説明

シートベルト装置用タング及びシートベルト装置

【課題】ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させないシートベルト装置用タング及びシートベルト装置を得る。
【解決手段】ウェビング32がその張力でスライダ54を引っ張ってスライドさせると、ラップウェビング50がスライダ54の荷重受け部66を押圧してスライダ54を回動させる。スライダ54の押圧部64はスライドしつつタング本体12の内側へ向けて回動してタング本体12の内側へウェビング32を押し込む。これにより、ウェビング32はタング本体12の掛け回し部28に掛け回されると共に押圧部64にも掛け回されるので、ウェビング32の屈曲角度の総和が増加し、ウェビング32に付与される摩擦抵抗が大きくなる。このため、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートベルト装置を構成するシートベルト装置用タング及びこのようなタングを備えるシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたシートベルト装置用タング(特許文献1では「ベルト舌部」と称している)は、その本体部分(特許文献1では「舌部本体部」と称している)がウェビング(特許文献1では「ベルトウェッビング」と称している)の幅方向を軸方向とする軸周りに湾曲しており、その内側に湾曲した板状の曲げ及び締め付け要素が設けられている。
【0003】
車両が急減速することで乗員の身体がウェビングを前方に押圧し、これにより、ウェビングの張力が増加すると、この張力によって曲げ及び締め付け要素がタングの本体部分の内側を摺動する。このように摺動した曲げ及び締め付け要素は、ウェビングを厚さ方向一方の側から押圧し、これにより、曲げ及び締め付け要素がタングにおける本体部分の上バーとでウェビングをクランプする。このようにウェビングがクランプされることによって、タングよりもウェビングの基端側の部分がタングよりも先端側へ移動することを抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−525909の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェビングがクランプされた状態のままウェビングに張力が付与されると、ウェビングにおいてクランプされた部分に局所的な荷重が作用するため、このような荷重に耐えうるような強度を予めウェビングに付与しなくてはならない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させないシートベルト装置用タング及びシートベルト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングは、バックルに挿し込み可能な挿込部と、ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返すと共に、前記ウェビングの張力が所定の大きさ以上の場合に前記ウェビングの基端側へ向けて前記挿込部に対してスライド可能な折り返し支持部と、前記ウェビングの厚さ方向一方の側で前記ウェビングの幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能に設けられると共に、回動中心が前記折り返し支持部と共にスライド可能に設けられ、前記回動中心が前記ウェビングの基端側へスライドし、且つ、前記回動中心周りに回動することで前記ウェビングをその厚さ方向他方の側へ押圧して変位させる押圧手段と、前記ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられて、前記押圧手段に押圧されて変位させられた前記ウェビングが掛け回されると共に、前記押圧手段が前記ウェビングを押圧した状態で前記押圧手段との間隔が前記ウェビングの厚さ以上となるように設定された掛け回し部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングは、シートに着座した乗員の身体にウェビングが掛け回された状態で挿込部がバックルに挿し込まれる。これによって挿込部がバックルに保持され、乗員の身体に対するウェビングの装着状態になる。この状態では、折り返し支持部にウェビングが掛け回されて折り返される。この折り返し支持部における折り返し部分よりもウェビングの長手方向先端側はラップウェビングとして乗員の腰部を拘束し、折り返し部分よりもウェビングの長手方向基端側はショルダウェビングとして乗員の胸部や肩部を拘束する。
【0009】
このウェビングの装着状態で、例えば、車両が急減速し、これにより、乗員の身体が車両前方側へ慣性移動すると、ウェビングが乗員の身体により車両前方側へ引っ張られ、これにより、ウェビングの張力が増加する。このようにウェビングの張力が増加すると、折り返し支持部がウェビングの基端側へ引っ張られる。ここで、折り返し支持部はウェビングの基端側へスライド可能とされており、折り返し支持部がウェビングに引っ張られてウェビングの基端側へスライドすると、折り返し支持部と共にウェビングの厚さ方向一方の側に設けられた押圧手段の回転中心がウェビングの基端側へスライドする。
【0010】
さらに、このような押圧手段の回転中心のスライドと同時又はこのようなスライドに前後して押圧手段がウェビングの幅方向を軸方向として回転中心周りに回動し、ウェビングをその厚さ方向他方へ押圧してウェビングを変位させる。これにより、ウェビングの通過経路が変更される。さらに、ウェビングが押圧手段に押圧されて変位すると、ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられた掛け回し部にウェビングが掛け回される。これにより、掛け回し部よりもウェビングの先端側が基端側に対して屈曲する。
【0011】
さらに、上記のように押圧手段がウェビングを押圧してその通過経路を変更しているので、ウェビングは押圧手段にも掛け回される。このため、押圧手段よりもウェビングの先端側が基端側に対して屈曲する。このように、折り返し支持部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度に更に掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度や押圧手段でのウェビングの押圧位置よりも基端側に対する先端側の屈曲角度が加わり、ウェビングの屈曲角度の総和を増加させることができる。これにより、ウェビングが受ける摩擦抵抗を大きくできる。
【0012】
しかも、例えば、押圧手段を単に回動させて掛け回し部にウェビングを掛け回すと、回動により押圧手段の回転半径方向外側の端部は掛け回し部から遠ざかり、このため、掛け回し部におけるウェビングの屈曲角度を十分に大きくできない。これに対し、本発明に係るシートベルト装置用タングでは、押圧手段はその回転中心周りに回動することでウェビングを押圧して変位させるが、押圧手段はその回転中心がウェビングの基端側へスライドして掛け回し部に接近する。このため、押圧手段の回動で十分に掛け回し部にウェビングを掛け回すことができ、押圧手段がウェビングの厚さ方向に大型化しない。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置は、長尺帯状のウェビングと、シートの側方に設けられたバックルと、前記ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返す折り返し支持部が所定の大きさ以上の前記ウェビングの張力により前記ウェビングの基端側へ向けてスライド可能に設けられると共に、前記ウェビングの厚さ方向一方の側に押圧手段が前記ウェビングの幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能で且つ回動中心が前記折り返し支持部と共にスライド可能に設けられ、前記押圧手段の回動中心が前記ウェビングの基端側へスライドし、且つ、前記押圧手段が回動して前記ウェビングをその厚さ方向他方の側へ押圧して変位させて前記ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられた掛け回し部に前記ウェビングが掛け回すと共に、前記押圧手段が前記ウェビングを押圧した状態で前記押圧手段と前記掛け回し部との間隔が前記ウェビングの厚さ以上となるように設定されたタングと、を備えている。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置は、シートに着座した乗員の身体にウェビングが掛け回された状態でタングがバックルに挿し込まれる。これによってタングがバックルに保持され、乗員の身体に対するウェビングの装着状態になる。この状態では、折り返し支持部にウェビングが掛け回されて折り返される。この折り返し支持部における折り返し部分よりもウェビングの長手方向先端側はラップウェビングとして乗員の腰部を拘束し、折り返し部分よりもウェビングの長手方向基端側はショルダウェビングとして乗員の胸部や肩部を拘束する。
【0015】
このウェビングの装着状態で、例えば、車両が急減速し、これにより、乗員の身体が車両前方側へ慣性移動すると、ウェビングが乗員の身体により車両前方側へ引っ張られ、これにより、ウェビングの張力が増加する。このようにウェビングの張力が増加すると、折り返し支持部がウェビングの基端側へ引っ張られる。ここで、折り返し支持部はウェビングの基端側へスライド可能とされており、折り返し支持部がウェビングに引っ張られてウェビングの基端側へスライドすると、折り返し支持部と共にウェビングの厚さ方向一方の側に設けられた押圧手段の回転中心がウェビングの基端側へスライドする。
【0016】
さらに、このような押圧手段の回転中心のスライドと同時又はこのようなスライドに前後して押圧手段がウェビングの幅方向を軸方向として回転中心周りに回動し、ウェビングをその厚さ方向他方へ押圧してウェビングを変位させる。これにより、ウェビングの通過経路が変更される。さらに、ウェビングが押圧手段に押圧されて変位すると、ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられた掛け回し部にウェビングが掛け回される。これにより、掛け回し部よりもウェビングの先端側が基端側に対して屈曲する。
【0017】
さらに、上記のように押圧手段がウェビングを押圧してその通過経路を変更しているので、ウェビングは押圧手段にも掛け回される。このため、押圧手段よりもウェビングの先端側が基端側に対して屈曲する。このように、折り返し支持部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度に更に掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度や押圧手段でのウェビングの押圧位置よりも基端側に対する先端側の屈曲角度が加わり、ウェビングの屈曲角度の総和を増加させることができる。これにより、ウェビングが受ける摩擦抵抗を大きくできる。
【0018】
しかも、例えば、押圧手段を単に回動させて掛け回し部にウェビングを掛け回すと、回動により押圧手段の回転半径方向外側の端部は掛け回し部から遠ざかり、このため、掛け回し部におけるウェビングの屈曲角度を十分に大きくできない。これに対し、本発明に係るシートベルト装置用タングでは、押圧手段はその回転中心周りに回動することでウェビングを押圧して変位させるが、押圧手段はその回転中心がウェビングの基端側へスライドして掛け回し部に接近する。このため、押圧手段の回動で十分に掛け回し部にウェビングを掛け回すことができ、押圧手段がウェビングの厚さ方向に大型化しない。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明に係るシートベルト装置用タング及びシートベルト装置では、ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングを部分的に破断した斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングを部分的に破断して更に裏面側からみた斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングを含むシートベルト装置の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図5】ウェビング装着状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図6】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係るシートベルト装置用タングを部分的に破断した分解斜視図である。
【図8】第2の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図9】ウェビング装着状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図10】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの斜視図である。
【図12】第3の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図13】ウェビング装着状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図14】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を図1から図14の各図に基づき説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するに際して、説明している実施の形態や変形例よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0022】
<第1の実施の形態の構成>
図1には第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タング10(以下、タング10と称する)の構成の概略が、タング10を一部破断した斜視図により示されており、図2にはタング10を裏側からみた構成の概略が、タング10を一部破断した斜視図により示されている。
【0023】
これらの図に示されるように、タング10はタング本体12を備えている。タング本体12は金属平板の打ち抜きや曲げ加工により形成された芯金14を備えている。芯金14には平板状の挿込部16が形成されている。この挿込部16には係合孔18が形成されており、例えば、バックル20のラッチが係合孔18に入り込むように係合する。これにより、バックル20に対するタング10の装着状態になる。
【0024】
この挿込部16の基端部からは連続して枠部22が形成されている。枠部22は挿込部16の厚さ方向に貫通した外周形状及び内周形状が矩形の枠状に形成されている。また、芯金14はモールド26を備えている。モールド26は枠部22に対して挿込部16の厚さ方向に沿った側方に形成されている。モールド26はその本体部分の角棒形状に形成されており、その長手方向はウェビング32の幅方向に沿っている。モールド26の本体部分の長手方向両端部からは枠部22へ向けて接続脚が延出されており、これらの接続脚が枠部22に繋がっている。
【0025】
以上の構成のモールド26や枠部22にはモールド26が施されており、このようにモールド26が施された枠部22においてモールド26を介して挿込部16とは反対側の部分は掛け回し部28とされている。図4に示されるように、本タング10では、枠部22を被覆したモールド26とストッパ24を被覆したモールド26との間を本タング10と共にシートベルト装置30(図3参照)を構成するウェビング32が通過できる。
【0026】
図3に示されるように、タング10よりもウェビング32の長手方向基端側はシート38を介してバックル20とは反対側に設けられたウェビング巻取装置40のスプールに係止されている。このウェビング巻取装置40のスプールから車両の上方に引き出されたウェビング32は、例えば、車両のセンターピラーの上端部近傍に設けられたショルダアンカ42にて下方へ折り返されている。ショルダアンカ42よりもウェビング32の先端側は上記のようにタング10の第1ウェビング通過孔28及び第2ウェビング通過孔34を通過し、その先端はシート38を介してバックル20とは反対側で車体やシート38の骨格部分に固定されたアンカプレート44に係止されている。
【0027】
シート38に着座した乗員46の身体にウェビング32が掛け回された状態でタング10がバックル20に装着されることにより、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態となる。この状態でウェビング32においてショルダアンカ42とタング10との間の部分はショルダウェビング48とされて乗員46の肩部や胸部を拘束し、タング10とアンカプレート44との間の部分はラップウェビング50とされ、主に乗員46の腰部を前方から拘束する。
【0028】
一方、図2に示されるように、ストッパ24よりも挿込部16側では、タング本体12に一対のストッパ52(図2では一方のストッパ52のみを図示)が形成されている。ストッパ52はタング本体12とストッパ24との間を通過するウェビング32の幅方向に互いに対向するようにタング本体12に形成されている。
【0029】
図1及び図2に示されるように、本タング10は押圧手段としてのスライダ54を備えている。スライダ54はウェビング32の幅方向を軸方向として、タング本体12の挿込部16側から掛け回し部28側へ向けて開口するJ字形状に湾曲した略板状に形成されている。スライダ54の湾曲部分は折り返し支持部62とされ、スライダ54の外周側にウェビング32を掛け回すと、折り返し支持部62においてウェビング32が折り返され、この折り返し支持部62におけるウェビング32の折り返し部分よりもウェビング32の長手方向基端側が上記のショルダウェビング48となり、折り返し支持部62におけるウェビング32の折り返し部分よりもウェビング32の長手方向先端側が上記のラップウェビング50となる。
【0030】
このスライダ54において枠部22とストッパ24との間に位置する部分は押圧手段としての押圧部64とされている。押圧部64の折り返し支持部62とは反対側の端部が、ウェビング32の幅方向を軸方向とする軸周りに折り返し支持部62側を中心にしてタング本体12側に回動すると、押圧部64の折り返し支持部62とは反対側の端部が、タング本体12の内側に入り込むことができる。
【0031】
一方、スライダ54において枠部22とストッパ24との間に位置する部分は荷重受け部66とされており、荷重受け部66がタング本体12側の荷重を受けることで上記のように押圧部64が回動する。さらに、ストッパ24とストッパ52の折り返し支持部62との間には圧縮コイルばね68が設けられている。圧縮コイルばね68はストッパ24から折り返し支持部62を離間させる向きにスライダ54を付勢して、折り返し支持部62の外周側を上記のストッパ52に圧接させている。
【0032】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0033】
本タング10はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング10がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図3におけるショルダアンカ42とアンカプレート44との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング10が位置している。この状態では、図4に示されるように、タング本体12とスライダ54の押圧部64との間をウェビング32が直線的に通過しており、ウェビング32はスライダ54の折り返し支持部62やタング本体12の掛け回し部28に掛け回されていない。
【0034】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング10がバックル20側へ引っ張られる。これにより、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、スライダ54の折り返し支持部62にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返される。この状態で、図3に示されるように、バックル20にタング10の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング10の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。
【0035】
これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。この状態では、図5に示されるようにウェビング32における折り返し支持部62よりも基端側に対して先端側が反転するように屈曲する(すなわち、略360度の角度で屈曲する)。したがって、この状態では、ウェビング32の屈曲角度に応じた摩擦が折り返し支持部62から付与され、この摩擦がウェビング32の長手方向に沿ったタング10の相対的な移動の抵抗になる。
【0036】
この状態で、車両が急減速状態になると乗員46の身体は車両前方側へ慣性移動しようとする。車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の身体は、その腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧する。このようにしてウェビング32に荷重が付与されることで、ウェビング32はストッパ52の折り返し支持部62を押圧し、図6に示されるように、圧縮コイルばね68の付勢力に抗して、折り返し支持部62がストッパ52から離間する向きへスライダ54をスライドさせる。
【0037】
さらに、このような状態では、折り返し支持部62におけるウェビング32の折り返し部分よりも基端側(すなわち、ショルダウェビング48側)では、ウェビング巻取装置40のスプールからウェビング32が引き出されるのに対し、ウェビング32の先端はアンカプレート44を介して車体やシート38の骨格部分に固定されている。このため、乗員46の身体がショルダウェビング48とラップウェビング50とを前方へ押圧した際には、ショルダウェビング48に作用する張力よりもラップウェビング50に作用する張力の方が大きくなる。
【0038】
このため、上記のようにスライダ54はスライドしつつもラップウェビング50の張力を押圧力として受けたスライダ54の荷重受け部66が折り返し支持部62側を中心にスライダ54を回動させる。これにより、押圧部64の先端側はスライドしつつもタング本体12の内側へ向けて回動する。このようにタング本体12側へ向けて回動した押圧部64の先端はウェビング32を押圧して、図6に示されるように、タング本体12の内側へウェビング32を押し込む。
【0039】
これにより、ウェビング32はタング本体12の掛け回し部28に掛け回されて、ウェビング32は掛け回し部28に掛け回された部分を中心に、ウェビング32の先端側が基端側に対して角度θ1だけ屈曲する。さらに、この状態では、ウェビング32は押圧部64の先端に掛け回されて、ウェビング32は押圧部64の先端に掛け回された部分を中心に、ウェビング32の先端側が基端側に対して角度θ2だけ屈曲する。
【0040】
この状態では、ストッパ52の折り返し支持部62側に掛け回された部分でのウェビング32の屈曲角度を合わせた屈曲角度の総和が押圧部64の先端部によってウェビング32がタング本体12の内側に押し込まれる前よりも押し込まれた後の方が大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0041】
しかも、仮に、折り返し支持部62がストッパ52に当接したまま押圧部64の先端側がタング本体12の内側へ移動するようにスライダ54が回動すると、スライダ54の回動に伴い、押圧部64の先端は挿込部16の先端側へ移動するため、押圧部64の先端は掛け回し部28から遠ざかるが、本タング10では、スライダ54の回動中心である折り返し支持部62側がストッパ52から遠ざかりつつスライダ54が回動するので、押圧部64の先端が掛け回し部28から遠ざかる割合が少ない。このため、押圧部64の先端でウェビング32をタング本体12の内側へ押し込むことで、ウェビング32を十分に掛け回し部28に掛け回して、掛け回し部28におけるウェビング32の屈曲角度を大きくでき、上記の摩擦抵抗を大きくすることができる。
【0042】
さらに、上記のように、本実施の形態は、スライダ54の押圧部64が掛け回し部28にウェビング32を掛け回すと共に、押圧部64にウェビング32が掛け回されることでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング10の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【0043】
<第2の実施の形態の構成>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0044】
図7には本実施の形態に係るシートベルト装置用タング90(以下、タング90と称する)の構成の概略がタング90を一部破断した分解斜視図によって示されている。
【0045】
この図に示されるように、タング90はタング本体92を備えている。タング本体92は金属平板の打ち抜きや曲げ加工により形成され、挿込部16や係合孔18(図7から図10においては図示省略)を有する芯金94を備えている。芯金94はストッパ24に代わるストッパ96を備えている。ストッパ96は基本的に前記第1の実施の形態におけるストッパ24と同じ形状であるが、ストッパ24が枠部22における掛け回し部28とは反対側の部分の近傍に形成されていたのに対し、芯金94は枠部22における掛け回し部28側の部分の近傍に形成されている。
【0046】
この芯金94よりも挿込部16側には押圧手段としての押圧ピース100が設けられている。押圧ピース100は軸部102を備えている。軸部102は軸方向が掛け回し部28とストッパ96との間を通過するウェビング32の幅方向に沿った円柱形状に形成されており、押圧ピース100におけるウェビング32の幅方向に沿った両側の端部から同軸的に突出形成されている。
【0047】
これらの軸部102に対応して、タング本体12にはガイド孔104が形成されている。ガイド孔104は長手方向がストッパ96と軸部102との対向方向沿った長孔形状とされており、上記の軸部102はこのガイド孔104の内側に入り込んでおり、ガイド孔104の長手方向両端部間で軸部102はスライドできる。但し、ガイド孔104内には規制部106が形成されている。規制部106は軸部102に干渉していることで軸部102がストッパ96側へスライドすることを規制しており、軸部102は規制部106を破断することでストッパ96側へスライドできる。押圧ピース100は軸部102側の端部が折り返し支持部108とされ、折り返し支持部108とは反対側の端部が押圧部110とされている。
【0048】
また、押圧ピース100とストッパ96との間には回動操作ピース112が設けられている。回動操作ピース112の一端は、軸部102は掛け回し部28とストッパ96との間を通過するウェビング32の幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能にストッパ96における押圧ピース100側の端面に圧接している。これに対し、回動操作ピース112の他端は、掛け回し部28とストッパ96との間を通過するウェビング32の幅方向を軸方向とする軸周りに押圧ピース100に対して相対的に回動可能に押圧ピース100のストッパ96側の側面に圧接している。
【0049】
<第2の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0050】
本タング90はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング90がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図8における枠部22とモールド26との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング90が位置している。この状態では、図8に示されるように、ウェビング32は掛け回し部28や押圧ピース100、更には、ストッパ96にも掛け回されていない。
【0051】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング90がバックル20側へ引っ張られる。これにより、図9に示されるように、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、押圧ピース100の折り返し支持部108及びストッパ96を被覆するモールド26の外周部にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返される。この状態で、バックル20にタング90の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング90の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。
【0052】
この状態で、車両が急減速状態になり、乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧することでウェビング32の折り返し支持部108における折り返し部分が折り返し支持部108を押圧すると、押圧ピース100の軸部102がガイド孔104内の規制部106を破断して、押圧ピース100がストッパ96側へスライドする。押圧ピース100がストッパ96側へスライドすると、回動操作ピース112が押圧ピース100の側面にストッパ96側へ押圧され、これにより、回動操作ピース112はストッパ96側の端部を中心に掛け回し部28側へ回動する。
【0053】
このように回動操作ピース112が回動すると、回動操作ピース112の押圧ピース100側の端部が押圧ピース100の側面を掛け回し部28側へ押圧し、これにより、押圧ピース100はストッパ96側へスライドしつつも軸部102周りに押圧部110が掛け回し部28側へ移動するように回動する。このように押圧ピース100が回動すると、図10に示されるように、押圧部110がウェビング32を押圧して掛け回し部28にウェビング32を掛け回すと共に、押圧部110にもウェビング32が掛け回される。
【0054】
これにより、前記第1の実施の形態に係るタング10と同様にウェビング32の屈曲角度の総和が押圧ピース100のスライド及び回動前よりも増加し、タング90からウェビング32に付与される摩擦抵抗が押圧ピース100のスライド及び回動前よりも大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0055】
しかも、仮に、押圧ピース100がスライドせずに回動した場合には、押圧ピース100の回動に伴い、押圧部110は挿込部16の先端側へ移動するため、押圧部110は掛け回し部28から遠ざかるが、本タング90では、押圧ピース100の回動中心である軸部102がストッパ96に接近しつつ押圧ピース100が回動するので、押圧部110が掛け回し部28から遠ざかる割合が少ない。このため、押圧部110でウェビング32を掛け回し部28に十分に掛け回して、掛け回し部28におけるウェビング32の屈曲角度を大きくでき、上記の摩擦抵抗を大きくすることができる。
【0056】
さらに、上記のように、本実施の形態は、軸部102の押圧部110が掛け回し部28にウェビング32を掛け回すと共に、押圧部110にウェビング32が掛け回されることでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング90の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【0057】
<第3の実施の形態の構成>
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0058】
図11には本実施の形態に係るシートベルト装置用タング140(以下、タング140と称する)の構成の概略が分解斜視図によって示されている。
【0059】
この図に示されるように、タング140はタング本体142を備えている。このタング本体142は枠部22を備えているもののストッパ24やストッパ96が形成されていない点で前記第1の実施の形態におけるタング本体12や前記第2の実施の形態におけるタング本体92とは構成が異なる。
【0060】
このタング本体142の側方には押圧手段としての押圧ピース144が設けられている。押圧ピース144はウェビング32等からの荷重が付与されていない状態で厚さ方向が概ねタング本体142の厚さ方向に沿った板状に形成されており、押圧ピース144における掛け回し部28側の端部が押圧部146とされ、この押圧部146とは反対側の端部が折り返し支持部148とされている。この押圧ピース144とタング本体142との間にはウェビング32が通過しており、押圧ピース144におけるウェビング32の幅方向に沿った両端部からは回動中心軸152が同軸的に突出形成されている。さらに、これらの回動中心軸152よりも押圧部146側では、押圧ピース144におけるウェビング32の幅方向に沿った両端部からガイド軸154が同軸的に突出形成されている。
【0061】
これらの回動中心軸152及びガイド軸154に対応してタング本体142の内周部におけるウェビング32の幅方向を向く面にはガイド孔156が形成されている。図12に示されるように、ガイド孔156はスライドガイド孔158を備えている。スライドガイド孔158は直線状に形成されており、その長手方向はタング本体142の内周部における挿込部16側から掛け回し部28側への向きに対して交差しており、長手方向両端間でタング本体142の内側を通過する。上述した押圧ピース144の回動中心軸152は、スライドガイド孔158における押圧ピース144側の端部近傍でスライドガイド孔158に入り込んでいる。
【0062】
このスライドガイド孔158の中間部からは回動ガイド孔160が押圧ピース144側へ分岐している。上述した押圧ピース144のガイド軸154は、回動ガイド孔160におけるスライドガイド孔158とは反対側の端部近傍で回動ガイド孔160に入り込んでおり、回動中心軸152周りにガイド軸154がスライドガイド孔158側へ回動すると、回動ガイド孔160内からスライドガイド孔158内へガイド軸154が移動する。但し、回動ガイド孔160の内周部には規制部162が形成されており、この規制部162がガイド軸154に干渉することでスライドガイド孔158から回動ガイド孔160へのガイド軸154の移動を規制している。
【0063】
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0064】
本タング140はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング140がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図12における枠部22とモールド26との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング140が位置している。この状態では、図12に示されるように、ウェビング32は掛け回し部28や押圧ピース144に掛け回されていない。
【0065】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング140がバックル20側へ引っ張られる。これにより、図13に示されるように、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、押圧ピース144の折り返し支持部148にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返される。この状態で、バックル20にタング140の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング140の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。
【0066】
この状態で、車両が急減速状態になり、乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧すると、スライドガイド孔158の長手方向に沿って押圧ピース144がスライドしようとする。
【0067】
但し、押圧ピース144のガイド軸154は回動ガイド孔160内に入り込んでいるため、スライドガイド孔158の長手方向に沿って押圧ピース144がスライドしようとすると、ガイド軸154に対して回動ガイド孔160の内周部が干渉し、これにより、回動中心軸152周りに回動ガイド孔160からスライドガイド孔158側へ移動するようにガイド軸154、ひいては、押圧ピース144を回動させる。このように押圧ピース144が回動し、更に、ガイド軸154が規制部162を破断するとガイド軸154がスライドガイド孔158に入り込む。この状態では、スライドガイド孔158の長手方向に回動中心軸152とガイド軸154とが並び、ガイド軸154がスライドガイド孔158の端部に干渉されるまで押圧ピース144がスライドガイド孔158の長手方向にスライドする。
【0068】
このように押圧ピース144がスライドすると、図14に示されるように、押圧ピース144の押圧部146がウェビング32を押圧して、タング本体142の内側に押し込み、ウェビング32を掛け回し部28に掛け回すと共に、押圧部146にもウェビング32が掛け回される。これにより、前記第1の実施の形態に係るタング10と同様にウェビング32の屈曲角度の総和が押圧ピース144のスライド及び回動前よりも増加し、タング140からウェビング32に付与される摩擦抵抗が押圧ピース144のスライド及び回動前よりも大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0069】
しかも、仮に、押圧ピース144がスライドせずに回動した場合には、押圧ピース144の回動に伴い、押圧部146は挿込部16の先端側へ移動するため、押圧部146は掛け回し部28から遠ざかるが、本タング140では、押圧ピース144の回動中心である回動中心軸152が掛け回し部28に接近しつつ押圧ピース144が回動するので、押圧部146が掛け回し部28から遠ざかる割合が少ない。このため、押圧部146でウェビング32を掛け回し部28に十分に掛け回して、掛け回し部28におけるウェビング32の屈曲角度を大きくでき、上記の摩擦抵抗を大きくすることができる。
【0070】
さらに、上記のように、本実施の形態は、押圧ピース144の押圧部146が掛け回し部28にウェビング32を掛け回すと共に、押圧部146にウェビング32が掛け回されることでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング140の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【0071】
なお、上記の各実施の形態は、押圧手段としてのスライダ54や押圧ピース100、144がスライドした後に回動する構成であったが、押圧手段の動作がこのような態様に限定されるものではない。すなわち、押圧手段が回動した後にスライドする構成であってもよいし、押圧手段がスライドしつつ回動する構成(スライドと同時に回動する構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 シートベルト装置用タング
12 タング本体
16 挿込部
20 バックル
28 掛け回し部
30 シートベルト装置
32 ウェビング
54 スライダ(押圧手段)
62 折り返し支持部
90 シートベルト装置用タング
100 押圧ピース(押圧手段)
108 折り返し支持部
140 シートベルト装置用タング
144 押圧ピース(押圧手段)
148 折り返し支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックルに挿し込み可能な挿込部と、
ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返すと共に、前記ウェビングの張力が所定の大きさ以上の場合に前記ウェビングの基端側へ向けて前記挿込部に対してスライド可能な折り返し支持部と、
前記ウェビングの厚さ方向一方の側で前記ウェビングの幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能に設けられると共に、回動中心が前記折り返し支持部と共にスライド可能に設けられ、前記回動中心が前記ウェビングの基端側へスライドし、且つ、前記回動中心周りに回動することで前記ウェビングをその厚さ方向他方の側へ押圧して変位させる押圧手段と、
前記ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられて、前記押圧手段に押圧されて変位させられた前記ウェビングが掛け回されると共に、前記押圧手段が前記ウェビングを押圧した状態で前記押圧手段との間隔が前記ウェビングの厚さ以上となるように設定された掛け回し部と、
を備えるシートベルト装置用タング。
【請求項2】
長尺帯状のウェビングと、
シートの側方に設けられたバックルと、
前記ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返す折り返し支持部が所定の大きさ以上の前記ウェビングの張力により前記ウェビングの基端側へ向けてスライド可能に設けられると共に、前記ウェビングの厚さ方向一方の側に押圧手段が前記ウェビングの幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能で且つ回動中心が前記折り返し支持部と共にスライド可能に設けられ、前記押圧手段の回動中心が前記ウェビングの基端側へスライドし、且つ、前記押圧手段が回動して前記ウェビングをその厚さ方向他方の側へ押圧して変位させて前記ウェビングの厚さ方向他方の側に設けられた掛け回し部に前記ウェビングが掛け回すと共に、前記押圧手段が前記ウェビングを押圧した状態で前記押圧手段と前記掛け回し部との間隔が前記ウェビングの厚さ以上となるように設定されたタングと、
を備えるシートベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−60113(P2013−60113A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199898(P2011−199898)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】