説明

シーリング材表面の仕上げ方法

【課題】シーリング材の色数を減らしかつ目地部分が周囲の外壁と調和し目立つことのないようにするシーリング材表面の仕上げ方法の提供。
【解決手段】外壁に形成された目地に、着色されたシーリング材を充填後、該シーリング材の表面上に、該外壁の表面の色と調和する色に着色された塗料を塗装する。このとき、着色されたシーリング材の色と塗料の塗膜表面の色との間の分光測色方法で測定したときの色差(ΔE)が20以下であるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材表面の仕上げ方法、特に、建築物の外壁の目地に施与されたシーリング材表面の仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、戸建、集合住宅あるいはビル等の建築物において、それらの外壁はモルタル、コンクリートあるいはサイディング等各種の外壁材で形成されているが、これらの外壁の表面には耐久性と美観を付与する目的で、多様な色や模様に着色塗装され、あるいはタイルや天然石板などが貼られるなどして意匠性が付与されている。そしてこれらの外壁には、目地が形成されており、該目地には、防水と、外壁材の温度差等による膨張や収縮あるいは振動や風圧などによる動きに起因する歪みを吸収する目的で、弾性を有する建築用のシーリング材が充填施工されている。このような建築用のシーリング材としては、充填された目地を目立たないようにするため、予め工場において外壁の表面と調和した色に着色されたものが使用されている。
【0003】
特に、戸建用や集合住宅用の建築物において、予め工場において製造されたサイディングと呼ばれるセラミック系や金属系の乾式の板を使用して外壁を形成する工法が、サイディングを主に木質の骨組みにビスで打ちつけて張り付けるだけの工法、いわゆる乾式工法のため、短期間に施工でき低コストで建築できる利点を有するために広く採用されている。
【0004】
サイディングには、その表面を塗装しない無塗装板と、その表面を工場において予め白系、ベージュ系、アンバー系、黄系、青系等の各種の色に着色したり、石張調、タイル張り調等の模様付けをして意匠性を付与するなどした塗装板とがある。無塗装板の場合は、サイディング外壁の目地にシーリング材を充填、硬化させた後に、シーリング処理した目地の上も含めて外壁全体を塗装するため、シーリング材の色は白やグレーなど少ない色で済むが、塗装板のような予め意匠性を付与したサイディングの場合は、サイディングを製造するメーカーにおいて、それぞれ異なる色や、模様に着色塗装されており、その数は膨大なものとなっている。これに応じて、シーリング材のメーカーにおいてもサイディングの表面の色や模様に調和するような色に着色して製造する必要があり、シーリング材の色の数も500色を超える膨大なものとなっている。したがって、シーリング材を膨大な数の色について色別に製造しなければならない手間と、色別に在庫しておくことによる在庫量の増加とが、製造コストを押し上げる要因となっており、大きな問題となっている。
【0005】
これがもし、何らかの方法により、着色するシーリング材の色の数を低減することができれば、極めて大きな製造の合理化となりコストの大幅な低減に大きく寄与することとなる。
【0006】
この問題の解決方法として、建築物の目地部の奥部にベースシーリング材からなるベース層を設け、その上に外壁色に応じた色に着色した着色シーリング材からなる着色層を層状に設ける目地防水構造が提案されている(特許文献1参照)。しかしこの方法においても、シーリング材を外壁色に応じた色に着色して多数の色数を揃えなければならないという問題は依然として残っている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−156264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、したがって、シーリング材を製造する際の着色する色の数を低減化することにより、シーリング材の製造コストを大幅に低減することができるシーリング材表面の仕上げ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、上記問題は、シーリング材をサイディングの表面の色とは大きく違いのないある程度近似した色に着色することにより、シーリング材を着色する色の数を抑え、この近似した色に着色したシーリング材を施工した後、そのシーリング材の表面に、外壁材料の表面の色と調和するように着色した塗料を塗布することにより解決できることを見出し本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、外壁に形成された目地に、着色されたシーリング材を充填後、該シーリング材の表面上に、該外壁の表面の色と調和する色に着色された塗料を塗装することを特徴とするシーリング材表面の仕上げ方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、目地部分が周囲の外壁と調和し目立つことのない、違和感のない外壁を形成することができるとともに、目地の処理材のうち、その量の大部分を占めるシーリング材を予め工場において製造する際、着色するシーリング材の色の数を抑えることができるため、1色につき大量に生産でき、かつシーリング材の在庫量も大幅に抑えることができるため製造コストを大幅に低減することができる。さらに、工事施工業者においても、在庫しておくシーリング材の量を少なくすることができる利点を有する。
【0012】
本発明においては、シーリング材の表面に上塗りする塗料については、市場にあるサイディングの色相別に製造する必要があるため塗料の色数は多数になるという不利な点があるが、粘度が低いため着色製造が比較的容易であり、かつ塗料の使用量がシーリング材に比べて極めて少ないため、この不利な点は前記の効果に比べ極めて小さいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のシーリング材表面の仕上げ方法について、以下に詳しく説明する。
【0014】
本発明は、建築物の外壁に形成された目地に、目地の処理材として、着色されたシーリング材、好ましくは目地周囲の外壁表面の色と大きな差のない程度に着色されたシーリング材を充填した後、シーリング材が硬化しないうち、あるいはシーリング材が硬化した後に、充填されたシーリング材の表面に、目地周囲の外壁の色と調和するように調色し、着色された塗料を塗布し硬化させるシーリング材表面の仕上げ方法である。
【0015】
先ず、本発明において、シーリング材とシーリング材に上塗りする塗料が施工の対象とする外壁、およびそれに形成される目地について説明する。建築物の外壁としては、オフィスビル、商業ビル、マンション等の高、中、低層のビルの外壁、戸建の外壁、アパート等の集合住宅の外壁など各種挙げられる。外壁を構成する材料(外壁材料)としては、主にビルに用いられる、プレキャストコンクリート板(PC板)、繊維強化コンクリート板等の無機系板、アルミカーテンウォール等の金属系板、主に戸建や集合住宅に用いられる、セメント板、繊維強化セメント板、押出しセメント板等の窯業系サイディング、金属系サイディング、ALC板など各種挙げられる。そしてこれらの外壁材料の表面は、耐久性と美観の付与を目的として、工場において予め、白系、グレー系、ベージュ系、アンバー系、赤系、青系、黄色系、黒系など多種、多様な色に着色する、あるいは、タイル貼り、天然石貼りのような外観を呈すように模様付けをするなどする意匠性を付与する塗装がされている。また、前記外壁材で無地のものに、本物のタイルや天然石を貼りつけて意匠性を付与した外壁材も挙げられる。これら外壁材料のうち、本発明の効果を最大限に発揮できる点で、表面に着色または意匠性が付与された窯業系や金属系のサイディング材が好ましい。
【0016】
これらの、表面に着色または意匠性が付与された外壁材料同士を張り合わせて外壁を形成したり、これらの外壁材料と、外壁を構成するサッシ材料等の他の材料とを組み合わせて張る場合、張り合わせ部分には、材料相互の膨張により反りが生じるのを防止するため、緩衝部分となる目地が設けられる。この目地は通常3〜20mmの幅で設計される。そして、この目地には、雨漏りを防ぐ防水と、部材の膨張や収縮等による歪を吸収する目的で建築用のシーリング材を充填し、硬化させゴム状の弾性硬化物を形成させる。
【0017】
次に、本発明において使用する、建築用のシーリング材について説明する。建築用のシーリング材は、硬化成分としての硬化性樹脂に着色材料と各種添加剤を配合して着色されたものを使用する。シーリング材の色は、後述するように、着色または意匠性を付与した外壁材料の表面の色に調和するような色に着色された塗料をシーリング材の上に塗装するためシーリング材は塗料の下に隠れるので、極端に言えば白系やグレー系の2色程度の色に着色しておけばよいのであるが、シーリング材と上塗り塗膜の色相が大きく異なっていると、上塗りした塗膜が傷つけられるなどして剥離したとき、剥離した部分が目立ち美感が損なわれるため、シーリング材の色を、外壁材の表面色および上塗りする塗料の色から目立たない程度に近い色にしておくのが好ましい。すなわち、シーリング材を1色で数色のサイディングに対応できるように着色しておけば、シーリング材の色の数は、サイディング表面の色種の数および上塗りする塗料の色数を下まわることができ、シーリング材を製造するときの色の数を減少できる。このときのシーリング材の色の数は、上塗りする塗料の色の数の1/2以下、さらに1/5以下、特に1/10以下が好ましい。
【0018】
前記の“上塗りする塗料の色と目立たない程度に近いシーリング材の色”とは、シーリング材と塗料の色の比較において、JIS Z 8722(2000)「色の測定方法」に規定する分光測色方法により測定したとき、JIS Z 8730(1995年)「色の表示方法−物体色の色差」のL*a*b*表色系による色差ΔE*が20以下、さらに0.5〜10、よりさらに0.6〜10、特に0.6〜5が好ましい。
【0019】
前記シーリング材の色以外の性質としては、硬化性樹脂のタイプ別では、ウレタン系、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系などの各種シーリング材が挙げられるが、作業性が良好で、硬化後のゴム弾性物性、接着性、耐久性などに優れている点で、ウレタン系シーリング材、変成シリコーン系シーリング材が好ましい。
【0020】
硬化様式に関しては、大気中の水分(湿気)や酸素により硬化する1液硬化型シーリング材、あるいは主剤と硬化剤さらには触媒などを混合して硬化させる、2液や3液等の多液硬化型シーリング材が挙げられるが、主剤と硬化剤を混合する手間がなく、さらに混合不良による硬化不良等の不具合もなく作業性に優れている点で1液硬化型シーリング材が好ましく、さらに1液湿気硬化型シーリング材が好ましい。
【0021】
前記ウレタン系シーリング材は、ウレタン系の硬化性樹脂を硬化成分として含有するものであり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる1液湿気硬化型のウレタン系シーリング材、主剤として後述のポリオールと、硬化剤として後述の有機イソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン系シーリング材が挙げられる。
【0022】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、具体的には、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。
【0023】
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として場合により用いる有機モノイソシアネートが挙げられ、さらに有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素に結合している芳香族系有機ポリイソシアネートや、イソシアネート基が脂肪族炭化水素に結合している広義の脂肪族系有機ポリイソシアネート(これには芳香脂肪族系有機ポリイソシアネートと狭義の脂肪族系有機ポリイソシアネートが含まれる)などが挙げられる。
【0024】
芳香族系有機ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類)、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートあるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート類(TDI類)、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
芳香脂肪族系有機ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられ、狭義の脂肪族系有機ポリイソシアネートとしては脂肪族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートなどが挙げられ、脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0026】
また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
【0027】
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合により用いる有機モノイソシアネートとしては、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミンの他、場合により使用する鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。
【0029】
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0030】
高分子ポリオールの数平均分子量は、500以上、さらに1,000〜100,000、よりさらに1、000〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。数平均分子量が500未満では、得られる硬化性組成物の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が悪化し、100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、作業性が悪くなるため好ましくない。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、または酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0032】
また、例えば、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0033】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0034】
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
【0035】
ポリオキシアルキレン系ポリオールの1分子当たり平均アルコール性水酸基の数は2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個が好ましい。
【0036】
さらに、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を触媒として使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下でき、かつ得られる硬化組成物の硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
【0037】
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
【0038】
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
【0039】
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0040】
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合したものなどが挙げられる。
【0041】
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
【0042】
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の他、前述のポリオキシアルキレンポリオールで、数平均分子量が500未満の低分子量のもの、またはこれらの2種以上の混合物が例示される。
【0043】
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、得られる硬化性組成物のゴム弾性物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、さらにポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが最も好ましい。
【0044】
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオール、場合により更に鎖延長剤の活性水素(基)とのイソシアネート基/活性水素(基)の当量比は、1.1〜5.0/1.0が好ましく、更に1.3〜2.0/1.0が好ましい。このようにして得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、特に0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは0.4〜5.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。また、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、炭酸ガスによる発泡を防止することが困難になるため好ましくない。
【0045】
前記変成シリコーン系シーリング材は、架橋性シリル基含有樹脂(変成シリコーン樹脂とも称す)を硬化成分として含有するものであり、架橋性シリル基含有樹脂からなる1液湿気硬化型の変成シリコーン系シーリング材、主剤として架橋性シリル基含有樹脂と、硬化剤として有機錫化合物などからなる2液硬化型変成シリコーン系シーリング材が挙げられる。
【0046】
架橋性シリル基含有樹脂としては、例えば、特開昭52−73998号公報、特開昭55−9669号公報、特開昭59−122541号公報、特開昭60−6747号公報、特開昭61−233043号公報、特開昭63−6003、特開昭63−112642号公報、特開平3−79627号公報、特開平4−283259号公報、特開平5−287186号公報、特開平11−80571号公報、特開平11−116763号公報、特開平11−130931号公報中に開示されているもの、具体的には、分子内に架橋性シリル基を含有する、主鎖がビニル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタンジエンなどの脂肪族炭水化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ポリサルファイド重合体、これらの共重合体、混合物などが挙げられる。この架橋性シリル基が、湿気により加水分解、縮合して硬化が進行するものであり、架橋性シリル基は、組成物の硬化性や硬化後の物性などの点から、分子内に0.4個以上、特に1.0〜5.0個含まれるのが好ましい。更に、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
【0047】
【化1】

【0048】
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる加水分解性の基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整数であり、0又は1が最も好ましい。)
【0049】
架橋性シリル基の主鎖への導入は、例えば、以下の公知の方法で行うことができる。
【0050】
(A)末端に水酸基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系やビニル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物(例えばアリルイソシアネート)を反応させ、次いで、得られる反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0051】
(B)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系やビニル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基及び架橋性シリル基を有する化合物を反応させる。
【0052】
この反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物としては、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、ビニル型不飽和基含有シラン類、塩素原子含有シラン類、イソシアネート基含有シラン類、ハイドロシラン類などが挙げられる。
【0053】
(C)重合性不飽和結合と架橋性シリル基を有する化合物(例えば、CH=CHSi(OCH やCH=CHCOO(CHSi(OCH)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合させる。
【0054】
(D)重合性不飽和結合と官能基を有する化合物(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリル酸アリルなど)を(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に添加して共重合させ、次いで生成する共重合体を前記の反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH 基を有する化合物や、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどの加水分解性基を有するヒドロシラン類)と反応させる。
【0055】
架橋性シリル基含有樹脂の具体的な商品例としては、主鎖がポリオキシプロピレン系のものとして、カネカ社製のカネカMSポリマーのS203やS303、旭硝子社製のエクセスターのES−S2410、ES−S2420、ES−S3610、ES−S3620、ES−S3630などが挙げられ、主鎖がアクリル変性したポリオキシプロピレンであるものとして、カネカ社製のカネカMSポリマーのS903、MSX908、MSX911などが挙げられる。また、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成で挙げたのと同様のポリオールと有機モノイソシアネートとをウレタン化反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂も挙げられる。
【0056】
架橋性シリル基含有樹脂のGPCによるポリスチレン換算の数平均分子量は1,000以上、特に6,000〜30,000で、主ピーク(ピーク面積の50%を超える面積を有するピーク)の分子量分布が1.6以下、特に1.0〜1.3、の狭いものが、硬化性組成物の粘度が低いため取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラスなどの物性が優れており、かつ内部硬化性に優れ、本発明の効果を最大限に発揮できる点で好ましい。
【0057】
前記シリコーン系シーリング材は、シリコーン樹脂を硬化成分として含有し、これに後述する各種添加剤を配合してシーリング材としたものである。シリコーン樹脂は主鎖がオルガノポリシロキサンであり、分子内に架橋性シリル基を含有する樹脂である。
【0058】
前記ポリサルファイド系シーリング材は、液状ポリサルファイド樹脂を硬化成分として含有し、これに潜在性硬化剤としてBaO、CaO等のアルカリまたはアルカリ土類金属の過酸化物を配合し、さらに後述する各種添加剤を配合してシーリング材としたものである。
【0059】
本発明におけるシーリング材に添加する着色材料は、シーリング材をサイディングなどの外壁材料で形成された目地に充填し硬化させたとき、目地周囲の外壁材料表面の色と完全に調和していなくても、目地の部分が明瞭に目立たないように、ある程度近い色にシーリング材を着色しておくために使用するものであり、着色材料としては具体的に、染料や顔料などが挙げられ、耐候性が良好で変退色の少ない点で顔料が好ましい。
【0060】
前記染料としては公知のものでよく、例えば、ローダミン、マラカイトグリーン等の塩基性染料、コンゴーレッド等の直接染料、メタニルイエロー、アシッドファーストレッド等の酸性染料等の含金属錯塩染料、ソルベントイエロー、ソルベントレッド、オイルブルー等の油溶性染料などが挙げられる。
【0061】
前記顔料としては公知のものでよく、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、酸化鉄ブラック、酸化クロムグリーン等の金属酸化物系顔料、チタンイエロー、コバルトイエロー、コバルトグリーン、コバルトブルー等の複合金属酸化物系顔料などの無機系顔料、モノアゾイエロー等のアゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料、インダンスロン、キナクリドン等の縮合多環顔料などの有機系顔料などが挙げられる。
【0062】
着色材料でシーリング材を着色する方法は、硬化性樹脂に着色材料を直接添加して撹拌し分散させる方法、あるいは、後述する添加剤のうちジオクチルフタレート等の可塑剤やミネラルスピリット等の高沸点の有機溶剤などの常温で液状の化合物に予め着色材料を3本ロールやディゾルバーなどを用いて分散させて製造したトナーを、硬化性樹脂に混合して着色する方法などあるが適宜選択すればよい。
【0063】
本発明において用いる着色されたシーリング材には、さらに添加剤を配合することができ、添加剤としては、例えば、可塑剤、耐候安定剤、架橋触媒、充填剤、カップリング剤(その部分加水分解縮合物を含む)、揺変剤、保存安定性改良剤(脱水剤)などが挙げられる。
【0064】
可塑剤は、硬化性組成物の粘度を下げて作業性を改善するために使用され、耐候安定剤は、硬化樹脂の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用されるものである。耐候安定剤としては具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0065】
可塑剤としては、具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類、塩素化パラフィン、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるポリエーテルポリオールをエーテル化又はエステル化などしたポリオキシアルキレン類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンの液状オリゴマー類、ポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水素添加ポリブテンなどの液状オリゴマー類などが挙げられ、前記硬化性樹脂と反応しないものが用いられる。
【0066】
可塑剤は、硬化性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部、特に2〜50質量部配合するのが好ましい。
【0067】
酸化防止剤としてはヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられ、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物が挙げられる。また、旭電化工業社製、商品名アデカスタブLA−63P、LA−68LDなどの高分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤も挙げられる。
【0068】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
【0069】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0070】
耐候安定剤は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部、特に0.1〜10質量部配合するのが好ましい。
【0071】
架橋触媒は、硬化性樹脂の硬化を促進する触媒であり、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄などの金属とオクテン酸、ナフテン酸などの有機酸との金属塩、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、EXCESTAR C−501(旭硝子社製)などの有機金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等を用いることができる。
【0072】
架橋触媒は、硬化性樹脂100質量部に対して、10質量部以下、特に5質量部以下配合するのが好ましい。
【0073】
充填剤、カップリング剤(その部分加水分解縮合物を含む)、揺変剤、保存安定性改良剤(脱水剤)は、補強や増量、接着性向上、だれ防止、保存安定性向上などのために、本発明におけるシーリング材に配合して使用することができる。
【0074】
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカ等の合成シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの無機粉末状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンなどの無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤、あるいはこれらの表面を脂肪酸などの有機物で処理した充填剤、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレンなどの粉末や中空体、サランマイクロバルーンなどの有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。
【0075】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、具体的には、メチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物及び/又はこれらシラン系カップリング剤の1種又は2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物が挙げられる。
【0076】
揺変剤としては、コロイダルシリカ、前記脂肪酸処理炭酸カルシウムなどの無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイドなどの有機揺変剤が挙げられる。
【0077】
保存安定性改良剤としては、シーリング材中に存在する水分と反応する、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0078】
充填剤、カップリング剤、揺変剤、保存安定性改良剤の合計の配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して0〜500質量部、特に30〜300質量部であることが好ましい。
【0079】
前記シーリング材において、前記各添加剤成分はそれぞれ1種類又は2種以上を混合して使用することができる。
【0080】
また前記シーリング材において、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系混合溶剤など従来公知の有機溶剤で硬化性樹脂の反応基に反応しないものであればどのようなものでも使用することができる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。その種類と使用量はシーリング材の用途に応じて適宜決定すれば良い。
【0081】
本発明において、前記着色されたシーリング材の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記硬化性樹脂を反応装置を用いて合成するか、あるいは市販品を購入するかして得たもの、前記の着色材料、および必要に応じて前記の添加剤のうち適宜選択したものを撹拌・混練装置に仕込み、湿気硬化型のものであれば湿気を遮断した状態で、酸素硬化型のものであれば酸素を遮断した状態で、撹拌・混練し分散および着色を行い製造する。
【0082】
なお、硬化性樹脂を合成するときは、予め反応合成しておいたものを使用してもよいし、着色材料あるいは添加剤の存在下に反応して、合成と分散を同時に行ってもよい。
【0083】
反応装置としては、ステンレス製、鉄製等の反応容器、撹拌・混練装置としては、ステンレス製、鉄製等のニーダー、プラネタリーミキサー、ラインミキサー、ディゾルバー等の高速撹拌・混練装置などが挙げられる。
【0084】
得られたシーリング材は、材質や形状は特に限定しないが、例えば紙、プラスチックス或いは金属などの材質で、ドラム缶状、ペール缶状、石油缶状、カートリッジ状、フィルムパック状、ソーセージ状などの各種形状の容器で透湿あるいは透酸素しないものに充填、密封して貯蔵する。使用に際し開封し、手動ガンや電動ガンなどを用いて、前述の外壁目地に充填し、ヘラなどでならし余分のシーリング材をかきとり表面を平らにし、後述する着色塗料を上塗りする。
【0085】
なお、本発明において、前記シーリング材は用途に応じて一液型でも、二液型でも使用できるが、主剤と硬化剤を混合する手間が無く、また混合不良による硬化不良などの不具合も無く作業性に優れているため、一液型が好ましく、更に一液湿気硬化型が好ましい。
【0086】
次いで、本発明において用いられる着色塗料について説明する。着色塗料は、外壁目地にシーリング材を充填し施工した後に、シーリング材の表面に上塗りして、目地を目立たなくして美観を向上させるために使用するものである。そのため、着色塗料は目地周囲の外壁材の表面の色や模様に調和するように着色あるいは意匠性を付与されている。
【0087】
この着色塗料は、後述する塗料ベースに前述のシーリング材の着色において用いられたのと同様の顔料や染料等の着色材料を添加、分散させて製造することができる。
【0088】
前記の塗料ベースとしては、硬化性樹脂に有機溶剤と、必要に応じて添加剤を配合したものが用いられ、硬化性樹脂としては、前述の建築用シーリング材の説明で挙げたものと同様の、ウレタン系、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系の、硬化性樹脂のほか、アクリル系硬化性樹脂などが挙げられる。
【0089】
添加剤としては、前記のシーリング材に使用されるものと同様の添加剤が挙げられる。
【実施例】
【0090】
〔合成例1〕 塗料ベースの製造
撹拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(三井武田ケミカル社製、MN−400、数平均分子量410)340g、イソホロンジイソシアネート(分子量222.3)560g、酢酸エチル3,600gを仕込み、撹拌しながらジブチル錫ジラウレート3gを添加し、徐々に加熱し、70〜80℃で4時間反応を行い、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる塗料ベースT−1を合成した。反応は滴定による実測NCO含有量が理論値(2.38質量%)以下になった時点を終点とし、このときの実測NCO含有量は2.2質量%であった。反応生成物は、常温で透明の液体であった。これを塗料ベースT−1と称す。
【0091】
〔合成例2〕 レンジブラウン色トナーの製造
ステンレス製円筒容器に、ジオクチルフタレート81.7g、予め100℃の乾燥機で3日間それぞれ乾燥したルチル型酸化チタン62.1g、サーマルカーボンブラック2.14g、黄色酸化鉄13.81gおよび赤色酸化鉄3.65gを仕込み、ディゾルバー式高速撹拌機を用いて撹拌し、均一に分散して着色トナーを製造した。これをレンジブラウン色トナーと称す。
【0092】
〔合成例3〕 レンジホワイト色トナーの製造
合成例2において、ジオクチルフタレート70.4g、ルチル型酸化チタン62.1g、サーマルカーボンブラック0.84g、黄色酸化鉄7.37gおよび赤色酸化鉄0.95gを用いた以外は同様にして着色トナーを製造した。これをレンジホワイト色トナーと称す。
【0093】
〔合成例4〕 中間ブラウン色トナーの製造
合成例2において、ジオクチルフタレート86.0g、ルチル型酸化チタン62.1g、サーマルカーボンブラック1.48g、黄色酸化鉄17.85gおよび赤色酸化鉄4.60gを用いた以外は同様にして着色トナーを製造した。これを中間ブラウン色トナーと称す。
【0094】
〔合成例5〕 レンジブラウン色上塗り塗料の製造
撹拌機、温度計、窒素シール管付き混合容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得た塗料ベースT−1を450g、予め100℃の乾燥機で3日間それぞれ乾燥した炭酸カルシウム36gおよび脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)12gを仕込み、均一になるまで撹拌・混練した。次いで合成例2で得たレンジブラウン色トナーを仕込み、均一になるまでさらに撹拌して着色した後、ブリキ製の容器に充填し密栓して、着色した上塗り塗料を製造した。これをレンジブラウン色上塗り塗料と称す。
【0095】
〔合成例6〕 レンジホワイト色上塗り塗料の製造
合成例5において、合成例3で得たレンジホワイト色トナーを用いた以外は同様にして、着色した上塗り塗料を製造した。これをレンジホワイト色上塗り塗料と称す。
【0096】
〔合成例7〕イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながらポリオキシプロピレングリコール(三井化学社製、Diol−3000、数平均分子量3,000)332gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学社製、MN−4000、数平均分子量4,000)66gと、トルエンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、T−100)44gとを攪拌しながら仕込み、次いでジブチル錫ジラウレート0.4gを加え、80℃で4時間攪拌して反応させた後、冷却してイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを合成した。
【0097】
得られたウレタンプレポリマーは、滴定によるイソシアネート基含有量2.2質量%、25℃における粘度13,000mPa・sの常温で粘稠な液体であった。これをイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1と称す。
【0098】
〔合成例8〕 中間ブラウン色に着色した一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材の製造
加熱・冷却装置および窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら合成例6で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100gを仕込み、攪拌しながらヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕)1g、炭酸カルシウム250g、および3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM403)0.5gを順次仕込み均一になるまで撹拌、混合した。次いで脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)80gとp−トルエンスルフォニルイソシアネート0.5gとジブチル錫ジラウレート0.1gとトルエン13g を仕込みさらに均−になるまで混合した後、合成例4で得た中間ブラウン色トナー37g添加し、中間ブラウン色に着色した。なお、炭酸カルシウムと脂肪酸処理炭酸カルシウムについては、予め90〜100℃の乾燥機で2日間乾燥したものを使用した。次いで50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して中間ブラウン色に着色した一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材を調製した。
【0099】
〔実施例1〕
表面色名レンジブラウンのサイディング(クボタ松下電工外装社製、ネオロック・セラ16、厚さ16mm)を縦30cm×横30cmの大きさに切り出し、2枚を12mmの間隔をおいて並べ固定し、幅12mmの目地を作製した。この目地に厚さ2mmのバックアップ材を装填し幅12mm×深さ10mm×長さ300mmの目地とした。この目地を刷毛で清掃した後、目地の両側にマスキングテープを貼り、プライマー(オート化学工業社製、OP−2531)をシーリング材の被着面となる面に刷毛で塗布し、30分間放置した。次に合成例8で得た中間ブラウン色に着色した一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにした。
【0100】
次いで、シーリング材を充填してから1時間後、シーリング材の表面が未硬化のうち、合成例5で得たレンジブラウン色上塗り塗料を入れた容器を振り塗料を均一にした後、スプレーに移し替え、シーリング材の表面に塗料をスプレー塗布した後、塗料が乾かないうちにマスキングテープをはがし、シーリング材の表面処理を終え、1日室内に放置したものを試験体とした。
【0101】
〔実施例2〕
実施例1において、サイディングとして表面色レンジホワイトのサイディング(クボタ松下電工外装社製、ネオロック・セラ16、厚さ16mm)と、合成例6で得たレンジホワイト色上塗り塗料を使用した以外は同様にして試験体を作製した。
【0102】
〔比較例1〕
実施例1において、目地に合成例8で得た中間ブラウン色に着色した一液湿気硬化型ウレタン系シーリング材を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにした後、上塗り塗料を塗装しないで1日室内に放置した以外は同様にして試験体を作製した。
【0103】
〔試験〕
実施例1と2および比較例1で作製した試験体を用いて、以下に示す〔目地の違和感〕と〔塗料を部分剥離したときの目立ち〕の試験を、そして合成例5と6で得た上塗り塗料ならびに合成例8で得た中間ブラウン色に着色したウレタン系シーリング材を用いて以下に示す〔サイディング表面とシーリング材との色差〕と〔サイディング表面と塗料との色差〕試験をし、その結果を表1に示す。
【0104】
3.試験方法
〔目地の違和感〕試験体を北側の窓付近にほぼ垂直に立て、1〜2m離れた所から目視し、サイディングに設けた目地を処理した部分の表面と、目地周囲のサイディングの表面とを見比べ、目地部分の違和感を試験した。目地処理した部分が目立たず違和感のないものを○、目地処理した部分が目立ち違和感のあるものを×と評価した。
【0105】
〔塗料を部分剥離したときの目立ち〕試験体を10日間室内に放置してシーリング材と上塗り塗装した塗料が硬化した後、目地の長さ方向の中央付近を、目地幅×長さ10mmの大きさにカッターで塗膜を剥離した後、目地部分を1〜2m離れたところから目視し、剥離した部分の目立ちを試験した。剥離した部分が目立たないものを○、少し目立つものを△、明瞭に目立つものを×と評価した。
【0106】
〔サイディング表面とシーリング材との色差〕
シーリング材を縦10cm×横10cmのスレート板に約1mmの厚さに塗布し、23℃、50%相対湿度の室内に3日間放置し硬化させたものの表面、およびサイディングの表面の色を分光光度計(倉敷紡績社製、COLOR−7x)で測色し、色差ΔE*を求めた。
【0107】
〔サイディング表面と塗料との色差〕
シーリング材を縦10cm×横10cmのスレート板に約1mmの厚さに塗布したものと、これとは別に上塗り塗料を縦10cm×横10cmのスレート板に約100μmの厚さに塗布したものを、それぞれ23℃、50%相対湿度の室内に3日間放置し硬化させた後、両者の表面の色を分光光度計(倉敷紡績社製、COLOR−7x)で測色し、色差ΔE*を求めた。
【0108】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に形成された目地に、着色されたシーリング材を充填後、該シーリング材の表面上に、該外壁の表面の色と調和する色に着色された塗料を塗装することを特徴とするシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項2】
前記着色されたシーリング材の色の数が、前記塗料の色の数を下回る、請求項1に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項3】
前記着色されたシーリング材の色と、前記塗料の塗膜表面の色との間の分光測色方法で測定したときの色差(ΔE)が20以下である、請求項1または請求項2に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項4】
前記着色されたシーリング材を外壁に形成された目地に充填後、該シーリング材が未硬化状態のときに、前記塗料を塗装する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項5】
前記外壁が、表面に着色または意匠性が付与された外壁材料で形成された外壁である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項6】
前記外壁材料が、表面に着色または意匠性が付与されたサイディングである、請求項5に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項7】
前記シーリング材が、ウレタン系シーリング材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項8】
前記シーリング材が、変成シリコーン系シーリング材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーリング材表面の仕上げ方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のシーリング材表面の仕上げ方法に用いられる、外壁表面の色相と調和する色相に着色された塗料。

【公開番号】特開2007−126858(P2007−126858A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319470(P2005−319470)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】