説明

シリンダ装置

【課題】気密性を維持することができるシリンダ装置の提供。
【解決手段】ピストン13とロッドガイド15との間に、ピストンロッド14と摺動する環状のシール部材81と、シール部材81とピストン13との間にてシリンダ12内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材82と、摺動部材82とシール部材81との間に画成され潤滑剤Lが封入される潤滑剤保持室83と、を設け、摺動部材82(またはシール部材81)に、組み立て時に潤滑剤保持室83内に残留する残留エアG’を排出する排出機構102を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ装置において、内部に加圧ガスを封入するものにあっては、ピストンロッドと、該ピストンロッドと摺動するシール部材との潤滑に工夫が必要である。例えば潤滑油を含浸部材に含浸させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−372087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシリンダ装置では気密性を維持できない可能性がある。
【0005】
したがって、本発明は、気密性を維持することができるシリンダ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ピストンとロッドガイドとの間に、ピストンロッドと摺動する環状のシール部材と、該シール部材と前記ピストンとの間にてシリンダ内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材と前記シール部材との間に画成され潤滑剤が封入される潤滑剤保持室と、を設け、前記シール部材または前記摺動部材に、組み立て時に前記潤滑剤保持室内に残留する残留ガスを排出する排出機構を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、気密性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態であるガススプリングを示す断面図である。
【図2】第1実施形態のガススプリングの組み立て工程の前段を順に示す断面図である。
【図3】第1実施形態のガススプリングの組み立て工程の後段を順に示す断面図である。
【図4】第1実施形態のガススプリングの組み立て途中の状態を示す要部の断面図である。
【図5】第1実施形態のガススプリングの変形例の組み立て途中の状態を示す要部の断面図である。
【図6】本発明に係るシリンダ装置の第2実施形態であるガススプリングを示す断面図である。
【図7】第2実施形態のガススプリングの組み立て工程の初期段階を示す断面図である。
【図8】図7の後の組み立て工程を順に示す拡大断面図である。
【図9】本発明に係るシリンダ装置の第3実施形態であるガススプリングを示す断面図である。
【図10】第3実施形態のガススプリングの組み立て工程の初期段階を示す断面図である。
【図11】図10の後の組み立て工程を順に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「第1実施形態」
本発明に係るシリンダ装置の第1実施形態であるガススプリングを図1〜図5を参照して以下に説明する。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態のガススプリングは、一端が開口する略有蓋円筒状をなすとともに作動気体としての圧縮したエアGが封入されるシリンダ12と、シリンダ12内に摺動可能に嵌挿されるピストン13と、ピストン13に連結されてシリンダ12の一端開口側から外部に突出するピストンロッド14と、シリンダ12内の一端開口側に設けられてピストンロッド14を案内するロッドガイド15と、シリンダ12の他端の外側に固定される取付ブラケット16とを有している。なお、作動気体は、窒素ガス、ヘリウムガス等の他のガスであってもよい。
【0011】
シリンダ12は、金属製であり、筒状の胴部21の軸方向の一端を閉塞せずに開口部22とし、胴部21の軸方向の他端を蓋部23で閉塞したものである。胴部21は、一定径の円筒部25を主体として構成されており、開口部22側の端部に円筒部25よりも小径の円環状をなす開口側係止部26が、軸方向の中間部に円筒部25よりも小径の円環状をなす環状凸部(移動規制手段)27が、それぞれ形成されている。これにより、円筒部25は、開口側係止部26と環状凸部27との間の開口側円筒部28と、環状凸部27と蓋部23との間の蓋側円筒部29とに分けられている。なお、シリンダは金属製でなく、樹脂製としてもよい。
【0012】
蓋部23は、胴部21とは反対側に凸状をなす略球面状をなしており、その中央には胴部21の軸方向に沿って挿入穴30が貫通形成されている。なお、シリンダ12は、胴部21と蓋部23とをそれぞれ別部材で形成しこれらを接合して一体化されることになるが、胴部21と蓋部23とを一つの素材から一体成形しても良い。
【0013】
取付ブラケット16は、金属製であり、平板状の接合板部35と、接合板部35の一縁部から垂直に延出する平板状の取付板部36と、接合板部35の中央から取付板部36と平行をなして取付板部36とは反対側に突出する突起部37とを有している。なお、取付ブラケット16は金属製でなく、樹脂製としてもよい。接合板部35と取付板部36とは一枚の板部材から折り曲げられて形成されており、取付板部36には接合板部35と平行に取付穴38が形成されている。このような取付ブラケット16が、突起部37を挿入穴30に挿入しつつ接合板部35でシリンダ12の蓋部23の外側に溶接等で接合されることになり、この接合によって蓋部23の挿入穴30を閉塞する。
【0014】
ピストン13は、円環状の金属製のピストン本体41と、ピストン本体41の外周側に保持されるゴム製のシールリング42とからなっている。なお、ピストン13は金属製でなく、樹脂製としてもよい。ピストン本体41には、その中央に、軸方向に沿って一定径の貫通孔43が形成されており、貫通孔43の軸方向両側には貫通孔43よりも大径の浅い凹穴44,45が形成されている。また、ピストン本体41には、外周部の軸方向中央に、径方向内方に一定深さで凹むシール保持溝46が全周にわたって形成されており、径方向における凹穴44,45とシール保持溝46との間には、軸方向に沿う通路穴47が貫通孔43の中心から等距離の位置に周方向に等間隔で複数形成されている。
【0015】
シールリング42は断面円形状のOリングであり、シール保持溝46内に嵌合されることによってピストン本体41に保持される。ピストン本体41のシール保持溝46を除く部分の外径は、一定径となっており、円筒部25内に摺動可能となるように円筒部25の内径よりも若干小径に形成され、かつ環状凸部27を軸方向に通過不可となるように環状凸部27の内径よりも大径となっている。そして、ピストン13は、環状凸部27で開口側円筒部28側への移動が規制された状態で蓋側円筒部29の内側に摺動可能に嵌合されることになる。その際に、ピストン13は、シールリング42が、ピストン本体41のシール保持溝46に密着するとともにシリンダ12の蓋側円筒部29の内周面に摺接して、ピストン本体41と蓋側円筒部29との隙間をシールする。
【0016】
ピストン13は、シリンダ12内を蓋部23とピストン13との間の気室50と、ピストン13の蓋部23とは反対側の気室51とに画成することになり、これら気室50,51に作動気体としての乾燥エアGが封入されることになる。気室50,51同士は、絞りを構成するピストン13の通路穴47を介して連通可能となっている。
【0017】
ピストンロッド14は、金属製であり、シリンダ12内側の端部に面取りが形成される以外は一定径とされた主軸部55を主体として構成されている。ピストンロッド14は、シリンダ12内側の端部に、主軸部55側から順に、主軸部55の最小径部分よりも小径の一定径で主軸部55とは反対側の端部が面取りされた部材嵌合軸部57、部材嵌合軸部57の最小径部分よりも小径の一定径のピストン嵌合軸部58、ピストン嵌合軸部58よりも大径の加締部59が形成されている。ピストンロッド14は、ピストン嵌合軸部58においてピストン13の貫通孔43に嵌合する。
【0018】
ピストンロッド14の部材嵌合軸部57には、当接ワシャ(規制手段)63が嵌合されている。この当接ワシャ63は、一枚の一定板厚の板材からプレス成形により形成されるもので、中央に挿通孔64が形成された円環状の係合円板部65と、係合円板部65の外周縁部から軸方向一側に外側ほど大径となるようにテーパ筒状に延出する中間筒状部66と、中間筒状部66の係合円板部65とは反対端から係合円板部65と平行をなして径方向外方に延出する円環状の当接フランジ部67とを有している。
【0019】
この当接ワシャ63は、当接フランジ部67を挿入方向手前側に配置した姿勢で、挿入方向奥側となる係合円板部65の挿通孔64に、ピストンロッド14の加締め前のピストン嵌合軸部58および部材嵌合軸部57がこの順に挿入されることになり、このようにして挿通孔64に部材嵌合軸部57を嵌合させる。そして、この状態でピストン嵌合軸部58にピストン13が取り付けられて加締部59が形成されると、当接ワシャ63は、ピストン13と主軸部55の部材嵌合軸部57側の端面とで係合円板部65が挟持されてピストン13およびピストンロッド14に一体化されることになる。なお、当接フランジ部67は、環状凸部27を軸方向に通過可能となるように、その外径が環状凸部27の内径よりも小径となっている。
【0020】
上記のようなピストンロッド14の主軸部55とピストン13とによる係合円板部65の挟持を可能とするため、当接ワシャ63の挿通孔64は、ピストンロッド14の主軸部55の部材嵌合軸部57側の端面よりも小径となっている。また、ピストン13の凹穴45の内径は、部材嵌合軸部57よりも大径かつ係合円板部65の外径よりも小径となっている。また、部材嵌合軸部57の軸方向長さは、凹穴45の深さと係合円板部65の板厚とを合わせた長さと同等以下に形成されている。加えて、ピストンロッド14の加締部59は、加締め前は嵌合軸部58と同径となっており、ピストン13から突出した状態で加締められることで貫通孔43よりも大径となり、ピストン13を抜け止めする。なお、当接ワシャ63で閉塞されることがないように、ピストン本体41の通路穴47は係合円板部65の外周縁部よりも径方向外側に形成されている。
【0021】
ロッドガイド15は、シリンダ12の開口部22側に嵌合する円環状の金属製のロッドガイド本体71と、ロッドガイド本体71の内周側に嵌合されて保持される円筒状の合成樹脂製の摺動ブシュ72とからなっている。ロッドガイド本体71は、その外周側が、軸方向の一端部から中間部にかけて形成されてシリンダ12の円筒部25に嵌合する一定径の大径部73と、軸方向の他端部に大径部73から離れるほど小径となるように形成されたテーパ部74とを有している。テーパ部74はその最大外径が大径部73よりも小径となっている。大径部73は、シリンダ12の円筒部25に圧入により嵌合されることになり、円筒部25よりも圧入代の分だけ大径かつ開口側係止部26よりも大径となっている。
【0022】
また、ロッドガイド本体71は、その内周側が、軸方向の大径部73側の一端部から中間部にかけて形成された一定径の大径穴部76と、軸方向の他端部に形成された、大径穴部76よりも小径の一定径の小径穴部77とを有しており、大径穴部76に摺動ブシュ72が嵌合されることになる。ロッドガイド本体71に嵌合状態の摺動ブシュ72の内径は、ロッドガイド本体71の小径穴部77の内径と同等であり、ピストンロッド14の主軸部55を摺動可能とするように主軸部55の外径よりも若干大径となっている。摺動ブシュ72は、フッ素樹脂等の潤滑性の合成樹脂からなっている。
【0023】
なお、ロッドガイド15は、テーパ部74をシリンダ12の開口部22側に向けた姿勢でシリンダ12内に配置されることになり、その際に、テーパ部74が開口側係止部26と軸方向に重なり、大径部73が開口側円筒部28と軸方向に重なる。
【0024】
ピストン13とロッドガイド15との間には、ロッドガイド15側に、ピストンロッド14の主軸部55と摺動する円環状のシール部材81が、ピストン13側に、シール部材81とピストン13との間にてシリンダ12内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材82が、それぞれ設けられている。そして、シリンダ12内のこれらシール部材81と摺動部材82との間には、潤滑油等の液状の潤滑剤Lが封入される潤滑剤保持室83が画成されている。
【0025】
シール部材81は、金属等の硬質の材料からなる芯部86と、芯部86を覆うゴム等の軟質のシール性材料からなるシール部87とからなっている。芯部86は、一定内径および一定外径の円形平板状の基板部88と、基板部88の外周縁部から軸方向一側に一定高さ延出する円筒状の壁部89とを有している。シール部87は、芯部86の全体を覆っており、基板部88が平行に埋設される円形平板状の基部92と、基部92の外周縁部の外側に軸方向一側に突出するように形成された外側筒状部93と、基部92の内周縁部の内側に軸方向に外側筒状部93と同側に突出するように形成された内側筒状部94とを有している。芯部86の壁部89は外側筒状部93内に外側筒状部93と中心を一致させて埋設されている。外側筒状部93の突出先端側の外周部は円環状に切り欠かれており、外側筒状部93の軸方向長さは内側筒状部94の軸方向長さよりも長くなっている。なお、芯部86はシール部87の金型による樹脂成形時に予め金型内に配置されることでシール部87に一体化されることになる。
【0026】
このシール部材81は、自然状態にあるとき、内側筒状部94の内径がピストンロッド14の主軸部55よりも小径であり、外側筒状部93の外径がシリンダ12の開口側円筒部28の内径よりも大径となっている。そして、シール部材81は、シール部87の基部92をロッドガイド15に当接させてシリンダ12の開口側円筒部28内に外側筒状部93の外周面にて嵌合されることになり、内側筒状部94の内周側にピストンロッド14の主軸部55が摺動可能に挿通される。これにより、シール部材81は、シリンダ12との隙間を閉塞しつつ、ピストンロッド14との隙間を閉塞する。なお、シール部材81は、ピストンロッド14が摺動しても、シリンダ12に対し移動することがないようにシリンダ12に対する嵌合条件が設定されている。
【0027】
摺動部材82は、金属等の硬質の材料からなる高強度部(非摺動部)98と、高強度部98を部分的に覆うゴム等の軟質のシール性材料からなる摺動部99とからなっている。高強度部98は、一定内径および一定外径の円形平板状をなしている。摺動部99は、略円筒状の主部100と、主部100の軸方向一側の内周部から径方向内方に延出する連結部101と、連結部101の内周縁部から軸方向に主部100と同側に延出する筒状のリップ部(排出機構)102とを有している。なお、高強度部98は摺動部99の金型による樹脂成形時に金型内に予め配置されることで摺動部99に一体化されることになる。
【0028】
摺動部99の主部100は、その軸方向の連結部101とは反対側の端部に高強度部98が埋設されている。高強度部98は軸方向の連結部101とは反対側が摺動部99に覆われておらず露出している。主部100は、高強度部98を含む連結部101とは反対側の面が軸直交方向に沿う平面となっている。これに対し、摺動部99のこの面とは反対側の、主部100、連結部101およびリップ部102の連続面が、内側ほど軸方向に高強度部98側に位置するように傾斜するテーパ面となっている。また、主部100は外径が一定径となっており、内径も一定径となっている。リップ部102は、自然状態にあるとき、軸方向に連結部101から離れるほど小径となるテーパ筒状をなしている。摺動部材82は、自然状態にあるとき、リップ部102の最小内径がピストンロッド14の主軸部55よりも小径であり、主部100の外径がシリンダ12の開口側円筒部28の内径よりも大径となっている。
【0029】
高強度部98は、外径が主部100の外径よりも小径であり、内径が主部100の内径よりも大径となっていて、摺動部99と中心を一致させるようにして主部100に埋設されている。これにより、高強度部98は主部100の径方向の中間範囲のみにある。なお、高強度部98の外径は当接ワシャ63の当接フランジ部67の外径と同等に形成されている。
【0030】
摺動部材82は、連結部101をシール部材81に対向させる姿勢で、シリンダ12の開口側円筒部28に主部100の外周面にて嵌合されることになり、摺動部99のリップ部102の内周側にピストンロッド14の主軸部55が摺動可能に挿通される。これにより、摺動部材82は、シリンダ12との隙間を閉塞し、ピストンロッド14との隙間を閉塞する。なお、摺動部材82は、ピストンロッド14が摺動しても、シリンダ12に対し移動することがないように、シリンダ12に対する嵌合条件が設定されている。また、摺動部材82は、潤滑剤保持室83内の潤滑材Lの液量変化に対して追従する場合および後述する組み立て時にはシリンダ12に対し移動できるようにシリンダ12に対する嵌合条件が設定されている。つまり、この摺動部材82は、軟質の材料で形成される摺動部99が、シリンダ12の内周およびピストンロッド14に対して摺接しつつ相対移動可能となっている。他方、摺動部99よりも硬質の材料で形成される高強度部98は、シリンダ12の内周およびピストンロッド14のいずれに対しても摺接しない非摺動部となっている。
【0031】
ここで、ガススプリングの組み立て工程の途中、シリンダ12に環状凸部27が形成されていない状態では、ピストンロッド14に設けられた当接ワシャ63が、摺動部材82に当接可能となっており、当接状態では摺動部材82の当接ワシャ63を越えようとする軸方向の相対移動を規制する。このように当接ワシャ63と摺動部材82とが当接するときには、当接ワシャ63の当接フランジ部67が摺動部材82の高強度部98に当接する。なお、シリンダ12に形成される環状凸部27は、ガススプリングの組み立て後にピストン13の移動を規制することで当接ワシャ63と摺動部材82とが当接することを妨げる位置に形成されている(後述)。
【0032】
摺動部材82の内周に設けられたリップ部102は、先端がピストン13側に向けて延びることになり、シリンダ12内のピストン13と摺動部材82との間の気室51の圧力よりも潤滑剤保持室83内の圧力が高い場合に、径方向の主部100側に変形しピストンロッド14との間に隙間を形成して潤滑剤保持室83とシリンダ12内の気室51と連通させる。これにより、後述する組み立て時に、リップ部102が変形し潤滑剤保持室83とシリンダ12内の気室51と連通させることで、シール部材81と摺動部材82との間の潤滑剤保持室83内に残留する残留エアを気室51に排出することが可能となっている。なお、リップ部102は、逆止弁として機能することになり、気室51から潤滑剤保持室83へのエアG等の移動を規制する。
【0033】
次に、上記したガススプリングを組み立てる組み立て工程について説明する。
【0034】
まず、図2(a)に示すように、図1に示す開口側係止部26および環状凸部27が形成される前の状態のシリンダ12を準備する。そして、このシリンダ12を蓋部23が下側に位置する鉛直姿勢で保持し、予めピストン13と当接ワシャ63とが取り付けられた状態のピストンロッド14を、ピストン13を下側にしてシリンダ12に上側の開口部22から挿入する。その際に、ピストン13がシリンダ12に対し予め設定された所定のピストン基準位置に位置するまで挿入する。なお、このとき、ピストンロッド14の主軸部55には、ピストン13から離れた位置に、ピストン13側から順に、摺動部材82、シール部材81およびロッドガイド15が予め配置されており、この状態でピストンロッド14の主軸部55のピストン13とは反対端には図示略の取付ブラケットが固定されている。
【0035】
次に、図2(b)に示すように、予めリップ部102の延出側をピストン13側にしてリップ部102の内側にピストンロッド14を挿通させた状態となっている摺動部材82を、シリンダ12内に開口部22から挿入する。その際に、ピストン13が上記したピストン基準位置にある状態を維持するようにして、摺動部材82をシリンダ12に対し予め設定された所定の摺動部材基準位置に位置するところまで挿入する。この状態で、摺動部材82はリップ部102でピストンロッド14に密着し主部100でシリンダ12の内周面に密着する。
【0036】
次に、図2(c)に示すように、シリンダ12内の摺動部材82の上側に予め設定された所定量の潤滑剤Lを開口部22から注入する。すると、潤滑剤Lは重力によりシリンダ12内で下側となる摺動部材82上に貯留されることになる。このとき、上記したように摺動部材82は、ピストンロッド14およびシリンダ12に密着しているため、摺動部材基準位置に維持されるとともに、潤滑剤Lの摺動部材82から下側への漏出を規制する。
【0037】
次に、図3(a)に示すように、予め基部92がピストン13とは反対側に位置する姿勢とされているシール部材81と、予め摺動ブシュ72がピストン13側に位置する姿勢とされているロッドガイド15とを一体にシリンダ12内に開口部22から圧入する。その際に、ピストン13が上記したピストン基準位置にある状態を、摺動部材82が上記した摺動部材基準位置にある状態を、それぞれ維持するようにして、シール部材81がシリンダ12に対し予め設定された所定のシール部材配置位置に位置しロッドガイド15がシリンダ12に対し予め設定された所定のロッドガイド配置位置に位置するところまで圧入する。なお、シール部材81は、シール部材配置位置に位置するとき、潤滑剤Lの液面より上側に位置し、この液面との間に残留エアが残留する所定の隙間を形成することになる。
【0038】
そして、この状態でシリンダ12の開口部22側をロール加締め加工により塑性変形させることで、端部から予め設定された軸方向の所定範囲に開口側係止部26を形成する。これにより、ロッドガイド15の大径部73のテーパ部74側の端面が開口側係止部26に係止されることになり、ロッドガイド15がシリンダ12から抜け止めされる。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、シリンダ12を、これに組み付けられたピストンロッド14等とともに上下反転させる。すると、重力により潤滑剤Lがシリンダ12内でシール部材81上に貯留されることになる。このとき、シール部材81の上側となる摺動部材82は、シール部材81との間に潤滑剤Lを保持する潤滑剤保持室83を画成しており、潤滑剤保持室83内の潤滑剤Lの液面との間に残留エアG’が残留する所定の隙間を形成することになる。
【0040】
次に、ピストンロッド14を、予め設定された所定の引出量だけシリンダ12から引き出す。すると、引き出しの途中で、図3(b)および図4に示すように、ピストンロッド14と一体に移動する当接ワシャ63が、当接フランジ部67において摺動部材82の高強度部98に当接し、摺動部材82のピストンロッド14に対する移動を規制する状態となって、摺動部材82と一体にシール部材81側に移動する。すると、摺動部材82とシール部材81との間の潤滑剤保持室83内の容積が小さくなって圧力が高まり、潤滑剤保持室83内の上部にある残留エアG’が摺動部材82のリップ部102を変形させてリップ部102とピストンロッド14との隙間から摺動部材82を超えてシリンダ12内のピストン13側に排出されることになる。言い換えれば、摺動部材82のリップ部102が、組み立て時に潤滑剤保持室83内に残留する残留エアG’を排出する。そして、ピストンロッド14が所定の引出量だけシリンダ12から引き出されると、潤滑剤保持室83内に残留していた残留エアG’は、図3(c)に示すようにすべて排出されることになる。
【0041】
ここで、残留エアG’の量は、シリンダ12内のシール部材配置位置にあるシール部材81と摺動部材配置位置にある摺動部材82との間の既定の空間量から、潤滑剤Lの既定の投入量を減算した値となり、この残存エアG’を排出できる既定の引出量だけピストンロッド14を引き出すことになる。なお、このとき、若干量であれば潤滑剤Lが摺動部材82よりピストン13側に漏れ出ても影響がないことから、潤滑剤保持室83から残存エアG’を完全に排出できるようにピストンロッド14を、誤差をカバー可能な分だけ長めに引き出すようにしても良い。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、ピストンロッド14を再びシリンダ12内に所定の押込量だけ押し込む。そして、シリンダ12の予め設定された所定位置をロール加締め加工により塑性変形させることで、環状凸部27を形成する。なお、ピストンロッド14の上記した所定の押込量は、この環状凸部27の形成にピストン13が干渉せず、しかもピストン13が環状凸部27を形成後、環状凸部27の摺動部材82とは反対側に位置するように設定される。
【0043】
次に、挿入穴30を介して気室50,51内に作動気体である乾燥エアを導入して、図1に示すように、取付ブラケット16をシリンダ12の蓋部23に接合して挿入穴30を封止する。
【0044】
以上のようにしてガススプリングの組み立て工程が完了する。このようにして組み立てられた後のガススプリングは、シリンダ12の環状凸部27よりも開口側の開口側円筒部28内にロッドガイド15、シール部材81、潤滑剤保持室83および摺動部材82が配置され、環状凸部27よりも蓋部23側の蓋側円筒部29内にピストン13が配置されることになる。環状凸部27に当接することによってピストン13はそれ以上の摺動部材82側への移動が規制されることになり、ピストン13と一体に設けられた当接ワシャ63の摺動部材82側への移動も規制されることになる。図1に示すように、ピストン13が最も摺動部材82側に移動して環状凸部27へ当接した状態にあるとき、当接ワシャ63は摺動部材82に対し当接不可となり、常に摺動部材82に対し軸方向の隙間をもつことになる。つまり、環状凸部27は、ガススプリングの組み立て後に当接ワシャ63と摺動部材82とが当接することを妨げることになる。
【0045】
上記のガススプリングは、ピストンロッド14のシリンダ12とは反対側の図示略の取付ブラケットと、シリンダ12に固定された取付ブラケット16とが相対移動する2部品にそれぞれ連結されることになる。そして、2部品同士が近接すると、ピストンロッド14がシリンダ12内に入り込み、これによりピストン13がシリンダ12の蓋部23側に移動する。すると、蓋部23側の気室50内のエアGがピストン13の通路穴47を介して蓋部23とは反対側の気室51内に移動し、その際に通路穴47で絞られて減衰力を発生させる。逆に、2部品同士が離間すると、ピストンロッド14がシリンダ12から引き出され、これによりピストン13がシリンダ12の蓋部23とは反対側に移動する。すると、蓋部23とは反対側の気室51内のエアGがピストン13の通路穴47を介して蓋部23側の気室50内に移動し、その際に通路穴47で絞られて減衰力を発生させる。このようにして、2部品の相対移動に対して緩衝機能を発揮する。
【0046】
なお、潤滑剤保持室83内は潤滑剤Lで満たされているため、潤滑剤保持室83を画成する摺動部材82およびシール部材81は、ガススプリングの姿勢およびピストンロッド14の移動の有無にかかわらず、常に潤滑剤Lに接触することになる。なお、経時的に潤滑剤保持室83内の潤滑剤Lが減ると、これに追従して摺動部材82が移動して潤滑剤保持室83の容積を減らすことになる。
【0047】
以上により、上記のガススプリングは、取付ブラケット16を上側にピストンロッド14を下側にした倒立状態、取付ブラケット16を下側にピストンロッド14を上側にした正立状態および横向き状態のいずれの姿勢でも取り付け可能となる。
【0048】
上記した特許文献1に記載のガススプリングは、潤滑剤を含浸部材に含浸させるものであるが、含浸部材に接触したピストンロッドがシール部材を摺動することで潤滑剤をシール部材に供給するものであるため、ピストンロッドの移動がないと、シール部材が乾燥してシール性を低下させ、シリンダ内の作動気体を外部に漏出させてしまう可能性がある。
【0049】
これに対し、以上に述べた第1実施形態によれば、ピストン13とロッドガイド15との間に、シール部材81と摺動部材82とを設けて、これらの間に潤滑剤保持室83を設けるとともに、摺動部材82に、組み立て時に潤滑剤保持室83内に残留する残留エアG’を排出するリップ部102を設けたため、残留エアG’を排出させて潤滑剤保持室83を潤滑剤Lで満たすことができる。よって、ピストンロッド14の移動がなくても、またいずれの向きに設置されたとしても、潤滑剤Lをシール部材81および摺動部材82に常に接触させてこれらを湿らせる状態を維持できるため、シール部材81および摺動部材82の乾燥に起因した作動気体の漏出を抑制できる。したがって、高い気密性を維持することができる。
【0050】
加えて、潤滑剤Lで満たされる潤滑剤保持室83が、シール部材81と、シリンダ12内を軸方向に摺動可能な摺動部材82との間に形成されるため、容量が可変となる。したがって、潤滑剤Lの量の設定の自由度を高くでき、バネ定数の設定の幅が広がる。
【0051】
また、組み立て時に潤滑剤保持室83内に残留する残留エアG’を排出する機構として、ピストン13側に配置される摺動部材82にリップ部102を設け、リップ部102で潤滑剤保持室83とシリンダ12内の気室51とを連通させることで残留エアG’を排出する構造であるため、組み立ての際の残留エアG’の排出時に例え潤滑剤Lが潤滑剤保持室83から漏出することがあっても、漏出先は作動気体が封入されるシリンダ12内の気室51であり、ガススプリング外への漏出にはならない。したがって、潤滑剤Lのガススプリング外への漏出を抑制できる。
【0052】
さらに、組み立て時に潤滑剤保持室83内に残留する残留エアG’を排出する機構として、摺動部材82の内周に、先端がピストン13側に向けて延びるリップ部102を設けたため、簡素な構造で残留エアG’を排出できる。したがって、コストを低減することができる。
【0053】
加えて、ピストンロッド14に設けられ、当接することで摺動部材82の軸方向の相対移動を規制する当接ワシャ63が、摺動部材82の硬質の材料で形成される高強度部98Aに当接するため、摺動部材82のシリンダ12の内周およびピストンロッド14と摺接する軟質の材料で形成される摺動部99に損傷を与えてしまうことを抑制できる。
【0054】
また、シリンダ12に設けられた環状凸部27が、ガススプリングの組み立て後に、当接ワシャ63と摺動部材82とが当接することを妨げるため、ガススプリングの作動時に当接ワシャ63が摺動部材82を押圧して潤滑剤保持室83から潤滑剤Lを漏出させてしまうことがない。したがって、潤滑剤保持室83に潤滑剤Lを良好に保持できる。
【0055】
なお、以上の第1実施形態の摺動部材82にかえて、図5に示すように小変更を加えた摺動部材82Aを用いても良い。
【0056】
この摺動部材82Aは、軟質の材料からなる摺動部99Aが、略円筒状の主部100Aと、主部100Aの軸方向一側の外周部から径方向外方に延出する連結部101Aと、連結部101Aの外周縁部から軸方向に主部100Aと同側に延出する筒状のリップ部(排出機構)102Aとを有している。つまり、この摺動部材82Aは、内周部ではなく外周部にリップ部102Aを有している。これに伴い、上記した高強度部98より小径の一定内径および一定外径の円形平板状をなす硬質の材料からなる高強度部(非摺動部)98Aが、主部100Aの軸方向の連結部101Aとは反対側の径方向の中間範囲に、連結部101Aとは反対側に露出するように埋設されている。
【0057】
摺動部99Aの主部100Aは、高強度部98Aを含む連結部101Aとは反対側の面が軸直交方向に沿う平面となっており、摺動部99Aのこの面とは反対側の、主部100A、連結部101Aおよびリップ部102Aの連続面が、外側ほど軸方向にてピストン13側に位置するように傾斜するテーパ面となっている。主部100Aは外径および内径が一定径となっている。リップ部102Aは自然状態では軸方向の連結部101Aとは反対側ほど大径となるテーパ筒状をなしている。
【0058】
そして、高強度部98Aの外径が小さくなることに合わせて、小変更した当接ワシャ63Aが用いられる。この当接ワシャ63Aは、上記と同様の挿通孔64を有する係合円板部65と、上記とは異なり係合円板部65の外周縁部から軸方向一側に一定径の円筒状に延出する中間筒状部66Aと、中間筒状部66Aの係合円板部65とは反対側から係合円板部65と平行をなして径方向外方に延出する円環状の当接フランジ部67Aとを有している。この当接ワシャ63Aの当接フランジ部67Aの外径は高強度部98Aの外径と同等に形成されている。
【0059】
摺動部材82Aは、摺動部99Aのリップ部102Aの延出側をピストン13に向ける姿勢で、シリンダ12の開口側円筒部28にリップ部102Aの外周面にて嵌合されることになり、摺動部99Aの主部100Aの内周側にピストンロッド14の主軸部55が挿通されることになる。摺動部材82Aも、ピストンロッド14が摺動する際に、シリンダ12に対し移動することがないように、シリンダ12に対する嵌合条件が設定されている。
【0060】
摺動部材82Aの外周に設けられたリップ部102Aは、シリンダ12内のピストン13と摺動部材82Aとの間の気室51の圧力よりも、摺動部材82Aのピストン13とは反対側の潤滑剤保持室83A内の圧力が高い場合に、径方向の主部100A側に変形しシリンダ12との間に隙間を形成して潤滑剤保持室83Aとシリンダ12内の気室51とを連通させる。これにより、ガススプリングの組み立て時に、リップ部102Aが変形し、上記と同様に潤滑剤保持室83とシリンダ12内の気室51と連通させることで、潤滑剤保持室83A内に残留する残留エアG’を気室51に排出する。
【0061】
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図6〜図8に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0062】
第2実施形態においては、第1実施形態に対し小変更を行ったシリンダ12Bが用いられている。このシリンダ12Bは、軸方向の一端が開口部22とされ他端が蓋部23で閉塞された筒状の胴部21Bが、第1実施形態の環状凸部27が形成されていない一定径の円筒部25Bと、開口部22側の端部の開口側係止部26とからなっている。また、第2実施形態において、ピストンロッド14には、第1実施形態の当接ワシャ63は設けられていない。
【0063】
シリンダ12B内の一端の開口部22側には、第1実施形態とは異なるロッドガイド110が設けられている。このロッドガイド110は、シリンダ12Bに嵌合する円環状の金属製のものである。
【0064】
ロッドガイド110は、その外周側が、軸方向の一端部に形成される大径部111と、軸方向の中間部に形成される、大径部111よりも小径の中間径部112と、軸方向の他端部に形成される、中間径部112よりも小径の小径部113とを有している。
【0065】
大径部111には、外周部の軸方向中央に径方向内方に一定深さで凹むシール保持溝115が全周にわたって形成されている。大径部111は、シール保持溝115を除く部分の外径が一定径となっており、シリンダ12Bの円筒部25Bに圧入により嵌合されることになり、円筒部25Bよりも圧入代の分だけ若干大径かつ開口側係止部26よりも大径となっている。また、中間径部112は、開口側係止部26の内側に配置されることになり、よって、開口側係止部26よりも小径の一定径となっている。小径部113は、一定径となっており、シリンダ12Bから突出することになる。
【0066】
ロッドガイド110の内周側は、一定径の貫通孔116となっており、この貫通孔116は、ピストンロッド14の主軸部55を摺動可能とするように主軸部55の外径よりも若干大径となっている。
【0067】
ロッドガイド110の外周側にはゴム製のシールリング(シール手段)117が保持されている。シールリング117は断面円形状のOリングであり、シール保持溝115内に嵌合されることによってロッドガイド110に保持される。シールリング117は、ロッドガイド110のシール保持溝115に密着するとともに、シリンダ12Bの円筒部25Bの内周面に密着してロッドガイド110と円筒部25Bとの隙間をシールする。
【0068】
ピストン13とロッドガイド110との間には、ロッドガイド110側に、ピストンロッド14の主軸部55と摺動する円環状のシール部材119が、ロッドガイド110とシール部材119との間に、環状板であるワシャ型パッキン(排出機構,閉塞機構,環状板)120が、ピストン13側に、シール部材119とピストン13との間にてシリンダ12B内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材121が、それぞれ設けられている。そして、ワシャ型パッキン120およびシール部材119と、摺動部材121との間には潤滑剤Lが封入される潤滑剤保持室83Bが画成されている。また、ピストン13と摺動部材121との間に気室51Bが形成されている。
【0069】
シール部材119は、ゴム等の軟質のシール性材料からなるものであり、軸方向に貫通する排出穴125が円周方向に等間隔で複数形成されている。複数の排出穴125は、軸方向一側が大径であり軸方向他側が小径となっている。シール部材119は、自然状態にあるとき、内周面が、軸方向一側(排出穴125の大径側)ほど小径となり、その最小径がピストンロッド14の主軸部55よりも小径となっている。また、外径がシリンダ12Bの円筒部25の内径よりも若干大径となっている。シール部材119は、排出穴125の小径側をロッドガイド110側に向けてシリンダ12Bの円筒部25B内に外周部にて嵌合されることになり、内周部にピストンロッド14の主軸部55が摺動可能に挿通される。これにより、シール部材119は、シリンダ12Bとの隙間を閉塞し、ピストンロッド14との隙間を閉塞する。なお、シール部材119は、ピストンロッド14が摺動しても、シリンダ12に対し移動することがないようにシリンダ12に対する嵌合条件が設定されている。
【0070】
ワシャ型パッキン120は、ゴム製であり、自然状態でピストンロッド14の主軸部55よりも若干小径の内径およびシリンダ12Bの内径よりも小径の外径を有している。ワシャ型パッキン120は、シール部材119に対し、排出穴125の小径側に配置され、シール部材119に当接することで複数の排出穴125の小径側を閉塞する。
【0071】
摺動部材121は、円環状の金属製の摺動部材本体128と、摺動部材本体128の外周側に保持されるゴム製のシールリング129と、摺動部材本体128の内周側に保持されるゴム製のシールリング130とからなっている。摺動部材121は、潤滑剤保持室83B内の液量変化に追従して移動するフリーピストンである。
【0072】
摺動部材本体128の外周部には、その軸方向中央に径方向内方に一定深さで凹むシール保持溝132が全周にわたって形成されている。摺動部材本体128の外周部は、このシール保持溝132を除く部分の外径が一定径となっており、シリンダ12Bの円筒部25Bに嵌合可能となるように円筒部25Bよりも若干小径となっている。また、摺動部材本体128の内周部には、その軸方向中央に径方向外方に一定深さで凹むシール保持溝133が全周にわたって形成されている。摺動部材本体128の内周部は、このシール保持溝133を除く部分の内径が一定径となっており、ピストンロッド14の主軸部55を挿通可能とするように主軸部55よりも若干大径となっている。
【0073】
シールリング129は断面円形状のOリングであり、シール保持溝132内に嵌合されることによって摺動部材本体128に保持される。シールリング129は、摺動部材本体128のシール保持溝132に密着するとともに、シリンダ12Bの円筒部25Bの内周面に密着して摺動部材本体128と円筒部25Bとの隙間をシールする。
【0074】
シールリング130は断面円形状のOリングであり、シール保持溝133内に嵌合されることによって摺動部材本体128に保持される。シールリング130は、摺動部材本体128のシール保持溝133に密着するとともに、ピストンロッド14の主軸部55に密着して摺動部材本体128と主軸部55との隙間をシールする。
【0075】
ここで、シール部材119は、ワシャ型パッキン120が当接しない状態では、排出穴125内の排出路(排出機構)135を介して潤滑剤保持室83Bとロッドガイド110との間を連通するようになっている。これにより、後述する組み立て時に、排出路135を介して潤滑剤保持室83Bとシリンダ12B内の、ロッドガイド110が配置される前の開口部22と連通させることができ、これにより、シール部材119と摺動部材121との間の潤滑剤保持室83B内に残留する残留エアを潤滑剤保持室83B外に排出可能となっている。つまり、シール部材119に形成された残留エアを排出する排出路135と、シール部材119とロッドガイド110との間に挟持されて排出路135を閉塞するワシャ型パッキン120とが、組み立て時に潤滑剤保持室83B内に残留する残留エアを排出し排出後は潤滑剤保持室83Bを密閉する。
【0076】
次に、上記した第2実施形態のガススプリングを組み立てる組み立て工程について説明する。
【0077】
まず、図7に示すように、図6に示す開口側係止部26が形成されていない状態のシリンダ12Bを準備する。そして、このシリンダ12Bを蓋部23が下側に位置する鉛直姿勢で保持し、予めピストン13が取り付けられた状態のピストンロッド14を、ピストン13を下側にしてシリンダ12Bに上側の開口部22から挿入する。その際に、ピストン13がシリンダ12Bに対し予め設定された範囲内に位置するまで挿入する。なお、このとき、ピストンロッド14の主軸部55には、ピストン13から離れた位置に、ピストン13側から順に、摺動部材121、シール部材119、ワシャ型パッキン120およびロッドガイド110が予め配置されている。
【0078】
次に、摺動部材121をシリンダ12B内に開口部22から挿入する。その際に、摺動部材121がシリンダ12Bに対し予め設定された所定の摺動部材基準位置に位置するところまで挿入する。この状態で、摺動部材121はシールリング129でシリンダ12Bの内周面に密着しシールリング130でピストンロッド14に密着する。
【0079】
次に、シリンダ12B内の摺動部材121の上側に予め設定された所定量の潤滑剤Lを開口部22から注入する。すると、潤滑剤Lは重力によりシリンダ12内で下側となる摺動部材121上に貯留されることになる。このとき、上記したように摺動部材121がピストンロッド14およびシリンダ12に密着しているため潤滑剤Lは摺動部材121よりも下側に漏出することはない。
【0080】
次に、図8(a)に示すように、予め排出穴125の大径側を下側にした状態のシール部材119を、シリンダ12B内に開口部22から挿入する。その際に、摺動部材121が上記した摺動部材基準位置にある状態を維持しつつ、シール部材119をシリンダ12Bに対し予め設定された所定のシール部材配置位置に位置するところまで挿入する。すると、シリンダ12B内への嵌合後、シール部材119は、潤滑剤Lの液面との間の残留エアを排出路135で大径側から小径側に移動させて開口部22側に排出する。そして、シール部材119は、シール部材配置位置に位置するとき、液面との間にあった残留エアをすべて排出し、上面が潤滑剤Lの液面より所定量下側に位置することになる。
【0081】
次に、図8(b)に示すように、ワシャ型パッキン120をシリンダ内12Bに開口部22から挿入する。その際に、摺動部材121が上記した摺動部材基準位置にある状態を維持し、シール部材119が上記したシール部材配置位置にある状態を維持するようにして、ワシャ型パッキン120をシール部材119に当接する位置まで挿入する。すると、ワシャ型パッキン120がシール部材119のすべての排出路135を閉塞する。なお、その際に、シール部材119より上側に溢れていた潤滑剤Lは、ワシャ型パッキン120とシリンダ12Bと隙間に逃げる。
【0082】
次に、大径部111を下側にしシールリング117が予め取り付けられた状態のロッドガイド110を、シリンダ内12Bに開口部22から圧入する。その際に、ロッドガイド110をシリンダ12Bに対し予め設定された所定のロッドガイド配置位置に位置するところまで圧入する。すると、ロッドガイド110がワシャ型パッキン120をシール部材119とで挟持する。
【0083】
次に、シリンダ12Bの開口部22側をロール加締め加工により塑性変形させることで、図6に示すように、端部から予め設定された軸方向の所定範囲に開口側係止部26を形成する。これにより、ロッドガイド110の大径部111の中間径部112側の端面が開口側係止部26に係止されることになり、ロッドガイド110がシリンダ12Bから抜け止めされる。
【0084】
以上のようにしてガススプリングの組み立て工程が完了する。
【0085】
以上に述べた第2実施形態によれば、排出路135を介して、組み立て時に潤滑剤保持室83B内に残留する残留エアを排出するとともに、その後、ワシャ型パッキン120で排出路135を閉塞して潤滑剤保持室83Bからの潤滑剤の漏出を規制するため、残留エアの排出および排出後の潤滑剤の漏出規制をより確実に行うことができる。
【0086】
また、潤滑剤保持室83Bにおけるシリンダ12Bの開口部22側を画成するシール部材119に排出路135を形成し、この排出路135を介して、組み立て時に潤滑剤保持室83B内に残留する残留エアを排出するとともに、その後、ワシャ型パッキン120で排出路135を閉塞して潤滑剤保持室83Bからの潤滑剤Lの漏出を規制するため、組み立て工程にて上下反転する必要がなくなる。したがって、組み立て作業がさらに容易となる。
【0087】
その上、排出路135を閉塞して潤滑剤保持室83Bからの潤滑剤の漏出を規制する閉塞機構が、環状板からなりシール部材119とロッドガイド110との間に挟持されるワシャ型パッキン120であるため、潤滑剤保持室83Bからの潤滑剤の漏出をより確実に規制することができる。
【0088】
さらに、ロッドガイド110とシリンダ12Bとの間にシールリング117を設けたため、組み立て時にワシャ型パッキン120とシリンダ12Bとの形成された隙間に逃がされた潤滑剤Lの外部への漏出を規制できる。
【0089】
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図9〜図11に基づいて第1,第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1,第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0090】
第3実施形態においては、第2実施形態と同様のシリンダ12Bに、第1実施形態と同様のロッドガイド15と、第2実施形態と同様の摺動部材121とが設けられており、これらの間に、第1実施形態に対して小変更を行ったシール部材81Cがロッドガイド15に当接して設けられている。そして、シール部材81Cと、摺動部材121との間に、潤滑剤Lが封入される潤滑剤保持室83Cが画成されている。
【0091】
シール部材81Cは、第1実施形態に対して小変更を行ったシール部87Cを有している。このシール部87Cは、第1実施形態と同様の外側筒状部93および内側筒状部94が円形平板状の基部92Cの外周縁部および内周縁部から軸方向一側に突出形成されており、内側筒状部94の基部92Cからの突出方向とは反対側に、径方向外方に円環板状をなして延出する弁部(排出機構,閉塞機構)140が形成されている。図10に示すように、この弁部140は、自然状態では、径方向外側ほど軸方向にて基部92Cから離間するように斜めに延出しており、シール部87Cの成形時に一体成形される。
【0092】
シール部材81Cは、第1実施形態に対して小変更を、基部92Cとともに行った芯部86Cを有している。つまり、シール部材81Cには、芯部86Cの円形平板状をなし外周縁部から壁部89が軸方向一側に延出する基板部88Cおよびシール部87Cの基部92Cの位置に、これらを軸方向に貫通する排出穴142が、円周方向に等間隔で複数形成されている。排出穴142は弁部140の基端位置よりも径方向外側に形成されている。よって、弁部140は、自然状態では、排出穴142を開放する一方、基部92Cに当接させられると排出穴142を閉塞する。なお、弁部140は、排出穴142を閉塞する状態でシリンダ12Bとの間に径方向の隙間を設けることができる外径となっている。
【0093】
シール部材81Cは、弁部140が基部92Cに当接しない状態では、排出穴142内の排出路(排出機構)143を介して潤滑剤保持室83Cとロッドガイド15との間を連通するようになっている。これにより、後述する組み立て時に、排出路143を介して潤滑剤保持室83Cとシリンダ12B内の、ロッドガイド15が配置される前の開口部22と連通させることができ、シール部材81Cと摺動部材121との間の潤滑剤保持室83C内に残留する残留エアを潤滑剤保持室83Cの外に排出可能となっている。つまり、シール部材81Cに形成された残留エアを排出する排出路143と、シール部材81Cに一体成形されて排出路143を閉塞する弁部140とが、組み立て時に潤滑剤保持室83C内に残留する残留エアを排出し排出後は潤滑剤保持室83Cを密閉する。
【0094】
次に、上記した第3実施形態のガススプリングを組み立てる組み立て工程について説明する。
【0095】
まず、図10に示すように、図9に示す開口側係止部26が形成されていない状態のシリンダ12Bを準備する。そして、このシリンダ12Bを蓋部23が下側に位置する鉛直姿勢で保持し、予めピストン13が取り付けられた状態のピストンロッド14を、ピストン13を下側にしてシリンダ12Bに上側の開口部22から挿入する。その際に、ピストン13がシリンダ12Bに対し予め設定された範囲内に位置するまで挿入する。なお、このとき、ピストンロッド14の主軸部55には、ピストン13から離れた位置に、ピストン13側から順に、摺動部材121、シール部材81Cおよびロッドガイド15が予め配置されている。
【0096】
次に、摺動部材121をシリンダ12B内に開口部22から挿入する。その際に、摺動部材121がシリンダ12Bに対し予め設定された所定の摺動部材基準位置に位置するところまで挿入する。この状態で、摺動部材121はシールリング129でシリンダ12Bの内周面に密着しシールリング130でピストンロッド14に密着する。
【0097】
次に、シリンダ12B内の摺動部材121の上側に予め設定された所定量の潤滑剤Lを開口部22から注入する。すると、潤滑剤Lは重力によりシリンダ12内で下側となる摺動部材121上に貯留されることになる。このとき、上記したように摺動部材121がピストンロッド14およびシリンダ12に密着するため潤滑剤Lは摺動部材121よりも下側に漏出することはない。
【0098】
次に、図11(a)に示すように、予め弁部140を上側にした状態のシール部材81Cを、シリンダ内12Bに開口部22から挿入する。その際に、摺動部材121が上記した摺動部材基準位置に位置する状態を維持しつつ、シール部材81Cをシリンダ12Bに対し予め設定された所定のシール部材配置位置に位置するところまで挿入する。すると、シリンダ12B内への嵌合後、シール部材81Cは、潤滑剤Lの液面との間の残留エアを排出路143を介して開口部22側に排出する。そして、シール部材81Cは、シール部材配置位置に位置するとき、液面との間にあった残留エアをすべて排出し、基部92Cの上面が潤滑剤Lの液面より所定量下側に位置することになる。
【0099】
次に、図11(b)に示すように、予め大径部73を下側にした状態のロッドガイド15をシリンダ内12Bに開口部22から圧入する。その際に、ロッドガイド15を、予め設定された所定のロッドガイド配置位置に位置するところまで圧入する。すると、ロッドガイド15がシール部材81Cの弁部140に当接し弁部140を変形させて基部92Cに当接させてすべての排出路143を閉塞する。その際に、基部92Cより上側に溢れていた潤滑剤Lは、シール部材81Cの内周側の面取りとピストンロッド14との形成された隙間および弁部140とシリンダ12Bとの間に形成された隙間に逃げる。
【0100】
次に、シリンダ12Bの開口部22側をロール加締め加工により塑性変形させることで、図9に示すように、端部から予め設定された軸方向の所定範囲に開口側係止部26を形成する。これにより、ロッドガイド15の大径部73のテーパ部74側の端面が開口側係止部26に係止されることになり、ロッドガイド15がシリンダ12Bから抜け止めされる。
【0101】
以上のようにしてガススプリングの組み立て工程が完了する。
【0102】
以上に述べた第3実施形態によれば、組み立て時に潤滑剤保持室83C内に残留する残留エアを排出する排出路143を閉塞して潤滑剤保持室83Cからの潤滑剤の漏出を規制する閉塞機構が、シール部材81Cと一体に設けられた弁部140であるため、部品点数を低減でき、さらに組み立てが容易となる。
【0103】
以上に述べた実施形態は、作動気体が封入され、少なくとも一端が開口するシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されるピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に突出するピストンロッドと、前記シリンダ内の一端側に設けられるロッドガイドと、からなり、前記ピストンと前記ロッドガイドとの間に、前記ピストンロッドと摺動する環状のシール部材と、該シール部材と前記ピストンとの間にて前記シリンダ内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材と、該摺動部材と前記シール部材との間に画成され潤滑剤が封入される潤滑剤保持室と、を設け、前記シール部材または前記摺動部材に、組み立て時に前記潤滑剤保持室内に残留する残留エアを排出する排出機構を設けたことを特徴とする。このように、ピストンとロッドガイドとの間に、シール部材と摺動部材とを設けて、これらの間に潤滑剤保持室を設けるとともに、シール部材または摺動部材に、組み立て時に潤滑剤保持室内に残留する残留エアを排出する排出機構を設けたため、残留エアを排出させて潤滑剤保持室を潤滑剤で満たすことができる。よって、ピストンロッドの移動がなくても、またいずれの向きで設置されたとしても、潤滑剤をシール部材および摺動部材に接触させてこれらを湿らせる状態を維持できるため、シール部材および摺動部材の乾燥に起因した作動気体の漏出を抑制できる。したがって、高い気密性を維持することができる。
【0104】
また、前記排出機構が、前記摺動部材に設けられ、前記潤滑剤保持室と前記シリンダ内とを連通するよう形成されることを特徴とするため、組み立ての際の残留エアの排出時に例え潤滑剤が潤滑剤保持室から漏出することがあっても、漏出先は作動気体が封入されるシリンダ内であり、ガススプリング外へ漏出することはない。したがって、潤滑剤のガススプリング外への漏出を抑制できる。
【0105】
また、前記排出機構は、前記摺動部材の内周または外周に設けられ、先端が前記ピストン側に向けて延びるリップ部によって構成されるため、簡素な構造で残留エアを排出できる。したがって、コストを低減することができる。
【0106】
また、前記摺動部材は、前記シリンダの内周および前記ピストンロッドと摺接する軟質の材料で形成される摺動部と、該摺動部よりも硬質の材料で形成される非摺動部とから構成され、前記ピストンロッドには、前記摺動部材の軸方向の移動を規制する規制手段が設けられ、該規制手段と前記摺動部材とが当接するときには、前記規制手段と前記非摺動部とが当接することを特徴とする。このように、ピストンロッドに設けられ、当接することで摺動部材の軸方向の移動を規制する規制手段が、摺動部材の硬質の材料で形成される非摺動部に当接するため、シリンダの内周およびピストンロッドと摺接する軟質の材料で形成される摺動部に損傷を与えてしまうことを抑制できる。
【0107】
また、前記シリンダには、組み立て後に前記規制手段と前記摺動部材とが当接することを妨げる移動規制手段が形成されるため、ガススプリングの作動時に規制手段が摺動部材を押圧して潤滑剤保持室から潤滑剤を漏出させてしまうことがない。したがって、潤滑剤保持室に潤滑剤を良好に保持できる。
【0108】
また、前記排出機構は、前記残留エアを排出する排出路と、該排出路を閉塞する閉塞機構とからなるため、排出路を介して、組み立て時に潤滑剤保持室内に残留する残留エアを排出するとともに、その後、閉塞機構で排出路を閉塞して潤滑剤保持室からの潤滑剤の漏出を規制するため、残留エアの排出および排出後の潤滑剤の漏出規制をより確実に行うことができる。
【0109】
また、前記排出路は、前記シール部材に設けられ、前記潤滑剤保持室と前記ロッドガイドとの間を連通するよう形成されるため、組み立て工程にて上下反転する必要がなくなる。したがって、組み立て作業がさらに容易となる。
【0110】
また、前記閉塞機構は、前記シール部材と前記ロッドガイドとの間に挟持される環状板であるため、潤滑剤保持室からの潤滑剤の漏出をより確実に規制することができる。
【0111】
また、前記閉塞機構は、前記シール部材と一体に設けられるため、部品点数を低減でき、さらに組み立てが容易となる。
【0112】
また、前記ロッドガイドと前記シリンダとの間にシール手段を設けたため、閉塞機構とシリンダとの隙間に導入された潤滑剤の外部への漏出を規制できる。
なお、上記実施形態では、本発明のシリンダ装置として、シリンダ内に圧縮ガスを封入したガススプリングを例に説明したが、スプリングを目的としないガス式の緩衝器や、一般的なエアシリンダにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
12,12B シリンダ
13 ピストン
14 ピストンロッド
15,110 ロッドガイド
27 環状凸部(移動規制手段)
63,63A 当接ワシャ(規制手段)
81,119,81C シール部材
82,121 摺動部材
83,83A,83B,83C 潤滑剤保持室
98,98A 高強度部(非摺動部)
99,99A 摺動部
102,102A リップ部(排出機構)
117 シールリング(シール手段)
120 ワシャ型パッキン(排出機構,閉塞機構,環状板)
135,143 排出路(排出機構)
140 弁部(排出機構,閉塞機構)
G エア(作動気体)
G’ 残留エア
L 潤滑剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動気体が封入され、少なくとも一端が開口するシリンダと、
該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されるピストンと、
該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に突出するピストンロッドと、
前記シリンダ内の一端側に設けられるロッドガイドと、からなり、
前記ピストンと前記ロッドガイドとの間に、
前記ピストンロッドと摺動する環状のシール部材と、
該シール部材と前記ピストンとの間にて前記シリンダ内を軸方向に摺動可能に設けられる摺動部材と、
該摺動部材と前記シール部材との間に画成され潤滑剤が封入される潤滑剤保持室と、を設け、
前記シール部材または前記摺動部材に、組み立て時に前記潤滑剤保持室内に残留する残留ガスを排出する排出機構を設けたことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
前記排出機構は、前記摺動部材に設けられ、前記潤滑剤保持室と前記シリンダ内とを連通するよう形成されることを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
【請求項3】
前記排出機構は、前記摺動部材の内周または外周に設けられ、先端が前記ピストン側に向けて延びるリップ部によって構成されることを特徴とする請求項2に記載のシリンダ装置。
【請求項4】
前記摺動部材は、前記シリンダの内周および前記ピストンロッドと摺接する軟質の材料で形成される摺動部と、該摺動部よりも硬質の材料で形成される非摺動部とから構成され、
前記ピストンロッドには、前記摺動部材の軸方向の移動を規制する規制手段が設けられ、
該規制手段と前記摺動部材とが当接するときには、前記規制手段と前記非摺動部とが当接することを特徴とする請求項3に記載のシリンダ装置。
【請求項5】
前記シリンダには、組み立て後に前記規制手段と前記摺動部材とが当接することを妨げる移動規制手段が形成されることを特徴とする請求項4に記載のシリンダ装置。
【請求項6】
前記排出機構は、前記残留エアを排出する排出路と、該排出路を閉塞する閉塞機構とからなることを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
【請求項7】
前記排出路は、前記シール部材に設けられ、前記潤滑剤保持室と前記ロッドガイドとの間を連通するよう形成されることを特徴とする請求項6に記載のシリンダ装置。
【請求項8】
前記閉塞機構は、前記シール部材と前記ロッドガイドとの間に挟持される環状板であることを特徴とする請求項7に記載のシリンダ装置。
【請求項9】
前記閉塞機構は、前記シール部材と一体に設けられることを特徴とする請求項7に記載のシリンダ装置。
【請求項10】
前記ロッドガイドと前記シリンダとの間にシール手段を設けたことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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