説明

シンク用ごみ受けかご

【課題】生ごみの残渣を良好に洗浄することができるごみ受けかごを開示する。
【解決手段】開口縁にフランジを延設し、側周壁面と底面とからなるかご本体で構成するシンク用ごみ受けかごで、全体を表裏逆転可能に軟質合成樹脂で一体に形成し、前記側周壁面では、その外側面の周方向に多数の環状突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その側周壁面の内側面の縦方向に多数の線状突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する環状突条及び線状突条によって多数の通孔を形成して側周壁面に網目構造を形成し、前記底面では、その外側面に直径に対して平行に多数の突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その底面の内側面に、前記外側面の突条と所定の角度で交叉する方向に多数の突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する突条によって多数の通孔を形成して底面に網目構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台などに設置されたシンクの排水用の穴に嵌めこんで、野菜くずなどのごみが排水パイプに流れ込まないようにするための、ごみ受けかごの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シンクの排水用穴にごみ受けかごを設置することは周知である。そのような構造としては、次に示す公知技術のように、シンクの底面に設けられたトラップ構造を有する排水穴に、金属網などで構成されたかごを落とし込むものが知られている。構造は複雑ではなく、シンクの排水穴の外周に見合った環状のフランジと、このフランジから下方に凹状に窪んだ網かごによって構成されている。素材は、パンチングによって多数の孔を設けた金属製の網かごや、フランジと網かごを硬質の合成樹脂で一体成形したものが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−2536号公報
【特許文献2】特開2008−303555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生ごみなどの生活廃棄物は、最近では自治体が比較的頻繁に回収することが定着しつつあることに鑑み、シンクの構造の傾向として、ごみをトラップ内部に長時間溜めない方向が模索されている。従って、トラップ内で生ごみを溜めるためのごみ受けかごについても、従来と比較すれば小さい容量に向かっており、まめに洗浄して清潔さを保つように工夫されている。
【0005】
しかしながら、金属製の網かごの場合には、たわしなどで洗浄しても、孔が目詰まりを起こすので、不衛生であると同時に、水はけが悪くなるという問題がある。また、硬質の合成樹脂のかごの場合には、全体として厚みがあるのでブラシで洗浄しにくく、特に内側は底面と壁面の隅にはブラシが届きにくく、洗い残しが生じるため、かびが発生するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これら従来のごみ受けかごの問題を解決したもので、ブラシなどによって生ごみの残渣を良好に洗浄することができる改良されたごみ受けかごを開示することを目的とするものである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、上端開口縁に環状のフランジを延設し、側周壁面と底面とからなるボウル状の窪みを有するかご本体で構成するシンク用ごみ受けかごであって、全体を表裏逆転可能に軟質合成樹脂で一体に形成してなり、前記側周壁面において、その外側面の周方向には多数の環状突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その側周壁面の内側面の縦方向には多数の線状突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する環状突条及び線状突条によって多数の通孔を形成して側周壁面に網目構造を形成し、前記底面において、その外側面には直径に対して平行に多数の突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その底面の内側面には、前記外側面の突条と所定の角度で交叉する方向に多数の突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する突条によって多数の通孔を形成して底面に網目構造を形成するという手段を採用した。
【0008】
また、上記側周壁面及び底面の外側面に設ける突条の間隔と、それぞれの内側面に設ける突条の間隔が互いに同じ間隔であるという手段を採用した。
【0009】
一方、上記側周壁面及び底面の外側面に設ける突条の間隔と、それぞれの内側面に設ける突条の間隔が、外側面の突条の間隔を内側面の突条の間隔より広くするという手段を採用した。
【0010】
そして、上記底面の網目構造において、内外で交叉する突条の交叉角度が90度であるという手段を採用した。
【0011】
また別に、上記底面の網目構造において、内外で交叉する突条の交叉角度が45度より大きく90度より小さい角度であるという手段を採用した。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、上述のように表裏逆転可能な軟質合成樹脂素材で構成すると共に、側周壁面及び底面の網目構造を互いに交差する突条で構成するようにしたので、ごみ受けかごを簡単に裏返すことができ、また、表裏面の網目を構成する突条は直線である。従って、洗浄に際しては、最初は定常のままで側周壁面については、周方向にブラシをかけ、底面については直径方向にブラシをかけることによって、汚れを除去できる。続いてごみ受けかごの表裏を逆転させて裏返し、壁面については縦方向にブラシをかけ、底面については直径方向にブラシをかければ、同様に汚れを除去することができるので、清潔な状態を維持することが可能となる。
【0013】
また、裏返すことにより、従来洗浄が困難であった内側の底隅部も容易に洗浄することができる。
【0014】
さらに、表裏の突条は同じ間隔で設けてもよいが、内側面の突条の間隔をごみが通過し得ない大きさとし、外側面の突条の間隔をそれより広くしても、ごみ受けの作用に差異はほとんどないから、使用素材の使用量を節約することが可能となり、製造コストをより低廉にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本発明に係るシンク用ごみ受けかごの平面図、(B)はその部分断面図、(C)は底面図、(D)は側面断面図である。
【図2】(A)は、本発明に係るシンク用ごみ受けかごの側周壁面の拡大部分断面図、(B)は底面の拡大部分断面図である。
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1及び図2に示すシンク用ごみ受けかごにおいて、1はかご本体であって、全体を軟質合成樹脂で一体に、射出成形等により形成したものである。このかご本体1は、比較的浅い凹状の窪み2を有するボウル状であって、上端開口縁にはシンクの排水穴の外周に見合った環状のフランジ3を延設して上記排水穴に嵌着設置可能としている。また、前記凹状の窪み2は側周壁面4と底面5とからなり、いずれも網目構造を有して、食品残滓などのごみを受けて流出しないように貯留すると共に、含有する水分は排水可能としている。
【0017】
次に、この網目構造について説明する。先ず側周壁面4については、外側面に周方向、即ち、環状横方向に環状突条4a、4a・・・を所定の間隔を置いて多数設けると共に、内側面には、垂直縦方向に線状突条4b、4b・・・を所定の間隔を置いて多数設けている。各突条4a、4bは、その断面形状が各図に示すように半円形または半長円形であって、一面が平面状、他面が曲面状となっており、この平面同士を対向接合させる。そして、このように内外(表裏)に環状突条4a及び線状突条4bを交叉させて設けることにより、各突条の間に多数の矩形の通孔4c、4c・・・が形成され、全体として網目構造となる。よってこの網目構造は、全体としては多数の通孔を有する網目であるが、表面または裏面だけに着目すれば、直線状の突条で構成されることになる。
【0018】
本実施形態では、射出型からの抜き出しを考慮して、外側を横方向の環状突条とし、内側を縦方向の線状突条としている。即ち、特に内側は、金型の抜き方向を確保するため縦方向の突条とすることが好ましい。
【0019】
また、図1及び図2では、内外の突条4a、4bのそれぞれの間隔を同じ間隔としているため、正方形の通孔4cが形成されるが、必ずしも同じ間隔にする必要はなく、異なる間隔として、縦長方形または横長方形の通孔を形成するようにしてもよい。但し、この場合、内側の線状突条4bの相互の間隔の方を狭くすることが好ましい。即ち、この内側の縦方向の線状突条4bの間隔をごみが流出し得ない間隔とすれば、外側の横方向の環状突条4aの間隔が多少粗くなっても、ごみの流出は確実に防止できるからである。そして、突条の間隔及び本数を適宜選択することにより、原材料を節約できる効果が期待できる。
【0020】
次に、底面5については、外側面に直径に対して平行に突条5a、5a・・・を所定の間隔を置いて多数設けると共に、内側面には、上記突条5aと交叉する方向に突条5b、5b・・・を所定の間隔を置いて多数設けている。この突条の断面形状等については、上記側周壁面4の場合と同様である。そして、これにより上記側周壁面4と同様に、多数の通孔5c、5c・・・が形成されて、全体として網目構造となる。
【0021】
なお、本実施形態では、突条5a、5bの相互の交叉角度を直角(90度)としているので、通孔5cの形状は正方形であるが、これに限定する必要はなく、交叉角度としては、およそ45度から90度の間の角度を任意に選択できる。交叉角度が90度以外の場合には、通孔5cの形状は菱形となる。また、上記側周壁面4の場合と同様に、内外の突条5a、5bの間隔は同じ間隔とする必要はなく、異なる間隔であってもよいが、やはり、上記と同様の理由により、内側の突条5bの間隔を狭くして、ごみが流出しないようにすることが好ましい。
【0022】
6は、かご本体1の上縁開口部から内側に突出させて設けた取り手であり、このごみ受けかごを排水穴から取り出す際に使用する。この取り手6は必要に応じて設ければよい。
【0023】
前述したように、上記構成からなるシンク用ごみ受けかごは、軟質合成樹脂を用いて一体に形成する。この軟質合成樹脂素材としては、熱硬化性樹脂系エラストマーや、熱可塑性エラストマーなどを採用することが好ましいが、必ずしもこれに限定するものではなく、ゴム状弾性体の性質を有する素材で形成する。また、成形手段としては、射出成形が一般的に採用される。
【0024】
なお、上記軟質合成樹脂に、適宜な抗菌性素材をあらかじめ練り込んで成形すれば、抗菌性に優れたごみ受けかごを提供することができる。
【0025】
続いて、本発明に係るシンク用ごみ受けかごの使用態様について説明する。基本的に、本シンク用ごみ受けかごは、従来のこの種かごと同様に、シンクの排水穴に嵌着設置して使用する。そして、このごみ受けかごを洗浄する際に、本発明品の特徴が発揮される。即ち、洗浄の際、外側の側周壁面については、通常通り、周方向にブラシをかける。突条は周方向に直線状に設けているので、簡単に汚れを除去できる。外側の底面についても同様に、直線状の突条があるだけなので、その直径方向にブラシをかけることで汚れを簡単に除去できる。このとき、外側面の線状の間隔が広ければ、より洗浄が容易である。
【0026】
次に、全体が表裏逆転可能に軟質合成樹脂で形成されているので、容易に裏返すことが可能であるから、表裏を逆転させて裏返し、側周壁面については縦方向にブラシをかけ、底面については直径方向にブラシをかける。これにより、内側面も、簡単に汚れを除去できる。さらに、この場合、従来の金属製かごでは洗浄の難しかった、内側の底隅部が、裏返すことにより突出して露出するので、該部を容易に洗浄することができる。そのため、外側、内側共に、全体を清潔な状態に維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 かご本体
2 窪み
3 フランジ
4 側周壁面
4a 環状突条
4b 線状突条
4c 通孔
5 底面
5a、5b 突条
5c 通孔
6 取り手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口縁に環状のフランジを延設し、側周壁面と底面とからなるボウル状の窪みを有するかご本体で構成するシンク用ごみ受けかごであって、全体を表裏逆転可能に軟質合成樹脂で一体に形成してなり、前記側周壁面において、その外側面の周方向には多数の環状突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その側周壁面の内側面の縦方向には多数の線状突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する環状突条及び線状突条によって多数の通孔を形成して側周壁面に網目構造を形成し、前記底面において、その外側面には直径に対して平行に多数の突条を所定の間隔を置いて設けると共に、その底面の内側面には、前記外側面の突条と所定の角度で交叉する方向に多数の突条を所定の間隔を置いて設け、内外で交叉、接合する突条によって多数の通孔を形成して底面に網目構造を形成したことを特徴とするシンク用ごみ受けかご。
【請求項2】
上記側周壁面及び底面の外側面に設ける突条の間隔と、それぞれの内側面に設ける突条の間隔が互いに同じ間隔である請求項1記載のシンク用ごみ受けかご。
【請求項3】
上記側周壁面及び底面の外側面に設ける突条の間隔と、それぞれの内側面に設ける突条の間隔が、外側面の突条の間隔を内側面の突条の間隔より広くした請求項1又は請求項2記載のシンク用ごみ受けかご。
【請求項4】
上記底面の網目構造において、内外で交叉する突条の交叉角度が90度である請求項1から請求項3記載のシンク用ごみ受けかご。
【請求項5】
上記底面の網目構造において、内外で交叉する突条の交叉角度が45度より大きく90度より小さい角度である請求項1から請求項3記載のシンク用ごみ受けかご。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate