説明

シート積載装置、シート処理装置及び画像形成システム

【課題】用紙の種類あるいはカールの有無に拘わらずシートの整合を可能とし、確実にシートを積載する。
【解決手段】シートを積載するシフトトレイ202と、搬送されてきたシートをシフトトレイ202上に排紙する排紙ローラ対6と、シフトトレイ202を昇降させる昇降機構14と、排紙ローラ対6によって排紙されるシートをシフトトレイ202上に移動させる前に一時積載する補助トレイ13と、補助トレイ13をシフトトレイ202上に進出後退させる補助トレイ駆動機構400と、補助トレイ13の上面及び下面に沿って配置され、補助トレイ13の進出後退動作と連動してシートの移動を制御するとともにシートを整合する補助トレイベルト402と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート積載装置、シート処理装置及び画像形成システムに係り、特に、搬入された用紙、記録紙、転写紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、単に「シート」と称す)を排紙時に一時的に積載する補助トレイを備えたシート積載装置、このシート積載装置を備えたシート処理装置、及び前記シート積載装置、あるいはシート積載装置を備えたシート処理装置と、複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置と含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置から排出されたシートに対して種々の処理、例えば、整合、綴じ、折り、製本などの後処理を行うシート処理装置、ここでは後処理を行うことからシート後処理装置と称される装置が知られ、広く使用されている。このようなシート後処理装置では、シートを排紙トレイに排出するとき、用紙の種類、サイズ、あるいは使用環境により、既に排出されているシートをこれから排出されるシートが押し出し、あるいは積載されたシートが貼り付いて整合不良が生じ、揃え精度が悪くなる場合があった。この対策として従来機では補助トレイを使用し、一度補助トレイに積載してからトレイに積載し、あるいは、トレイ排出後、搬送方向とは逆の方向に回転するコロ(戻しコロとも称される。)によりシート搬送方向とは反対の方向に搬送し、トレイ端面に突き当て用紙を整合することが行われていた。
【0003】
このような技術として、例えば特許文献1(特開平10−324449号公報)に記載された発明が公知である。この発明は、処理トレイ上へと排出されたシートの座屈を防止するため、画像形成手段から搬送されたシートを処理トレイ上へと排出する排出手段と、排出手段の下方で且つ処理トレイの上方に位置すると共に所定方向に進退動可能な補助トレイと、排出手段若しくは排出手段のシートの排出方向上流側に配置され搬送シートを検知する検知手段と、補助トレイを進退駆動させる駆動手段と、検知手段によるシート検知結果に基づいて駆動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするもので、トレイ排出時に一度補助トレイに積載してからトレイに排出するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の発明では、シートをシート排紙方向とは逆の方向に戻す戻しコロと補助トレイが同位置に来て干渉し、あるいはコート紙などのようにシート間の摩擦が大きいシートの場合にシートが貼り付いて座屈し、戻しコロではシートを整合することができない場合があった。このように整合が良好に行われないと、積載トレイへの積載枚数が増えたとき、あるいはシートのカールの積み上がりによってシートがズレてしまう。その結果、積載トレイの設計上の積載枚数に至る前にシート束が崩れ、設計枚数まで積載することができなくなっていた。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、用紙の種類あるいはカールの有無に拘わらずシートの整合を可能とし、確実に積載トレイにシートを積載することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、シートを積載する積載手段と、搬送されてきたシートを前記積載手段上に排紙する排紙手段と、前記積載手段を昇降させる昇降手段と、前記排紙手段によって排紙されるシートを前記積載手段上に移動させる前に一時積載する一時積載手段と、前記一時積載手段を前記積載手段上に進出後退させる進出後退駆動手段と、前記一時積載手段の上面及び下面に沿って配置され、前記一時積載手段の進出後退動作と連動して前記シートの移動を制御するとともにシートを整合する移動整合手段と、を備えたシート積載装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙の種類あるいはカールの有無に拘わらずシートの整合を可能とし、確実にシートを積載することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るシート後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1における端面綴じ処理トレイをトレイの積載面側から見た概略構成図である。
【図3】図1における端面綴じ処理トレイ及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図1における放出ベルトの動作を示す斜視図である。
【図5】図1に示したシート後処理装置の排紙部の構成を示す要部斜視図である。
【図6】図5に示した排紙部の拡大図である。
【図7】シートがシフトトレイ側に排紙されるときの動作を示す動作説明図である。
【図8】シートが補助トレイ上に積載されたときの状態を示す図である。
【図9】シートが補助トレイからシフトトレイ側に移されるときの動作を示す図で、補助トレイ後退時の状態を示す。
【図10】シートが補助トレイからシフトトレイ側に移されるときの動作を示す図で、補助トレイから下方に落下して積載されるときの状態を示す。
【図11】図10の状態でシフトトレイに積載されたシートを整合する動作を示す図である。
【図12】シート後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、初シート放出時に補助トレイに一度積載し、その後、補助トレイから排紙トレイにシートを移動させることによって、既に積載されている用紙との接触を減らし、また、排出後は補助トレイ下面でシートを整合することにより、シートの貼り付きを防止し、整合性を確保して積載性の向上を図ったことを特徴とする。
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係るシート処理装置としてのシート後処理装置PDと画像形成装置PRとからなる画像形成システムを示すシステム構成図である。
【0012】
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像をシートに転写する転写装置、及びシート転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着されたシートをシート後処理装置PDに送り出し、シート後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施形態では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
【0013】
シート後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出されたシートはシート後処理装置PDに導かれる。シート後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記シートは、1枚のシートに後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット50)を有する搬送路Aへまず搬送される。
【0014】
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ導く搬送路Cである。搬送路Dは整合及びステープル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に導く搬送路Dである。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0015】
このシート後処理装置では、シートに対して、穴明け(パンチユニット50)、シート揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じステープラS1)、シート揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じステープラS2)、シートの仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが処理に応じて選択される。また、搬送路Dはシート収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
【0016】
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れるシートを検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット50、パンチかすホッパ50a、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変更し、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへシートを振り分ける。
【0017】
搬送路Bへシートを導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、シートは搬送ローラ3から上排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへシートを導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、シートは搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、シートの仕分けが行われる。シートの仕分けは、(シフト)排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202をシート搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とによって行われる。
【0018】
搬送路Dへシートを導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15及び分岐爪16ともに上方に回動した状態となり、シートは搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれたシートは、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びステープル等を施されたシートは、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、シート束PBは排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれたシート束PBは、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り下排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
【0019】
他方、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送されるシートの後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9,10、ステープル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、シートをターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、シート後端からシートをシート収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次シートと重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上のシートを重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304はシートをプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
【0020】
搬送路Dに導かれ、シート揃えと端部綴じを行う場合、ステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、シート毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(シート搬送方向と直交する方向−シート幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、シート束PBの最終紙から次のシート束先頭紙までの間で、後述のCPU101からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われたシート束PBは、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)により排紙ローラ対6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
【0021】
放出ベルト52は図2及び図4に示すようにシート幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
【0022】
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束PBを交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これからシート束PBを移動させるように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束PBの搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
【0023】
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容されたシート束PBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出されたシートPは、シート毎に叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載されたシート後端がカールしていたり、腰が弱かったりするとシート自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次のシートが入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、シート後端PTの膨らみを少なくしてシートPが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、シートP若しくはシート束PBを直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
【0024】
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれシート検知センサであり、設けられた位置におけるシートの通過の有無、若しくはシートの積載の有無を検知する。
【0025】
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れたシートの幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側にシート後端PTが当接し、保持されるスタック面51a1,51b1を備え、シート後端PTを2点で支持するようになっている。整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施され、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後のシート束PBは、後端基準フェンス51a,51bによって所定位置まで持ち上げられ、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
【0026】
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートPは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出されるシートPの枚数が1枚の場合、シート毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51との間で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(シート搬送方向と直交するシート幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれたシートに間欠的に作用してシート後端PTを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は図示反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後一対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、シート幅方向に対称に近接・離間するように往復移動する。
【0027】
図1に戻って、端面綴じ処理トレイFのシート搬送方向下流側には、シート束偏向機構が設けられている。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束PBを送る搬送路、及びシート束PBを搬送する搬送手段は、シート束PBに搬送力を与える搬送機構35、シート束PBをターンさせる放出ローラ56、シート束PBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
【0028】
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によってシート束PBを挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
【0029】
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束PBをターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束PBを搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束PBを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合されたシート束PBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間でシート束PBを挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、シート束PBの先端にぶつからないような位置で待機している。次に、シート束先端が通過してからシート表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、シート束PBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
【0030】
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなるシート束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記シート束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
【0031】
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、シート搬送方向に直交する方向(シートの幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、シートの幅方向に所定の間隔をおいて二対設けられている。
【0032】
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構によりシート搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記シート束偏向機構から離れる方向とシート束PBの後端(シート束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
【0033】
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られたシート束PBを搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされたシートを検出するための折り部通過センサ、符号321はシート束PBが中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
【0034】
また、この実施形態では、下トレイ203に中折りされたシート束PBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
【0035】
図5は図1に示したシート後処理装置の排紙部Jの構成を示す要部斜視図である。同図において、排紙部Jは、シフトトレイ202、排紙ローラ対6、補助トレイ13、シフトトレイ202を昇降させる昇降機構14から主に構成されている。
【0036】
昇降機構14は、昇降モータ14a、昇降モータ14aの駆動力を昇降ベルト14cに伝達する減速歯車機構14b、減速歯車機構14bの最終段の歯車に同軸に設けられた駆動プーリ14dと図1に示すように駆動プーリ14dからシート後処理装置PDの側面の所定高さ下がった位置に設けられた従動プーリ14e間に張設された無端状の昇降ベルト14cとを備え、シフトトレイ202の両側の基部202aが対として設けられた昇降ベルト14cにそれぞれ連結され、前記モータ14aの回転により昇降する。なお、モータ14aは後述のCPU101によって制御される。
【0037】
補助トレイ13は排紙出口(排紙ローラ対6のニップ)より下方、排紙トレイ202の上面に位置し、排紙トレイ202へ排紙されるシートを一時スタックし、中継してシフトトレイ202に排紙する。
【0038】
補助トレイ13は、図6の排紙部Jの拡大図に示すように、補助トレイを進出後退させる補助トレイ駆動機構400及び補助トレイ13の進出後退に追従して移動する補助トレイベルト402を備えている。補助トレイ駆動機構400は、補助トレイ駆動機構400の駆動源である補助トレイ駆動モータ400a、補助トレイ駆動モータ400aの駆動軸に同軸に設けられたピニオン400b、補助トレイのシート後処理装置本体側の端部に設けられ、前記ピニオン400bが噛み合うラック400cを含み、シート搬送方向と直交する方向に設けられた第1及び第2の一対のガイド軸411,412に支持された状態で進出後退動作が可能である。
【0039】
補助トレイベルト402は、一端側が補助トレイ13の上面から先端部(シート搬送方向下流側の端部)13aを経て下面側に回り込み、第2のガイド軸412と補助トレイ13の間を通って第1の補助トレイベルト駆動モータ401の回転軸に連結され、他端側は補助トレイ12の上面側に配置された第2の補助トレイベルト駆動モータ403の回転軸に連結されている。
【0040】
図7はシートPがシフトトレイ202側に排紙されるときの動作を示す動作説明図である。図7に示すように、排紙ローラ対6により機外へ導かれたシートPはまず補助トレイ13に積載される。このとき、シート排出毎に補助トレイ駆動モータ400が排出されるシートPと同じ速度で補助トレイ402を搬送方向と同じ向きD1に移動させ、この移動に追従して補助トレイベルト402が補助トレイ402とともに伸張する。この伸張動作時には、第1及び第2の補助トレイベルト駆動モータ401,403がそれぞれ補助トレイベルト402を繰り出す方向に回転する。この動作は、シート排出毎に行われ、これにより、シートPと補助トレイベルト402との接触位置が変わることなく補助トレイ13に積載される。図8はシートPが補助トレイ13上に積載されたときの状態を示す図である。
【0041】
その後、シートPは補助トレイ13からシフトトレイ202側に移される。図9及び図10はこのときの動作を示す図である。
シートPが補助トレイ13に積載される前、又は積載中にシフトトレイ202は紙面検知センサ330によってシフトトレイ202に積載されているシート束PBの高さを検知し、補助トレイ13からシートPを受け取るために、シート受け取り位置まで上昇する(矢印D5方向)。図8に示すようにシートP全体が補助トレイ13に積載された後、図9に示すように第1の補助トレイベルト駆動モータ401が補助トレイベルト402を巻き付ける方向(矢印D3方向)に、第2の補助トレイベルト駆動モータ403が補助トレイベルト402を送り出す回転し、また、補助トレイ駆動モータ400は補助トレイ12を搬送方向と逆の方向(矢印D4方向)に移動(後退)させる。これと並行して、補助トレイ13をシート後処理装置PD本体側に後退させると、シートPはほぼ同一位置に保ったまま図10に示すようにシフトトレイ202上に下ろされ、積載される。
【0042】
図11は、図10の状態でシフトトレイ202に積載されたシートPを整合する動作を示す図である。整合はシート搬送方向の整合であり、前述の従来技術では戻しコロが行っていた動作である。本実施形態では、戻しコロに代えて補助トレイベルト402を使用する。そのため、シフトトレイ202上のシートPの上面が補助トレイベルト402に接触する位置まで上昇させ(矢印D5方向)、補助トレイベルト402を搬送方向と逆の方向(矢印D3方向)に回転させる。このときの第1及び第2の補助トレイベルト駆動モータ401,403の回転方向はシートPをシフトトレイ202上に下ろすときと同様である。このようしてシートPは搬送方向と逆方向に移動させられ、エンドフェンス210にシート後端が突き当たり、シート搬送方向の整合が行われる。
【0043】
図12はシート後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置PDはCPU101、I/Oインターフェイス102等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU101には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネル105の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイス103を介して入力され、CPU101は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU101は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイス102を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU101が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0044】
また、図12におけるシート後処理装置PDの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネル105から行われ、画像形成装置PRと操作パネル105は通信インターフェイス106を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからはシート後処理装置PDへ操作パネル105からの操作信号が送信され、また、シート後処理装置PDの処理状態や機能が操作パネル105を介してユーザ又は作業者に通知される。
【0045】
したがって、画像形成装置PRの操作パネル105から補助トレイ13を使用する必要のある紙種が選択され、あるいはユーザが直接補助トレイ13の使用を選択すると、画像形成装置PRのCPUがシート後処理装置PDのCPU101に補助トレイ13の使用を指示し、シート後処理装置PDでは、指示されたシート1枚毎に補助トレイ13の進出後退動作、シフトトレイ202へのシート移行動作及び整合動作を繰り返し、対象となるシートをシフトトレイ202上に積載する。
【0046】
このとき、シートPは補助トレイ13まで排出され、補助トレイベルト402の走行動作によりシートはシフトトレイ202の上方(搬送方向下流側の傾斜面の高い位置)に運ばれ、その後、補助トレイ13が搬送方向とは逆の方向に移動するので、シートPの先端がシフトトレイ202上のシートPの上面に突き当たることがなく、シートPの先端の下面側がシフトトレイ202上のシートPの上面に柔らかく接触して積載される。その際、排出されるシートPが既に積載されているシートPに接触するまでの時間も長くなることから、シートPが座屈することがない。また、補助トレイ13が既に積載されたシートの上面との接触することもない。そのため、シートPは確実に整合された状態で積載される。
【0047】
すなわち、シートPは非常に小さな移動距離で補助トレイ13からシフトトレイ202上に移行され、その後、シートP上あるいはシート束PB上で1枚ずつ補助トレイベルト402によって整合される。そして、整合が完了した時点で積載も完了するので、前述の理由によりシートPの貼り付き及び座屈が生じることなく、また、カールの有無に関係なくシートの整合と積載が可能となる。
【0048】
なお、後述の特許請求の範囲におけるシートは本実施形態では符号Pに、積載手段はシフトトレイ202に、排紙手段は排紙ローラ対6に、昇降手段は昇降機構14に、一時積載手段は補助トレイ13に、進出後退駆動手段は補助トレイ駆動機構400に、移動整合手段は補助トレイベルト402、第1及び第2の補助トレイベルト駆動モータ401,403に、制御手段はCPU101に、シート処理装置はシート後処理装置PDに、画像形成装置はPRに、画像形成システムはシフトトレイ202を備えたシート後処理装置PD及び画像形成装置PRからなるシステムに、それぞれ対応する。
【0049】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
6 排紙ローラ対
13 補助トレイ
14 昇降機構
101 CPU
202 シフトトレイ
400 補助トレイ駆動機構
401 第1の補助トレイベルト駆動モータ
402 補助トレイベルト
403 第2の補助トレイベルト駆動モータ
P シート
PD シート後処理装置
PR 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開平10−324449号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載手段と、
搬送されてきたシートを前記積載手段上に排紙する排紙手段と、
前記積載手段を昇降させる昇降手段と、
前記排紙手段によって排紙されるシートを前記積載手段上に移動させる前に一時積載する一時積載手段と、
前記一時積載手段を前記積載手段上に進出後退させる進出後退駆動手段と、
前記一時積載手段の上面及び下面に沿って配置され、前記一時積載手段の進出後退動作と連動して前記シートの移動を制御するとともにシートを整合する移動整合手段と、
を備えたシート積載装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート積載装置であって、
前記移動整合手段は、
前記シートの排紙時には前記一時積載手段を前記積載手段上に進出させるとともに前記移動整合手段をシート搬送方向に移動させ、
前記シートの前記積載手段への積載時には前記一時積載手段を前記積載手段上から後退させ、
前記シートの整合時には前記昇降手段によって前記積載手段を上昇させて前記シートを前記移動整合手段に接触させて当該シートをシート搬送方向と逆方向に移動させること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシート積載装置であって、
前記進出後退駆動手段は、前記排紙手段によって排紙される前記シートの排紙速度と同速で前記一時積載手段を進出させること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項4】
請求項3記載のシート積載装置であって、
前記移動整合手段は、前記一時積載手段が進出するときには、前記排紙速度と同速で前記一時積載手段の上面に沿って前記シートを排紙する方向に移動すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項5】
請求項3記載のシート積載装置であって、
前記移動整合手段は、前記一時積載手段が後退するときには、前記位置積載手段の後退速度と同速で前記一時積載手段の上面に沿って前記シートを排紙する方向に移動すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート積載装置であって、
前記移動整合手段の動作を制御する制御手段を備えていること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート積載装置であって、
前記積載手段上に積載されたシート正面を検知する検知手段をさらに備え、
前記昇降手段による前記積載手段の昇降位置は前記検知手段の検知結果に基づいて設定されること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート積載装置であって、
前記移動整合手段がベルト状部材からなること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート積載装置を備えていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート積載装置を備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図12】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−112479(P2013−112479A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260851(P2011−260851)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】