スイング分析方法
【課題】簡易な装置によってスイングを分類しうるスイング分析方法の提供。
【解決手段】本発明の分析方法は、3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含む。上記指標が、以下の(a)または(b)を含んでいる。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
好ましくは、上記分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。
【解決手段】本発明の分析方法は、3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含む。上記指標が、以下の(a)または(b)を含んでいる。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
好ましくは、上記分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフスイングの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフスイングは、ゴルファーごとに異なる。また、ゴルフクラブは、スイングに影響を与える。ゴルファーとゴルフクラブとのマッチングは重要である。スイングとゴルフボールとのマッチングは重要である。適切なスイング分析は、正確なフィッティングを可能とする。
【0003】
スイング分析は、ゴルフクラブやゴルフボール等の開発に不可欠である。スイング分析の結果は、ゴルフクラブやゴルフボールの選択の基準となりうる。スイング分析は、ゴルフクラブやゴルフボール等の販売促進に役立つ。
【0004】
特開2006−230466号公報は、磁気センサを用いた計測によりスイングが評価されている。特開2009−18043号公報では、画像を用いてスイングが評価されている。特許第4145618号公報では、ひずみゲージを用いた計測に基づいてシャフトが選定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−230466号公報
【特許文献2】特開2009−18043号公報
【特許文献3】特許第4145618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献の計測装置は、大型且つ複雑である。このような計測装置は、店頭でフィッティングを行うためのハードウェアには適さない。モーションキャプチャシステムも実用化されているが、高価である。一方、複雑な動作であるスイングを適切に分類できれば、フィッティングが容易且つ正確となる。
【0007】
本発明の目的は、簡易な装置によってスイングを分類しうるスイング分析方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスイング分析方法は、3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含む。上記指標が、以下の(a)または(b)を含む。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【0009】
好ましくは、上記分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。
【0010】
好ましくは、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度。
【0011】
他の好ましい態様は、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(f)ヘッドの動的ロフト角。
【0012】
他の好ましい態様は、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(g)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度。
【0013】
本発明にかかるフィッティング方法は、上述のいずれかに記載のスイング分析方法を用いたゴルフクラブのフィッティング方法である。このフィッティング方法では、上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められている。
【発明の効果】
【0014】
このスイング分析方法では、スイング分類が簡易な装置によってなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係るスイング計測の一例を示す図である。
【図2】図2は、センサが取り付けられたゴルフクラブの拡大斜視図である。
【図3】図3(a)はセンサの平面図であり、図3(b)はセンサの側面図である。
【図4】図4は、スイングの様子を示す図である。アドレス及びテークバックが示されている。
【図5】図5は、スイングの様子を示す図である。トップ及びダウンスイングが示されている。
【図6】図6は、スイングの様子を示す図である。ダウンスイング及びインパクトが示されている。
【図7】図7は、スイングの様子を示す図である。フォロースルー及びフィニッシュが示されている。
【図8】図8は、スイング分類するステップの一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、スイング分類するステップの他の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、姿勢行列の一例である。
【図11】図11は、オイラー変換行列を示す。
【図12】図12は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示すグラフである。
【図13】図13は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示す他のグラフである。
【図14】図14は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示す他のグラフである。
【図15】図15は、回転行列の一例を示す。
【図16】図16は、回転行列の他の一例を示す。
【図17】図17は、センサによる測定値の一例を示すグラフである。
【図18】図18は、アドレス時刻の決定方法の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、グリップ角度αを示す。
【図20】図20は、グリップ角度βを示す。
【図21】図21は、グリップ角度γを示す。
【図22】図22は、スイング分類するステップの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。本実施形態では、スイング分析システム2が用いられる。
【0018】
スイング分析システム2は、センサ4と、コンピュータに内蔵された無線受信装置6と、データ解析装置8とを備えている。図1では、センサ4がゴルファーg1の腕によって隠されている。
【0019】
図2は、ゴルフクラブc1のグリップエンドに取り付けられたセンサ4を示す斜視図である。図3(a)は、センサ4の平面図である。図3(b)は、センサ4の正面図である。センサ4は、グリップ7の後端に取り付けられている。センサ4は、アダプター9を介して、グリップ7に取り付けられている。センサ4の取り付けは、両面テープ、接着剤、ねじ止め等によって容易になされうる。センサ4は、小型且つ軽量である。
【0020】
センサ4は、無線式である。センサ4は、無線により、測定データを発信しうる。この無線通信の詳細については後述される。無線通信として、例えばBluetooth(ブルートゥース)の規格及び技術が好適に用いられ得る。
【0021】
センサ4は、3軸方向(x1軸、y1軸及びz1軸)のそれぞれの加速度を測定できる加速度センサーを内蔵している。またセンサ4は、3軸方向(x1軸、y1軸及びz1軸)周りの角速度を計測できる角速度センサを内蔵している。更にセンサ4は、A/D変換器、CPU、無線インターフェース、無線アンテナ及び電源を備えている。電源として、電池が用いられている。電池は、例えばリチウムイオン電池等の小型電池が好適に用いられる。いわゆるボタン型電池が好適に用いられ得る。電池は、充電可能なものであってもよい。センサ4は、電池を充電するための充電回路を備えていてもよい。センサ4の一例として、ワイヤレステクノロジー社製の商品名「WAA−010」が挙げられる。
【0022】
なお、上記角速度センサに代えて、角度センサが用いられてもよい。即ち、3軸回りの角度を計測可能なセンサが用いられても良い。
【0023】
図示しないが、無線受信装置6は、無線アンテナ、無線インターフェース、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
【0024】
データ解析装置8として、例えば、コンピュータが用いられる。データ解析装置8は、入力部12及び表示部14を備えている。図示しないが、データ解析装置8は、ハードディスク、メモリ、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。入力部12は、キーボード16とマウス18とを備えている。
【0025】
図1には、スイング分析システム2の他、ゴルファーg1と、ゴルフクラブc1と、ゴルフボールb1とが示されている。図1に描かれたゴルファーg1は、アドレス状態である。ゴルファーg1は、右利きである。
【0026】
センサ4は、x1軸、y1軸及びz1軸のそれぞれの方向の加速度を検知する。図2が示すように、x1軸、y1軸及びz1軸は、3軸直交座標系を構成している。これらの加速度は、アナログ信号として得られる。このアナログ信号は、A/D変換器によって、デジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力は、例えばCPUに伝達されて1次フィルタリング等の演算処理が実行される。このようにセンサ4内で処理されたデータは、無線インタフェースを介して、無線アンテナから送信される。
【0027】
センサ4は、x1軸、y1軸及びz1軸の各軸周りの角速度を検知する。これらの角速度は、アナログ信号として得られる。このアナログ信号は、A/D変換器によって、デジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力は、例えばCPUに伝達されて1次フィルタリング等の演算処理が実行される。このようにセンサ4内で処理されたデータは、無線インタフェースを介して、無線アンテナから送信される。
【0028】
センサ4の無線アンテナから送信されたデータは、無線受信装置6側の無線アンテナを介して、無線インタフェースによって受信される。この受信されたデータは、例えばCPUで演算処理され、データ解析装置8に送られる。
【0029】
データ解析装置8に送られたデータは、ハードディスク等のメモリ資源に記録される。ハードディスクは、データ処理等に必要なプログラム及びデータ等を記憶している。このプログラムは、CPUに、必要なデータ処理を実行させる。CPUは、各種の演算処理を実行しうる。演算処理の例については、後述される。演算結果は、表示部14または図示しない印刷装置等によって出力される。
【0030】
センサ4の取り付けにおいては、計測軸とゴルフクラブとの関係が考慮される。本実施形態では、センサ4のz1軸が、ゴルフクラブc1のシャフト軸Zsに一致している。センサ4のx1軸は、ヘッドのトウ−ヒール方向にできるだけ沿うように配向される。センサ4のy1軸は、フェース面の法線方向にできるだけ沿うように配向される。このようにセンサ4を取り付けることで、演算が簡略化される。
【0031】
[全体座標系と局座標系]
本願では、全体座標系及び局座標系が考慮される。説明の便宜のため、全体座標系の各軸を、大文字のX軸、Y軸及びZ軸で表すこととし、局座標系の各軸を、小文字のx軸、y軸及びz軸で表すこととする。
【0032】
全体座標系のX軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系である。解析を容易とするため、本実施形態では、Z軸が鉛直方向とされ、X軸がゴルファーg1の前後方向とされる。Y軸は目標方向とされる。より詳細には、Y軸は、打球地点と目標地点とを結び且つ地面と平行な方向とされる。
【0033】
局座標系のx軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系である。解析を容易とするため、本実施形態では、z軸が上記シャフト軸Zsとされる。x軸は、ヘッドのトウ−ヒール方向にできるだけ沿うように設定される。y軸は、フェース面の法線方向にできるだけ沿うように設定される。
【0034】
局座標系のz軸は、センサ4のz1軸に一致している。局座標系のy軸は、センサ4のy1軸に一致している。局座標系のx軸は、センサ4のx1軸に一致している。この設定により、下記の6つのデータが、測定値として直接得られる。
【0035】
センサ4の測定値として直接得られるデータは、次の6つである。
・x軸回りの角速度ωx(グリップ角速度ωx)
・y軸回りの角速度ωy(グリップ角速度ωy)
・z軸回りの角速度ωz(グリップ角速度ωz)
・x軸方向の加速度Ax
・y軸回りの加速度Ay
・z軸回りの加速度Az
【0036】
センサ4により、時系列的に連続した複数のデータが得られる。単位時間当たりのデータ数は、サンプリング周波数に依存する。
【0037】
アドレス状態のゴルファーg1においては、全体座標系のY軸と、局座標系のy軸とは、ほぼ平行である。全体座標系に対する局座標系の向きは、スイング中、時々刻々と変化する。局座標系の向きは、ゴルフクラブc1の動きに連動して変化する。
【0038】
図4から図7は、スイングを説明するための図である。図4から図7は、ゴルファーg1の正面(前側)から見た図である。スイングの始まりは、アドレスである。スイングの終わりは、フィニッシュと称される。スイングは、(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、(S5)、(S6)、(S7)、(S8)の順で進行する。(S1)及び(S2)が、図4に示されている。(S3)及び(S4)が、図5に示されている。(S5)及び(S6)が、図6に示されている。(S7)及び(S8)が、図7に示されている。図4の(S1)は、アドレスである。図4の(S2)は、テークバックである。図5の(S3)は、トップ(トップオブスイング)である。通常、トップオブスイングでは、スイング中におけるヘッドの移動速度が最小である。図5の(S4)は、ダウンスイングである。図6の(S5)も、ダウンスイングである。(S5)は、(S4)よりもダウンスイングが進行した状態である。図6の(S6)は、インパクトである。インパクトは、ゴルフクラブc1のヘッドとゴルフボールb1とが衝突した瞬間である。図7の(S7)は、フォロースルーである。図7の(S8)は、フィニッシュである。フィニッシュで、スイングは終了する。
【0039】
スイング分析システム2を用いるための準備として、スイング分類のための指標を探索するステップがなされた。この指標の探索では、モーションキャプチャシステムが用いられた。この指標の探索では、20名のゴルファーのスイングが分析され、43種類のスイング特徴が定量化された。また別途、これら20名のゴルファーのそれぞれに5本のクラブを試打させ、飛距離、打球の曲がりにくさ及び振りやすさに関する評価データを取得した。そして、上記43種類のスイング特徴と上記評価データとに基づき、統計的な解析がなされた。この統計的な解析では、判別分析と称される手法が用いられた。この結果、上記43種類のスイング特徴のうちのいくつかが、スイング分類の指標として有効であることが判明した。特に、以下の3つの指標は、統計的にみて70%以上のゴルファーに有効であるという知見を得た。
(指標1):ダウンスイング中における、トウダウン方向の角速度
(指標2):ダウンスイング中における、シャフト軸Zs回りの角速度
(指標3):インパクト近傍(好ましくはインパクト時)における、ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度
【0040】
指標1の角速度は、上記y軸回りの角速度に対応する。よってこの角速度が、本願においてωyと表記される。指標2の角速度は、上記z軸回りの角速度に対応する。よってこの角速度が、本願においてωzと表記される。
【0041】
これらの有効な指標を簡便に計測するためのシステムが検討され、上記スイング分析システム2を得た。このスイング分析方法では、センサ4からのデータのみで、スイング分析が可能である。
【0042】
スイング分析システム2を用いたスイング分析方法は、次のステップst1からst3を含む。
・3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度を計測可能なセンサ4が取り付けられたゴルフクラブc1がスイングされるステップst1
・上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップst2
・上記指標に基づいてスイング分類するステップst3
【0043】
上記指標は、以下の(a)または(b)を含む。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【0044】
ダウンスイング中とは、アドレスからインパクトまでの間の時間である。
【0045】
このましくは、このスイング分析方法では、上記センサの計測結果に基づいて、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。これらの時刻が把握されることで、データを取得すべき時刻が容易に把握されうる。
【0046】
好ましくは、上記指標は、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む。より好ましくは、以下の(c)、(d)及び(e)の全てを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度ωy
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度ωz
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度Vx
【0047】
上記(c)は、少なくとも1時刻における値である。スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(c)は平均値とされる。平均値は、時刻t1からt2までの間での計測値を平均することで得られる。時刻t1及びt2は、ダウンスイング中の時刻である。時刻t1がトップとされ、時刻t2がインパクトとされてもよい。
【0048】
上記(d)は、少なくとも1時刻における値である。スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(d)は平均値とされる。平均値は、時刻t1からt2までの間での計測値を平均することで得られる。時刻t1及びt2は、ダウンスイング中の時刻である。時刻t1がトップとされ、時刻t2がインパクトとされてもよい。
【0049】
スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(e)は、インパクト近傍における値である。インパクト近傍とは、インパクトの0.01秒前からインパクトまでを意味する。より好ましくは、上記(e)は、インパクト時における値である。
【0050】
ゴルファー方向のグリップ速度Vxとは、x軸方向の速度である。このグリップ速度Vxは、グリップとゴルファーとの距離変化の指標となりうる。ゴルファーによっては、インパクト近傍において、グリップを自分の体の方向に引き込むような動作をする。この動作の度合いにより、グリップ速度Vxが変化しうる。
【0051】
なお、グリップ速度Vxに代えて、グリップとゴルファーとの距離変化を示しうる他の速度が採用されてもよい。
【0052】
図8は、上記(c)、(d)及び(e)を用いたスイング分類ステップst3を示すフローチャートである。このスイング分類では、上記(c)のグリップ角速度ωyが判断される(ステップst10)。このグリップ角速度ωyが500(deg/s)未満である場合、スイングパターンAに分類される。このグリップ角速度ωyが500(deg/s)以上600(deg/s)未満である場合、スイングパターンBに分類される。このグリップ角速度ωyが600(deg/s)以上である場合、次のステップst20へと進む。500(deg/s)及び600(deg/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ角速度ωyとして、ダウンスイング全体での平均値が採用されている。
【0053】
次に、上記(d)のグリップ角速度ωzが判断される(ステップst20)。このグリップ角速度ωzが300(deg/s)以上である場合、スイングパターンEに分類される。このグリップ角速度ωzが300(deg/s)未満である場合、次のステップst30へと進む。300(deg/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ角速度ωzとして、ダウンスイング全体での平均値が採用されている。
【0054】
次に、上記(e)のグリップ速度Vxが判断される(ステップst30)。このグリップ速度Vxが2.0(m/s)未満である場合、スイングパターンCに分類される。このグリップ速度Vxが2.0(m/s)以上である場合、スイングパターンDに分類される。2.0(m/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ速度Vxとして、インパクト時の値が採用されている。
【0055】
以上のようにして、スイングが、5つのパターンAからEに分類されうる。
【0056】
他の好ましい態様では、上記指標は、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つを含む。より好ましくは、以下の(c)、(d)及び(f)の全てを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度ωy
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度ωz
(f)ヘッドの動的ロフト角DL。
【0057】
動的ロフト角DLとは、鉛直方向に対するフェース面の傾斜角度である。スイング分類の精度を高める観点から、上記(f)は、好ましくはインパクト近傍における値であり、より好ましくはインパクト時における値である。動的ロフト角DLは、例えば、インパクト近傍におけるヘッド画像に基づいて測定される。
【0058】
図9は、上記(c)、(d)及び(f)を用いたスイング分類ステップst3を示すフローチャートである。ステップst10及びステップst20は、前述した図8の実施形態と同じである。この実施形態では、上記ステップst30に代えて、ステップst40がなされる。このステップst40では、インパクト時の動的ロフト角DLが判断される。この動的ロフト角DLが15(degree)未満である場合、スイングパターンCに分類される。この動的ロフト角DLが15(degree)以上である場合、スイングパターンDに分類される。15(degree)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。
【0059】
本発明に係るフィッティング方法では、前述したスイング分析方法を用いる。このフィッティング方法では、上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められている。このフィッティング方法では、スイング分類することによって、推奨シャフトが決定される。一般に、フィッティングにおいては、シャフトの選定が難しい。このフィッティング方法では、シャフトの選定が容易になされうる。
【0060】
次に、各指標の算出方法について説明する。
【0061】
[グリップ角速度]
グリップ角速度は、センサ4により得られた角速度から直接的に得られうる。上記実施形態では、センサ4のy1軸回りの角速度が、グリップ角速度ωyに等しい。また、センサ4のz1軸回りの角速度が、グリップ角速度ωzに等しい。センサ4のx1軸回りの角速度が、x軸回りの角速度(グリップ角速度ωx)に等しい。
【0062】
[グリップ傾斜角度α]
後述される姿勢行列を求めることによって、グリップ傾斜角度αが決定される。姿勢行列から角度αを計算する方法は、後述される。角度αは、正面から見たときの、Y軸とシャフト軸線の成す角度である。
【0063】
[グリップ速度]
通常、加速度を積分することによって、速度が求められる。センサ4では、3軸方向の加速度が計測されるので、これらの加速度を積分することが考えられる。しかしこの単純な積分では、グリップ速度を算出することはできない。
【0064】
センサ4で計測された加速度には、次の3つの加速度が含まれている。
(加速度1)並進成分の加速度
(加速度2)遠心成分の加速度
(加速度3)重力加速度
グリップ速度(並進速度)を求めるには、並進成分の加速度のみを積分することが必要である。そのためには、遠心成分の加速度及び重力加速度を排除する必要がある。
【0065】
グリップ速度の算出では、姿勢行列が用いられる。図10は、この姿勢行列を示す。この姿勢行列はaからiまでの9成分を有している。この姿勢行列には、グリップの姿勢が記述されている。この姿勢行列における各成分の意味は、次の通りである。
成分a:全体座標系のX軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分b:全体座標系のY軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分c:全体座標系のZ軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分d:全体座標系のX軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分e:全体座標系のY軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分f:全体座標系のZ軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分g:全体座標系のX軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分h:全体座標系のY軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分i:全体座標系のZ軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
【0066】
3つの成分(a,b,c)は、局座標系のx軸ベクトルの向きを示している。3つの成分(d,e,f)は、局座標系のy軸ベクトルの向きを示している。3つの成分(g,h,i)は、局座標系のz軸ベクトルの向きを示している。
【0067】
スイング中、グリップの姿勢は時々刻々と変化する。よって、上記姿勢行列も、スイング中、時々刻々と変化する。
【0068】
クリップ速度の算出方法では、遠心成分の加速度及び重力加速度を除いた上で、加速度の積分がなされる。この算出方法では、先ず、アドレスでの姿勢行列が算出される(ステップst100)。次に、各時刻における姿勢行列が算出される(ステップst200)。次に、計測された加速度データが、全体座標系に変換される(ステップst300)。この変換により、遠心成分の加速度が除かれる。次に、アドレス時の加速度がオフセットされる(ステップst400)。このオフセットにより、重力加速度が除かれる。最後に、遠心成分の加速度及び重力加速度が除かれた加速度を積分する(ステップst500)。この積分により、グリップ速度が得られる。
【0069】
ステップst100では、重力が鉛直方向に作用していることを利用して、アドレス時の姿勢行列が算出されうる。このステップst100では、先ず、姿勢行列の成分c、成分f及び成分iが求められる(ステップst110)。重力は、鉛直方向、即ち、全体座標系のZ軸方向に作用しているので、成分c、成分f及び成分iは、センサーによる加速度データに基づき直接的に算出されうる。次に、求められた成分c、成分f及び成分iを用いて、他の6成分が算出される(ステップst120)。この6成分も、上記成分c、f及びiと同様に、幾何学的演算によって算出されうる。また、この6成分の算出では、重回帰分析が用いられうる。また、この6成分の算出に、オイラー変換行列が用いられてもよい。図11は、オイラー変換行列を示す。
【0070】
本実施形態では、上記6成分のうち、成分a及び成分gは、重回帰分析によって高い精度で推定することができた。この推定の精度を示す重相関係数は0.98であった。一方、他の4成分b、d、e及びhは、重回帰分析での推定では高い精度が得られなかった。成分bについては、オイラー変換行列を用いて推定した。即ち、オイラー変換行列と、既知の値である成分a,c,f,g及びiとを対比して、オイラー角度であるθ、φ及びψを求め、これらオイラー角度に基づいて成分bが求められた。モーションキャプチャにより求めた成分bと比較したところ、相関係数は0.86であった。
【0071】
なお、上記オイラー角度のうち、ψのプラスマイナスは、角度情報のみからは決定できない。このプラスマイナスは、例えば、アドレス時におけるグリップ角度の計算結果に基づいて決定される。グリップ角度の計算方法については、後述される。
【0072】
その他の成分のうち、成分hは、x軸とz軸との成す角度が90度であることを利用して計算した。また、成分d及びeは、他の成分の値を用いて、次の式により算出した。
d=b・i−c・h
e=a・i−c・g
【0073】
以上に基づいて算出された姿勢行列の精度を検証した。この検証は、上記姿勢行列のグリップ姿勢と、モーションキャプチャによって求めたグリップ姿勢との比較により行った。5名のテスター(テスターA、B、C、D及びE)の計測データに基づいて検証がなされた。結果が図12から14のグラフで示される。図12は、アドレスでのグリップ角度αに関するグラフである。図13は、アドレスでのグリップ角度βに関するグラフである。図14は、アドレスでのグリップ角度γに関するグラフである。図12から14において、横軸は上記姿勢行列に基づき算出された角度であり、縦軸はモーションキャプチャに基づき算出された角度である。いずれのグラフにおいても、縦軸の値と横軸の値とはおおよそ一致している。ほとんどのデータにおいて、誤差は±3(degree)以内に収まっている。よって、上記姿勢行列の精度が高いと考えられる。なお、グリップ角度α、β及びγについては、後述される。
【0074】
ステップst200では、アドレス時の姿勢行列N1と回転行列T1との積が求められる(ステップst210)。この積により、姿勢行列N2が得られる。即ち、N2=N1・T1である。
【0075】
図15は、この回転行列T1を示す。回転行列T1は、アドレス時から、最初のサンプリング時刻T1までの角度変化量により定まる。この角度変化量は、サンプリング時刻T1におけるセンサ4の角速度ωx1、ωy1及びωz1のそれぞれと、時間Δtとの積である。時間Δtは、計測サンプリングの単位時間に相当する。このΔtは、サンプリング時間とも称される。回転行列T1において、θx1=ωx1・Δtであり、θy1=ωy1・Δtであり、θz1=ωz1・Δtである。
【0076】
次に、上記姿勢行列N2と回転行列T2との積が求められる(ステップst220)。この積により、姿勢行列N3が得られる。即ち、即ち、N3=N2・T2=N1・T1・T2である。
【0077】
図16は、この回転行列T2を示す。回転行列T2は、前サンプリング時刻T1から、このサンプリング時刻T2までの角度変化量により定まる。この角度変化量は、サンプリング時刻T2におけるセンサ4の角速度ωx2、ωy2及びωz2のそれぞれと、時間Δtとの積である。回転行列T2において、θx2=ωx2・Δtであり、θy2=ωy2・Δtであり、θz2=ωz2・Δtである。
【0078】
以後、同様にして、各時刻の姿勢行列Niと、回転行列Tiとの積が繰り返される(ステップst230)。この繰り返しにより、全てのサンプリング時刻における姿勢行列Niが求められる。
【0079】
ステップst300では、各サンプリング時刻の加速度Aiと、その時刻の姿勢行列Niとの積が求められる(ステップst310)。加速度Aiは、センサ4から得られるデータそのものである。これらの積により、各サンプリング時刻における加速度Aiが全体座標系の加速度に変換される。この変換により、遠心成分の加速度が除かれたことになる。
【0080】
ステップst400では、アドレス時の加速度として、データ初期の100データの平均値が採用される。この100のデータの選択では、例えば、後述の方法で決定されるアドレス時刻が用いられる。このアドレス時刻の直後の50データと、このアドレス時刻の直前の50データとが用いられ得る。平均されるデータの数は、適宜設定される。
【0081】
ステップst500では、、遠心成分の加速度及び重力加速度が除かれた加速度の波形が積分される。積分時間は、例えば、2.0秒とされる。
【0082】
センサ4には、ドリフト誤差と呼ばれる誤差が生じうる。ドリフト誤差は、校正終了後に発生する測定器または測定システムの性能変化に起因する。ドリフト誤差の主な原因として、測定器内部の接続ケーブルの熱膨張、及び、周波数変換器の温度ドリフトが挙げられる。周囲温度の変化に応じて頻繁に校正を実行したり、周囲温度をできるだけ一定に保ったりすることで、ドリフト誤差は低減されうる。しかし、これらの対策によっては、ドリフト誤差を完全に排除することは難しい。
【0083】
ドリフト誤差は、基本的に、低周波成分である。このため、ステップst500の積分において完全積分が用いられた場合、低周波での振幅(ゲイン)が増大する。即ちこの場合、積分によりドリフト誤差が増大しやすい。
【0084】
ドリフト誤差を抑制する観点から、ステップst500の積分では、不完全積分が用いられる。
【0085】
ここで、完全積分及び不完全積分について説明する。
【0086】
例えば、変位Xが[X=Asin(ωt)]で表されるとき、速度Vは、このXを微分して、次の式で表される。
V=X’=Aωcos(ωt)
即ち、微分すると、振幅(ゲイン)はω倍となる。よって、逆に積分すると、振幅(ゲイン)が(1/ω)倍になる。ω=2πfであるから、積分すると振幅は(1/2πf)倍となる。これが通常の積分であり、完全積分とも称される。
【0087】
ゴルフスイングにおいて、テイクバックからダウンスイングまでの運動に要する時間は、概ね2秒程度である。よってこの運動の周波数は、概ね0.5Hzということになる。そこで、0.5Hz以上の高周波成分については完全積分を行い、一方、0.5Hz未満の低周波成分については、積分による振幅の増大が抑制されるのが好ましい。この場合、低周波成分であるドリフト誤差が効果的に抑制されうる。この積分による振幅の増大を抑制するために、不完全積分が用いられる。例えば、0.5Hz未満の低周波成分について、不完全積分が用いられる。
【0088】
加速度がa(k)とされ、速度がv(k)とされ、1ステップ後の速度がv(k+1)とされ、Δtがサンプリング時間とされ、kが積分の刻みステップとされ、Tiが積分時間とされるとき、この不完全積分では、v(k+1)が次の式(1)で求められる。
v(k+1)=p・v(k)+q・a(k)・・・(1)
ただし、a(0)=v(0)である。
【0089】
式(1)において、pはフィルタ係数と称され、次の式により算出される。
p=exp(−Δt/Ti)=exp(−2πfiΔt)
【0090】
式(1)において、qはフィルタ入力係数と称され、次の式により算出される。
q=(1−p)・Ti=(1−p)/2πfi
【0091】
次に、アドレス、トップ及びインパクトの時刻を決定する方法について説明する。この方法は、3つの段階に分けられる。第1段階では、インパクト時刻が決定される。第2段階では、インパクト時刻に基づいてトップ時刻が決定される。第3段階では、トップ時刻に基づいて、アドレス時刻が決定される。
【0092】
上記第1段階では、先ず、仮インパクト時刻Ttが決定される(ステップst1000)。このステップst1000では、計測されたデータの中で、グリップ角速度ωzが最大値となっている時刻が、仮インパクト時刻とされる。
【0093】
次に、上記仮インパクト時刻Ttの10msec前の時刻Tpと、上記仮インパクト時刻の10msec後の時刻Tfとが決定される(ステップst1010)。
【0094】
次に、上記時刻Tpから上記時刻Tfの間で、グリップ角速度ωxが最小となる時刻Taが決定される(ステップst1020)。また、上記時刻Tpから上記時刻Tfの間で、z軸回りの加速度Azが最小となる時刻Tbが決定される(ステップst1030)。次に、上記時刻Taと上記時刻Tbとを比較して、早いほうの時刻が、インパクト時刻とされる(ステップst1040)。
【0095】
図17は、センサ4による測定結果の一例を示すグラフである。図17の上側のグラフは、角速度ωx、角速度ωy及び角速度ωzの測定結果である。丸いプロットは、角速度ωxを示す。四角のプロットは、角速度ωyを示す。三角のプロットは、角速度ωzを示す。図17の下側のグラフは、加速度Ax、加速度Ay及び加速度Azの測定結果である。丸いプロットは、加速度Axを示す。四角のプロットは、加速度Ayを示す。三角のプロットは、加速度Azを示す。
【0096】
図17において、縦に延びる太い実線は、仮インパクト時刻Ttを示す。図17において、縦に延びる太い破線は、上記時刻Tpを示す。図17において、上記時刻Tfは示されていない。図17の実施例では、時刻Tbが、時刻Taよりも早い。よってこの実施例では、時刻Tbがインパクト時刻とされる。
【0097】
第2段階の、トップ時刻の決定では、グリップ角速度ωyが用いられる。第2段階では、インパクト時刻の0.5秒前からインパクト時刻までの間で、グリップ角速度ωyがゼロとなっている時刻が、トップ時刻とされる(ステップst1050)。
【0098】
第3段階では、アドレス時刻が決定される。通常、ゴルファーは、アドレスに、ある程度の時間をかける。これに対して、ここでアドレス時刻を決定する意義は、スイング分析に最適なアドレス時刻を決定することにある。また、アドレス時刻の決定により、スイング分析のための適切な分析開始時刻を決定することができる。
【0099】
この第3段階では、グリップ角速度ωxが用いられる。図18は、この第3段階(アドレス時刻決定方法)を示すフローチャートである。好ましいアドレス時刻決定方法は、以下のステップst1100から1210から選ばれる少なくとも1つを含む
【0100】
このアドレス時刻決定方法では、計測開始からトップ時刻までの間で角速度ωxが最大となる時刻Tmaxが決定される(ステップst1100)。
【0101】
次に、この時刻Tmaxを初期値とする時刻ttが設定される(ステップst1110)。また、固定値としての時間Tsが設定される(ステップst1110)。図18の実施形態では、時間Tsは50msである。50ms以外の値が採用されてもよい。
【0102】
時刻ttにおける角速度ωxがωx(tt)である。この時刻(tt−Ts)における角速度ωxがωx(tt−Ts)である。[ωx(tt)−ωx(tt−Ts)]が1.0(deg/s)以下であるか否かが判断される(ステップst1120)。即ち、時刻ttからさかのぼり、時間Tsにおける角速度ωxが所定値以下であるか否かが判断される。1.0(deg/s)以外の値が採用されてもよい。
【0103】
ステップst1120が「いいえ(No)」である場合、時刻ttが、1ms前の時刻に更新される(st1130)。1ms以外の値が採用されてもよい。更新された時刻ttが、0より小さいか否かが判断される(ステップst1140)。時刻0とは測定開始時刻である。時刻ttが0より小さい場合、アドレス時刻における計測がなされていないとみなされる。この場合、再計測がなされる(ステップst1150)。ステップst1140において、時刻ttが0以上である場合、判断ステップst1120に戻る。
【0104】
ステップst1120が「はい(YES)」である場合、角速度ωxは小さい。角速度ωxが小さい状態は、アドレス状態に近い。よって、この場合の時刻ttが、仮アドレス時刻Ttに決定される(ステップst1160)。
【0105】
一方、本実施形態では、(角速度ではなく)加速度のデータが用いられる。x軸方向の加速度Ax、y軸回りの加速度Ay及びz軸回りの加速度Azを用いて、合成加速度Amを求める(ステップst1170)。合成加速度Amの計算式は次の通りである。
Am=(Ax2+Ay2+Az2)1/2
【0106】
次に、上記時刻Ttからさかのぼり、合成加速度Amが重力加速度近傍で安定している最初の時間帯Tzが決定される(ステップst1180)。具体的には、上記時刻Ttから時間をさかのぼり、合成加速度Amについて、連続した30個のデータが9.7以上10.5以下である最初の時間帯が決定される。連続したデータの数は、30以外であってもよい。9.7以外の下限値が採用されてもよい。10.5以外の上限値が採用されてもよい。
【0107】
次に、この時間帯Tzに基づいて、時刻t1が決定される(ステップst1190)。時刻t1は、例えば、上記時間帯Tzにおける最初の時刻でもよいし、上記時間帯Tzにおける最後の時刻でもよいし、上記時刻帯Tzの中心時刻であってもよい。
【0108】
9.7以上10.5以下の範囲は、重力加速度を除くと、ほぼゼロに近い。この数値範囲では、重力加速度以外の加速度がゼロに近い。これは、アドレスに近い状態である。
【0109】
次に、y軸回りの加速度Ayについて、移動平均波形Wsが作成される(ステップst1200)。具体的には、加速度Ayの波形について、測定開始時から上記時刻t1まで50点移動平均し、これを更に50点移動平均して、滑らかな波形Wsを得る。移動平均の処理数は2回以外であってもよい。移動平均の方法は、50点以外であってもよい。
【0110】
次に、上記波形Wsについて上記時刻t1から時間をさかのぼり、区間差が0.01以下となる最初の時刻tiが決定される(ステップst1210)。具体的な区間差は、時刻tiと時刻t(i−20)との差である。時刻t(i−20)とは、時刻tiから、20データ分だけ時間をさかのぼった時刻である。この区間差が0.01以下となる最初の時刻tiが、アドレス時刻t2とされる。0.01以外の閾値が採用されてもよい。20以外のデータ数が採用されてもよい。
【0111】
このようにして、アドレス時刻t2が決定される。
【0112】
アドレス時のデータを選択する場合、好ましくは、このアドレス時刻t2が基準とされる。好ましくは、アドレス時のデータを選択する場合、このアドレス時刻t2近傍の複数のデータが平均される。好ましい具体例では、アドレス時刻t2から、時刻t2−50の範囲の50個のデータが平均される。時刻t2−50とは、時刻t2から、50データ分だけ時間をさかのぼった時刻である。50以外の個数が採用されてもよい。
【0113】
次に、グリップ角度α、β及びγについて説明する。。
【0114】
図19は、グリップ角度αを示す。グリップ角度αは、Y軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度αは、正面から見たときの2次元画像における角度である。このグリップ角度αは、前述したグリップ傾斜角度に等しい。
【0115】
図20は、グリップ角度βを示す。グリップ角度βは、X軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度βは、目標方向の後方から見たときの2次元画像における角度である。
【0116】
図21は、グリップ角度γを示す。グリップ角度γは、Y軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度γは、上方から見たときの2次元画像における角度である。
【0117】
グリップ角度α、β及びγは、姿勢行列に基づいて計算されうる。図10で示される姿勢行列の成分f及びiを用いて、グリップ角度αは、次のように計算されうる。
α=arctan(f/−i)
【0118】
図10で示される姿勢行列の成分c及びiを用いて、グリップ角度βは、次のように計算されうる。
β=arctan(c/−i)
【0119】
図10で示される姿勢行列の成分c及びfを用いて、グリップ角度γは、次のように計算されうる。
γ=arctan(c/f)
【0120】
図22は、図8及び図9で示したスイング分類ステップst3の変形例である。この例では、以下の(c)、(d)及び(g)が用いられている。
(c)上記角速度ωy
(d)上記角速度ωz
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度
【0121】
上記(g)の、グリップ姿勢角度として、上記グリップ角度α、β及びγが挙げられる。好ましくは、グリップ角度αが用いられる。
【0122】
図22のフローチャートにおいて、ステップst10及びステップst20は、前述した図8の実施形態と同じである。この実施形態では、上記ステップst30に代えて、ステップst50がなされる。このステップst50では、インパクト時のグリップ角度αが判断される。この角度αが2(degree)未満である場合、スイングパターンCに分類される。この角度αが2(degree)以上である場合、スイングパターンDに分類される。2(degree)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。
【0123】
センサ4の大きさ及び重量は限定されない。スイングを妨げない観点から、センサ4は、小型でかつ軽量であるのが好ましい。この観点から、センサ4の重量は、10g以下であるのが好ましく、6g以下であるのがより好ましい。
【実施例】
【0124】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0125】
16名のゴルファーが、テストを行った。ゴルファーは、全員上級者とされた。全てのゴルファーが、ドライバーでのヘッドスピードが42m/sであり、普段使用しているドライバーの重量が300g以上であった。
【0126】
5本のテストクラブと基準クラブとが用意された。全てのクラブで、ヘッド及びグリップは共通とされた。いずれのクラブも、番手はドライバーとされ、スイングバランスはD2とされ、ロフト角は9.5度とされた。クラブの総重量は、307g以上323g以下であった。テストクラブに装着されているシャフトは、シャフトA、シャフトB、シャフトC、シャフトD及びシャフトEの5種類である。これらのシャフトAからEの硬さ(フレックス)は、Sである。モーションキャプチャシステムを用いた事前検証により、シャフトとスイングパターンとの適合性が確認されていた。シャフトAは、スイングパターンAのゴルファーに適している。シャフトBは、スイングパターンBのゴルファーに適している。シャフトCは、スイングパターンCのゴルファーに適している。シャフトDは、スイングパターンDのゴルファーに適している。シャフトEは、スイングパターンEのゴルファーに適している。
【0127】
図2と同様にして、基準クラブにセンサが取り付けられた。この基準クラブを用いて、図8のフローチャートに基づき、スイング分類がなされた。このスイング分類により、適合するシャフトが決定された。
【0128】
次に、この適合シャフトと、その適合シャフトにスペックが比較的近い2本のシャフトとが選定され、これら3本のシャフトの比較がなされた。たとえば、あるテスターXの場合、スイング分類の結果が、スイングパターンBであり、適合シャフトはシャフトBであった。このシャフトBにスペックが比較的近いのは、シャフトA及びCであった。そこで、テスターXは、3本のシャフトA、B及びCを比較し、最も良好なシャフトを選定した。この選定の基準は、飛距離、打球方向性及び振りやすさとされた。最も良好なシャフトがシャフトBである場合、正解とされた。最も良好なシャフトがシャフトAまたはCを選んだ場合、不正解とされた。
【0129】
このテストの結果は次の通りであった。飛距離に関して正解であったのは、16名中、11名であった。即ち、飛距離に関する正解率は69%であった。一方、不正解は2名であり、有意差が認められない人が3名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0130】
打球方向性に関して正解であったのは、16名中、11名であった。即ち、打球方向性に関する正解率は69%であった。一方、不正解は3名であり、有意差が認められない人が2名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0131】
振りやすさに関して正解であったのは、16名中、15名であった。即ち、打球方向性に関する正解率は94%であった。一方、不正解は1名であり、有意差が認められない人が0名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0132】
これらの正解率は高い。本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、ゴルフスイングの分析に適用されうる。本発明は、ゴルフクラブまたはシャフトのフィッティングに適用されうる。本発明は、ゴルフクラブ、ゴルフシャフト及びゴルフボールの開発に適用されうる。本発明は、ゴルフショップ等の店頭において利用されうる。
【符号の説明】
【0134】
2・・・スイング分析システム
4・・・センサ
7・・・グリップ
8・・・データ解析装置
c1・・・ゴルフクラブ
b1・・・ゴルフボール
g1・・・ゴルファー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフスイングの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフスイングは、ゴルファーごとに異なる。また、ゴルフクラブは、スイングに影響を与える。ゴルファーとゴルフクラブとのマッチングは重要である。スイングとゴルフボールとのマッチングは重要である。適切なスイング分析は、正確なフィッティングを可能とする。
【0003】
スイング分析は、ゴルフクラブやゴルフボール等の開発に不可欠である。スイング分析の結果は、ゴルフクラブやゴルフボールの選択の基準となりうる。スイング分析は、ゴルフクラブやゴルフボール等の販売促進に役立つ。
【0004】
特開2006−230466号公報は、磁気センサを用いた計測によりスイングが評価されている。特開2009−18043号公報では、画像を用いてスイングが評価されている。特許第4145618号公報では、ひずみゲージを用いた計測に基づいてシャフトが選定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−230466号公報
【特許文献2】特開2009−18043号公報
【特許文献3】特許第4145618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献の計測装置は、大型且つ複雑である。このような計測装置は、店頭でフィッティングを行うためのハードウェアには適さない。モーションキャプチャシステムも実用化されているが、高価である。一方、複雑な動作であるスイングを適切に分類できれば、フィッティングが容易且つ正確となる。
【0007】
本発明の目的は、簡易な装置によってスイングを分類しうるスイング分析方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスイング分析方法は、3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含む。上記指標が、以下の(a)または(b)を含む。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【0009】
好ましくは、上記分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。
【0010】
好ましくは、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度。
【0011】
他の好ましい態様は、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(f)ヘッドの動的ロフト角。
【0012】
他の好ましい態様は、上記指標が、以下の(c)、(d)及び(g)から選択される少なくとも2つを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度。
【0013】
本発明にかかるフィッティング方法は、上述のいずれかに記載のスイング分析方法を用いたゴルフクラブのフィッティング方法である。このフィッティング方法では、上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められている。
【発明の効果】
【0014】
このスイング分析方法では、スイング分類が簡易な装置によってなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係るスイング計測の一例を示す図である。
【図2】図2は、センサが取り付けられたゴルフクラブの拡大斜視図である。
【図3】図3(a)はセンサの平面図であり、図3(b)はセンサの側面図である。
【図4】図4は、スイングの様子を示す図である。アドレス及びテークバックが示されている。
【図5】図5は、スイングの様子を示す図である。トップ及びダウンスイングが示されている。
【図6】図6は、スイングの様子を示す図である。ダウンスイング及びインパクトが示されている。
【図7】図7は、スイングの様子を示す図である。フォロースルー及びフィニッシュが示されている。
【図8】図8は、スイング分類するステップの一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、スイング分類するステップの他の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、姿勢行列の一例である。
【図11】図11は、オイラー変換行列を示す。
【図12】図12は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示すグラフである。
【図13】図13は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示す他のグラフである。
【図14】図14は、グリップ姿勢角度の計算値の検証結果を示す他のグラフである。
【図15】図15は、回転行列の一例を示す。
【図16】図16は、回転行列の他の一例を示す。
【図17】図17は、センサによる測定値の一例を示すグラフである。
【図18】図18は、アドレス時刻の決定方法の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、グリップ角度αを示す。
【図20】図20は、グリップ角度βを示す。
【図21】図21は、グリップ角度γを示す。
【図22】図22は、スイング分類するステップの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。本実施形態では、スイング分析システム2が用いられる。
【0018】
スイング分析システム2は、センサ4と、コンピュータに内蔵された無線受信装置6と、データ解析装置8とを備えている。図1では、センサ4がゴルファーg1の腕によって隠されている。
【0019】
図2は、ゴルフクラブc1のグリップエンドに取り付けられたセンサ4を示す斜視図である。図3(a)は、センサ4の平面図である。図3(b)は、センサ4の正面図である。センサ4は、グリップ7の後端に取り付けられている。センサ4は、アダプター9を介して、グリップ7に取り付けられている。センサ4の取り付けは、両面テープ、接着剤、ねじ止め等によって容易になされうる。センサ4は、小型且つ軽量である。
【0020】
センサ4は、無線式である。センサ4は、無線により、測定データを発信しうる。この無線通信の詳細については後述される。無線通信として、例えばBluetooth(ブルートゥース)の規格及び技術が好適に用いられ得る。
【0021】
センサ4は、3軸方向(x1軸、y1軸及びz1軸)のそれぞれの加速度を測定できる加速度センサーを内蔵している。またセンサ4は、3軸方向(x1軸、y1軸及びz1軸)周りの角速度を計測できる角速度センサを内蔵している。更にセンサ4は、A/D変換器、CPU、無線インターフェース、無線アンテナ及び電源を備えている。電源として、電池が用いられている。電池は、例えばリチウムイオン電池等の小型電池が好適に用いられる。いわゆるボタン型電池が好適に用いられ得る。電池は、充電可能なものであってもよい。センサ4は、電池を充電するための充電回路を備えていてもよい。センサ4の一例として、ワイヤレステクノロジー社製の商品名「WAA−010」が挙げられる。
【0022】
なお、上記角速度センサに代えて、角度センサが用いられてもよい。即ち、3軸回りの角度を計測可能なセンサが用いられても良い。
【0023】
図示しないが、無線受信装置6は、無線アンテナ、無線インターフェース、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
【0024】
データ解析装置8として、例えば、コンピュータが用いられる。データ解析装置8は、入力部12及び表示部14を備えている。図示しないが、データ解析装置8は、ハードディスク、メモリ、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。入力部12は、キーボード16とマウス18とを備えている。
【0025】
図1には、スイング分析システム2の他、ゴルファーg1と、ゴルフクラブc1と、ゴルフボールb1とが示されている。図1に描かれたゴルファーg1は、アドレス状態である。ゴルファーg1は、右利きである。
【0026】
センサ4は、x1軸、y1軸及びz1軸のそれぞれの方向の加速度を検知する。図2が示すように、x1軸、y1軸及びz1軸は、3軸直交座標系を構成している。これらの加速度は、アナログ信号として得られる。このアナログ信号は、A/D変換器によって、デジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力は、例えばCPUに伝達されて1次フィルタリング等の演算処理が実行される。このようにセンサ4内で処理されたデータは、無線インタフェースを介して、無線アンテナから送信される。
【0027】
センサ4は、x1軸、y1軸及びz1軸の各軸周りの角速度を検知する。これらの角速度は、アナログ信号として得られる。このアナログ信号は、A/D変換器によって、デジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力は、例えばCPUに伝達されて1次フィルタリング等の演算処理が実行される。このようにセンサ4内で処理されたデータは、無線インタフェースを介して、無線アンテナから送信される。
【0028】
センサ4の無線アンテナから送信されたデータは、無線受信装置6側の無線アンテナを介して、無線インタフェースによって受信される。この受信されたデータは、例えばCPUで演算処理され、データ解析装置8に送られる。
【0029】
データ解析装置8に送られたデータは、ハードディスク等のメモリ資源に記録される。ハードディスクは、データ処理等に必要なプログラム及びデータ等を記憶している。このプログラムは、CPUに、必要なデータ処理を実行させる。CPUは、各種の演算処理を実行しうる。演算処理の例については、後述される。演算結果は、表示部14または図示しない印刷装置等によって出力される。
【0030】
センサ4の取り付けにおいては、計測軸とゴルフクラブとの関係が考慮される。本実施形態では、センサ4のz1軸が、ゴルフクラブc1のシャフト軸Zsに一致している。センサ4のx1軸は、ヘッドのトウ−ヒール方向にできるだけ沿うように配向される。センサ4のy1軸は、フェース面の法線方向にできるだけ沿うように配向される。このようにセンサ4を取り付けることで、演算が簡略化される。
【0031】
[全体座標系と局座標系]
本願では、全体座標系及び局座標系が考慮される。説明の便宜のため、全体座標系の各軸を、大文字のX軸、Y軸及びZ軸で表すこととし、局座標系の各軸を、小文字のx軸、y軸及びz軸で表すこととする。
【0032】
全体座標系のX軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系である。解析を容易とするため、本実施形態では、Z軸が鉛直方向とされ、X軸がゴルファーg1の前後方向とされる。Y軸は目標方向とされる。より詳細には、Y軸は、打球地点と目標地点とを結び且つ地面と平行な方向とされる。
【0033】
局座標系のx軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系である。解析を容易とするため、本実施形態では、z軸が上記シャフト軸Zsとされる。x軸は、ヘッドのトウ−ヒール方向にできるだけ沿うように設定される。y軸は、フェース面の法線方向にできるだけ沿うように設定される。
【0034】
局座標系のz軸は、センサ4のz1軸に一致している。局座標系のy軸は、センサ4のy1軸に一致している。局座標系のx軸は、センサ4のx1軸に一致している。この設定により、下記の6つのデータが、測定値として直接得られる。
【0035】
センサ4の測定値として直接得られるデータは、次の6つである。
・x軸回りの角速度ωx(グリップ角速度ωx)
・y軸回りの角速度ωy(グリップ角速度ωy)
・z軸回りの角速度ωz(グリップ角速度ωz)
・x軸方向の加速度Ax
・y軸回りの加速度Ay
・z軸回りの加速度Az
【0036】
センサ4により、時系列的に連続した複数のデータが得られる。単位時間当たりのデータ数は、サンプリング周波数に依存する。
【0037】
アドレス状態のゴルファーg1においては、全体座標系のY軸と、局座標系のy軸とは、ほぼ平行である。全体座標系に対する局座標系の向きは、スイング中、時々刻々と変化する。局座標系の向きは、ゴルフクラブc1の動きに連動して変化する。
【0038】
図4から図7は、スイングを説明するための図である。図4から図7は、ゴルファーg1の正面(前側)から見た図である。スイングの始まりは、アドレスである。スイングの終わりは、フィニッシュと称される。スイングは、(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、(S5)、(S6)、(S7)、(S8)の順で進行する。(S1)及び(S2)が、図4に示されている。(S3)及び(S4)が、図5に示されている。(S5)及び(S6)が、図6に示されている。(S7)及び(S8)が、図7に示されている。図4の(S1)は、アドレスである。図4の(S2)は、テークバックである。図5の(S3)は、トップ(トップオブスイング)である。通常、トップオブスイングでは、スイング中におけるヘッドの移動速度が最小である。図5の(S4)は、ダウンスイングである。図6の(S5)も、ダウンスイングである。(S5)は、(S4)よりもダウンスイングが進行した状態である。図6の(S6)は、インパクトである。インパクトは、ゴルフクラブc1のヘッドとゴルフボールb1とが衝突した瞬間である。図7の(S7)は、フォロースルーである。図7の(S8)は、フィニッシュである。フィニッシュで、スイングは終了する。
【0039】
スイング分析システム2を用いるための準備として、スイング分類のための指標を探索するステップがなされた。この指標の探索では、モーションキャプチャシステムが用いられた。この指標の探索では、20名のゴルファーのスイングが分析され、43種類のスイング特徴が定量化された。また別途、これら20名のゴルファーのそれぞれに5本のクラブを試打させ、飛距離、打球の曲がりにくさ及び振りやすさに関する評価データを取得した。そして、上記43種類のスイング特徴と上記評価データとに基づき、統計的な解析がなされた。この統計的な解析では、判別分析と称される手法が用いられた。この結果、上記43種類のスイング特徴のうちのいくつかが、スイング分類の指標として有効であることが判明した。特に、以下の3つの指標は、統計的にみて70%以上のゴルファーに有効であるという知見を得た。
(指標1):ダウンスイング中における、トウダウン方向の角速度
(指標2):ダウンスイング中における、シャフト軸Zs回りの角速度
(指標3):インパクト近傍(好ましくはインパクト時)における、ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度
【0040】
指標1の角速度は、上記y軸回りの角速度に対応する。よってこの角速度が、本願においてωyと表記される。指標2の角速度は、上記z軸回りの角速度に対応する。よってこの角速度が、本願においてωzと表記される。
【0041】
これらの有効な指標を簡便に計測するためのシステムが検討され、上記スイング分析システム2を得た。このスイング分析方法では、センサ4からのデータのみで、スイング分析が可能である。
【0042】
スイング分析システム2を用いたスイング分析方法は、次のステップst1からst3を含む。
・3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度を計測可能なセンサ4が取り付けられたゴルフクラブc1がスイングされるステップst1
・上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップst2
・上記指標に基づいてスイング分類するステップst3
【0043】
上記指標は、以下の(a)または(b)を含む。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【0044】
ダウンスイング中とは、アドレスからインパクトまでの間の時間である。
【0045】
このましくは、このスイング分析方法では、上記センサの計測結果に基づいて、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される。これらの時刻が把握されることで、データを取得すべき時刻が容易に把握されうる。
【0046】
好ましくは、上記指標は、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む。より好ましくは、以下の(c)、(d)及び(e)の全てを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度ωy
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度ωz
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度Vx
【0047】
上記(c)は、少なくとも1時刻における値である。スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(c)は平均値とされる。平均値は、時刻t1からt2までの間での計測値を平均することで得られる。時刻t1及びt2は、ダウンスイング中の時刻である。時刻t1がトップとされ、時刻t2がインパクトとされてもよい。
【0048】
上記(d)は、少なくとも1時刻における値である。スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(d)は平均値とされる。平均値は、時刻t1からt2までの間での計測値を平均することで得られる。時刻t1及びt2は、ダウンスイング中の時刻である。時刻t1がトップとされ、時刻t2がインパクトとされてもよい。
【0049】
スイング分類の精度を高める観点から、好ましくは、上記(e)は、インパクト近傍における値である。インパクト近傍とは、インパクトの0.01秒前からインパクトまでを意味する。より好ましくは、上記(e)は、インパクト時における値である。
【0050】
ゴルファー方向のグリップ速度Vxとは、x軸方向の速度である。このグリップ速度Vxは、グリップとゴルファーとの距離変化の指標となりうる。ゴルファーによっては、インパクト近傍において、グリップを自分の体の方向に引き込むような動作をする。この動作の度合いにより、グリップ速度Vxが変化しうる。
【0051】
なお、グリップ速度Vxに代えて、グリップとゴルファーとの距離変化を示しうる他の速度が採用されてもよい。
【0052】
図8は、上記(c)、(d)及び(e)を用いたスイング分類ステップst3を示すフローチャートである。このスイング分類では、上記(c)のグリップ角速度ωyが判断される(ステップst10)。このグリップ角速度ωyが500(deg/s)未満である場合、スイングパターンAに分類される。このグリップ角速度ωyが500(deg/s)以上600(deg/s)未満である場合、スイングパターンBに分類される。このグリップ角速度ωyが600(deg/s)以上である場合、次のステップst20へと進む。500(deg/s)及び600(deg/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ角速度ωyとして、ダウンスイング全体での平均値が採用されている。
【0053】
次に、上記(d)のグリップ角速度ωzが判断される(ステップst20)。このグリップ角速度ωzが300(deg/s)以上である場合、スイングパターンEに分類される。このグリップ角速度ωzが300(deg/s)未満である場合、次のステップst30へと進む。300(deg/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ角速度ωzとして、ダウンスイング全体での平均値が採用されている。
【0054】
次に、上記(e)のグリップ速度Vxが判断される(ステップst30)。このグリップ速度Vxが2.0(m/s)未満である場合、スイングパターンCに分類される。このグリップ速度Vxが2.0(m/s)以上である場合、スイングパターンDに分類される。2.0(m/s)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。なお、この実施形態では、グリップ速度Vxとして、インパクト時の値が採用されている。
【0055】
以上のようにして、スイングが、5つのパターンAからEに分類されうる。
【0056】
他の好ましい態様では、上記指標は、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つを含む。より好ましくは、以下の(c)、(d)及び(f)の全てを含む。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度ωy
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度ωz
(f)ヘッドの動的ロフト角DL。
【0057】
動的ロフト角DLとは、鉛直方向に対するフェース面の傾斜角度である。スイング分類の精度を高める観点から、上記(f)は、好ましくはインパクト近傍における値であり、より好ましくはインパクト時における値である。動的ロフト角DLは、例えば、インパクト近傍におけるヘッド画像に基づいて測定される。
【0058】
図9は、上記(c)、(d)及び(f)を用いたスイング分類ステップst3を示すフローチャートである。ステップst10及びステップst20は、前述した図8の実施形態と同じである。この実施形態では、上記ステップst30に代えて、ステップst40がなされる。このステップst40では、インパクト時の動的ロフト角DLが判断される。この動的ロフト角DLが15(degree)未満である場合、スイングパターンCに分類される。この動的ロフト角DLが15(degree)以上である場合、スイングパターンDに分類される。15(degree)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。
【0059】
本発明に係るフィッティング方法では、前述したスイング分析方法を用いる。このフィッティング方法では、上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められている。このフィッティング方法では、スイング分類することによって、推奨シャフトが決定される。一般に、フィッティングにおいては、シャフトの選定が難しい。このフィッティング方法では、シャフトの選定が容易になされうる。
【0060】
次に、各指標の算出方法について説明する。
【0061】
[グリップ角速度]
グリップ角速度は、センサ4により得られた角速度から直接的に得られうる。上記実施形態では、センサ4のy1軸回りの角速度が、グリップ角速度ωyに等しい。また、センサ4のz1軸回りの角速度が、グリップ角速度ωzに等しい。センサ4のx1軸回りの角速度が、x軸回りの角速度(グリップ角速度ωx)に等しい。
【0062】
[グリップ傾斜角度α]
後述される姿勢行列を求めることによって、グリップ傾斜角度αが決定される。姿勢行列から角度αを計算する方法は、後述される。角度αは、正面から見たときの、Y軸とシャフト軸線の成す角度である。
【0063】
[グリップ速度]
通常、加速度を積分することによって、速度が求められる。センサ4では、3軸方向の加速度が計測されるので、これらの加速度を積分することが考えられる。しかしこの単純な積分では、グリップ速度を算出することはできない。
【0064】
センサ4で計測された加速度には、次の3つの加速度が含まれている。
(加速度1)並進成分の加速度
(加速度2)遠心成分の加速度
(加速度3)重力加速度
グリップ速度(並進速度)を求めるには、並進成分の加速度のみを積分することが必要である。そのためには、遠心成分の加速度及び重力加速度を排除する必要がある。
【0065】
グリップ速度の算出では、姿勢行列が用いられる。図10は、この姿勢行列を示す。この姿勢行列はaからiまでの9成分を有している。この姿勢行列には、グリップの姿勢が記述されている。この姿勢行列における各成分の意味は、次の通りである。
成分a:全体座標系のX軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分b:全体座標系のY軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分c:全体座標系のZ軸と、局座標系のx軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分d:全体座標系のX軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分e:全体座標系のY軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分f:全体座標系のZ軸と、局座標系のy軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分g:全体座標系のX軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分h:全体座標系のY軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
成分i:全体座標系のZ軸と、局座標系のz軸とのなす角度のコサイン(cos)
【0066】
3つの成分(a,b,c)は、局座標系のx軸ベクトルの向きを示している。3つの成分(d,e,f)は、局座標系のy軸ベクトルの向きを示している。3つの成分(g,h,i)は、局座標系のz軸ベクトルの向きを示している。
【0067】
スイング中、グリップの姿勢は時々刻々と変化する。よって、上記姿勢行列も、スイング中、時々刻々と変化する。
【0068】
クリップ速度の算出方法では、遠心成分の加速度及び重力加速度を除いた上で、加速度の積分がなされる。この算出方法では、先ず、アドレスでの姿勢行列が算出される(ステップst100)。次に、各時刻における姿勢行列が算出される(ステップst200)。次に、計測された加速度データが、全体座標系に変換される(ステップst300)。この変換により、遠心成分の加速度が除かれる。次に、アドレス時の加速度がオフセットされる(ステップst400)。このオフセットにより、重力加速度が除かれる。最後に、遠心成分の加速度及び重力加速度が除かれた加速度を積分する(ステップst500)。この積分により、グリップ速度が得られる。
【0069】
ステップst100では、重力が鉛直方向に作用していることを利用して、アドレス時の姿勢行列が算出されうる。このステップst100では、先ず、姿勢行列の成分c、成分f及び成分iが求められる(ステップst110)。重力は、鉛直方向、即ち、全体座標系のZ軸方向に作用しているので、成分c、成分f及び成分iは、センサーによる加速度データに基づき直接的に算出されうる。次に、求められた成分c、成分f及び成分iを用いて、他の6成分が算出される(ステップst120)。この6成分も、上記成分c、f及びiと同様に、幾何学的演算によって算出されうる。また、この6成分の算出では、重回帰分析が用いられうる。また、この6成分の算出に、オイラー変換行列が用いられてもよい。図11は、オイラー変換行列を示す。
【0070】
本実施形態では、上記6成分のうち、成分a及び成分gは、重回帰分析によって高い精度で推定することができた。この推定の精度を示す重相関係数は0.98であった。一方、他の4成分b、d、e及びhは、重回帰分析での推定では高い精度が得られなかった。成分bについては、オイラー変換行列を用いて推定した。即ち、オイラー変換行列と、既知の値である成分a,c,f,g及びiとを対比して、オイラー角度であるθ、φ及びψを求め、これらオイラー角度に基づいて成分bが求められた。モーションキャプチャにより求めた成分bと比較したところ、相関係数は0.86であった。
【0071】
なお、上記オイラー角度のうち、ψのプラスマイナスは、角度情報のみからは決定できない。このプラスマイナスは、例えば、アドレス時におけるグリップ角度の計算結果に基づいて決定される。グリップ角度の計算方法については、後述される。
【0072】
その他の成分のうち、成分hは、x軸とz軸との成す角度が90度であることを利用して計算した。また、成分d及びeは、他の成分の値を用いて、次の式により算出した。
d=b・i−c・h
e=a・i−c・g
【0073】
以上に基づいて算出された姿勢行列の精度を検証した。この検証は、上記姿勢行列のグリップ姿勢と、モーションキャプチャによって求めたグリップ姿勢との比較により行った。5名のテスター(テスターA、B、C、D及びE)の計測データに基づいて検証がなされた。結果が図12から14のグラフで示される。図12は、アドレスでのグリップ角度αに関するグラフである。図13は、アドレスでのグリップ角度βに関するグラフである。図14は、アドレスでのグリップ角度γに関するグラフである。図12から14において、横軸は上記姿勢行列に基づき算出された角度であり、縦軸はモーションキャプチャに基づき算出された角度である。いずれのグラフにおいても、縦軸の値と横軸の値とはおおよそ一致している。ほとんどのデータにおいて、誤差は±3(degree)以内に収まっている。よって、上記姿勢行列の精度が高いと考えられる。なお、グリップ角度α、β及びγについては、後述される。
【0074】
ステップst200では、アドレス時の姿勢行列N1と回転行列T1との積が求められる(ステップst210)。この積により、姿勢行列N2が得られる。即ち、N2=N1・T1である。
【0075】
図15は、この回転行列T1を示す。回転行列T1は、アドレス時から、最初のサンプリング時刻T1までの角度変化量により定まる。この角度変化量は、サンプリング時刻T1におけるセンサ4の角速度ωx1、ωy1及びωz1のそれぞれと、時間Δtとの積である。時間Δtは、計測サンプリングの単位時間に相当する。このΔtは、サンプリング時間とも称される。回転行列T1において、θx1=ωx1・Δtであり、θy1=ωy1・Δtであり、θz1=ωz1・Δtである。
【0076】
次に、上記姿勢行列N2と回転行列T2との積が求められる(ステップst220)。この積により、姿勢行列N3が得られる。即ち、即ち、N3=N2・T2=N1・T1・T2である。
【0077】
図16は、この回転行列T2を示す。回転行列T2は、前サンプリング時刻T1から、このサンプリング時刻T2までの角度変化量により定まる。この角度変化量は、サンプリング時刻T2におけるセンサ4の角速度ωx2、ωy2及びωz2のそれぞれと、時間Δtとの積である。回転行列T2において、θx2=ωx2・Δtであり、θy2=ωy2・Δtであり、θz2=ωz2・Δtである。
【0078】
以後、同様にして、各時刻の姿勢行列Niと、回転行列Tiとの積が繰り返される(ステップst230)。この繰り返しにより、全てのサンプリング時刻における姿勢行列Niが求められる。
【0079】
ステップst300では、各サンプリング時刻の加速度Aiと、その時刻の姿勢行列Niとの積が求められる(ステップst310)。加速度Aiは、センサ4から得られるデータそのものである。これらの積により、各サンプリング時刻における加速度Aiが全体座標系の加速度に変換される。この変換により、遠心成分の加速度が除かれたことになる。
【0080】
ステップst400では、アドレス時の加速度として、データ初期の100データの平均値が採用される。この100のデータの選択では、例えば、後述の方法で決定されるアドレス時刻が用いられる。このアドレス時刻の直後の50データと、このアドレス時刻の直前の50データとが用いられ得る。平均されるデータの数は、適宜設定される。
【0081】
ステップst500では、、遠心成分の加速度及び重力加速度が除かれた加速度の波形が積分される。積分時間は、例えば、2.0秒とされる。
【0082】
センサ4には、ドリフト誤差と呼ばれる誤差が生じうる。ドリフト誤差は、校正終了後に発生する測定器または測定システムの性能変化に起因する。ドリフト誤差の主な原因として、測定器内部の接続ケーブルの熱膨張、及び、周波数変換器の温度ドリフトが挙げられる。周囲温度の変化に応じて頻繁に校正を実行したり、周囲温度をできるだけ一定に保ったりすることで、ドリフト誤差は低減されうる。しかし、これらの対策によっては、ドリフト誤差を完全に排除することは難しい。
【0083】
ドリフト誤差は、基本的に、低周波成分である。このため、ステップst500の積分において完全積分が用いられた場合、低周波での振幅(ゲイン)が増大する。即ちこの場合、積分によりドリフト誤差が増大しやすい。
【0084】
ドリフト誤差を抑制する観点から、ステップst500の積分では、不完全積分が用いられる。
【0085】
ここで、完全積分及び不完全積分について説明する。
【0086】
例えば、変位Xが[X=Asin(ωt)]で表されるとき、速度Vは、このXを微分して、次の式で表される。
V=X’=Aωcos(ωt)
即ち、微分すると、振幅(ゲイン)はω倍となる。よって、逆に積分すると、振幅(ゲイン)が(1/ω)倍になる。ω=2πfであるから、積分すると振幅は(1/2πf)倍となる。これが通常の積分であり、完全積分とも称される。
【0087】
ゴルフスイングにおいて、テイクバックからダウンスイングまでの運動に要する時間は、概ね2秒程度である。よってこの運動の周波数は、概ね0.5Hzということになる。そこで、0.5Hz以上の高周波成分については完全積分を行い、一方、0.5Hz未満の低周波成分については、積分による振幅の増大が抑制されるのが好ましい。この場合、低周波成分であるドリフト誤差が効果的に抑制されうる。この積分による振幅の増大を抑制するために、不完全積分が用いられる。例えば、0.5Hz未満の低周波成分について、不完全積分が用いられる。
【0088】
加速度がa(k)とされ、速度がv(k)とされ、1ステップ後の速度がv(k+1)とされ、Δtがサンプリング時間とされ、kが積分の刻みステップとされ、Tiが積分時間とされるとき、この不完全積分では、v(k+1)が次の式(1)で求められる。
v(k+1)=p・v(k)+q・a(k)・・・(1)
ただし、a(0)=v(0)である。
【0089】
式(1)において、pはフィルタ係数と称され、次の式により算出される。
p=exp(−Δt/Ti)=exp(−2πfiΔt)
【0090】
式(1)において、qはフィルタ入力係数と称され、次の式により算出される。
q=(1−p)・Ti=(1−p)/2πfi
【0091】
次に、アドレス、トップ及びインパクトの時刻を決定する方法について説明する。この方法は、3つの段階に分けられる。第1段階では、インパクト時刻が決定される。第2段階では、インパクト時刻に基づいてトップ時刻が決定される。第3段階では、トップ時刻に基づいて、アドレス時刻が決定される。
【0092】
上記第1段階では、先ず、仮インパクト時刻Ttが決定される(ステップst1000)。このステップst1000では、計測されたデータの中で、グリップ角速度ωzが最大値となっている時刻が、仮インパクト時刻とされる。
【0093】
次に、上記仮インパクト時刻Ttの10msec前の時刻Tpと、上記仮インパクト時刻の10msec後の時刻Tfとが決定される(ステップst1010)。
【0094】
次に、上記時刻Tpから上記時刻Tfの間で、グリップ角速度ωxが最小となる時刻Taが決定される(ステップst1020)。また、上記時刻Tpから上記時刻Tfの間で、z軸回りの加速度Azが最小となる時刻Tbが決定される(ステップst1030)。次に、上記時刻Taと上記時刻Tbとを比較して、早いほうの時刻が、インパクト時刻とされる(ステップst1040)。
【0095】
図17は、センサ4による測定結果の一例を示すグラフである。図17の上側のグラフは、角速度ωx、角速度ωy及び角速度ωzの測定結果である。丸いプロットは、角速度ωxを示す。四角のプロットは、角速度ωyを示す。三角のプロットは、角速度ωzを示す。図17の下側のグラフは、加速度Ax、加速度Ay及び加速度Azの測定結果である。丸いプロットは、加速度Axを示す。四角のプロットは、加速度Ayを示す。三角のプロットは、加速度Azを示す。
【0096】
図17において、縦に延びる太い実線は、仮インパクト時刻Ttを示す。図17において、縦に延びる太い破線は、上記時刻Tpを示す。図17において、上記時刻Tfは示されていない。図17の実施例では、時刻Tbが、時刻Taよりも早い。よってこの実施例では、時刻Tbがインパクト時刻とされる。
【0097】
第2段階の、トップ時刻の決定では、グリップ角速度ωyが用いられる。第2段階では、インパクト時刻の0.5秒前からインパクト時刻までの間で、グリップ角速度ωyがゼロとなっている時刻が、トップ時刻とされる(ステップst1050)。
【0098】
第3段階では、アドレス時刻が決定される。通常、ゴルファーは、アドレスに、ある程度の時間をかける。これに対して、ここでアドレス時刻を決定する意義は、スイング分析に最適なアドレス時刻を決定することにある。また、アドレス時刻の決定により、スイング分析のための適切な分析開始時刻を決定することができる。
【0099】
この第3段階では、グリップ角速度ωxが用いられる。図18は、この第3段階(アドレス時刻決定方法)を示すフローチャートである。好ましいアドレス時刻決定方法は、以下のステップst1100から1210から選ばれる少なくとも1つを含む
【0100】
このアドレス時刻決定方法では、計測開始からトップ時刻までの間で角速度ωxが最大となる時刻Tmaxが決定される(ステップst1100)。
【0101】
次に、この時刻Tmaxを初期値とする時刻ttが設定される(ステップst1110)。また、固定値としての時間Tsが設定される(ステップst1110)。図18の実施形態では、時間Tsは50msである。50ms以外の値が採用されてもよい。
【0102】
時刻ttにおける角速度ωxがωx(tt)である。この時刻(tt−Ts)における角速度ωxがωx(tt−Ts)である。[ωx(tt)−ωx(tt−Ts)]が1.0(deg/s)以下であるか否かが判断される(ステップst1120)。即ち、時刻ttからさかのぼり、時間Tsにおける角速度ωxが所定値以下であるか否かが判断される。1.0(deg/s)以外の値が採用されてもよい。
【0103】
ステップst1120が「いいえ(No)」である場合、時刻ttが、1ms前の時刻に更新される(st1130)。1ms以外の値が採用されてもよい。更新された時刻ttが、0より小さいか否かが判断される(ステップst1140)。時刻0とは測定開始時刻である。時刻ttが0より小さい場合、アドレス時刻における計測がなされていないとみなされる。この場合、再計測がなされる(ステップst1150)。ステップst1140において、時刻ttが0以上である場合、判断ステップst1120に戻る。
【0104】
ステップst1120が「はい(YES)」である場合、角速度ωxは小さい。角速度ωxが小さい状態は、アドレス状態に近い。よって、この場合の時刻ttが、仮アドレス時刻Ttに決定される(ステップst1160)。
【0105】
一方、本実施形態では、(角速度ではなく)加速度のデータが用いられる。x軸方向の加速度Ax、y軸回りの加速度Ay及びz軸回りの加速度Azを用いて、合成加速度Amを求める(ステップst1170)。合成加速度Amの計算式は次の通りである。
Am=(Ax2+Ay2+Az2)1/2
【0106】
次に、上記時刻Ttからさかのぼり、合成加速度Amが重力加速度近傍で安定している最初の時間帯Tzが決定される(ステップst1180)。具体的には、上記時刻Ttから時間をさかのぼり、合成加速度Amについて、連続した30個のデータが9.7以上10.5以下である最初の時間帯が決定される。連続したデータの数は、30以外であってもよい。9.7以外の下限値が採用されてもよい。10.5以外の上限値が採用されてもよい。
【0107】
次に、この時間帯Tzに基づいて、時刻t1が決定される(ステップst1190)。時刻t1は、例えば、上記時間帯Tzにおける最初の時刻でもよいし、上記時間帯Tzにおける最後の時刻でもよいし、上記時刻帯Tzの中心時刻であってもよい。
【0108】
9.7以上10.5以下の範囲は、重力加速度を除くと、ほぼゼロに近い。この数値範囲では、重力加速度以外の加速度がゼロに近い。これは、アドレスに近い状態である。
【0109】
次に、y軸回りの加速度Ayについて、移動平均波形Wsが作成される(ステップst1200)。具体的には、加速度Ayの波形について、測定開始時から上記時刻t1まで50点移動平均し、これを更に50点移動平均して、滑らかな波形Wsを得る。移動平均の処理数は2回以外であってもよい。移動平均の方法は、50点以外であってもよい。
【0110】
次に、上記波形Wsについて上記時刻t1から時間をさかのぼり、区間差が0.01以下となる最初の時刻tiが決定される(ステップst1210)。具体的な区間差は、時刻tiと時刻t(i−20)との差である。時刻t(i−20)とは、時刻tiから、20データ分だけ時間をさかのぼった時刻である。この区間差が0.01以下となる最初の時刻tiが、アドレス時刻t2とされる。0.01以外の閾値が採用されてもよい。20以外のデータ数が採用されてもよい。
【0111】
このようにして、アドレス時刻t2が決定される。
【0112】
アドレス時のデータを選択する場合、好ましくは、このアドレス時刻t2が基準とされる。好ましくは、アドレス時のデータを選択する場合、このアドレス時刻t2近傍の複数のデータが平均される。好ましい具体例では、アドレス時刻t2から、時刻t2−50の範囲の50個のデータが平均される。時刻t2−50とは、時刻t2から、50データ分だけ時間をさかのぼった時刻である。50以外の個数が採用されてもよい。
【0113】
次に、グリップ角度α、β及びγについて説明する。。
【0114】
図19は、グリップ角度αを示す。グリップ角度αは、Y軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度αは、正面から見たときの2次元画像における角度である。このグリップ角度αは、前述したグリップ傾斜角度に等しい。
【0115】
図20は、グリップ角度βを示す。グリップ角度βは、X軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度βは、目標方向の後方から見たときの2次元画像における角度である。
【0116】
図21は、グリップ角度γを示す。グリップ角度γは、Y軸とグリップ軸(シャフト軸)との成す角度である。グリップ角度γは、上方から見たときの2次元画像における角度である。
【0117】
グリップ角度α、β及びγは、姿勢行列に基づいて計算されうる。図10で示される姿勢行列の成分f及びiを用いて、グリップ角度αは、次のように計算されうる。
α=arctan(f/−i)
【0118】
図10で示される姿勢行列の成分c及びiを用いて、グリップ角度βは、次のように計算されうる。
β=arctan(c/−i)
【0119】
図10で示される姿勢行列の成分c及びfを用いて、グリップ角度γは、次のように計算されうる。
γ=arctan(c/f)
【0120】
図22は、図8及び図9で示したスイング分類ステップst3の変形例である。この例では、以下の(c)、(d)及び(g)が用いられている。
(c)上記角速度ωy
(d)上記角速度ωz
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度
【0121】
上記(g)の、グリップ姿勢角度として、上記グリップ角度α、β及びγが挙げられる。好ましくは、グリップ角度αが用いられる。
【0122】
図22のフローチャートにおいて、ステップst10及びステップst20は、前述した図8の実施形態と同じである。この実施形態では、上記ステップst30に代えて、ステップst50がなされる。このステップst50では、インパクト時のグリップ角度αが判断される。この角度αが2(degree)未満である場合、スイングパターンCに分類される。この角度αが2(degree)以上である場合、スイングパターンDに分類される。2(degree)以外の値が用いられてもよい。即ち閾値は適宜設定されうる。
【0123】
センサ4の大きさ及び重量は限定されない。スイングを妨げない観点から、センサ4は、小型でかつ軽量であるのが好ましい。この観点から、センサ4の重量は、10g以下であるのが好ましく、6g以下であるのがより好ましい。
【実施例】
【0124】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0125】
16名のゴルファーが、テストを行った。ゴルファーは、全員上級者とされた。全てのゴルファーが、ドライバーでのヘッドスピードが42m/sであり、普段使用しているドライバーの重量が300g以上であった。
【0126】
5本のテストクラブと基準クラブとが用意された。全てのクラブで、ヘッド及びグリップは共通とされた。いずれのクラブも、番手はドライバーとされ、スイングバランスはD2とされ、ロフト角は9.5度とされた。クラブの総重量は、307g以上323g以下であった。テストクラブに装着されているシャフトは、シャフトA、シャフトB、シャフトC、シャフトD及びシャフトEの5種類である。これらのシャフトAからEの硬さ(フレックス)は、Sである。モーションキャプチャシステムを用いた事前検証により、シャフトとスイングパターンとの適合性が確認されていた。シャフトAは、スイングパターンAのゴルファーに適している。シャフトBは、スイングパターンBのゴルファーに適している。シャフトCは、スイングパターンCのゴルファーに適している。シャフトDは、スイングパターンDのゴルファーに適している。シャフトEは、スイングパターンEのゴルファーに適している。
【0127】
図2と同様にして、基準クラブにセンサが取り付けられた。この基準クラブを用いて、図8のフローチャートに基づき、スイング分類がなされた。このスイング分類により、適合するシャフトが決定された。
【0128】
次に、この適合シャフトと、その適合シャフトにスペックが比較的近い2本のシャフトとが選定され、これら3本のシャフトの比較がなされた。たとえば、あるテスターXの場合、スイング分類の結果が、スイングパターンBであり、適合シャフトはシャフトBであった。このシャフトBにスペックが比較的近いのは、シャフトA及びCであった。そこで、テスターXは、3本のシャフトA、B及びCを比較し、最も良好なシャフトを選定した。この選定の基準は、飛距離、打球方向性及び振りやすさとされた。最も良好なシャフトがシャフトBである場合、正解とされた。最も良好なシャフトがシャフトAまたはCを選んだ場合、不正解とされた。
【0129】
このテストの結果は次の通りであった。飛距離に関して正解であったのは、16名中、11名であった。即ち、飛距離に関する正解率は69%であった。一方、不正解は2名であり、有意差が認められない人が3名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0130】
打球方向性に関して正解であったのは、16名中、11名であった。即ち、打球方向性に関する正解率は69%であった。一方、不正解は3名であり、有意差が認められない人が2名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0131】
振りやすさに関して正解であったのは、16名中、15名であった。即ち、打球方向性に関する正解率は94%であった。一方、不正解は1名であり、有意差が認められない人が0名であった。なお有意差の有無は、有意水準10%で判断した。
【0132】
これらの正解率は高い。本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、ゴルフスイングの分析に適用されうる。本発明は、ゴルフクラブまたはシャフトのフィッティングに適用されうる。本発明は、ゴルフクラブ、ゴルフシャフト及びゴルフボールの開発に適用されうる。本発明は、ゴルフショップ等の店頭において利用されうる。
【符号の説明】
【0134】
2・・・スイング分析システム
4・・・センサ
7・・・グリップ
8・・・データ解析装置
c1・・・ゴルフクラブ
b1・・・ゴルフボール
g1・・・ゴルファー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、
上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、
上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含み、
上記指標が、以下の(a)または(b)を含むスイング分析方法。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【請求項2】
請求項1に記載のスイング分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される分析方法。
【請求項3】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度。
【請求項4】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つである請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(f)ヘッドの動的ロフト角。
【請求項5】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(g)から選択される少なくとも2つである請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のスイング分析方法を用いたゴルフクラブのフィッティング方法であって、
上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められているフィッティング方法。
【請求項1】
3軸方向の加速度及び3軸回りの角速度あるいは角度を計測可能なセンサが取り付けられたゴルフクラブでのスイングを計測するステップと、
上記センサの計測結果に基づいて、スイング分類のための指標を得るステップと、
上記指標に基づいてスイング分類するステップとを含み、
上記指標が、以下の(a)または(b)を含むスイング分析方法。
(a)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ角速度
(b)ダウンスイング中の少なくとも1時刻におけるグリップ速度
【請求項2】
請求項1に記載のスイング分析方法において、アドレス、トップ及びインパクトの時刻が決定される分析方法。
【請求項3】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(e)から選択される少なくとも2つを含む請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(e)ゴルファーへ向かう方向のグリップ速度。
【請求項4】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(f)から選択される少なくとも2つである請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(f)ヘッドの動的ロフト角。
【請求項5】
上記指標が、以下の(c)、(d)及び(g)から選択される少なくとも2つである請求項1または2に記載のスイング分析方法。
(c)トウダウン方向のグリップ角速度。
(d)シャフト軸回りのグリップ角速度。
(g)インパクトでのグリップ姿勢角度。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のスイング分析方法を用いたゴルフクラブのフィッティング方法であって、
上記スイング分類毎に推奨シャフトが定められているフィッティング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−56074(P2013−56074A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196727(P2011−196727)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(504017809)ダンロップスポーツ株式会社 (701)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(504017809)ダンロップスポーツ株式会社 (701)
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