説明

ショーケース

【課題】陳列室内から一度に多くの商品の納出作業を行うことを可能とし、利便性の向上を図る。
【解決手段】本発明は、本体11内に構成された陳列室3の上面に上面開口36を形成し、この上面開口36を塞ぐかたちで本体11に載置された二つ折り式の上面扉35を備え、該上面扉35は、蝶番37にて連結された二枚の扉板38と、両扉板38が上面開口36を閉じた状態で隣接する両扉板38の側部にそれぞれ設けられ、隣接する他方の扉板38側に延在して相互に接触するヒレ状の下パッキン48と、両扉板38の側部にそれぞれ設けられ、下パッキン48の上方に位置して隣接する他方の扉板38側に延在し、相互に接触するヒレ状の上パッキン49とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体内に構成された陳列室内にて商品を陳列するショーケースであって、特に、上面開口を二つ折り式の上面扉にて閉塞されるショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スーパーマーケットやコンビニエンスストアその他の店舗等では、陳列室内に飲料や食品等の商品を陳列し、陳列室室内に冷気を循環させて低温とすることにより、商品を冷却しながら陳列する低温ショーケースなどが採用されている。特に、レジなどのカウンターには、陳列室の前面と左右面を含む三面、或いは、周囲四面を透明ガラス等の透明壁にて構成し、外部から商品が視認できるようにして販売効果を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この際、陳列室の前面及び後面にそれぞれ透明扉を設け、例えば、カウンターを挟んで、ショーケースの前面から顧客が前面扉を開閉し、ショーケースの後面から店員が後面扉を開閉して商品の納出作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−25888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前後の扉を開放して行う商品の取り出し作業では、商品がペットボトル等の容器入りの飲料である場合、各商品の側面を把持して取り出しを行うため、一度に多数の取り出すことができないという問題がある。特に、高さ寸法の小さい商品を多数取り出す際であっても、何度も陳列室内から取り出し作業を行わなければならず、作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、陳列室内から一度に多くの商品の納出作業を行うことを可能とし、利便性の向上を図ることができるショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のショーケースは、本体内に構成された陳列室内にて商品を陳列するものであって、陳列室の上面に形成された上面開口と、該上面開口を塞ぐかたちで本体に載置された二つ折り式の上面扉とを備え、該上面扉は、蝶番にて連結された二枚の扉板と、両扉板が上面開口を閉じた状態で隣接する両扉板の側部にそれぞれ設けられ、隣接する他方の扉板側に延在して相互に接触するヒレ状の下パッキンと、両扉板の側部にそれぞれ設けられ、下パッキンの上方に位置して隣接する他方の扉板側に延在し、相互に接触するヒレ状の上パッキンとを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、上記発明において、陳列室は少なくとも一側が開口しており、該開口は側面扉により開閉自在に閉塞されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、上記発明において、陳列室は前後が開口しており、側面扉は当該前面開口及び後面開口を閉塞するようそれぞれ設けられると共に、上面扉は、蝶番の軸が前後方向に指向するよう載置されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、上記発明において、陳列室内に架設された棚を備え、陳列室の底面は前方に低く傾斜しており、棚は略水平に架設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、上記各発明において、下パッキンの端部は陳列室の上面開口縁に当接し、当該下パッキン上の結露水は上面開口縁の本体に流下することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、上記各発明において、各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成され、両扉板が重合した場合に対向する扉側凹部と、各扉板の扉側凹部に対応する位置の上面開口縁にそれぞれ形成された本体側凹部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、上記各発明において、各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成された突起を備え、両扉板が重合した場合に上側となる扉板の突起は下側となる扉板の突起に当接し、その状態で両扉板は略平行となることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、上記各発明において、陳列室の底面一側に形成された冷気吹出口、及び、他側に形成された冷気吸込口を備え、上面開口は、冷気吹出口及び冷気吸込口の上方に対応する部分より内側に位置して陳列室の上面に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、本体内に構成された陳列室内にて商品を陳列するショーケースにおいて、陳列室の上面に形成された上面開口と、該上面開口を塞ぐかたちで本体に載置された二つ折り式の上面扉とを備え、該上面扉は、蝶番にて連結された二枚の扉板と、両扉板が上面開口を閉じた状態で隣接する両扉板の側部にそれぞれ設けられ、隣接する他方の扉板側に延在して相互に接触するヒレ状の下パッキンと、両扉板の側部にそれぞれ設けられ、下パッキンの上方に位置して隣接する他方の扉板側に延在し、相互に接触するヒレ状の上パッキンとを備えたことにより、従来、蝶番によって両扉板間に形成された隙間を閉塞するために設けられた断面略C形状のパッキンの場合と比べて、相互に接触する各パッキンの面圧を小さくすることができ、扉を閉じる操作の際に、支障なく両扉板を並んだ状態、即ち、完全な閉鎖状態とすることができる。
【0016】
また、上パッキンと下パッキンによる二重のパッキンによって、従来の断面C形状のパッキンと同等の空気層を形成することができ、断熱効果を維持することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、陳列室は少なくとも一側が開口しており、該開口は側面扉により開閉自在に閉塞されることにより、上面扉の開放以外にも、側面扉を開放することにより、陳列室内に陳列された商品の納出作業を行うことができるようになる。これにより、使用形態に応じて商品を取り出すことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、上記発明に加えて、陳列室は前後が開口しており、側面扉は当該前面開口及び後面開口を閉塞するようそれぞれ設けられると共に、上面扉は、蝶番の軸が前後方向に指向するよう載置されることにより、二つ折り式の上面扉を蝶番の軸を中心として左右に折り畳んで開放することが可能となる。
【0019】
そのため、上面開口はそれぞれ一側の扉板を開放することで当該一側の前後全域を開放することができるため、ショーケースの前扉側からも後扉側からも奥側に位置する商品を取り出しやすくなる。即ち、取り出そうとする商品が載置されている側の扉板を開放することで、後扉側からは陳列室前部にある商品を、前扉側からは陳列室後部にある商品を支障なく取り出すことが可能なる。従って、側面扉を開放することでは、手前側に載置されている商品によって取り出しが困難となる、若しくは、挿入距離が長くなってしまうことで取り出しが困難となる奥側の商品を支障なく、且つ、一度に多数取り出すことが可能となる。
【0020】
請求項4の発明によれば、上記発明に加えて、陳列室内に架設された棚を備え、陳列室の底面は前方に低く傾斜しており、棚は略水平に架設されていることにより、陳列室の底面に陳列された商品を自重により前方に摺動させることができる。これにより、前面開口から商品を取り出した際、商品を自重によって前出しすることができ、商品陳列の向上をさせることができる。
【0021】
また、棚上に陳列された商品は、上面扉を開放することで上面開口より容易に取り出すことができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、上記各発明に加えて、下パッキンの端部は陳列室の上面開口縁に当接し、当該下パッキン上の結露水は上面開口縁の本体に流下することにより、上パッキンと下パッキンとの間に結露が生じても、係る結露水は下パッキン上を流れて本体に流下させ、本体側に設けられた排水経路にて処理することができる。これにより、陳列室内に結露水が滴下して、商品等を濡らしてしまう不都合を回避することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて、各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成され、両扉板が重合した場合に対向する扉側凹部と、各扉板の扉側凹部に対応する位置の上面開口縁にそれぞれ形成された本体側凹部とを備えたことにより、本体側凹部より扉板の側部に手指をかけて蝶番の軸を中心として回動させることで上面扉を容易に開放することができる。
【0024】
開放された側の扉板は、他方の扉板上方に折り畳まれることとなるが、この際、両扉板には、開放時に手指がかけられる本体側凹部に対応する位置に扉側凹部が形成されており、各扉板の扉側凹部は、重合した場合に対向する位置とされているため、かけられた手指は、扉板の重合時に対向するこれら扉側凹部内に退避させることができる。従って、開放動作の際に手指が扉板間に挟まれてしまう不都合を解消することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、上記各発明に加えて、各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成された突起を備え、両扉板が重合した場合に上側となる扉板の突起は下側となる扉板の突起に当接し、その状態で両扉板は略平行となることにより、上面扉を開いて二つ折りにしたときに、開放した方の裏面が水平となる。これにより、陳列室内から取り出した商品等を開放された扉板の裏面上に載置することができる。これにより、商品の納出作業性を向上させることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、上記各発明に加えて、陳列室の底面一側に形成された冷気吹出口、及び、他側に形成された冷気吸込口を備え、上面開口は、冷気吹出口及び冷気吸込口の上方に対応する部分より内側に位置して陳列室の上面に形成されているので、上面扉を開放しても、冷気吹出口及び冷気吸込口の上方に対応する位置には上面が開口していないため、直接冷気が吹き出されて外部に漏出してしまう不都合を回避することができる。これにより、冷却効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施例に係るショーケースの斜視図である。
【図2】図1のショーケースの縦断側面図である。
【図3】図1のショーケースの平面図である。
【図4】図1のショーケースの分解斜視図である。
【図5】図1のショーケースの上部扉の開放状態を示す図である。
【図6】課題解決前のショーケースの斜視図である。
【図7】図1のショーケースの上部拡大縦断側面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】課題解決前の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施例に係るショーケース1の斜視図、図2は図1のショーケース1の縦断側面図、図3は図1のショーケース1の平面図、図4は図1のショーケース1の分解斜視図、図5は図1のショーケース1の上部扉35の開放状態を示す図をそれぞれ示している。
【0029】
本実施例におけるショーケース1は、陳列室3の周囲四面が透明二重ガラスから構成された透明壁4・・にて囲繞された所謂卓上型のショーケースであり、レジなどのカウンターに載置される。ショーケース1は、発泡ポリウレタンからなる容器状の断熱壁6と、この断熱壁6の周囲及び断熱壁6下方に構成される機械室2内を被覆する硬質合成樹脂製の下部パネル7と、この下部パネル7の四隅に立設された左右側面の前記透明壁4、4等から本体11が構成されている。左右側面の透明壁4、4内側の断熱壁6上には、これも硬質合成樹脂からなる底板12が取り付けられ、これら底板12と天板(上面)9及び左右の透明壁4、4間の本体11内に陳列室3が構成されている。尚、陳列室3の上面を構成する天板9には、詳細は後述する如き上面扉35が設けられている。
【0030】
陳列室3の一側面をそれぞれ構成する前面と後面は開口しており、前面開口13は側面扉としての前面扉15にて開閉自在に閉塞され、後面開口14は側面扉としての後面扉16にて開閉自在に閉塞される。各扉15、16は内部を透視可能とする透明扉にて構成されている。そして、各扉15、16は、それぞれその上下を、本体11を構成する天板9と底枠12の一側(この場合、前面から向かって右側。後面から向かって左側。)を中心として回動自在に枢支されて取り付けられている。
【0031】
ここで、本実施例では、陳列室3の底面となる底板12は、後端から前端に渡って前方に低く傾斜して構成されており、これに応じて下部パネル7の上縁及び各透明壁4、4下縁が傾斜して形成されている。そのため、当該透明壁4、4にて形成される前後の開口は、前面開口13が、後面開口14よりも下方に延在して形成され、これにより、前面開口13は、後面開口14よりも大きく開口して形成される。これに対応し、前面開口13を閉塞する前面扉15の下端は、後面開口14を閉塞する後面扉16の下端よりも下方に延在して構成される。
【0032】
また、断熱壁6の下側には陳列室3の下方に位置して機械室2が構成されている。この機械室2内には冷却ユニットRの冷媒回路を構成する圧縮機18、凝縮器19と、これらを冷却するための凝縮器用送風機20が設置されている。下部パネル7には、外気を吸い込むための外気吸込口21が形成されている。
【0033】
一方、断熱壁6内には冷却室24が構成されており、この冷却室24内には前記圧縮機18等と共に冷却ユニットRの冷媒回路を構成する図示しない蒸発器と、冷却用送風機25が収納されている。この冷却室24内底部には、図示しない排水経路が形成され、蒸発器からのドレン水を排水処理する蒸発皿へと連通させている。
【0034】
ショーケース1を正面(前面)からみて右側(一側)の底板12には、陳列室3の底面に位置して冷気吹出口27が前後に渡り形成されており、左側(他側)の底面12には、陳列室3内の底面に位置して冷気吸込口28が前後に渡り形成されている。陳列室3の一側の底面12には、冷気吹出口27に対応して透明壁4と陳列室3側とを区画する仕切板29が所定の高さ(本実施例では、陳列室3の中程の高さ)にまで立設されている。冷気吹出口27は、冷却用送風機25の吹出側の冷却室24内に連通しており、冷気吸込口28は、前記蒸発器の冷気流入側の冷却室24内に連通している。
【0035】
また、陳列室3の四隅には、上下に渡って間隔を存して複数の係合孔31が形成された支柱30が立設されている。この支柱30の係合孔21には、係脱自在に棚(網棚)32が略水平に架設されている。
【0036】
次に、上述した如き陳列室3の上面を構成する天板9及び上面扉35の構成について説明する。本実施例における天板9には、上面開口36が形成されている。この上面開口36は、陳列室3の一側に形成される上記冷気吹出口27及び陳列室3の他側に形成される上記冷気吸込口28の上方に対応する部分より内側に位置するように天板9に形成されている。
【0037】
この上面開口36の開口縁は、階段状とされた段差部36Aとされており、この段差部36A上面(本体11)には、上面開口36を塞ぐかたちで上面扉35が備えられている。この上面扉35が段差部36A上に載置された状態で、該上面扉35の上面は、天板9の上面と略面一とされる。この上面開口36縁の段差部36Aには、上記本体11内に設けられた上記排水経路と連通する図示しない排水孔が形成されている。
【0038】
上面扉35は、蝶番37、37にて連結された二枚の扉板38、38から成る二つ折り式の扉にて構成される。即ち、蝶番37、37の軸37Aを中心として各扉板38、38は、上方に回動自在とされて、開放された側の扉板38が、閉塞側の扉板38上に重ね合わされることで、片側ずつ扉板38が開放可能とされる。
【0039】
扉板38は、内部を透視可能とする透明板41と当該透明板41を囲繞する扉板枠42とから構成されている。この際、両扉板38、38間は、連結する蝶番37の軸37Aが設けられる部分以外では、開閉作業を容易に行うため、隙間Sが形成される。
【0040】
本実施例のように、陳列室3内を所定温度に冷却して使用される低温ショーケースでは、係る隙間Sから冷気漏洩を生じてしまう。そこで、図9に示すように、可撓性材料にて形成された断面C形状のパッキン100を両扉板38間に延在させて設けることが考えられる。これにより、係るパッキン100は、扉35により上面開口36を閉じた状態で各扉板38が隣接する側部47、47と当接し、両扉板38、38間の隙間Sが塞がれ、外部と陳列室3内の空間とが隔絶されることとなる。
【0041】
しかしながら、係るパッキン100の場合、扉板38を閉じる際に、パッキン100と両扉板38、38の側部47、47との間に加わる面圧が大きく、両扉板38を並んだ状態とするためには、大きな力を加える必要がある。そのため、開閉作業が煩雑となり、閉まりにくいために、陳列室3内の冷気漏洩を招来してしまう。
【0042】
これに対し、本実施例では、両扉板38の扉板枠42は、扉35により上面開口36を閉じた状態で隣接する側部47下端に、隣接する他方の扉板38側に延在して相互に接触するヒレ状の下パッキン48が設けられている。この下パッキン48の下端部は、上面扉35が上面開口縁に取り付けられた状態で、陳列室3の上面開口36縁、本実施例では段差部36A上面に当接する。
【0043】
更に、下パッキン48の上方に位置する各扉板38の側部47には、これらが隣接する他方の扉板38側に延在し、これらが相互に接触するヒレ状の上パッキン49が設けられている。
【0044】
係る構成とすることにより、図9に示すような断面略C形状のパッキン100を隙間Sを塞ぐ手段として用いる場合と比べて、相互に接触する各パッキン48、48及び49、49の面圧を小さくすることができ、上面扉35を閉じる操作の際に、支障なく両扉板38、38を並んだ状態、即ち、完全な閉鎖状態とすることができる。
【0045】
また、上パッキン49と下パッキン48による二重のパッキンによって、従来の断面C形状のパッキン100と同等の空気層を隙間S内にて形成することができ、断熱効果を維持することができる。従って、隙間Sから陳列室3内の冷気が外部に漏洩してしまう不都合を著しく抑制することができる。
【0046】
そして、上述した如き構成の上面扉35は、両扉板38、38を連結する蝶番37、37の軸37Aがショーケース1の前後方向に指向するように、上面扉35が天板9の上面開口36縁の段差部36A上に載置されている。
【0047】
また、この上面扉35の各扉板38、本実施例では扉板枠42の非蝶番側の上面には、端部から所定寸法切り欠かれた扉側凹部43がそれぞれ形成されている。各扉板38に形成される扉側凹部43は、両扉板38、38が重合した場合(図5の状態)に対向する位置に形成されている。
【0048】
そして、各扉板38の扉側凹部43に対応する位置の上面開口36縁には、天板9の上面から段差部36Aの上面に渡って所定寸法切り欠かれた本体側凹部44、44がそれぞれ形成されている。
【0049】
更に、各扉板38、本実施例では扉板枠42の非蝶番側の上面には、該扉板枠42上面よりも上方に所定寸法突出した突起45が形成されている。本実施例では、非蝶番側の隅部に形成されている。各突起45は、一方の扉板38が開放されて他方の扉板38上に重合した場合(両扉板38が重合した場合)に、上側となる扉板38の突起45は、下側となる扉板38の突起45に当接する位置に形成されている。
【0050】
係る両突起45を重合させた高さ寸法は、両扉板38を連結する蝶番37、特に蝶番の軸37Aによって両扉板38が重合された際に蝶番37側の両扉板38間に形成される高さ寸法と略同一とされている。そのため、両扉板38が重合された状態で、係る両突起45が当接することで、両扉板38は、蝶番37側と非蝶番側との高さ寸法が同一となり、上側となる扉板38と下側となる扉板38は略平行とされる。
【0051】
以上の構成により、冷却ユニットRが運転されると、冷却室24内にて冷却された冷気は、ショーケース1の一側に形成された冷気吹出口27から吐出されて、透明壁4と仕切板29との間に形成された冷気ダクト内を吹き上げられて、陳列室3上部に吐出される。そして、陳列室3内を循環した冷気は、ショーケース1の他側に形成された冷気吸込口28より冷却室24内に吸い込まれる循環を行う。これにより、陳列室3内が所定の冷却温度に冷却される。
【0052】
この際、本実施例では、陳列室3の上面に上面扉35を備えた上面開口36が形成されているが、当該上面開口36は、冷気吹出口27及び冷気吸込口28の上方に対応する部分より内側に位置して陳列室3の上面に形成されているので、上面扉35を開放しても、冷気吹出口27及び冷気吸込口28の上方に対応する位置の上面が開口していないため、直接冷気が吹き出されて外部に漏出してしまう不都合を回避することができる。これにより、冷却効率の低下を抑制することができる。
【0053】
また、陳列室3の上面開口36縁に上面扉36を設けた状態で、各扉板38に設けられた下パッキン48は、その下端部が当該上面開口縁の段差部36A上面に当接するため、上パッキン49と下パッキン48との間に結露が生じても、当該下パッキン48上に付着した結露水は上面開口36縁の段差部36A上を伝って流すことができる。段差部36A上を流れた結露水は、当該段差部36Aに形成された排水孔を介して、本体11側に流下させ、当該本体11側に設けられた上記排水経路に流入し処理することができる。これにより、上パッキン49と下パッキン48との間に生じた結露水が陳列室3内に滴下して、陳列室3内に陳列された商品等を濡らしてしまう不都合を回避することができる。
【0054】
一方、上述したように陳列室3内には、棚32が略水平に架設されているため、当該棚32上に容器入りの飲料等の商品を略水平に陳列することができると共に、陳列室3の底面を構成する底板12上にも商品を陳列することができる。
【0055】
本実施例では、陳列室3の前面及び後面が開口し、それぞれ前面扉15や後面扉16にて開閉自在に閉塞されているため、各扉15、16の開閉によって棚32上や底板12上に商品を納出することができる。そのため、ショーケース1を挟んで前側に位置する顧客等は、前面扉15を開放することにより陳列室3内の商品を取り出すことができると共に、後側に位置する店員等は、後面扉16を開放することで、陳列室3内への商品の納出作業を行うことができる。
【0056】
この際、当該底板12は、前方に低く傾斜して構成されているため、陳列室3の前側から商品が取り出された際に、底板12上に載置された商品は自重により前方に摺動する。そのため、底板12上に陳列された商品は、自重によって前出しされ、商品陳列の向上を図ることができる。これにより、店員等は、商品を陳列室3の前面に沿って並べる前出し作業を簡素化することができる。
【0057】
また、本実施例では、陳列室3の上面を構成する天板9に上面扉35が設けられているため、棚32上に陳列された商品は、前面扉15や後面扉16を開放する以外にも、上面扉35を開放することによっても、上面開口36から納出作業を容易に行うことができる。
【0058】
そのため、ショーケース1が設置された状況によって、前面扉15や後面扉16を大きく開放できない場合でも、上面扉35を開放することにより、陳列室3内の棚32上の商品を支障なく取り出すことが可能となる。
【0059】
特に、設置された状態のショーケース1の高さ寸法が、使用者の胸部の高さよりも低い場合等、上下の高さ寸法が小さい場合には、上面扉35を開放し、上面開口36から手を差し入れて、商品上部を持って(容器入り飲料の場合、上部に形成されたくびれ部分に手指をかけて)多数の商品を一度に上方から取り出すことが可能となる。
【0060】
また、この上面扉35は、二枚の扉板38、38を蝶番37にて連結された二つ折り式の上面扉にて構成されており、これを上面開口36を塞ぐかたちで本体11に載置することで設けられているため、簡素な構成にて上面扉35を設けることができ、コストの低減を図ることができる。
【0061】
この際、上面扉35は、顧客又は店員等が位置する陳列室3の前方、及び後方に対して、蝶番37の軸が前後方向に指向するように載置されているため、顧客又は店員等は、蝶番37の軸を中心として左右に回動させて折り畳むことで開放することが可能となる。
【0062】
そのため、上面開口36はそれぞれ一側の扉板38を回動させて開放することで当該一側の前後全域を開放することができるため、ショーケース1の前面扉15側からも後面扉16側からも奥側に位置する商品を取り出しやすくなる。即ち、取り出そうとする商品が載置されている側の扉板38を開放することで、後面扉16側からは陳列室3前部にある商品を、前面扉15側からは陳列室3後部にある商品を支障なく取り出すことが可能なる。従って、前後の扉15、16を開放することでは、手前側に載置されている商品によって取り出しが困難となる、若しくは、挿入距離が長くなってしまうことで取り出しが困難となる奥側の商品を支障なく、且つ、一度に多数取り出すことが可能となる。
【0063】
更に、本実施例では、天板9の上面開口36縁に本体側凹部44が形成されているため、扉板38の側部に手指をかけて蝶番37の軸を中心として回動させることで上面扉35を容易に開放することができる。このとき、開放された側の扉板38は、図5に示すように他方の扉板38上方に折り畳まれることとなるが、この際、本実施例の如く各扉板38に扉側凹部43が形成されていない場合、開放時に扉板38にかけられた手指は、他方の扉板38上に重ねられた状態で、これら扉板38間に挟まれてしまうこととなる。勢いよく扉を開閉した際、手指を損傷してしまうおそれがある。
【0064】
これに対し、本実施例では、両扉板38、38には、開放時に手指がかけられる本体側凹部44に対応する位置に扉側凹部43が形成されており、各扉板38の扉側凹部43は、重合した場合に対向する位置とされているため、かけられた手指は、扉板38の重合時に対向するこれら扉側凹部43、43内に退避させることができる。従って、開放動作の際に手指が扉板38、38間に挟まれてしまう不都合を解消することができる。
【0065】
また、本実施例では、各扉板38の非蝶番側の上面に突起45が形成され、両扉板38が重合した場合に上側となる扉板38の突起45は下側となる扉板38の突起45に当接し、その状態で両扉板38は略平行となる。扉板38の非蝶番側の上面に突起45が形成されていない場合には、図6に示すように、扉の折りたたみ時に各扉板38の蝶番37側が非蝶番側に比べて蝶番37の軸37Aの高さ分だけ高くなり、開放した方の扉板38の裏面が非蝶番側に向けて低く傾斜してしまう。
【0066】
これに対し、本実施例では各扉板38の非蝶番側の上面に突起45が形成されているため、上面扉35を開いて二つ折りにしたときに、開放した方の裏面が水平となる。これにより、陳列室3内から取り出した商品等を開放された扉板38の裏面上に載置しても、商品が非蝶番側に滑落してしまう不都合を回避することができる。これにより、商品の納出作業性を向上させることができる。
【0067】
また、突起45が設けられていない部分には、指が入るスペースが形成されることとなるため、扉35開閉を容易に行うことができると共に、係るスペースから指を挿入して扉35開閉を行うことで、指の挟み込みを防止することができる。
【0068】
尚、これ以外にも、何れか一方の扉板38の非蝶番側の上面に、両扉板38を重合した際に蝶番37側の両扉板38間に形成される高さ寸法と略同一の高さ寸法の突起を形成することで、扉の折り畳み時に両扉板38を略平行としてもよいが、上述したように、両扉板38に突起45を備える構成とすることで、各扉板38を共用することができ、生産コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0069】
R 冷却ユニット
S 隙間
1 ショーケース
2 機械室
3 陳列室
4 透明壁
6 断熱壁
7 下部パネル
9 天板(陳列室の上面)
11 本体
12 底板(陳列室の底面)
13 前面開口
14 後面開口
15 前面扉(側面扉)
16 後面扉(側面扉)
18 圧縮機
19 凝縮器
20 凝縮器用送風機
24 冷却室
25 冷却用送風機
27 冷気吹出口
28 冷気吸込口
29 仕切板
32 棚
35 上面扉
36 上面開口
36A 段差部
37 蝶番
38 扉板
41 透明板
42 扉板枠
43 扉側凹部
44 本体側凹部
45 突起
47 側部
48 下パッキン
49 上パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に構成された陳列室内にて商品を陳列するショーケースにおいて、
前記陳列室の上面に形成された上面開口と、
該上面開口を塞ぐかたちで前記本体に載置された二つ折り式の上面扉とを備え、
該上面扉は、蝶番にて連結された二枚の扉板と、両扉板が前記上面開口を閉じた状態で隣接する両扉板の側部にそれぞれ設けられ、隣接する他方の扉板側に延在して相互に接触するヒレ状の下パッキンと、前記両扉板の側部にそれぞれ設けられ、前記下パッキンの上方に位置して隣接する他方の上面扉側に延在し、相互に接触するヒレ状の上パッキンとを備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
陳列室は少なくとも一側が開口しており、該開口は側面扉により開閉自在に閉塞されることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記陳列室は前後が開口しており、前記側面扉は当該前面開口及び後面開口を閉塞するようそれぞれ設けられると共に、
前記上面扉は、前記蝶番の軸が前後方向に指向するよう載置されることを特徴とする請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記陳列室内に架設された棚を備え、
前記陳列室の底面は前方に低く傾斜しており、前記棚は略水平に架設されていることを特徴とする請求項3に記載のショーケース。
【請求項5】
前記下パッキンの端部は前記陳列室の上面開口縁に当接し、当該下パッキン上の結露水は前記上面開口縁の前記本体に流下することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項6】
前記各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成され、両扉板が重合した場合に対向する扉側凹部と、前記各扉板の扉側凹部に対応する位置の前記上面開口縁にそれぞれ形成された本体側凹部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項7】
前記各扉板の非蝶番側の上面にそれぞれ形成された突起を備え、前記両扉板が重合した場合に上側となる前記扉板の突起は下側となる前記扉板の突起に当接し、その状態で両扉板は略平行となることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項8】
前記陳列室の底面一側に形成された冷気吹出口、及び、他側に形成された冷気吸込口を備え、
前記上面開口は、前記冷気吹出口及び冷気吸込口の上方に対応する部分より内側に位置して前記陳列室の上面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちの何れかに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−205667(P2012−205667A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72251(P2011−72251)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】