説明

スキャナ装置

【課題】 被写体の実際の寸法を測定することなく、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できるスキャナ装置を提供する。
【解決手段】 被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xを載置されるステージ31とを備え、読取手段2及びステージ31は、所定方向で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置1において、読取手段2と一体的に構成され、前記所定方向に平行な複数のライン光が互いに平行となるように、被写体Xに向けて複数のライン光を照射するライン光照射手段4と、ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを補正する補正手段636とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な形状の被写体を読み取るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な形状の被写体を読み取るスキャナ装置として、長尺なラインセンサ(例えばラインCCDセンサ)を、長手方向と直交する方向に移動することで、被写体の所定方向全体を読み取るスキャナ装置が知られている。斯かるスキャナ装置によれば、例えば、上下方向に沿って配置されるラインセンサが横方向に移動することで、被写体の側面を読み取った被写体のデータ(画像)は、読取中心位置から上方側及び下方側へいくに伴って、歪んだものとなる。
【0003】
そこで、読み取った被写体のデータの歪みを補正するスキャナ装置として、被写体の実際の寸法等に基づき、読み取った被写体のデータを補正するスキャナ装置が知られている(例えば、特許文献1)。斯かるスキャナ装置によれば、事前に被写体の実際の寸法を測定しておくことで、読み取った被写体のデータの歪みを補正できるため、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、換言すれば、特許文献1に係るスキャナ装置においては、事前に被写体の寸法を測定しておかなければ、読み取った被写体のデータの歪みを補正することはできない。したがって、被写体の寸法を測定するのが難しい場合には、読み取った被写体のデータを補正することができない。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、被写体の実際の寸法を測定することなく、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できるスキャナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスキャナ装置は、被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体を載置されるステージとを備え、読取手段及びステージは、所定方向で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、読取手段と一体的に構成され、前記所定方向に平行な複数のライン光が互いに平行となるように、被写体に向けて複数のライン光を照射する第1のライン光照射手段と、ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスキャナ装置によれば、第1のライン光照射手段により、読取手段とステージとが相対的に変位する所定方向に平行な複数のライン光が、互いに平行となって被写体に向けて照射される。そして、一体的に構成される読取手段及び第1のライン光照射手段がステージと所定方向で相対的に変位することにより、ライン光を照射させた状態で被写体のデータを読み取ることができる。
【0009】
また、ライン光の照射を停止させた状態で、読取手段及びライン光照射手段がステージと所定方向で相対的に変位することにより、ライン光の照射を停止させた状態で被写体のデータを読み取ることができる。その後、ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータ(例えば変形量や変形方向)に基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを、補正手段が補正することで、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できる。
【0010】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行なライン光を被写体に向けて照射する第2のライン光照射手段をさらに備え、第2のライン光照射手段は、ステージと一体的になって、読取手段と所定方向で相対的に変位可能に構成されてもよい。
【0011】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、第2のライン光照射手段により、第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行なライン光が、被写体に向けて照射される。そして、第2のライン光照射手段がステージと一体的になって読取手段と所定方向で相対変位することにより、第1及び第2のライン光照射手段がライン光を照射させた状態で被写体のデータを読み取ることができる。
【0012】
これにより、第1のライン光照射手段のライン光のデータと、さらに、第2のライン光照射手段のライン光のデータ(例えば変形量や変形方向)とに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを、補正手段が補正する。したがって、さらに正確な寸法で表された被写体のデータを取得できる。
【0013】
また、本発明に係るスキャナ装置は、被写体に向けて光を放射し且つ被写体の側方側で反射した光を読み取る読取手段と、被写体を載置されるステージとを備え、ステージは、上下方向を中心に回転可能に構成されるスキャナ装置において、読取手段と一体的に構成され、回転方向に平行な複数のライン光が互いに平行となるように、被写体に向けて複数のライン光を照射する第1のライン光照射手段と、ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るスキャナ装置によれば、読取手段と一体的に構成される第1のライン光照射手段により、ステージが回転する回転方向に平行な複数のライン光が、互いに平行となって被写体に向けて照射される。そして、ステージが上下方向を中心に回転することにより、読取手段がライン光を照射させた状態で被写体の側方のデータを読み取ることができる。
【0015】
また、ライン光の照射を停止させた状態で、ステージが上下方向を中心に回転することにより、読取手段がライン光の照射を停止させた状態で被写体の側方のデータを読み取ることができる。その後、ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータ(例えば変形量や変形方向)に基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを、補正手段が補正することで、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できる。
【0016】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行なライン光をステージの回転中心に向けて照射する第2のライン光照射手段をさらに備え、第2のライン光照射手段は、ステージと一体的になって回転可能に構成されてもよい。
【0017】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、第2のライン光照射手段により、第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行で且つステージの回転中心に向けて照射されるライン光が、被写体に向けて照射される。そして、第2のライン光照射手段がステージと一体的になって回転することにより、第1及び第2のライン光照射手段がライン光を照射させた状態で被写体のデータを読み取ることができる。
【0018】
これにより、第1のライン光照射手段のライン光のデータと、さらに、第2のライン光照射手段のライン光のデータ(例えば幅寸法)とに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを、補正手段が補正する。したがって、さらに正確な寸法で表された被写体のデータを取得できる。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明に係るスキャナ装置によれば、被写体の実際の寸法を測定することなく、正確な寸法で表された被写体のデータを取得できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るスキャナ装置の全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るスキャナ装置の要部斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部図であって、側面図を示す。
【図4】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部図であって、平面図を示す。
【図5】同実施形態に係るスキャナ装置におけるステージの全体図であって、斜視図を示す。
【図6】同実施形態に係るスキャナ装置におけるステージの全体図であって、傾斜した状態の内視斜視図を示す。
【図7】同実施形態に係るスキャナ装置におけるライン光照射手段の全体図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図を示す。
【図8】同実施形態に係るスキャナ装置のシステム概要図を示す。
【図9】同実施形態に係るスキャナ装置のデータ処理方法を説明する図であって、(a)は被写体の側面図、(b)は被写体の側面を読み取った補正情報データ、(c)は補正後の被写体データを示す。
【図10】本発明の他の実施形態に係るスキャナ装置におけるライン光照射手段の全体斜視図を示す。
【図11】同実施形態に係るスキャナ装置のシステム概要図を示す。
【図12】同実施形態に係るスキャナ装置のデータ処理方法を説明する図であって、(a)は被写体の側面図、(b)は被写体の側面を読み取った補正情報データ、(c)は補正後の被写体データを示す。
【図13】同実施形態に係るスキャナ装置の他のデータ処理方法を説明する図であって、(a)は被写体の側面図、(b)は被写体の側面を読み取った補正情報データを示す。
【図14】同データ処理方法を説明する図であって、(a)は一次補正後の被写体データ、(b)は二次補正後の被写体データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るスキャナ装置における第1の実施形態について、図1〜図9を参酌して説明する。
【0022】
図1〜図8に示すように、本実施形態に係るスキャナ装置1は、被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xを載置されて読取手段2と所定の水平方向(図1〜図4におけるA矢印方向であって、以下「変位方向」ともいう)で相対的に変位可能に構成されるステージ31を有するワークテーブル3とを備える。
【0023】
そして、スキャナ装置1は、被写体Xに向けてライン光L1,L2,L3を照射するライン光照射手段4と、読取手段2及びワークテーブル3並びにライン光照射手段4を収容する装置本体5とを備える。さらに、スキャナ装置1は、取得した(読み取った)データを処理する処理手段6を備える。
【0024】
読取手段2は、被写体Xの上面を上方側から読み取る上面読取部21と、被写体Xの下面を下方側から読み取る下面読取部22と、被写体Xの側面を側方側から読み取る側面読取部23とを備える。また、読取手段2は、各読取部21,22,23で読み取るデータの背景(被写体X以外の部分)を単色(例えば青色や緑色)にさせる補助光部(上面補助光部、下面補助光部及び側面補助光部)24,25,26をそれぞれ備える。
【0025】
上面読取部21は、被写体Xに向けて光を放射する一対の光源(上面光源)211,211と、被写体Xで反射した光を集光する光学系(上面光学系)212と、集光した光を受光する受光素子(上面受光素子)213とを備える。また、上面読取部21は、各上面光源211、上面光学系212及び上面受光素子213を固定する読取部本体(上面読取部本体)214を備える。
【0026】
そして、上面読取部21は、ステージ31(被写体X)に対して接離可能とすべく、上面読取部本体214を上下方向(図2のB矢印方向)に移動させて位置を調整させる第1の位置調整手段215を備える。さらに、上面読取部21は、受光系の光軸AX12が上下方向(鉛直方向)に対して傾斜して交差可能とすべく、水平方向を中心に(図2のC矢印方向に)回動させる回動手段(マルチアングル機構)216を備える。
【0027】
各上面光源211は、長尺な円筒状に形成され、長手方向が水平方向に沿って且つ変位方向と直交する方向に沿って配置される。そして、一対の上面光源211,211は、径方向(幅方向)に離間して並設される。具体的には、一対の上面光源211,211は、投光系の各光軸AX11が受光系の光軸AX12で線対称となるように配置される。また、一対の上面光源211,211は、個別に、点灯(光を放射する)状態と消灯(光を放射しない)状態とに切り替え可能に構成される。
【0028】
上面光学系212は、本実施形態において、長尺に形成され、長手方向が水平方向に沿って且つ変位方向と直交する方向に沿って配置されるレンズ212としている。そして、レンズ212は、長手方向が各上面光源211の長手方向と平行となるように配置される。また、レンズ212は、水平方向において、一対の上面光源211,211の間に配置される。
【0029】
上面受光素子213は、本実施形態において、長尺に形成され、長手方向が水平方向に沿って且つ変位方向と直交する方向に沿って配置されるCCDラインセンサ213としている。そして、CCDラインセンサ213は、長手方向が各上面光源211及びレンズ212の長手方向と平行となるように配置される。
【0030】
なお、図3において、各二点鎖線AX11は、上面読取部21の投光系(被写体Xで反射するまでの範囲)の光軸であり、二点鎖線AX12は、上面読取部21の受光系(被写体Xで反射した以降からの範囲)の光軸である。
【0031】
下面読取部22は、上面読取部21と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の光源(下面光源)221,221と、長尺なレンズからなる光学系(下面光学系)222と、長尺なCCDラインセンサからなる受光素子(下面受光素子)223とを備える。そして、各下面光源221、レンズ222及びCCDラインセンサ223は、それぞれの長手方向が水平方向に沿って且つ変位方向と直交する方向に沿うように配置されると共に、それぞれの長手方向が互いに平行となるように配置される。
【0032】
また、下面読取部22は、各下面光源221、下面光学系222及び下面受光素子223を固定する読取部本体(下面読取部本体)224を備える。そして、下面読取部22は、ステージ31(被写体X)に対して接離可能とすべく、下面読取部本体224を上下方向(図2のD矢印方向)に移動させて位置を調整する第2の位置調整手段(図示していない)225を備える。
【0033】
なお、図3において、各二点鎖線AX21は、下面読取部22の投光系の光軸であり、二点鎖線AX22は、下面読取部22の受光系の光軸である。そして、下面読取部22は、受光系の光軸AX22が上下方向(鉛直方向)に沿うように設定され、投光系の各光軸AX21が受光系の光軸AX22で線対称となるように設定されている。
【0034】
側面読取部23は、上面読取部21や下面読取部22と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の光源(側面光源)231,231と、長尺なレンズからなる光学系(側面光学系)232と、長尺なCCDラインセンサからなる受光素子(側面受光素子)233とを備える。そして、各側面光源231、レンズ232及びCCDラインセンサ233は、それぞれの長手方向が上下方向(鉛直方向)に沿って且つ変位方向と直交する方向に沿うように配置されると共に、それぞれの長手方向が互いに平行となるように配置される。
【0035】
また、側面読取部23は、各側面光源231、側面光学系232及び側面受光素子233を固定する読取部本体(側面読取部本体)234を備える。そして、側面読取部23は、ステージ31(被写体X)に対して接離可能にすべく、側面読取部本体234を水平方向(図2のE矢印方向)に移動させて位置を調整する第3の位置調整手段235と、読取中心位置を変更可能にすべく、側面読取部本体234を上下方向(図2のF矢印方向)に移動させて位置を調整する第4の位置調整手段236とを備える。
【0036】
なお、図4において、各二点鎖線AX31は、側面読取部23の投光系の光軸であり、二点鎖線AX32は、側面読取部23の受光系の光軸である。そして、側面読取部23は、投光系の各光軸AX31が受光系の光軸AX32で線対称となるように設定されている。
【0037】
各補助光部24,25,26は、長尺な円筒状に形成される補助光源241,251,261と、各補助光源241,251,261が照射する光を散光する散光板(例えば青色のアクリル薄板)242,252,262とを備える。そして、各補助光部24,25,26は、散光板242,252,262を透過した光の一部が各読取部21,22,23で受光されるべく、ステージ31を介在して、各読取部21,22,23と対向するように配置される。
【0038】
ワークテーブル3は、ステージ31の外方に配置され、上下方向(鉛直方向)を中心に回転する回転部32と、ステージ31及び回転部32が上下方向を中心に回転するための回転手段33とを備える。また、ワークテーブル3は、読取手段2に対して水平方向で相対的に変位すべく、変位方向に移動するための移動手段34を備える。
【0039】
ステージ31は、中央部に、被写体Xが載置される載置部311と、載置部311と回転部32との間に配置され、載置部311と回転部32とを接続する接続部312とを備える。また、ステージ31は、載置部311が接続部312に枢着されると共に、載置部311が接続部312に対して傾斜する角度を調整する第1の角度調整手段313を備える。
【0040】
そして、ステージ31は、接続部312が回転部32に枢着されると共に、接続部312が回転部32に対して傾斜する角度を調整する第2の角度調整手段314を備える。これにより、ステージ31は、回転部32と接続されているため、上下方向(鉛直方向)を中心に回転できると共に、回転部32に対して傾斜することができるため、上面が水平方向に対して傾斜することができる。
【0041】
載置部311は、円形状で且つ板状に形成される。そして、載置部311は、下面読取部22が被写体Xを下方側から読み取り可能にすべく、透光可能に構成される。さらに、載置部311は、水平方向に沿って配置される第1の回動軸311aを外周部に備え、第1の回動軸311aで接続部312に枢着されるため、下面読取部22との間には、被写体Xを読み取る際に障害となるものが存在しない。
【0042】
接続部312は、円環形状で且つ板状に形成され、載置部311を内部に配置する。そして、接続部312は、載置部311の第1の回動軸311aを受ける第1の軸受部312aを内周部に備える。また、接続部312は、水平方向に沿って配置される第2の回動軸312bを外周部に備え、第2の回動軸312bで回転部32に枢着される。なお、接続部312の第2の回動軸312bは、載置部311の第1の回動軸311aと直交するように配置される。
【0043】
回転部32は、円環形状で且つ板状に形成され、ステージ31を内部に配置する。そして、回転部32は、接続部312の第2の回動軸312bを受ける第2の軸受部321を内周部に備える。また、回転部32は、回転手段33の支持部材331,…にスライド自在に支持されて且つ回転手段33の駆動源332から駆動を受けることで、上下方向(鉛直方向)を中心に回転する。
【0044】
ライン光照射手段4は、上面読取部21と一体的に構成され、被写体Xの上面に向けてライン光L1を照射する上面ライン光照射部41と、下面読取部22と一体的に構成され、被写体Xの下面に向けてライン光L2を照射する下面ライン光照射部42とを備える。さらに、ライン光照射手段4は、側面読取部23と一体的に構成され、被写体Xの側面に向けてライン光L3を照射する側面ライン光照射部43を備える。
【0045】
また、各ライン光照射部41(42,43)は、ライン光L1(L2,L3)を照射する複数のライン光源411(421,431),…と、各ライン光源411(421,431)を長手方向で等間隔となるように保持する長尺な保持体412(422,432)とを備える。そして、各ライン光照射部41(42,43)は、各ライン光源411(421,431)から照射される複数のライン光L1(L2,L3),…が互いに平行となるように、被写体Xに向けてライン光L1(L2,L3),…を照射する。
【0046】
そして、上面ライン光照射部41及び下面ライン光照射部42は、変位方向に平行なライン光L1(L2),…をそれぞれ被写体Xに向けて照射する。また、側面ライン光照射部43は、変位方向に平行で且つステージ31の回転方向に平行なライン光L3,…を被写体Xに向けて照射する。
【0047】
なお、各ライン光照射部41(42,43)に、スポット光源ではなく、ライン光源411(421,431)を採用することで、被写体Xのさまざまな立体的な形状に関わらず、被写体Xで反射したライン光L1(L2,L3)の一部が各読取部21(22,23)で受光され得る。
【0048】
具体的には、スポット光源においては、各読取部21(22,23)が被写体Xの表面を読み取る位置(以下、「読取位置」という)Xpと、スポット光源が被写体Xの表面を照射する位置(スポット)とが、一致させる必要があるのに対して、ライン光源411(421,431)においては、各読取部21(22,23)の読取位置Xpが、ライン光源411(421,431)が被写体Xの表面を照射する範囲(ライン)に、含まれていればよい。したがって、被写体Xの立体的な形状に対応して、ライン光源411,421,431の位置を調整(被写体Xとの離間距離を調整)する必要がない。
【0049】
処理手段6は、所望の処理を行うために操作されるキーボードやマウス等からなる入力手段61と、データを他の装置に向けて外部に出力するための外部出力端子や、データを表示するモニタ等からなる出力手段62とを備える。また、処理手段6は、装置を制御し且つデータを記憶・補正・演算する制御手段63を備える。
【0050】
制御手段63は、移動手段34を制御することで、ワークテーブル3を移動させる移動制御手段631と、回転手段33を制御することで、ステージ31及び回転部32を回転させる回転制御手段632とを備える。また、制御手段63は、読取手段2(各読取部21,22,23)を制御する読取制御手段633を備える。
【0051】
そして、制御手段63は、ライン光照射手段4(各ライン光照射部41,42,43)を制御するライン光制御手段634を備える。さらに、制御手段63は、各読取部21,22,23が読み取ったデータを記憶する記憶手段635と、取得したデータを補正(演算)する補正手段636とを備える。
【0052】
そして、補正手段636は、ライン光L1,L2,L3を照射させた状態で読み取ったデータ(以下、「補正情報データ」という)Y1におけるライン光L1,L2,L3のデータに基づき、ライン光L1,L2,L3の照射を停止させた状態で読み取った被写体Xのデータ(以下、「被写体データ」という)Y2を補正する。
【0053】
本実施形態に係るスキャナ装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るスキャナ装置1のデータ処理方法について、図9を参酌して、説明する。具体的には、図9(a)に示すように、凸部X1と凹部X2とが存在する被写体(御椀)Xの側面を読み取る場合について、説明する。
【0054】
まず、側面読取部23の読取中心位置を、被写体Xの上縁の位置に合わせる。そして、読取制御手段633により、各側面光源231を消灯させると共に、ライン光制御手段634により、各側面ライン光源431を点灯させる。その後、移動制御手段631により、ワークテーブル3を水平方向に移動させる。これにより、図9(b)に示すように、被写体Xの立体情報がライン光L3の変形として表れた補正情報データY1を取得でき、記憶手段635に記憶させる。
【0055】
例えば、本実施形態に係る被写体Xは、変位方向の両側に向かって側面読取部23との離間距離が次第に大きくなる形状であるため、読取中心位置においては、ライン光L3が直線として表れ、読取中心位置よりも下方においては、ライン光L3が下方向に凸な曲線として表れる。また、凸部X1や凹部X2においては、ライン光L3が局所的に変形した曲線として表れる。
【0056】
なお、本実施形態においては、側面読取部23の読取中心位置を、被写体Xの上縁の位置に合わせた場合を説明しているが、読取中心位置を被写体Xの高さの中心等に設定した場合、読取中心位置よりも上方においては、ライン光L3が上方に凸な曲線として表れることになる。
【0057】
次に、読取制御手段633により、各側面光源231を点灯させると共に、ライン光制御手段634により、各側面ライン光源431を消灯させる。その後、移動制御手段631により、ワークテーブル3を水平方向に移動させる。これにより、被写体データY2を取得でき、記憶手段635に記憶させる。
【0058】
そして、補正手段636により、ライン光L3を照射させた状態で読み取った補正情報データY1におけるライン光L3のデータ(変形量や変形方向)に基づき、ライン光L3の照射を停止させた状態で読み取った被写体データY2を補正する。具体的には、図9(c)に示すように、補正情報データY1と被写体データY2との関係から、補正情報データY1のライン光L3が所定形状に補正されるように、より具体的には、補正情報データY1のライン光L3が直線に補正され且つ各ライン光L3間の間隔が等間隔に補正されるように、被写体データY2を補正する。
【0059】
そして、補正された被写体データY2を画像化して出力手段62に出力する。同様の方法により、上面読取部21で読み取った被写体データY2や、下面読取部22で読み取った被写体データY2も、各読取部21,22で読み取った補正情報データY2におけるライン光L1,L2のデータに基づき、補正することができる。
【0060】
以上より、本実施形態に係るスキャナ装置1によれば、ライン光照射手段4(各ライン光照射部41,42,43)により、ステージ31が読取手段2(各読取部21,22,23)と相対的に変位する変位方向に平行な複数のライン光L1(L2,L3),…が、互いに平行となって被写体Xに向けて照射される。
【0061】
そして、一体的に構成される読取手段2(各読取部21,22,23)及びライン光照射手段4(各ライン光照射部41,42,43)が、ステージ31と変位方向で相対的に変位することにより、ライン光L1(L2,L3),…を照射させた補正情報データY1を読み取ることができる。
【0062】
さらに、ライン光L1(L2,L3),…の照射を停止させた状態で、読取手段2(各読取部21,22,23)及びライン光照射手段4(各ライン光照射部41,42,43)がステージ31と変位方向で相対的に変位することにより、ライン光L1(L2,L3),…の照射を停止させた被写体データY2を読み取ることができる。
【0063】
その後、ライン光L1(L2,L3)を照射させた状態で読み取った補正情報データY1におけるライン光L1(L2,L3)のデータの変形量や変形方向に基づき、ライン光L1(L2,L3),…の照射を停止させた状態で読み取った被写体データY2を、補正手段636が補正することで、正確な寸法で表された被写体データY2を取得できる。
【0064】
次に、本発明に係るスキャナ装置における第2の実施形態について、図10〜図14を参酌して説明する。なお、図10〜図14において、図1〜図9の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と同一の構成又は要素を表す。
【0065】
図10及び図11に示すように、本実施形態に係るスキャナ装置10は、第1実施形態に係るスキャナ装置1と比較して、変位方向に平行なライン光L3,…(以下、「第1のライン光L31」という)を被写体Xに向けて照射するライン光照射手段(以下、「第1のライン光照射手段」という)4とは別に、第1のライン光照射手段4が照射する第1のライン光L31,…と直交する方向に平行な第2のライン光L32,…を被写体Xに向けて照射する第2のライン光照射手段7をさらに備える点で異なる。
【0066】
また、本実施形態に係るスキャナ装置10は、第1実施形態に係るスキャナ装置1と比較して、ステージ31を変位方向に移動させて読取手段2(各読取部21,22,23)で読み取ったデータを補正する補正手段(以下、「第1の補正手段」という)636とは別に、ステージ31を回転させて読取手段2(側面読取部23)で読み取ったデータを補正する第2の補正手段637を制御手段630(処理手段60)に備える点でも異なる。なお、本実施形態に係るスキャナ装置10は、それ以外の構成については、第1実施形態に係るスキャナ装置1と略同一の構成である。
【0067】
第2のライン光照射手段7は、被写体Xの側面に向けて第2のライン光L32,…を照射する第2の側面ライン光照射部71を備える。そして、第2の側面ライン光照射部71は、第2のライン光L32を照射する複数のライン光源711,…と、各ライン光源711を周方向で等間隔となるように保持する円環形状の保持体712とを備える。
【0068】
これにより、第2の側面ライン光照射部71は、ステージ31(被写体X)の回転中心に向けて第2のライン光L32,…を照射すると共に、ステージ31の回転中心周りにおいて等角度間隔で被写体Xに向けて第2のライン光L32,…を照射する。また、第2の側面ライン光照射部71は、ワークテーブル3の回転部32に固定され、ステージ31及び回転部32並びに読取手段2と一体的になって変位方向に移動可能に構成されると共に、ステージ31及び回転部32と一体的になって上下方向を中心に回転可能に構成される。
【0069】
本実施形態に係るスキャナ装置10の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るスキャナ装置10における、第1のデータ処理方法について図12を参酌し、また、第2のデータ処理方法について図13及び図14を参酌して、説明する。
【0070】
まず、第1の補正手段636を用いた第1のデータ処理方法について説明する。斯かるデータ処理方法においては、側面読取部23の読取中心位置を、被写体Xの上縁の位置に合わせた後、読取制御手段633により、各側面光源231を消灯させると共に、ライン光制御手段634により、各第1の側面ライン光源431及び各第2の側面ライン光源711を点灯させる。
【0071】
その後、移動制御手段631により、ワークテーブル3を水平方向に移動させる。これにより、図12(b)に示すように、被写体Xの立体情報がライン光L31,L32の変形として表れたデータ(以下「補正情報データ」という)Y1を取得でき、記憶手段635に記憶させる。
【0072】
第1のライン光L31においては、被写体Xの形状が第1実施形態で説明したような線として表れる。また、第2のライン光L32においては、被写体Xの形状に沿った曲線として表れると共に、凸部X1や凹部X2が局所的に変形した曲線として表れる。
【0073】
次に、読取制御手段633により、各側面光源231を点灯させると共に、ライン光制御手段634により、各第1の側面ライン光源431及び各第2の側面ライン光源711を消灯させる。その後、移動制御手段631により、ワークテーブル3を水平方向に移動させる。これにより、被写体データY2を取得でき、記憶手段635に記憶させる。
【0074】
そして、第1の補正手段636により、補正情報データY1におけるライン光L31,L32のデータの変形量や変形方向に基づき、被写体データY2を補正する。具体的には、図12(c)に示すように、補正情報データY1と被写体データY2との関係から、補正情報データY1の第1のライン光L31が直線及び等間隔となるように補正され、補正情報データY1の第2のライン光L32の凹凸形状が画角に影響されない形状に補正されるように、被写体データY2を補正する。
【0075】
そして、補正された被写体データY2を画像化して出力手段62に出力する。同様の方法により、上面読取部21で読み取った被写体データY2や、下面読取部22で読み取った被写体データY2も、各読取部21,22で読み取った補正情報データY2における第1及び第2のライン光のデータに基づき、補正することができる。
【0076】
次に、第2の補正手段637を用いた第2のデータ処理方法について説明する。斯かるデータ処理方法においても、側面読取部23の読取中心位置を、被写体Xの上縁の位置に合わせた後、読取制御手段633により、各側面光源231を消灯させると共に、ライン光制御手段634により、各第1の側面ライン光源431及び各第2の側面ライン光源711を点灯させる。
【0077】
その後、回転制御手段632により、上下方向を中心にステージ31を回転させる。これにより、図13(b)に示すように、被写体Xの立体情報がライン光L31,L32の変形として表れた補正情報データY1を取得でき、記憶手段635に記憶させる。なお、図13(b)においては、補正情報データY1の一部を図示している。
【0078】
例えば、第1のライン光L31においては、被写体Xの形状が線間距離として表れると共に、凸部X1や凹部X2が曲線として表れる。また、第2のライン光L32においては、被写体Xの形状が線の太さ(幅)として表れる。
【0079】
次に、読取制御手段633により、各側面光源231を点灯させると共に、ライン光制御手段634により、各第1の側面ライン光源431及び各第2の側面ライン光源711を消灯させる。その後、回転制御手段632により、上下方向を中心にステージ31を回転させる。これにより、被写体データY2を取得でき、記憶手段635に記憶させる。
【0080】
そして、第2の補正手段637により、補正情報データY1における第1のライン光L31のデータに基づき、被写体データY2を補正(一次補正)する。具体的には、図14(a)に示すように、補正情報データY1と被写体データY2との関係から、補正情報データY1の第1のライン光L31が直線に補正されるように、被写体データY2を補正する。なお、図14(a)においては、被写体データY2の一部を図示している。
【0081】
さらに、第2の補正手段637により、補正情報データY1における第2のライン光L32のデータに基づき、被写体データY2を補正(二次補正)する。具体的には、図14(b)に示すように、補正情報データY1と被写体データY2との関係から、補正情報データY1の第2のライン光L32の幅が一定に補正されるように、被写体データY2を補正する。なお、一次補正と二次補正との順番が反対に行われてもよい。そして、補正された被写体データY2を画像化して出力手段62に出力する。
【0082】
以上より、本実施形態係るスキャナ装置10によれば、第2のライン光照射手段7により、第1のライン光照射手段4が照射する第1のライン光L31と直交する方向に平行なライン光L32が、被写体Xに向けて照射される。そして、第2のライン光照射手段7がステージ31と一体的になって読取手段2と変位方向で相対変位することにより、被写体Xの立体情報が第2のライン光L32のデータとして表れた補正情報データY1を取得できる。これにより、さらに正確な寸法で表された被写体データY2を取得できる。
【0083】
また、本実施形態に係るスキャナ装置10によれば、読取手段2と一体的に構成される第1のライン光照射手段4により、ステージ31が回転する回転方向に平行な複数のライン光L31,…が、互いに平行となって被写体Xに向けて照射される。そして、ステージ31が上下方向を中心に回転することにより、読取手段2がライン光L31を照射させた状態で被写体Xの側方のデータを読み取ることができる。
【0084】
さらに、ライン光L31,…の照射を停止させた状態で、ステージ31が上下方向を中心に回転することにより、読取手段2がライン光L31の照射を停止させた状態で被写体Xの側方のデータを読み取ることができる。その後、補正情報データY1におけるライン光L31のデータに基づき、被写体データY2を第2の補正手段637が補正することで、正確な寸法で表された被写体Xのデータを取得できる。
【0085】
また、本実施形態に係るスキャナ装置10によれば、第2のライン光照射手段7により、第1のライン光L31と直交する方向に平行で且つステージ31の回転中心に向けて照射されるライン光L32が、被写体Xに向けて照射される。そして、第2のライン光照射手段7がステージ31と一体的になって回転することにより、被写体Xの立体情報が第2のライン光照射手段7のライン光L32のデータとして表れた補正情報データY1を取得できる。これにより、さらに正確な寸法で表された被写体データY2を取得できる。
【0086】
なお、本発明に係るスキャナ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0087】
例えば、上記第2実施形態に係るスキャナ装置10においては、第2のライン光照射手段7が第2の側面ライン光照射部71を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。具体的には、第2のライン光照射手段は、第2の上面ライン光照射部と、第2の下面ライン光照射部とをさらに備える場合でもよい。
【0088】
そして、第2の上面(下面)ライン光照射部は、第1の上面(下面)ライン光照射手段41(42)が照射するライン光L1(L2)と直交する方向に平行で且つ互いに平行な複数のライン光を被写体Xに向けて照射するように構成される。具体的には、第2の上面(下面)ライン光照射部は、ライン光を照射する複数のライン光源と、各ライン光源を長手方向で等間隔となるように保持する長尺な保持体とを備え、ステージ31と一体的になって、読取手段2と所定方向(変位方向)で相対的に変位可能に構成される。
【0089】
また、上記第2実施形態に係るスキャナ装置10においては、第2のライン光照射手段7が複数のライン光源711を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、第2のライン光照射手段が一つのライン光源を備える場合でもよい。具体的には、ライン光源がステージ31と一体的になって回転し、所定角度回転した後に、ライン光源のみが当該所定角度分を反対方向に(戻るように)回転し、さらにその後、ステージ31と一体的になって回転することを繰り返すことで、ライン光源が周方向で所定角度間隔に複数配置されている場合と同様のデータを取得できる。
【0090】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、読取手段2が上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23のうち、一つ又は二つの読取部を備える場合でもよい。
【0091】
また、一つの読取部が移動することにより、被写体Xを上方からも、下方からも、そして側方からも読み取ることができる場合でもよく、さらには、側面読取部23と対向する位置に、被写体Xの反対側の側面を読み取るためのもう一つの側面読取部を備える場合でもよい。但し、第2の実施形態に係るスキャナ装置10においては、読取手段が被写体Xの側面を読み取り可能に構成されている必要がある。
【0092】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、ワークテーブル3(ステージ31)が水平方向に移動することにより、被写体Xを読み取る場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、読取手段が移動する場合でもよく、読取手段及びワークテーブルが両方とも移動する場合でもよい。
【0093】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、第1の位置調整手段215により、上面読取部21がステージ31に対して接離し、第2の位置調整手段225により、下面読取部22がステージ31に対して接離し、第3の位置調整手段235により、側面読取部23がステージ31に対して接離する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、各読取部の光学系が複数のレンズからなる焦点自動調整機能(オートフォーカス機能)を備え、各読取部が被写体Xとの離間距離に応じてフレキシブルに対応できる場合でもよい。
【0094】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、各受光素子213,223,233がCCDラインセンサである場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、CMOSである場合でもよく、CCDエリアセンサである場合でもよい。そして、CCDエリアセンサの場合には、読み取ったデータのうち、所定のライン状の部位のデータを選択すればよい。
【0095】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、第1の各ライン光照射部41,42,43が各読取部21,22,23に対して変位方向の一方側に配置される場合を説明したが、斯かる場合に限られず、第1の各ライン光照射部41,42,43が各読取部21,22,23に対して変位方向の両側に配置される場合、即ち、変位方向で各読取部21,22,23を挟むように一対配置される場合でもよい。
【0096】
即ち、第1の各ライン光照射部41,42,43が各読取部21,22,23に対して変位方向の一方側に配置される場合であれば、被写体Xの凹凸形状により、画像補正データY1のライン光L1,L2,L3(L31)が断続する場合もあり得るが、斯かる構成によれば、被写体Xの立体的な形状に関わらず、ライン光L1,L2,L3(L31)が連続する画像補正データY1を取得できる。
【0097】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1,10においては、側面読取部23の読取中心位置を被写体Xの上縁に設定する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。要するに、各読取部21,22,23の読取中心位置は、自由に設定できる。
【0098】
また、本発明に係るスキャナ装置は、例えば転がり易い被写体を、針金や樹脂で形成された支持具で支持された状態で読み取る場合でもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…スキャナ装置、2…読取手段、4…(第1の)ライン光照射手段、7…(第2の)ライン光照射手段、31…ステージ、636…(第1の)補正手段、637…(第2の)補正手段、X…被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体を載置されるステージとを備え、
読取手段及びステージは、所定方向で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、
読取手段と一体的に構成され、前記所定方向に平行な複数のライン光が互いに平行となるように、被写体に向けて複数のライン光を照射する第1のライン光照射手段と、
ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを補正する補正手段とを備えることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行なライン光を被写体に向けて照射する第2のライン光照射手段をさらに備え、
第2のライン光照射手段は、ステージと一体的になって、読取手段と所定方向で相対的に変位可能に構成される請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
被写体に向けて光を放射し且つ被写体の側方側で反射した光を読み取る読取手段と、被写体を載置されるステージとを備え、
ステージは、上下方向を中心に回転可能に構成されるスキャナ装置において、
読取手段と一体的に構成され、回転方向に平行な複数のライン光が互いに平行となるように、被写体に向けて複数のライン光を照射する第1のライン光照射手段と、
ライン光を照射させた状態で読み取ったデータにおけるライン光のデータに基づき、ライン光の照射を停止させた状態で読み取った被写体のデータを補正する補正手段とを備えることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項4】
第1のライン光照射手段が照射するライン光と直交する方向に平行なライン光をステージの回転中心に向けて照射する第2のライン光照射手段をさらに備え、
第2のライン光照射手段は、ステージと一体的になって回転可能に構成される請求項3に記載のスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−233054(P2011−233054A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104716(P2010−104716)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000111247)ニューリー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】