用いる場合の縦断側面図である。
【図6】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、平形オープンショーケースの場合で、ガラスなしで手摺を設ける場合の縦断側面図である。
【図7】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、多段式ショーケースの場合で、ガラスなしで手摺を設ける場合の縦断側面図である。
【図8】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、手摺との組み合わせを示す分解状態の縦断側面図である。
【図9】本発明のショーケースのガラス枠の1実施形態を示すもので、手摺との組み合わせを示す組立状態の縦断側面図である。
【図10】平形オープンショーケースの全体構造を示す縦断側面図である。
【図11】従来例を示すもので、多段式ショーケースの場合の縦断側面図である。
【図12】従来例を示すもので、平形オープンショーケースの場合の縦断側面図である。
【図13】従来例を示すもので、平形オープンショーケースの場合のガラスを取り付けずに手摺を設けた場合の縦断側面図である。
【図14】従来例を示すもので、多段式ショーケースの場合のガラスを取り付けずに手摺を設けた場合の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 本体ケース 2 外箱
2a 内側パネル板 2b 外側パネル板
2c 断熱材 3 内箱
4 冷気循環路 4a 吸込口
4b 吹出口 5 ファン
6 蒸発器(エバポレータ) 7 冷気エアーカーテン
8 商品収納スペース 9 ガラス
10 取付溝 11 化粧パネル
12 ガラス枠 12a 脚部
13 手摺 13a ビス止め片
14 前面化粧板 15 ビス
16 ヒーター 17 ガード
18 ガラス枠 18a 前側部材
18b 後側部材 19a、19b 重合片
20 ビス孔 21a、21b 突起
22 ネジ 23 手摺
23a 重合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱パネルで構成するショーケースの本体ケースのトップに遮蔽板としてのガラスを直立設置する取付溝を形成するため設けるショーケースのガラス枠において、ガラス枠を前記取付溝底側で重合するように前側部材と後側部材に分割し、この重合程度を変更することで、厚さの異なるガラスに対応できるようにしたことを特徴とするショーケースのガラス枠。
【請求項2】
前記ガラス枠の前側部材のみを使用し、後側部材の代わりに手摺を使用し、この前側部材と手摺とを下部同士を重合して設置する請求項1記載のショーケースのガラス枠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−250988(P2011−250988A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126766(P2010−126766)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(510146137)三菱電機冷熱応用システム株式会社 (33)
【Fターム(参考)】