説明

ジアリールトリアゾール誘導体又はその塩、それらを含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤、並びにそれらの製造方法

【課題】殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の提供。
【解決手段】式(I)


〔式中、Rはアルキル、アルケニル等;R2はフェニル、ピリジル;R及びR4は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シアノ等;R5はアルキル、アルケニル等;nは0、1、2である〕で表されるジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、殺虫剤、殺ダニ剤として有用なフェニルトリアゾール誘導体が記載されているが、後記式(I)中のRに相当する置換基が本発明化合物のものとは異なる。また、特許文献2には、殺虫剤、殺ダニ剤として有用な(3-硫黄原子置換フェニル)ヘテロアリール誘導体が記載されているが、トリアゾール環上のフェニルの置換位置が本発明化合物とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO 99/55668
【特許文献2】特開2008−308448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長年にわたり、多数の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が使用されているが、効力が不十分、害虫等が抵抗性を獲得しその使用が制限される等、種々の課題を有するものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない新規な殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、より優れた殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤を見出すべく、フェニルトリアゾール誘導体につき種々検討した。その結果、新規なジアリールトリアゾール誘導体が、低薬量で特にハダニに対して極めて高い防除効果を有し、且つ、作物、害虫等の天敵、或は哺乳動物に対する安全性を併せ持つことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
〔式中、Rはハロゲンで置換されてもよいアルキル、ハロゲンで置換されてもよいアルケニル又はハロゲンで置換されてもよいアルキニルであり;R2はXで置換されてもよいフェニル又はXで置換されてもよいピリジルであり;Xはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アミノ、ニトロ又はシアノであり;R及びR4は各々独立に水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はシアノであり;R5はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル又はAで置換されてもよいアルキニルであり;Aはハロゲン、シアノ又はシクロアルキルであり;nは0、1又は2である〕で表されるジアリールトリアゾール誘導体又はその塩に関する。また、本発明は、式(I)のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分とする殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤、それらを施用して害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫を防除する方法並びにそれらの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
前記式(I)のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分とする殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、低薬量で害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫に対して極めて高い防除効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
式(I)中のハロゲン又は置換基としてのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲンは同一でも相異なってもよい。また、ハロゲンの置換位置はいずれの位置でもよい。
式(I)中のアルキルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のもの等が挙げられる。
式(I)中のシクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルのようなC3−6のもの等が挙げられる。
【0011】
式(I)中のアルケニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ヘキセニルのようなC2−6のもの等が挙げられる。
式(I)中のアルキニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、2−ペンテン−4−イニル、3−ヘキシニルのようなC2−6のもの等が挙げられる。
【0012】
式(I)中のR2で表されるピリジルとしては、例えば、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルが挙げられる。これらのうち、2−ピリジルが望ましい。また、ピリジルが置換基Xで置換される場合、Xは同一であっても相異なってもよく、その置換数は1〜4である。
【0013】
式(I)中のR2で表されるフェニルが置換基Xで置換される場合、Xは同一であっても相異なってもよく、その置換数は1〜5である。
【0014】
前記式(I)のジアリールトリアゾール誘導体の塩としては、当該技術分野で許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩等が挙げられる。
【0015】
前記式(I)のジアリールトリアゾール誘導体には、光学異性体、幾何異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0016】
前記式(I)のジアリールトリアゾール誘導体又その塩(以下、本発明化合物と略す)は、以下の製法〔1〕〜〔6〕並びに、通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
製法〔1〕
【0017】
【化2】

【0018】
上記式中、R、R、R、R、R及びnは前述の通りである。製法〔1〕は、 式(II)の化合物と式(III)の化合物を反応させて式(IV)の化合物を得、このものを脱水素化して式(I)の化合物を製造する方法であり、上記工程1−1及び工程1−2からなる。各反応工程について、以下に詳述する。
【0019】
工程1−1の反応は、通常、酸及び溶媒の存在下で行うことができる。酸としては、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。酸は、式(II)の化合物に対して0.05〜2倍モル、望ましくは0.1〜1倍モル使用することができる。
【0020】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0021】
工程1−1の反応は、通常20〜250℃、望ましくは20〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.5〜24時間程度、望ましくは1〜20時間程度とすることができる。
【0022】
工程1−2の反応は、工程1−1の反応終了後、得られた式(IV)の化合物を単離した後行ってもよいし、単離せず引き続き行ってもよい。式(IV)の化合物を単離した場合、工程1−2の反応は、通常、塩基又は酸化剤の存在下で行われる。式(IV)の化合物を単離しない場合、使用する式(III)の化合物の種類によっては、塩基又は酸化剤を使用しなくても反応が進行する場合がある。
【0023】
塩基は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのようなアミン類等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(IV)の化合物に対して0.1〜5倍モル、望ましくは1〜3倍モル使用することができる。
【0024】
酸化剤は、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、o−クロラニル、過酸化水素、過酸化二硫酸アンモニウム、過酸化二硫酸ナトリウム、過酸化二硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、酸素等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。酸化剤は、式(IV)の化合物に対して1〜10倍モル、望ましくは1〜4倍モル使用することができる。
【0025】
工程1−2の反応は、通常、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、前記工程1−1と同様のものを使用してもよい。また、これに加えて、アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、ターシャリーブタノールのようなアルコール類;酢酸、プロピオン酸のような有機酸;水;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類等から1種又は2種以上を適宜選択することもできる。
【0026】
工程1−2の反応は、通常−20〜250℃、望ましくは0〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.5〜48時間程度、望ましくは1〜30時間程度とすることができる。
製法〔2〕
【0027】
【化3】

【0028】
上記式中、R、R、R、R、R及びnは前述の通りである。製法〔2〕は、式(II)の化合物と式(V)の化合物を反応させて式(I)の化合物を製造する方法であり、以下に詳述する。
【0029】
製法〔2〕の反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基は、製法〔1〕工程1−2と同様のものを使用することができる。塩基は、式(II)の化合物に対して0.5〜5倍モル、望ましくは1〜2倍モル使用することができる。
【0030】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、製法〔1〕工程1−1で例示したものを使用することができる。
【0031】
製法〔2〕の反応は、通常−20〜250℃、望ましくは0〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.5〜48時間程度、望ましくは3〜12時間程度とすることができる。
製法〔3〕
【0032】
【化4】

【0033】
上記式中、R、R、R、R及びRは前述の通りであり、nbは1又は2である。製法〔3〕は、式(I−a)の化合物を酸化することにより、式(I−b)の化合物を製造する方法であり、以下に詳述する。
【0034】
製法〔3〕の酸化反応は、酸化剤の存在下で行うことができる。酸化剤としては、例えばm−クロロ過安息香酸、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。これらの酸化剤の中でも、m−クロロ過安息香酸及び/又は過酸化水素が望ましく、m−クロロ過安息香酸がさらに望ましい。酸化剤は、式(I−a)の化合物に対して1〜10倍モル、望ましくは1〜6倍モル使用することができる。
【0035】
製法〔3〕の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、ターシャリーブタノールのようなアルコール類;酢酸、プロピオン酸のような有機酸;水;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0036】
製法〔3〕の反応は、通常−30℃から反応系における還流温度、望ましくは−10℃〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜48時間程度、望ましくは0.5〜24時間程度とすることができる。
製法〔4〕
【0037】
【化5】

【0038】
上記式中、R、R、R、R及びnは前述の通りであり、R5cはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル又はAで置換されてもよいアルキニルであり;R5dはA2で置換されてもよいハロアルキル、A2で置換されてもよいハロアルケニル又はA2で置換されてもよいハロアルキニルであり;Aはハロゲン、シアノ又はシクロアルキルであり;A2はシアノ又はシクロアルキルである。製法〔4〕は、式(I−C)の化合物をハロゲン化して式(I−d)の化合物を製造する方法であり、以下に詳述する。
【0039】
製法〔4〕のハロゲン化反応は、ハロゲン化剤の存在下で行うことができる。ハロゲン化剤としては、例えば、塩素、臭素、クロラミン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、塩化チオニル、臭化チオニル等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0040】
製法〔4〕のハロゲン化反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;酢酸、プロピオン酸のような有機酸;水;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;等から1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0041】
製法〔4〕のハロゲン化反応は、通常−100〜150℃、望ましくは−10〜110℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜48時間程度、望ましくは0.5〜24時間程度とすることができる。
製法〔5〕
【0042】
【化6】

【0043】
上記式中、R、R、R、R及びRは前述の通りであり、Lは脱離基である。製法〔5〕は、式(VI)又は式(XIV)の化合物と、式(VII)の化合物を反応させて式(I−a)の化合物を製造する方法であり、以下に詳述する。
【0044】
製法〔5〕の反応は、通常、塩基及び/又は反応開始剤の存在下で行うことができる。塩基は、pH8以上を示すものであればいずれのものでもよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム(別名:重曹)、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類;水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;メチルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、リチウムジイソプロピルアミドのような有機金属類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。これら塩基の中でも、アルカリ金属炭酸塩類、アルカリ金属重炭酸塩類、アルカリ金属水素化物又はアルカリ金属アルコキシドが望ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム又は水素化ナトリウムがさらに望ましい。塩基は、式(VI)の化合物に対して1〜10倍モル、望ましくは1〜3倍モル使用することができる。
脱離基Lとしては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えばハロゲン、トシルなどが挙げられる。
【0045】
反応開始剤としては、例えば、亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(Rongalit・商品名、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。反応開始剤は、式(VI)又は式(XIV)の化合物に対して0.05〜5倍モル、望ましくは0.1〜1.2倍モル使用することができる。
【0046】
製法〔5〕の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;水;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0047】
製法〔5〕の反応は、通常−40℃から反応系における還流温度、望ましくは0℃〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常10分〜24時間程度、望ましくは0.5〜20時間程度とすることができる。
【0048】
式(XIV)の化合物は式(VI)の化合物を常法により還元することで製造することができる。式(VI)の化合物と式(XIV)の化合物とは、酸化還元反応により相互に変換が可能であり、式(VI)の化合物は空気中の酸素によっても容易に酸化され、式(XIV)の化合物になることもある。
製法〔6〕
【0049】
【化7】

【0050】
上記式中、R、R、R及びRは前述の通りであり、Qはベンゼン環又はピリジン環である。製法〔6〕は、式(I−f)の化合物を還元することにより、式(I−g)の化合物を製造する方法であり、以下に詳述する。
【0051】
製法〔6〕の還元反応は、式(I−f)の化合物と還元剤との反応である。還元反応としては、例えば、以下に示す接触水素化反応又は金属若しくは金属塩による還元反応が挙げられ、何れかの反応により、式(I−g)の化合物を製造することができる。
【0052】
接触水素化反応の還元剤は、水素である。接触水素化反応は、通常、触媒及び溶媒の存在下で行うことができる。触媒としては、例えば、パラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。触媒は、式(I−f)の化合物に対して0.0001〜10倍モル、望ましくは0.001〜1倍モル使用することができる。
【0053】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブ
チルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、ターシャリーブタノールのようなアルコール類;酢酸、プロピオン酸のような有機酸;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;ピリジン、ピコリンのようなピリジン類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0054】
接触水素化反応は、通常−20〜150℃、望ましくは0〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常30分〜48時間程度、望ましくは1〜24時間程度とすることができる。
【0055】
金属もしくは金属塩による還元反応の還元剤は、金属もしくは金属塩であり、例えば、亜鉛、錫、塩化錫、鉄等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。金属もしくは金属塩は、式(I−f)の化合物に対して1〜100倍モル、望ましくは1〜10倍モル使用することができる。
【0056】
金属もしくは金属塩による還元反応は、所望により、酸又は塩基の存在下で行うことができる。酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸のような有機酸;塩酸、硫酸、リン酸のような無機酸;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。酸又は塩基は、式(I−f)の化合物に対して0.1〜1000倍モル、望ましくは1〜100倍モル使用することができる。
【0057】
金属もしくは金属塩による還元反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、上記の接触水素化反応で例示したものを使用してもよい。また、これに加えて、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;水;等から1種又は2種以上を適宜選択することもできる。
【0058】
製法〔6〕の反応は、通常−50〜150℃、望ましくは−10〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常30分〜48時間程度、望ましくは1〜24時間程度とすることができる。
【0059】
〔中間体製法〕
製法〔5〕の出発物質である式(VI)の化合物は、例えば、(1)式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物とをカップリング反応させて、式(X)の化合物を得る第一段階、(2)式(X)の化合物をハロスルホニル化して、式(XI)の化合物を得る第二段階、(3)式(XI)の化合物を還元して式(VI)の化合物を得る第三段階から成る反応により製造できる。以下に詳述する。下記式中、R、R、R及びRは前述の通りであり、Xはハロゲンである。
【0060】
【化8】

【0061】
カップリング反応は、通常、銅触媒の存在下で行われる。銅触媒は、カップリング反応が可能なものであれば、いずれのものでもよく、例えば、銅(金属銅)、硫酸銅(II)、硫酸銅(I)、酸化銅(II)、酸化銅(I)、塩化銅(II)、塩化銅(I)、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。銅触媒は、式(X)の化合物に対して0.001〜1倍モル、望ましくは0.01〜0.5倍モル使用することができる。
【0062】
カップリング反応は、所望により、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基は、製法〔1〕工程1−2と同様のものを使用することができる。塩基は、式(VIII)の化合物に対して0.1〜10倍モル、望ましくは1〜2倍モル使用することができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。カップリング反応は、通常0℃〜反応系における還流温度、望ましくは10℃〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常1〜30時間程度とすることができる。
【0063】
ハロスルホニル化反応は、ハロスルホニル化剤の存在下で行うことができる。ハロスルホニル化剤としては、例えば、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸のようなハロスルホン酸化合物等から1種又は2種以上を適宜選択できる。これらスルホニル化剤の中でも、クロロスルホン酸を使用するのが望ましい。ハロスルホニル化剤は、式(X)の化合物に対して1〜100倍モル、望ましくは1〜10倍モル使用することができる。
【0064】
ハロスルホニル化反応は、所望により溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸、プロピオン酸のような有機酸等から1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0065】
ハロスルホニル化反応は、通常−10℃から反応系における還流温度、望ましくは10℃〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常1〜48時間程度、望ましくは1〜24時間程度とすることができる。
【0066】
還元反応は、還元剤の存在下で行うことができる。還元剤としては、例えば、亜鉛、錫、鉄のような金属化合物;赤リン、トリフェニルホスフィンのようなリン化合物;ヨウ化カリウム、ヨウ素のようなハロゲン化合物;等から1種又は2種以上を適宜選択できる。還元剤は、式(XI)の化合物に対して1〜100倍モル、望ましくは1〜10倍モル使用することができる。
【0067】
還元反応は、所望により酸の存在下で行うことができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸;塩化アルミニウム、ポリリン酸のようなルイス酸;酢酸、プロピオン酸のような有機酸;モンモリロナイトK−10のような固体酸;等から1種又は2種以上を適宜選択できる。酸は、式(XI)の化合物に対して0.066〜200倍モル、望ましくは2〜20倍モル使用することができる。
【0068】
還元反応は、所望により溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、ターシャリーブタノールのようなアルコール類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0069】
還元反応は、通常0℃から反応系における還流温度、望ましくは0℃〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常1〜48時間程度、望ましくは1〜24時間程度とすることができる。
【0070】
前記〔中間体製法〕の第一段階(1)で得られる式(X)の化合物は、以下に示す製法〔A〕又は製法〔B〕によっても製造できる。
製法〔A〕
【0071】
【化9】

【0072】
製法〔A〕中、R、R、R及びRは前述の通りである。
製法〔A〕は、式(XII)の化合物と式(III)の化合物を反応させて式(XIII)の化合物を得、このものを脱水素化して式(X)の化合物を製造する方法であり、上記工程A−1及び工程A−2からなる。製法〔A〕は、前記製法〔1〕に準じて行うことができる。
製法〔B〕
【0073】
【化10】

【0074】
製法〔B〕中、R、R、R及びRは前述の通りである。
製法〔B〕は、式(XII)の化合物と式(V)の化合物を反応させて式(X)の化合物を製造する方法であり。製法〔B〕は、前記製法〔2〕に準じて行うことができる。
【0075】
前記製法〔A〕又は製法〔B〕の出発物質である式(XII)の化合物は、例えば、以下に示す製法〔C〕に従って製造できる。
製法〔C〕
【0076】
【化11】

【0077】
製法〔C〕中、R、R及びRは前述の通りである。製法〔C〕は、式(XV)の化合物と式(XVI)の化合物とを反応させて式(XVII)の化合物を得、このものをハロゲン化して式(XVIII)の化合物を得、さらに式(XVIII)の化合物とアンモニア水とを反応させて式(XII)の化合物を製造する方法であり、上記工程C−1、C−2及びC−3からなる。尚、上記工程C−1において、式(XVI)の化合物の代わりに、式(XVI)の化合物のアセタール体又はヘミアセタール体を使用してもよい。各反応工程について、以下に詳述する。
【0078】
工程C−1の反応は、所望により、酸の存在下で行うことができる。酸としては、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。酸は、式(XV)の化合物に対して0.05〜2倍モル、望ましくは0.1〜1倍モル使用することができる。
【0079】
式(XV)の化合物は塩であってもよい。式(XV)の化合物の塩を使用する場合、工程C−1の反応は、所望により、塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのような酢酸塩;トリエチルアミン、ピリジンのような有機塩基;等から1種又は2種以上が適宜選択することができる。
【0080】
工程C−1の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、前記〔中間体製法〕における還元反応と同様のものを使用することができる。
【0081】
工程C−1の反応は、通常−70℃から反応系における還流温度、望ましくは−20℃〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常10分〜24時間程度、望ましくは30分〜12時間程度とすることができる。
【0082】
工程C−2のハロゲン化反応は、ハロゲン化剤の存在下で行うことができる。ハロゲン化剤としては、例えば、塩素、臭素、クロラミン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、次亜塩素酸、次亜塩素酸 tert−ブチル等から1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0083】
工程C−2の反応は、工程C−1の反応終了後、得られた式(XVII)の化合物を単離した後行ってもよいし、単離せず引き続き行ってもよい。式(XVII)の化合物を単離した場合、工程C−2の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、前記〔中間体製法〕におけるカップリング反応と同様のものを使用することができる。
【0084】
工程C−2のハロゲン化反応は、通常−70℃から反応系における還流温度、望ましくは−20℃〜150℃で行うことができ、その反応時間は、通常10分〜24時間程度、望ましくは30分〜12時間程度とすることができる。
【0085】
工程C−3の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;水;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;ピリジン、ピコリンのようなピリジン類;等から1種又は2種以上を適宜選択することができる
【0086】
工程C−3の反応は、通常−30℃から反応系における還流温度、望ましくは−10℃〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常10分〜24時間程度、望ましくは30分〜12時間程度とすることができる。
【0087】
本発明化合物を含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の望ましい態様について以下に記述する。本発明化合物を含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、例えば農園芸分野で問題となる害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫の防除剤、即ち農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤や、動物寄生性の害虫又はダニの防除剤、即ち動物寄生虫防除剤として有用である。
【0088】
本発明化合物は、農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤として有用であるが、具体的には、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等のようなアブラムシ類;コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コブノメイガ、チャノコカクモンハマキ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、ウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類等のような農業害虫類;ナメクジ、マイマイ等のような腹足類;イエダニ、ゴキブリ類、イエバエ、アカイエカ等のような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類等のような貯穀害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシ、シロアリ類等のような衣類、家屋害虫類;等の害虫、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ネダニ等のような植物寄生性ダニ類;ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ミナミツメダニ等のような屋内塵性ダニ類;等のダニ、ネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウ等のような植物寄生性線虫類;等の線虫、ダンゴムシ、ワラジムシのような等脚類;等の土壌害虫の防除に有効である。本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類等の防除に特に有効である。その中でも、植物寄生性ダニ類、農業害虫類の防除にさらに優れた効果を示すため、殺虫剤又は殺ダニ剤として非常に有用である。また、本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤、ネオニコチノイド剤等の薬剤に対する各種抵抗性害虫の防除にも有効である。さらに本発明化合物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0089】
本発明化合物を含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の別の望ましい態様としては、前記した植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類、腹足類、土壌害虫類等を総合的に防除する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が挙げられる。
【0090】
本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、通常、該化合物と各種農業上の補助剤とを混合して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、顆粒水溶剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤等の種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉等の固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコール等の溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィン等の植物油や鉱物油;等が挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、等通常使用される各種補助剤も使用することができる。本発明化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油等)を添加して使用することができる。
【0091】
本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の施用は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況等の相違により一概に規定できないが、一般に0.05〜800,000ppm、望ましくは0.5〜500,000ppmの有効成分濃度で行ない、その単位面積あたりの施用量は、1ヘクタール当り本発明化合物が0.05〜50,000g、望ましくは1〜30,000gである。また、本発明には、このような施用方法による害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫の防除方法、特に植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類の防除方法も含まれる。
【0092】
本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常、一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)、浸漬毒餌等により行うことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生及び生育を阻害することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume application method)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。
【0093】
また、本発明化合物を含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤等と混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウィルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤、等が挙げられる。特に、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物の1種又は2種以上とを混用或は併用した殺虫用組成物、殺ダニ用組成物、殺線虫用組成物又は殺土壌害虫用組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することが可能である。尚、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物は各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような殺虫用組成物、殺ダニ用組成物、殺線虫用組成物又は殺土壌害虫用組成物も含まれる。
【0094】
本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物との混合比(重量比)は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況等の相違により一概に規定できないが、一般に1:300〜300:1、望ましくは1:100〜100:1である。また、施用適量は1ヘクタール当りの総有効成分化合物量として0.1〜50,000g、望ましくは1〜30,000gである。本発明には、このような殺虫用組成物、殺ダニ用組成物、殺線虫用組成物又は殺土壌害虫用組成物の施用方法による害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫の防除方法も含まれる。
【0095】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos‐methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(disulfoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダ-シハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェントリン(bifenthrin)、ゼータ-シペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファ-シペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガンマ-シハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータ-シペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウ-フルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメトリン(tralomethrin)、プロフルトリン(profluthrin)、ベータ-シペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータ-シフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenothrin)、フルメトリン(flumethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチプロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ニジノテフラン(nidinotefuran)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)のようなネオニコチノイド系化合物;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)のようなヒドラジン系化合物;
ピリダリル(Pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)のようなピリジン系化合物;
スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)のような環状ケトエノール系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrim)のようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)のようなピリミジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物、また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメート(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、フェナザキン(fenazaquin)、アミドフルメト(amidoflumet)、スルフルラミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、HGW-86、リアノジン(ryanodine)、ベルブチン(verbutin)のような化合物;等が挙げられる。更に、Bacillus thuringiensis aizawai、Bacillus thuringiensis kurstaki、Bacillus thuringiensis israelensis、Bacillus thuringiensis japonensis、Bacillus thuringiensis tenebrionis又はBacillus thuringiensisが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤等のような微生物農薬;アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin Benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE−175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;等と、混用、併用することもできる。
【0096】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、シアゾファミド(cyazofamid)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル−M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ボスカリド(boscalid)、イソチアニル(isothianil)、ビキサフェン(bixafen)、チアジニル(tiadinil)、セダキサン(sedaxane)のようなアニリド系化合物;
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルファミド系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine Copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐Methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなフタルイミド系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(Flutolanil)、メプロニル(mepronil)のようなベンズアニリド系化合物;
ペンチオピラド(penthiopyrad)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))、シルチオファム(silthiopham)、フェノキサニル(fenoxanil)のようなアミド系化合物;
フルオピラム(fluopyram)、ゾキサミド(zoxamid)のようなベンズアミド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(Tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)のようなバリンアミド系化合物;
メチルN-(イソプロポキシカルボニル)-L-バリル-(3RS)-3-(4-クロロフェニル)-β-アラニナート(valiphenalate)のようなアシルアミノアシッド系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリノン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
アントラキノン系化合物;
クロトン酸系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
6-ターシャリーブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチルキノリン-4-イル アセテート(テブフロキン(tebufloquin))のようなキノリン系化合物
(Z)-2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリル(フルチアニル(flutianil))のようなチアゾリジン系化合物;
その他の化合物として、ピリベンカルブ(pyribencarb)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom;別名アミブロドール(amibromdole))、ピリオフェノン(pyriofenone)、マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide)、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノキャップ(meptyldinocap)、フェリムゾン(ferimzone)、スピロキサミン(spiroxamine)、S-2188(fenpyrazamine)、S-2200、ZF-9646、、BCF-051、BCM-061及びBCM-062等が挙げられる。
【0097】
その他、本発明化合物と混用或いは併用することが可能な農薬としては、例えは、The Pesticide Manual(第15版)に記載されているような除草剤の有効成分化合物、特に土壌処理型のもの等がある。
【0098】
動物寄生虫防除剤としては、具体的には、宿主動物の体表(背、腋下、下腹部、内股部等)に寄生する有害な外部寄生虫や、宿主動物の体内(胃、腸管、肺、心臓、肝臓、血管、皮下、リンパ組織など)に寄生する有害な内部寄生虫の防除に有効であるが、中でも、外部寄生虫の防除に有効である。
【0099】
外部寄生虫としては、例えば、動物寄生性のダニやノミ等が挙げられる。これらの種類は非常に多く、全てを列記することが困難であるので、その一例を挙げる。
【0100】
動物寄生性のダニとしては、例えばオウシマダニ(Boophilus microplus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、イスカチマダニ(Haemaphysalis concinna)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis japonica)、ヒゲナガチマダニ(Haemaphysalis kitaokai)、イヤスチマダニ(Haemaphysalis ias)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、タネガタマダニ(Ixodes nipponensis)、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)、タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)、オオトゲチマダニ(Haemaphysalis megaspinosa)、アミノカクマダニ(Dermacentor reticulatus)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanesis)のようなマダニ類;ワクモ(Dermanyssus gallinae);トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、ミナミトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)のようなトリサシダニ類;ナンヨウツツガムシ(Eutrombicula wichmanni)、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)、フトゲツツガムシ(Leptotrombidium pallidum)、フジツツガムシ(Leptotrombidium fuji)、トサツツガムシ(Leptotrombidium tosa)、ヨーロッパアキダニ(Neotrombicula autumnalis)、アメリカツツガムシ(Eutrombicula alfreddugesi)、ミヤガワタマツツガムシ(Helenicula miyagawai)のようなツツガムシ類;イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)、ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)のようなツメダニ類;ウサギキュウセンダニ(Psoroptes cuniculi)、ウシショクヒダニ(Chorioptes bovis)、イヌミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)のようなヒゼンダニ類;イヌニキビダニ(Demodex canis)のようなニキビダニ類等が挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生虫防除剤は、マダニ類等の防除に特に有効である。
【0101】
動物寄生性のノミとしては、例えば、ノミ目(Siphonaptera)に属する外部寄生性無翅昆虫、より具体的には、ヒトノミ科(Pulicidae)、ナガノミ科(Ceratephyllus)等に属するノミ類が挙げられる。ヒトノミ科に属するノミ類としては、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ニワトリフトノミ(Echidnophaga gallinacea)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、メクラネズミノミ(Leptopsylla segnis)、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)、ヤマトネズミノミ(Monopsyllus anisus);等が挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生虫防除剤は、ヒトノミ科に属するノミ類、特にイヌノミ、ネコノミ等の防除に有効である。
【0102】
その他の外部寄生虫としては、例えば、ウシジラミ、ウマジラミ、ヒツジジラミ、ウシホソジラミ、アタマジラミのようなシラミ類;イヌハジラミのようなハジラミ類;ウシアブ、ウアイヌカカ、ツメトゲブユのような吸血性双翅目害虫等が挙げられる。また、内部寄生虫としては、例えば、肺虫、ベンチュウ、結節状ウオーム、胃内寄生虫、回虫、糸状虫類のような線虫類;マンソン裂頭条虫、広節裂頭条虫、瓜実条虫、多頭条虫、単包条虫、多包条虫のような条虫類;日本住血吸虫、肝蛭のような吸虫類;コクシジウム、マラリア原虫、腸内肉胞子虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウムのような原生動物など;が挙げられる。
【0103】
宿主動物としては、種々の愛玩動物、家畜、家禽等が挙げられ、より具体的には、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、リス、ウサギ、フェレット、鳥(例えば、ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、アヒル、ニワトリ、などが挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生虫防除剤は、愛玩動物又は家畜に外部寄生する害虫又はダニの防除に有効である。愛玩動物又は家畜の中ではイヌ、ネコ、ウシ又はウマに特に有効である。
【0104】
本発明化合物を動物寄生虫防除剤として使用する際、そのまま使用してもよく、また、適当な補助剤と共に粉剤、粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、液状剤、乳剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤等の種々の形態に製剤して使用することもできる。尚、前記製剤形態以外にも、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、前記した農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の製剤用補助剤として例示した陰イオン系の界面活性剤や非イオン系の界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミドのような陽イオン系の界面活性剤;水、アセトン、アセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ケロシン、トリアセチン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体ポリオキシエチレングリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテルのような溶剤;ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、プロピル没食子酸塩、チオ硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマーのような被膜形成剤;前記した農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の製剤用補助剤として例示した植物油や鉱物油;乳糖、蔗糖、ブドウ糖、澱粉、麦粉、コーン粉、大豆油粕、脱脂米糠、炭酸カルシウム、その他市販の飼料原料のような担体;等が挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選択して使用することもでき、更には、前記した農園芸分野で使用される各種補助剤等から適宜選択して使用することもできる。
【0105】
本発明化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は、通常、0.1:99.9〜90:10程度である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油等)を添加して使用することができる。
【0106】
宿主動物への本発明化合物の投与は、経口又は非経口によって行われる。経口投与法としては、例えば本発明化合物を含有する錠剤、液状剤、カプセル剤、ウエハース、ビスケット、ミンチ肉、その他の飼料等を投与する方法等が挙げられる。非経口投与方法としては、例えば本発明化合物を適当な製剤に調製した上で、静注投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与等により体内に取り込ませる方法;スポットオン(spot-on)処理、ポワオン(pour-on)処理、スプレー処理等により体表面に投与する方法;宿主動物の皮下に本発明化合物を含有する樹脂片等を埋め込む方法等が挙げられる。
【0107】
宿主動物への本発明化合物の投与量は、投与方法、投与目的、疾病症状等によって異なるが、通常、宿主動物の体重1Kgに対して0.01mg〜100g、望ましくは0.1mg〜10gの割合で投与するのが適当である。
【0108】
本発明には、前記したような投与方法又は投与量による動物寄生虫の防除方法、特に外部寄生虫又は内部寄生虫の防除方法も含まれる。
【0109】
また、本発明においては、前述のようにして有害な動物寄生虫を防除することにより、それらに起因する宿主動物の各種疾患を予防又は治療できる場合がある。このように、本発明には、本発明化合物を有効成分として含有する寄生虫起因動物疾患の予防剤又は治療剤並びに、寄生虫起因動物疾患を予防又は治療する方法も含まれる。
【0110】
本発明化合物を動物寄生虫防除剤として使用する際、補助剤と共に各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、栄養剤、酵素製剤、解熱剤、鎮静剤、消炎剤、殺菌剤、着色剤、芳香剤、保存剤等と混用又は併用することができる。また、必要に応じて他の各種動物薬や農薬、例えば駆虫剤、抗コクシジウム剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺ノミ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗菌剤等と混用又は併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。本発明には、前記したような各種成分を混用又は併用した動物寄生虫防除用組成物が含まれ、また、それを使用した動物寄生虫の防除方法、特に外部寄生虫又は内部寄生虫の防除方法も含まれる。
【0111】
前記式(I)の化合物の望ましい態様は以下の通りである。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
(1)前記式(I)の化合物又はその塩。
(2)Rがハロゲンで置換されてもよいアルキルであり;R2はXで置換されてもよいフェニル又はXで置換されてもよいピリジルであり;Xがハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アミノ、ニトロ又はシアノであり;R及びR4が各々独立に水素原子、ハロゲン、アルキル又はシアノであり;R5がAで置換されてもよいアルキル又はAで置換されてもよいアルケニルである前記(1)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(3)R及びR4が各々独立にハロゲン、アルキル又はシアノであり;R5がAで置換されてもよいアルキルである(2)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(4)R及びR4が各々独立に水素原子、ハロゲン又はアルキルであり;R5がAで置換されてもよいアルキルである(2)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(5)R2がXで置換されてもよいピリジルである前記(1)、(2)、(3)又は(4)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(6)Xで置換されてもよいピリジルがXで置換されもよい2-ピリジルである前記(5)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(7)Xで置換されてもよいピリジルが2-ピリジルである前記(5)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(8)nが0である前記(1)〜(7)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
(9)前記(1)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
(10)前記(9)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が、農園芸用である殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
(11)前記(10)記載の、ジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤。
(12)前記(9)に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が、動物寄生性害虫又はダニの防除用である、殺虫剤又は殺ダニ剤。
(13)前記(1)のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩の有効量を施用して害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫を防除する方法。
【実施例】
【0112】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、本発明化合物の合成例を記載する。
【0113】
合成例1
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.32)の合成
2,2,2−トリフルオロ−N′−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)アセトヒドラゾンアミド1.0gと2−ピリジンカルボキシアルデヒド0.34gとトルエン20mLの混合溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物0.10gを加え、共沸脱水装置を用いて1時間加熱還流させた。反応容器をオイルバスから外し室温まで冷却した後、トリエチルアミン0.59gとトルエン2mLの混合溶液を加え、20時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜9/1)で精製して、固体の目的物0.84gを得た。
【0114】
合成例2
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.34)の合成
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.32)0.18gとクロロホルム5mLの混合溶液に、m−クロロ過安息香酸0.30gを3回に分けて加え、室温で24時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を重曹水、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜6/4)で精製して、固体の目的物0.11gを得た。
【0115】
合成例3
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ベンゾニトリル(化合物No.21)の合成
2,2,2−トリフルオロ−N′−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)アセトヒドラゾンアミド0.15gと2−シアノベンズアルデヒド0.11gとトルエン5mLの混合溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物0.016gを加え、共沸脱水装置を用いて4時間加熱還流させた。その後、更にp−トルエンスルホン酸一水和物0.008gを加え14時間加熱還流させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜4/1)で精製して、油状の目的物0.058gを得た。
【0116】
合成例4
1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−5−(2−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール(化合物No.25)の合成
2,2,2−トリフルオロ−N′−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)アセトヒドラゾンアミド0.40gと2−ニトロベンズアルデヒド0.35gとトルエン10mLの混合溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物0.044gを加え、共沸脱水装置を用いて2時間加熱還流させた。反応容器をオイルバスから外し室温まで冷却した後、トリエチルアミン0.23gを加え、22時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜1/1)で精製して、油状の目的物0.38gを得た。
【0117】
合成例5
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)アニリン(化合物No.26)の合成
1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−5−(2−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール(化合物No.25)0.27gとメタノール10mLの混合溶液に5%パラジウム炭素0.050gを加え、反応系内を水素置換した後、室温で22時間反応させた。反応後、反応混合物に水を加えた後ろ過した。得られたろ液を酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜3/1)で精製して、固体の目的物0.20gを得た。
【0118】
合成例6
5−(2−クロロフェニル)−1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール(化合物No.10)の合成
2−クロロ安息香酸0.14gとテトラヒドロフラン2mLとオキサリルクロリド0.10mLの混合溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.002mLを加えた。室温で1時間反応させた後、反応混合物を減圧下濃縮し、2−クロロ安息香酸クロリドを得た。別の反応容器に2,2,2−トリフルオロ−N′−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)アセトヒドラゾンアミド0.30gと1,4−ジオキサン5mLとピリジン0.075gを加えた。この混合溶液に先程調製した2−クロロ安息香酸クロリドと1,4−ジオキサン2mLの混合溶液を滴下し、6時間加熱還流させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜1/1)で精製して、油状の目的物0.060gを得た。
【0119】
合成例7
4−クロロ−2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.39)の合成
4−クロロピコリン酸0.15gとテトラヒドロフラン2mLとオキサリルクロリド0.10mLの混合溶液にN,N−ジメチルホルムアミド0.002mLを加えた。室温で1時間反応させた後、反応混合物を減圧下濃縮し、4−クロロピコリン酸クロリドを得た。別の反応容器に2,2,2−トリフルオロ−N′−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)アセトヒドラゾンアミド0.30gと1,4−ジオキサン5mLとピリジン0.075gを加えた。この混合溶液に先程調製した4−クロロピコリン酸クロリドと1,4−ジオキサン3mLの混合溶液を滴下し、6時間加熱還流させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜1/1)で精製して、固体の目的物0.14gを得た。
【0120】
合成例8
2−(1−(5−(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチルチオ)−2−フルオロ−4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.64)の合成
2−(1−(2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.32)0.30gとN,N−ジメチルホルムアミド5mLの混合溶液に、N−クロロスクシンイミド0.18gを加え室温で16時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜1/1)で精製して、固体の目的物0.13gを得た。
【0121】
合成例9
2−(1−(4−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(化合物No.131)の合成
(1) p−トリルヒドラジン塩酸塩8.40gとトリフルオロアセトアルデヒドヘミエチルアセタール9.10gと酢酸ナトリウム4.33gとエタノール100mLの混合物を2時間加熱還流させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、1−(p−トリル)−2−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)ヒドラジンを得た。
(2) (1)で得た1−(p−トリル)−2−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)ヒドラジン全量にN,N−ジメチルホルムアミド50mLとN−ブロモスクシンイミド9.4gを加え、室温で30分間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、2,2,2−トリフルオロ−N′−(p−トリル)アセトヒドラゾノイルブロミドを得た。
(3) (2)で得た2,2,2−トリフルオロ−N′−(p−トリル)アセトヒドラゾノイルブロミド全量にクロロホルム120mLと28%アンモニア水60mLを加え、室温で1.5時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、2,2,2−トリフルオロ−N′−(p−トリル)アセトヒドラゾンアミドを得た。
このものの1H-NMRデータ〔1H-核磁気共鳴分光法(Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy)にて測定。δは化学シフト値(Chemical shiftt)である。〕は以下の通りである。
1H-NMR ( 溶媒 :(D3C)2S=O/400MHz ) δ(ppm) : 8.31(1H,s), 6.97(2H,d), 6.81(2H,d), 6.33(2H,brs), 2.16(3H,s)
(4) (3)で得た2,2,2−トリフルオロ−N′−(p−トリル)アセトヒドラゾンアミド全量にトルエン100mLと2−ピリジンカルボキシアルデヒド6.02gとp−トルエンスルホン酸一水和物1.94gを加え、共沸脱水装置を用いて1時間加熱還流させた。反応容器をオイルバスから外し室温まで冷却した後、トリエチルアミン10.3gを加え、20時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜9/1)で精製して、2−(1−(p−トリル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン(融点92.4℃)を9.09g得た。このものの1H-NMRデータは以下の通りである。
1H-NMR ( 溶媒 : CDCl3/400MHz ) δ(ppm) : 8.48(1H,dd), 7.94(1H,dd), 7.79(1H,dt), 7.35-7.30(1H,m), 7.26(2H,d), 7.21(2H,d), 2.40(3H,s)
(5) 氷冷下、クロロスルホン酸17.8mLに、(4)で得た2−(1−(p−トリル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)ピリジン9.09gを少しずつ加えた後、120℃で3時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、氷水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、2−メチル−5−(5−(ピリジン−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロリドを得た。
(6) (5)で得た2−メチル−5−(5−(ピリジン−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロリド全量と酢酸30mLと赤りん1.58gとヨウ素0.25gの混合物を100℃で1.5時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後、ろ過して反応混合物から固体を取り除いた。得られたろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3〜0/10)で精製して、2−メチル−5−(5−(ピリジン−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンチオール(融点111.7℃)を4.82g得た。
(7) 2−メチル−5−(5−(ピリジン−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンチオール0.20gと炭酸カリウム0.12gとロンガリット(Rongalit)0.07gとN,N−ジメチルホルムアミド3mLの混合物に、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン0.19gとN,N−ジメチルホルムアミド1mLの混合溶液を滴下し、室温で16時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜9/1)で精製して、固体の目的物0.18gを得た。
【0122】
前記式(I)の化合物の代表例を第1表に挙げる。これら化合物は、前記合成例或は前記した本発明化合物の種々の製造方法に基づいて製造することができる。第1表中、No.は化合物No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、n‐Prはノルマルプロピルを、i-Prはイソプロピルを、c-Prはシクロプロピルを、t-Buはターシャリーブチルを、i-Buはイソブチルを、Phはフェニルを、Pyはピリジルを各々示し、物性として示した温度は融点である。また、前記式(I)の化合物のいくつかにつき、1H-NMRのデータ〔1H-核磁気共鳴分光法にて測定。δは化学シフト値である〕を第2表に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

【0128】
【表6】

【0129】
【表7】

【0130】
【表8】

【0131】
【表9】

【0132】
【表10】

【0133】
【表11】

【0134】
【表12】

【0135】
【表13】

【0136】
次に試験例を記載する。
試験例1 ナミハダニ殺成虫試験
本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調製した薬液を準備した。インゲンマメの初生葉1枚のみを残してポット(直径8cm、高さ7cm)に移植し、これにナミハダニの成虫20頭を放虫した。このものをインゲン葉とともに前記薬液に浸漬し、風乾後25℃の照明付恒温室内に放置した。処理後2日目又は3日目に生死を判定し、下記計算式により殺成虫率を求めた。尚、離脱した成虫及び異常虫は死亡とみなした。前記化合物No.1、2、6、7、10、14-16、20、21、25、26、28、29、32、33、35、37、39、44、46、51-55、87、131、132、143、171、177、179、181、311-314、317、322-324、326、328、330、332-337を供試したところ、全ての化合物が90%以上の殺成虫率を示した。
殺成虫率(%)=(死亡したハダニ数/処理したハダニ数)×100
【0137】
試験例2 トビイロウンカに対する効果試験
本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調製した薬液に、イネ幼苗を約10秒間浸漬処理した。薬液が風乾した後に、湿った脱脂綿で根部を包んで試験管に入れた。この中へトビイロウンカ2〜3齢幼虫を10頭放ち、管口をガーゼでふたをして25℃の照明付恒温室内に放置した。放虫5日後にトビイロウンカの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。前記化合物No.48、131、326を供試したところ、90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(死虫数/放虫数)×100
【0138】
試験例3 フタトゲチマダニに対するノックダウン(横転)効果・殺ダニ効果試験
シャーレ内設置した濾紙に、本発明化合物のアセトン溶液1mL(濃度:10mg/mL、1mg/mL、0.1mg/mL、0.01mg/mL、0.001mg/mLをマイクロピペットで滴下処理する。濾紙が乾燥した後、シャーレ内に100匹の幼ダニ(フタトゲチマダニ)を入れ、ポリエチレンシートで被って密封する。幼ダニを入れてから経時的に10、30、60及び240分後にノックダウンした幼ダニ数を記録する。さらに、幼ダニを入れてから経時的に24、48及び72時間後に死亡した幼ダニ数を記録する。試験は2回繰り返して行う。
【0139】
試験例4 フタトゲチマダニに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の本発明化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にフタトゲチマダニの若ダニ約50頭をイヌの耳介に放ち、人工寄生させる。処理後、寄生数、落下数及び落下したフタトゲチマダニの生死を観察する。その結果、本発明化合物は、寄生させたフタトゲチマダニを落下又は致死させる。
【0140】
試験例5 ネコノミに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の本発明化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にネコノミ未吸血成虫約100頭を背部被毛上に放ち人工寄生させる。処理後、ノミ取り櫛を用いてネコノミを回収し、その定着数を数える。その結果、本発明化合物は、ネコノミの寄生を抑制する。
【0141】
次に製剤例を記載する。
製剤例1
(1)本発明化合物 20重量部
(2)クレー 70重量部
(3)ホワイトカーボン 5重量部
(4)ポリカルボン酸ナトリウム 3重量部
(5)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
【0142】
製剤例2
(1)本発明化合物 5重量部
(2)タルク 60重量部
(3)炭酸カルシウム 34.5重量部
(4)流動パラフィン 0.5重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
【0143】
製剤例3
(1)本発明化合物 20重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル 10重量部
(4)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 2重量部
(5)キシレン 48重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0144】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ナトリウム 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)ホワイトカーボン 25重量部
以上の各成分の混合物と、本発明化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
【0145】
製剤例5
(1)本発明化合物 50重量部
(2)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物 2重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0146】
製剤例6
(1)本発明化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)〜(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0147】
製剤例7
(1)本発明化合物 2.5重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
【0148】
製剤例8
(1)本発明化合物 40重量部
(2)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム 4重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)キサンタンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 50.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。
【0149】
製剤例9
(1)本発明化合物 10重量部
(2)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 80重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10重量部
以上の成分を均一に混合し、液剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、Rはハロゲンで置換されてもよいアルキル、ハロゲンで置換されてもよいアルケニル又はハロゲンで置換されてもよいアルキニルであり;R2はXで置換されてもよいフェニル又はXで置換されてもよいピリジルであり;Xはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アミノ、ニトロ又はシアノであり;R及びR4は各々独立に水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はシアノであり;R5はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル又はAで置換されてもよいアルキニルであり;Aはハロゲン、シアノ又はシクロアルキルであり;nは0、1又は2である〕で表されるジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項2】
がハロゲンで置換されてもよいアルキルであり;R2はXで置換されてもよいフェニル又はXで置換されてもよいピリジルであり;Xがハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アミノ、ニトロ又はシアノであり;R及びR4が各々独立に水素原子、ハロゲン、アルキル又はシアノであり;R5がAで置換されてもよいアルキル又はAで置換されてもよいアルケニルである、請求項1に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項3】
及びR4が各々独立にハロゲン、アルキル又はシアノであり;R5がAで置換されてもよいアルキルである、請求項2に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項4】
2がXで置換されてもよいピリジルである、請求項1に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項5】
Xで置換されてもよいピリジルがXで置換されてもよい2-ピリジルである、請求項4に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項6】
nが0である、請求項1に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩。
【請求項7】
前記請求項1に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
【請求項8】
前記請求項7に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が、農園芸用である殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
【請求項9】
前記請求項8に記載の、ジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤。
【請求項10】
前記請求項7に記載のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が、動物寄生性害虫又はダニの防除用である、殺虫剤又は殺ダニ剤。
【請求項11】
前記請求項1のジアリールトリアゾール誘導体又はその塩の有効量を施用して害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫を防除する方法。
【請求項12】
式(I):
【化2】

〔式中、Rはハロゲンで置換されてもよいアルキル、ハロゲンで置換されてもよいアルケニル又はハロゲンで置換されてもよいアルキニルであり;R2はXで置換されてもよいフェニル又はXで置換されてもよいピリジルであり;Xはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アミノ、ニトロ又はシアノであり;R及びR4は各々独立に水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はシアノであり;R5はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル又はAで置換されてもよいアルキニルであり;Aはハロゲン、シアノ又はシクロアルキルであり;nは0、1又は2である〕で表されるジアリールトリアゾール誘導体又はその塩の製造方法であって、
(1)式(II):
【化3】

(式中、R、R、R、R及びnは前述の通りである)で表される化合物と、式(III):R2CHO (式中、R2は前述の通りである)で表される化合物を反応させて、式(IV):
【化4】

(式中、R、R2、R、R、R及びnは前述の通りである)で表される化合物を得、このものを脱水素化するか、
(2)前記式(II)の化合物と式(V):R2COCl (式中、R2は前述の通りである)で表される化合物を反応させるか、
(3)式(I−a):
【化5】

(式中、R、R2、R、R及びRは前述の通りである)で表される化合物を酸化するか、
(4)式(I−c):
【化6】

(式中、R、R2、R、R及びnは前述の通りであり、R5cはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル又はAで置換されてもよいアルキニルであり;Aはハロゲン、シアノ又はシクロアルキルである)で表される化合物をハロゲン化するか又は
(5)式(VI):
【化7】

(式中、R、R2、R及びRは前述の通りである)で表される化合物又は式(XIV):
【化8】

(式中、R、R2、R及びRは前述の通りである)で表される化合物と、式(VII):R1 (式中、R5は前述の通りであり、L1は脱離基である)で表される化合物とを反応させることを特徴とするジアリールトリアゾール誘導体又はその塩の製造方法。

【公開番号】特開2011−105700(P2011−105700A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221246(P2010−221246)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】