説明

ショーケースの機械室

【課題】冷凍機類ユニットのアキュームレーターの廃冷熱により、排気に頼らずに制御盤内の電子部品などの温度低減を行うことができ、しかも、冷凍サイクルの庫内冷却に使われた後の残りの部分を再利用することで基板冷却のために使われていたファンなどを削減する。
【解決手段】食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースの内、圧縮式冷凍装置を設置する機械室13と商品の陳列室9を構成する箱体とを一体とした内蔵形ショーケースにおいて、機械室13内のアキュームレーター14に空気などの気体や水などの液体を通過させる管19を巻回し、管19内部の暖かい空気や水などの液体と熱交換して温度を下げ、これを放熱必要個所20に導いて供給し、供給されたものは温度上昇してまたアキュームレーター14へ戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍・冷蔵ショーケースのうち内蔵形ショーケースの機械室に関するものである。
【0002】
食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースの内、圧縮式冷凍装置と陳列室を構成する箱体とを一体とした内蔵形の冷凍・冷蔵ショーケースには、商品を取り出す扉付きのクローズドタイプと商品を取り出す扉の無いオープンタイプがあり、また、オープンタイプには主として惣菜、ドリンク類、アルコール飲料等を保冷するための陳列室が一つ以上あり、棚板に阻害されること無く前面にエアーカーテンを形成した多段式ショーケース(天井吹出型)と、主として惣菜、ドリンク類、アルコール飲料等を保冷するための陳列室が一つ以上あり、上面にエアーカーテンを形成した平形ショーケースがある。
【0003】
図2はこのようなオープンタイプの一例として催事用の冷凍と冷蔵の両面平形オープンショーケースを示すもので、上面開放形ケース本体の断熱筐体になる外箱1の内側に、内箱2を配置し、外箱1と内箱2の間を循環風路空間3として確保し、この循環風路空間3の一端を吸込口4、他の一端を送風口5とし形成して、ケース本体の上面開放面に臨ませる。図中6は送風口5に配設する整流板である。
【0004】
内箱2の内側は庫内として、底部にベースデッキ7を配し、その上にすのこ8を配置して商品収納スペース9として形成する。
【0005】
前記循環風路空間3には、冷凍機の蒸発器(エバポレータ)10を設置し、蒸発器(エバポレータ)10の上流側に配置したファンプレナム11により、送風ファン12を支承した。
【0006】
外箱1の下部は機械室13となり、ここにアキュームレーター14、凝縮器15、圧縮器16、吸入管マフラー17等を配置する。
【0007】
上記の構成で、ショーケースの保冷運転時には図示矢印のように冷風が循環送風され、その循環通風の途上で蒸発器(エバポレータ)10との熱交換により低温になった冷気が庫内に吹き出して、ケース本体の上面開放面を閉塞する冷気エアーカーテン18を形成し、これが商品収納スペース9に陳列した商品を保冷することは周知の通りである。
【0008】
なお、内蔵形の冷凍・冷蔵ショーケースの多段式ショーケースについては、説明は省略する。
【0009】
ところで、内蔵形の冷凍・冷蔵ショーケースが店舗に設置される場合、冷凍機類ユニットは化粧パネルやその他の外板で囲んだ架台内の機械室に収納されていて、冷凍機類ユニットからの廃熱は、前記化粧パネルや外板に設けた廃熱口から自然に又はファン等で強制的に外部に排出していたが、左右に他のケース、背面に壁などという状況があると、十分な排気ができない。
【0010】
その結果、凝縮器の吸込み温度や機械室の雰囲気温度が上昇することで、電子基板部品の温度が上昇し、保護が働き、通常の運転状態が保てない場合があった。
【0011】
下記特許文献は、制御盤内の温まった空気を排気ファンにより化粧パネルで囲まれた架台内に排出するとともに、該制御盤からの排出温暖空気と冷凍サイクル構成機器からの廃熱とを、共に排出可能な廃熱ファンによって外部に排出するようにした冷凍機類ユニットの廃熱構造を提供するものである。
【特許文献1】特開平7−294093号公報
【0012】
この特許文献1は、ショーケースや冷蔵庫等の冷凍冷蔵機器を冷却するための冷凍サイクルを構成する圧縮機、受液器、アキュームレーター等の機器と、該冷凍サイクルを制御するための制御盤とを架台内部に収納し、該架台の周囲に遮音材による防音処理を施した化粧パネルを取り付けてなる冷凍機類ユニットの廃熱構造において、前記制御盤の側壁に制御盤内部の熱を架台内に排出する排気口及び排気ファンを設け、前記化粧パネルからなる側板の上部位置又は天板に前記制御盤内部からの熱と前記冷凍サイクルを構成する圧縮機、受液器、アキュームレーター等の機器からの廃熱とを排出するための廃熱口及び廃熱ファンを設けたものである。
【0013】
この特許文献1によれば、冷凍機類ユニットの廃熱により、従来、制御盤内は温度上昇を起こしていたが、排気ファンによる強制換気を行う排気口を設けたことで、制御盤内の温度上昇を抑制できる。
【0014】
また、制御盤の排気口を外部に直接向けて設けた場合には、排気口から塵埃や水分等が入り込み、制御盤内の機器に悪影響を与えるおそれがあるが、化粧パネルで囲まれた架台内に一旦排気し、次いでその排気された空気を冷凍機類ユニットからの廃熱と共に天板等に設けた廃熱口より廃熱ファンで強制的に外部に排出するようにしたので、制御盤内に外部からの塵埃や水分等が侵入することはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記特許文献1では、凝縮器の吸込み温度や機械室の雰囲気温度が上昇することで、電子基板部品の温度が上昇し、保護が働き、通常の運転状態が保てないことの対策として、制御盤からの排出温暖空気と冷凍サイクル構成機器からの廃熱を排気ファンにより排出すること行っているが、このような排気ファンにより排出では、塵埃や水分その他の異物が制御盤内に侵入しないようにする工夫が必要となる。
【0016】
前記特許文献1では、これを化粧パネルで囲まれた架台内に一旦排気し、次いでその排気された空気を冷凍機類ユニットからの廃熱と共に天板等に設けた廃熱口より廃熱ファンで強制的に外部に排出するようにするという2段階の排気を行わなければならず、効率が悪く、また、ファンの数も多くなり、構造も複雑となる。
【0017】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースの内、圧縮式冷凍装置を設置する機械室と商品の陳列室を構成する箱体とを一体とした内蔵形ショーケースにおいて、冷凍機類ユニットの廃熱により、制御盤内が温度上昇を起こすことの対策として、排気に頼らずに制御盤内の電子部品などの温度低減を行うことができるショーケースの機械室を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースのうち、圧縮式冷凍装置を設置する機械室と商品の陳列室を構成する箱体とを一体とした内蔵形ショーケースにおいて、機械室内のアキュームレーターに空気などの気体や水などの液体を通過させる管を巻回し、管内部の暖かい空気や水などの液体と熱交換して温度を下げ、これを放熱必要個所に導いて供給し、供給されたものは温度上昇してまたアキュームレーターへ戻されることを要旨とするものである。
【0019】
冷凍機類ユニットのアキュームレーターは、庫内を冷やした後の冷媒が戻ってくる途中に設けられ、液冷媒とガスの冷媒を分離・ろ過する役割のものであり、全体が低温となり、容器表面も温度が結構低い。
【0020】
請求項1記載の本発明によれば、このアキュームレーターの廃冷熱を利用するものであり、アキュームレーターに空気などの気体や水などの液体を通過させる管を巻回し、管内部の暖かい空気や水などの液体と熱交換して温度を下げ、該管は放熱必要個所に導いて冷やされたアキュームレーターに空気などの気体や水などの液体を放熱が必要な個所、例えば、インバータ駆動基板の放熱板に供給されてその熱を奪い、電子部品などの温度低減を行う。供給されたものは温度上昇してまたアキュームレーターへ戻され、循環する。
【0021】
請求項2記載の本発明は、循環は自然対流によって実施することを要旨とするものである。
【0022】
請求項2記載の本発明によれば、循環は自然対流によって実施することによりポンプ等の動力を使用せずに、安価に実施できる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように本発明のショーケースの機械室は、食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースの内、圧縮式冷凍装置を設置する機械室と商品の陳列室を構成する箱体とを一体とした内蔵形ショーケースにおいて、冷凍機類ユニットのアキュームレーターの廃冷熱により、排気に頼らずに制御盤内の電子部品などの温度低減を行うことができ、しかも、冷凍サイクルの庫内冷却に使われた後の残りの部分を再利用することで基板冷却のために使われていたファンなどの削減に役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のショーケースの機械室の1実施形態を示す縦断側面図で、内蔵形ショーケースのうち、図2はこのようなオープンタイプの一例として催事用の冷凍と冷蔵の両面平形オープンショーケースを示す。
【0025】
両面平形オープンショーケースの構成は前記従来例を示す図2と同一であり、上面開放形ケース本体の断熱筐体になる外箱1の内側に、内箱2を配置し、外箱1と内箱2の間を循環風路空間3として確保し、この循環風路空間3の一端を吸込口4、他の一端を送風口5とし形成して、ケース本体の上面開放面に臨ませる。図中6は送風口5に配設する整流板である。
【0026】
内箱2の内側は庫内として、底部にベースデッキ7を配し、その上にすのこ8を配置して商品収納スペース9として形成する。
【0027】
前記循環風路空間3には、冷凍機の蒸発器(エバポレータ)10を設置し、蒸発器(エバポレータ)10の上流側に配置したファンプレナム11により、送風ファン12を支承した。
【0028】
外箱1の下部は機械室13となり、ここにアキュームレーター14、凝縮器15、圧縮器16、吸入管マフラー17等を配置する。
【0029】
上記の構成で、ショーケースの保冷運転時には図示矢印のように冷風が循環送風され、その循環通風の途上で蒸発器(エバポレータ)10との熱交換により低温になった冷気が庫内に吹き出して、ケース本体の上面開放面を閉塞する冷気エアーカーテン18を形成し、これが商品収納スペース9に陳列した商品を保冷する。
【0030】
本発明は、機械室13内のアキュームレーター14に空気などの気体や水などの液体を通過させる管19を巻回し、この管19を放熱必要個所20に導いた。巻回する部分はスパイラルとなる。
【0031】
放熱必要個所20としては、電子部品を収納するボックスであり、機械室13内のインバータ駆動基板の放熱板がその一例である。なお、この放熱板に限らず、電子部品装着基板であれば、該当する。
【0032】
また、管19はホースのような可撓管であると、銅管のような非可撓管であることを問わない。
【0033】
さらに、放熱必要個所20はこれをアキュームレーター14よりも下方とし、アキュームレーター14と放熱必要個所20とでの管19内の空気や水などの液体を自然対流によって循環できるようにする。
【0034】
他の実施形態として、自然対流によらない場合は、ポンプ等を介在させてもよい。
【0035】
このようにして、放熱必要個所20で温められた管19内部の暖かい空気などの気体や水などの液体をアキュームレーター14に送り、アキュームレーター14の廃冷熱により、熱交換して温度を下げる。
【0036】
この温度が低下した空気などの気体や水などの液体は再び放熱必要個所20に導いて、冷やされたものが供給される。供給されたものは温度上昇してまたアキュームレーター14へ戻され循環する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のショーケースの機械室の1実施形態を示す平形オープンショーケース縦断側面図である。
【図2】従来例を示す平形オープンショーケース縦断側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 外箱 2 内箱
3 循環風路空間 4 吸込口
5 送風口 6 整流板
7 ベースデッキ 8 すのこ
9 商品収納スペース
10 蒸発器(エバポレータ)
11 ファンプレナム
12 送風ファン 13 機械室
14 アキュームレーター 15 凝縮器
16 圧縮器 17 吸入管マフラー
18 冷気エアーカーテン 19 管
20 放熱必要個所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の販売及び陳列を目的とする冷凍・冷蔵ショーケースのうち、圧縮式冷凍装置を設置する機械室と商品の陳列室を構成する箱体とを一体とした内蔵形ショーケースにおいて、機械室内のアキュームレーターに空気などの気体や水などの液体を通過させる管を巻回し、管内部の暖かい空気や水などの液体と熱交換して温度を下げ、これを放熱必要個所に導いて供給し、供給されたものは温度上昇してまたアキュームレーターへ戻されることを特徴とするショーケースの機械室。
【請求項2】
循環は自然対流によって実施する請求項1記載のショーケースの機械室。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−244999(P2011−244999A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120426(P2010−120426)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(510146137)三菱電機冷熱応用システム株式会社 (33)
【Fターム(参考)】