説明

スイッチ装置

【課題】低コストであり、タッチ操作面に効率的に光を照射させることを可能としたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、タッチ操作を受け付けるスイッチ操作部3と、スイッチ操作部3の内部に埋設され、光透過不能な非透光性材料により形成されるとともに、光透過可能な透光孔8aを有する導電性の静電容量検出用の電極板8と、透光孔8aを介してスイッチ操作部3に光を照射する光源6と、電極板8の周囲全体を取り囲むようにスイッチ操作部3の内部に埋設され、ノイズ遮断性及び光反射性を有するシールド兼用反射板9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に係り、特に、外部からの近接又は接触を検出するとともに、光源からの光がタッチ操作面に照射されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者の指先の近接又は接触による静電容量の変化を利用する照光式のタッチスイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載された従来のタッチスイッチは、絶縁基板のタッチ操作面側の表面に一対のタッチ検出用電極を形成し、このタッチ検出用電極を絶縁樹脂で被覆し、この絶縁樹脂の表面に絶縁プレートを配置することでタッチ検知部を構成している。このタッチ検知部は更に、絶縁基板のタッチ操作面側とは反対側の背面にシールド電極を形成し、そのシールド電極の背面に発光部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−136116号公報(段落[0020])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の従来のタッチスイッチは、タッチ操作面の視認性を向上させるために、複数の構成部品を重ね合わせた構造を有するタッチ検知部の背後から照射する発光部の光取り出し効率を向上させる必要があり、タッチ操作面を効率的に照明させることが必要である。しかも、タッチ操作面の効率的な照明が低コストで実現されなければならない。
【0006】
本発明の目的は、低コストであり、タッチ操作面に効率的に光を照射させることを可能としたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、タッチ操作を受け付けるスイッチ操作部と、前記スイッチ操作部の内部に埋設され、光透過不能な非透光性材料により形成されるとともに、光透過可能な透光孔を有する導電性の静電容量検出用の電極板と、前記透光孔を介して前記スイッチ操作部に光を照射する光源と、前記電極板の周囲全体を取り囲むように前記スイッチ操作部の内部に埋設され、ノイズ遮断性及び光反射性を有するシールド兼用反射板と、を備えたことを特徴とするスイッチ装置にある。
【0008】
[2]上記[1]記載の前記シールド兼用反射板は、前記電極板の周囲全体を取り囲む枠状に形成された側壁部を有しており、前記側壁部は、前記電極板から外側へ広がる方向に傾斜する反射面を有することを特徴とする。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]記載の前記シールド兼用反射板には、アース用のリードが接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スイッチ操作部のタッチ操作面に効率的に光を照射させることができる低コストのスイッチ装置が効果的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の代表的な実施の形態に係るスイッチ装置の一例を模式的に示す部分断面図である。
【図2】図1に示すスイッチ装置の構成部品の配置関係を説明するための平面図である。
【図3】図2に示す構成部品を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0013】
(スイッチ装置の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、実施の形態に係る典型的なスイッチ装置を模式的に示している。図示例によるスイッチ装置1は、パネルを有するケース2に配置されたスイッチ操作部3を備えている。このスイッチ操作部3は、スイッチ操作面に対する手指の近接又は接触を操作入力としてタッチ操作を受け付けるものであり、例えば車両の運転席周辺に装備される各種の入力操作部に設置される。
【0014】
このスイッチ操作部3は、図1に示すように、非導電性の透明な樹脂成形体4を有しており、ケース2に形成された開口部2aに取り付けられている。樹脂成形体4の材質としては、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。
【0015】
このケース2内のスイッチ操作部3と対向する部位には、図1に示すように、配線基板5が配置されている。この配線基板5には、発光ダイオード6(以下、単に「LED6」という。)が搭載されている。このLED6は、スイッチ操作部3の樹脂成形体4を介してスイッチ操作面を背面照射する光源として用いられる。
【0016】
このLED6としては、特に限定されるものではないが、例えばチップタイプのLED、あるいは波長の異なる複数のLEDであってもよく、互いに異なる色光を発する3種類の赤色LED、緑色LED及び青色LEDを有するLEDからなっていてもよい。LED6の他の一例としては、例えば赤色光、緑色光又は青色光のいずれかの単色光のうち、2種類の単色光を混合して組み合わせた色光を、あるいは3種類の単色光を混合して組み合わせた白色光をそれぞれ発光可能に構成したLEDを使用することができる。LED6以外の光源としては、例えば有機EL素子や半導体レーザ等を用いることも可能である。
【0017】
このスイッチ操作部3のスイッチ操作面には、表示部が印刷された非導電性の印刷層7が形成されている。この印刷層7は、表示部の形状に対応した部分を除いてシルク印刷を施した遮光性の印刷層からなる。印刷層7には、印刷が施されていない光透過牲の抜き表示部7aが形成されている。その抜き表示部7aは、文字、数字、図形、記号又は模様などからなる。LED6から出力される光は、スイッチ操作部3の印刷が施されている領域で遮光され、スイッチ操作部3の印刷が施されていない領域である抜き表示部7aで透過される。
【0018】
図示例によれば、スイッチ操作部3のスイッチ操作面の表面に印刷層7を直接印刷した構成を例示したが、これに限定されるものではない。この印刷層7は、例えばスイッチ操作面の表面に貼り付けられる光透過性部材の裏面に印刷を施したものであってもよい。この光透過性部材としては、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネート系樹脂などのプラスチックフィルムやプラスチックシート等が好適に用いられる。
【0019】
このスイッチ操作部3の樹脂成形体4に蛍光剤や拡散剤等を適宜混入することができるので、LED6の輝度調整が容易になる。スイッチ操作部3の樹脂成形体4のLED6とは対向する面に凹部を形成することで、LED6からの光を樹脂成形体4に万遍なく入射させ、LED6からの光量のロスを少なくすることができる。スイッチ操作部3の樹脂成形体4のLED対向面に角錐状あるいは円錘状をなす凹凸を形成することで、LED6からの光量のロスを少なくすることもできる。
【0020】
(電極板及びシールド兼用反射板の構成)
この実施の形態に係るスイッチ装置1の主要な基本構成は、スイッチ操作部3の内部に、静電容量検出用の電極板8と、シールド及び光反射の共通化が図られた形態を有するシールド兼用反射板9とを備えたことにある。従って、上記スイッチ装置1の構成は、限定されるものではない。
【0021】
この実施の形態にあっては、電極板8とシールド兼用反射板9とは、図1に示すように、スイッチ操作部3を成形するための成形型内に収納した状態で、成形型内に溶融樹脂を注入することでモールドした樹脂成形体4に一体に形成されている。
【0022】
この樹脂成形体4の背面側に配置された配線基板5には、図示しない静電検出回路やコンデンサ等が回路パターンを介して接続されている。この静電検出回路は、手指がスイッチ操作部3のスイッチ操作面に近接又は接触したことに応じて手指及び電極板8の相互間で発生するコンデンサ容量の変化を検出するようになっている。
【0023】
この電極板8は、特に限定されるものではないが、例えば銅などの導電性の金属材により形成されており、電極板8の一側端縁部には、金属材を折り曲げたリード8aが形成されている。このリード8aには、配線基板5に搭載されたコネクタ10が電気的に接続されている。
【0024】
この電極板8のLED6と対応する中間部には、図1〜図3に示すように、LED6からの光をスイッチ操作部3のスイッチ操作面に向けて照射するための円形の透光孔8bが貫通して形成されている。この透光孔8bの面積を電極板8の面積に比べて小さく設定することが好適である。これにより、コンデンサ容量の低下率が小さく抑えられる。
【0025】
この電極板8の他の一例としては、例えば電極板8の全域に複数の透光孔8b,…,8bを均等に形成することができる。これにより、スイッチ操作部3のスイッチ操作面を満遍なく照明することもできる。
【0026】
一方のシールド兼用反射板9は、図1〜図3に示すように、LED6からの光を反射させる反射機能を付加するとともに、電極板8に対する外部ノイズの影響を防止するシールド機能を有する。このシールド兼用反射板9は、特に限定するものではないが、両端が開口する4つの側壁部を有する四角筒状のシールド枠として形成されており、電極板8の周囲全体を取り囲むようにスイッチ操作部3のスイッチ操作面と対応する位置に配置されている。
【0027】
このシールド兼用反射板9の一側壁部の端縁部寄りには、図1〜図3に示すように、電極板8のリード8aに対して並列配置されるアース用のリード9aが折り曲げ形成されている。このアース用のリード9aは、配線基板5に搭載されたコネクタ10を介して接地電位電極に接続されており、シールド兼用反射板9には接地電位が印加される。これにより、従来のように基板の背面側にシールド電極を積層配置することなく、電極板8に対する外部ノイズの影響を防止することが可能となる。
【0028】
このシールド兼用反射板9としては、図1〜図3に示すように、電極板8から外側へ広がる方向に傾斜する4つの傾斜枠からなる側壁部の内面が反射面9bとして形成されている。LED6から放射された光は、電極板8の透光孔8bを介してスイッチ操作部3のスイッチ操作面へ向けて照射され、シールド兼用反射板9の反射面9bにより均一な強度で拡散・反射される。電極板8の周辺に反射された光を反射面9bにより拡散・反射させることで、LED6からの光の減少を抑えることができる。
【0029】
このシールド兼用反射板9としては、例えば反射率の高いステンレスやアルミニウムからなる板材等を加工することで形成することができる。シールド兼用反射板9は、例えば反射面9bに高反射率材料を含有する銀又は金等の金属反射膜を蒸着したり、銀又は金等の金属シートを貼り合わせたり、あるいは高反射率材料の塗装を施すことで鏡面として形成してもよい。従って、シールド兼用反射板9の形態や材質等は、特に限定されるものではなく、適宜決定できるものであり、例えば円錐枠形状や多角枠形状等の形態であってもよく、アース用のリード9aは、例えばハンダ付け等により接合しても構わない。
【0030】
(実施の形態の効果)
以上のように構成されたスイッチ装置1によれば、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0031】
(1)LED6からの光を反射させる反射機能を付加するとともに、外部ノイズを遮断するシールド機能を有する枠状のシールド兼用反射板9により、静電容量検出用の電極板8を取り囲む構成がスイッチ操作部3の内部に埋設されるので、スイッチ操作部3の樹脂成形体4に積層した構成の反射層及びシールド層が不要になる。これにより、構成部品費を低減することができる。
(2)シールド兼用反射板9によりLED6からの光を均一な強度で拡散・反射させることで、スイッチ操作部3のスイッチ操作面の表示部を背面照射する構成となっているため、表示部を満遍なく発光表示させることができる。
【0032】
(変形例)
以上の説明からも明らかなように、本発明のスイッチ装置1を上記実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態、変形例及び図示例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。本発明にあっては、例えば次に示すような他の変形例も可能である。
【0033】
(1)上記実施の形態及び図示例では、シールド兼用反射板9が離間した状態で電極板8の周囲全体を取り囲む構成を例示したが、これに限定されるものではない。スイッチ操作部3としては、特に限定するものではないが、例えばシールド兼用反射板9の一部と電極板8の端縁部とが絶縁体を介して直接接触するように重ね合わせた状態で配置した構成としてもよい。絶縁体としては、例えば絶縁フィルム、絶縁テープ、又は絶縁塗料などを用いることができる。
(2)上記実施の形態及び図示例では、1つのスイッチ操作部3を例示したが、これに限定されるものではない。スイッチ操作部3としては、例えばケース2の開口部2aに各種の選択ボタンとしてマトリクス状に配置された複数のスイッチ操作部3,…,3を備えた構成であってもよい。
(3)スイッチ装置1の適用対象としては、例えばノートパソコン、携帯電話機やビデオ機器等の各種の電子機器の入力操作部として好適に用いることができる。
【0034】
以上の説明からも明らかなように、上記実施の形態、変形例及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1…スイッチ装置、2…ケース、2a…開口部、3…スイッチ操作部、4…樹脂成形体、5…配線基板、6…LED、7…印刷層、7a…抜き表示部、8…電極板、8a…リード、8b…透光孔、9…シールド兼用反射板、9a…アース用のリード、9b…反射面、10…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作を受け付けるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部の内部に埋設され、光透過不能な非透光性材料により形成されるとともに、光透過可能な透光孔を有する導電性の静電容量検出用の電極板と、
前記透光孔を介して前記スイッチ操作部に光を照射する光源と、
前記電極板の周囲全体を取り囲むように前記スイッチ操作部の内部に埋設され、ノイズ遮断性及び光反射性を有するシールド兼用反射板と、
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記シールド兼用反射板は、前記電極板の周囲全体を取り囲む枠状に形成された側壁部を有しており、
前記側壁部は、前記電極板から外側へ広がる方向に傾斜する反射面を有することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記シールド兼用反射板には、アース用のリードが接続されたことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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