説明

ショーケース

【課題】一定の平均照度を維持しつつ、商品の照度均斉度を向上させる。
【解決手段】商品50を載置する棚板32と、棚板32の載置面のうち、顧客が商品50を取り出す側となる前面の前端縁に対して斜め下前方に近接配置され、LED38aが光軸を略上方に向けて備えられたLED照明38と、LED照明38の前方に近接配置され、LED照明38の光の一部を商品50に向けて反射する反射板40と、を含んでショーケースを構成する。光軸中心近傍の光度が大きい直接光が、商品50のうちLED照明38から遠い上部を、距離により減衰した光度で照射し、光軸中心から離れた光度の小さい直接光が、商品50のうちLED照明38から近い下部を、距離による減衰が小さい光度で照射する。また、LED照明38からの光の一部が反射板40で反射した反射光は、LED照明38から商品50に照射される直接光を補って商品50を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)照明装置を備えたショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケースとしては、商品陳列用の棚のうち、顧客が商品を取り出す側である前部に蛍光灯を配置して棚上の商品を照明するものが知られている。このようなショーケースでは、大きなスペースを要する蛍光灯の設置により商品陳列用のスペースが減少してしまうことに加え、商品に照射されない光が多いため電気エネルギーを無駄に消費してしまう。
【0003】
このため、特許文献1に記載されるように、蛍光灯の代わりに、スペース的、消費エネルギー的に優れたLEDを有するLED照明装置を商品の前方に配置して棚上の商品を照明する(以下、「前方照明」という)ショーケースが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような前方照明により一定の平均照度で商品を照明するために、LED照明装置を商品にある程度接近して配置すると、商品前面がスポットライト状に照らされてしまう。このため、商品前面の照度は一部分で大きくなるが、その他の部分では小さくなり、棚に陳列した商品全体としては、暗い印象を顧客に与えてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、一定の平均照度を維持しつつ、商品の照度均斉度を向上させたショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明に係るショーケースは、商品が載置される棚板と、棚板のうち顧客が商品を取り出す側となる前側に載置される商品に対して、その前側近傍に配置され、商品を照明するLED照明と、LED照明の前方に近接配置され、LED照明の光の一部を商品に向けて反射する反射板と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のショーケースによれば、棚板の前側に載置される商品に対して前側近傍に配置されるLED照明からの直接光に加えて、直接光の一部が反射された反射光により商品を照明するので、一定の平均照度を維持しつつ、商品の照度均斉度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ショーケースの一例を示す斜視図
【図2】図1のA−A線における部分断面図
【図3】棚の斜視図
【図4】棚前部の部分断面図
【図5】照明モジュールの断面図
【図6】照明モジュールの配向特性を例示する配光曲線図
【図7】照明モジュールによる商品の照明を示す説明図
【図8】商品を取り出したときの照明モジュールによる照明を示す説明図
【図9】上方に架設された棚を利用した照明モジュールによる照明を示す説明図
【図10】乱反射層を有する表示板を用いた照明を示す説明図
【図11】照明モジュールからの光による表示板の光透過を示す説明図
【図12】乱反射層を有する表示板の光透過を示す説明図
【図13】照明モジュールの光軸を下方に向けた棚を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1及び図2は、ショーケースの一例を示した説明図である。このショーケース10は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置される冷蔵ショーケースである。なお、冷凍又は保温のためのショーケースであってもよい。
【0011】
ショーケース10は、前面(展示側、顧客側、売場側)に開口する、断熱性を備えた箱状の本体12と、本体12の底面に取り付けられて本体12を支持する設置台14と、を含んで構成される。
【0012】
本体12のうち、内上面、内底面、及び内背面には、それぞれ内方に離隔して仕切壁12a、12b、及び12cが取り付けられ、これら仕切壁12a、12b、及び12cなどと本体12の両側壁により前面に開口する陳列室16が形成される。
【0013】
陳列室16と本体12との間の空間には、図示しない蒸発器及び冷気循環用送風機などが収容され、冷気循環用送風機による冷気の循環は、陳列室16の前面開口の上縁部に形成した吐出口18、及び陳列室16の前面開口の下縁部に形成した吸込口20を介して行われる。吐出口18から吸込口20への冷気の流れにより、陳列室16の前面開口には冷気のエアーカーテンが形成され、エアーカーテンの冷気の一部が陳列室16内で循環されて陳列室16内を冷却する。
【0014】
設置台14の少なくとも前後面及び側面は、良好な放熱性を備えたパネルなどで被覆され、これにより陳列室16の下方に、圧縮機及び凝縮器や、凝縮器用送風機(いずれも図示せず)などを配設した冷凍機械室22が形成される。圧縮機及び凝縮器は、前述の蒸発器とともに図示しない冷凍回路を構成する。
【0015】
陳列室16の両側壁は、陳列室16の内部を透視可能な透明板、例えばガラス板などで画成される。使用される透明板は、断熱性を向上すべく、中空層を挟んだ3層構造とし、透明断熱フィルムの貼り付けや、透明な断熱塗料の塗布などが施されてもよい。なお、陳列室16の内部透視性よりも断熱性が優先される場合には、両側壁の一部又は全部を、内部の透視ができない断熱パネルで画成・閉塞してもよい。
【0016】
また、陳列室16には、商品を載置するための複数段の棚24がブラケット26を介して架設される。陳列室16の内背面の仕切壁12cには、支柱28が上下に渡って複数設けられており、この支柱28には、ブラケット26の基端が着脱自在に係合される係合孔30が上下方向に複数穿設されている。棚24は、載置される商品の高さなどに合わせて所定の高さに位置するように、隣接する支柱28の一対の係合孔30に係合された一対のブラケット26に掛け渡されて架設される。棚24は、商品の陳列・交換などを容易にすべく、ブラケット26に対してスライドし、ショーケース10の前方へ迫り出す。
【0017】
図3は、一対のブラケット26に架設される棚24の一例を示す斜視図である。棚24は、商品を載置する載置面が略四角形状の棚板32と、棚板32の4辺に立設し、棚板32に載置された商品の落下を防止するガード34と、棚板32の前端においてその幅方向に延びる前端部材36と、照明モジュール38と、表示板40と、遮蔽板42と、を含んで構成される。
【0018】
図4は、棚24の前部の構造を示す部分断面図である。
前端部材36は、第1の部材44と、第2の部材46と、を含んで構成される。第1の部材44は、棚板32の前端においてその幅方向に延び、横断面が略一様に階段状となるように、上段部44aと、下段部44bと、これらを接続する接続部44cを有して形成される。上段部44aは、棚板32前端部の底面で固定されて、第1の部材44の基端をなし、前方へ延びる下段部44bの延出端は第1の部材44の先端をなす。また、第2の部材46は、第1の部材44の先端から上方へ延びる。そして、第1の部材44の下段部44b及び接続部44cと、第2の部材46と、が凹部48を形成する。なお、棚板32と別体の前端部材36に替えて、棚板32の前端から延出して一体的に形成される、棚板32の凹部としてもよい。
【0019】
棚板32に載置した商品50を照明する棒状の照明モジュール38は、前端部材36の凹部48内に配置されるように、棚板32の前端から延出した一体形成の、又は棚板32の前端部に接続固定される別体のホルダー52に保持固定される。これにより、商品50を棚24に出し入れする際に、商品50が照明モジュール38に直接接触することを、ホルダー52と協働して抑制するようにしている。なお、照明モジュール38は、凹部36c内に直接固定されてもよい。
【0020】
照明モジュール38は、図5に示すように、LED38a及びレンズ38bを有するLED光源を、長手方向に一定の間隔(例えば、10〜15mm程度)で点在するように配置して一体化したものである。
【0021】
LED38aは、例えば、0.1W〜0.5W程度の消費電力であって、最大光度の1/2の範囲の配光角度(1/2ビーム角)が120度程度のものを用いる。
【0022】
また、レンズ38bは棚板32の幅方向に直交する平面におけるLED38aの1/2ビーム角を、例えば、図6に示すように、60度程度まで絞るものであり、このレンズ38bによる配光角度の絞りによって、光軸中心付近の光度を強くしている。なお、レンズ38bからの出射光は、光軸中心に対して略対称に調整されている。
【0023】
さらに、照明モジュール38は、幅W=15mm程度、高さH=13.5mm程度のものであり、長さは、棚板32の幅に合わせてある。
そして、照明モジュール38をホルダー52に保持固定したときに、その光軸が略上方に向くように設定される。光軸が棚板32に対して略垂直となっていてもよい。
【0024】
また、照明モジュール38を保持固定したときに、照明モジュール38が、棚板32の最前列に並ぶ商品列50の前面のうち、下部に直接光を照射しつつ、上部にも十分な直接光を照射できるように、前述の配光特性を考慮して照明モジュール38の位置が設定される。このため、照明モジュール38は、棚板32の前端部に載置される商品列50に対して、その前側近傍に配置される。具体的には、照明モジュール38は、棚板32の載置面の前端縁に対して、斜め下前方に近接配置される。なお、前端部材36及びホルダー52のサイズは、かかる照明モジュール38の配置に対応しつつ、陳列室16の前面開口に形成される冷気のエアーカーテンを遮断しないように決定されている。
【0025】
長板状の表示板40は、その一面が、商品50に関するPOP(Point of Purchase)広告などを表示した表示層40aを形成してなり、この面を前面として前端部材36の凹部36c内に照明モジュール38の前方で挿置される。挿置された表示板40は、前端部材36の内面と、照明モジュール38を保持するホルダー52とで挟持されてもよい。表示板40の高さは、挿置された状態において、顧客による商品50の取り出しを妨げず、かつ、顧客が後方の商品50の商品表示ラベルなどを視認できるように設定されている。
【0026】
また、表示板40の後面は、照明モジュール38からの光を商品50に向けて反射する反射面として作用し、この作用から表示板40は反射板ともいうことができる。
さらに、表示板40は、上方にいくにつれて、棚板32の方向へ徐々に傾けられており、前面に表示されたPOP広告などの顧客に対する訴求力を向上するとともに、照明モジュール38からの光を表示板40の後面で反射したときに、反射光が棚板32上に載置された商品50へ効果的に照射されるようにしている。
【0027】
遮蔽板42は、前端部材36の両側方を表示板40の上端と略同じ高さまで覆い、前端部材36の側方に漏れる照明モジュール38からの直接光を遮蔽して、顧客が眩しさを感じ難いようにしている。なお、遮蔽板42から表示板40の後面に沿って立設するステイにより表示板40を支持又は固定するようにしてもよい。
【0028】
図7に示すように、照明モジュール38を点灯すると、棚板32の最前列に並ぶ商品列50は、照明モジュール38(LED38a)からの直接光で照明されるとともに、表示板40からの反射光によっても照明される。
このような照明モジュール38による直接光は、前方照明による直接光よりも商品列50前面の照度均斉度を向上することができる。
【0029】
すなわち、商品50の並ぶ棚板32の載置面の前端縁に対して斜め下前方に近接配置された照明モジュール38は、そのLED38aの配光角度がレンズ38bにより絞られるとともに、光軸を略上方に向けているため、光軸中心近傍の光度が大きい直接光が、商品列50のうち照明モジュール38から遠い上部を照射し、光度の小さい直接光が、商品列50のうち照明モジュール38から近い下部を照射する。その反面、照度は距離の2乗に反比例するので、商品列50のうち、照明モジュール38から近い下部に比べ、照明モジュール38から遠い上部では照度が低くなる。このため、商品列50の上部と下部照度が近づき、商品列50の前面における照度均斉度を向上させることができる。したがって、照明モジュール38からの直接光は、前方照明の場合に比べ、商品列50の前面の照度均斉度を向上させることができる。これにより、商品50全体として明るい印象を顧客に与えることが可能となる。なお、LED38aの配光角度がレンズ38bにより絞られていない照明モジュール38であっても、例えば、比較的高さの低い商品50などに対して前述のような照度均斉度を向上させる効果がある。
【0030】
照明モジュール38は、その直接光による照度ムラを軽減できるが、LED38aの光軸が商品50の方向ではなく略上方に向けられるので、前方照明に比べて商品50に照射される直接光が減少する。しかし、照明モジュール38からの光の一部は、表示板40の後面で商品50に向けて反射されるため、この反射光が、照明モジュール38から商品50に照射される直接光を補って商品50を照明する。このため、前方照明と比べても商品列50の前面における平均照度を大幅に低下させることなく、一定のレベルに維持することができる。特に、商品列50の上部は、照明モジュール38から遠い部分であるため、直接光による照度が不足し易いところ、表示板40の後面に照射される光のうち、照明モジュール38から遠い位置に照射される光は、表示板40に対する入射角度が大きくなって高い反射率で反射して商品列50の上部を照射できる。したがって、商品列50の前面における平均照度を一定のレベルに維持することに加え、商品列50の上部と下部の照度を近づけて照度均斉度を向上させることにも寄与できる。
【0031】
図8に示すように、棚板32の最前列に並べられた商品50を取り出すと、その奥の商品50aの下部には、照明モジュール38からの直接光が照射され難くなる。しかし、照明モジュール38の前方には、上方にいくにつれて、棚板32の方向へ徐々に傾く表示板40が配置されるので、照明モジュール38からの光の一部を表示板40の後面で反射した反射光が、奥の商品50aの下部にまで照射され易くなり、顧客による商品50aの視認性などを向上させるという点で、商品50aに対する照度均斉度を向上させた照明の可能性が高まる。
【0032】
図9に示すように、照明モジュール38からの光は、その照明モジュール38が備えられた棚24の上方に架設された棚24aの下面、例えば棚板32aの底面などに反射して、棚板32に載置された商品50を上方から照射する。一方、照明モジュール38の光を表示板40で反射した反射光は、直接光よりも奥の棚板32a底面で大きな反射角度で反射する。したがって、表示板40を備えていない場合に比べて、棚板32に載置した商品50をより奥の方まで照明でき、商品50全体として明るい印象を顧客に与えることにも寄与する。
【0033】
なお、前述のショーケース10のうち、表示板40の後面は、照明モジュール38からの光を乱反射させる表面処理、例えば、白色などのシルク印刷、微細な凹凸のあるディンプル加工、つや消し塗料の塗布、シボ加工などを施した乱反射層40bを備えてもよい。
【0034】
このような乱反射層40bを備えた表示板40の後面は、図10に示すように、照明モジュール38からの光を受けて乱反射を起こすため、入射光は、鏡面反射と異なり、様々な方向へ反射する。したがって、乱反射層40bを備えていない場合に比べて、表示板40の後面からの乱反射光は、直接光と混成されて比較的均一に50へ照射されるため、直接光による商品列50の照度均斉度を向上できる。また、かかる乱反射光と直接光との混成光は、やわらかい自然な感じの照明を実現できる。このような乱反射層40bを備えた構成が奏する効果について、さらに付言すれば、以下のとおりである。
【0035】
すなわち、照明モジュール38の配光特性において、光度が光軸中心から一定の変化率で減衰しないことや(図6参照)、照明モジュール38においてLED38aが間隔を空けて配置されることから、照明モジュール38からの直接光には多少のムラが生じてしまう。しかし、乱反射層40bを備えた表示板40後面からの乱反射光は、様々な方向へ出射するので、直接光と混成されて、このようなムラを減殺する効果がある。
【0036】
また、直接光や、乱反射層40bを備えていない表示板40後面からの反射光では照射できない陰の部分が商品50間に生じる。しかし、乱反射層40bを備えた表示板40の場合には、その後面からの乱反射光が、かかる陰の部分にも回り込んで照射され、商品50間の陰影を軽減できる。
【0037】
さらに、棚板32の最前列に載置された商品50を取り出したときにおいて(図8参照)、乱反射層40bを備えていない表示板40後面から、奥の商品50aの下部に向けて照射される反射光は、比較的光度の小さい直接光を反射したものであるため、奥の商品50下部の照度が不足してしまう場合がある。しかし、乱反射層40bを備えた表示板40であれば、比較的光度の大きい直接光を反射して奥の商品50下部にも照射できるため、照度不足の改善が可能である。
【0038】
表示板40が、光を透過性させる性質を有する材料、例えば、透明樹脂、ガラスなどからなる場合において、表示板40の後面に乱反射層40bを備えていないときには、図11に示すように、照明モジュール38から表示板40の後面に入射した光は、空気及び表示板40の屈折率差により、略一意的な屈折角で屈折する。この場合、照明モジュール38の配光特性により、光軸中心近傍での光度が大きいため、光軸中心近傍の光が表示板40の後面に入射して屈折・透過した領域で輝度が顕著に高くなり輝度ムラが現出する。このため、表示板40の前面に表示されたPOP広告などの表示層40aに明暗が明瞭に現れ、顧客吸引力にも影響を与えるおそれがある。
【0039】
表示板40の後面に乱反射層40bを備えていない場合の光透過に対し、乱反射層40bを備えている場合の光透過は異なる。すなわち、図12に示すように、照明モジュール38から表示板40の後面に入射した光は、乱反射層40bを有さない後面での屈折において略一意的に定まる屈折角、とは異なる角度で屈折し透過する。したがって、光度が大きい光軸中心近傍の光が表示板40の後面に入射しても様々な方向へ屈折するため、特定の領域の輝度が高くならず輝度ムラが低減される。つまり、表示板40の前面に表示されたPOP広告などに明暗が現れ難くなる。このような乱反射層40bを備えた構成が奏する効果について、さらに付言すれば、以下のとおりである。
【0040】
すなわち、照明モジュール38の配光特性において、光度が光軸中心から一定の変化率で減衰しないことや(図6参照)、照明モジュール38においてLED38aが間隔を空けて配置されることから、照明モジュール38からの直接光には多少のムラが生じてしまう。しかし、乱反射層40bを備えた表示板40の場合、照明モジュール38から、その後面に入射した直接光は、様々な方向へ屈折・透過するので、その透過光が直接光と混成されて、このようなムラを減殺する効果がある。
【0041】
前述のショーケース10のうち、棚板32の前端に立設するガード34は、光透過性の高い透明板で構成されるとよい。これにより、照明モジュール38の照明可能な範囲を広げることがきる。特に、棚板32の最前列に並べられた商品50を取り出した後に、その奥に載置される商品50aの下部を照明する際に有意義である。
【0042】
前述のショーケース10において、遮蔽板42のうち照明モジュール38に臨む面は、前述のように、照明モジュール38からの光を乱反射させる表面処理を施した層を備えているとよい。これにより、商品50の照明を自然な感じの照明に一層近づけることができる。
【0043】
前述のショーケース10では、照明モジュール38の光軸を略上方に向けて、商品列50の斜め下前方から照明していた。これに替えて、図13に示すように、照明モジュール38の光軸を略下方に向けて、商品50を上方から照明することもできる。照明モジュール38は、棚板32の前部に載置される商品列50に対して、その前側近傍でLED38aの光軸が下方向に延びるように配置される。具体的には、照明モジュール38により照明される商品50を陳列した棚24に対し、その上方に架設された棚24aの底面に、光軸を略下方に向けた照明モジュール38がホルダー52を介して設置される。この場合に、前述のショーケース10と異なる構成を例示する。すなわち、棚板32aの上面は平面に形成されるとともにその前端が下方に折り曲げられ、この折曲部の後面とホルダー52との間に表示板40が下方から内挿・挟持される。
【0044】
このように照明モジュール38の光軸を略下方に向けたショーケース10は、例えば、棚24、24aを顧客の視点より高い位置に架設する場合に、商品50の取り出し容易性、及び表示板40前面のPOP広告の訴求性向上という観点で有意義となる。
【0045】
前述のショーケース10において、棚板32の前端に立設するガード34が光を透過せず、その後方にある商品50前面の下部からの照明が不要であるなどの場合には、図4の棚24に替えて、第1の部材44を平板として、棚板32の載置面と面一に接続し、第1の部材44上又はその上方に照明モジュール38を配置した棚としてもよい。この場合、第1の部材44と棚板32とを一体化した平板として構成し、その前縁を上方に折り曲げて第2の部材46の替わりとしてもよい。これにより、棚24の高さ方向のサイズを狭小化できるので、棚24と棚24の下方に架設された棚との間に画される開口を通して、商品50の出し入れをスムーズに行うことが可能となる。
【0046】
前述のショーケース10は、いわゆるオープンショーケースとして説明したが、陳列室16の前面開口を、例えば、開閉自在なガラス扉などで画成・閉塞したショーケースとしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 ショーケース
32 棚板
36 前端部材
38 照明モジュール
38a LED
38b レンズ
40 表示板
40a 表示層
40b 乱反射層
44 第1の部材
46 第2の部材
50 商品、商品列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が載置される棚板と、
前記棚板のうち顧客が前記商品を取り出す側となる前側に載置される商品に対して、その前側近傍に配置され、前記商品を照明するLED照明と、
前記LED照明の前方に近接配置され、前記LED照明の光の一部を前記商品に向けて反射する反射板と、
を含んで構成されたショーケース。
【請求項2】
前記LED照明は、前記棚板のうち前記商品を載置する面の前端縁に対して斜め下前方に近接配置され、前記LEDの光軸を上方に向けたことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記反射板のうち、前記LED照明からの光の一部を反射する反射面が、前記LED照明の光を乱反射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項4】
前記反射板のうち、前記反射面が、白色のシルク印刷層を形成していることを特徴とする請求項3に記載のショーケース。
【請求項5】
前記反射板が、光を透過させる性質を有する材料からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項6】
前記反射板のうち、前記反射面に対して反対側の面が、前記商品の広告を表示する表示層を形成していることを特徴とする請求項5に記載のショーケース。
【請求項7】
前記反射板が、上方にいくにつれて、前記棚板の方向へ徐々に傾くことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項8】
前記LED照明が、前記棚板の幅方向に直交する平面における配光角度を絞るレンズを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項9】
前記LED照明は、前記棚板の前端に沿って前記LEDを複数点在配置してなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項10】
前記LED照明は、前記LEDを並べて一体化した棒状の照明モジュールからなることを特徴とする請求項9に記載のショーケース。
【請求項11】
基端が前記棚板の前端部においてその幅方向に接続され、先端が前方へ延びる部分を有する第1の部材と、
前記第1の部材の前記先端から上方へ延びる第2の部材と、
を更に含んで構成され、
前記LED照明が、前記第1の部材の上又は上方において位置し、前記反射板が、前記第2の部材に沿って配置されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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