説明

シート状部材搬送装置

【課題】 簡単かつ低コストでコンパクトな構成でありながら、スタックから連続的にシート状部材を順次取り出して下流工程側に供給することができるシート状部材搬送装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るシート状部材搬送装置は、パレット102に載置されたスタック107とパレット102との間に進入する第1フォーク109にスタック107を載置することでスタック107とパレット102とを分離するスタック分離機構と、分離されたスタック107を所定高さ位置へ上昇させるリフト機構108と、所定高さ位置のスタック107からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送する搬送機構114と、シート状部材111の残量が所定となったときに第2フォーク110によりその残りのシート状部材111を支持する残シート状部材支持機構と、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシート状部材が積層されたスタック(束)からシート状部材を順に取り出してプレス機械などの下流工程に搬送するシート状部材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシート状のワークをプレスマシンに供給する技術として、例えば特許文献1には、図9に示すようなディスタックフィーダ(disstack feeder)22が記載されている。なお、ディスタックフィーダとは、束状シート群(複数のシート材が積層された束(スタック))から1枚ずつシート材を分離してプレス機械に供給する装置である。
図9(A)に示すように、特許文献1に記載のディスタックフィーダ22において、プレス機械1の上流側にはディスタックステージ5が設置されている。
【0003】
また、図9(B)に示すように、ディスタックステージ5の下部には昇降可能なテーブルリフタ12が設けられている。ディスタックステージ5の上方には、昇降可能に設けられたバキュームカップ16と、バキュームカップ16で1枚ずつ引き上げられたシート材3をプレス機械1側に設けられた受渡しステージ4まで搬送するマグネットベルト19が設置されている。
【0004】
このディスタックフィーダ22によりプレス機械1にシート材3を1枚ずつ供給する場合、まず、ディスタックステージ5に移送されたスタック(シート材3を複数枚重ねた束)3はテーブルリフタ12の上昇により所定位置まで上昇する。
【0005】
次に、バキュームカップ16が下降し、スタック3の最上部のシート材3を吸着・把持した後、上昇してシート材3をマグネットベルト19に渡す。シート材3はマグネットベルト19によって受渡しステージ4に向かって走行する。このような作業を繰り返し、スタック3のシート材3は、順次、プレス機械1へ供給(搬送)される。
【0006】
一方、スタック3のシート材3が無くなると、テーブルリフタ12が下降待機し、スタック搬入ステージ6a(若しくは6b)にて準備された次スタック3を、コンベヤ9(若しくは10)によりディスタックステージ5へ移送し、テーブルリフタ12により所定位置まで上昇することを繰り返すことで、スタック3の入れ替えによるシート材3の供給が行われるようになっている。
【0007】
作業者は、このようなスタック3の供給サイクル(入れ替えサイクル)に間に合うように、スタック搬入ステージ6a−6b間の往復を伴いながらスタック搬入ステージ6a或いは6bにて次スタックの搬入作業を行う。
【0008】
なお、プレス機械1はスタック3の最下部のシート材3が無くなってから、次スタック3の最上部のシート材3が供給されるまでシート材待ちの状態で停止する。
【0009】
このようなシート材待ちの停止時間を無くしてプレス機械の生産性を向上させることを目的に提案された技術として、特許文献2に記載されているようなものがある。
【0010】
図10(A)に、特許文献2に記載されたディスタックフィーダとしてのスタック搬入機構200を示す。
このスタック搬入機構200は、スタック(シート材を複数枚重ねた束)3を所定の搬入位置まで送るコンベア201と、搬入位置の下方に設けられたリフト装置202と、リフト装置202の上方に設けられたスタック保持装置203と、を含んで構成されている。
【0011】
スタック保持装置203は、水平方向(図10(A)の左右方向)に進退動するフォーク204を有し、フォーク204上面にてスタック3を支持できるようになっている。
【0012】
リフト装置202は、その可動部が上限まで伸長したとき、その上面がリフト装置203のフォーク204の上面よりも高い位置となる。なお、図10(A)において、スタック保持装置203の上方には、シート材を1枚ずつ保持するために、バキュームカップ205と、マグネットコンベア206が配置されている。
【0013】
このように構成されたスタック搬入機構200は、概略、以下のように動作する。
すなわち、スタック保持装置203のフォーク204が縮退(収縮して退避)した状態で、スタック3がコンベア201により搬送位置まで搬送される。
【0014】
次に、スタック3はリフト装置202によりフォーク204よりも高い位置まで持ち上げられ、それによりスタック保持装置203のフォーク204が伸長してスタック3の下方を横断する。
【0015】
そして、その状態で、リフト装置202の可動部が下降され、スタック3がリフト装置202からフォーク204へと受け渡される。
【0016】
次に、フォーク204の下方に、次のスタック3を待機させておき、フォーク204上のスタック3がなくなったら、上記と同様の動作でフォーク204上にスタック3を載せ換える。
【0017】
従って、特許文献2に記載されたスタック搬入機構200によれば、スタック3の搬入を円滑に行うことができ、シート材待ちによるプレス機械の停止時間を無くすことができる。
【0018】
更に、特許文献2には、図10(B)に示すようなパレットを用いてスタックを供給する形態一例が記載されている(特許文献2の図8)。
図10(B)に示したように、スタック搬入機構40において、取出し部5Cは、スタック3が載置されたパレット6の下面端部の複数個所を支持してパレット6を所定高さに保持可能な爪部材41を有している。
【0019】
この爪部材41は、パレット6を支持する位置と、パレット6を通過させる位置と、の間で移動可能に構成されている。
【0020】
スタック3が載置されたパレット6が待機部44へ搬入されると、リフト装置45によりパレット6が持ち上げられる。このとき、爪部材41が駆動源42により駆動されてパレット6の通過を許容する位置(対向配置されている爪部材41が、相互に図10(B)の左右方向において離間された位置)に退避している。
【0021】
パレット6が爪部材41よりも高い位置まで上昇したら、爪部材41を、パレット6を支持する位置(対向配置されている爪部材41が、相互に図10(B)の左右方向において接近した位置)まで前進させる。続いて、リフト装置45の可動部を下降させると、リフト装置45から爪部材41にパレット6が受け渡される。
【0022】
次に、取出し部5Cの下方に、次のパレット6を待機させておき、取出し部5Cにおけるスタック3のブランク材2がなくなったら、空のパレット6を適宜の排出手段により排出し、上記と同様の動作で、爪部材41上に、スタック3が載置された新しいパレット6を載せ換える。
【0023】
こうして、このスタック搬入機構40によっても、スタック3の搬入を円滑に行うことができ、シート材待ちによるプレス機械の停止時間を無くすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開昭60−97146号公報
【特許文献2】特開2008−200744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上述したような従来のディスタックフィーダでは、スタック供給ステージを2箇所設けて、2つのスタックを交互に利用することによって生産性向上を図るものであり、それに伴い広い設置スペースが必要となるといった実情がある。
【0026】
また、上述したような従来のディスタックフィーダでは、スタックの前後・左右の位置決めのために、複数のガイドユニットなどがスタック供給ステージに付帯される必要があるなど、構成の複雑化によるコスト増加に加え、作業者の歩行ロス、監視・メンテナンス箇所が増加するなどのデメリットがある。
【0027】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストでコンパクトな構成として、設置スペースや運用スペースを削減することができると共に、製造コストの低減延いては生産効率の向上に貢献しつつ、スタックから連続的にシート状部材を順次取り出して下流工程側に搬送供給することができるシート状部材搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
このため、本発明は、複数のシート状部材が積層されたスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送供給するシート状部材搬送装置であって、
スタックを搬入するスタック搬入ステージと、
前記スタック搬入ステージから移送されたスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出すディスタックステージと、
を備えると共に、
パレットに載置されたスタックと、パレットと、の間に進入する第1フォークにスタックを載置することで、スタックとパレットとを分離するスタック分離機構と、
前記スタック分離機構により分離されたスタックを所定高さ位置へ上昇させるリフト機構と、
所定高さ位置のスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送する搬送機構と、
前記所定高さ位置のスタックのシート状部材の残量が所定となったときに、第2フォークにより、その残りのシート状部材を支持する残シート状部材支持機構と、
を含んで構成され、
前記残シート状部材支持機構により残りのシート状部材を支持した状態において、前記搬送機構により下流工程へのシート状部材の搬送を継続しつつ、前記リフト機構を下降させて、パレットに載置された次のスタックを、前記スタック分離機構によりパレットから分離して前記リフト機構に載置して、前記残シート支持機構により支持される残りのシート状部材が消費されたら、前記搬送機構が該次のスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送供給するように構成したことを特徴とする。
【0029】
本発明は、分離されたパレットを前記ディスタックステージへ戻す移送機構を含んで構成されることを特徴とすることができる。
【0030】
本発明において、前記スタック搬入ステージは、1つのディスタックステージにつき1つ備えられることを特徴とすることができる。
【0031】
本発明において、前記リフト機構は、第1フォークに備えられることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、生産効率(搬送速度)を高く維持しながら、パレットに載置されたスタックを受け入れるスタック搬入(供給)ステージを2箇所から1箇所に減らすことができるので、作業者は歩行や移動が少なく監視する箇所も少なくなり、構成の簡略化が図れ、低コスト化を図ることができる共に、機械設置スペース及び運用スペースの削減を図ることができる。
【0033】
また、スタック搬入ステージにおけるスタックの左右・前後の位置決め用のガイドユニットなども1箇所でよいため、構成の簡略化が図れ、低コスト化を図ることができる共に、機械の設置スペースの低減や運用コストの低減も図ることができる。
【0034】
すなわち、本発明によれば、簡単かつ低コストでコンパクトな構成として、設置スペースや運用スペースを削減することができると共に、製造コストの低減延いては生産効率の向上に貢献しつつ、スタックから連続的にシート状部材を順次取り出して下流工程側に搬送供給することができるシート状部材搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の全体構成を示す平面図である。
【図2】同上実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)を図1のA方向から見た正面図である。
【図3】同上実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)のリフタ(昇降機構)と、パレット及びスタックと、第1フォークと、の関係の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例2に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)のリフタ(昇降機構)と、パレット及びスタックと、第1フォークと、の関係の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の各部の動作の様子を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の実施例2に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の各部の動作の様子を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の実施例3に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の各部の動作の様子を示すタイミングチャートである。
【図8】実施例1〜実施例3のタイミングチャートを比較して示す図である。
【図9】従来のディスタックフィーダの構成の一例を示す図である。
【図10】従来のディスタックフィーダの構成の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態に係るシート状部材搬送装置(シート材供給装置)について、添付の図面に従って説明する。なお、以下で説明する実施例により、本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
図1及び図2に、本実施形態の実施例1に係るディスタックフィーダ(積層されたシート状部材の供給装置)を示す。図1は平面図で、図2は正面図を示す。
【0038】
実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100は、図示しないプレス機械の加工工程上流に配置され、図1に示すように、スタック搬入(供給)ステージ101において搬入されるスタック(複数枚のシート状(薄板状)の部材であるシート材111が積層された束)107をディスタックステージ106へ搬送し、このディスタックステージ106においてスタック107から少なくとも1枚ずつシート材111を取り出して受け渡しステージ115へ搬送し、図示しないトランスファ装置を経由しプレス機械にシート材111を1枚ずつ供給するように構成されている。
【0039】
また、実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100の各部は、以下のように構成され、動作するようになっている。
【0040】
先ず、ステップ1で、図1に示したようなスタック搬入(供給)ステージ101に、図1のパレット移動方向に略直交する方向(図1の左右方向)に進退(伸縮)可能な左右ガイドユニット103と、パレット移動方向に沿った前後方向(図1の上下方向)に進退(伸縮)可能な前後ガイドユニット104と、によって位置決めされつつ、スタック(シート状材料111が複数枚重ねられた束)107が、例えばフォークリフトやその他の移動式或いは据付式の搬入装置によってパレット102に搬入される。
【0041】
なお、空のパレット102を一旦取り出し、スタック107が予め載置された別のパレット102を搬入するような形式とすることもできる。
【0042】
続くステップ2では、パレット102は、スタック搬入ステージ101からチェーンコンベヤなどの水平移送機構105によってディスタックステージ106へ移送(搬送)される。
【0043】
ステップ3では、ディスタックステージ106において、スタック107は、パンタリフタなどの昇降機構(リフタ)108により、図2において上方に持ち上げられ(上昇され)、パレット102から分離される。
ここにおいて、昇降機構(リフタ)108は、本発明に係るリフト機構に相当する。
【0044】
なお、昇降機構108は、例えば図3に示すように、上下方向に延在される櫛歯や棒状の長尺部材を備えて構成され、これらがパレット102を貫通(串刺し)するように昇降することによって、スタック107のみを上昇させることができるように構成されている。
【0045】
その後のステップ4では、第1フォーク109が前進(伸長)されて、図2や図3に示すように、持ち上げられたスタック107の下面と、パレット102の上面の隙間に進入する。
【0046】
ステップ5では、第1フォーク109が進入した後に僅かに昇降機構108が下降し、スタック107は第1フォーク109によって保持されるようになる。
ここにおいて、第1フォーク109及び昇降機構108を用いて、かかる動作を実行させることが、本発明に係るスタック分離機構に相当する。
【0047】
ステップ6では、昇降機構108が下降を続けてパレット102の下部の下降端まで降下され、昇降機構108とパレット102とが横方向から見た重なり合い(図2の面における重畳)がなくなる。ここで、第1フォーク109の駆動は、図示した往復動シリンダによるものの他にモータを利用したラック&ピニオンなどを用いることができる。そして、直進ガイドは、図示したローラガイドのよるものの他にリニアガイドなどを用いた構成とすることもできる。
【0048】
ステップ7では、解放された空のパレット102がチェーンコンベヤなどの水平移送機構105によってスタック搬入ステージ101へ移送され、次スタック107を搬入するための次工程の段取作業などが行われる。
ここにおいて、水平移送機構105が、本発明に係る移送機構に相当する。
【0049】
一方、ステップ8では、空のパレット102が昇降機構108の干渉外に移送された時点で、昇降機構108が再び上昇され、第1フォーク109に保持されているスタック107を持ち上げ、装置上部に配置されたピックアップシリンダ113が最上位のシート材111に届く位置(所定高さ位置)まで上昇される。
【0050】
なお、第2フォーク110が、スタック107(昇降機構108)の上下動方向から投影してこれらが重畳する領域内に進入している場合は、第2フォーク110をその重畳領域から退避(後退)させてからスタック107(昇降機構108)を上昇させる。
【0051】
次に、ステップ9では、シート材111を1枚ずつ分離させるマグネット116がシート材111の側面に倣うように進入し磁力でシート材を分離させる。
【0052】
そして、ステップ10では、ピックアップシリンダ113の先端に設けられたバキュームカップ112によって、スタック107の最上位のシート材111が吸着されて上昇される。このバキュームカップ112に吸着されたシート材111は、バキュームカップ112及びピックアップシリンダ113などを図2の左右方向へ移動させるシート材移送手段(搬送機構)であるシャトル114により、受け渡しステージ115へ移送される。
このシート材移送手段(搬送機構)は、シャトル以外のマグネットコンベヤなどを利用した構成とすることもできる。
【0053】
ステップ11では、ステップ10にてシート材111が受け渡しステージ115に移送された後、シャトル114はバキュームカップ112及びピックアップシリンダ113などをディスタックステージ106上の原位置へ戻すように動作する。
【0054】
これにより、昇降機構108に載置されるスタック107のシート材111の消費に従って、昇降機構108によりスタック107の最上位のシート材111の高さ位置が調整されつつ、スタック107の最上位のシート材111に対して順にピックアップ・吸着・移送が繰り返されて、シート材111が1枚ずつプレス機械へ搬送供給されることになる。
【0055】
ステップ12では、昇降機構108に載置されているスタック107のシート材111の残量がある一定量となると、スタック107の下面に第2フォーク10を進入させると共に、昇降機構108を下降させる。
【0056】
なお、第2フォーク110の進退駆動は、図示したようなモータ等を利用したラック&ピニオンによるものの他にエア、油圧などの流体圧式往復動シリンダなどを用いて行わせる構成とすることができる。なお、直進ガイドは図示したリニアガイドのよるものの他にローラガイドなどを用いた構成とすることもできる。
【0057】
ステップ13では、スタック107の残りのシート材111を、昇降機構108に代わって第2フォーク110によって支持した状態として、この状態にてシート材111のピックアップ・吸着・移送を継続する。
ここにおいて、第2フォーク110が、本発明に係る残シート状部材支持機構に相当する。
【0058】
なお、ピックアップシリンダ113の先端に設けられたバキュームカップ112のシート材111の高さ方向(図2の上下方向)における吸着位置は、ピックアップシリンダ113の上下方向のストローク等により所定に変動可能に構成されている。すなわち、シート材111の最上位の高さ位置は、リフト機能を持たない第2フォーク110によって支持した状態では、シート材111の消費に応じて徐々に低くなるが、所定枚数分だけ低くなった場合でも、それに追従してバキュームカップ112の高さ方向位置がピックアップシリンダ113のストローク余裕分により変化して、スタック107の最上位のシート材111を良好に吸着することができるようになっている。
但し、第2フォーク110に図2の上下方向へ移動させるリフト機能を備えた構成としてもよい。
【0059】
ステップ14では、昇降機構108が下降し下降端となると、次スタック107が積載されたパレット102が、ディスタックステージ106に移送され、上述したステップ3〜ステップ13の動作が繰り返される。
【0060】
従って、実施例1に係るスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100によれば、複数枚のシート材111を積層してなるスタック107を、パレット102に載置して搬入した後、スタック107を第1フォーク109に一時的に支持させることで、パレット102だけを抜き出して原位置(スタック搬入ステージ101)へ戻すことを可能にすることで、パレット102に対して次のスタック107の準備作業を行うことが可能となり、従来のように複数のパレットの配置が必要な構成を採用しなくて良いので、構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進することができる。
【0061】
また、ディスタックステージ106において、スタック107を載置しているパレット102を上下方向に移動させるため及びシート材111の消費(プレス機械への供給)に合わせてスタック107を上下方向に移動させるための装置は昇降機構108のみで構成し、パレット102の抜き取りの際にはスタック107を第1フォーク109により一時的に支持すると共に、スタック107の消費が進み次のスタック107を昇降機構108が迎えに行く際には、残り少なくなったスタック107を第2フォーク110により一時的に支持するといった効率の良いシステム構成の採用により、比較的複雑で高価な昇降装置の採用を少なくすることができ、以って構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進することができる。
【0062】
なお、実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100によれば、従来の装置のように、スタックを装置に搬入(供給)するためのスタック搬入(供給)ステージを2箇所設ける必要がないので、設置スペースを省スペース化を促進することができる。
【0063】
また、実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100によれば、スタック搬入ステージを1箇所設ければ良いため、従来の装置のように、複数のスタック供給ステージ毎にスタックの前後・左右の位置決めのためのガイドユニットなどを必要としないため、構成の簡略化による低コスト化を図ることができると共に、作業者の歩行ロス、監視・メンテナンス箇所などを削減することができ作業効率を改善することができる。
【0064】
すなわち、実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)100によれば、簡単かつ低コストでコンパクトな構成として、設置スペースや運用スペースを削減することができると共に、製造コストの低減延いては生産効率の向上に貢献しつつ、スタックから連続的にシート材をプレス機械に供給することができる。
【0065】
本実施の形態の実施例1に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の各部の動作の様子を、図5のタイミングチャートに示す。
図5のタイミングチャートは、上述したステップ1〜ステップ14に対応するもので、ステップ(図では、Sと記す。以下、同様)1では、スタック搬入ステージ101において、左右ガイドユニット103と、前後ガイドユニット104と、によって位置決めされつつ、スタック107がパレット102に搬入される。
【0066】
S2では、パレット102は、スタック搬入ステージ101から水平移送機構105によってディスタックステージ106へ移送(搬送)される。
【0067】
S3では、ディスタックステージ106において、 スタック107が、リフタ(昇降機構108)により持ち上げられて上昇され、パレット102から分離される。
【0068】
S4では、第1フォーク109が前進(伸長)され、持ち上げられたスタック107の下面と、パレット102の上面の隙間に進入する。
【0069】
S5では、第1フォーク109が進入した後、昇降機構108が下降し、スタック107は第1フォーク109に渡されて保持される。
【0070】
S6では、昇降機構108がパレット102の下部の下降端まで降下され、昇降機構108とパレット102との横方向から見た重なり合い(図2の面における干渉)がなくなる。
【0071】
S7では、パレット102が水平移送機構105によってスタック搬入ステージ101へ移送され、次スタック107を搬入するための次工程の段取作業(S1)などが可能となる。
【0072】
S8では、空のパレット102が昇降機構108の干渉外に移送された時点で、昇降機構108が再び上昇され、第1フォーク109に保持されているスタック107を持ち上げ、装置上部に配置されたピックアップシリンダ113が最上位のシート材111に届く位置まで上昇される。
【0073】
ここでの図示は省略しているが、S9では、シート材111を1枚ずつ分離させるマグネット116がシート材111の側面に倣うように進入し磁力でシート材を分離させる。
【0074】
S10では、ピックアップシリンダ113の先端に設けられたバキュームカップ112によって、スタック107の最上位のシート材111が吸着されて上昇される。
【0075】
S11では、S10にてシート材111が受け渡しステージ115に移送された後、シャトル114はバキュームカップ112及びピックアップシリンダ113などをディスタックステージ106上の原位置へ戻すように動作する。
【0076】
これにより、昇降機構108に載置されるスタック107のシート材111の消費に従って、昇降機構108によりスタック107の最上位のシート材111の高さ位置が調整されつつ、スタック107の最上位のシート材111に対して順にピックアップ・吸着・移送が繰り返されて、シート材111が1枚ずつプレス機械へ搬送供給されることになる。
【0077】
S12では、昇降機構108に載置されているスタック107のシート材111の残量がある一定量となると、スタック107の下面に第2フォーク110を進入させると共に、昇降機構108を下降させる。
【0078】
S13では、スタック107の残りのシート材111を第2フォーク110によって保持し、昇降機構108に代わって第2フォーク110によってスタック107の残りのシート材111を支持した状態で、シート材111のピックアップ・吸着・移送を継続する。
【0079】
S14では、昇降機構108が下降し下降端となると、次スタック107が積載されたパレット102が、ディスタックステージ106に移送され、上述したS1、S3〜S14の動作が繰り返される。
【実施例2】
【0080】
本実施の形態の実施例2に係るシート状部材搬送装置の各部の動作の様子を、図6のタイミングチャートを示す。
実施例2は、実施例1に対して、第1フォーク109が上下方向への移動可能に構成された場合の実施例である。
【0081】
図6において、S1では、スタック搬入ステージ101において、左右ガイドユニット103と、前後ガイドユニット104と、によって位置決めされつつ、スタック107がパレット102に搬入される。
【0082】
S2では、パレット102は、スタック搬入ステージ101から水平移送機構105によってディスタックステージ106へ移送(搬送)される。
【0083】
S3Aでは、第1フォーク109が前進(伸長)され、スタック107の下面とパレット102との間(パレット102の上面側の凹部)に進入する。
【0084】
S4Aでは、スタック107が、第1フォーク109により持ち上げられて上昇され、パレット102から分離される。
【0085】
ここで、実施例2に係る第1フォーク109は上下方向に移動可能に構成されていて、例えば図4に示すように、第1フォーク109を構成している櫛歯や棒状の長尺部材(フォークの進退方向に延在される)を、昇降機構108に載置されたパレット102上面に設けた凹部に進入させ、その状態(図4の状態)から第1フォーク109を上昇させることによって、パレット102から分離してスタック107のみを上昇させることができるように構成されている。
【0086】
実施例2では実施例1のS5,S6は省略され、S7にて、パレット102が水平移送機構105によってスタック搬入ステージ101へ移送され、次スタック107を搬入するための次工程の段取作業(S1)などが可能となる。
【0087】
S8Aでは、空のパレット102が昇降機構108の干渉外に移送された時点で、昇降機構108が上昇され、第1フォーク109に保持されているスタック107を持ち上げて、スタック107を第1フォーク109から受け取り、装置上部に配置されたピックアップシリンダ113が最上位のシート材111に届く位置まで上昇される。なお、第1フォーク109はスタック107を昇降機構108へ渡した後、昇降機構108と干渉しないように収縮されて、原位置まで下降される。
【0088】
ここでの図示は省略しているが、S9では、シート材111を1枚ずつ分離させるマグネット116がシート材111の側面に倣うように進入し磁力でシート材を分離させる。
【0089】
S10では、ピックアップシリンダ113の先端に設けられたバキュームカップ112によって、スタック107の最上位のシート材111が吸着されて上昇される。
【0090】
S11では、ステップ10にてシート材111が受け渡しステージ115に移送された後、シャトル114はバキュームカップ112及びピックアップシリンダ113などをディスタックステージ106上の原位置へ戻すように動作する。
【0091】
これにより、昇降機構108に載置されるスタック107のシート材111の消費に従って、昇降機構108によりスタック107の最上位のシート材111の高さ位置が調整されつつ、スタック107の最上位のシート材111に対して順にピックアップ・吸着・移送が繰り返されて、シート材111が1枚ずつプレス機械へ搬送供給されることになる。
【0092】
S12では、昇降機構108に載置されているスタック107のシート材111の残量がある一定量となると、スタック107の下面に第2フォーク10を進入させると共に、昇降機構108を下降させる。
【0093】
S13では、スタック107の残りのシート材111を第2フォーク110によって保持し、昇降機構108に代わって第2フォーク110によってスタック107の残りのシート材111を支持した状態で、シート材111のピックアップ・吸着・移送を継続する。
【0094】
S14では、昇降機構108が下降し下降端となると、次スタック107が積載されたパレット102が、ディスタックステージ106に移送され、上述したステップ3A〜ステップ13の動作が繰り返される。
【0095】
なお、実施例2では、実施例1と同様の作用効果を奏しつつ、リフト機能を、昇降機構108及び第1フォーク109に持たせた構成としたので、構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進しながら、動作の設定自由度を向上させることができ、種々の要求に応じた動作の変更等への適用範囲などを拡大することができる。また、リフト機能を昇降機構108及び第1フォーク109に持たせたので、昇降機構108の動作が簡略化されるため、実施例1に比べて、より高速なシート材のプレス機械への供給が可能となる。
【実施例3】
【0096】
上述した実施例2では、第1フォーク109は、スタック107を積載したパレット102がディスタックステージ106に搬入された後、スタック107のみをパレット102を搬出が可能な高さまでリフトし、自由になったパレット102の搬出を待って再び下降して、それによりスタック107を昇降機構108に載置し、プレス加工の進行に伴うスタック107の消費(高さ減少)に対応して昇降機構108を上昇させるように構成した場合の実施例について説明した。
【0097】
なお、スタック107を昇降機構108に載置し、プレス加工の進行に伴うスタック107の消費(高さ減少)に対応して昇降機構108を上昇させるように構成した点は、実施例1も同様である。
【0098】
ここで、第1フォーク109と第2フォーク110の双方がともに前進状態(伸長状態)のまま相互干渉を回避することが可能であれば、実施例2において第1フォーク109に与えたリフト機能(上下動機能)を更に拡大して、残量が少なくなったスタック107を第2フォーク110に渡すまで、第1フォーク109のリフト機能を利用して、プレス加工の進行に伴うスタック107の消費(高さ減少)に対応して第1フォーク109を上昇させるように構成することもできる。
この場合には、リフタ等の昇降機構108を省略することが可能となる。
【0099】
なお、第1フォーク109の櫛歯と、第2フォーク110の櫛歯と、が上下方向から見たときに相互に重畳しないよう互い違いに配設することで、上下動方向において、双方がともに前進状態(伸長状態)のまま相互干渉することが回避可能である。
【0100】
このようなことから、実施例3に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)では、第1フォーク109のみにリフト機能(上下動機能)を持たせることで、昇降機構108を省略して構成する。すなわち、図2、図3、図4などにおいて例示されている昇降機構108を省略して構成する。
ここにおいて、本実施例での第1フォーク109は、本発明に係るリフト機構として機能することになる。
【0101】
本実施の形態の実施例3に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)の各部の動作の様子を、図7のタイミングチャートに示す。
【0102】
図7において、S1では、スタック搬入ステージ101において、左右ガイドユニット103と、前後ガイドユニット104と、によって位置決めされつつ、スタック107がパレット102に搬入される。
【0103】
S2では、パレット102は、スタック搬入ステージ101から水平移送機構105によってディスタックステージ106へ移送(搬送)される。
【0104】
S3Bでは、第1フォーク109が前進(伸長)され、スタック107の下面とパレット102の間(パレット102の上面側の凹部)に進入する。
【0105】
S4Bでは、スタック107が、第1フォーク109により持ち上げられて上昇され、パレット102から分離される。
【0106】
ここで、実施例3に係る第1フォーク109は、上下方向に移動可能に構成されていて、第1フォーク109を構成している櫛歯や棒状の長尺部材を、パレット102上面に設けた凹部に進入させ、その状態(図4の状態)から第1フォーク109を上昇させることによって、パレット102から分離してスタック107のみを上昇させることができるように構成されている。
【0107】
実施例3では実施例1のS5,S6は省略され、S7にて、パレット102が水平移送機構105によってスタック搬入ステージ101へ移送され、次スタック107を搬入するための次工程の段取作業(S1)などが可能となる。
【0108】
S8Bでは、第1フォーク109が上昇され、第1フォーク109に保持されているスタック107を、装置上部に配置されたピックアップシリンダ113が最上位のシート材111に届く位置まで上昇させる。
【0109】
ここでの図示は省略しているが、S9では、シート材111を1枚ずつ分離させるマグネット116がシート材111の側面に倣うように進入し磁力でシート材を分離させる。
【0110】
S10では、ピックアップシリンダ113の先端に設けられたバキュームカップ112によって、スタック107の最上位のシート材111が吸着されて上昇される。
【0111】
S11では、ステップ10にてシート材111が受け渡しステージ115に移送された後、シャトル114はバキュームカップ112及びピックアップシリンダ113などをディスタックステージ106上の原位置へ戻すように動作する。
【0112】
これにより、第1フォーク109に支持されるスタック107のシート材111の消費に従って、第1フォーク109のリフト機能によりスタック107の最上位のシート材111の高さ位置が調整されつつ、スタック107の最上位のシート材111に対して順にピックアップ・吸着・移送が繰り返されて、シート材111が1枚ずつプレス機械へ搬送供給されることになる。
【0113】
S12Bでは、第1フォーク109に支持されているスタック107のシート材111の残量がある一定量となると、スタック107の下面に第2フォーク10を進入させると共に、第1フォーク109を下降させる。
【0114】
S13Bでは、スタック107の残りのシート材111を第2フォーク110によって支持し、第1フォーク109に代わって第2フォーク110によってスタック107の残りのシート材111を支持した状態で、シート材111のピックアップ・吸着・移送を継続する。
【0115】
S14Bでは、第1フォーク109が下降し下降端となると、次スタック107が積載されたパレット102が、ディスタックステージ106に移送され、上述したステップ3B〜ステップ13Bの動作が繰り返される。
【0116】
なお、実施例3では、実施例1と同様の作用効果を奏しつつ、リフト機能を、第1フォーク109のみに持たせた構成としたので、実施例1や実施例2のように第1フォーク109から昇降機構108へのスタック107の移し変えが必要ないので、装置全体としての動作が簡略化されるため、実施例1や実施例2に比べて、より高速なシート材のプレス機械への供給が可能となる。
【0117】
以上説明したように、本実施の形態の各実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)によれば、複数枚のシート材111を積層してなるスタック107を、パレット102に載置して搬入した後、スタック107をパレット102から分離して第1フォーク109に支持させることで、パレット102だけを抜き出してパレット102を原位置(スタック搬入ステージ101)へ戻すことを可能にしたので、パレット102に対して次のスタック107の準備作業を行うことが可能となり、従来のように複数のパレットの配置が必要な構成を採用しなくて良いので、構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進することができる。
【0118】
また、実施例1では、スタック107から1枚ずつシート材111を取り出すディスタックステージ106において、スタック107を載置しているパレット102と、スタック107と、を上下方向に分離するためのリフト装置及びシート材111の消費(プレス機械への供給)に合わせてスタック107を上下方向に移動させるためのリフト装置を、実施例1では昇降機構108のみで構成し、パレット102の抜き取りの際にはスタック107を第1フォーク109により一時的に支持すると共に、スタック107の消費が進み次のスタック107を昇降機構108が迎えに行く際には、残り少なくなったスタック107を第2フォーク110により一時的に支持するといった効率の良いシステム構成を採用したので、比較的複雑で高価な昇降装置を少なくすることができ、以って構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進することができる。
【0119】
また、実施例2では、リフト機能を、昇降機構108及び第1フォーク109に持たせた構成としたので、構成の簡略化や省スペース化、低コスト化などを促進しながら、動作の設定自由度を向上させることができ、種々の要求に応じた動作の変更等への適用範囲などを拡大することができる。また、リフト機能を昇降機構108及び第1フォーク109に持たせたので、昇降機構108の動作が簡略化されるため、実施例1に比べて、より高速なシート材のプレス機械への供給が可能となる。
【0120】
また、実施例3では、リフト機能を、第1フォーク109のみに持たせた構成としたので、実施例1や実施例2のように第1フォーク109から昇降機構108へのスタック107の移し変えが必要ないので、装置全体としての動作が簡略化されるため、実施例1や実施例2に比べて、より高速なシート材のプレス機械への供給が可能となる。
【0121】
そして、本実施の形態の各実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)によれば、従来の装置のように、スタックを外部から装置に搬入(供給)するためのスタック搬入(供給)ステージを2箇所設ける必要がないので、設置スペースを省スペース化を促進することができる。
【0122】
また、本実施の形態の各実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)によれば、スタック搬入ステージを1箇所設ければ良いため、従来の装置のように、複数のスタック供給ステージ毎にスタックの前後・左右の位置決めのためのガイドユニットなどを必要としないため、構成の簡略化による低コスト化を図ることができると共に、作業者の歩行ロス、監視・メンテナンス箇所などを削減することができ作業効率を改善することができる。
【0123】
すなわち、本実施の形態の各実施例に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)によれば、簡単かつ低コストでコンパクトな構成として、設置スペースや運用スペースを削減することができると共に、製造コストの低減延いては生産効率の向上に貢献しつつ、スタックから連続的にシート材を順次取り出して工程下流側に供給することができる。
【0124】
なお、本実施の形態の各実施例においては、複数枚のシート材(シート状部材)を積層したスタックからシート材を取り出してプレス機械へ供給する場合について説明したが、本発明に係るディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)は、プレス機械へのブランク或いは中間製品の供給更には完成品の搬送等に限定されるものではなく、シート状部材を搬送するものであれば特に限定されるものではない。また、本発明においてシート材の材質は金属に限定されるのもではなく、紙、ガラス、樹脂、木その他の材質にも適用可能であり、またシート状には単一の部材の形状が含まれるが、これに限らず、複数の部材が結合されたダンボールなどの複合部材の形状も含むことができる。
【0125】
ところで、本実施の形態の各実施例においては、1つのディスタックステージ106に対して、スタック搬入ステージ101を一箇所設けた構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、設置スペース的に許容される場合や、搬送速度の高速化を実現する場合や、或いは、種類の異なるシート状部材毎に積層したスタックを種類の異なるスタック毎に搬送するような場合で予め種類が異なるスタック毎にスタック搬入ステージが設けられているような場合には、1つのディスタックステージ106に対して、スタック搬入ステージを複数箇所設けた構成とすることもできる。
【0126】
以上で説明した本発明に係る実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、簡単かつ低コストでコンパクトな構成として、設置スペースや運用スペースを削減することができると共に、製造コストの低減延いては生産効率の向上に貢献しつつ、スタックから連続的にシート材を順次取り出して工程下流側に供給することができるシート状部材搬送装置を提供することができ有益である。
【符号の説明】
【0128】
100 ディスタックフィーダ(シート状部材搬送装置)
101 スタック搬入(供給)ステージ
102 パレット
103 左右ガイドユニット
104 前後ガイドユニット
105 水平移送機構
106 ディスタックステージ
107 スタック(束)
108 昇降機構(リフタ)
109 第1フォーク
110 第2フォーク
111 シート材(シート状部材)
112 バキュームカップ
113 ピックアップシリンダ
114 シャトル(搬送機構)
115 受け渡しステージ
116 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート状部材が積層されたスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送供給するシート状部材搬送装置であって、
スタックを搬入するスタック搬入ステージと、
前記スタック搬入ステージから移送されたスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出すディスタックステージと、
を備えると共に、
パレットに載置されたスタックと、パレットと、の間に進入する第1フォークにスタックを載置することで、スタックとパレットとを分離するスタック分離機構と、
前記スタック分離機構により分離されたスタックを所定高さ位置へ上昇させるリフト機構と、
所定高さ位置のスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送する搬送機構と、
前記所定高さ位置のスタックのシート状部材の残量が所定となったときに、第2フォークにより、その残りのシート状部材を支持する残シート状部材支持機構と、
を含んで構成され、
前記残シート状部材支持機構により残りのシート状部材を支持した状態において、前記搬送機構により下流工程へのシート状部材の搬送を継続しつつ、前記リフト機構を下降させて、パレットに載置された次のスタックを、前記スタック分離機構によりパレットから分離して前記リフト機構に載置して、前記残シート支持機構により支持される残りのシート状部材が消費されたら、前記搬送機構が該次のスタックの最上位からシート状部材を少なくとも1枚ずつ取り出して下流工程へ搬送供給するように構成したことを特徴とするシート状部材搬送装置。
【請求項2】
分離されたパレットを前記ディスタックステージへ戻す移送機構を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のシート状部材搬送装置。
【請求項3】
前記スタック搬入ステージは、1つのディスタックステージにつき1つ備えられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート状部材搬送装置。
【請求項4】
前記リフト機構は、第1フォークに備えられることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のシート状部材搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170980(P2012−170980A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35315(P2011−35315)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)