説明

シリカ複合再生粒子の製造方法及びシリカ複合再生粒子

【課題】硬質化、低白色度化の問題、スラリー化した際の増粘・固化の問題が解決された再生粒子を簡易にかつ安定的に得ることができる再生粒子の製造方法とする。
【解決手段】製紙スラッジSを脱水(10)及び熱処理(30)して再生粒子を製造し、この再生粒子にシリカを複合する(60)シリカ複合再生粒子Rの製造方法であって、製紙スラッジSの主原料を、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙スラッジを原料としたシリカ複合再生粒子の製造方法及びシリカ複合再生粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製紙スラッジを原料とした再生粒子の製造方法は、従来から様々な方法が提案されており、例えば、製紙スラッジの燃焼処理に先立って炭化処理を行う方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等参照。)、燃焼処理に用いる装置や燃焼温度、燃焼時間等を詳細に特定する方法(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7等参照。)等が存在する。
【0003】
また、原料となる製紙スラッジの由来(出所)が様々であるのは品質を安定させるための妨げになるとして、製紙スラッジの主原料を脱墨フロスに限定した提案も存在する(例えば、特許文献8等参照。)。
【0004】
さらに、得られる再生粒子の硬質化、低白色度化の問題、スラリー化した際の増粘・固化の問題に着目し、粉砕方法を詳細に特定するとともに二酸化炭素を吹き込む方法(例えば、特許文献9等参照。)、二酸化炭素の吹き込み方を詳細に特定する方法(例えば、特許文献10等参照。)等が提案されている。
【0005】
また、本出願人も得られる再生粒子の硬質化、低白色度化の問題に着目しており、この問題を解決する方法として、製紙スラッジを脱水及び熱処理して再生粒子を製造し、この再生粒子にシリカを複合する方法を提案している(特許文献11参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜7が開示する方法は、製造方法が複雑であるうえに、品質を安定させるのが困難であるとの問題を有する。また、特許文献8が開示する方法は、品質を安定させることができるものの、製造方法が複雑であるとの問題が残る。さらに、特許文献9,10が開示する方法は、スラリー化した際の増粘・固化の問題を改善するという点では優れる方法であるが、製造方法が複雑であるとの問題が残る。この製造方法が複雑であるとの問題は、特許文献11が開示する方法でも解決されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4153411号公報
【特許文献2】特許第3563707号公報
【特許文献3】特開2002−308619号公報
【特許文献4】特開2010−194486号公報
【特許文献5】特許第3831719号公報
【特許文献6】特開平11−310732号公報
【特許文献7】特開2008−207173号公報
【特許文献8】特開2008−127704号公報
【特許文献9】特開2002−356629号公報
【特許文献10】特開2009−292666号公報
【特許文献11】特開2008−81390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする主たる課題は、硬質化、低白色度化の問題、スラリー化した際の増粘・固化の問題が解決されたシリカ複合再生粒子、及びこのようなシリカ複合再生粒子を簡易にかつ安定的に得ることができるシリカ複合再生粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
製紙スラッジを脱水及び熱処理して再生粒子を製造し、この再生粒子にシリカを複合するシリカ複合再生粒子の製造方法であって、
前記製紙スラッジの主原料を、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスとする、
ことを特徴とするシリカ複合再生粒子の製造方法。
【0010】
(主な作用効果)
製紙スラッジを高温で燃焼すると、当該製紙スラッジ中の炭酸カルシウム及びカオリンからセメント状の物質が生成される。結果、得られる再生粒子が硬質化、低白色度化し、また、スラリー化した際に増粘・固化の問題が生じる。しかるに、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロス(新聞脱墨フロス)は、炭酸カルシウムが相対的に多く、カオリンが相対的に少ないとの特性を有するため、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとすれば生成されるセメント状物質の量が減り、上記問題の発生が抑制される。
また、本方法は、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとするのみであり、詳細な燃焼処理の制御等が必要とならないため、上記問題が解決された再生粒子を極めて簡易に得ることができる。しかも、新聞脱墨フロスは、単なる脱墨フロス以上に品質が安定しているため、上記問題が解決された再生粒子を安定的に得ることができる。
さらに、再生粒子にシリカを複合することによって、上記硬質化及び低白色度化の問題がより確実に抑制される。
なお、新聞脱墨フロスは、原料となる新聞の灰分率が比較的低いこと、新聞インキに油脂、カーボンブラックが含まれること等から、自燃する程の発熱量を持つ。したがって、燃焼処理の際に供給する熱量を最小限に抑えることができる。
【0011】
〔請求項2記載の発明〕
前記熱処理は、少なくとも乾燥処理及び燃焼処理に分けて行い、
当該燃焼処理は、炭酸カルシウムの80質量%以上が酸化カルシウムに分解するように行う、
請求項1記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【0012】
〔請求項3記載の発明〕
前記熱処理は、少なくとも乾燥処理及び燃焼処理に分けて行い、
当該燃焼処理は、燃焼温度750〜900℃、酸素濃度3〜18%で行う、
請求項1又は請求項2記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【0013】
(主な作用効果)
炭酸カルシウムが酸化カルシウムに分解されると、カオリンと結合してアノーサイト(硬質物質)が生成されるため、従来は炭酸カルシウムの分解を抑制する傾向にあり(例えば、前述特許4等参照。)、そのために燃焼処理が極めて複雑なものとなっていた。しかるに、本発明は製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとするとため、カオリンの比率が低く、アノーサイトの生成が抑制される。したがって、炭酸カルシウムの分解を抑制する必要はなく、燃焼処理を単純なものとすることができる。
【0014】
〔請求項4記載の発明〕
前記シリカの複合に先立って、前記熱処理後の燃焼物をスラリー化し、このスラリーに二酸化炭素を吹き込む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【0015】
(主な作用効果)
熱処理後の燃焼物をスラリー化し、このスラリーに二酸化炭素を吹き込むと、燃焼物の表面に炭酸カルシウムが複合されるため、白色度が一段と高くなる。
また、この炭酸カルシウムは吸油性の高い軽質炭酸カルシウムであるため、得られる再生粒子の吸油度が向上する。
さらに、この炭酸カルシウムの複合がシリカの複合に先立って行われると、燃焼物の表面が粒子状の炭酸カルシウムによって被覆され、この上に粒子状のシリカが被覆されることになる。結果、得られるシリカ複合再生粒子の表面が極めて多孔質になり、より一段と吸油度が向上し、また、内添した紙の不透明度改善効果を期待することができる。
【0016】
〔請求項5記載の発明〕
製紙スラッジを脱水及び熱処理し、シリカを複合して得たシリカ複合再生粒子であって、
前記製紙スラッジの主成分が、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスであり、
メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムが核の主成分とされ、この核の表面に炭酸カルシウムが複合され、更にシリカが複合されている、
ことを特徴とするシリカ複合再生粒子。
【0017】
(主な作用効果)
製紙スラッジの主成分が、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスであると、前述したように硬質化、低白色度化の問題や、スラリー化した際の増粘・固化の問題が解決される。また、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムが核の主成分とされ、この核の表面に炭酸カルシウム及びシリカが複合されていることは、白色度の低い(粒子)核の表面に白色度の高い炭酸カルシウム及びシリカが複合されていることを意味し、白色度が高くなる。この他、前述した吸油度向上等の作用効果も奏せられる。
【0018】
〔請求項6記載の発明〕
前記複合されたシリカ成分の割合が2〜30質量%である、
請求項5記載のシリカ複合再生粒子。
【0019】
(主な作用効果)
複合されたシリカ成分の割合が2質量%未満であると、シリカ複合による作用効果が十分に奏せられない可能性がある。他方、シリカ成分の割合が30質量%を超えると、多孔質である再生粒子の孔が塞がれ、例えば、内添した紙の不透明度改善効果が低下する可能性や、吸油度が低下する可能性がある。なお、元素分析を行うと新聞脱墨フロス由来のシリカ(ホワイトカーボン)が検出されるが、複合されたシリカ成分には当該新聞脱墨フロス由来のシリカを含まない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、硬質化、低白色度化の問題、スラリー化した際の増粘・固化の問題が解決されたシリカ複合再生粒子、及びこのようなシリカ複合再生粒子を簡易にかつ安定的に得ることができるシリカ複合再生粒子の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】シリカ複合再生粒子の製造方法の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、本形態の製造方法においては、新聞脱墨フロス(粕)を主原料とする製紙スラッジSから、シリカ複合再生粒子Rを製造する。
【0023】
〔製紙スラッジ〕
ここで、「新聞脱墨フロス」とは、新聞脱墨パルプ(NDIP)の製造工程において脱墨処理の際にパルプ繊維から分離されたフロスであり、雑誌脱墨パルプ(MDIP)等の製造工程において脱墨処理の際にパルプ繊維から分離されたフロスは含まない。また、主原料とは、全製紙スラッジ原料に対する含有割合(固形分質量基準)が、好ましくは50%以上であることを、より好ましくは70%以上であることを、特に好ましくは90%以上であることを意味する。
【0024】
近年では、新聞用紙を製造する際の抄紙が中性抄紙化していること等から、新聞脱墨フロスは炭酸カルシウムが相対的に多く、カオリンが相対的に少なくなる傾向にあり、特に炭酸カルシウムの比率が70質量%を超え、カオリンの比率が30質量%未満で推移するようになっている。したがって、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとすれば、酸化カルシウム及びカオリンから生成されるセメント状の物質の量が減り、得られる再生粒子の硬質化、低白色度化の問題や、スラリー化した際に増粘・固化する問題が改善される。
【0025】
また、新聞脱墨パルプの製造においては、安定した品質の新聞脱墨パルプを連続的に得るために、選別を行った一定品質の新聞が原料とされる傾向にあり、新聞脱墨フロスの成分も安定する傾向にある。したがって、新聞脱墨フロスを主原料とすれば、再生粒子の品質を安定させることができる。
【0026】
さらに、新聞脱墨フロスは、原料となる新聞の灰分率が比較的低いこと、新聞インキに油脂、カーボンブラックが含まれること等から、自燃する程の発熱量、通常2000cal/g以上の発熱量を有する。したがって、製紙スラッジSを燃焼するために使用する重油等の燃料を減らすことができる。
【0027】
ところで、セメント状物質生成の原因となるカオリンは、新聞古紙中に混入するチラシ等の塗工紙を主な由来とする。したがって、新聞古紙中に混入する塗工紙を選別・除去することで炭酸カルシウムの高比率化・カオリンの低比率化をより進めることができる。好ましくは、新聞脱墨フロスに含まれる無機粒子中のカオリンの比率が20質量%未満となり、他の無機粒子の比率が80質量%以上となるように、より好ましくはカオリンの比率が20質量%未満となり、炭酸カルシウムの比率が80質量%以上となるように、新聞古紙中から塗工紙を選別・除去するとよい。
【0028】
この点、カオリンと同じ珪酸塩鉱物・粘度鉱物であるタルクは、上記他の無機粒子に含まれ、例えば、炭酸カルシウム:タルク:カオリン=80:5:15である場合もカオリンの比率が20質量%未満である場合に含まれる。タルクは、再生粒子の製造に必要な燃焼温度(後述)では分解せず、セメント状物質の生成に影響がないためである。
【0029】
一方、製紙スラッジSの原料としては、主原料としない範囲で新聞脱墨フロス以外の製紙スラッジも使用することができる。具体的には、例えば、工場排水や製紙原料調成工程等の他の工程で発生する製紙スラッジ等のほか、雑誌脱墨フロス等の脱墨フロスも使用することができる。
【0030】
ただし、雑誌脱墨フロスは原料(古紙)の主体が塗工紙であり、カオリンが多く混入しているため、雑誌脱墨フロスを製紙スラッジSの原料として使用すると、セメント状物質が生成され易くなる。したがって、雑誌脱墨フロスは製紙スラッジSの原料として使用しない方が好ましい。
【0031】
なお、雑誌脱墨フロスを使用する場合は、上記炭酸カルシウムの比率やカオリンの比率に特に留意を要する。具体的には、例えば、炭酸カルシウムを使用する中性抄紙工程等から発生する製紙スラッジを配合して、あるいは炭酸カルシウム貯槽の洗浄水やスクリーン粕等の製紙スラッジを配合して、炭酸カルシウムの比率を相対的に上昇させるとよい。
【0032】
〔脱水工程〕
製紙スラッジSは、脱水工程10において、公知の脱水機等を用いて脱水する。ただし、この脱水は、例えば、スクリーンによって製紙スラッジSの水分率が65〜90%となるまで脱水し、次いで、スクリュープレスによって製紙スラッジSの水分率が30〜60%(好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%)となるまで脱水するというように、多段で行うのが好ましい。製紙スラッジSの脱水を多段で行うことで、急激な脱水が避けられ、無機粒子の流出を抑制することができ、しかも、製紙スラッジSのフロックが硬くなり過ぎるのを防止することができる。
【0033】
ここで製紙スラッジSの「水分率」は、定温乾燥機を用い、当該乾燥機内に試料(製紙スラッジS)を静置し、約105℃で6時間以上保持することで質量変動が認められなくなった時点を乾燥後質量とし、下記式にて乾燥前後の質量測定結果より算出した値である。
水分率(%)=(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量×100
【0034】
〔破砕工程〕
脱水後の製紙スラッジSは、熱処理工程30において熱処理するに先立って、破砕することができる。この破砕は、製紙スラッジSの平均粒子径が2.5〜12.5mmとなるように、好ましくは2.5〜7.0mmとなるように、より好ましくは2.5〜4.0mmとなるように行う。製紙スラッジSの平均粒子径が2.5mmを下回ると、後段の熱処理工程30において過剰な熱処理が行われ易くなる。他方、製紙スラッジSの平均粒子径が12.5mmを上回ると、製紙スラッジSを表面部から芯部まで均一に熱処理するのが困難になる。
【0035】
ここで製紙スラッジSの「平均粒子径」は、目穴の異なる篩で篩い分けを行い、各篩い分けを行った試料(製紙スラッジ)の質量を測定し、この測定値の合計値が全体の50質量%に相当する段階における篩の目穴の大きさであり、JIS Z 8801‐2:2000に基づき、金属製の板ふるいを用いて測定した値である。
【0036】
〔熱処理(乾燥)工程〕
破砕した製紙スラッジSは、熱処理工程30において乾燥、燃焼等の熱処理を行う。この熱処理は、少なくとも乾燥処理と燃焼処理とに分けて行うのが好ましい。そして、このような乾燥処理及び燃焼処理は1つの装置で連続的に行うこともできるが、乾燥工程31と燃焼工程32とに分け、乾燥処理及び燃焼処理を各別の装置で行う方がより好ましい。燃焼処理に先立って乾燥処理を行っておくことで、燃焼処理に必要な燃料を削減することができ、また、炭酸カルシウムを酸化カルシウムに確実に分解することができる。特に乾燥処理及び燃焼処理を各別の装置で行った場合は、以上の効果が確実に奏せられる。
【0037】
製紙スラッジSの乾燥温度は、例えば200〜600℃、好ましくは200〜450℃、より好ましくは200〜300℃とすることができる。また、この乾燥処理は、製紙スラッジSの水分率が、例えば0〜5%となるように、好ましくは0〜3%となるように、より好ましくは0〜1%となるように行うことができる。
【0038】
製紙スラッジSの乾燥装置としては、例えば、ストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉、気流乾燥装置等を使用することができる。ただし、気流乾燥装置等を使用して製紙スラッジSから水分が蒸発した次の瞬間には、例えば1〜3秒後には乾燥後の製紙スラッジSが当該乾燥装置から排出される構成としておけば、意図しない有機物の熱分解、燃焼等の熱処理が生じるおそれがなく好適である。なお、製紙スラッジSの「水分率」は、前述「脱水工程」におけるのと同様である。
【0039】
この乾燥工程31における乾燥は、後段の燃焼工程32において発生する排ガスGを利用して行うことができる。
【0040】
〔熱処理(燃焼)工程〕
乾燥後の製紙スラッジSは、燃焼工程32に送り、燃焼処理する。この燃焼処理は、複数の装置(炉)を使用し、複数の工程に分けて行うこともできるが、制御の簡易化という観点から1つの工程・装置で行うのが好ましい。
【0041】
この燃焼工程32における燃焼処理は、炭酸カルシウムの80質量%以上(好ましくは90質量%以上、より好ましくは100%)が酸化カルシウムに分解するように行うと好適である。本形態においては、製紙スラッジSの主原料として新聞脱墨フロスを使用するため、カオリンの含有量が少なく、セメント状物質の生成が抑制される。したがって、炭酸カルシウムの分解を抑制する必要はなく、逆に、炭酸カルシウムの分解を可及的に進めるものである。炭酸カルシウムから酸化カルシウムへの分解を進めておけば、後段の二酸化炭素吹込み工程(炭酸カルシウム複合工程)50において、粒子核表面に炭酸カルシウムを確実に複合することができるようになり、また、得られるシリカ複合再生粒子の小径化を進めることができる。
【0042】
ここで、炭酸カルシウムの分解率は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製(型式 TG/DTA6200)を用い、測定条件を(1)昇温速度25〜1050℃:20℃/min、(2)供給ガス 空気(酸素濃度約5vol%)、(3)供給ガス流量 約48ml/minとして求めた値である。
【0043】
製紙スラッジSの燃焼温度は、炭酸カルシウムを確実に分解するために、750〜900℃とするのが好ましく、800〜900℃とするのがより好ましく、800〜850℃とするのが特に好ましい。この点、示差熱分析法によって確認すると、炭酸カルシウムの分解は約550℃から始まり、約750℃で完了する。したがって、燃焼温度が750℃未満であると、炭酸カルシウムの分解が不十分となり、二酸化炭素吹込み工程(炭酸カルシウム複合工程)50での炭酸カルシウムの析出(複合)が不十分になる可能性がある。他方、燃焼温度が900℃を超えるように燃焼するのは燃料が過剰に必要となるため、不経済である。
【0044】
燃焼処理の際の酸素濃度は、3〜18%とするのが好ましく、4〜15%とするのがより好ましく、5〜12%とするのが特に好ましい。燃焼工程32において発生した排ガスGは二酸化炭素を含むため、後段の二酸化炭素吹込み工程(炭酸カルシウム複合工程)50で使用する二酸化炭素含有ガスとして使用することができる。しかるに、燃焼処理の際の酸素濃度が3%未満であると、不完全燃焼となり一酸化炭素濃度が増加するため、二酸化炭素吹込み工程(炭酸カルシウム複合工程)50で使用する二酸化炭素含有ガスとして使用することができなくなる可能性がある。他方、酸素濃度が18%を超えると、排ガスGの二酸化炭素濃度が低くなり過ぎ、二酸化炭素吹込み工程(炭酸カルシウム複合工程)50で使用するには不適当なものとなる可能性がある。
【0045】
製紙スラッジSの燃焼装置としては、例えば、ストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉等を使用することができる。ただし、横型回転式キルン炉を使用するのが好ましく、また、外熱式のキルン炉よりも内熱式のキルン炉を使用する方が好ましい。本形態においては、詳細に燃焼処理を制御する必要がなく、また、炭酸カルシウムの分解を抑制する必要がないため、熱効率を重視して、内熱式のキルン炉を選択するものである。なお、内熱式のキルン炉を使用する場合、製紙スラッジSの燃焼時間は、例えば、30〜120分とすることができる。
【0046】
〔スラリー化工程〕
燃焼した製紙スラッジS(以下「燃焼物S」という。)は、スラリー化工程40に送り、水に溶解させてスラリー化する。
【0047】
この点、従来の製造方法においては、スラリー化するに先立って燃焼物Sを粉砕する必要があったが、本形態の製造方法においては、この粉砕を省略することもできる。本形態においては、燃焼物S中の酸化カルシウムが後段の炭酸カルシウム複合工程50において炭酸カルシウム(結晶)の析出に利用されるため、粉砕しなくとも粒子径が小さなものとなる。この粉砕を省略すれば、粉砕エネルギーを削減することができ、また、粉砕ビーズの摩耗等を原因とする装置の維持コスト等を削減することができる。
【0048】
ただし、燃焼物Sのスラリー化(溶解)を均一に行うとの観点や、迅速に行うとの観点からは、燃焼物Sの粉砕を行うこともできる。この粉砕を行うとしても、この粉砕は従来行っていた細粉砕ではなく粗粉砕で足りるため、粉砕エネルギーを削減することができ、また、粉砕装置の耐久性は向上する。
【0049】
燃焼物Sの粗粉砕は、平均粒子径が1〜100μm以下となるように、好ましくは2〜50μmとなるように、より好ましくは3〜30μmとなるように行うことができる。なお、従来の細粉砕は、平均粒子径が10μm以下となるまで行うのが一般的であった。
【0050】
ここで、燃焼物Sの「平均粒子径」は、試料(燃焼物)のスラリーについて、レーザー回折方式の粒度分布径(型番:SA−LD−2200、島津製作所製)を用いて測定した体積平均粒子径(D50)である。
【0051】
燃焼物Sの粉砕装置としては、例えば、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、アトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機等を用いることができる。
【0052】
必要に応じて粉砕を行った燃焼物Sは、水に溶解させてスラリー化する。このスラリー化により、燃焼物S中の酸化カルシウムが水に懸濁され、水酸化カルシウム水溶液となる。なお、このスラリー化を行う前の燃焼物Sは、好適には凝集体である。
【0053】
燃焼物Sのスラリー化は、燃焼物Sの濃度が2〜25%となるように、好ましくは3〜20%となるように、より好ましくは5〜15%となるように行うことができる。濃度が25%を超えるとスラリーの粘度が高くなり過ぎるため、後段の炭酸化反応が効率良く起こらなくなる可能性がある。他方、濃度が2%を下回ると、炭酸化効率の低下や、炭酸化後の脱水効率の低下等を招き、操業効率が低下する可能性がある。
【0054】
〔炭酸カルシウム複合工程〕
燃焼物Sのスラリーは、炭酸カルシウム複合工程50において、二酸化炭素を吹き込み、炭酸カルシウムを析出する(炭酸化処理)。なお、燃焼物Sをスラリー化する際に利用する貯槽と、このスラリーに二酸化炭素を吹き込む際に利用する貯槽とは、同一であっても、異なるものであってもよいが、通常、同一である。
【0055】
燃焼物Sのスラリーに二酸化炭素を吹き込むにあたっては、燃焼工程32から排出された排ガスG等の二酸化炭素含有ガスを利用することができる。この二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度は、5〜30%であるのが好ましく、10〜30%であるのがより好ましく、20〜30%であるのが特に好ましい。二酸化炭素の濃度が5%を下回ると、炭酸カルシウムが十分に析出されない可能性がある。他方、二酸化炭素の濃度が30%を上回ると、柱状や針状の結晶構造を持つ炭酸カルシウムの析出により過大な粒子の生成を招く可能性がある。なお、二酸化炭素含有ガスとして燃焼工程32から排出された排ガスGを利用する場合は、前述したように燃焼工程32における燃焼処理を、好ましくは酸素濃度3〜18%の条件下で行い、適宜冷却や除塵等の処理を行う。
【0056】
二酸化炭素の吹込みにより析出された炭酸カルシウムは、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムが主成分である粒子核の表面を被覆する。以下、このメカニズムについて説明する。
炭酸カルシウム及びカオリンの存在下で高温燃焼すると、炭酸カルシウムが酸化カルシウムに分解されるとともに、カオリンが当該酸化カルシウムや珪酸と反応し、種々の水和硬質物質(セメント状の物質)が生成される。しかるに、新聞脱墨フロスを利用して炭酸カルシウムの比率を相対的に高め、カオリンの比率を相対的に下げると、水和硬質物質の由来とならない(カオリンと反応しない)酸化カルシウムの割合が増え、この酸化カルシウム(CaO)が燃焼物Sのスラリー化によって水酸化カルシウム(CaOH)となる。したがって、燃焼物Sのスラリーは、下記式(1)の通り、強アルカリ性を示すOH-を含むことになる。
CaO+H2O → Ca2++2OH-+CO2 …(1)
そして、この燃焼物Sのスラリーに二酸化炭素(CO2)を吹き込むと、下記式(2)の通り、炭酸カルシウム(CaCO3)が析出されるとともに、pHの低下が生じる。
Ca2++2OH-+CO2 → CaCO3+H2O …(2)
このようにして析出された炭酸カルシウムは、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムが主成分である粒子核の表面に複合される。この炭酸カルシウムが複合された再生粒子は、形状こそ不定形であるが、粒子核の表面に炭酸カルシウムが複合されているため、炭酸カルシウムやカオリン等が単に凝集した従来の再生粒子とは異なり、白色度が高くなる。また、湿式粉砕によるナイフエッジがないため、ワイヤー磨耗性に優れるとの利点もある。さらに、当該表面に複合された炭酸カルシウムは吸油性の高い軽質炭酸カルシウムであるため、吸油性も向上する。なお、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムは水に不溶であるため、燃焼物Sを水に溶解させた際に水中には溶出せず、粒子核を構成する。
【0057】
〔シリカ複合工程〕
炭酸カルシウムを複合した再生粒子は、シリカ複合工程60においてシリカを複合し、シリカ複合再生粒子Rを得る。このシリカの複合によって前述した硬質化及び低白色度化の問題がより確実に抑制される。特に、本形態においては、このシリカの複合に先立って炭酸カルシウムの複合が行われているため、粒子核の表面が粒子状の炭酸カルシウムによって被覆され、この上に粒子状のシリカが被覆された状態になる。したがって、得られるシリカ複合再生粒子は、表面が極めて多孔質になり、内添した紙の吸油度や不透明度を著しく向上させることができる。もちろん、このシリカ複合再生粒子は白色度が極めて高いため、内添した紙の白色度も十分に向上させることができる。
【0058】
再生粒子にシリカを複合する方法は特に限定されず、例えば、再生粒子を珪酸アルカリ水溶液に分散させて再生粒子スラリーとし、この再生粒子スラリーに鉱酸を添加し、適宜攪拌する方法を採用することができる。
【0059】
珪酸アルカリ水溶液としては、入手が容易であるという点で珪酸ナトリウム水溶液(特に3号水ガラス)を使用するのが好ましい。また、珪酸アルカリ水溶液の珪酸(SiO2)濃度は、3〜10質量%が好適である。珪酸濃度が10質量%を超えるとシリカ(ゾル)ではなくホワイトカーボンが生成され、再生粒子の一部がホワイトカーボンによって被覆されてしまうおそれがある。再生粒子がホワイトカーボンによって被覆されると、再生粒子が多孔質である利点が失われ、例えば、内添した紙の不透明度改善効果に劣る可能性がある。他方、珪酸濃度が3質量%未満であるとシリカ(ゾル)が十分に生成されず、再生粒子の表面にシリカが十分に複合されない可能性がある。
【0060】
一方、鉱酸としては、例えば、希硫酸、希塩酸、希硝酸等の鉱酸の希釈液等を使用することができるが、価格、ハンドリングの点で希硫酸を使用するのが好ましい。この希硫酸の濃度は、0.2〜4.0mol/Lとするのが好ましい。本形態の再生粒子はカルシウムやアルミニウムを構成元素としているため、高濃度であると再生粒子が変質するおそれがある。また、鉱酸を急激に添加すると短時間でシリカが析出してしまい均一に反応しない(均一に複合されない)可能性があるため、5分以内での添加は避けるのが好ましい。
【0061】
再生粒子にシリカを複合する際の反応温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは60〜80℃である。この反応温度は、シリカ(ゾル)の生成(成長)速度や得られるシリカ複合再生粒子の力学的強度等に影響を与える。反応温度が60℃未満であるとシリカの生成速度が遅く、シリカの複合が不十分になる可能性や、複合したシリカの剥落が生じ易くなる可能性がある。他方、反応温度が100℃を超えると、オートクレーブ等を使用しなければならなくなるため、設備が複雑になる。また、反応温度が100℃を超えると、熱エネルギーの無駄になるほか、スラリーの沸騰によって液面が変動するため、スケール付着の問題が生じるおそれがある。この他、水分の蒸発によりスラリーの濃度が上昇するため、増粘してしまい、増粘による攪拌不良等が生じるおそれがある。
【0062】
再生粒子を珪酸アルカリ水溶液中に分散した際のスラリーの濃度は、3〜35質量%とするのが好ましい。スラリーの濃度を調節することによって得られるシリカ複合再生粒子の粒径及び後述するシリカ複合率を制御することができる。また、この際のスラリーのpHは、好ましくは中性〜弱アルカリ性、より好ましくはpH8〜11である。
【0063】
〔シリカ複合再生粒子〕
以上のようにして製造されたシリカ複合再生粒子Rの物性は、好ましくは、体積平均粒子径が2.0〜15.0μm、プラスチックワイヤー摩耗度計(日本フィルコン製、3時間、スラリー濃度2質量%)を用いて測定したワイヤー摩耗度が15〜100mg、JIS K 5101‐13‐2に記載の練り合わせ法によって算出した吸油量が50〜180ml/100gである。
【0064】
この吸油量は、105〜110℃で2時間乾燥したシリカ複合再生粒子(試料)2〜5gを、ガラス板に取り、精製アマニ油(酸化4以下)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下し、その都度ヘラで練り合わせる操作を繰り返し、全体が最初に1本の棒状にまとまった時点(終点)における精製アマニ油の滴下量(ml)を求め、下記の式によって算出した値である。
吸油量(ml/100)=(アマニ油量(ml)×100)/試料(g)
【0065】
シリカ複合再生粒子Rのシリカ成分の割合(シリカ複合率)は、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。シリカ成分の割合が2質量%未満であると、シリカ複合による作用効果が十分に奏せられないおそれがある。他方、シリカ成分の割合が30質量%を超えると、多孔質である再生粒子の孔が塞がれ、再生粒子を用いた趣旨が減殺される可能性がある。
【0066】
なお、シリカ複合再生粒子Rの成分構成は、例えば、酸化物換算でカルシウム:ケイ素:アルミニウム=30〜80:10〜50:7〜20の質量割合となる。この成分構成は、堀場製作所製のX線マイクロアナライザーを用い、加速電圧(15KV)にて元素分析を行い、構成成分を酸化物換算した値である。
【0067】
〔その他〕
以上の工程を経て得られたシリカ複合再生粒子Rは、例えば、ろ過、水洗い、脱水等をしてウェットケーキとし、適宜乾燥等して、製紙用の填料や顔料とすることができる。もっとも、シリカ複合再生粒子Rの用途は製紙用に限定されず、例えば、ゴム、プラスチック、塗料、インキのフィラー等の製紙用以外の用途においても用いることができる。シリカ複合再生粒子Rをフィラーとして用いた場合は、当該フィラーに高い白色度と隠蔽性を付与することができる。
【0068】
また、本形態のシリカ複合再生粒子Rは、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、サチンホワイト、プラスチックピグメント等の通常の填料や顔料と混合して用いることができる。この場合、前記填料・顔料中におけるシリカ複合再生粒子Rの割合は、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%である。
【実施例】
【0069】
次に、本発明の実施例を説明する。
内熱式の横型回転式キルン炉を用い、表1及び表2中に示すように、製造条件を変化させて再生粒子を製造し、各種の試験を行った。なお、詳細は次の通りである。
【0070】
(炭酸カルシウムの含有割合)
製紙スラッジを525℃で燃焼して燃焼物を得、元素分析装置(X線マイクロアナライザー)を用いて当該燃焼物に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求めた。この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び珪酸の分子量とに基づいて比例計算を行い、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムの含有割合を算出した。
【0071】
(水分率)
定温乾燥機内に試料を静置し、約105℃で6時間以上保持することで質量変動を認めなくなった時点を乾燥後質量とし、下記式により算出した値である。
水分率(%)=(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量×100
【0072】
(温度)
炉本体内の温度を、熱電対を用いて測定した値である。
【0073】
(酸素濃度)
炉本体内の酸素濃度を、自動酸素濃度測定装置(型番:ENDA‐5250、堀場製作所製)を用いて測定した値である。
【0074】
(炭酸カルシウムの分解率)
525℃で燃焼した燃焼物のTG−DTA質量減少率(600〜800℃)と、表中に記載の方法で燃焼した燃焼物のTG−DTA質量減少率(600〜800℃)との差から分解率を求めた。
【0075】
(分散性)
雰囲気温度20℃、ローター回転数60rpmの条件下において、B型粘度計(東機産業(株)製、TVM−10M)を用いて測定した値である。なお、粘度(mPa・s)が低いほど分散性が良好であると判断される。
【0076】
(終了時pH・保存時pH)
終了時pHとは二酸化炭素吹き込み工程において、二酸化炭素の吹込みを終えた炭酸化反応終了時点のpHを、保存時pHとは、炭酸化反応を終えた後、pH9.0以上で1時間あたりのpH変動数値が0.5以下となった時点のpHを、それぞれ意味する。
【0077】
(平均粒子径)
レーザー回折方式の粒度分布径(型番:マイクロトラックMT−3000II、日機装製)を用いて測定した体積平均粒子径(D50)である。
【0078】
(白色度)
色差計(SP−80、東京電色製)を用い、粉体試料を乳鉢で磨り潰し、ガラスセルに詰めて測定した値である。
【0079】
(吸油度)
【0080】
JIS K 5101の練り合わせ法に準拠して測定した値である。すなわち、105℃〜110℃で2時間乾燥した試料2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸化4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下し、その都度ヘラで練り合わせた。この滴下及び練り合わせを繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点とし、この時点における精製アマニ油の滴下量を求め、次の式によって算出した。
吸油量=[アマニ油量(ml)×100]/試料(g)
【0081】
((ワイヤー)摩耗度)
プラスチックワイヤー摩耗度計(日本フィルコン製)を用い、スラリー濃度2%の条件下で3時間後に測定した値である。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、製紙スラッジを原料としたシリカ複合再生粒子の製造方法及びシリカ複合再生粒子として適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10…脱水工程、30…熱処理工程、31…乾燥工程、32…燃焼工程、40…スラリー化工程、50…炭酸カルシウム複合工程、60…シリカ複合工程、S…製紙スラッジ、R…再生粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙スラッジを脱水及び熱処理して再生粒子を製造し、この再生粒子にシリカを複合するシリカ複合再生粒子の製造方法であって、
前記製紙スラッジの主原料を、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスとする、
ことを特徴とするシリカ複合再生粒子の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理は、少なくとも乾燥処理及び燃焼処理に分けて行い、
当該燃焼処理は、炭酸カルシウムの80質量%以上が酸化カルシウムに分解するように行う、
請求項1記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理は、少なくとも乾燥処理及び燃焼処理に分けて行い、
当該燃焼処理は、燃焼温度750〜900℃、酸素濃度3〜18%で行う、
請求項1又は請求項2記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【請求項4】
前記シリカの複合に先立って、前記熱処理後の燃焼物をスラリー化し、このスラリーに二酸化炭素を吹き込む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ複合再生粒子の製造方法。
【請求項5】
製紙スラッジを脱水及び熱処理し、シリカを複合して得たシリカ複合再生粒子であって、
前記製紙スラッジの主成分が、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロスであり、
メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムが核の主成分とされ、この核の表面に炭酸カルシウムが複合され、更にシリカが複合されている、
ことを特徴とするシリカ複合再生粒子。
【請求項6】
前記複合されたシリカ成分の割合が2〜30質量%である、
請求項5記載のシリカ複合再生粒子。

【図1】
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【公開番号】特開2012−201565(P2012−201565A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68956(P2011−68956)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】