説明

ジェット推進艇の前後進切換装置

【課題】バケットをニュートラル位置でロックすることができるジェット推進艇のための前後進切換装置を提供する。
【解決手段】前後進切換装置16は、船体11に固定されるベース部材31と、ベース部材31に対し前後方向に移動可能なスライド部材32と、スライド部材32に設けたロック部材33を含んでいる。スライド部材32を第1の方向X1に移動させると、アーム部材36が第1の方向R1に回転することにより、力伝達部材17を介してバケットが上昇する。スライド部材32を第2の方向X2に移動させると、アーム部材36が第2の方向R2に回転することにより、バケットが降下する。スライド部材32をニュートラル位置に移動させてバケットをニュートラル状態にすると、固定側凸部42がニュートラルロック溝部61aに嵌合することによりスライド部材32がロックされ、表示部25が開口部26に位置してニュートラルであることが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水上オートバイ等のジェット推進艇のための前後進切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に開示されているように、水上オートバイ等のジェット推進艇の船体後部には、水を噴出するノズルと、前後進切換用のバケットなどが設けられている。バケットは、船体前部に配置された操作レバー等を備えた操作部によって、上昇位置と降下位置とに移動させることができるようになっている。バケットが上昇すると、ノズルから噴出する水流がバケットに当ることなくそのまま船体後方に向かうため、ジェット推進艇が前進する。バケットが降下すると、ノズルから噴出する水流がバケットに当たって船体前方に向かうため、ジェット推進艇が後退する。
【0003】
また前記バケットを上下方向の中間位置に止めると、ノズルから噴出する水流がバケットによって下方に案内されるため、ジェット推進艇は実質的に前進あるいは後進せずに停止した状態となる。これがいわゆるニュートラル状態である。従来のジェット推進艇の操作部の一例では、船体前部に配置された操作レバーを操船者が前方に押したときに、プッシュプルケーブルを介してバケットが上昇し、操作レバーを引いたときに、プッシュプルケーブルを介してバケットが降下するように構成されていた。このため操作レバーの位置に応じて、バケットをニュートラルの位置に保持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−237693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したようにバケットの位置によって前後進を切換えることができるジェット推進艇では、操作レバーを前進側の位置と後進側の位置とに移動させるようになっている。しかし操作レバーのニュートラル位置は、バケットの構造上、前進側の位置と後進側の位置との真ん中にあるわけではなく、ニュートラル位置は後進側の位置にかなり片寄っている。このため操作レバーをニュートラル位置から前進側の位置に移動させる際の可動域の長さは、操作レバーをニュートラル位置から後進側の位置に移動させる際の可動域の長さよりもかなり大きい。
【0006】
このため従来はバケットをニュートラル位置に正確に止めておくことに熟練が必要であり、しかもバケットがニュートラルの位置から前進側あるいは後進側の位置に移動してしまうことがあり、操船者の意思に反してジェット推進艇が移動する可能性がある。このような事情から、バケットをニュートラルの位置に容易に保持できるようなジェット推進艇が望まれていた。
【0007】
従ってこの発明は、バケットをニュートラルの位置に保持することが容易なジェット推進艇の前後進切換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前後進切換装置は、船体に固定されかつ固定側凸部を有するベース部材と、前記ベース部材に対しニュートラル位置を境に前進側の位置と後進側の位置とに移動可能なスライド部材と、前記スライド部材に設けられたグリップ部材を有しかつ該グリップ部材に対し軸部を中心に第1の位置と第2の位置とにわたって回動可能な操作レバーを有する操作部と、前記スライド部材に揺動可能に設けられたロック部材とを具備している。このロック部材は、前記固定側凸部が挿入されるガイド溝を有し、該ガイド溝は前記スライド部材が前記ニュートラル位置にありかつ前記操作レバーが前記第1の位置にあるとき前記固定側凸部に嵌合するニュートラルロック溝部を有している。前記操作レバーが前記第2の位置に移動すると、このニュートラルロック溝部が前記固定側凸部から離脱するように構成されている。
【0009】
本発明の1つの実施形態に係る前記操作レバーは、前記スライド部材が前記ニュートラル位置でロックされた状態において前記グリップ部材の開口部と対応することにより外部から目視可能となる表示部を有している。この構成により、バケットがニュートラル位置にあることを目視により確認することが可能である。
【0010】
この実施形態によれば、前記スライド部材のニュートラル位置から前進側の位置までの可動域の長さに比べて、ニュートラル位置から後進側の位置までの可動域の長さが小さい場合であっても、ニュートラル位置を目視によって確認することができるため、バケットをニュートラル位置に保持することがさらに容易となる。
【0011】
本発明の1つの実施形態に係るロック部材の前記ガイド溝は、前記スライド部材が前記前進側の位置に移動しかつ前記操作レバーが前記第1の位置に向けて移動した状態において前記固定側凸部に嵌合する前進ロック溝部を有している。この構成により、スライド部材を前進側の位置にロックできるため、操船中の予期しない外力等によってバケットが上昇位置から降下してしまうことを回避できる。また前記操作レバーが合成樹脂からなりかつ該操作レバーを前記第1の位置に向けて付勢するばね部を一体に有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バケットの位置に応じて前進と後進とニュートラルとを選択可能なジェット推進艇において、バケットがニュートラル位置にあるときにスライド部材をロックすることができるため、ジェット水流を噴出させた状態でジェット推進艇をほぼ停止させることが容易となる。また、操作部の一部をなす操作レバーに表示部を設け、グリップ部材には前記スライド部材がニュートラル位置でロックされた状態において前記表示部と対応する位置に開口部を形成すれば、バケットがニュートラル位置にあることを目視により確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る前後進切換装置を備えたジェット推進艇の斜視図。
【図2】(A)(B)(C)はそれぞれ図1に示されたジェット推進艇のバケットの位置と水が流れる方向との関係を示す側面図。
【図3】図1に示されたジェット推進艇の前後進切換装置の操作部を示す斜視図。
【図4】図3に示された操作部の分解斜視図。
【図5】図1に示されたジェット推進艇の前後進切換装置のスライド部材がニュートラル位置でロックされた状態の側面図。
【図6】図5に示された前後進切換装置のスライド部材のロックが解除された状態の側面図。
【図7】図5に示された前後進切換装置のスライド部材が前進側の位置に移動した状態の側面図。
【図8】図5に示された前後進切換装置のスライド部材が前進側の位置に移動しかつロックされた状態の側面図。
【図9】図5に示された前後進切換装置のスライド部材が後進側の位置に移動した状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の1つの実施形態に係る前後進切換装置を備えたジェット推進艇について、図1から図9を参照して説明する。
図1はジェット推進艇(水上オートバイ)10の一例を示している。このジェット推進艇10は、船体11と、船体11の後部に配置された水流Jを噴射するノズル12と、ノズル12の向きを変えるためのハンドルバー13を含む操舵装置14と、ノズル12の近傍に設けられたバケット15と、バケット15を上下方向に動かすことによってジェット推進艇10を前進あるいは後進させる前後進切換装置16を備えている。
【0015】
前後進切換装置16には、プッシュプルケーブル等のリモートコントロール用の力伝達部材17の一端17aが接続されている。力伝達部材17の他端17bは、バケット15の被操作部18に接続されている。前後進切換装置16は、力伝達部材17を介してバケット15を上下させることにより、ジェット推進艇10を前進あるいは後進させるようになっている。
【0016】
図2(A)〜(C)は、それぞれバケット15の位置とノズル12から噴出する水流Jの方向との関係を示している。図2(A)に示されるようにバケット15が上方に位置しているときには、ノズル12から噴出する水流Jがそのまま後方に向かうためジェット推進艇10が前進する。図2(B)に示されるように、バケット15が降下してノズル12に対向すると、ノズル12から噴出する水流Jがバケット15に当って前方に向かうためジェット推進艇10が後進する。
【0017】
図2(C)に示されるように、バケット15が上下方向の中間位置に保持されると、ノズル12から噴出する水流Jがバケット15に案内されて下方に向かうため、ジェット推進艇10は実質的に前進も後進もせずに停止した状態となる。この明細書ではこの状態を「ニュートラル」と呼ぶ。
【0018】
図3と図4は、バケット15を操作するための前後進切換装置16の操作部20を示している。この操作部20は、操船者が手で握ることが可能な形状のグリップ部材21と、グリップ部材21に設けられた操作レバー22とを備えている。操作レバー22は、グリップ部材21に対して軸部23を中心に第1の位置(操作力を与えない初期位置)と、第2の位置(操作力を与えて押込んだ位置)とに回動することができる。
【0019】
操作レバー22には、バケット15がニュートラル位置でかつロック状態にあることを示すための表示部25が設けられている。グリップ部材21の上面側には開口部26が形成されており、下記スライド部材32がニュートラル位置にあるときに開口部26と対応した位置に表示部25が位置することにより、この表示部25をグリップ部材21の外側から開口部26を通じて目視することが可能となる。表示部25の一例は英文字の「N」であるが、それ以外の文字あるは記号、図柄などであってもよい。
【0020】
以下に前後進切換装置16の詳細について説明する。
図5は、前後進切換装置16がニュートラル位置にある状態を示している。この前後進切換装置16は、ボルト等の固定用部材30によって船体11に固定されるベース部材31と、ベース部材31に対して前後方向(図5に矢印X1,X2で示す方向)に移動可能なスライド部材32と、スライド部材32に設けられたロック部材33と、軸35を中心に第1の方向(矢印R1で示す方向)と第2の方向(矢印R2で示す方向)に回動可能なアーム部材36と、前記グリップ部材21と、前記操作レバー22などを含んでいる。グリップ部材21は、固定用部材38によってスライド部材32の端部(操船者側の端部)32aに固定されている。アーム部材36の一端側に力伝達部材17(2点鎖線で模式的に示す)の一端17aが接続されている。アーム部材36の他端側にスリット37が形成されている。
【0021】
スライド部材32は前後方向に沿う複数のガイド溝40を有している。ベース部材31には、各ガイド溝40に対してスライド可能に嵌合する複数の案内部材41が設けられている。このためスライド部材32は、ベース部材31に対しガイド溝40に沿って前進側に長さL1(図5に示す)の範囲で移動できるとともに、後進側に長さL2の範囲で移動することができる。すなわちこのスライド部材32は、図5に示すニュートラル位置を境に、前進側の位置(図7と図8に示す)と、後進側の位置(図9に示す)とにわたって、直線方向に可動域の長さ(L1+L2)の範囲で移動可能である。
【0022】
ベース部材31にピン状の固定側凸部42が設けられている。固定側凸部42は、スライド部材32に形成された長孔43を貫通し、ロック部材33に向かって突出している。また、スライド部材32にピン状の係合部45が設けられている。この係合部45は、アーム部材36に形成されたスリット37に挿入され、スリット37の長さ方向に係合部45が移動できるようになっている。
【0023】
スライド部材32が矢印X1方向に移動(前進)すると、係合部45も矢印X1方向に移動することにより、アーム部材36が第1の方向R1に回転する。スライド部材32が矢印X2方向に移動(後退)すると、係合部45が矢印X2方向に移動することにより、アーム部材36が第2の方向R2に回転する。
【0024】
操作レバー22は合成樹脂製であり、操船者が手で操作できる操作面50と、板状のばね部51と、ピン状の移動側凸部52と、この移動側凸部52を中心とする円弧をなす溝状のガイド部53等が一体に成形されている。操作面50は、グリップ部材21に形成された開口部21aから外側に突出している。
【0025】
操作レバー22のガイド部53には、グリップ部材21に設けられたローラ等の受け部54が挿入され、ガイド部53に沿って操作レバー22が軸部23を中心に円滑に回動することができるようになっている。ばね部51は、操作面50がグリップ部材21の開口部21aから突き出る方向すなわち操作レバー22を第1の位置に向けて付勢している。
【0026】
スライド部材32に設けられたロック部材33は軸60を中心として揺動可能であり、図5において時計回りのロック方向と、反時計回りのロック解除方向とに移動(回動)することができるようになっている。このロック部材33には、前後方向に延びる第1のガイド溝61と、軸60を挟んで第1のガイド溝61と反対側に位置する第2のガイド溝62とが形成されている。第1のガイド溝61には前記固定側凸部42が挿入されている。第2のガイド溝62には前記移動側凸部52が挿入されている。
【0027】
第1のガイド溝61は、ニュートラルロック溝部61aと、前進ロック溝部61bと、後進溝部61cとを含んでいる。このロック部材33は、ばね70によって、常にロック方向(図5において時計回り方向)に付勢されている。
【0028】
以下に、図5から図9を参照して前後進切換装置16の動作について説明する。
図5は、スライド部材32がニュートラル位置でロックされた状態を示している。スライド部材32がニュートラル位置にあるとき、係合部45に係合しているアーム部材36もニュートラル位置に保持されるため、力伝達部材17を介してバケット15がニュートラル位置に保持される。このニュートラル位置において、操作レバー22が第1の位置にあれば、ニュートラルロック溝部61aが固定側凸部42に嵌合するため、スライド部材32がニュートラル位置でロックされる。
【0029】
こうしてアーム部材36がニュートラル位置に保持されると、図2(C)に示すようにバケット15がニュートラル位置に保持されるため、ジェット推進艇10は停止した状態となる。また、操作レバー22の表示部25がグリップ部材21の開口部26に位置するため、操船者はバケット15がニュートラル状態にあることを目視によって容易に確認することができる。しかもスライド部材32がロックされた状態となるため、バケット15もロックされる。
【0030】
このためジェット推進艇10が操船者の意思に反して前進したり後進したりすることを回避できる。このニュートラル位置において、操船者がグリップ部材21を握り、手で操作レバー22を第2の位置(ロック解除方向)に移動させると、図6のロック解除状態に切換わる。
【0031】
図6は、ロック部材33がロック解除位置に移動した状態を示している。操作レバー22が第2の位置(ロック解除方向)に移動すると、移動側凸部52が軸部23を中心として第2のガイド溝62内を円弧を描きながら移動するため、ロック部材33がばね70の弾力に抗して軸60を中心にロック解除方向(反時計回り方向)に移動する。
【0032】
これにより、ニュートラルロック溝部61aが固定側凸部42から外れる。このためスライド部材32がロック解除となり、スライド部材32がベース部材31に対して前後方向(図5に矢印X1,X2で示す方向)に移動可能となる。このロック解除位置では、表示部25が開口部26と対向しない位置に移動するため、表示部25は見えなくなる。
【0033】
図7は、スライド部材32が前進側の位置まで移動した状態を示している。スライド部材32が前進側の位置に向かって矢印X1方向に移動すると、係合部45も矢印X1方向に移動する。これにより、アーム部材36が第1の方向R1に回転するとともに、力伝達部材17が引かれ、バケット15が図2(A)に示す上昇位置に移動する。この状態で操作レバー22から手を離すと、図8に示すように、ばね部51の弾力によって操作レバー22が第1の位置(ロック位置)に復帰するとともに、ロック部材33がばね70の弾力によって、軸60を中心にロック方向(時計回り方向)に移動する。
【0034】
図8は、スライド部材32が前進側の位置まで移動しかつロック部材33がロック位置に移動した状態を示している。前進側のロック位置では、操作レバー22が第1の位置に向けて移動した状態において、前進ロック溝部61bが固定側凸部42に嵌合することにより、スライド部材32が前進側の位置でロックされる。なお、操作レバー22を押して第2の位置に移動させると、前進ロック溝部61bが固定側凸部42から離脱するため、ロック解除となる。
【0035】
図8に示すようにスライド部材32が前進側に移動すると、図2(A)に示すようにバケット15が上昇位置に保持される。このため、ノズル12から噴出する水流が船体11の後方に向かうことにより、ジェット推進艇10が前進する。この前進側の位置では、表示部25が開口部26と対向しない位置に移動するため、表示部25は見えない。そしてスライド部材32が前進側でロックされた状態となるため、力伝達部材17を介してバケット15が前進側の位置にロックされる。このため操船中に何らかの外力がバケット15に作用しても、バケット15が操船者の意思に反して降下してしまうことを回避できる。
【0036】
図9は、スライド部材32が後進側の位置まで移動した状態を示している。スライド部材32が後進側の位置に向かって矢印X2で示す方向に移動すると、固定側凸部42が後進溝部61Cに進入するとともに、係合部45が矢印X2方向に移動することにより、アーム部材36が第2の方向R2に回転する。
【0037】
このため力伝達部材17が押されることにより、バケット15が図2(B)に示す降下位置に移動する。バケット15が降下位置に移動すると、ノズル12から噴出する水流がバケット15に当って船体11の前方に向かうため、ジェット推進艇10が後進する。この後進側の位置では、表示部25が開口部26と対向しない位置に移動するため、表示部25は見えない。
【0038】
バケット15の上昇位置[図2(A)]からニュートラル位置[図2(C)]までの移動量は、バケット15の降下位置[図2(B)]からニュートラル位置[図2(C)]までの移動量と比較して数倍以上ある。このため、スライド部材32のニュートラル位置(図5)から前進側の位置(図7,図8)までの可動域の長さL1と比較して、ニュートラル位置(図5)から後進側の位置(図9)までの可動域の長さL2はかなり小さい。よって、スライド部材32のニュートラル位置を把握することは容易でない。
【0039】
しかし本実施形態の前後進切換装置16では、前記したようにスライド部材32をニュートラル位置でロックすることができ、しかもスライド部材32がニュートラル位置であることを操作レバー22に設けた表示部25によって表示することができるため、バケット15をニュートラル状態にしておくという操船を比較的容易に行なえるという利点がある。
【0040】
なお本発明を実施するに当たり、ベース部材やスライド部材、操作部、ロック部材などをはじめとして、ジェット推進艇の前後進切換機構を構成する各部の構成や配置などを種々に変更して実施できることは言うまでもない。また本発明の前後進切換装置は、水上オートバイ以外のジェット推進機構を有するジェット推進艇にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…ジェット推進艇、11…船体、12…ノズル、15…バケット、16…前後進切換装置、17…力伝達部材、20…操作部、21…グリップ部材、22…操作レバー、25…表示部、26…開口部、31…ベース部材、32…スライド部材、33…ロック部材、36…アーム部材、42…固定側凸部、51…ばね部、61…第1のガイド溝、61a…ニュートラルロック溝部、61b…前進ロック溝部、62…第2のガイド溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルとバケットを有するジェット推進艇の前後進切換装置であって、
該ジェット推進艇の船体に固定されかつ固定側凸部を有するベース部材と、
前記ベース部材に対しニュートラル位置を境に前進側の位置と後進側の位置とに移動可能なスライド部材と、
前記スライド部材に設けられたグリップ部材を有しかつ該グリップ部材に対し軸部を中心に第1の位置と第2の位置とにわたって回動可能な操作レバーを有する操作部と、
前記スライド部材に揺動可能に設けられたロック部材であって、前記固定側凸部が挿入されるガイド溝を有し、該ガイド溝は前記スライド部材が前記ニュートラル位置にありかつ前記操作レバーが前記第1の位置にあるとき前記固定側凸部に嵌合し前記操作レバーが前記第2の位置に移動すると前記固定側凸部から離脱するニュートラルロック溝部を有するロック部材と、
を具備したことを特徴とするジェット推進艇の前後進切換装置。
【請求項2】
前記操作レバーは、前記スライド部材が前記ニュートラル位置でロックされた状態において前記グリップ部材の開口部と対応することにより外部から目視可能となる表示部を有したことを特徴とする請求項1に記載のジェット推進艇の前後進切換装置。
【請求項3】
前記スライド部材の前記ニュートラル位置から前記前進側の位置までの可動域の長さに比べて、前記ニュートラル位置から前記後進側の位置までの可動域の長さが小さいことを特徴とする請求項2に記載のジェット推進艇の前後進切換装置。
【請求項4】
前記ガイド溝は、前記スライド部材が前記前進側の位置に移動しかつ前記操作レバーが前記第1の位置に向けて移動した状態において前記固定側凸部に嵌合する前進ロック溝部を有したことを特徴とする請求項1に記載のジェット推進艇の前後進切換装置。
【請求項5】
前記操作レバーが合成樹脂からなりかつ該操作レバーを前記第1の位置に向けて付勢するばね部を一体に有していることを特徴とする請求項1に記載のジェット推進艇の前後進切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240567(P2012−240567A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113384(P2011−113384)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)