スイッチ
【課題】設計の自由度が向上し、導電性に優れたスイッチを提供する。
【解決手段】スイッチは、収容体と、収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、可動端子の周囲の磁界を制御して、一対の固定端子と可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段とを備えている。磁性接点材が、磁性粒子と、この磁性粒子が分散した分散媒とを含む。
【解決手段】スイッチは、収容体と、収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、可動端子の周囲の磁界を制御して、一対の固定端子と可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段とを備えている。磁性接点材が、磁性粒子と、この磁性粒子が分散した分散媒とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関する。更に詳細には、本発明は、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する制御手段と備えたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管状体と、前記管状体内にその両端から挿入されかつ所定のギャップをもって封止された磁性体からなる一対の端子と、前記管状体内の前記一対の端子間に封入された磁性粉末とからなる磁界応動スイッチが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−120969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁界応動スイッチにおいては、(1)端子として磁性体を用いること、(2)主として磁性粉末を用いることを必須とするため、設計の自由度が低く、また、十分な導電性が得られていないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。
そして、その目的とするところは、設計の自由度が向上し、導電性に優れたスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。
そして、その結果、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する制御手段とを備えた構成とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のスイッチは、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該可動端子の周囲の磁界を制御して、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する制御手段とを備えた構成としたため、設計の自由度が向上し、導電性に優れたスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のスイッチの第1の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図2】本発明のスイッチの第2の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図3】本発明のスイッチの第3の実施形態における閉状態及び開状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図4】本発明のスイッチの第4の実施形態における閉状態及び開状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図5】本発明のスイッチの第5の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図6】実施例1で用いた感温磁性粒子、実施例2及び実施例3で用いた磁性粒子のXRDパターンである。
【図7】実施例1で用いた感温磁性粒子のTEM写真である。
【図8】実施例1で用いた感温磁性粒子、実施例2及び実施例3で用いた磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【図9】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕2時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図10】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕12時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図11】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕36時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図12】実施例4において、メカニカルアロイング法の各種粉砕時間経過後における感温磁性粒子のXDRパターンである。
【図13】実施例4で用いた感温磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【図14】実施例5及び実施例6で用いた磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の若干の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1(a)は、第1の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図1(b)は、第1の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。
【0012】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、収容体11と、収容体11の内部空間に離隔して配設された一対の固定端子12と、収容体11の内部空間に収容された可動端子13と、収容体11の外部側面に配設された磁界制御手段14とを備えている。
そして、可動端子13は、液体状の磁性接点材からなる液体状可動端子13aである。また、磁界制御手段14は、可動端子13の周囲の磁界を制御して、一対の固定端子12と可動端子13との接触状態を制御するものである。本実施形態においては、電磁石14aにより構成されている。
なお、固定端子12は、外部回路に接続されているものである。
【0013】
ここで、各構成について更に詳細に説明する。
【0014】
収容体11は、内部空間内に可動端子を収容することができれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、ガラス製の容器を適用しているが、例えば、プラスチック製の容器を適用することもできる。
なお、図示しないが、収容体の内部空間内には窒素、アルゴンなどの不活性ガスや、空気などを封入するようにしても良い。
また、収容体11は、図1〜5に示すように、通常は閉鎖された系を有するものが使用されるが、開口部を有した開放された系を有するものを使用することもできる。
【0015】
一対の固定端子12は、通常、電気回路で用いられている端子材料を適用したものを用いることができる。本実施形態においては、銅で作製した端子を適用しているが、例えば、金、銀、アルミニウム、合金類、及びこれらのメッキ被覆などで作製した端子を用いることもできる。
【0016】
可動端子13は、液体状の磁性接点材からなる液体状可動端子13aであれば、特に限定されるものではない。例えば、感温磁性粒子と、この感温磁性粒子が分散した分散媒とを含み、且つ液体状であるものを挙げることができる。
【0017】
感温磁性粒子及び分散媒の好適例としては、感温磁性粒子が、下記式(1)で表される組成を有する粒子にシリカ被膜を形成して成るものであり、分散媒が、液体ガリウムであるものである。
【0018】
FexNbyVzBw…(1)
(式中のxは0.1<x<0.9、yは0.01<y<0.1、zは0.01<z<0.1、wは0.01<w<0.5の関係を満足する。)
【0019】
ここで、xが0.1以下では磁化が低くなり、0.9以上では磁化の温度変化が低下する。また、yが0.01以下では保磁力が大きく、0.1以上では磁化が低下する。
更に、zが0.01以下では酸化力が大きく、0.1以上では磁化が低下する。更にまた、wが0.01以下では酸化力が大きく、0.5以上では磁化が低下する。
【0020】
上記感温磁性粒子は、フェライト系などの磁性粒子よりも、磁化の温度依存性や磁化の絶対値が大きく、感温磁性粒子として良好な特性を有している。
代表的には、常温における磁化が0.1〜0.6(T)程度であり、従来好適とされているNi−Ca−Zn系フェライトやMn−Ca−Zn系フェライトの2〜10倍程度である。
また、磁化の温度依存性についても、常温〜80℃の範囲内において、磁化の変化率は5〜10×10−4(T)程度であり、上記のNi−Ca−Zn系フェライトやMn−Ca−Zn系フェライトの5〜10倍程度である。
【0021】
上記感温磁性粒子は酸化物系の化合物ではなく、飽和磁化が大きく、磁化の温度変化が大きい点において、フェライト系やマグネタイト系の磁性粒子よりも有利である。
【0022】
また、上記感温磁性粒子を液体ガリウムに分散させる場合は、上記感温磁性粒子にシリカ被覆をしたものを好適を用いることができる。感温磁性粒子にシリカ被膜を施すことにより、液体ガリウムと感温磁性粒子との親和性(相溶性)を向上させることができる。
このようなシリカ被覆は、例えば、テトラアルキルオルトシリケート(TEOS)を用いるゾル−ゲル法などにより、施すことができる。
【0023】
分散媒として液体ガリウムを用いる場合は、例えば、液体金属の一例である水銀を用いる場合として比較して、低毒性の観点から好適である。
【0024】
また、このような感温磁性粒子と分散媒との組合せにおいては、感温磁性粒子の含有量を1.0質量%未満とすることにより、十分な流動性を有し、導電性に優れた液体状の磁性接点材、すなわち液体状可動端子13aとなる。
【0025】
一方、感温磁性粒子の含有量を1.0質量%以上とすること、好ましくは1.2質量%以上、5.0質量%以下とすることにより、室温297Kにおいて、導電性に優れた半固体状の磁性接点材となる。つまり、半固体状の磁性接点材からなる半固体状可動端子13bとなる(図2、図4、図5参照。)。
なお、金属ガリウム中に微細なシリカ粒子を更に1質量%添加すると液体ガリウムの融点(高純度では融点302.8K)は低下し、293Kでも長時間、金属ガリウムを液体状態に維持することができる。
【0026】
更に、上記感温磁性粒子の粒径(平均一次粒子径)は、意図する用途や機能に応じて適宜変更することができるが、詳しくは後述する湿式法では、代表的に4〜100nm程度、メカニカルアロイング法(乾式法)では、代表的に100〜10000nm程度である。
磁化の温度依存性に着目すれば、湿式法で得られる粒径範囲のものの方が良好な特性を示す傾向にある。
【0027】
なお、上記感温磁性粒子における構成成分の機能については、必ずしも明確とは言えないが、ニオブ(Nb)が磁化の温度依存性(感温性)を担っており、バナジウム(V)が耐酸化性を担っているものと推測される。
【0028】
磁界制御手段14は、可動端子の周囲の磁界を制御して、一対の固体端子と可動端子との接触状態を制御することができれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、収容体の外部側面に配置した電磁石を適用しているが、例えば、収容体の外部側面に沿って移動可能な永久磁石を適用することもできる。
【0029】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図1(a)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させていない(若しくは所定値以上通電させていない)と、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
一方、図1(b)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させる(若しくは所定値以上通電させる)と、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触してスイッチは閉状態となる。
【0030】
図2(a)は、第2の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図2(b)は、第2の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。また、第1の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、可動端子の構成と磁界制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。また、磁界制御手段14の一例である電磁石14aの配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。
なお、このような構成のスイッチも、第1の実施形態と同様に動作させることができる。
【0032】
図3(a)は、第3の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図、図3(b)は、第3の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図である。また、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、磁界制御手段の構成と温度制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、磁界制御手段14が電磁石14aではなく永久磁石14bとなっている。また、本実施形態においては、温度制御手段15を更に備えている。
【0034】
温度制御手段15は、可動端子の周囲(場合によっては、可動端子自体)の温度を制御して、一対の固定端子と可動端子との接触状態を制御することができるものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、収容体の外部側面に巻回させ配置した電熱コイルを適用している。
【0035】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図3(a)に示すように、温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させていないと、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触してスイッチは閉状態となる。
一方、図3(b)に示すように、温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電にさせると、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
つまり、液体状可動端子13aが、感温磁性粒子とこの感温磁性粒子が分散した分散媒とを含む感温磁性接点材である場合に、液体状可動端子13aの中心温度が高くなり感温磁性粒子のキュリー点付近に到達すると、磁化が低下して重力に抗しきれなくなり、落下する。これにより、スイッチは開状態になる。一方、液体状可動端子13aの中心温度が低くなり感温磁性粒子のキュリー点付近から離れると、磁化が回復して重力に抗して、上部へ移動する。これにより、スイッチは閉状態になる。
【0036】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0037】
図4(a)は、第4の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図、図4(b)は、第4の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図である。また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、可動端子の構成と磁界制御手段の構成と温度制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。また、本実施形態においては、磁界制御手段14の配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。更に、本実施形態においては、温度制御手段15を更に備えている。
【0039】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図4(a)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させ(若しくは所定値以上通電させ)、更に温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させていないと、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触して、スイッチは閉状態となる。
一方、図4(b)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させ(若しくは所定値以上通電させ)、更に温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させると、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
つまり、半固体状可動端子13bが、感温磁性粒子とこの感温磁性粒子が分散した分散媒とを含む感温磁性接点材である場合に、半固体状可動端子13bの中心温度が高くなり感温磁性粒子のキュリー点付近に到達すると、磁化が低下して重力に抗しきれなくなり、落下する。これにより、スイッチは開状態になる。一方、半固体状可動端子13bの中心温度が低くなり感温磁性粒子のキュリー点付近から離れると、磁化が回復して重力に抗して、上部へ移動する。これにより、スイッチは閉状態になる。
【0040】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0041】
図5(a)は、第5の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図5(b)は、第5の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。また、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図5(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、固定端子の構成と可動端子の構成と磁界制御手段の構成とせん断力制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、固定端子12は、固定端子12と可動端子13とが接触し易いように、収容体11の内部側面全体を覆うような形状・配置となっている。また、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。更に、本実施形態においては、磁界制御手段14の一例である電磁石14aの配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。更にまた、本実施形態においては、せん断応力制御手段16の一例である回転用モータを備えている。
【0043】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図5(a)に示すように、せん断力制御手段16の一例である回転モータを稼働させていないと、半固体状可動端子13bは収容体11の内部空間の一箇所に位置し、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となっている。
そして、図5(b)に示すように、せん断力制御手段16の一例である回転モータを稼働させると、図示しないプーリーなどの動力伝達部位を介して、収容体11が回転し、半固体状可動端子13bにせん断力が作用して、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とが接触してスイッチは閉状態となる。
また、収容体11の回転を止めると共に、電磁石14aに通電する(若しくは所定値以上通電させる)ことにより、半固体状可動端子13bが所定の位置に戻り、スイッチが再び開状態となる。
なお、スイッチを開状態から閉状態にするときは、電磁石14aに通電させないことが好ましい。
【0044】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0045】
次に、本発明において用いる感温磁性粒子の製造方法について説明する。
この感温磁性粒子の製造方法は、湿式法と乾式法(メカニカルアロイング)とに大別される。
【0046】
(湿式法)
湿式法においては、まず、(1)ハロゲン化ニオブ化合物の水溶液と、メタバナジウム酸塩化合物の酸性水溶液と、第一鉄塩化合物の水溶液を混合して、酸性混合水溶液を調製する。
次に、(2)この酸性混合水溶液にテトラヒドロホウ酸塩化合物の水溶液を添加して、アルカリ性混合水溶液を調製する。
そして、(3)得られたアルカリ性混合水溶液を攪拌して反応させ、生成した沈殿を濾過し、洗浄し、乾燥することにより、感温磁性粒子を得る。
【0047】
ここで、ハロゲン化ニオブ化合物としては、フッ化ニオブや塩化ニオブ等を挙げることができ、水に難溶な塩化ニオブはアルコールや塩酸を用いて溶解することができる。メタバナジウム酸塩化合物としては、メタバナジウム酸アンモニウム、メタバナジウム酸カリウム、メタバナジウム酸ナトリウム及びメタバナジウム酸リチウム等を挙げることができる。なお、これらの酸性水溶液としては、硫酸水溶液、塩酸水溶液及び硝酸塩水溶液等を例示できる。
第一鉄塩化合物としては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄及び硝酸第一鉄を挙げることができ、テトラヒドロホウ酸塩化合物としては、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素リチウム等を挙げることができる。
【0048】
また、工程(2)においては、テトラヒドロホウ酸塩化合物、例えば水素化ホウ素ナトリウム水溶液を短時間で一度に添加することが好ましく、具体的には、数秒〜数十秒で添加することが好ましい。
かかる添加手法を採用することにより、還元し易くなるという利点が得られ易くなる。
なお、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等のテトラヒドロホウ酸塩化合物の添加量は、化学量論比よりも多量とすることが好ましく、典型的には、Fe:Bが1:4程度(モル比)となるようにすることが好ましい。
かかる多量添加により、還元し易くなるという利点が得られ易くなる。
【0049】
各水溶液の具体的な配合量としては、ハロゲン化ニオブ化合物としてフッ化ニオブ(NbF5)、メタバナジウム酸塩化合物としてバナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、第一鉄塩化合物として塩化鉄(FeCl2・4H2O)、テトラヒドロホウ酸塩化合物として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いる場合、フッ化ニオブ(NbF5)と、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)と、塩化鉄(FeCl2・4H2O)と、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)とをモル基準で、NbF5:NH4VO3:FeCl2・4H2O:NaBH4=0.01〜0.1:0.01〜0.1:0.1〜0.9:0.01〜0.5の割合とすることができる。
【0050】
NbF5Oの配合量が上記の範囲を逸脱すると、保磁力が大きくなったり磁化が低下することがあり、NH4VO3の配合量が上記の範囲を逸脱すると、酸化し易くなったり磁化が低下することがあり、FeCl2・4H2Oの配合量が上記の範囲を逸脱すると、磁化が低下したり磁化の温度変化が低下することがある。また、NaBH4の配合量が上記の範囲を逸脱すると、酸化力が低下したり磁化が低下することがある。
【0051】
なお、工程(3)におけるアルカリ性混合水溶液の攪拌は、通常は常温で2〜3分間程度行えば十分である。
また、沈殿の洗浄は、水洗とアルコール(例えばエタノール)洗浄によって行うことができ、水洗後にエタノール洗浄を数回行えば十分である。なお、乾燥は常温で行うことができる。
この湿式法においては、液相で合成反応を実行するため、迅速に多量に合成でき、生成物の酸化にあまり注意を払う必要はなく、便利である。
【0052】
(メカニカルアロイング)
メカニカルアロイングによる上記感温磁性粒子の製造については、従来公知の手法を適用することができる。
具体的には、化学量論比に従って原料元素粉末を混合し、この混合粉末を不活性雰囲気(窒素ガスやArガスなど)下に例えば遊星ミルで長時間(120時間程度)粉砕混合することにより、上記感温磁性粒子を得ることができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
[感温磁性粒子の作製]
NbF5を3mmol含むフッ化ニオブ水溶液と、NH4VO3を4mmol含むバナジウム酸アンモニウムの硫酸酸性水溶液と、FeCl2・4H2Oを84mmol含む塩化鉄水溶液を混合し、酸性混合水溶液を得た。
次いで、この酸性混合水溶液に、NaBH4を336mmol含む水素化ホウ素ナトリウム水溶液を数秒程度で一度に添加し、アルカリ性混合水溶液を得た。
得られたアルカリ性混合水溶液を常温で約5分間攪拌して合成反応を行い、生成した沈殿を濾過し、水洗した後、更にエタノールで2〜3回洗浄し、常温で乾燥することにより、本例で用いる感温磁性粒子を得た。
【0055】
[化学分析]
本例で用いる感温磁性粒子を溶解させてICP法による元素分析に供し、得られた結果を表1に示す。本例で用いる感温磁性粒子は、Fe0.803Nb0.028V0.038B0.131の組成を有することが分かった。
また、本例で用いる感温磁性粒子のX線回折(XRD)パターンを図6に、透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図7に示す。ここで、図7(a)は合成したFeNbVB粒子を示しており、図7(b)は下記要領でシリカ被覆したFeNbVB粒子を示している。なお、この感温磁性粒子の粒径は10〜50nm程度であることが分かった。
【0056】
[磁性接点材の作製]
得られたFeNbVB合金粒子(感温磁性粒子)2gと、エタノール80mlと、CH3COONH4を4g含む酢酸アンモニウム水溶液20mlを混合し、更にテトラエチルオルソシリケート(TEOS)9mmolを添加し、50℃で約1時間攪拌した。
生成した沈殿を濾過し、エタノールで5回洗浄し、乾燥し、シリカ被覆を有するFeNbVB合金粒子を得た(図7(b)参照)。
このシリカ被覆付き合金粒子の平均一次粒子径は10〜50nm(最頻値は50nm)であり、シリカ被覆の厚みは5〜10nmであった。
得られたシリカ被覆付き合金粒子を液体ガリウムに対して1.5質量%の割合で添加し、30℃で攪拌・分散させ、本例で用いる磁性接点材を得た。
この磁性接点材は、粘度が30℃において1000mPa・sであり、比重ρは6.05であった。この磁性接点材は、半固体状(ゲル状)であり、通常のMR流体と異なり、磁界の印加による粘度上昇が少ない。
【0057】
[感温性の評価]
本例で用いる感温磁性粒子の感温性、即ち磁化の温度変化を測定し、得られた結果を図8に示す。なお、この測定に際し、印加磁場の磁束密度は0.9Tで一定に保持した。
図8から明らかなように、本例で用いる感温磁性粒子は、常温での磁化が大きく、また磁化の温度変化も大きく、優れた感温性を有していることが分かる。
【0058】
得られた磁性接点材を用いて、図4に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、温度制御を行わず、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
次に、温度制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0059】
(実施例2)
NbF5含量を0.3mmol、NH4VO3含量を6mmol、FeCl2・4H2O含量を72mmolとした以外は、実施例1の感温磁性粒子の作製と同様の操作を繰り返し、本例で用いる磁性粒子を得た。
実施例1と同様の化学分析(TEM分析を除く)及び感温性評価に供し、得られた結果を表1、図6及び図8に示す。
なお、本例で用いる磁性粒子の組成は、Fe0.716Nb0.003V0.062B0.219であった。
【0060】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し3.0質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図4に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、温度制御を行わず、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
次に、温度制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0061】
(実施例3)
NbF5含量を8mmol、NH4VO3含量を0.4mmol、FeCl2・4H2O含量を77mmolとした以外は、実施例1の感温磁性粒子の作製と同様の操作を繰り返し、本例で用いる磁性粒子を得た。
実施例1と同様の化学分析(TEM分析を除く)及び感温性評価に供し、得られた結果を表1、図6及び図8に示す。
なお、本例で用いる磁性粒子の組成は、Fe0.768Nb0.074V0.004B0.157であった。
【0062】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し0.5質量%の液体状の磁性接点材を得た。そして、電磁石ではなく永久磁石を使った図3に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、磁界制御によってスイッチの開閉を行い、その後に温度制御によりスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた液体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、永久磁石により可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0063】
【表1】
【0064】
(実施例4)
Fe粉末、Nb粉末、V粉末及びB粉末をモル組成で84Fe−3Nb−4V−9Bとなるように秤取し、得られた混合粉末を遊星ミルに投入し、Ar雰囲気下で粉砕を115時間行った。
なお、粉砕開始2時間、6時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間、96時間、115時間経過後に、サンプリングを行い、TEM分析をXRD分析を行った。
粉砕開始2時間経過後、12時間経過後及び36時間経過後のTEM写真を、それぞれ図9、図10及び図11に示す。また、各時間経過後のXRDパターンを図12に示す。
【0065】
[感温性の評価]
115時間経過後のサンプリングにより得られた感温磁性粒子を、実施例1と同様に評価し、得られた結果を図13に示した。但し、磁場の磁束密度は0.87Tとした。
本例で用いる感温磁性粒子は、常温における磁化が大きいことが分かる。また、Vが含有されており、耐酸化性に優れていることも分かる。
【0066】
得られた感温磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し1.5質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図2に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
【0067】
(実施例5)
塩化鉄(FeCl3・H2O)水溶液と、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2・H2O)水溶液と、塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液を、モル比でNi:Ca:Zn:Fe=0.3:0.1:0.6:2となるように混合した。
得られた混合水溶液に6M−NaOHを添加してpHを12.5に調整し、95℃で1時間攪拌を行い、合成反応を行った。
生成した沈殿を数回水洗し、永久磁石を用いて分別回収し、本例で用いる磁性粒子を得た。
【0068】
[分析及び感温性の評価]
本例で用いる磁性粒子の組成は、Ca0.1Ni0.3Zn0.6Fe2O4であった。
また、実施例1と同様の感温性評価を行い、得られた結果を表1及び図14に示した。
【0069】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し0.5質量%の液体状の磁性接点材を得た。そして、図1に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた液体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
【0070】
(実施例6)
塩化鉄(FeCl3・H2O)水溶液と、塩化マンガン(MnCl2・4H2O)水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2・H2O)水溶液と、塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液を、モル比でMn:Ca:Zn:Fe=0.3:0.1:0.6:2となるように混合した。
得られた混合水溶液に6M−NaOHを添加してpHを12.5に調整し、95℃で1時間攪拌を行い、合成反応を行った。
生成した沈殿を数回水洗し、永久磁石を用いて分別回収し、本例で用いる磁性粒子を得た。
【0071】
[分析及び感温性の評価]
本例で用いる磁性粒子の組成は、Ca0.1Mn0.3Zn0.6Fe2O4であった。
また、実施例1と同様の感温性評価を行い、得られた結果を表1及び図14に示した。
【0072】
図8、図13及び図14に示した結果から、湿式法で合成したFeNbVB合金粒子が常温付近での温度依存性による磁化の変化が最も大きいことが分かる。
【0073】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し3.0質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図5に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、磁界制御を行わず、回転モータによるせん断応力制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を回転モータに流すことにより、回転が生じて可動端子は楕円形状に変形し、一対の固定端子と接触し、スイッチが閉状態となった。
次に、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、電流を回転モータに流すのを止め、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて磁性接点材は引き寄せられ元の形に戻って一対の固定端子と接触しなくなり、スイッチが開状態となった。
【0074】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0075】
例えば、上述した各実施形態に記載した構成は、各実施形態毎に限定されるものではなく、例えば磁性制御手段や温度制御手段、せん断力制御手段などの構成の細部を変更したり、各実施形態の構成を上述した各実施形態以外の組み合わせにしたりすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 スイッチ
11 収容体
12 固定端子
13 可動端子
13a 液体状可動端子
13b 半固体状可動端子
14 磁界制御手段
14a 電磁石
14b 永久磁石
15 温度制御手段(電熱コイル)
16 せん断応力制御手段(回転モータ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関する。更に詳細には、本発明は、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する制御手段と備えたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管状体と、前記管状体内にその両端から挿入されかつ所定のギャップをもって封止された磁性体からなる一対の端子と、前記管状体内の前記一対の端子間に封入された磁性粉末とからなる磁界応動スイッチが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−120969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁界応動スイッチにおいては、(1)端子として磁性体を用いること、(2)主として磁性粉末を用いることを必須とするため、設計の自由度が低く、また、十分な導電性が得られていないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。
そして、その目的とするところは、設計の自由度が向上し、導電性に優れたスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。
そして、その結果、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する制御手段とを備えた構成とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のスイッチは、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該可動端子の周囲の磁界を制御して、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容体と、該収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、該収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、該一対の固定端子と該可動端子との接触状態を制御する制御手段とを備えた構成としたため、設計の自由度が向上し、導電性に優れたスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のスイッチの第1の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図2】本発明のスイッチの第2の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図3】本発明のスイッチの第3の実施形態における閉状態及び開状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図4】本発明のスイッチの第4の実施形態における閉状態及び開状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図5】本発明のスイッチの第5の実施形態における開状態及び閉状態を示す説明図(a)及び(b)である。
【図6】実施例1で用いた感温磁性粒子、実施例2及び実施例3で用いた磁性粒子のXRDパターンである。
【図7】実施例1で用いた感温磁性粒子のTEM写真である。
【図8】実施例1で用いた感温磁性粒子、実施例2及び実施例3で用いた磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【図9】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕2時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図10】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕12時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図11】実施例4において、メカニカルアロイング法の粉砕36時間経過後における感温磁性粒子のTEM写真である。
【図12】実施例4において、メカニカルアロイング法の各種粉砕時間経過後における感温磁性粒子のXDRパターンである。
【図13】実施例4で用いた感温磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【図14】実施例5及び実施例6で用いた磁性粒子の感温性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の若干の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1(a)は、第1の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図1(b)は、第1の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。
【0012】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、収容体11と、収容体11の内部空間に離隔して配設された一対の固定端子12と、収容体11の内部空間に収容された可動端子13と、収容体11の外部側面に配設された磁界制御手段14とを備えている。
そして、可動端子13は、液体状の磁性接点材からなる液体状可動端子13aである。また、磁界制御手段14は、可動端子13の周囲の磁界を制御して、一対の固定端子12と可動端子13との接触状態を制御するものである。本実施形態においては、電磁石14aにより構成されている。
なお、固定端子12は、外部回路に接続されているものである。
【0013】
ここで、各構成について更に詳細に説明する。
【0014】
収容体11は、内部空間内に可動端子を収容することができれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、ガラス製の容器を適用しているが、例えば、プラスチック製の容器を適用することもできる。
なお、図示しないが、収容体の内部空間内には窒素、アルゴンなどの不活性ガスや、空気などを封入するようにしても良い。
また、収容体11は、図1〜5に示すように、通常は閉鎖された系を有するものが使用されるが、開口部を有した開放された系を有するものを使用することもできる。
【0015】
一対の固定端子12は、通常、電気回路で用いられている端子材料を適用したものを用いることができる。本実施形態においては、銅で作製した端子を適用しているが、例えば、金、銀、アルミニウム、合金類、及びこれらのメッキ被覆などで作製した端子を用いることもできる。
【0016】
可動端子13は、液体状の磁性接点材からなる液体状可動端子13aであれば、特に限定されるものではない。例えば、感温磁性粒子と、この感温磁性粒子が分散した分散媒とを含み、且つ液体状であるものを挙げることができる。
【0017】
感温磁性粒子及び分散媒の好適例としては、感温磁性粒子が、下記式(1)で表される組成を有する粒子にシリカ被膜を形成して成るものであり、分散媒が、液体ガリウムであるものである。
【0018】
FexNbyVzBw…(1)
(式中のxは0.1<x<0.9、yは0.01<y<0.1、zは0.01<z<0.1、wは0.01<w<0.5の関係を満足する。)
【0019】
ここで、xが0.1以下では磁化が低くなり、0.9以上では磁化の温度変化が低下する。また、yが0.01以下では保磁力が大きく、0.1以上では磁化が低下する。
更に、zが0.01以下では酸化力が大きく、0.1以上では磁化が低下する。更にまた、wが0.01以下では酸化力が大きく、0.5以上では磁化が低下する。
【0020】
上記感温磁性粒子は、フェライト系などの磁性粒子よりも、磁化の温度依存性や磁化の絶対値が大きく、感温磁性粒子として良好な特性を有している。
代表的には、常温における磁化が0.1〜0.6(T)程度であり、従来好適とされているNi−Ca−Zn系フェライトやMn−Ca−Zn系フェライトの2〜10倍程度である。
また、磁化の温度依存性についても、常温〜80℃の範囲内において、磁化の変化率は5〜10×10−4(T)程度であり、上記のNi−Ca−Zn系フェライトやMn−Ca−Zn系フェライトの5〜10倍程度である。
【0021】
上記感温磁性粒子は酸化物系の化合物ではなく、飽和磁化が大きく、磁化の温度変化が大きい点において、フェライト系やマグネタイト系の磁性粒子よりも有利である。
【0022】
また、上記感温磁性粒子を液体ガリウムに分散させる場合は、上記感温磁性粒子にシリカ被覆をしたものを好適を用いることができる。感温磁性粒子にシリカ被膜を施すことにより、液体ガリウムと感温磁性粒子との親和性(相溶性)を向上させることができる。
このようなシリカ被覆は、例えば、テトラアルキルオルトシリケート(TEOS)を用いるゾル−ゲル法などにより、施すことができる。
【0023】
分散媒として液体ガリウムを用いる場合は、例えば、液体金属の一例である水銀を用いる場合として比較して、低毒性の観点から好適である。
【0024】
また、このような感温磁性粒子と分散媒との組合せにおいては、感温磁性粒子の含有量を1.0質量%未満とすることにより、十分な流動性を有し、導電性に優れた液体状の磁性接点材、すなわち液体状可動端子13aとなる。
【0025】
一方、感温磁性粒子の含有量を1.0質量%以上とすること、好ましくは1.2質量%以上、5.0質量%以下とすることにより、室温297Kにおいて、導電性に優れた半固体状の磁性接点材となる。つまり、半固体状の磁性接点材からなる半固体状可動端子13bとなる(図2、図4、図5参照。)。
なお、金属ガリウム中に微細なシリカ粒子を更に1質量%添加すると液体ガリウムの融点(高純度では融点302.8K)は低下し、293Kでも長時間、金属ガリウムを液体状態に維持することができる。
【0026】
更に、上記感温磁性粒子の粒径(平均一次粒子径)は、意図する用途や機能に応じて適宜変更することができるが、詳しくは後述する湿式法では、代表的に4〜100nm程度、メカニカルアロイング法(乾式法)では、代表的に100〜10000nm程度である。
磁化の温度依存性に着目すれば、湿式法で得られる粒径範囲のものの方が良好な特性を示す傾向にある。
【0027】
なお、上記感温磁性粒子における構成成分の機能については、必ずしも明確とは言えないが、ニオブ(Nb)が磁化の温度依存性(感温性)を担っており、バナジウム(V)が耐酸化性を担っているものと推測される。
【0028】
磁界制御手段14は、可動端子の周囲の磁界を制御して、一対の固体端子と可動端子との接触状態を制御することができれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、収容体の外部側面に配置した電磁石を適用しているが、例えば、収容体の外部側面に沿って移動可能な永久磁石を適用することもできる。
【0029】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図1(a)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させていない(若しくは所定値以上通電させていない)と、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
一方、図1(b)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させる(若しくは所定値以上通電させる)と、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触してスイッチは閉状態となる。
【0030】
図2(a)は、第2の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図2(b)は、第2の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。また、第1の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、可動端子の構成と磁界制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。また、磁界制御手段14の一例である電磁石14aの配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。
なお、このような構成のスイッチも、第1の実施形態と同様に動作させることができる。
【0032】
図3(a)は、第3の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図、図3(b)は、第3の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図である。また、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、磁界制御手段の構成と温度制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、磁界制御手段14が電磁石14aではなく永久磁石14bとなっている。また、本実施形態においては、温度制御手段15を更に備えている。
【0034】
温度制御手段15は、可動端子の周囲(場合によっては、可動端子自体)の温度を制御して、一対の固定端子と可動端子との接触状態を制御することができるものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態においては、収容体の外部側面に巻回させ配置した電熱コイルを適用している。
【0035】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図3(a)に示すように、温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させていないと、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触してスイッチは閉状態となる。
一方、図3(b)に示すように、温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電にさせると、液体状可動端子13aと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
つまり、液体状可動端子13aが、感温磁性粒子とこの感温磁性粒子が分散した分散媒とを含む感温磁性接点材である場合に、液体状可動端子13aの中心温度が高くなり感温磁性粒子のキュリー点付近に到達すると、磁化が低下して重力に抗しきれなくなり、落下する。これにより、スイッチは開状態になる。一方、液体状可動端子13aの中心温度が低くなり感温磁性粒子のキュリー点付近から離れると、磁化が回復して重力に抗して、上部へ移動する。これにより、スイッチは閉状態になる。
【0036】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0037】
図4(a)は、第4の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図、図4(b)は、第4の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図である。また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、可動端子の構成と磁界制御手段の構成と温度制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。また、本実施形態においては、磁界制御手段14の配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。更に、本実施形態においては、温度制御手段15を更に備えている。
【0039】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図4(a)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させ(若しくは所定値以上通電させ)、更に温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させていないと、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触して、スイッチは閉状態となる。
一方、図4(b)に示すように、磁界制御手段14の一例である電磁石14aに通電させ(若しくは所定値以上通電させ)、更に温度制御手段15の一例である電熱コイルに通電させると、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となる。
つまり、半固体状可動端子13bが、感温磁性粒子とこの感温磁性粒子が分散した分散媒とを含む感温磁性接点材である場合に、半固体状可動端子13bの中心温度が高くなり感温磁性粒子のキュリー点付近に到達すると、磁化が低下して重力に抗しきれなくなり、落下する。これにより、スイッチは開状態になる。一方、半固体状可動端子13bの中心温度が低くなり感温磁性粒子のキュリー点付近から離れると、磁化が回復して重力に抗して、上部へ移動する。これにより、スイッチは閉状態になる。
【0040】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0041】
図5(a)は、第5の実施形態に係るスイッチの開状態を示す説明図、図5(b)は、第5の実施形態に係るスイッチの閉状態を示す説明図である。また、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図5(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るスイッチ1は、固定端子の構成と可動端子の構成と磁界制御手段の構成とせん断力制御手段の構成が、上述した第1の実施形態に係るスイッチと相違している。
すなわち、本実施形態においては、固定端子12は、固定端子12と可動端子13とが接触し易いように、収容体11の内部側面全体を覆うような形状・配置となっている。また、可動端子13が液体状可動端子13aではなく、半固体状可動端子13bである。更に、本実施形態においては、磁界制御手段14の一例である電磁石14aの配置位置が、収容体11の外部側面ではなく外部頂面となっている。更にまた、本実施形態においては、せん断応力制御手段16の一例である回転用モータを備えている。
【0043】
このような構成のスイッチは、具体的には以下のように動作させることができる。
図5(a)に示すように、せん断力制御手段16の一例である回転モータを稼働させていないと、半固体状可動端子13bは収容体11の内部空間の一箇所に位置し、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とは接触せずにスイッチは開状態となっている。
そして、図5(b)に示すように、せん断力制御手段16の一例である回転モータを稼働させると、図示しないプーリーなどの動力伝達部位を介して、収容体11が回転し、半固体状可動端子13bにせん断力が作用して、半固体状可動端子13bと一対の固定端子12とが接触してスイッチは閉状態となる。
また、収容体11の回転を止めると共に、電磁石14aに通電する(若しくは所定値以上通電させる)ことにより、半固体状可動端子13bが所定の位置に戻り、スイッチが再び開状態となる。
なお、スイッチを開状態から閉状態にするときは、電磁石14aに通電させないことが好ましい。
【0044】
このような構成のスイッチは、第1の実施形態のスイッチと同様の作用効果を得ることができるものである。
【0045】
次に、本発明において用いる感温磁性粒子の製造方法について説明する。
この感温磁性粒子の製造方法は、湿式法と乾式法(メカニカルアロイング)とに大別される。
【0046】
(湿式法)
湿式法においては、まず、(1)ハロゲン化ニオブ化合物の水溶液と、メタバナジウム酸塩化合物の酸性水溶液と、第一鉄塩化合物の水溶液を混合して、酸性混合水溶液を調製する。
次に、(2)この酸性混合水溶液にテトラヒドロホウ酸塩化合物の水溶液を添加して、アルカリ性混合水溶液を調製する。
そして、(3)得られたアルカリ性混合水溶液を攪拌して反応させ、生成した沈殿を濾過し、洗浄し、乾燥することにより、感温磁性粒子を得る。
【0047】
ここで、ハロゲン化ニオブ化合物としては、フッ化ニオブや塩化ニオブ等を挙げることができ、水に難溶な塩化ニオブはアルコールや塩酸を用いて溶解することができる。メタバナジウム酸塩化合物としては、メタバナジウム酸アンモニウム、メタバナジウム酸カリウム、メタバナジウム酸ナトリウム及びメタバナジウム酸リチウム等を挙げることができる。なお、これらの酸性水溶液としては、硫酸水溶液、塩酸水溶液及び硝酸塩水溶液等を例示できる。
第一鉄塩化合物としては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄及び硝酸第一鉄を挙げることができ、テトラヒドロホウ酸塩化合物としては、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素リチウム等を挙げることができる。
【0048】
また、工程(2)においては、テトラヒドロホウ酸塩化合物、例えば水素化ホウ素ナトリウム水溶液を短時間で一度に添加することが好ましく、具体的には、数秒〜数十秒で添加することが好ましい。
かかる添加手法を採用することにより、還元し易くなるという利点が得られ易くなる。
なお、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等のテトラヒドロホウ酸塩化合物の添加量は、化学量論比よりも多量とすることが好ましく、典型的には、Fe:Bが1:4程度(モル比)となるようにすることが好ましい。
かかる多量添加により、還元し易くなるという利点が得られ易くなる。
【0049】
各水溶液の具体的な配合量としては、ハロゲン化ニオブ化合物としてフッ化ニオブ(NbF5)、メタバナジウム酸塩化合物としてバナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、第一鉄塩化合物として塩化鉄(FeCl2・4H2O)、テトラヒドロホウ酸塩化合物として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いる場合、フッ化ニオブ(NbF5)と、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)と、塩化鉄(FeCl2・4H2O)と、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)とをモル基準で、NbF5:NH4VO3:FeCl2・4H2O:NaBH4=0.01〜0.1:0.01〜0.1:0.1〜0.9:0.01〜0.5の割合とすることができる。
【0050】
NbF5Oの配合量が上記の範囲を逸脱すると、保磁力が大きくなったり磁化が低下することがあり、NH4VO3の配合量が上記の範囲を逸脱すると、酸化し易くなったり磁化が低下することがあり、FeCl2・4H2Oの配合量が上記の範囲を逸脱すると、磁化が低下したり磁化の温度変化が低下することがある。また、NaBH4の配合量が上記の範囲を逸脱すると、酸化力が低下したり磁化が低下することがある。
【0051】
なお、工程(3)におけるアルカリ性混合水溶液の攪拌は、通常は常温で2〜3分間程度行えば十分である。
また、沈殿の洗浄は、水洗とアルコール(例えばエタノール)洗浄によって行うことができ、水洗後にエタノール洗浄を数回行えば十分である。なお、乾燥は常温で行うことができる。
この湿式法においては、液相で合成反応を実行するため、迅速に多量に合成でき、生成物の酸化にあまり注意を払う必要はなく、便利である。
【0052】
(メカニカルアロイング)
メカニカルアロイングによる上記感温磁性粒子の製造については、従来公知の手法を適用することができる。
具体的には、化学量論比に従って原料元素粉末を混合し、この混合粉末を不活性雰囲気(窒素ガスやArガスなど)下に例えば遊星ミルで長時間(120時間程度)粉砕混合することにより、上記感温磁性粒子を得ることができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
[感温磁性粒子の作製]
NbF5を3mmol含むフッ化ニオブ水溶液と、NH4VO3を4mmol含むバナジウム酸アンモニウムの硫酸酸性水溶液と、FeCl2・4H2Oを84mmol含む塩化鉄水溶液を混合し、酸性混合水溶液を得た。
次いで、この酸性混合水溶液に、NaBH4を336mmol含む水素化ホウ素ナトリウム水溶液を数秒程度で一度に添加し、アルカリ性混合水溶液を得た。
得られたアルカリ性混合水溶液を常温で約5分間攪拌して合成反応を行い、生成した沈殿を濾過し、水洗した後、更にエタノールで2〜3回洗浄し、常温で乾燥することにより、本例で用いる感温磁性粒子を得た。
【0055】
[化学分析]
本例で用いる感温磁性粒子を溶解させてICP法による元素分析に供し、得られた結果を表1に示す。本例で用いる感温磁性粒子は、Fe0.803Nb0.028V0.038B0.131の組成を有することが分かった。
また、本例で用いる感温磁性粒子のX線回折(XRD)パターンを図6に、透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図7に示す。ここで、図7(a)は合成したFeNbVB粒子を示しており、図7(b)は下記要領でシリカ被覆したFeNbVB粒子を示している。なお、この感温磁性粒子の粒径は10〜50nm程度であることが分かった。
【0056】
[磁性接点材の作製]
得られたFeNbVB合金粒子(感温磁性粒子)2gと、エタノール80mlと、CH3COONH4を4g含む酢酸アンモニウム水溶液20mlを混合し、更にテトラエチルオルソシリケート(TEOS)9mmolを添加し、50℃で約1時間攪拌した。
生成した沈殿を濾過し、エタノールで5回洗浄し、乾燥し、シリカ被覆を有するFeNbVB合金粒子を得た(図7(b)参照)。
このシリカ被覆付き合金粒子の平均一次粒子径は10〜50nm(最頻値は50nm)であり、シリカ被覆の厚みは5〜10nmであった。
得られたシリカ被覆付き合金粒子を液体ガリウムに対して1.5質量%の割合で添加し、30℃で攪拌・分散させ、本例で用いる磁性接点材を得た。
この磁性接点材は、粘度が30℃において1000mPa・sであり、比重ρは6.05であった。この磁性接点材は、半固体状(ゲル状)であり、通常のMR流体と異なり、磁界の印加による粘度上昇が少ない。
【0057】
[感温性の評価]
本例で用いる感温磁性粒子の感温性、即ち磁化の温度変化を測定し、得られた結果を図8に示す。なお、この測定に際し、印加磁場の磁束密度は0.9Tで一定に保持した。
図8から明らかなように、本例で用いる感温磁性粒子は、常温での磁化が大きく、また磁化の温度変化も大きく、優れた感温性を有していることが分かる。
【0058】
得られた磁性接点材を用いて、図4に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、温度制御を行わず、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
次に、温度制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0059】
(実施例2)
NbF5含量を0.3mmol、NH4VO3含量を6mmol、FeCl2・4H2O含量を72mmolとした以外は、実施例1の感温磁性粒子の作製と同様の操作を繰り返し、本例で用いる磁性粒子を得た。
実施例1と同様の化学分析(TEM分析を除く)及び感温性評価に供し、得られた結果を表1、図6及び図8に示す。
なお、本例で用いる磁性粒子の組成は、Fe0.716Nb0.003V0.062B0.219であった。
【0060】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し3.0質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図4に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、温度制御を行わず、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
次に、温度制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0061】
(実施例3)
NbF5含量を8mmol、NH4VO3含量を0.4mmol、FeCl2・4H2O含量を77mmolとした以外は、実施例1の感温磁性粒子の作製と同様の操作を繰り返し、本例で用いる磁性粒子を得た。
実施例1と同様の化学分析(TEM分析を除く)及び感温性評価に供し、得られた結果を表1、図6及び図8に示す。
なお、本例で用いる磁性粒子の組成は、Fe0.768Nb0.074V0.004B0.157であった。
【0062】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し0.5質量%の液体状の磁性接点材を得た。そして、電磁石ではなく永久磁石を使った図3に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、磁界制御によってスイッチの開閉を行い、その後に温度制御によりスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた液体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、永久磁石により可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。次いで、電熱コイルに通電して、可動端子の温度がキュリー点に近づくと可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。また、電熱コイルへの通電を中止し、可動端子の温度がキュリー点付近から下がり離れていくと可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となった。
【0063】
【表1】
【0064】
(実施例4)
Fe粉末、Nb粉末、V粉末及びB粉末をモル組成で84Fe−3Nb−4V−9Bとなるように秤取し、得られた混合粉末を遊星ミルに投入し、Ar雰囲気下で粉砕を115時間行った。
なお、粉砕開始2時間、6時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間、96時間、115時間経過後に、サンプリングを行い、TEM分析をXRD分析を行った。
粉砕開始2時間経過後、12時間経過後及び36時間経過後のTEM写真を、それぞれ図9、図10及び図11に示す。また、各時間経過後のXRDパターンを図12に示す。
【0065】
[感温性の評価]
115時間経過後のサンプリングにより得られた感温磁性粒子を、実施例1と同様に評価し、得られた結果を図13に示した。但し、磁場の磁束密度は0.87Tとした。
本例で用いる感温磁性粒子は、常温における磁化が大きいことが分かる。また、Vが含有されており、耐酸化性に優れていることも分かる。
【0066】
得られた感温磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し1.5質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図2に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
【0067】
(実施例5)
塩化鉄(FeCl3・H2O)水溶液と、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2・H2O)水溶液と、塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液を、モル比でNi:Ca:Zn:Fe=0.3:0.1:0.6:2となるように混合した。
得られた混合水溶液に6M−NaOHを添加してpHを12.5に調整し、95℃で1時間攪拌を行い、合成反応を行った。
生成した沈殿を数回水洗し、永久磁石を用いて分別回収し、本例で用いる磁性粒子を得た。
【0068】
[分析及び感温性の評価]
本例で用いる磁性粒子の組成は、Ca0.1Ni0.3Zn0.6Fe2O4であった。
また、実施例1と同様の感温性評価を行い、得られた結果を表1及び図14に示した。
【0069】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し0.5質量%の液体状の磁性接点材を得た。そして、図1に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた液体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて可動端子は上部へ移動し、スイッチが閉状態となり、電流を電磁石に流すのを止めると、磁束密度がなくなり可動端子は下部へ落下し、スイッチが開状態となった。
【0070】
(実施例6)
塩化鉄(FeCl3・H2O)水溶液と、塩化マンガン(MnCl2・4H2O)水溶液と、塩化カルシウム(CaCl2・H2O)水溶液と、塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液を、モル比でMn:Ca:Zn:Fe=0.3:0.1:0.6:2となるように混合した。
得られた混合水溶液に6M−NaOHを添加してpHを12.5に調整し、95℃で1時間攪拌を行い、合成反応を行った。
生成した沈殿を数回水洗し、永久磁石を用いて分別回収し、本例で用いる磁性粒子を得た。
【0071】
[分析及び感温性の評価]
本例で用いる磁性粒子の組成は、Ca0.1Mn0.3Zn0.6Fe2O4であった。
また、実施例1と同様の感温性評価を行い、得られた結果を表1及び図14に示した。
【0072】
図8、図13及び図14に示した結果から、湿式法で合成したFeNbVB合金粒子が常温付近での温度依存性による磁化の変化が最も大きいことが分かる。
【0073】
得られた磁性粒子を用いて、実施例1と同様な方法で、液体ガリウムに対し3.0質量%の半固体状の磁性接点材を得た。そして、図5に示すようなスイッチを構築して、スイッチの開閉を行った。
まず、磁界制御を行わず、回転モータによるせん断応力制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、得られた半固体状の磁性接点材からなる可動端子を用いたスイッチは、電流を回転モータに流すことにより、回転が生じて可動端子は楕円形状に変形し、一対の固定端子と接触し、スイッチが閉状態となった。
次に、磁界制御によってスイッチの開閉を行った。
その結果、電流を回転モータに流すのを止め、電流を電磁石に流すことにより、磁束密度が生じて磁性接点材は引き寄せられ元の形に戻って一対の固定端子と接触しなくなり、スイッチが開状態となった。
【0074】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0075】
例えば、上述した各実施形態に記載した構成は、各実施形態毎に限定されるものではなく、例えば磁性制御手段や温度制御手段、せん断力制御手段などの構成の細部を変更したり、各実施形態の構成を上述した各実施形態以外の組み合わせにしたりすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 スイッチ
11 収容体
12 固定端子
13 可動端子
13a 液体状可動端子
13b 半固体状可動端子
14 磁界制御手段
14a 電磁石
14b 永久磁石
15 温度制御手段(電熱コイル)
16 せん断応力制御手段(回転モータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体と、
上記収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、
上記収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、
上記可動端子の周囲の磁界を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
上記磁性接点材が、磁性粒子と、この磁性粒子が分散した分散媒とを含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
上記磁性粒子が、シリカ被膜を形成して成り、
上記分散媒が、液体ガリウムであることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
上記可動端子の周囲の温度を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する温度制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項5】
上記磁性粒子が、次式(1)
FexNbyVzBw…(1)
(式中のxは0.1<x<0.9、yは0.01<y<0.1、zは0.01<z<0.1、wは0.01<w<0.5の関係を満足する。)で表される組成を有する感温磁性粒子である、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項6】
上記磁性粒子の平均一次粒子径が4〜100nmであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項7】
収容体と、
上記収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、
上記収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、
上記可動端子の周囲の磁界を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段と、
上記可動端子に加わるせん断力を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御するせん断力制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチ。
【請求項1】
収容体と、
上記収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、
上記収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、
上記可動端子の周囲の磁界を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
上記磁性接点材が、磁性粒子と、この磁性粒子が分散した分散媒とを含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
上記磁性粒子が、シリカ被膜を形成して成り、
上記分散媒が、液体ガリウムであることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
上記可動端子の周囲の温度を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する温度制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項5】
上記磁性粒子が、次式(1)
FexNbyVzBw…(1)
(式中のxは0.1<x<0.9、yは0.01<y<0.1、zは0.01<z<0.1、wは0.01<w<0.5の関係を満足する。)で表される組成を有する感温磁性粒子である、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項6】
上記磁性粒子の平均一次粒子径が4〜100nmであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つの項に記載のスイッチ。
【請求項7】
収容体と、
上記収容体の内部空間に離隔して配設され、外部回路に接続される一対の固定端子と、
上記収容体の内部空間に収容され、液体状又は半固体状の磁性接点材からなる可動端子と、
上記可動端子の周囲の磁界を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御する磁界制御手段と、
上記可動端子に加わるせん断力を制御して、上記一対の固定端子と上記可動端子との接触状態を制御するせん断力制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−175773(P2011−175773A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37540(P2010−37540)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000108546)株式会社タイホーコーザイ (28)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000108546)株式会社タイホーコーザイ (28)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
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