説明

ジアリールスルフィド誘導体とその付加塩及び免疫抑制剤

【課題】
優れた免疫抑制作用を有し、かつ副作用の少ないジアリールスルフィド誘導体を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明のジアリールスルフィド誘導体は、一般式(1)
【化1】


で表されるジアリールスルフィド誘導体(具体例:2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール)で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫抑制剤として有用なジアリールスルフィド誘導体とその付加塩並びにその水和物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫抑制剤は慢性関節リウマチ、腎炎、変形性膝関節炎、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患や炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、喘息、皮膚炎などのアレルギー疾患の治療薬として多方面に利用されている。特に、医療技術の進歩に伴い、組織や臓器等の移植手術が数多く実施されるようになってきた近年の医療現場においては、移植後の拒絶反応をいかにうまくコントロールすることができるかが移植の成否を握っており、この領域においても免疫抑制剤は大変重要な役割を果たしている。
【0003】
臓器移植においては、アザチオプリンやミコフェノール酸モフェチルに代表される代謝拮抗剤、シクロスポリンAやタクロリムスに代表されるカルシニューリン阻害剤、プレドニゾロンに代表される副腎皮質ホルモン剤が用いられている。しかしながら、これらの薬剤は効果が不十分であったり、また腎障害などの重篤な副作用を回避するために薬物の血中濃度モニタリングが必須とされているものもあり、その効果や副作用の点で必ずしも満足のできるものではない。
【0004】
さらに、免疫抑制剤の副作用を軽減し十分な免疫抑制作用を得るために、作用機序の異なる複数の薬剤を使用する多剤併用療法が一般的であり、前述した免疫抑制剤とは異なる作用機序を持つ新しいタイプの薬剤の開発も望まれている。
【0005】
本発明者らはこのような課題を解決するために、2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体に着目し、新しいタイプの免疫抑制剤の探索を行った。
【0006】
免疫抑制剤として、2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体が国際公開番号WO94/08943号(吉冨製薬株式会社、台糖株式会社)、特許公報平9−2579602号公報(吉冨製薬株式会社、台糖株式会社)に開示されているが、本発明の特徴であるジアリールスルフィド基を有する2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体が優れた免疫抑制効果を示すことは知られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた免疫抑制作用を有し、かつ副作用の少ないジアリールスルフィド誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、代謝拮抗剤やカルシニューリン阻害剤とは作用機序を異にする免疫抑制剤について鋭意研究を重ねた結果、これまでに知られている免疫抑制剤とは構造を異にした新規なジアリールスルフィド誘導体、特に一方のアリール基のパラ位にアミノプロパンジオール基を含む炭素鎖を有し、もう一方のアリール基のメタ位に置換基を有する化合物が強力な免疫抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、R1はハロゲン原子、トリハロメチル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、無置換または置換基を有しても良いフェニル基、アラルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、フェノキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、無置換または置換基を有しても良いアラルキルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基、シンナミルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェノキシメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜4の低級アルキルチオ基、炭素数1〜4の低級アルキルスルフィニル基、炭素数1〜4の低級アルキルスルホニル基、ベンジルチオ基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基を示し、R2は水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、R3は水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルコキシメチル基を示し、XはS、SO、SO2を、nは1〜4の整数を示す]で表されることを特徴とするジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物の少なくとも一種類以上を有効成分とする免疫抑制剤である。
【0012】
さらに詳しくは
一般式(1a)
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じ]で表されることを特徴とするジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物、および 一般式(1b)
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じであり、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基を示す]で表されることを特徴とするジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物の少なくとも一種類以上を有効成分とする免疫抑制剤である。
【0017】
本発明における上記一般式(1)、一般式(1a)及び一般式(1b)は新規化合物である。 本発明における一般式(1)で表される化合物の薬理学的に許容される塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩のような酸付加塩が挙げられる。
発明を実施するための最良の形態
また、本発明の一般式(1)において、「ハロゲン原子」とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、「トリハロメチル基」とはトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基を表し、「炭素数1〜7の低級アルキル基」とは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどの直鎖もしくは分岐した炭素数1〜7の炭化水素が挙げられる。「置換基を有しても良いフェノキシ基」とは、ベンゼン環上の任意の位置にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基を有するものが挙げられる。「アラルキル基」、「アラルキルオキシ基」の「アラルキル基」とはベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基、フェニルプロピル基が挙げられる。また「炭素数1〜4の低級アルコキシ基」、「炭素数1〜4の低級アルキルチオ基」、「炭素数1〜4の低級アルキルスルフィニル基」、「炭素数1〜4の低級アルキルスルホニル基」などの「低級アルキル基」とは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどの直鎖もしくは分岐した炭素数1〜4の炭化水素を表し、「置換基を有しても良いアラルキル基」とは、ベンゼン環上の任意の位置にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基を有するものが挙げられる。
【0018】
本発明によれば、上記一般式(1)で表される化合物は例えば以下に示すような経路により製造することができる。
【0019】
【化4】

【0020】
合成経路1で一般式(3)
【0021】
【化5】

【0022】
[式中、R5は炭素数1〜4の低級アルキル基を、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示し、R1、R2、R3、X及びnは前述の通り]で表される化合物は、一般式(2)
【0023】
【化6】

【0024】
[式中、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示し、R1、R2、R3、X及びnは前述の通り]
で表される化合物と一般式(5)
【0025】
【化7】

【0026】
[式中、R5及びBocは前述の通り]
で表される化合物を塩基存在下作用させることによって製造することができる(第一工程)。
【0027】
反応はメタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N―ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)などを反応溶媒として用い、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどの無機塩基の存在下、反応温度としては0℃〜加熱還流下にて、好適には80℃から100℃にて行うことができる。
【0028】
合成経路1で一般式(4)
【0029】
【化8】

【0030】
[式中、R1、R2、R3、X、Boc及びnは前述の通り]で表される化合物は、上記一般式(3)で表される化合物を還元することによって製造することができる(第二工程)。
【0031】
反応は、ボラン(BH3)や9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)のようなアルキルボラン誘導体、ジイソブチルアルミニウムヒドリド((iBu)2AlH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)等の金属水素錯化合物、好ましくは水素化ホウ素リチウム(LiBH4)を用い、反応溶媒としてはTHFやエタノール、メタノールなどを用い、反応温度は0℃〜加熱還流下、好適には常温下にて行うことができる。
【0032】
合成経路1で一般式(1)
【0033】
【化9】

【0034】
[式中、R1、R2、R3、X及びnは前述の通り]で表される化合物は、上記一般式(4)で表される化合物を酸分解することによって製造することができる(第三工程)。
【0035】
反応は、酢酸、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの無機酸または有機酸中、あるいはメタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、酢酸エチルなどの有機溶媒との混合溶液中に作用させ、反応温度は0℃〜常温下に行うことができる。
【0036】
また、上記一般式(3)のうちXがSO、SO2である化合物、すなわち一般式(6)
【0037】
【化10】

【0038】
[式中、mは1または2を示し、R1、R2、R3、R5、Boc及びnは前述の通り]で表される化合物は、一般式(7)
【0039】
【化11】

【0040】
[式中、R1、R2、R3、R5、Boc及びnは前述の通り]で表される化合物を酸化することによっても製造することができる。
【0041】
反応は1,4−ジオキサン、DMSO、DMF、THF、塩化メチレン、クロロホルムなどを反応溶媒として用い、酸化剤として過マンガン酸カリウムやm−クロロ過安息香酸、過酸化水素水を用い、0℃〜加熱還流下にて、好適には常温にて行うことができる。
【0042】
一般式(1)の化合物のうちXがSO、SO2である化合物、すなわち一般式(8)
【0043】
【化12】

【0044】
[式中、R1、R2、R3、Boc,m及びnは前述の通り]で表される化合物は下記の合成経路によっても製造することができる。
【0045】
【化13】

【0046】
すなわち、一般式(9)
【0047】
【化14】

【0048】
[式中、R1、R2、R3、Boc及びnは前述の通り]で表される化合物と一般式(12)、
【0049】
【化15】

【0050】
[式中、R6、R7は同一又は異なって水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基を示す]
または一般式(13)、
【0051】
【化16】

【0052】
[式中、R8は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、R6及びR7は前述の通り]あるいは一般式(14)
【0053】
【化17】

【0054】
[式中、R9は塩素原子、トリフルオロメタンスホニルオキシ基を示し、R6及びR7は前述の通り]で表される化合物を作用させることによって一般式(10)
【0055】
【化18】

【0056】
[式中、Zは炭素原子、ケイ素原子を示し、R1、R2、R3、R6、R7、Boc及びnは前述の通り]で表される化合物を製造することができる。
【0057】
一般式(9)で表される化合物と一般式(12)または一般式(13)で表される化合物との反応は、塩化亜鉛などのルイス酸存在下、あるいはカンファースルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下、無溶媒あるいはDMF、THF、塩化メチレンを反応溶媒として用い、反応温度は常温〜100℃にて行うことができる。
【0058】
また、一般式(14)との反応は、トリエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、イミダゾールのような塩基の存在下、反応溶媒としてはDMF、THF、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリルを用い、反応温度は0℃〜100℃にて行うことができる。
【0059】
合成経路2で一般式(11)
【0060】
【化19】

【0061】
[式中、R1、R2、R3、R6、R7、Z、Boc、m及びnは前述の通り]で表される化合物は上記一般式(10)で表される化合物を酸化することによって製造することができる。
【0062】
反応は1,4−ジオキサン、DMSO、DMF、THF、塩化メチレン、クロロホルムなどを反応溶媒として用い、酸化剤として過マンガン酸カリウムやm−クロロ過安息香酸、過酸化水素水を用い、0℃〜加熱還流下にて、好適には常温にて行うことができる。
【0063】
合成経路2で前述した一般式(8)で表される化合物は、上記一般式(11)で表される化合物を酸分解するか、あるいは脱シリル化後酸分解することによって製造することができる。
【0064】
反応は、酢酸、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの無機酸または有機酸中、あるいはメタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、酢酸エチルなどの有機溶媒との混合溶液中に作用させ、反応温度は0℃〜常温下に行うことができる。
【0065】
また、一般式(11)のZがケイ素原子である場合には、THF、DMF、1,4−ジオキサン等を溶媒として用い、フッ化カリウム、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムフルオリドを0℃〜常温下に作用させた後、上述した酸分解反応に付すことによっても合成できる。
【0066】
実施例
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
【0067】
<参考例1>
2−クロロ−4−[(3−トリフルオロメチル)フェニルチオ]ベンズアルデヒド
【0068】
【化20】

【0069】
2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド(1.15g)、3−(トリフルオロメチル)チオフェノール(1.33g)のDMF(20mL)溶液に炭酸カリウム(2.76g)を加え120℃にて1時間加熱撹拌した。反応液を水にあけ酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製した。目的物(1.96g)を淡黄色油状物として得た。
【0070】
<参考例2〜9>
以下、種々のチオフェノールとアルデヒドを用い、上記と同様な方法によって表1に示す化合物を合成した。
【0071】
【表1】

【0072】
<参考例10>
2'−クロロ−4'−[(3−トリフルオロメチル)フェニルチオ]ケイヒ酸エチル
【0073】
【化21】

【0074】
アルゴンガス気流下、0℃にてジエチルホスホノ酢酸エチル(1.35mL)のTHF(30mL)溶液に60%水素化ナトリウム(272mg)を加えて30分撹拌後、参考例1の化合物(1.96g)のTHF(15mL)溶液を滴下した。同温にて2時間撹拌した後、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製した。目的物(1.72g)を無色油状物として得た。
【0075】
<参考例11〜18>
参考例2〜9の化合物を用い上記と同様な方法によって表2に示す化合物を合成した。
【0076】
【表2】

【0077】
<参考例19>
2'−クロロ−4'−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ジヒドロケイヒ酸エチル
【0078】
【化22】

【0079】
参考例10の化合物(1.72g)をエタノール(70mL)に溶解し0℃にて撹拌下、塩化ビスマス(703mg)を加えた。水素化ホウ素ナトリウム(673mg)を少量ずつ加えた後、同温にて1時間、室温にて3時間撹拌した。反応液に氷水を加え析出する不溶の無機残渣をセライト濾去し、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的物(1.50g)を無色油状物として得た。
【0080】
<参考例20〜25>
参考例11、12、14〜17の化合物を用い、上記と同様な方法によって表3に示す化合物を合成した。
【0081】
【表3−1】

【0082】
<参考例26>
4'−(3−ヒドロキシフェニルチオ)ジヒドロケイヒ酸
【0083】
【化23】

【0084】
アルゴンガス気流下、参考例23の化合物(3.20g)の塩化メチレン(50mL)溶液に1mol/L−三臭化ホウ素−塩化メチレン溶液(20mL)を加えそのまま室温まで8時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製した。目的物(2.00g)を無色粉末として得た。
【0085】
<参考例27〜28>
参考例24および25の化合物を用い、上記参考例26と同様に反応させ下記に示す化合物を合成した。
【0086】
【表3−2】

【0087】
<参考例29>
4'−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)ジヒドロケイヒ酸ベンジル
【0088】
【化24】

【0089】
参考例26の化合物(2.00g)をDMF(30mL)に溶解後、ベンジルブロミド(2.4mL)、炭酸カリウム(2.00g)を加え60℃にて2時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出後、水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。目的物(2.29g)を無色油状物として得た。
【0090】
<参考例30>
4'−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−クロロジヒドロケイヒ酸ベンジル
【0091】
【化25】

【0092】
参考例27の化合物を用い上記参考例29と同様に行い、目的物を黄色油状物として得た。
【0093】
<参考例31>
4'−[(3−t−ブチルジメチルシロキシ)フェニルチオ]−2'−クロロジヒドロケイヒ酸メチル
【0094】
【化26】

【0095】
参考例27の化合物(6.20g)のメタノール(70mL)溶液に塩化チオニル(2.2mL)を滴下後、1時間還流した。溶媒を減圧留去し無色油状物(5.80g)のメチルエステル体を得た。このエステル(5.80g)のDMF(80mL)溶液にイミダゾール(1.57g)、t−ブチルジメチルクロロシラン(3.47g)を0℃にて加え、室温まで7時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。目的物(7.26g)を無色油状物として得た。
【0096】
<参考例32>
4'−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−トリフルオロメチルジヒドロケイヒ酸エチル
【0097】
【化27】

【0098】
参考例28の化合物をエタノールを用いて参考例31と同様な操作によってエチルエステルを合成した後、引き続き参考例29と同様な操作を行い、目的物を淡黄色油状物として得た。
【0099】
<参考例33>
4'−(3−クロロフェニルチオ)ジヒドロケイヒ酸メチル
【0100】
【化28】

【0101】
アルゴンガス気流下、参考例18の化合物(3.60g)をメタノール(50mL)に溶解し10℃にて撹拌下に、マグネシウム(500mg)を加えた。同温にて1時間撹拌後、さらにマグネシウム(250mg)を加えて3時間撹拌した。反応液に希塩酸を加え、酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的物(3.13g)を淡黄色油状物として得た。
【0102】
<参考例34>
4'−(3−トリフルオロメチル−5−メチルフェニルチオ)ジヒドロケイヒ酸メチル
【0103】
【化29】

【0104】
参考例13の化合物を用いて上記参考例33と同様な方法によって目的物を無色油状物として得た。
【0105】
<参考例35>
2'−クロロ−4'−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ジヒドロシンナミルアルコール
【0106】
【化30】

【0107】
参考例19の化合物(1.50g)をTHF(30mL)に溶解し、0℃にて撹拌下、水素化アルミニウムリチウム(200mg)を加えた。30分後、20%NaOH水溶液を加え、析出する不溶の無機残渣をセライト濾去し、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的物(1.38g)を無色油状物として得た。
【0108】
<参考例36〜45>
参考例20〜22、24、29〜34の化合物を用い、上記参考例35と同様な方法によって表4に示す化合物を合成した。
【0109】
【表4】

【0110】
<参考例46>
2'−クロロ−4'−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)ジヒドロシンナミルヨージド
【0111】
【化31】

【0112】
参考例35の化合物(1.38g)をTHF(20mL)に溶解し、0℃にて撹拌下イミダゾール(545mg)、トリフェニルホスフィン(2.10g)、ヨウ素(2.00g)を加えた。同温にて2時間、室温にて1.5時間撹拌後、イミダゾール(160mg)、トリフェニルホスフィン(600mg)、ヨウ素(500mg)を追加した。そのまま一晩撹拌した後、反応液に水を加えた後、チオ硫酸ナトリウムを加え、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)にて精製した。目的物(1.55g)を無色油状物として得た。
【0113】
<参考例47〜56>
参考例36〜45の化合物を用い、上記参考例46と同様な方法によって表5に示す化合物を合成した。
【0114】
【表5】

【0115】
<参考例57>
4'−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−クロロフェネチルヨージド
【0116】
【化32】

【0117】
<参考例57-1>
2'−クロロ−4'−(3−メトキシフェニルチオ)ベンジルシアニド
【0118】
【化33】

【0119】
参考例7の化合物を参考例35と同様に処理しアルコール体を得た後、アルコール(5.64g)を塩化メチレン(100mL)に溶解し三臭化リン(2.25mL)を滴下した。室温にて1時間撹拌後氷水を加え、酢酸エチルで抽出後、水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し淡黄色油状物を得た。得られた油状物、シアン化カリウム(1.56g)のDMSO(25mL)、水(10mL)溶液を90℃にて5時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出後、水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製した。目的とするシアノ体(3.81g)を淡黄色油状物として得た。
【0120】
<参考例57-2>
2'−クロロ−4'−(3−メトキシフェニルチオ)フェニル酢酸エチル
【0121】
【化34】

【0122】
上記シアノ体(3.81g)、水酸化カリウム(3.68g)のエタノール(80mL)、水(10mL)溶液を6時間加熱還流した。冷後不溶物を濾去し、濾液を希塩酸で中和した。酢酸エチルにて抽出後、水、飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し得られた残渣にエタノール(50mL)、塩化チオニル(2mL)を加え室温にて1時間撹拌後、溶媒を留去した。残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製した。エチルエステル体(3.89g)を無色油状物として得た。
【0123】
<参考例57-3>
4'− (3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−クロロフェニル酢酸エチル
【0124】
【化35】

【0125】
上記エチルエステルを参考例26と同様に処理した後、参考例57-2と同様にしてエチルエステル化しついで29と同様に処理してベンジルエーテル体を得た。
4'−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−クロロフェネチルヨージド
上記参考例57-3の化合物を原料として、参考例35と同様に反応させ4’−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2'−クロロフェネチルアルコールを得た後、参考例46と同様に反応を行い、目的物を無色油状物として得た。
【0126】
<参考例58>
1−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−3−クロロ−4−ヨードブチルベンゼン
【0127】
【化36】

【0128】
<参考例58-1>
4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェネチルアルデヒド
【0129】
【化37】

【0130】
57-3の化合物をアルカリ加水分解後、N、O−ジメチルヒドロキシアミンと縮合させアミド体を得た後、参考例35と同様に還元しアルデヒド体を黄色油状物として得た。
【0131】
<参考例58-2>
4−[(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]酪酸エチル
【0132】
【化38】

【0133】
上記58-1の化合物を参考例10と同様に処理し、ついで参考例19と同様に処理し目的とする酪酸エチル誘導体を得た。
1−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−3−クロロ−4−ヨードブチルベンゼン
上記58-2の化合物を原料として、参考例57と同様に反応させ、目的物を無色油状物として得た。
【0134】
<参考例59>
4’−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2’−クロロベンジルブロミド
【0135】
【化39】

【0136】
<参考例59-1>
2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)安息香酸エチル
【0137】
【化40】

【0138】
2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒドのかわりに2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリルを用いて参考例1と同様に反応させ2−クロロ−4−(3−メトキシフェニルチオ)ベンゾニトリルを得た後、参考例57-2と同様な方法で反応させ加水分解し、引き続き参考例26と同様な方法にて、メトキシ基を分解後、エステル化し目的物を黄色油状物として得た。
【0139】
<参考例59-2>
4’−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2’−クロロベンジルブロミド
参考例59-1の化合物を参考例29と同様にしてベンジルエーテル化した後、参考例35と同様に反応させアルコール体へ変換した。続いて参考例46と同様の反応をヨウ素のかわりに四臭化炭素を用いて行い目的物を無色油状物として得た。
【0140】
<実施例1>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)]フェニル−2−エトキシカルボニルペンタン酸エチル
【0141】
【化41】

【0142】
アルゴン気流下、2−t−ブトキシカルボニルアミノマロン酸ジエチル(1.3mL)のTHF(35mL)、DMF(4mL)溶液に、室温にてナトリウム−t−ブトキシド(490mg)を加えた。80℃にて20分撹拌した後室温にもどし、参考例46(1.55g)の化合物のTHF(5mL)溶液を滴下した。その後、5時間加熱還流し、氷水に反応液をあけ酢酸エチルで抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。目的物(1.87g)を無色油状物として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.22-1.36(6H, m), 1.42(9H, s), 1.45-1.53(2H, m), 2.37(2H, br), 2.74(2H, t, J=7.8Hz), 4.23(4H, m), 5.94(1H, s), 7.16-7.21(2H, m), 7.36-7.56(5H, m)。
【0143】
<実施例2〜13>
参考例47〜58の化合物を用い、上記実施例1と同様な方法によって表6に示す化合物を合成した。
【0144】
【表6】

【0145】
<実施例14>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−エトキシカルボニル−5−[4−(3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル)]フェニルペンタン酸エチル
【0146】
【化42】

【0147】
実施例2の化合物(1.50g)を塩化メチレン(80mL)に溶解し、0℃撹拌下、m−クロロ過安息香酸(450mg)を少量ずつ加えた。同温にて1時間、室温にて2時間撹拌後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製した。目的物(1.10g)を黄色油状物として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.18-1.21(6H, m), 1.40(9H, s), 1.44-1.52(2H, m), 2.30(2H, br), 2.66(2H, t, J=7.3Hz), 4.14-4.22(4H, m), 5.91(1H, br ), 7.27(2H, d, J=8.3Hz), 7.56(2H, d, J=8.3Hz), 7.59(1H, t, J=8.3Hz), 7.69(1H, d, J=8.3Hz), 7.78(1H, d, J=8.3Hz), 7.95(1H, s)。
【0148】
<実施例15>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[4−(3−トリフルオロメチル−5−メチルフェニルスルフィニル)]フェニル−2−エトキシカルボニルペンタン酸エチル
【0149】
【化43】

【0150】
実施例5の化合物を用い、上記実施例14と同様に行い目的物を無色油状物として得た。
FABMS:600 ([M+H]+)
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.18-1.22(6H, m), 1.41(9H, s), 1.46-1.50(2H, m), 2.31(2H, br), 2.45(3H, s), 2.66(2H, t, J=7.3Hz), 4.14-4.22(4H, m), 5.92(1H, br s), 7.27(2H, d, J=7.8Hz), 7.48(1H, s), 7.55(2H, d, J=7.8Hz), 7.62(1H, s), 7.70(1H, s)。
【0151】
<実施例16>
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール
【0152】
【化44】

【0153】
実施例1の化合物(1.87g)をTHF(30mL)に溶解し、0℃にて撹拌下水素化ホウ素リチウム(675mg)を加えた。引き続きエタノール(5mL)を加え、室温まで徐々に昇温しながら一晩撹拌した後、反応液に氷水を加え有機溶媒を減圧留去した。残渣に10%クエン酸水を加えpH3とした後、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、目的物(1.10g)を無色油状物として得た。
FABMS:520([M+H]+)
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.43(9H, s), 1.62-1.65(4H, m), 2.72(2H,br), 3.31(2H, br), 3.57-3.62(2H, m), 3.81-3.85(2H, m), 4.93(1H, s), 7.20-7.27(3H, m), 7.38-7.55(4H, m)。
【0154】
<実施例17〜30>
実施例2〜15の化合物を用い。上記実施例16と同様な方法によって表7に示す化合物を合成した。
【0155】
【表7】

【0156】
<実施例31>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジ−t−ブチル−5−[(3−クロロフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3,2−ジオキサシラン
【0157】
【化45】

【0158】
実施例30の化合物(490mg)、2,6−ルチジン(0.35mL)のDMF(15mL)溶液に、0℃にてジ−t−ブチルシリルビストリフルオロメタンスルホネート(0.55mL)を加えた。室温まで5時間撹拌した後、反応液を氷水にあけ酢酸エチルにて抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、目的物(630mg)を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.05(9H, s), 1.06(9H, s), 1.43(9H, s),1.57-1.62(4H, m), 2.58(2H, br), 3.89(2H, d, J=10.7Hz), 4.22(2H, d, J=10.7Hz), 4.92(1H, br s), 7.09-7.20(6H, m), 7.34(2H, d, J=8.3Hz)。
【0159】
<実施例32>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジ−t−ブチル−5−[(3−クロロフェニルスルホニル)フェニル]プロピル−1,3,2−ジオキサシラン
【0160】
【化46】

【0161】
上記実施例31の化合物を用い、実施例14と同様に酸化し目的物を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.04(9H, s), 1.05(9H, s), 1.41(9H, s), 1.55-1.57(4H, m), 2.63(2H, br), 3.86(2H, d, J=11.2Hz), 4.19(2H, d, J=11.2Hz), 4.92(1H, br), 7.29(2H, d, J=8.3Hz), 7.44(1H, t, J=8.3Hz), 7.50-7.53(1H, m), 7.80-7.85(1H, m), 7.84(2H, d, J=8.3Hz), 7.91-7.92(1H, m)。
【0162】
<実施例33>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[4−(3−t−ブトキシジメチルシロキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0163】
【化47】

【0164】
実施例29の化合物(1.88g)のDMF(30mL)溶液に、2,2−ジメトキシプロパン(2.5mL)、パラトルエンスルホン酸(100mg)を加え80℃にて5時間加熱撹拌した。反応液を水にあけ酢酸エチルにて抽出後、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的物(1.11g)を無色粉末として得た。
【0165】
<実施例34>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]プロピル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0166】
【化48】

【0167】
上記実施例33の化合物(1.10g)のTHF(20mL)溶液に、1mol/L−テトラブチルアンモニウムフルオリド−THF溶液(5mL)を加えた。10分後、反応液を水にあけ酢酸エチルにて抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去後、目的物(900mg)を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.39(9H, s), 1.40(3H, s), 1.41(3H, s), 1.60(4H,
br s), 2.78(2H, br s), 3.64(2H, d, J=11.7Hz), 3.83(2H, d, J=11.7Hz), 4.89(1H,br), 7.27(1H, br), 6.53(1H, br), 6.65(1H, d, J=6.9Hz), 6.85(1H, d,J=8.3Hz), 7.11-7.16(2H, m), 7.26-7.28(1H, m), 7.45(1H, br s)。
【0168】
<実施例35>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−(3−クロロベンジルオキシ)フェニルチオ)フェニル]プロピル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0169】
【化49】

【0170】
実施例34の化合物(500mg)のDMF(10mL)溶液に炭酸カリウム(500mg)、m−クロロベンジルブロミド(0.16mL)を加え、70℃にて1時間撹拌した。反応液を水にあけ酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的物(520mg)を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.41(3H, s), 1.42(12H, s), 1.53-1.56(2H, m), 1.76(2H, br), 2.69(2H, t, J=7.8Hz), 3.65(2H, d, J=11.7Hz), 3.88(2H, d, J=11.7Hz), 4.88(1H, br), 4.99(2H, s), 6.86(1H, dd, J=8.3, 2.0Hz), 6.92-6.95(2H, m), 7.11-7.16(2H, m), 7.21-7.32(5H, m), 7.40(1H, s)。
【0171】
<実施例36>
2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール塩酸塩
【0172】
【化50】

【0173】
実施例26の化合物(6.91g)のメタノール(150mL)溶液に、3mol/L−塩酸含有酢酸エチル(100mL)を加え室温にて1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に塩化メチレン:ヘキサン=1:5の混液を加え、結晶を濾取した。乾燥後、目的物(5.75g)を無色粉末として得た。
FABMS: 458([M+H]+)
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 1.57(4H, br s), 2.64(2H, br s), 3.36-3.46(4H,
m), 5.09(2H, s), 5.31(2H, t, J=4.9Hz), 6.89(1H, d, J=8.3Hz), 6.95(1H, t, J=2.0Hz), 6.99(1H, dd, J=8.3Hz, 2.0Hz), 7.23(1H, dd, J=7.8Hz, 2.0Hz), 7.29(8H, m), 7.70(3H, br s)。
融点 132-133℃(EtOH-iPr2O)
元素分析値(%):C25H28ClNO3S・HClとして
C H N
計算値 : 60.72 5.91 2.83
実測値 : 60.71 5.85 2.91。
【0174】
<実施例37〜45>
実施例16〜24の化合物を用い上記実施例36と同様な方法によって、表8に示す化合物を合成した。
【0175】
【表8】

【0176】
<実施例46>
2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオール塩酸塩
【0177】
【化51】

【0178】
実施例25の化合物を用い実施例36と同様な方法によって目的物を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 1.75-1.79(2H, m), 2.69-2.73(2H, m), 3.54(2H, s), 5.10(2H, s), 5.40(2H, t, J=4.0Hz), 6.91(1H, dd, J=8.3Hz, 1.8Hz), 6.96(1H, t, J=1.8Hz), 7.00(1H, dd, J=8.3Hz, 1.8Hz), 7.26(1H, dd, J=8.8Hz, 1.8Hz), 7.30-7.42(8H, m), 7.82(3H, br)。
FABMS: 444([M+H]+)
融点 143-145℃(EtOH-iPr2O)
元素分析値(%):C24H26ClNO3S・HClとして
C H N
計算値 : 60.00 5.66 2.92
実測値 : 59.88 5.61 2.97。
【0179】
<実施例47〜51>
実施例27、28、30、32、35の化合物を用い上記実施例36と同様な方法によって、表9に示す化合物を合成した。
【0180】
【表9】

【0181】
<実施例52>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)フェニル]メチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0182】
【化52】

【0183】
参考例59の化合物を用い、実施例1と同様な方法によってエステル体を合成後、実施例16と同様な方法を用いジオール体に変換した。引き続き実施例35と同様な操作によって目的物を黄色油状物として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.43(6H, s), 1.46(9H, s), 3.23(2H, s), 3.83(2H, d, J=11.7Hz), 3.89(2H, d, J=11.7Hz), 4.84(1H, br s), 5.03(2H, s), 6.91(1H, ddd, J=8.3Hz, 2.4Hz, 1.0Hz), 6.95-6.99(2H, m), 7.12(1H, dd, J=8.3Hz, 2.0Hz), 7.22-7.41(8H, m)。
【0184】
<実施例53>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−ベンジルオキシフェニルスルフィニル)フェニル]プロピル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0185】
【化53】

【0186】
実施例26の化合物を用い、実施例35と同様に反応させた後、実施例14と同様に酸化して目的物を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.40(3H, s), 1.41(12H, s), 1.51-1.56(2H, m), 1.73-1.75(2H, m), 2.72(2H, t, J=7.8Hz), 3.64(2H, d, J=11.7Hz), 3.85(2H, d, J=11.7Hz), 4.87(1H, br s), 5.09(2H, s), 7.05(1H, dd, J=8.3Hz, 2.9Hz), 7.19(1H, d, J=8.3Hz), 7.22-7.42(9H, m), 7.59(1H, d,J=2.9Hz)。
<実施例54>
5−t−ブトキシカルボニルアミノ−5−[2−クロロ−4−(3−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニル]プロピル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン
【0187】
【化54】

【0188】
実施例53の化合物を用い、実施例14と同様に酸化して目的物を無色粉末として得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ 1.40(3H, s), 1.41(12H, s), 1.53-1.60(2H, m), 1.73-1.75(2H, m), 2.74(2H, t, J=7.3Hz), 3.64(2H, d, J=11.7Hz), 3.84(2H, d, J=11.7Hz), 4.87(1H, br s), 5.10(2H, s), 7.15(1H, dd, J=7.8Hz, 1.5Hz), 7.31-7.53(9H, m), 7.69(1H, dd, J=7.8Hz, 2Hz), 7.86(1H, d, J=1.5Hz)。
【0189】
<実施例55-57>
実施例52-54の化合物を用い実施例36と同様な方法によって表10に示す化合物を合成した。
【0190】
【表10】

【0191】
次に本発明化合物について、有用性を裏付ける成績を実験例によって示す。
【0192】
<実験例1> マウス宿主対移植片拒絶反応に対する被験化合物の抑制作用
トランスプランテーション(Transplantation)、第55巻、第3号、第578-591頁,1993年.に記載の方法を参考にして行った。BALB/c系雄性マウス9〜11週齢(日本クレア、日本チャールス・リバーまたは日本エスエルシー)から脾臓を採取した。脾臓は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、日水製薬)またはRPMI-1640培地(ギブコまたは岩城硝子)中に取り出し、ステンレス・メッシュを通過させることにより、または、スライドグラス2枚ですり潰しセルストレーナー(70ミクロン、ファルコン)を通過させることにより脾細胞浮遊液にした。この脾細胞浮遊液を遠心して上清を除去した後、塩化アンモニウム-トリス等張緩衝液を加えて赤血球を溶血させた。PBS(-)またはRPMI-1640培地で3回遠心洗浄した後、RPMI-1640培地に浮遊した。これに最終濃度が25μg/mLとなるようにマイトマイシンC(協和醗酵)を加え、37℃、5%CO2下で30分間培養した。PBS(-)またはRPMI-1640培地で3回遠心洗浄した後、RPMI-1640培地に2.5×108個/mLとなるように浮遊し、これを刺激細胞浮遊液とした。刺激細胞浮遊液20μL(5×106個/匹)を、27G針およびマイクロシリンジ(ハミルトン)を用いてC3H/HeN系雄性マウス7〜9週齢(日本クレア、日本チャールス・リバーまたは日本エスエルシー)の右後肢足蹠部皮下に注射した。正常対照群には、RPMI-1640培地のみを注射した。4日後に、右膝下リンパ節を摘出し、メトラーAT201型電子天秤(メトラー・トレド)を用いて重量を測定した。被験化合物は、刺激細胞注射日から3日後まで、1日1回、計4回、連日腹腔内投与した。対照群には、被験化合物の調製に用いたものと同じ組成の溶媒を投与した。表11に示す。
【0193】
【表11】

【0194】
<実験例2> マウス遅延型過敏反応に対する被験化合物の抑制作用
メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第300巻、第345-363頁、1999年.に記載の方法を参考にして行った。1%(v/v)となるように1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DNFB、ナカライテスク)をアセトン:オリブ油(4:1)混合液に溶解した。1%DNFB溶液をBALB/c系雄性マウス(日本エスエルシーまたは日本チャールス・リバー)6〜8週齢の左右後肢足蹠部に10μLずつ塗布して抗原感作を行った。この抗原感作を2日連続して行い、これを0日目および1日目とした。5日目に同抗原を耳にチャレンジして遅延型過敏反応を惹起した。まず、抗原チャレンジ前の左右耳厚をダイヤルシックネスゲージG(0.01-10mm、尾崎製作所)を用いて測定した。次に、被験化合物を投与した。30分後、アセトン:オリブ油(4:1)混合液に溶解した0.2%(v/v)DNFB溶液を右耳の表裏に10μL塗布し、抗原チャレンジを行った。左耳には、溶媒のみをチャレンジした。24時間後に耳厚増加量を測定し、右耳と左耳の耳厚増加量の差を各個体のデータとした。被験化合物は、超純水に溶解、あるいは懸濁した後、マウスの体重10g当たり0.1mLずつ経口投与した。 対照群には、超純水を投与した。結果を表12に示す。
【0195】
【表12】

【0196】
<実験例3> マウス皮膚移植モデルに対する被験化合物の作用
マウス皮膚移植モデルを用いて、拒絶反応に対する作用を検討した。移植実験は、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・バイオロジー(J. Exp. Biology)、28巻、3号、385〜405頁、1951年に記載の方法を参考にして行った。
【0197】
まず、DBA/2系雄性マウスから背部の皮膚を剥離し、脂肪層と浅在筋膜を取り除いた後、直径8mmの円形の移植片を作成した。続いて、麻酔したBALB/c系雄性マウスの背中の皮膚をピンセットでつまみ上げてメスで切り取り、直径約8mmの円形の移植床を作った。BALB/cマウスの移植床にDBA/2マウス由来の移植片を置いて、上から押し付け、その上に救急絆創膏を貼り付けた。移植6日後に絆創膏を取り外し、その後は毎日、移植片を観察した。移植片が完全に脱落するまでの日数を生着期間として、化合物の作用を評価した。被験化合物は超純水に溶解して、移植当日から1日1回、経口投与した。なお、コントロール群には、超純水を同様に投与した。
【0198】
結果を図1〜図3に示す。
【0199】
以上のように、一般式(1)で表される本発明化合物は動物実験モデルにおいてその有効性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0200】
上述のように、本発明は、新規なジアリールスルフィド誘導体、特に一方のアリール基のパラ位にアミノプロパンジオール基を含む炭素鎖を有し、もう一方のアリール基のメタ位に置換基を有するジアリールスルフィド誘導体に強力な免疫抑制作用を有することを見出したものである。このような免疫抑制作用を有する化合物は、臓器移植および骨髄移植における拒絶反応の予防または治療薬、自己免疫疾患の予防または治療薬、慢性関節リウマチの予防または治療薬、乾癬またはアトピー性皮膚炎の予防または治療薬及び気管支喘息または花粉症の予防または治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】マウス皮膚移植モデルに対する被験化合物の作用を示すグラフである。
【図2】マウス皮膚移植モデルに対する被験化合物の作用を示すグラフである。
【図3】マウス皮膚移植モデルに対する被験化合物の作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、R1はハロゲン原子、トリハロメチル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、アラルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、無置換または置換基を有しても良いフェノキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、無置換または置換基を有しても良いアラルキルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基、シンナミルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェノキシメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜4の低級アルキルチオ基、炭素数1〜4の低級アルキルスルフィニル基、炭素数1〜4の低級アルキルスルホニル基、ベンジルチオ基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基を示し、R2は水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、R3は水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルコキシメチル基を示し、XはS、SO、SO2を、nは1〜4の整数を示す]
で表されることを特徴とするジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1a)
【化2】

[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じ]
で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項3】
前記R3が塩素原子であることを特徴とする請求項2に記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項4】
前記R3がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項2に記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1b)
【化3】

[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じであり、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基を示す]
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項6】
前記R3が塩素原子であることを特徴とする請求項5に記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項7】
前記R3がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項5に記載のジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項8】
前記一般式(1)で示される化合物が、
1) 2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
2) 2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
3) 2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオール、
4) 2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]ブチル−1,3−プロパンジオール、
5) 2−アミノ−2−[4−(3−(3’−クロロベンジルオキシ)フェニルチオ)−2−クロロフェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
6) 2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−トリフルオロメチルフェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
7) 2−アミノ−2−[4−(3,5−ビストリフルオロメチル−2−クロロフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
8) 2−アミノ−2−[4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、
9) 2−アミノ−2−[2−クロロ−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール、又は
10) 2−アミノ−2−[2−トリフルオロメチル−4−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)フェニル]プロピル−1,3−プロパンジオール
であることを特徴とする請求項1に記載のジアリールエーテル誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物。
【請求項9】
一般式(1)
【化4】

[式中、R1はハロゲン原子、トリハロメチル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、無置換または置換基を有しても良いフェニル基、アラルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、フェノキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、無置換または置換基を有しても良いアラルキルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基、シンナミルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェノキシメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜4の低級アルキルチオ基、炭素数1〜4の低級アルキルスルフィニル基、炭素数1〜4の低級アルキルスルホニル基、ベンジルチオ基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基を示し、R2は水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、R3は水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルコキシメチル基を示し、XはS、SO、SO2を、nは1〜4の整数を示す]
で表されるジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物の少なくとも一種類以上を有効成分とする免疫抑制剤。
【請求項10】
前記一般式(1)で示される化合物が、一般式(1a)
【化5】

[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じ]
で表されるジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物の少なくとも一種類以上を有効成分とすることを特徴とする請求項9に記載の免疫抑制剤。
【請求項11】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1b)
【化6】

[式中、R2、R3及びnは前記定義に同じであり、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基を示す]
で表されるジアリールスルフィド誘導体及び薬理学的に許容しうる塩並びにその水和物の少なくとも一種類以上を有効成分とすることを特徴とする請求項9に記載の免疫抑制剤。
【請求項12】
前記免疫抑制剤が、自己免疫疾患の予防または治療薬であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の免疫抑制剤。
【請求項13】
前記免疫抑制剤が、慢性関節リウマチの予防または治療薬であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の免疫抑制剤。
【請求項14】
前記免疫抑制剤が、乾癬またはアトピー性皮膚炎の予防または治療薬であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の免疫抑制剤。
【請求項15】
前記免疫抑制剤が、気管支喘息または花粉症の予防または治療薬であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の免疫抑制剤。
【請求項16】
前記免疫抑制剤が臓器移植および骨髄移植における拒絶反応の予防または治療薬であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の免疫抑制剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−40794(P2009−40794A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264592(P2008−264592)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【分割の表示】特願2003−532456(P2003−532456)の分割
【原出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】