説明

シールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルおよびそれを用いたシールド工法による隙間の発生防止・低減方法

【課題】 膨張による圧縮強度の低下もなく、水中不分離性も良好であり、打ち継ぎ目の隙間の発生が少なく、漏水が見られない、シールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルおよびそれを用いたシールド工法による隙間の発生防止・低減方法を提供すること。
【解決手段】 シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、シールド掘進直後の現場打ち一次覆工コンクリートの打ち継ぎ部分に打設する水中不分離性膨張セメントモルタルであって、セメント、膨張材、減水剤、増粘剤、及び細骨材を含有するモルタル組成物と、水とを混練してなり、その膨張率が0.05〜0.20%であることを特徴とするシールド工法の打継用水中不分離性膨張セメントモルタルおよびそれを用いたシールド工法による隙間の発生防止・低減方法を構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールド工法によりトンネルを構築する方法のなかで、ECL(Excluded Concrete Lining)工法の一次覆工コンクリート打設時に使用するシールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルおよびそれを用いたシールド工法による隙間の発生防止・低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道、道路、電力、通信、上下水道、及び共同溝用等にトンネルが構築されており、その施工は、シールド工法、開削工法等があり、また、掘削後、吹付けて一次覆工するNATMなどがある。
シールド工法とは、鉄製の筒(シールド)を用いて、地山を安定させながら掘削・推進し、逐次覆工し、トンネルを形成するもので、使用するシールド機の形式等によって、種々分類されている。
また、NATMとは、New Austrian Tunneling Methodの頭文字を取ったもので、掘削した壁面にコンクリートを吹きつけて壁面を固め、さらにロックボルトを打設してグランドアーチを築き、それを連続した筒状の構造物=トンネルとして土中構造の一部とする工法である。
【0003】
シールド工法は、切羽保持等安全性を考慮したもので、切羽保持、掘削、覆工の一連の施工システムが確立された工法であるが、通常のシールド工法では、NATMと比較し、覆工における機械の費用が割高となるものである。
そのため、覆工方式として場所打ちライニング工法である、ECL工法が施工されている。
トンネル工事の中で、ECL工法は、シールド工法において、既製のセグメント(コンクリート製の覆工製品)を使わずに、現場でコンクリートを打設し、覆工体を構築していく方法である。
シ−ルド掘削機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシ−ルド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリ−トを流し込んで一次覆工コンクリ−トを構築してトンネルを形成するトンネル施工工法がECL工法として知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、多量のコンクリートを連続して打設することが不可能であり、既設のコンクリートに、さらに新しいコンクリートを打ち継ぐ場合や、既設のコンクリートの補強や補修のために新しくコンクリートを打設する場合等、既設のコンクリートと新しく打設したコンクリートとの間に打継目が生じている。
そのため、その箇所の既設のコンクリートと新しく打設するコンクリートとの間の付着力が問題となっており、付着力が得られないと構造物の美観、強度、及び耐久性等を損なう恐れがあるなどの課題があった。
【0005】
そして、このECL工法施工の際、コンクリートの打ち継ぎ部分の隙間が大きな問題であった。
特に、地山に水が存在する場合、打ち継ぎ目の隙間から漏水が起こり、極端な場合、漏水により地盤の陥没や地山が変形する危険性があった。
【0006】
この対策として、打ち継ぎ目に止水シール材を取り付ける方法や、打ち継ぎ目に水膨張止水材を挿入する方法が考えられた(特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法は、取り付けが困難で、漏水低減には効果が見られなかった。
【0007】
また、トンネルなどのコンクリ−ト構造物の打設において、発生した空洞部に、注入管付防水シ−トを用いて充填する工法が示されているが、構造部分の接合部分に関する記載が無い(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−241800号公報
【特許文献2】特開2001−032695号公報
【特許文献3】特開2001−234698号公報
【特許文献4】特開2004−060216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ECL工法におけるコンクリート打ち継ぎ目の隙間は、コンクリート打設後セメント水和硬化時の高温状態からの温度低下によるコンクリートの温度収縮、及びコンクリートの乾燥収縮により発生している。
そして、掘進トラブルに起因するコンクリート打設時の不具合や、ライニングのひび割れの発生や漏水等、種々の施工上、品質管理上の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの課題に対し、本発明者は、特定の膨張率を有する水中不分離性膨張セメントモルタルを、コンクリートの打ち継ぎ部分に、例えば、50〜400mm程度で打ち継ぎ、次にコンクリートを打設することにより隙間の発生防止及び低減を行う方法を完成した。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、シールド掘進直後の現場打ち一次覆工コンクリートの打ち継ぎ部分に打設する水中不分離性膨張セメントモルタルであって、セメント、膨張材、減水剤、増粘剤、及び細骨材を含有するモルタル組成物と、水とを混練してなり、その膨張率が0.05〜0.20%であることを特徴とするシールド工法の打継用水中不分離性膨張セメントモルタルである。
(2)シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、シールド掘進直後の現場打ち一次覆工コンクリートの打ち継ぎ部分に、前記(1)のシールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルを幅50〜400mmで打ち、次にコンクリ−トを打設することを特徴とするシールド工法による隙間の発生防止・低減方法である。
【発明の効果】
【0012】
シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルを使用して、打ち継ぐことにより、膨張による圧縮強度の低下もなく、水中不分離性も良好であり、打ち継ぎ目の隙間の発生が少なく、漏水が見られない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本発明における部や%は、特に断わらない限り質量基準である。
【0014】
本発明では、ECL工法における覆工コンクリートの連続施工が工程上一時中断し、次に再開する際、本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルを先行モルタルとして打ち継ぎ部分に打設する。
【0015】
本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルは、セメント、膨張材、減水剤、増粘剤、及び細骨材を含有するモルタル組成物を、水と混練してなるものである。
【0016】
本発明で使用するセメントとしては、通常市販されている普通、早強、中庸熱、低熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントに、フライアッシュや高炉スラグなどを混合した各種混合セメント、並びに、エコセメントなどが挙げられ、これらを微粉末化して使用することも可能である。
【0017】
本発明で使用する膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、カルシウムアルミノフェライト系膨張材、石灰系膨張材、及び石膏系膨張材等が挙げられる。これらのうち、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材が好ましい。
【0018】
カルシウムサルフォアルミネート系膨張材やカルシウムアルミノフェライト系膨張材は、CaO原料、Al2O3原料、Fe2O3原料、及びCaSO4原料を所定の割合になるように配合し、電気炉やロータリーキルンなどを用いて、一般的には、1,100〜1,600℃で熱処理をして製造される。熱処理温度が1,100℃未満では得られた膨張材の膨張性能が充分でない場合があり、1,600℃を超えると無水石膏が分解する場合がある。
【0019】
CaO原料としては、石灰石や消石灰等が、Al2O3原料としてはボーキサイトやアルミ残灰等が、Fe2O3原料としては銅カラミや市販の酸化鉄等が、そしてCaSO4原料としては二水石膏、半水石膏、及び無水石膏等が挙げられる。
【0020】
膨張材の粉末度は、ブレーン値で2,000〜6,000cm2/gが好ましい。2,000cm2/g未満では膨張量が大きすぎる場合があり、6,000cm2/gを超えると適正な膨張が得られない場合がある。
膨張材の使用量は、本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルの膨張量が0.05〜0.2%になるよう配合するもので、膨張材の種類等により変化するもので、一義的に決定されるものではないが、通常、水中不分離性膨張セメントモルタル中の、セメント100部に対して、5〜15部が好ましい。
【0021】
本発明では、流動性付与の面から、減水剤を併用する。
本発明の減水剤は、高性能減水剤や高性能AE減水剤であり、必要量を使用する。
【0022】
高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、及びメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤のいずれかを主成分とするものであり、これらの一種又は二種以上が使用されるものである。ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系高性能減水剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系高性能減水剤、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物系高性能減水剤等があり、市販品としては、電気化学工業(株)社商品名「FT-500」とそのシリーズ、花王(株)社商品名「マイティ-100(粉末)」や「マイティ-150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)社商品名「セルフロー110P(粉末)」、竹本油脂(株)社商品名「ポールファイン510N」など、及び(株)フローリック社商品名「フローリックPS」とそのシリーズなどが代表的である。芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、(株)フローリック社商品名「フローリックVP200」とそのシリーズがあり、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤としては、グレースケミカルズ社商品名「FT-3S」、昭和電工(株)社商品名「モルマスターF-10(粉末)」や「モルマスターF-20(粉末)」が挙げられる。
【0023】
高性能AE減水剤は、通常、ポリカルボン酸塩系減水剤と呼称され、不飽和カルボン酸モノマーを一成分として含む共重合体又はその塩であり、例えばポリアルキレングリコールモノアクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールモノメタクリル酸エステル、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体やアクリル酸やメタクリル酸塩の共重合体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体から導かれた共重合体等を挙げることができ、市販品としては、(株)エヌエムビー社商品名「レオビルドSP8」シリーズ、(株)フロ−リック社商品名「フロ−リック500」シリーズ、竹本油脂(株)社商品名「チュポールHP」シリーズ、及びグレースケミカルズ(株)社商品名「ダーレックススーパー」シリーズ、その他が市販されている。
【0024】
また、減水剤は液状のものだけでなく粉末状のものも使用可能である。本発明ではこれら減水剤のうちの一種又は二種以上が使用可能であり、その使用量は特に限定されるものではない。これらのうち、ポリカルボン酸塩系減水剤が好ましい。
【0025】
減水剤の使用量は、流動性保持時間の長短、減水剤の化学構造式、及び濃度等により異なるが、セメントと膨張材からなる結合材100部に対して、1〜10部が好ましい。1部未満では、流動性が得られない場合があり、10部を超えると、硬化不良となる場合がある。
【0026】
本発明では、水中不分離性を付与する面から、増粘剤を併用する。
増粘剤は、モルタルの粘度を調整するものであり特に限定されるものではないが、一般に水溶性高分子物質と呼ばれているもので、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース系増粘剤、キサンタンガム、ウエランガム、及びデュータンガムなどのガム系増粘剤、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系増粘剤、ポリアクリル酸やそのナトリウム塩やカリウム塩等のアクリル系増粘剤、並びに、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられ、これらのうち、メチルセルロース系増粘剤が好ましい。
増粘剤の使用量は、水100部に対して、0.2〜2部が好ましい。0.2部未満では、水中での濁度濃度が高くなり、2部を超えると、粘性が高く、施工性が不良となる場合がある。
【0027】
本発明で使用する骨材とは特に限定されるものではないが、川、山、及び海から産出する天然骨材、珪砂、石灰砂、及びこれらの2種以上を併用した混合骨材等の細骨材が使用できる。骨材は施工する現場で混合してもよいが、あらかじめセメントと混合しておく場合は、骨材を乾燥させた乾燥骨材を使用すればよい。
骨材の使用量は、セメント100部に対して、100〜300部が好ましい。100部未満では、収縮が大きい場合があり、300部を超えると、施工が難しくなる場合がある。
【0028】
本発明で使用する水の量は、水結合材比で30〜50%が好ましい。30%未満では施工が難しくなる場合があり、50%を超えると初期強度が得られない場合がある。
【0029】
本発明で使用する水中不分離性膨張セメントモルタルは、セメント、膨張材、減水剤、増粘剤、及び細骨材を含有するモルタル組成物を水と混練してなるもので、その膨張率は、0.05〜0.20%である。膨張率が0.05%未満では、隙間低減の効果が少なく、0.20%を超えると、膨張により、セメントモルタルの強度が低下する場合がある。
膨張率は、膨張材の種類や配合量等によって、調整することが可能である。
【0030】
さらに、本発明に用いる水中不分離性膨張セメントモルタルは、地山からの水に流されないように水中不分離性も要求される。
【0031】
また、粗骨材を含むセメントコンクリートでは、0.05%以上膨張させるとコンクリートの圧縮強度の低下が大きくなるため使用できず、膨張しても強度低下の少ない水中不分離性膨張セメントモルタルを使用することが必要である。
【0032】
本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルは、ECL工法における覆工コンクリートの連続施工が工程上一時中断し、次に再開する際、先行モルタルとして打ち継ぎ部分に打設する。
【0033】
本発明の水中不分離性膨張セメントモルタルの打ち継ぎ部分に打設する幅は、50〜400mmが好ましい。50mm未満では、強度の低下を生じ、隙間幅を小さくできない場合があり、400mmを超えると隙間幅が増える場合がある。
【0034】
本発明に用いる水中不分離性膨張セメントモルタルに、高炉スラグの微粉末、シリカフューム、及び粘土鉱物微粉末等を混和して、打ち継ぎ面に隙間が発生した際に、その隙間に水和物を析出充填させることも漏水防止に効果的である。
本発明は、打ち継ぎ部分に、シールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルを打った後に、コンクリ−トを打設し、隙間の発生を防止・低減する。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0036】
実験例1
表1に示す、コンクリート打ち継ぎ部分に用いる水中不分離性膨張セメントモルタルを用いて、膨張率、圧縮強度、及びpHを測定した。結果を表1に併記する。
なお、比較のため、細骨材と粗骨材を併用したコンクリートを用いて同様に実験を行った。結果を表1に併記する。
【0037】
<使用材料>
セメント :早強ポルトランドセメント、市販品、密度3.13g/cm3
膨張材 :カルシウムサルホアルミネート系膨張材、市販品、密度3.10g/cm3、ブレーン値3,000cm2/g
増粘剤 :メチルセルロース系増粘剤、市販品、密度1.6g/cm3
高性能AE減水剤:ポリカルボン酸系減水剤、市販品、密度1.075g/cm3
細骨材 :陸砂、密度2.61g/cm3
粗骨材 :砕石、15mm下、密度2.61g/cm3
【0038】
<試験方法>
膨張率 :JIS A 6202「コンクリ−ト用膨張材」に基づき、長さ変化率を測定し、それを膨張率とする。材齢28日、水中養生
圧縮強度 :JIS A 1108「コンクリ−トの圧縮強度試験方法」に基づき測定、材齢28日。
PH :水中不分離性の評価、JSCE-D104「コンクリ−ト用水中不分離性混和剤品質規格、付属書2、水中不分離性コンクリ−トの水中分離度試験方法」に基づき測定。フレッシュモルタルあるいはフレッシュコンクリートの水中投入時のpH
ブレーン値:JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の粉末度試験に基づき測定
【0039】
【表1】

【0040】
実験No.1- 2〜実験No.1- 5の本発明の水中不分離性膨張モルタルは、0.05%以上の大きな膨張率を示し、膨張による圧縮強度の低下もほとんどなく、さらに、水中においても水に懸濁することがなく、水のpHも11.2と低い。細骨材にさらに粗骨材を併用した実験No.1- 7の比較例のコンクリートは、膨張率が0.041%であり、圧縮強度が大きく低下している。
【0041】
実験例2
トンネル工事で、ECL工法により覆工コンクリートを打設した。
通常の施工では15m毎に覆工コンクリートの打つ継ぎ目ができ、0.2〜0.6mm幅の隙間が発生し漏水が発生した。
本発明の表1に示される水中不分離性膨張セメントモルタル、コンクリ−トを打ち継ぎ部分に300mm幅で打設し、さらに、通常の覆工コンクリートを施工した。隙間幅、漏水の有無の試験結果を表3に示す。
【0042】
<試験方法>
隙間幅 :クラックスケールを用い、5箇所の測定値の平均
漏水の有無:目視により観察
【0043】
【表2】

【0044】
表2から明らかなように、本発明の水中不分離性膨張モルタルを使用すると、打ち継ぎ目に隙間の発生は少なく漏水も見られなかった。
【0045】
実験例3
実験No.1- 4の配合の水中不分離性膨張モルタルを使用して、打設の幅を表3に示すように変えたこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0046】
【表3】

【0047】
表3から明らかなように、本発明の水中不分離性膨張モルタルを、50〜400mmの幅で使用すると、打ち継ぎ目に隙間の発生は少なく漏水も見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
シールド工法によりトンネルを構築する、ECL工法の一次覆工コンクリート打設時に、打継用膨張モルタルを用いることにより、隙間の発生を低減させることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、シールド掘進直後の現場打ち一次覆工コンクリートの打ち継ぎ部分に打設する水中不分離性膨張セメントモルタルであって、セメント、膨張材、減水剤、増粘剤、及び細骨材を含有するモルタル組成物と、水とを混練してなり、その膨張率が0.05〜0.20%であることを特徴とするシールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタル。
【請求項2】
シールド工法による場所打ちコンクリートを用いたトンネル覆工工事において、シールド掘進直後の現場打ち一次覆工コンクリートの打ち継ぎ部分に、請求項1に記載のシールド工法打継用水中不分離性膨張セメントモルタルを幅50〜400mmで打ち、次にコンクリ−トを打設することを特徴とするによりシールド工法による隙間の発生防止・低減方法。