説明

ショーケース

【課題】ガラス部の仕上がりが断熱パネルの発泡精度によらないですみ、ガラスを直立設置するためのガラス枠もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺の双方の取り付けも同じように行うことができる。
【解決手段】ショーケースの本体ケースを構成する内側パネル板と外側パネル板と及びその間に断熱材が充填された断熱パネル内の上部に樹脂製の塞ぎ材17を埋設し、この塞ぎ材17の前(外)側壁部17aに水平なスリット20を形成し、ガラス9を直立設置するためのガラス枠18もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺は、前記スリット19に引掛ける鉤爪18bをベース18aの前(外)側に設け、この鉤爪18bを前記塞ぎ材17のスリット20に係合させ、かつ、ベース18aの内側を塞ぎ材17の上面にビス15でビス止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷気循環式オープンショーケースに関し、とくに上面に商品出し入れ用の開口部を有する平形ショーケースなどの本体部を形成する断熱パネルのトップ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷気循環式オープンショーケースとして図10に示す平形オープンショーケースは公知である。図10において、オープンショーケースは上面が開口する断面コ字形の本体ケース1を備える。この本体ケース1は断熱壁でなる外箱2と、この外箱2の内側に適当な間隙をおいて配置される内箱3とによって構成され、前記間隙が前後上端に吸込口4aおよび吹出口4bを備える冷気循環路4を形成し、ここにファン5及び蒸発器(エバポレータ)6が配設される。
【0003】
ショーケースの保冷運転時には図示矢印のように冷風が循環送風され、その循環通風の途上で蒸発器(エバポレータ)6との熱交換により低温になった冷気が庫内に吹き出して、ケース本体の上面開放面を閉塞する冷気エアーカーテン7を形成し、これが内箱3内の商品収納スペース8に陳列した商品を保冷することは周知の通りである。
【0004】
同様な平形オープンショーケースは下記特許文献にも示されている。
【特許文献1】特許3186429号公報
【0005】
ショーケースの本体ケース1のトップには、取付溝10に下端部を挿入支持され遮蔽板としてのガラス9が直立設置され、又、取付溝10に上端部を係止させて外箱2の前面上に化粧パネル11が取り付けられる。
【0006】
ところで、図11〜図13に示すように、前記外箱2は、内側パネル板2aと外側パネル板2bと及びその間に充填されるウレタン発泡材などの断熱材2cからなる断熱パネルで形成される。
【0007】
ガラス9を支承する取付溝10はガラス枠(樹脂製)12により形成される。ガラス枠12はその脚部12aを外箱2の断熱材2c中に埋め込むことで、外箱2の上端に立設固定される。
【0008】
図11は、外箱2の断熱パネル厚さが薄く、ガラス9には比較的薄いガラスを用いる場合、図12は外箱2の断熱パネル厚さが厚く、ガラス9には比較的厚いガラスである、ペアガラス(積層ガラス)等を用いる場合、図13はガラスを取り付けずに手摺13をショーケースの本体ケース1のトップに設けた場合である。
【0009】
手摺13は形材によるものであり、後内方側を下方に直角に折曲げてビス止め片13aを形成してこの部分を外箱2の内側パネル板2aに添わせてビス15で止める。
【0010】
このようなガラス枠(樹脂製)12や手摺13を使用する場合、前記化粧パネル11は、正確にはガラス枠(樹脂製)12や手摺13に形成するスリットに上端部を引掛けて係止させ、下端部は外箱2の外側パネル板2bに添わせてビス15で止める。
【0011】
図中、14は前(外)面化粧板で、上端を前記化粧パネル11にビス15で止める。
【0012】
このように平形オープンショーケースでは、冷凍と冷蔵の両面平形ショーケースで、ガラスの高さがコスト重視した低いタイプとショーケース内の商品の視認性を重視した高いタイプを揃えている。
【0013】
低いタイプのガラスは、図11に示すように、コスト面やデザイン面から10mmの単板ガラスを使用し、ガラスの高いケースにおいては、図12に示すように、冷凍の場合に庫内温度確保・ガラス面の露付き削減・強度などを目的にペアガラスを使用しており、ガラスの厚みは27mmである。図中16はヒーターである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このようにガラス枠12は、その脚部12aを外箱2の断熱材2c中に埋め込むことで外箱2の上端の固定するもので、ガラス枠12の取り付け状態が断熱材2cの発泡精度により左右され、ガラス部の仕上がりにムラが出易い。
【0015】
また、ガラス枠12は後付けが不可能であり、外箱2の断熱パネル厚さに応じた対応も十分でない。(図12に示すように脚部12aがパネル内で遊んでしまう。)
【0016】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ガラス部の仕上がりが断熱パネルの発泡精度によらないですみ、ガラスを直立設置するためのガラス枠もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺の双方の取り付けも同じように行うことができるショーケースの断熱パネルのトップ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、ショーケースの本体ケースを構成する内側パネル板と外側パネル板及びその間に断熱材が充填された断熱パネル内の上部に樹脂製の塞ぎ材を埋設し、この塞ぎ材の外側部に水平なスリットを形成し、ガラスを直立設置するためのガラス枠もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺は、前記スリットに引掛ける鉤爪をベースの外側に設け、この鉤爪を前記塞ぎ材のスリットに係合させ、かつ、ベースの外側を塞ぎ材の上面にビス止めすることを要旨とするものである。
【0018】
請求項1記載の本発明によれば、ガラス枠は埋め込みではなく、ビス取付で調整しろを設けることができ、断熱パネル内の上部に樹脂製の塞ぎ材を埋設することで、この塞ぎ材を用いて、ガラス枠および手摺を同様な方法で、しかも後付けで、精度よく、取り付けることができる。
【0019】
その結果、冷却室手摺部の水平度、垂直度、前後方向反り、前外と前内の段違いなどの影響を受けない。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明のショーケースは、断熱パネルのトップ構造として、ガラス部の仕上がりが断熱パネルの発泡精度によらないですみ、ガラスを直立設置するためのガラス枠もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺の双方の取り付けも同じように行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1〜図6は本発明のショーケースの断熱パネルのトップ構造の実施形態を示す縦断側面図で、図中2はショーケースの本体ケースを構成する外箱2であり、内側パネル板2aと外側パネル板2bと及びその間に充填されるウレタン発泡材などの断熱材2cからなる断熱パネルで形成される。
【0022】
本発明は、外箱2である断熱パネル内の上部に樹脂製の塞ぎ材17を埋設した。
【0023】
この塞ぎ材17は発泡ポリスチレン(PS)[2〜3倍発泡]もしくはABS樹脂等の樹脂を材質とした成形品であり、外箱2である断熱パネルのパネル厚さに合わせた幅を有するレール状のチャンネル材であり、前後に側壁部17a、側壁部17bを形成した。
【0024】
また、塞ぎ材17の外側の側壁部17aに水平方向のスリット20を設けた。
【0025】
ところで、図11〜図13に示すように、前記外箱2は、内側パネル板2aと外側パネル板2bと及びその間に充填されるウレタン発泡材などの断熱材2cからなる断熱パネルで形成される。
【0026】
図7、図8は本発明で使用するガラス枠(樹脂製)18を示すもので、図7は薄形ガラスの場合、図8は厚形ガラスの場合で、いずれも、ガラス9を支承する取付溝10を形成する。
【0027】
ガラス枠18のベース18aは前端側を鉤形に折り曲げ、その先端を尖り状として鉤爪18bを形成し、また、ビス止め用のビス孔18cを穿設した。
【0028】
図9は本発明で使用する手摺19を示すもので、前記ガラス枠18と同様にベース19aは前端側を鉤形に折り曲げ、その先端を尖り状として鉤爪19bを形成し、また、ビス止め用のビス孔19cを穿設した。
【0029】
前記のように塞ぎ材17は、外箱2である断熱パネル内の上部に埋設されるが、この断熱パネルの成形において、内側パネル板2aはこれを上方に延設して塞ぎ材17の上面を覆い、さらにその先端は塞ぎ材17の外側の側壁部17aに回り込みスリット20に入り込む。
【0030】
また、外側パネル板2bはその上端が塞ぎ材17の外側の側壁部17aに下側から沿い、先端がスリット20に入り込み、スリット20はこれら内側パネル板2aと外側パネル板2bの端部同士の隙間において、口が外へ開く。
【0031】
よって、ガラス枠18を取り付けるには、鉤爪18bを前記塞ぎ材17のスリット20に係合させ、ベース18aを塞ぎ材17の上面に沿わせ、ビス孔18cにより、ビス15で固定する。
【0032】
図1〜図3はガラス枠18は薄形用であり、断熱パネルのパネル厚さがそれぞれ異なる場合である。
【0033】
図4、図5のガラス枠18は厚形用であり、断熱パネルのパネル厚さがそれぞれ異なる場合である。
【0034】
図6は、図9に示す手摺19を設ける場合で、鉤爪19bを前記塞ぎ材17のスリット20に係合させ、ベース19aを塞ぎ材17の上面に沿わせ、ビス孔19cにより、ビス15で固定する。
【0035】
このようなガラス枠(樹脂製)12や手摺13を使用する場合、前記化粧パネル11は、ガラス枠18や手摺19に形成するスリット18d、19dに上端部を引掛けて係止させ、下端部は外箱2の外側パネル板2bに添わせてビスで止める点は前記従来例と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造のガラス枠薄形用、パネル厚さAの縦断側面図である。
【図2】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造のガラス枠薄形用、パネル厚さBの縦断側面図である。
【図3】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造のガラス枠薄形用、パネル厚さCの縦断側面図である。
【図4】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造のガラス枠厚形用、パネル厚さBの縦断側面図である。
【図5】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造のガラス枠厚形用、パネル厚さCの縦断側面図である。
【図6】本発明のショーケースの実施形態を示すもので、断熱パネルのトップ構造の手摺を設ける場合の縦断側面図である。
【図7】ガラス枠薄形用の縦断側面図である。
【図8】ガラス枠厚形用の縦断側面図である。
【図9】手摺の縦断側面図である。
【図10】平形オープンショーケースの全体構造を示す縦断側面図である。
【図11】従来例を示すもので外箱の断熱パネル厚さが薄く、ガラスには比較的薄いガラスを用いる場合の縦断側面図である。
【図12】従来例を示すもので、ガラスには比較的厚いガラスである、ペアガラス(積層ガラス)等を用いる場合の縦断側面図である。
【図13】従来例を示すもので、ガラスを取り付けずに手摺を設けた場合の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 本体ケース 2 外箱
2a 内側パネル板 2b 外側パネル板
2c 断熱材 3 内箱
4 冷気循環路 4a 吸込口
4b 吹出口 5 ファン
6 蒸発器(エバポレータ) 7 冷気エアーカーテン
8 商品収納スペース 9 ガラス
10 取付溝 11 化粧パネル
12 ガラス枠 12a 脚部
13 手摺 13a ビス止め片
14 外面化粧板 15 ビス
16 ヒーター 17 塞ぎ材
17a 側壁部 17b 側壁部
18 ガラス枠 18a ベース
18b 鉤爪 18c ビス孔
18d スリット 19 手摺
19a ベース 19b 鉤爪
19c ビス孔 19d スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースの本体ケースを構成する内側パネル板と外側パネル板と及びその間に断熱材が充填された断熱パネル内の上部に樹脂製の塞ぎ材を埋設し、この塞ぎ材の外側部に水平なスリットを形成し、ガラスを直立設置するためのガラス枠もしくはガラスなしの場合に取り付ける手摺は、前記スリットに引掛ける鉤爪をベースの外側に設け、この鉤爪を前記塞ぎ材のスリットに係合させ、かつ、ベースの内側を塞ぎ材の上面にビス止めすることを特徴とするショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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