説明

スイッチ装置

【課題】 片手で2つのスイッチ操作を同時に行うことができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 回転操作可能な第1回転操作体11を、楽器本体1の一側部2aであってその一部が楽器本体1の上面から突出するように配置するとともに、回転操作可能な第2回転操作体12を、第1回転操作体11の後方であってその一部が一側部2aの側面側に露出するように配置し、かつ第2回転操作体12は、第1回転操作体11の突出部分を左手の親指により上下方向に回転操作した際に、第2回転操作体12の露出した部分を親指以外の他の指によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されている。従って、楽器本体1の上部ケース2の左側に位置する一側部2aに左手を当てると、その左手の親指が第1回転操作体11に対応し、親指以外の他の指が第2回転操作体12に対応するので、左手のみで第1、第2の各回転操作体11、12をそれぞれ個別に回転操作できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵盤楽器や弦楽器、管楽器などの楽器、音楽プレーヤなどの音響機器に用いられるスイッチ装置に関し、更に詳しくは楽音に効果を付与する回転式のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、音楽プレーヤに用いられている回転式のスイッチ装置においては、特許文献1に記載されているように、機器ケースに回転軸を設け、この回転軸に回転操作部材を取り付け、この回転操作部材にピッチベンド用のスイッチ部を設け、このスイッチ部を押しながら回転操作部材を回転させてピッチベンド操作を行い、スイッチ部を押さずに回転操作部材を回転させてスクラッチ操作を行うように構成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−234012号公報
【0004】
このような回転式のスイッチ装置では、回転操作部材が回転円板と基板支持板とを備えている。この場合、回転円板には貫通孔が設けられており、この貫通孔内にはキートップが設けられている。また、基板支持板にはスイッチ基板が設けられており、このスイッチ基板にはスイッチ部がキートップに対応して設けられている。
【0005】
これにより、この種のスイッチ装置は、ピッチベンド操作を行うときに、キートップを押して回転操作部材のスイッチ部をオンさせた状態で回転操作部材を回転させ、またスクラッチ操作を行うときに、キートップを押さずに回転操作部材のスイッチ部をオフにした状態で回転操作部材を回転させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような回転式のスイッチ装置では、キートップを押して回転操作部材のスイッチ部をオンさせた状態で回転操作部材を回転させるピッチベンド操作と、キートップを押さずに回転操作部材のスイッチ部をオフにした状態で回転操作部材を回転させるスクラッチ操作とを、同時に行うことができないため、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、片手で2つのスイッチ操作を同時に行うことができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、回転操作可能な第1回転操作体を、機器ケースの一側部であってその一部が前記機器ケースの上面から突出するように配置するとともに、回転操作可能な第2回転操作体を、前記第1回転操作体の後方であってその一部が前記一側部の側面側に露出するように配置し、かつ前記第2回転操作体は、前記第1回転操作体の突出部分を片手の親指により上下方向に回転操作した際に、前記第2回転操作体の露出した部分を前記親指以外の他の指によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されたことを特徴とするスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、機器ケースの一側部に片手を当てると、その片手の親指を機器ケースの一側部における上面から突出した部分の第1回転操作体に対応させることができ、その片手の親指以外の他の指を機器ケースの一側部における側面側に露出した部分の第2回転操作体に対応させることができる。このため、片手で第1、第2の各回転操作体をそれぞれ個別に回転操作することができるので、片手で2つのスイッチ操作を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器における上部ケースの左側に位置する側部の要部を示した拡大斜視図である。
【図3】図2に示された上部ケースの側部に配置される左手を示し、その左手の親指で第1回転操作体を上下方向に回転操作し、親指以外の他の指で第2回転操作体を水平方向に回転操作する際の各指の状態を示した図である。
【図4】図2に示された上部ケースの側部内に配置されたスイッチ装置を示した要部の拡大斜視図である。
【図5】図4に示されたスイッチ装置を上方から見た拡大平面図である。
【図6】図4に示されたスイッチ装置の第1回転操作体を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大平面図である。
【図7】図6(a)に示された第1回転操作体のA−A矢視における拡大断面図である。
【図8】図6(a)に示されたスイッチ装置における第1回転操作部材のニュートラル状態を示した拡大正面図である。
【図9】図8に示された第1回転操作部材を正方向(時計回り方向)に回転させた状態を示した拡大正面図である。
【図10】図4に示されたスイッチ装置の第2回転操作体を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大平面図である。
【図11】図5に示されたスイッチ装置において、第1回転操作部材と第2回転操作部材との間隔を狭くした状態を示した拡大平面図である。
【図12】この発明を鍵盤楽器に適用した一実施形態におけるスイッチ装置の変形例を示した要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図11を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した一実施形態について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とを備え、これらの内部に鍵盤部4が設けられた構成になっている。
【0012】
鍵盤部4は、図1に示すように、白鍵と黒鍵とからなる複数の鍵5を備えている。この複数の鍵5は、楽器本体1内に並列に配列された状態で、上下方向に回転するように構成されている。この場合、上部ケース2は、鍵盤部4の後方(図1では上辺側)に位置する箇所、および鍵5の配列方向(図1では左右方向)における鍵盤部4の両側部に位置する箇所において、下部ケース3上に設けられている。これにより、鍵盤部4は、その後端部を除いて、上部ケース2で覆われることなく上側に露出するように構成されている。
【0013】
また、上部ケース2には、図1に示すように、スピーカ部6、表示部7、およびスイッチ部8が設けられている。スピーカ部6は、複数のスピーカ6a〜6cを備え、これらが上部ケース2の後部側における鍵5の配列方向の両側にそれぞれ設けられている。表示部7は、液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、上部ケース2のほぼ中央部に配置され、鍵盤楽器に必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0014】
スイッチ部8は、図1に示すように、電源スイッチ、音量スイッチ、音色スイッチ、ファンクションスイッチなどの鍵盤楽器に必要な各種のスイッチを備えているほか、図2に示すように、回転式のスイッチ装置10をも備えている。また、このスイッチ部8は、図1に示すように、上部ケース2の上面に各種のスイッチが分散して設けられている。
【0015】
この場合、回転式のスイッチ装置10は、図1および図2に示すように、上部ケース2における鍵5の配列方向の片側(図1では左側)に位置する側部2aに設けられている。この回転式のスイッチ装置10は、鍵盤部4の各鍵5を押鍵操作して演奏している最中にスイッチ操作することにより、演奏中の楽音に効果を付与するためのものである。このスイッチ装置10は、図1および図2に示すように、例えばピッチベンダ効果を付与する第1回転操作体11と、モジュレーション効果を付与する第2回転操作体12とを備えている。
【0016】
第1回転操作体11は、図2および図4に示すように、上部ケース2の左側に位置する側部2aに設けられ、その上部の一部が上部ケース2における側部2aの上面から突出し、この突出した一部を縦方向(上下方向)に回転操作されるように構成されている。第2回転操作体12は、上部ケース2の左側に位置する側部2aに、第1回転操作体11の後側(図1では上辺側)に位置がずれた状態で設けられ、第2回転操作体12の側部の一部が上部ケース2における側部2aの側面側(図2では左側)に露出し、この露出した一部を上部ケース2の上面と平行な横方向(水平方向)に回転操作されるように構成されている。
【0017】
この場合、第1回転操作体11は、図2〜図4に示すように、上部ケース2における側部2aの上面から突出した一部が演奏者の左手Hの親指F1によって縦方向(上下方向)に回転操作されてスイッチ動作するように構成されている。また、第2回転操作体12は、上部ケース2における側部2aの側面から突出した一部が演奏者の左手Hにおける親指F1以外の他の指F2(例えば人差し指)によって上部ケース2の上面と平行な横方向(水平方向)に回転操作されてスイッチ動作するように構成されている。
【0018】
すなわち、第2回転操作体12は、図2〜図4に示すように、第1回転操作体11が上部ケース2における側部2aの上面から突出した一部を左手Hの親指F1により上下方向に回転操作する際に、第2回転操作体12が上部ケース2における側部2aの側面から突出した一部を親指F1以外の他の指F2によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されている。
【0019】
ところで、第1回転操作体11は、図4〜図7に示すように、第1ロータリースイッチ13、第1回転操作部材14、および第1ばね部材15を備えている。また、第2回転操作体12も、第1回転操作体11と同様、第2ロータリースイッチ16、第2回転操作部材17、および第2ばね部材(図示せず)を備えている。この第1回転操作体11と第2回転操作体12とは、その回転方向が異なる以外は、両者ともほぼ同じ構成になっている。
【0020】
ここで、まず、第1回転操作体11について説明する。この第1回転操作体11の第1ロータリースイッチ13は、図6および図7に示すように、スイッチ本体20と、このスイッチ本体20に回転可能に取り付けられたスイッチ軸21とを備え、スイッチ本体20がスイッチ軸21の回転動作の変化を電気的に検出し、その検出信号を出力するように構成されている。
【0021】
この第1ロータリースイッチ13は、図5〜図7に示すように、スイッチ本体20が第1取付部材22に取り付けられ、この第1取付部材22によって上部ケース2の左側に位置する側部2a内の下部ケース3上に取り付けられるように構成されている。また、この第1ロータリースイッチ13は、図7に示すように、そのスイッチ軸21に第1回転操作部材14が取り付けられるように構成されている。
【0022】
これにより、第1回転操作部材14は、図5〜図7に示すように、第1ロータリースイッチ13と共に第1取付部材22によって上部ケース2に対して取り付けられ、この状態で第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21を中心にスイッチ軸21と共に回転するように構成されている。
【0023】
第1取付部材22は、図5および図6に示すように、第1ロータリースイッチ13を上部ケース2の左側に位置する側部2a内の下部ケース3上に取り付けるためのものである。この第1取付部材22は、第1ロータリースイッチ13のスイッチ本体20が取り付けられるスイッチ取付部22aと、このスイッチ取付部22aから下側に延出された延出部22bと、楽器本体1の下部ケース3に取り付けられる取付片22cとを備え、これらが金属板によって一体に形成されている。
【0024】
この場合、スイッチ取付部22aの中間部には、第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21が挿入する軸挿入孔(図示せず)が設けられている。また、延出部22bの下端部には、図6〜図8に示すように、第1回転操作部材14側(図7では左側)に向けて突出したばね固定部22dが設けられている。
【0025】
また、第1回転操作部材14は、図2、図4〜図7に示すように、上部ケース2の側部2aの上面に設けられた長方形状の開口部2bからその上方に一部が露出するほぼ半円形状の操作本体部23と、この操作本体部23の回転中心に設けられて第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21が取り付けられる円筒部24と、操作本体部23に設けられて第1ばね部材15を押圧操作するばね操作部25とを備え、これらが合成樹脂によって一体に形成されている。
【0026】
この場合、操作本体部23は、図2、図4〜図7に示すように、その上部側に位置するほぼ半分程度が上部ケース2の側部2aの上面に設けられた開口部2bから上方に突出し、この状態で第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21が取り付けられる円筒部24を中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0027】
円筒部24は、図7に示すように、操作本体部23の回転中心に設けられ、その内部に第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21が挿入して取り付けられると共に、その外周面に第1ばね部材15が取り付けられるように構成されている。この場合、円筒部24の内部には、図7および図8に示すように、キー部24aが軸方向に沿って設けられている。
【0028】
これに伴って、第1ロータリースイッチ13におけるスイッチ軸21の外周面には、図7に示すように、キー部24aに対応する切欠き部21aが軸方向に沿って設けられている。これにより、第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21は、図7および図8に示すように、その切欠き部21aが円筒部24内のキー部24aに対応した状態で、円筒部24内に挿入されて嵌着することにより、第1回転操作部材14と共に一体的に回転するように構成されている。
【0029】
また、第1回転操作部材14における円筒部24の外周面には、図7および図8に示すように、後述する第1ばね部材15に対する摩擦抵抗を軽減するための多数の凸部24bが設けられている。また、この第1回転操作部材14の外周部は、図7に示すように、外周壁部に形成されている。この外周壁部は、操作本体部23の外周部から軸方向における円筒部24と同じ方向(図7では右方向)に向けて突出した状態で設けられている。この外周壁部の外周面には、操作面26が形成されている。
【0030】
この操作面26は、図7に示すように、第1回転操作部材14の軸方向における突出長さが、円筒部24とほぼ同じ長さで形成されている。また、この操作面26である外周面の最上部には、図7および図8に示すように、第1回転操作部材14を親指F1の指先で回転操作する際に、その指先を位置規制するための第1溝部26aが親指F1の付け根側(図7では右側)に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されている。また、この操作面26には、指先が滑るのを防ぐための滑り止め用の凹凸部26bが設けられている。
【0031】
さらに、第1回転操作部材14の操作本体部23には、図7および図8に示すように、その下側に延出された延出部23aが形成されており、この操作本体部23の延出部23aには、ばね操作部25が円筒部24の軸方向において円筒部24と同じ方向に向けて突出して設けられている。このばね操作部25は、長方形状の平板であり、第1回転操作部材14の回転方向における長さ(幅)が、これに対応する方向における第1取付部材22のばね固定部22dの長さとほぼ同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。
【0032】
一方、第1ばね部材15は、図7および図8に示すように、コイル状の捻じりばねであり、第1回転操作部材14の円筒部24の外周面に、その径方向に変位可能(伸縮可能)な状態で巻き付けられ、その両端部15a、15bが、第1回転操作部材14のばね操作部25の両側を通り抜けて、第1取付部材22の延出部22bに設けられたばね固定部22dの両側に配置されるように構成されている。
【0033】
この場合、第1取付部材22のばね固定部22dは、図7に示すように、第1取付部材22の延出部22bの下端部から第1回転操作部材14の下端部側に向けてほぼ水平に延び、この延びた先端部(図7では左端部)がばね操作部25の下側に位置するように構成されている。
【0034】
これにより、第1取付部材22のばね固定部22dは、図7および図8に示すように、第1回転操作部材14のばね操作部25の下側に位置し、この状態でばね固定部22dの両側に第1ばね部材15の両端部15a、15bが配置されることにより、第1ばね部材15の両端部15a、15bによって弾力的に挟まれるように構成されている。
【0035】
また、この第1ばね部材15は、図8および図9に示すように、第1回転操作部材14に負荷を付与するものであり、第1回転操作部材14が正方向(図9では時計回り方向)と逆方向(図9では反時計回り方向)とのいずれかの方向に回転する際に、ばね操作部25の回転方向側の端部によって第1ばね部材15の両端部15a、15bの一方が押し広げられることにより、第1回転操作部材14に付与される負荷を第1回転操作部材14の回転に応じて徐々に大きくするように構成されている。
【0036】
また、この第1ばね部材15は、図8に示すように、第1回転操作部材14がいずれの方向にも回転しない中立状態(ニュートラル状態)のときに、第1回転操作部材14に付与される負荷が最も小さくなるように構成されている。これにより、第1回転操作部材14は、中立状態(ニュートラル状態)から回転を開始する際に軽く回転し、回転が進むに伴って徐々に重くなるように構成されている。
【0037】
この場合、第1回転操作部材14は、図8に示すように、第1回転操作部材14がいずれの方向にも回転しない中立状態(ニュートラル状態)のときに、第1回転操作部材14の操作面26の中間部が上部ケース2の側部2aにおける開口部2bの中間部に位置し、この状態で操作面26および操作本体部23の各上側半部が上部ケース2の側部2aの上側に突出するように構成されている。
【0038】
また、この第1回転操作部材14は、図8に示すように、第1回転操作部材14がいずれの方向にも回転しない中立状態(ニュートラル状態)のときに、第1回転操作部材14の操作面26に設けられた第1溝部26aが、上部ケース2の側部2aにおける開口部2bの中間部に位置し、この第1溝部26aに左手Hの親指F1を配置して第1回転操作部材14を操作することにより、操作面26が操作本体部23と共に正方向(図9では時計回り方向)と逆方向(図9は反時計回り方向)とのいずれかの方向に、第1ばね部材15のばね力に抗して回転するように構成されている。
【0039】
なお、第1ロータリースイッチ13は、図6(a)に示すように、接続ケーブル27によって楽器本体1内に設けられた回路基板(図示せず)と電気的に接続されている。この場合、接続ケーブル27は、その一端部がスイッチ本体20に接続された状態で第1取付部材22に固定具27aによって固定され、この状態で他端部側が楽器ケース1内を引き回されて回路基板に接続されるように構成されている。
【0040】
ところで、第2回転操作体12は、図4および図10に示すように、第2ロータリースイッチ16、第2回転操作部材17、および第2ばね部材(図示せず)を備え、これらが上部ケースの上面と平行な横方向(水平方向)に回転する構成であり、これ以外は、第1回転操作体11の第1ロータリースイッチ13、第1回転操作部材14、および第1ばね部材15とほぼ同じ構成になっている。
【0041】
すなわち、第2ロータリースイッチ16は、第1ロータリースイッチ13と同じ構成で、スイッチ本体20がスイッチ軸21の回転動作の変化を電気的に検出し、その検出信号を出力するように構成されている。この第2ロータリースイッチ16は、図10(a)および図10(b)に示すように、スイッチ本体20が第2取付部材32に取り付けられ、この第2取付部材32によって上部ケース2の左側に位置する側部2a内の下部ケース3上に取り付けられるように構成されている。
【0042】
また、この第2ロータリースイッチ16は、そのスイッチ軸21に第2回転操作部材17が取り付けられるように構成されている。これにより、第2回転操作部材17は、図10(a)および図10(b)に示すように、第2ロータリースイッチ16と共に第2取付部材32によって上部ケース2に対して取り付けられ、この状態で第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21を中心にスイッチ軸21と共に回転するように構成されている。
【0043】
この場合、第2取付部材32は、図4および図5に示すように、第2ロータリースイッチ16を上部ケース2の左側に位置する側部2a内の下部ケース3上に取り付けるためのものである。この第2取付部材32は、図10(a)および図10(b)に示すように、第2ロータリースイッチ16のスイッチ本体20が取り付けられるスイッチ取付部32aと、このスイッチ取付部32aから下側に延出された延出部32bと、楽器本体1の下部ケース3に取り付けられる取付片32cとを備え、これらが金属板によって一体に形成されている。
【0044】
この第2取付部材32は、図5に示すように、第1取付部材22が取り付けられる下部ケース3の同一平面上に前後方向に位置をずらして取り付けられるように構成されている。この場合、第1取付部材22の取付片22cには、第1回転操作部材14と第2回転操作部材17との間隔を調整するための長孔である調整孔33が形成されている。第2取付部材32の取付片32cには、ビス(図示せず)が挿入する取付孔34が設けられている。
【0045】
これにより、第1、第2の各取付部材22、32は、図5に示すように、第1取付部材22の一方(図5では上部側)の取付片22cと第2取付部材32の一方(図5では下部側)の取付片32cとが重なり、この状態で各取付片22c、32cに設けられた調整孔33と取付孔34とを対応させて、この調整孔33と取付孔34とにビスを挿入させることにより、各取付片22c、32cが下部ケース3上に取り付けられるように構成されている。
【0046】
また、この第1、第2の各取付部材22、32は、図11に示すように、第1取付部材22の各取付片22cの各調整孔33に挿入されたビスを緩め、この状態で第1取付部材22を調整孔33によってスライド移動させると、下部ケース3に対する第1取付部材22の取付位置が変更され、これにより第1回転操作部材14と第2回転操作部材17との間隔を変更するように構成されている。
【0047】
一方、第2取付部材32におけるスイッチ取付部32aの中間部には、第2ロータリースイッチ16のスイッチ軸21が挿入する軸挿入孔(図示せず)が設けられている。また、延出部32bの下端部には、図10(a)および図10(b)に示すように、第2回転操作部材17側、つまり上部ケースの上面に向けて突出したばね固定部32dが設けられている。
【0048】
また、第2回転操作部材17は、図4に示すように、第1回転操作部材14とほぼ同じ構成であり、第1回転操作部材14の操作本体部23を水平方向に回転可能に配置した構成になっている。第2ばね部材は、図示しないが、第1ばね部材15と同じ構成であり、第1ばね部材15およびその両端部15a、15bを水平方向に向けて配置した構成になっている。
【0049】
この場合、上部ケース2の左側に位置する側部2aには、図1および図2に示すように、切欠き部28が側部2aの上面および側面に開放された状態で設けられている。この切欠き部28の立上り面には、図2に示すように、第2回転操作部材17の操作本体部23の左側に位置する側部の一部が挿入する長方形の開口部28aが設けられている。これにより、第2回転操作部材17の操作本体部は、その左側に位置する側部の一部が開口部28aから切欠き部28内に突出して上部ケース2の外部に露出する構成されている。
【0050】
また、第2回転操作部材17の操作本体部の外周部は、第1回転操作体11の操作本体部23と同様、外周壁部に形成されている。この外周壁部は、第2回転操作部材17の操作本体の外周部から軸方向における円筒部と同じ方向に向けて突出した状態で設けられている。この外周壁部の外周面には、第1回転操作体11の操作面26と同様、操作面29が形成されている。
【0051】
この操作面29は、図2に示すように、第2回転操作部材17の軸方向における突出長さが、円筒部とほぼ同じ長さで形成されている。また、この操作面29である外周面の最外側部には、図2および図3に示すように、第2回転操作部材17を親指F1以外の他の指F2(例えば人差し指)の指先で回転操作する際に、その指先を位置規制するための第2溝部29aが、下側から上側に向けって次第に深くなるように傾斜して形成されている。
【0052】
さらに、上部ケース2の左側に位置する側部2aには、図1および図2に示すように、左手Hの一部、例えば左手Hの掌の一部を位置規制して配置するための位置規制凹部30が設けられている。この位置規制凹部30は、上部ケース2の側部2aにおける上部縁部に、その下部側から上面側に亘って円弧状に湾曲した凹溝状に形成されている。これにより、位置規制凹部30は、左手Hの一部が配置されると、自然に親指F1が第1回転操作体11に対応すると共に、他の指F2が第2回転操作体12に対応するように構成されている。
【0053】
また、上部ケース2における左側の一側部2aに設けられた切欠き部28には、図2に示すように、切欠き部28内から突出した第2回転操作部材17の操作面29に沿って操作位置を表すための目盛部31が設けられている。この目盛部31は、複数の凹部であり、切欠き部28の底部における第2回転操作部材17の操作面29の外周側に位置する箇所に、所定間隔で第2回転操作部材17の操作面29に沿って設けられている。
【0054】
次に、このような回転式のスイッチ装置10を楽器本体1に組み付ける場合について説明する。この場合には、まず、第1回転操作体11から説明する。
この第1回転操作体11の第1回転操作部材14に第1ばね部材15を取り付ける。このときには、回転操作部材11の回転中心に設けられた円筒部24を第1ばね部材15の捻り部分に相対的に挿入させると共に、この第1ばね部材15の両端部15a、15bを第1回転操作部材14のばね操作部25の両側に配置させる。
【0055】
この状態で、第1回転操作部材14を第1ロータリースイッチ13に取り付ける。このときには、予め、第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21を第1取付部材22の軸挿入孔22cに挿入させ、この状態で第1ロータリースイッチ13のスイッチ本体20を第1取付部材22に取り付ける。また、このときには、接続ケーブル27の一端部をスイッチ本体20に接続して第1取付部材22に固定具27aによって固定する。
【0056】
そして、スイッチ本体20に回転可能に取り付けられたスイッチ軸21を第1回転操作部材14の回転中心に設けられた円筒部24内に挿入させる。このときには、円筒部24内に設けられたキー部24cにスイッチ軸21の切欠き部21aを対応させた状態で、円筒部24内にスイッチ軸21を挿入する。
【0057】
これにより、第1回転操作部材14は、その回転に伴って第1ロータリースイッチ13のスイッチ軸21が回転するようにスイッチ軸21に取り付けられる。また、円筒部24内にスイッチ軸21を挿入する際には、第1取付部材22の延出部22bに設けられたばね固定部22dを第1ばね部材15の両端部15a、15b間に挿入して配置する。
【0058】
この第1回転操作体11と同様に、第2回転操作体12を楽器本体1に組み付ける。この場合には、第1回転操作体11と同様、第2回転操作部材17に第2ばね部材(図示せず)を取り付けると共に、この第2回転操作部材17を第2ロータリースイッチ16に取り付ける。この状態で、第1回転操作体11の場合と同様、第2ロータリースイッチ16のスイッチ本体21を第2取付部材32に取り付けると共に、接続ケーブルの一端部をスイッチ本体21に接続して第2取付部材32に固定具によって固定する。
【0059】
この後、第1取付部材22を楽器本体1の上部ケース2における左側の側部2a内の下部ケース3上に縦向き状態(垂直状態)に配置すると共に、第2取付部材32を楽器本体1の上部ケース2における左側の側部2a内の下部ケース3上に上部ケース2の上面と平行な横向き状態(水平状態)に配置する。
【0060】
このときには、第1回転操作部材14の上部側を上部ケース2の側部2aに設けられた開口部2b内に上部ケース2の側部2aの内部から挿入させて側部2aの上面側に突出させる。また、第2回転操作部材17の外周部を上部ケース2の側部2aに設けられた切欠き部28の開口部28a内に上部ケース2の側部2aの内部から挿入させて切欠き部28内に突出させる。
【0061】
この状態で、図5に示すように、第1、第2の各取付部材22、32が互いに接近する第1取付部材22の一方の取付片22cと第2取付部材32の一方の取付片32cとを重ね合わせて、各取付片22c、32cに設けられた調整孔33と取付孔34とを対応させる。この状態で調整孔33と取付孔34とにビスを挿入させて締め付ける。これにより第1、第2の各取付部材22、32の各取付片22c、32cが下部ケース3上における同一平面上に取り付けられる。
【0062】
この場合、第1、第2の各取付部材22、32の各取付位置を調整する場合には、第1取付部材22の各取付片22cの各調整孔33に挿入されたビスを緩め、この状態で、図11に示すように、第1取付部材22を調整孔33に沿って第2取付部材32に対して接近または離間する方向にスライド移動させる。これにより、下部ケース3に対する第1取付部材22の取付位置が変更され、これにより第1回転操作部材14と第2回転操作部材17との間隔が変更される。
【0063】
そして、第1、第2の各ロータリースイッチ13、16に一端部が接続されて固定された各接続ケーブル27の他端部を楽器本体1内に設けられた回路基板(図示せず)と電気的に接続する。これにより、第1、第2の各回転操作体11、12が楽器本体1内に組み付けられる。
【0064】
次に、このような電子鍵盤楽器で演奏をする場合について説明する。
この電子鍵盤楽器で演奏する際には、楽器本体1の上部ケース2から上方に露出した鍵盤部4における複数の鍵5を押鍵操作する。すると、スピーカ部6から演奏に応じた楽音が放音される。このような演奏中に回転式のスイッチ装置10における第1、第2の各回転操作体11、12をそれぞれ回転操作すると、その第1、第2の各回転操作部材11、12の回転操作に応じて、放音される楽音に効果が付与される。
【0065】
すなわち、演奏者の左手Hの一部を上部ケース2の左側に位置する側部2aの上側縁部に設けられた位置規制凹部30に配置すると、この位置規制凹部30によって左手Hが上部ケース2の側部2aに対して位置規制される。これにより、左手Hの親指F1が上部ケース2の側部2aから上方に突出した部分の第1回転操作体11に対応すると共に、左手Hの親指F1以外の他の指F2(例えば人差し指)が上部ケース2の側部2aの切欠き部28内に突出した部分の第2回転操作体12に対応する。
【0066】
この状態で、親指F1で第1回転操作体11の第1回転操作部材14を回転させると、この第1回転操作部材14の回転に応じて、楽音に音のピッチ(高低)を変化させるピッチベッド効果を付加させることができる。また、親指F1以外の他の指F2で第2回転操作体12の第2回転操作部材17を回転させると、この第2回転操作部材17の回転に応じて、楽音にビブラートなどの音を振動させるモジュレーション効果を付加させることができる。
【0067】
この場合、左手Hを上部ケース2の左側に位置する側部2aの上側縁部に配置する際には、上部ケース2の側部2aにおける上側縁部に設けられた位置規制凹部30に左手Hの一部を配置することにより、左手Hを上部ケース2の側部2aにおける所定位置に正確に且つ確実に位置規制することができる。これにより、左手Hの親指F1を第1回転操作体11の操作面26に対応させて位置規制することができると共に、左手Hの親指F1以外の他の指F2を第2回転操作体12の操作面29に対応させて位置規制することができる。
【0068】
この状態で、第1、第2の各回転操作体11、12を左手Hの各指F1、F2によってそれぞれ個別に回転させることができる。例えば、第1回転操作体11の第1回転操作部材14を左手Hの親指F1で正回転(時計回り方向)回転させると、これに伴ってばね操作部25が第1ばね部材15のばね力に抗して同じ方向に回転移動する。
【0069】
このときには、図9に示すように、第1ばね部材15の一方の端部15bが第1取付部材22のばね固定部22dに当接して保持され、この状態で第1ばね部材15の他方の端部15aがばね操作部25によって押し広げられる。このため、第1回転操作部材14を回転操作させる際に、親指F1の指先に第1ばね部材15のばね力が負荷として付与される。
【0070】
この後、第1回転操作部材14の操作面26から親指F1の指先を離すと、第1回転操作部材14のばね操作部25が第1ばね部材15の他方の端部15aによって反時計回り方向に押し戻されるので、図8に示すように、第1回転操作部材14が第1ばね部材15のばね力によって中立状態(ニュートラル位置)に戻る。
【0071】
また、この第1回転操作部材14を逆方向(反時計回り方向)に回転させると、第1ばね部材15の一方の端部15aが第1取付部材22のばね固定部22dに当接して保持され、この状態で第1ばね部材15の他方の端部15bがばね操作部25によって押し広げられる。このため、第1回転操作部材14を回転操作させる際に、親指F1の指先に第1ばね部材15のばね力が負荷として付与される。このときにも、第1回転操作部材14の操作面26から親指F1の指先を離すと、第1回転操作部材14が第1ばね部材15のばね力によって中立状態(ニュートラル位置)に戻る。
【0072】
同様に、第2回転操作体12の第2回転操作部材17を左手Hの親指F1以外の他の指F2、例えば人差し指で正回転(時計回り方向)回転させると、これに伴ってばね操作部が第2ばね部材のばね力に抗して同じ方向に回転移動する。このときにも、第1回転操作体11と同様、第2ばね部材の一方の端部(第1ばね部材15の端部15aに相当する)が取付部材のばね固定部に当接して保持され、この状態で第2ばね部材の他方の端部(第1ばね部材15の端部15bに相当する)がばね操作部によって押し広げられる。
【0073】
このため、第2回転操作部材17を回転操作させる際に、親指F1以外の他の指F2の指先に第2ばね部材のばね力が負荷として付与される。この後、第2回転操作部材17の操作面29から親指F1以外の他の指F2の指先を離すと、第2回転操作部材17のばね操作部が第2ばね部材の他方の端部によって反時計回り方向に押し戻されるので、図8に示したように、第2回転操作部材17が第2ばね部材のばね力によって中立状態(ニュートラル位置)に戻る。
【0074】
また、この第2回転操作部材14を逆方向(反時計回り方向)に回転させる際にも、第1回転操作体11と同様、第2ばね部材の一方の端部が取付部材のばね固定部に当接して保持され、この状態で第2ばね部材の他方の端部がばね操作部によって押し広げられる。このため、第2回転操作部材17を回転操作させる際に、親指F1以外の他の指F2の指先に第2ばね部材のばね力が負荷として付与される。そして、第2回転操作部材17の操作面29から親指F1以外の他の指F2の指先を離すと、第2回転操作部材17が第2ばね部材のばね力によって中立状態(ニュートラル位置)に戻る。
【0075】
このように、この鍵盤楽器におけるスイッチ装置10によれば、回転操作可能な第1回転操作体11を、楽器本体1の一側部2aであってその一部が楽器本体1の上面から突出するように配置するとともに、回転操作可能な第2回転操作体12を、第1回転操作体11の後方であってその一部が一側部2aの側面側に露出するように配置し、かつ第2回転操作体12は、第1回転操作体11の突出部分を左手Hの親指F1により上下方向に回転操作した際に、第2回転操作体12の露出した部分を親指F1以外の他の指F2によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されていることにより、片手で2つのスイッチ操作を同時に行うことができる。
【0076】
すなわち、このスイッチ装置10では、第1回転操作体11と第2回転操作体12とを楽器本体1における上部ケース2の一側部2aに人間工学に基づいて配置することができるので、楽器本体1の上部ケース2の左側に位置する一側部2aに左手Hを当てると、その左手Hの親指F1を楽器本体1の上部ケース2における一側部2aの上面から突出した部分の第1回転操作体11に対応させることができると共に、親指F1以外の他の指F2を楽器本体1の上部ケース2における一側部2aの側面側に露出した部分の第2回転操作体12に対応させることができる。
【0077】
このため、左手Hのみの片手で第1、第2の各回転操作体11、12をそれぞれ個別に回転操作することができるので、片手で2つのスイッチ操作を同時に行うことができる。このときには、第1回転操作体11の回転操作によって楽音に音高を変化させるピッチベンド効果を付与することができると共に、第2回転操作体12の回転操作によって楽音にビブラートなどの音を振動させるモジュレーション効果を付与することができる。
【0078】
この場合、第1回転操作体11は、楽器本体1に対して上下方向に回転可能に取り付けられた回転式の第1スイッチ部13と、この第1スイッチ部13を上下方向(縦方向)の回転操作に応じてスイッチ動作させる第1回転操作部材14と、この第1回転操作部材14が回転する際に第1回転操作部材14に負荷を付与する第1ばね部材15とを備えているので、第1回転操作部材14を左手Hの親指F1で回転させる際に、その親指F1に第1ばね部材15のばね力によって負荷を付与することができ、これにより第1回転操作部材14を良好に回転させて、楽音にピッチベンドなどの効果を付与することができる。
【0079】
また、第2回転操作体12は、楽器本体1に対して水平方向に回転可能に取り付けられた回転式の第2スイッチ部16と、この第2スイッチ部16を水平方向(横方向)の回転操作に応じてスイッチ動作させる第2回転操作部材17と、この第2回転操作部材17が回転する際に第2回転操作部材17に負荷を付与する第2ばね部材(図示せず)とを備えているので、第2回転操作部材17を左手Hの親指F1以外の他の指F2で回転させる際に、その親指F1以外の他の指F2に第2ばね部材のばね力によって負荷を付与することができ、これにより第2回転操作部材17を良好に回転させて、楽音にビブラートなどのモジュレーション効果を付与することができる。
【0080】
また、このスイッチ装置10では、第1回転操作体11を楽器本体1に対して取り付けるための第1取付片22cを有する第1取付部材22と、第2回転操作体12を楽器本体1に対して取り付けるための第2取付片32cを有する第2取付部材32とを備えているので、楽器本体1の上下方向に回転操作される第1回転操作体11を第1取付部材22によって楽器本体1に確実に且つ良好に取り付けることができると共に、楽器本体1の水平方向に回転操作される第2回転操作体12を第2取付部材32によって楽器本体1に確実に且つ良好に取り付けることができる。
【0081】
この場合、第1取付部材22の第1取付片22cと第2取付部材32の第2取付片32cとは、楽器本体1の同一平面上に取り付けられている構成であるから、第1回転操作体11が上下方向に回転する構成であっても、また第2回転操作体12が第1回転操作体11と直交する水平方向に回転する構成であっても、第1取付部材22と第2取付部材32とによって第1、第2の各回転操作体11、12を楽器本体1に対して確実に且つ良好に取り付けることができる。
【0082】
また、このスイッチ装置10では、第1取付片22cと第2取付片32cとのうち、少なくとも第1取付片22cに、第1回転操作体11と第2回転操作体12との間隔を調整するための調整孔33が設けられていることにより、第1取付部材22を調整孔33に沿って第2取付部材32に対して接近する方向または離間する方向にスライド移動させることができる。これにより、楽器本体1に対する第1取付部材22の取付位置を変更することができるので、第1回転操作部材14と第2回転操作部材17との間隔を容易に且つ良好に調整することができる。このため、手の大きい大人が操作する場合と、手の小さい子供が操作する場合でも、第1回転操作部材14と第2回転操作部材17との間隔を最適に調整することができる。
【0083】
さらに、このスイッチ装置10では、第1回転操作部材14の操作面26に、親指F1が配置する第1溝部26aが、親指F1の付け根側に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されているので、第1回転操作部材14を回転操作する際に、親指F1を操作面26の第1溝部26aに配置させることができ、これにより第1回転操作部材14を親指F1によって確実に且つ良好に回転操作することができる。
【0084】
同様に、第2回転操作部材17の操作面29にも、親指F1以外の他の指F2が配置する第2溝部29aが、下側から上側に向けって次第に深くなるように傾斜して形成されているので、第2回転操作部材17を回転操作する際に、親指F1以外の他の指F2を操作面29の第2溝部29aに配置させることができ、これによっても第2回転操作部材17を親指F1以外の他の指F2によって確実に且つ良好に回転操作することができる。
【0085】
また、このスイッチ装置10では、楽器本体1の上部ケース2の一側部2a、例えば上部ケース2の左側に位置する上側縁部に、左手Hの一部を位置規制して配置する位置規制凹部30が設けられていることにより、左手Hを上部ケース2の側部2aの上側縁部に配置する際に、左手Hの一部を上部ケース2の側部2aにおける上側縁部の位置規制凹部30に配置することができる。これにより、左手Hの親指F1を第1回転操作体11に確実に対応させて位置規制することができると共に、左手Hの親指F1以外の他の指F2を第2回転操作体12に確実に対応させて位置規制することができる。
【0086】
さらに、このスイッチ装置10では、第2回転操作部材17の操作面29の一部が楽器本体1の上部ケース2における一側部2aに設けられた切欠き部28内に突出し、この状態で第2回転操作部材17が上部ケース2の上面と平行な横方向(水平方向)に回転可能に配置されているので、上部ケース2の一側部2aにおける切欠き部28を通して、左手Hの親指F1以外の他の指F2を第2回転操作体12に確実に且つ良好に対応させることができ、この状態で第2回転操作体12を親指F1以外の他の指F2によって確実に且つ良好に回転操作することができる。
【0087】
この場合、楽器本体1の上部ケース2における左側の一側部2aに設けられた切欠き部28には、この切欠き部28内から突出した第2回転操作部材17の操作面29に沿って操作位置を表すための目盛部31が凹部形状に設けられていることにより、左手Hの親指F1以外の他の指F2で第2回転操作部材17を回転操作する際に、その指F2の指先が凹部形状の目盛部31に触れることにより、演奏者が目盛部31を見なくても、指先の感触で第2回転操作部材17の回転量を確認することができ、これにより第2回転操作部材17を微妙に回転させて楽音にビブラートなどのモジュレーション効果を正確に且つ良好に付加することができる。
【0088】
なお、上述した実施形態では、第2回転操作体12の第2回転操作部材17の外周部の一部が上部ケース2の側部2aに設けられた切欠き部28内に突出し、この突出した部分のみが上部ケース2の外部に露出するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図12に示す変形例のように構成しても良い。
【0089】
すなわち、この変形例では、第2回転操作部材17の外周部の一部を上部ケース2の側部2aに設けられた切欠き部28内に突出させると共に、第2回転操作部材17の上面全体を上部ケース2の側部2aの上面側に露出させている。この場合、第2回転操作部材17の外周部における操作面29の一部には、左手Hの親指F1以外の他の指F2、例えば人差し指が配置する第1溝部29aを設けると共に、第2回転操作部材17の上面には、第1溝部29aから第2回転操作部材17の回転中心に連続する第2溝部29bを設けるように構成すれば良い。
【0090】
このように構成すれば、上述した実施形態よりも、第2回転操作部材17が上部ケース2から露出する面積が増えるので、左手Hの親指F1以外の他の指F2を第2回転操作部材17に接触させ易くすることができ、これにより、より一層、操作性を向上させることができるほか、第2回転操作部材17の上面には、第2溝部29bが第1溝部29aから第2回転操作部材17の回転中心に亘って連続して設けられているので、これによっても第2回転操作部材17の操作性を向上させることができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、上部ケース2における左側の一側部2aに設けられた切欠き部28の底面に、第2回転操作部材17の回転位置を表すための目盛部31を凹部形状に設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば上部ケース2における左側の一側部2aに設けられた切欠き部28の底面に、第2回転操作部材17の回転位置を表すための目盛部を突起形状に設けて良い。
【0092】
また、上述した実施形態では、第1取付部材22の第1取付片22cに長孔である調整孔33を設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば第2取付部材32の第2取付片32cに長孔である調整孔を設けても良く、また、第1、第2の各取付部材22、32の第1、第2の各取付片22c、32cに長孔である調整孔をそれぞれ設けた構成あっても良い。
【0093】
さらに、上述した実施形態では、第1回転操作体11によって楽音にピッチベンド効果を付与し、第2回転操作体12によって楽音にモジュレーション効果を付与するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば第1回転操作体11によって楽音にモジュレーション効果を付与し、第2回転操作体12によって楽音にピッチベンド効果を付与するように構成しても良い。
【0094】
また、上述した実施形態では、上部ケース2の一側部2aにおける上部縁部に左手Hの位置を規制するための位置規制部として、凹部形状に窪んだ位置規制凹部30を設けた場合について述べたが、必ずしも位置規制部は凹部形状に窪んで形成する必要はなく、凸部形状に突出した位置規制凸部を設けた構成であっても良い。
【0095】
また、上述した実施形態では、楽器本体1の上部ケース2における左側の側部2aに第1、第2の各回転操作体11、12を設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば上部ケース2における右側の他側部に第1、第2の各回転操作体11、12を設けた構成であっても良い。この場合には、上部ケース2の他側部に右手を配置すると、その右手の親指が第1回転操作体11に対応し、右手の親指以外の他の指が第2回転操作体12に対応するように構成すれば良い。
【0096】
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしも鍵盤楽器である必要はなく、例えば電気ギターなどの電子弦楽器、サックスホーンなどの電子管楽器など、各種の電子楽器に適用することができるほか、必ずしも電子楽器に限らず、音楽プレーヤやシンセサイザーなどの音響機器などにも広く適用することができる。
【0097】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0098】
(付記)
請求項1に記載の発明は、回転操作可能な第1回転操作体を、機器ケースの一側部であってその一部が前記機器ケースの上面から突出するように配置するとともに、回転操作可能な第2回転操作体を、前記第1回転操作体の後方であってその一部が前記一側部の側面側に露出するように配置し、かつ前記第2回転操作体は、前記第1回転操作体の突出部分を片手の親指により上下方向に回転操作した際に、前記第2回転操作体の露出した部分を前記親指以外の他の指によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されたことを特徴とするスイッチ装置である。
【0099】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記第1回転操作体を前記機ケースに対して取り付けるための第1取付片を有する第1取付部材と、前記第2回転操作体を前記機ケースに対して取り付けるための第2取付片を有する第2取付部材とを備え、前記第1取付片と前記第2取付片とが前記機器ケースの同一平面上に取り付けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0100】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記第1取付片と前記第2取付片とのうち、少なくとも一方には前記第1回転操作体と前記第2回転操作体との間隔を調整するための調整孔が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0101】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第1回転操作体は前記機器ケースの上面に対して上下方向に回転する第1回転操作部材を有し、この第1回転操作部材の操作面には、前記親指が配置する第1溝部が、前記親指の付け根側に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されており、
前記第2回転操作体は前記機器ケースの上面と平行な水平方向に回転する第2回転操作部材を有し、この第2回転操作部材の操作面には、前記他の指が配置する第2溝部が、下側から上側に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0102】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記機器ケースの前記一側部における上側縁部には、前記片手の一部を位置規制して配置するための位置規制部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0103】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第2回転操作部材は、その前記操作面の一部が前記機器ケースの前記一側部に設けられた切欠き部内に突出して前記機器ケースの外部に露出した状態で、前記機器ケースの上面と平行な水平方向に回転可能に配置されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0104】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のスイッチ装置において、前記機器ケースの前記一側部に設けられた前記切欠き部には、この切欠き部内から突出した前記第2回転操作部材の前記操作面に沿って操作位置を表す凹凸形状の目盛部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【符号の説明】
【0105】
1 楽器本体
2 上部ケース
2a 側部
3 下部ケース
4 鍵盤部
5 鍵
10 スイッチ装置
11、12 第1、第2の各回転操作体
13、16 第1、第2の各ロータリースイッチ
14、17 第1、第2の各回転操作部材
15、18 第1、第2の各ばね部材
22、32 第1、第2の各取付部材
22a、32a スイッチ取付部
22b、32b 延出部
22c、32c 取付片
23 操作本体部
24 円筒部
25 ばね操作部
26、29 操作面
26a、29a 第1溝部
28 切欠き部
30 位置規制凹部
31 目盛部
33 調整孔
H 左手
F1 親指
F2 親指以外の他の指


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能な第1回転操作体を、機器ケースの一側部であってその一部が前記機器ケースの上面から突出するように配置するとともに、回転操作可能な第2回転操作体を、前記第1回転操作体の後方であってその一部が前記一側部の側面側に露出するように配置し、かつ前記第2回転操作体は、前記第1回転操作体の突出部分を片手の親指により上下方向に回転操作した際に、前記第2回転操作体の露出した部分を前記親指以外の他の指によって水平方向に回転操作することが可能な位置に配置されたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、前記第1回転操作体を前記機ケースに対して取り付けるための第1取付片を有する第1取付部材と、前記第2回転操作体を前記機ケースに対して取り付けるための第2取付片を有する第2取付部材とを備え、前記第1取付片と前記第2取付片とが前記機器ケースの同一平面上に取り付けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、前記第1取付片と前記第2取付片とのうち、少なくとも一方には前記第1回転操作体と前記第2回転操作体との間隔を調整するための調整孔が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第1回転操作体は前記機器ケースの上面に対して上下方向に回転する第1回転操作部材を有し、この第1回転操作部材の操作面には、前記親指が配置する第1溝部が、前記親指の付け根側に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されており、
前記第2回転操作体は前記機器ケースの上面と平行な水平方向に回転する第2回転操作部材を有し、この第2回転操作部材の操作面には、前記他の指が配置する第2溝部が、下側から上側に向けて次第に深くなるように傾斜して形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記機器ケースの前記一側部における上側縁部には、前記片手の一部を位置規制して配置するための位置規制部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第2回転操作部材は、その前記操作面の一部が前記機器ケースの前記一側部に設けられた切欠き部内に突出して前記機器ケースの外部に露出した状態で、前記機器ケースの上面と平行な水平方向に回転可能に配置されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチ装置において、前記機器ケースの前記一側部に設けられた前記切欠き部には、この切欠き部内から突出した前記第2回転操作部材の前記操作面に沿って操作位置を表す凹凸形状の目盛部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−89303(P2013−89303A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225813(P2011−225813)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】