スキーおよび/またはスノーボードに用いる結合具
つま先側およびかかと側のシューホルダー(5、7)が支持部品(8、9)に配置され、これら支持部品は、スキーに固定取り付け可能な結合具ベース(2)に対して、縦方向に位置調節可能な状態で配置されている。これら支持部品はスライダーとして形成され、このスライダーは、スキー上面と結合具ベースの間に、縦方向に位置調節可能な状態で配置されている。この場合スキーと結合具ベースが共同作用することにより、支持部品は垂直方向を固定して取り付けられている。そのほか支持部品は、結合具ベースに配置された案内形材(12)に噛み込み、この形材によって支持部品は横方向に動くことなく案内される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキーないしスノーボードに用いる次のような結合具に関する。すなわちこの結合具は、前部ないしつま先側の、ならびに後部ないしかかと側のシューホルダーと、そのシューホルダーを保持する支持部品とを備え、この支持部品は、スキーまたはスノーボードに固定された結合具ベース(訳注:原文の用語法は、明細書本文前半ではBasisanordnung「結合具ベース」、図面を用いた後半の説明ではBasisplattenanordnung「結合具ベース板」としているので、訳文もそれを反映した)に対して、結合具の縦方向に位置調節可能な状態で、取り付けられている。
【背景技術】
【0002】
US3,857,186の場合、このような結合具において、次のことを意図する。すなわち、シューホルダーないしその支持部品をたがいに結合するが、この結合は、これら支持部品をたがいに反対方向に同時に移動して、大きさの異なる靴に結合具を適合できるようにするため行う。
【0003】
このUS3,857,186の場合、この結合具ベースをプレート状の扁平な直方体ハウジングとし、このハウジングの閉じた下面がスキーに密着して取り付けられている。上面は、ハウジングの縦方向に伸びる開口部を備え、この開口部は、その中をスライド可能なシューホルダー支持部品を案内するのに用いられる。この開口部の縦方向エッジは、支持部品の対応する左右の溝に噛み込むことができる。支持部品ないしそれに支持されるシューホルダーを、運動に合わせて結合し、調整するため、1つのねじつきスピンドルを設けることができる。このスピンドルはこのベース部品内部に、軸方向にスライドできないが、回転可能な状態で取り付けられ、ねじの方向が反対である2つのねじ部を備える。この場合一方の支持部品は一方のねじ部に、そして他方の支持部品は他方のねじ部に、ねじの回転による位置調節可能な状態で配置されている。
【0004】
またUS3,857,186の場合、シューホルダーを運動に合わせて結合するためのそのほかの手段、たとえばラックアンドピニオンも提案される。
【0005】
AT402900Bで知られている結合具は、同時的な位置調節のため運動に合わせて結合されたシューホルダーを備え、このシューホルダーをスライダーとして形成する。このスライダーはさらに、スキーに固定されたベースプレート上を案内され、そのためこのベースプレートは、たとえばC字形の断面を持つ縦方向エッジを備えるものとすることができる。
【0006】
EP0857498B1には、主としてスノーボードのため考えられた結合具を記載する。この結合具は固定されたベースプレートである。このベースプレートは、スノーボードの上側の中央部分に、ねじの回転による位置調節可能な状態で固定されている。この固定は、ベースプレートの末端領域がスノーボードの上面と間隔を取る状態で行われる。すなわちこれら末端領域は、スノーボードの上面より上に自己保持しながら伸びる。
【0007】
この末端領域に、支持部品がスライド可能な状態で配置され、これら支持部品はさらにシューホルダーを保持するために用いられる。これら支持部品は、ベースプレートをパイプ状に把握する位置関係にある。このEP0857498B1に記載の実施形態は、ベースプレートの縦方向に、ねじつきスピンドルによって同時にスライドすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の結合具において、とくに簡単な構造、とくに支持部品のスライド案内に関連して簡単な構造を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。すなわち結合具ベースを、支持部品領域においては、スキーないしスノーボードの上面に対して開いたわん部構造部品として、そして支持部品のいずれをもスライダーとして形成し、このスライダーは、スキーまたはスノーボードの上面と結合具ベースとの間で、縦方向にスライド可能な状態で配置されるものとする。好ましくはこれら支持部品は、スキーないしスノーボードの上面と、結合具ベースの左右縦方向エッジの一部との間を、垂直方向には動かない状態で案内されるものとする。また案内用形材に形状結合的(訳注:原文はformschlussig。日本語、英語にはない概念で、ドイツでは結合方法を力学的結合kraftschlussig―たとえばベルト、楔、ねじなど―、形状的結合formschlussig−鉄道連結器、リベット、圧着など―、素材的結合stoffschlussig―接着、溶接など―の3種に分類している)に噛み込むことにより、結合具ベースを横方向に動かない状態で案内される。この案内用形材は、スキーないしスノーボードの上面を向き、結合具の縦方向に伸びている。
【0010】
本発明は、次のような一般的考えに基づく。それは、スキーないしスノーボードの上面をほぼ直接に案内部品として、すなわち結合具の支持部品を垂直方向に動かないようにして案内する案内部品として利用しようというものである。この場合、次のような知識を利用する。それは、スキーないしスノーボードは、結合具の取り付けに予定される領域が、かならず強くて荷重に耐える構造であり、したがって案内機能の支持体としてだけでなく、案内エレメントとしても利用できるというものである。
【0011】
結合具ベースの下面が開いていることにより、支持部品を容易に案内用形材に噛み込ませることができ、その結果、結合具の取り付け全体が著しく簡単になる。
【0012】
本発明の1つの好ましい実施形態では、支持部品をたがいに反対方向に同時にスライド可能な状態で結合することができ、好ましくはねじつきスピンドルによってこの結合を行い、このスピンドルは、一方の支持部品に割り当てられた右巻きのねじ部と、他方の支持部品に割り当てられた左巻きのねじ部とを備えるものとする。
【0013】
ここでとくに合目的なのは、支持部品のねじ部にねじ込まれたねじつきスピンドルは、主としてそのねじ部でのみラジアル軸受けされることである。これにより次の可能性が得られる。すなわちねじつきスピンドルは、支持部品のねじ部にねじ込まれた後、結合具ベースの開かれた下面から結合具ベースのスラスト軸受に挿入され、2本の湾曲脚に挟まれることにより、結合具ベースのスラスト軸受に確保される。ここでは支持部品のねじつきスピンドルが、事前組み立てした上で結合具ベースに完全に挿入できるユニットを形成する。
【0014】
支持部品のねじつき部分とねじつきスピンドルとの結合は、通常のねじピッチであればセルフロック機能を持つ。すなわち支持部品は、スピンドル上で、直接スピンドルに―たとえば何らかのツールを用いて―作用するトルクによってのみ、位置調整可能なものとする。
【0015】
望ましからざる位置変更を防止するため、本発明の合目的な実施形態は、このねじつきスピンドルの円周に多数のラチェット歯を設けることを意図する。このラチェット歯は、結合具ベースに設けられたラチェット機構と、たとえば結合具ベースに固定されたリーフスプリング上のラチェット機構と、共同作用するものとする。
【0016】
一方のシューホルダーは、好ましくはC字形のフレームの形状とする。そしてこのフレームは、靴の前部ないし靴ソールエッジを捕捉、把握し、またフレームのC字末端は、結合具ベース左右の縦方向エッジのうち支持部品に接する部分を、横方向から把握し、またこの縦方向エッジの部分に向かって開かれた横方向溝、かつ支持部品に接する横方向溝に、回転軸受けされている。
【0017】
他方の任意にロック、ロック解除可能なシューホルダーは、好ましくはもう1つのC字形フレームのオフセットされた中央領域に設けられるものとし、このフレームのC字形末端は、結合具ベース左右の縦方向エッジの、もう1つの支持部品に接する部分を、横方向から把握し、上記の縦方向エッジ部分に向かって開かれた横方向溝、かつ他方の支持部品に接する横方向溝に、回転軸受けされている。
【0018】
すなわちこの実施形態の場合、結合具ベースの縦方向エッジのこの部分は、支持部品のC字形フレームを保持するためにも用いられている。これにより同時に組み立てが著しく容易になる。
【0019】
もう1つのシューホルダーは、もう1つのC字形フレームに回転軸受けされた部品を備えるものとすることができる。この部品は、このもう1つのC字形フレームを差し込むための大きな開口部を設けられ、この開口部は、C字形フレームにシューホルダーを取り付けた状態のとき、C字形フレームへのシューホルダー部品のラジアル軸受を遊びのないものとするため、インサートないしフィッティングピースによって小さくすることができる。
【0020】
この場合とくに次のことを意図することができる。すなわち、大きい開口部を備えるシューホルダーの側壁部から内側に、フィッティングピースを挿入することができるようにし、そしてシューホルダーが使用状態のときは、その内側に隣接するオフセット部分によって、フィッティングピースを確保したいというものである。
【0021】
そのほか好ましい諸事項に関して、各請求項および図面を参照されたい。また本発明のとくに好ましいバリエーションを用いて、それら諸事項を詳しく説明する。この場合権利保護の範囲は、明文をもって記載または示された事項に限られない。むしろこの権利保護は、それら諸事項の原則的に任意の組み合わせに対しても請求される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1、2、4では、図2だけにその一部が示唆されているスキー1、とくにショートスキーの上に、結合具ベース板2が設けられている。この固定にはスキーにねじ込まれるねじ(ここには図示しない)を用いることができ、このねじは、結合具ベース板2の対応する取り付け穴3(図1参照)に差し込まれる。結合具ベース板の上面には、前部および後部の踏面2′および2″が設けられ、これらの踏面は、この結合具に挿入されるスキー靴の前部および後部ソール領域の支持面として用いられる。このスキー靴を図2では点線で示唆する。スキー靴4の固定には、フレーム状の前部シューホルダー5と、もう1つのフレーム6に保持されてロック可能な後部シューホルダー7とが用いられる。前部のフレーム状のシューホルダー5は前部ソールエッジを捕捉し、その際同時につま先部も把握する。後部のシューホルダー7は、その使用ポジションにおいてかかと側のソールエッジを捕捉し、その際同時に靴のソールエッジおよび/またはかかと部を把握する。下記に説明するように、後部シューホルダー7は、結合部から取り外すとき手操作で調節して、図3の位置とすることができる。靴4を結合部に挿入すると、シューホルダー7はこの位置から、図2のロックされた使用位置に自動的に折り返される。すなわち後部のシューホルダー7は、いわゆるつっかけ式ロック機能を持つ。フレーム状の前部のシューホルダー5と、後部シューホルダー7のフレーム6は、それぞれ支持部品8および9に保持され、これら支持部品は、結合具をさまざまに異なるソール長さに適合させるため、スキー1ないし結合具の縦方向にスライド可能かつ調整可能な状態で、配置されている。これについても下記でさらに詳しく説明する。
【0023】
結合具ベース板2は、スキー1の上面に対して開いているわん形結合具として形成されている。結合具ベース板2がスキー1に取り付けられているとき、このシェルのエッジはスキー上面に固定密着している。シェルエッジには、前部および後部の開口部10および11が明いていて、前部および後部の支持部品8および9が、これらの開口部を通って左右に突出する。またこれら支持部品は、結合具ベース板2の下でシェル内部に取り付けられている。
【0024】
開口部10および11の縦方向エッジは、スキー上面とともに、支持部品8および9のうちこれら開口部を貫通する部分に対する垂直案内部を形成する。したがって支持部品8および9は垂直方向を保持される。
【0025】
ベースプレート2が形成するわん部内面には、図7に記載するように、平行な縦方向突起12が配置され、この突起12は側壁部13を捕捉する。この側壁部13は、支持部品8および9から成形され、縦方向突起12に平行である。またこの捕捉によって、支持部品8および9が、スキー1ないし結合具の横方向から保持されるものとする。
【0026】
支持部品8および9のスライドによる位置調節のため、図2および4に記載のねじつきスピンドル14が用いられる。このねじつきスピンドルは、前部支持部品8に割り当てられた前部のねじ部と、支持部品9に割り当てられた後部ねじ部をと備える。これらのねじ部は、たがいにねじの方向が反対である。すなわち一方のねじは右回り、他方のねじは左回りである。これらのねじ部により、ねじつきスピンドル14を、支持部品8および9のそれぞれ相手側ねじ部品にねじ込むことができる。これら相手側ねじ部品の配置ないし取り付けをさらに下記で説明する。ねじつきスピンドル14(訳注:原文の17を訂正)は、各ねじ部の間に配置されたリング状突起15を備え、この突起は、結合具ベース板2のシェル内側に成形された横方向突起と共同作用して、ねじつきスピンドル14をスラスト軸受けする。
【0027】
結合具ベース板2をスキー1から分離しても、ねじつきスピンドル14が結合具ベース板と結合されたままにできるよう、図2および4に示すねじつきスピンドル14の左側末端が、結合具ベース板2の前部領域におけるポケット状の開口部に差し込まれる。そのほかこのねじつきスピンドル14は、弾性ある側壁部16の間の中央領域と噛み合うが、これら側壁部は、結合具ベース板2に成形されたものであって、弾性変形により左右に開くことができる状態で、ねじつきスピンドル14の円周を把握する。
【0028】
ねじつきスピンドル14のラジアル軸受は、支持部品8および9における相手側ねじ部品が行う。
【0029】
図2および4に示すねじつきスピンドル14の右側末端には、プラス溝つきヘッドまたは同様なものが配置され、ねじ回し工具をここに挿入して、ねじつきスピンドルを回すことができる。その際支持部品8および9は、スピンドル14の回転方向に従って、たがいに接近したり離れたりする。
【0030】
ねじつきスピンドル14は、支持部品8および9の相手側ねじ部品の中で、セルフロックによりそれぞれの回転位置を保持される。そのほかねじつきスピンドル14には、さらにラチェットホイール17が回転を固定されて配置され、ないしはそこに成形されている。このラチェットホイールはその円周に多数のラチェット歯を備え、これらラチェット歯は、結合具ベース板2の(ここには図示しない)ラチェットスプリングと共同作用する。これらラチェットスプリングは、たとえばノッチとして働く条溝をもつリーフスプリングの形状とすることができる。これによりねじつきスピンドル14は、すぐそばの回転ポジションに自動的にロックされる。
【0031】
支持部品8および9、ならびに支持部品8および9におけるフレーム5および6の軸受は、原則として同一種類の形状とし、これらは、結合具の1つの垂直断面に関して、たがいに構造的にほぼ対称形とする。下記では図5〜8を用いて、支持部品9についてだけ詳しく説明する。
【0032】
支持部品9は側壁部13の横に、スキー上面に密着する比較的扁平なアーム18を備え、そのアームの上面に、上から見るとほぼZ字形の中空部19を形成する。この中空部の中央部分はそれぞれ横方向に延びている。いずれの中空部も一方の末端部分は、その方向にあるフランク13に平行に位置する。他方の末端部分は、各アーム18の末端領域内部にあって、フランク13と平行に形成されている。
【0033】
結合具の横方向に伸びる中空部19中央部分は、フレーム6の横方向に伸びる末端6′の受け具として用いられる(図9参照)。この場合、中空部19からフレーム6の末端部分6′が外れるのを、結合具ベース板2の開口部11の縦方向エッジによって防止する。すなわち開口部11の縦方向エッジと中空部19との間で、フレーム6の末端部分6′が、半径方向の遊びなしに保持される。
【0034】
フレーム6の末端部分6′は、ほぼ直角に曲げられた自由な末端を持ち、この末端は支持部品9の側壁部13に弾性作用しながら密着する。フレーム6が図2および図4に示す各位置の間を旋回するとき、そのほぼ直角に曲がった両末端は、側壁部13に成形された垂直で細長い突起部分20において若干左右に開く。その結果としてフレームの旋回運動の際には、1つの手ごたえのあるポイントを通過しなければならないことになる。
【0035】
そのほか、図2および4に示すフレーム6の旋回位置は最終位置を示す。この最終位置には次のようにして到達する。支持部品9のアーム18の末端では、そこで縦方向に伸びる中空部19の領域に、傾斜面が形成されているが、図2の位置の場合、フレーム6の脚がこの傾斜面に密着することにより到達する(図2参照)。図4の最終位置は次のようにして決定される。末端部分6′のほぼ直角に曲がった末端が、中空部19のうち側壁部13にそって伸びる部分の底部に密着することによる。
【0036】
支持部品9には下方に開くポケット21が形成され、このポケットには下方からナット22を挿入できる(図8参照)。このナットは、ねじつきスピンドル14の割り当てられたねじ部に対して、相手側ねじ部品として用いられ、上記のポケット21に、回転しない状態かつ軸方向にスライドしない状態で保持される。
【0037】
フレーム6はその中央部分にオフセット6″を持ち、これに部分6″′がこれに続く。この後者の部分は、後部シューホルダー7の取り付け軸として用いられる。
【0038】
後部シューホルダー7は、図2および3に記載の通り、スキー靴4と共同作用するシューホルダーの部分7′、ならびに軸23を中心に旋回可能な状態で前記部分と結合されている操作具7″を備える。さらに軸23はヒンジスプリング24を取り付けられ、このヒンジスプリングは操作具7″を、図2に示すシューホルダーの部分7′に対し、反時計回りに旋回させようとする。
【0039】
シューホルダーの部分7′は、軸23とは間隔を取って、フレーム6の部分6″′に回転取り付けされている。操作具7″は、フレーム6のオフセット部分6″と共同作用する。そのため操作具7″に突起25を成形し、この突起は、シューホルダー7が図2に示す位置にあるとき、オフセット部分6″を幅広く捕捉する。この場合、オフセット部分6″が、操作具7″の突起25のそばに形成された凹部26に完全に収められると、捕捉されたことになる。図2の位置ではシューホルダーの部分7′がロックされる。すなわち、フレーム6に対して時計回りとなる回転が遮断される。なぜならばシューホルダーの部分7′は操作具7″を、フレーム6に対して時計回りの回転方向には動かすことができないからである。これは、図2に示す操作具7″の突起25が、オフセット部分6″に関して上死点(訳注:「過死点位置」はUbertotpunktの直訳。詳細不明です)を取ることに基づく。
【0040】
操作具7″を手操作で図2に示す位置から時計回りに位置調節するならば、操作具を図3の位置に傾倒させることができる。この位置でシューホルダーの部分7′が、靴4を解放する位置に運ばれる。図3に示すシューホルダーのポジションは自己保持される。なぜならば操作具7″の突起25が、ヒンジスプリング24によって、オフセット部分6″に関して上死点に保持されるからである。
【0041】
シューホルダー7が図3のポジションを取って、靴4が結合部に挿入されるとき、シューホルダーの部分7′に成形された爪27が踏み込まれる。その結果シューホルダーの部分7′は、図3の位置から反時計回りに旋回する。その際操作具7″はいっしょに旋回し、ヒンジスプリング24の力の下で図2の位置に収まる。この位置でシューホルダーの部分7′はロックされ、そのエッジ28は、スキー靴4のソールの後方エッジを捕捉する。
【0042】
シューホルダー7をフレーム6の上に配置できるようにするため、シューホルダーの部分7′に、フレーム6を貫通させるための大きな開口部29を設ける。この開口部には、図11および12では下左に位置する凹部を形成する。この凹部はフレームの部分6″′の取付基盤として形成されている。フレーム6の部分6″′を開口部29の上記凹部に保持するために、開口部29に充填片30を挿入することができる。しかもこの挿入は、シューホルダーの部分7′の側壁内側から行うことができる。操作具7″をシューホルダーの部分7′に取り付けた後、この充填片に紛失防止を施して操作具7″に固定する。
【0043】
フレーム6を支持部品9に取り付ける場合に述べたと原則的に同じ方法で、フレーム5は支持部品8に取り付けられる。そのほか支持部品8もまた、相手側ねじ部品として働くナット22を収めるポケットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による結合具の上面図であるが、この図ではシューホルダーを省略している。
【図2】本発明による結合具の垂直縦断面図であって、使用ポジションにあるシューホルダーを併せて示す。
【図3】着脱ポジションにある後部シューホルダーであって、図2に対応する断面図。
【図4】図2に対応する断面図であるが、シューホルダーが搬送ポジションにあるもの。
【図5】後部シューホルダーに割り当てられた後部支持部品の上面図。
【図6】図5を矢印Bの方向から見た正面図。
【図7】図4および5を線A−A′で切った断面図。
【図8】図5を線F−F′で切った断面図。
【図9】後部シューホルダーのフレームの見取り図。
【図10】図9を矢印Cの方向から見たフレームの側面図。
【図11】後部シューホルダーにおいてかかと側のソール末端と共同作用するシューホルダー部品の側面図。
【図12】上記シューホルダー部品の垂直断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキーないしスノーボードに用いる次のような結合具に関する。すなわちこの結合具は、前部ないしつま先側の、ならびに後部ないしかかと側のシューホルダーと、そのシューホルダーを保持する支持部品とを備え、この支持部品は、スキーまたはスノーボードに固定された結合具ベース(訳注:原文の用語法は、明細書本文前半ではBasisanordnung「結合具ベース」、図面を用いた後半の説明ではBasisplattenanordnung「結合具ベース板」としているので、訳文もそれを反映した)に対して、結合具の縦方向に位置調節可能な状態で、取り付けられている。
【背景技術】
【0002】
US3,857,186の場合、このような結合具において、次のことを意図する。すなわち、シューホルダーないしその支持部品をたがいに結合するが、この結合は、これら支持部品をたがいに反対方向に同時に移動して、大きさの異なる靴に結合具を適合できるようにするため行う。
【0003】
このUS3,857,186の場合、この結合具ベースをプレート状の扁平な直方体ハウジングとし、このハウジングの閉じた下面がスキーに密着して取り付けられている。上面は、ハウジングの縦方向に伸びる開口部を備え、この開口部は、その中をスライド可能なシューホルダー支持部品を案内するのに用いられる。この開口部の縦方向エッジは、支持部品の対応する左右の溝に噛み込むことができる。支持部品ないしそれに支持されるシューホルダーを、運動に合わせて結合し、調整するため、1つのねじつきスピンドルを設けることができる。このスピンドルはこのベース部品内部に、軸方向にスライドできないが、回転可能な状態で取り付けられ、ねじの方向が反対である2つのねじ部を備える。この場合一方の支持部品は一方のねじ部に、そして他方の支持部品は他方のねじ部に、ねじの回転による位置調節可能な状態で配置されている。
【0004】
またUS3,857,186の場合、シューホルダーを運動に合わせて結合するためのそのほかの手段、たとえばラックアンドピニオンも提案される。
【0005】
AT402900Bで知られている結合具は、同時的な位置調節のため運動に合わせて結合されたシューホルダーを備え、このシューホルダーをスライダーとして形成する。このスライダーはさらに、スキーに固定されたベースプレート上を案内され、そのためこのベースプレートは、たとえばC字形の断面を持つ縦方向エッジを備えるものとすることができる。
【0006】
EP0857498B1には、主としてスノーボードのため考えられた結合具を記載する。この結合具は固定されたベースプレートである。このベースプレートは、スノーボードの上側の中央部分に、ねじの回転による位置調節可能な状態で固定されている。この固定は、ベースプレートの末端領域がスノーボードの上面と間隔を取る状態で行われる。すなわちこれら末端領域は、スノーボードの上面より上に自己保持しながら伸びる。
【0007】
この末端領域に、支持部品がスライド可能な状態で配置され、これら支持部品はさらにシューホルダーを保持するために用いられる。これら支持部品は、ベースプレートをパイプ状に把握する位置関係にある。このEP0857498B1に記載の実施形態は、ベースプレートの縦方向に、ねじつきスピンドルによって同時にスライドすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の結合具において、とくに簡単な構造、とくに支持部品のスライド案内に関連して簡単な構造を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。すなわち結合具ベースを、支持部品領域においては、スキーないしスノーボードの上面に対して開いたわん部構造部品として、そして支持部品のいずれをもスライダーとして形成し、このスライダーは、スキーまたはスノーボードの上面と結合具ベースとの間で、縦方向にスライド可能な状態で配置されるものとする。好ましくはこれら支持部品は、スキーないしスノーボードの上面と、結合具ベースの左右縦方向エッジの一部との間を、垂直方向には動かない状態で案内されるものとする。また案内用形材に形状結合的(訳注:原文はformschlussig。日本語、英語にはない概念で、ドイツでは結合方法を力学的結合kraftschlussig―たとえばベルト、楔、ねじなど―、形状的結合formschlussig−鉄道連結器、リベット、圧着など―、素材的結合stoffschlussig―接着、溶接など―の3種に分類している)に噛み込むことにより、結合具ベースを横方向に動かない状態で案内される。この案内用形材は、スキーないしスノーボードの上面を向き、結合具の縦方向に伸びている。
【0010】
本発明は、次のような一般的考えに基づく。それは、スキーないしスノーボードの上面をほぼ直接に案内部品として、すなわち結合具の支持部品を垂直方向に動かないようにして案内する案内部品として利用しようというものである。この場合、次のような知識を利用する。それは、スキーないしスノーボードは、結合具の取り付けに予定される領域が、かならず強くて荷重に耐える構造であり、したがって案内機能の支持体としてだけでなく、案内エレメントとしても利用できるというものである。
【0011】
結合具ベースの下面が開いていることにより、支持部品を容易に案内用形材に噛み込ませることができ、その結果、結合具の取り付け全体が著しく簡単になる。
【0012】
本発明の1つの好ましい実施形態では、支持部品をたがいに反対方向に同時にスライド可能な状態で結合することができ、好ましくはねじつきスピンドルによってこの結合を行い、このスピンドルは、一方の支持部品に割り当てられた右巻きのねじ部と、他方の支持部品に割り当てられた左巻きのねじ部とを備えるものとする。
【0013】
ここでとくに合目的なのは、支持部品のねじ部にねじ込まれたねじつきスピンドルは、主としてそのねじ部でのみラジアル軸受けされることである。これにより次の可能性が得られる。すなわちねじつきスピンドルは、支持部品のねじ部にねじ込まれた後、結合具ベースの開かれた下面から結合具ベースのスラスト軸受に挿入され、2本の湾曲脚に挟まれることにより、結合具ベースのスラスト軸受に確保される。ここでは支持部品のねじつきスピンドルが、事前組み立てした上で結合具ベースに完全に挿入できるユニットを形成する。
【0014】
支持部品のねじつき部分とねじつきスピンドルとの結合は、通常のねじピッチであればセルフロック機能を持つ。すなわち支持部品は、スピンドル上で、直接スピンドルに―たとえば何らかのツールを用いて―作用するトルクによってのみ、位置調整可能なものとする。
【0015】
望ましからざる位置変更を防止するため、本発明の合目的な実施形態は、このねじつきスピンドルの円周に多数のラチェット歯を設けることを意図する。このラチェット歯は、結合具ベースに設けられたラチェット機構と、たとえば結合具ベースに固定されたリーフスプリング上のラチェット機構と、共同作用するものとする。
【0016】
一方のシューホルダーは、好ましくはC字形のフレームの形状とする。そしてこのフレームは、靴の前部ないし靴ソールエッジを捕捉、把握し、またフレームのC字末端は、結合具ベース左右の縦方向エッジのうち支持部品に接する部分を、横方向から把握し、またこの縦方向エッジの部分に向かって開かれた横方向溝、かつ支持部品に接する横方向溝に、回転軸受けされている。
【0017】
他方の任意にロック、ロック解除可能なシューホルダーは、好ましくはもう1つのC字形フレームのオフセットされた中央領域に設けられるものとし、このフレームのC字形末端は、結合具ベース左右の縦方向エッジの、もう1つの支持部品に接する部分を、横方向から把握し、上記の縦方向エッジ部分に向かって開かれた横方向溝、かつ他方の支持部品に接する横方向溝に、回転軸受けされている。
【0018】
すなわちこの実施形態の場合、結合具ベースの縦方向エッジのこの部分は、支持部品のC字形フレームを保持するためにも用いられている。これにより同時に組み立てが著しく容易になる。
【0019】
もう1つのシューホルダーは、もう1つのC字形フレームに回転軸受けされた部品を備えるものとすることができる。この部品は、このもう1つのC字形フレームを差し込むための大きな開口部を設けられ、この開口部は、C字形フレームにシューホルダーを取り付けた状態のとき、C字形フレームへのシューホルダー部品のラジアル軸受を遊びのないものとするため、インサートないしフィッティングピースによって小さくすることができる。
【0020】
この場合とくに次のことを意図することができる。すなわち、大きい開口部を備えるシューホルダーの側壁部から内側に、フィッティングピースを挿入することができるようにし、そしてシューホルダーが使用状態のときは、その内側に隣接するオフセット部分によって、フィッティングピースを確保したいというものである。
【0021】
そのほか好ましい諸事項に関して、各請求項および図面を参照されたい。また本発明のとくに好ましいバリエーションを用いて、それら諸事項を詳しく説明する。この場合権利保護の範囲は、明文をもって記載または示された事項に限られない。むしろこの権利保護は、それら諸事項の原則的に任意の組み合わせに対しても請求される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1、2、4では、図2だけにその一部が示唆されているスキー1、とくにショートスキーの上に、結合具ベース板2が設けられている。この固定にはスキーにねじ込まれるねじ(ここには図示しない)を用いることができ、このねじは、結合具ベース板2の対応する取り付け穴3(図1参照)に差し込まれる。結合具ベース板の上面には、前部および後部の踏面2′および2″が設けられ、これらの踏面は、この結合具に挿入されるスキー靴の前部および後部ソール領域の支持面として用いられる。このスキー靴を図2では点線で示唆する。スキー靴4の固定には、フレーム状の前部シューホルダー5と、もう1つのフレーム6に保持されてロック可能な後部シューホルダー7とが用いられる。前部のフレーム状のシューホルダー5は前部ソールエッジを捕捉し、その際同時につま先部も把握する。後部のシューホルダー7は、その使用ポジションにおいてかかと側のソールエッジを捕捉し、その際同時に靴のソールエッジおよび/またはかかと部を把握する。下記に説明するように、後部シューホルダー7は、結合部から取り外すとき手操作で調節して、図3の位置とすることができる。靴4を結合部に挿入すると、シューホルダー7はこの位置から、図2のロックされた使用位置に自動的に折り返される。すなわち後部のシューホルダー7は、いわゆるつっかけ式ロック機能を持つ。フレーム状の前部のシューホルダー5と、後部シューホルダー7のフレーム6は、それぞれ支持部品8および9に保持され、これら支持部品は、結合具をさまざまに異なるソール長さに適合させるため、スキー1ないし結合具の縦方向にスライド可能かつ調整可能な状態で、配置されている。これについても下記でさらに詳しく説明する。
【0023】
結合具ベース板2は、スキー1の上面に対して開いているわん形結合具として形成されている。結合具ベース板2がスキー1に取り付けられているとき、このシェルのエッジはスキー上面に固定密着している。シェルエッジには、前部および後部の開口部10および11が明いていて、前部および後部の支持部品8および9が、これらの開口部を通って左右に突出する。またこれら支持部品は、結合具ベース板2の下でシェル内部に取り付けられている。
【0024】
開口部10および11の縦方向エッジは、スキー上面とともに、支持部品8および9のうちこれら開口部を貫通する部分に対する垂直案内部を形成する。したがって支持部品8および9は垂直方向を保持される。
【0025】
ベースプレート2が形成するわん部内面には、図7に記載するように、平行な縦方向突起12が配置され、この突起12は側壁部13を捕捉する。この側壁部13は、支持部品8および9から成形され、縦方向突起12に平行である。またこの捕捉によって、支持部品8および9が、スキー1ないし結合具の横方向から保持されるものとする。
【0026】
支持部品8および9のスライドによる位置調節のため、図2および4に記載のねじつきスピンドル14が用いられる。このねじつきスピンドルは、前部支持部品8に割り当てられた前部のねじ部と、支持部品9に割り当てられた後部ねじ部をと備える。これらのねじ部は、たがいにねじの方向が反対である。すなわち一方のねじは右回り、他方のねじは左回りである。これらのねじ部により、ねじつきスピンドル14を、支持部品8および9のそれぞれ相手側ねじ部品にねじ込むことができる。これら相手側ねじ部品の配置ないし取り付けをさらに下記で説明する。ねじつきスピンドル14(訳注:原文の17を訂正)は、各ねじ部の間に配置されたリング状突起15を備え、この突起は、結合具ベース板2のシェル内側に成形された横方向突起と共同作用して、ねじつきスピンドル14をスラスト軸受けする。
【0027】
結合具ベース板2をスキー1から分離しても、ねじつきスピンドル14が結合具ベース板と結合されたままにできるよう、図2および4に示すねじつきスピンドル14の左側末端が、結合具ベース板2の前部領域におけるポケット状の開口部に差し込まれる。そのほかこのねじつきスピンドル14は、弾性ある側壁部16の間の中央領域と噛み合うが、これら側壁部は、結合具ベース板2に成形されたものであって、弾性変形により左右に開くことができる状態で、ねじつきスピンドル14の円周を把握する。
【0028】
ねじつきスピンドル14のラジアル軸受は、支持部品8および9における相手側ねじ部品が行う。
【0029】
図2および4に示すねじつきスピンドル14の右側末端には、プラス溝つきヘッドまたは同様なものが配置され、ねじ回し工具をここに挿入して、ねじつきスピンドルを回すことができる。その際支持部品8および9は、スピンドル14の回転方向に従って、たがいに接近したり離れたりする。
【0030】
ねじつきスピンドル14は、支持部品8および9の相手側ねじ部品の中で、セルフロックによりそれぞれの回転位置を保持される。そのほかねじつきスピンドル14には、さらにラチェットホイール17が回転を固定されて配置され、ないしはそこに成形されている。このラチェットホイールはその円周に多数のラチェット歯を備え、これらラチェット歯は、結合具ベース板2の(ここには図示しない)ラチェットスプリングと共同作用する。これらラチェットスプリングは、たとえばノッチとして働く条溝をもつリーフスプリングの形状とすることができる。これによりねじつきスピンドル14は、すぐそばの回転ポジションに自動的にロックされる。
【0031】
支持部品8および9、ならびに支持部品8および9におけるフレーム5および6の軸受は、原則として同一種類の形状とし、これらは、結合具の1つの垂直断面に関して、たがいに構造的にほぼ対称形とする。下記では図5〜8を用いて、支持部品9についてだけ詳しく説明する。
【0032】
支持部品9は側壁部13の横に、スキー上面に密着する比較的扁平なアーム18を備え、そのアームの上面に、上から見るとほぼZ字形の中空部19を形成する。この中空部の中央部分はそれぞれ横方向に延びている。いずれの中空部も一方の末端部分は、その方向にあるフランク13に平行に位置する。他方の末端部分は、各アーム18の末端領域内部にあって、フランク13と平行に形成されている。
【0033】
結合具の横方向に伸びる中空部19中央部分は、フレーム6の横方向に伸びる末端6′の受け具として用いられる(図9参照)。この場合、中空部19からフレーム6の末端部分6′が外れるのを、結合具ベース板2の開口部11の縦方向エッジによって防止する。すなわち開口部11の縦方向エッジと中空部19との間で、フレーム6の末端部分6′が、半径方向の遊びなしに保持される。
【0034】
フレーム6の末端部分6′は、ほぼ直角に曲げられた自由な末端を持ち、この末端は支持部品9の側壁部13に弾性作用しながら密着する。フレーム6が図2および図4に示す各位置の間を旋回するとき、そのほぼ直角に曲がった両末端は、側壁部13に成形された垂直で細長い突起部分20において若干左右に開く。その結果としてフレームの旋回運動の際には、1つの手ごたえのあるポイントを通過しなければならないことになる。
【0035】
そのほか、図2および4に示すフレーム6の旋回位置は最終位置を示す。この最終位置には次のようにして到達する。支持部品9のアーム18の末端では、そこで縦方向に伸びる中空部19の領域に、傾斜面が形成されているが、図2の位置の場合、フレーム6の脚がこの傾斜面に密着することにより到達する(図2参照)。図4の最終位置は次のようにして決定される。末端部分6′のほぼ直角に曲がった末端が、中空部19のうち側壁部13にそって伸びる部分の底部に密着することによる。
【0036】
支持部品9には下方に開くポケット21が形成され、このポケットには下方からナット22を挿入できる(図8参照)。このナットは、ねじつきスピンドル14の割り当てられたねじ部に対して、相手側ねじ部品として用いられ、上記のポケット21に、回転しない状態かつ軸方向にスライドしない状態で保持される。
【0037】
フレーム6はその中央部分にオフセット6″を持ち、これに部分6″′がこれに続く。この後者の部分は、後部シューホルダー7の取り付け軸として用いられる。
【0038】
後部シューホルダー7は、図2および3に記載の通り、スキー靴4と共同作用するシューホルダーの部分7′、ならびに軸23を中心に旋回可能な状態で前記部分と結合されている操作具7″を備える。さらに軸23はヒンジスプリング24を取り付けられ、このヒンジスプリングは操作具7″を、図2に示すシューホルダーの部分7′に対し、反時計回りに旋回させようとする。
【0039】
シューホルダーの部分7′は、軸23とは間隔を取って、フレーム6の部分6″′に回転取り付けされている。操作具7″は、フレーム6のオフセット部分6″と共同作用する。そのため操作具7″に突起25を成形し、この突起は、シューホルダー7が図2に示す位置にあるとき、オフセット部分6″を幅広く捕捉する。この場合、オフセット部分6″が、操作具7″の突起25のそばに形成された凹部26に完全に収められると、捕捉されたことになる。図2の位置ではシューホルダーの部分7′がロックされる。すなわち、フレーム6に対して時計回りとなる回転が遮断される。なぜならばシューホルダーの部分7′は操作具7″を、フレーム6に対して時計回りの回転方向には動かすことができないからである。これは、図2に示す操作具7″の突起25が、オフセット部分6″に関して上死点(訳注:「過死点位置」はUbertotpunktの直訳。詳細不明です)を取ることに基づく。
【0040】
操作具7″を手操作で図2に示す位置から時計回りに位置調節するならば、操作具を図3の位置に傾倒させることができる。この位置でシューホルダーの部分7′が、靴4を解放する位置に運ばれる。図3に示すシューホルダーのポジションは自己保持される。なぜならば操作具7″の突起25が、ヒンジスプリング24によって、オフセット部分6″に関して上死点に保持されるからである。
【0041】
シューホルダー7が図3のポジションを取って、靴4が結合部に挿入されるとき、シューホルダーの部分7′に成形された爪27が踏み込まれる。その結果シューホルダーの部分7′は、図3の位置から反時計回りに旋回する。その際操作具7″はいっしょに旋回し、ヒンジスプリング24の力の下で図2の位置に収まる。この位置でシューホルダーの部分7′はロックされ、そのエッジ28は、スキー靴4のソールの後方エッジを捕捉する。
【0042】
シューホルダー7をフレーム6の上に配置できるようにするため、シューホルダーの部分7′に、フレーム6を貫通させるための大きな開口部29を設ける。この開口部には、図11および12では下左に位置する凹部を形成する。この凹部はフレームの部分6″′の取付基盤として形成されている。フレーム6の部分6″′を開口部29の上記凹部に保持するために、開口部29に充填片30を挿入することができる。しかもこの挿入は、シューホルダーの部分7′の側壁内側から行うことができる。操作具7″をシューホルダーの部分7′に取り付けた後、この充填片に紛失防止を施して操作具7″に固定する。
【0043】
フレーム6を支持部品9に取り付ける場合に述べたと原則的に同じ方法で、フレーム5は支持部品8に取り付けられる。そのほか支持部品8もまた、相手側ねじ部品として働くナット22を収めるポケットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による結合具の上面図であるが、この図ではシューホルダーを省略している。
【図2】本発明による結合具の垂直縦断面図であって、使用ポジションにあるシューホルダーを併せて示す。
【図3】着脱ポジションにある後部シューホルダーであって、図2に対応する断面図。
【図4】図2に対応する断面図であるが、シューホルダーが搬送ポジションにあるもの。
【図5】後部シューホルダーに割り当てられた後部支持部品の上面図。
【図6】図5を矢印Bの方向から見た正面図。
【図7】図4および5を線A−A′で切った断面図。
【図8】図5を線F−F′で切った断面図。
【図9】後部シューホルダーのフレームの見取り図。
【図10】図9を矢印Cの方向から見たフレームの側面図。
【図11】後部シューホルダーにおいてかかと側のソール末端と共同作用するシューホルダー部品の側面図。
【図12】上記シューホルダー部品の垂直断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキー(4)ないしスノーボードに用いる結合具において、すなわちこの配置物は、前部ないしつま先側、ならびに後部ないしかかと側のシューホルダー(5、7)と、そのシューホルダーを保持する支持部品(8、9)とを備え、この支持部品は、スキーまたはスノーボードに固定取り付け可能な結合具ベース(2)に対して、結合具の縦方向に位置調節可能な状態で配置されている、上記の結合具において、結合具ベース(2)が、支持部品(8、9)の領域においては、スキー(4)ないしスノーボードの上面に対して開いているわん部構造の部品として、そして支持部品のいずれもがスライダーとして形成され、そのスライダーは、スキーないしスノーボードの上面と結合具ベースの間で縦方向に位置調節可能な状態で配置されており、この場合これら支持部品は、第1には、スキーないしスノーボードと、結合具ベースの左右の縦方向エッジ部分(10.11)との間で、垂直方向には動かない状態で、第2には、スキーないしスノーボードの上面に向けられた、かつ結合具の縦方向に伸びる案内形材(12)に、形状結合的に噛み込むことにより、結合具ベースにそって横方向に動かない状態で案内されることを特徴とする、上記の結合具。
【請求項2】
支持部品(8、9)が、たがいに反対方向に同時に位置調節可能な状態で、たがいに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の結合具。
【請求項3】
支持部品(8、9)が1つのねじつきスピンドル(14)によって結合され、このねじつきスピンドルは、一方の支持部品に割り当てられた右回りのねじ部と、他方の支持部品に割り当てられた左回りのねじ部とを持つことを特徴とする、請求項1または2に記載の結合具。
【請求項4】
支持部品(8、9)の相手側ねじ部品(22)にねじ込まれ、主としてこれら相手側ねじ部品だけでラジアル軸受けされるねじつきスピンドル(14)が、結合具ベース(2)の開かれた下側から、結合具ベースのスラスト軸受に挿入可能であることを特徴とする、請求項3に記載の結合具。
【請求項5】
支持部品(8、9)の相手側ねじ部品(22)にねじ込まれ、主としてこれら相手側ねじ部品だけでラジアル軸受けされるねじつきスピンドル(14)が、結合具ベース(2)の開かれた下側から、結合具ベースの2つの湾曲脚部(16)の間にはめ込み可能であり、これにより結合具ベースに確保可能であることを特徴とする、請求項3または4に記載の結合具。
【請求項6】
ねじつきスピンドル(14)が、円周に多数のラチェット歯を持つラチェットホイールを備え、このラチェット歯は、結合具ベース(2)に固定されかつ弾性あるラチェット機構と共同作用することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項7】
ノッチとして働く条溝を持つリーフスプリングを、ラチェット機構として備えることを特徴とする、請求項6に記載の結合具。
【請求項8】
一方のシューホルダー(5)がC字形フレームとして形成され、このフレームのC字末端が、当該一方の支持部品(8)に接する結合具ベース(2)の左右の縦方向エッジ部分(10)を、横方向から把握し、当該一方の支持部品において縦方向エッジ部分に向かって開く中空部に、回転軸受けされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項9】
他方の任意にロック、ロック解除可能なシューホルダー(7)が、もう1つのC字形フレーム(6)のオフセットされた中央領域に配置され、このフレームのC字末端が、当該他方の支持部品(9)に接する結合具ベース(2)の左右の縦方向エッジ部分(11)を、横方向から把握し、当該他方の支持部品(9)において縦方向エッジ部分に向かって開く中空部(19)に、回転軸受けされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項10】
シューホルダー(7)がC字形フレーム(6)に回転軸受けされている部品を備え、この部品にはC字形フレームを貫通させるための大きい開口部(29)が設けられていることと、フレームにシューホルダーを取り付けた状態のとき、フレームにシューホルダーの部分を遊びなしにラジアル軸受けするため、インサートないし充填片(30)によって、この大きい開口部を狭めることができることとを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項11】
インサートないし充填片(30)は、シューホルダーの部分(7′)の側壁、かつ大きい開口部(29)を備える当該側壁の内側に挿入可能であり、シューホルダーのもう1つの部分(7″)によって確保可能であることを特徴とする、請求項10に記載の結合具。
【請求項1】
スキー(4)ないしスノーボードに用いる結合具において、すなわちこの配置物は、前部ないしつま先側、ならびに後部ないしかかと側のシューホルダー(5、7)と、そのシューホルダーを保持する支持部品(8、9)とを備え、この支持部品は、スキーまたはスノーボードに固定取り付け可能な結合具ベース(2)に対して、結合具の縦方向に位置調節可能な状態で配置されている、上記の結合具において、結合具ベース(2)が、支持部品(8、9)の領域においては、スキー(4)ないしスノーボードの上面に対して開いているわん部構造の部品として、そして支持部品のいずれもがスライダーとして形成され、そのスライダーは、スキーないしスノーボードの上面と結合具ベースの間で縦方向に位置調節可能な状態で配置されており、この場合これら支持部品は、第1には、スキーないしスノーボードと、結合具ベースの左右の縦方向エッジ部分(10.11)との間で、垂直方向には動かない状態で、第2には、スキーないしスノーボードの上面に向けられた、かつ結合具の縦方向に伸びる案内形材(12)に、形状結合的に噛み込むことにより、結合具ベースにそって横方向に動かない状態で案内されることを特徴とする、上記の結合具。
【請求項2】
支持部品(8、9)が、たがいに反対方向に同時に位置調節可能な状態で、たがいに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の結合具。
【請求項3】
支持部品(8、9)が1つのねじつきスピンドル(14)によって結合され、このねじつきスピンドルは、一方の支持部品に割り当てられた右回りのねじ部と、他方の支持部品に割り当てられた左回りのねじ部とを持つことを特徴とする、請求項1または2に記載の結合具。
【請求項4】
支持部品(8、9)の相手側ねじ部品(22)にねじ込まれ、主としてこれら相手側ねじ部品だけでラジアル軸受けされるねじつきスピンドル(14)が、結合具ベース(2)の開かれた下側から、結合具ベースのスラスト軸受に挿入可能であることを特徴とする、請求項3に記載の結合具。
【請求項5】
支持部品(8、9)の相手側ねじ部品(22)にねじ込まれ、主としてこれら相手側ねじ部品だけでラジアル軸受けされるねじつきスピンドル(14)が、結合具ベース(2)の開かれた下側から、結合具ベースの2つの湾曲脚部(16)の間にはめ込み可能であり、これにより結合具ベースに確保可能であることを特徴とする、請求項3または4に記載の結合具。
【請求項6】
ねじつきスピンドル(14)が、円周に多数のラチェット歯を持つラチェットホイールを備え、このラチェット歯は、結合具ベース(2)に固定されかつ弾性あるラチェット機構と共同作用することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項7】
ノッチとして働く条溝を持つリーフスプリングを、ラチェット機構として備えることを特徴とする、請求項6に記載の結合具。
【請求項8】
一方のシューホルダー(5)がC字形フレームとして形成され、このフレームのC字末端が、当該一方の支持部品(8)に接する結合具ベース(2)の左右の縦方向エッジ部分(10)を、横方向から把握し、当該一方の支持部品において縦方向エッジ部分に向かって開く中空部に、回転軸受けされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項9】
他方の任意にロック、ロック解除可能なシューホルダー(7)が、もう1つのC字形フレーム(6)のオフセットされた中央領域に配置され、このフレームのC字末端が、当該他方の支持部品(9)に接する結合具ベース(2)の左右の縦方向エッジ部分(11)を、横方向から把握し、当該他方の支持部品(9)において縦方向エッジ部分に向かって開く中空部(19)に、回転軸受けされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項10】
シューホルダー(7)がC字形フレーム(6)に回転軸受けされている部品を備え、この部品にはC字形フレームを貫通させるための大きい開口部(29)が設けられていることと、フレームにシューホルダーを取り付けた状態のとき、フレームにシューホルダーの部分を遊びなしにラジアル軸受けするため、インサートないし充填片(30)によって、この大きい開口部を狭めることができることとを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の結合具。
【請求項11】
インサートないし充填片(30)は、シューホルダーの部分(7′)の側壁、かつ大きい開口部(29)を備える当該側壁の内側に挿入可能であり、シューホルダーのもう1つの部分(7″)によって確保可能であることを特徴とする、請求項10に記載の結合具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−501037(P2007−501037A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522351(P2006−522351)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051656
【国際公開番号】WO2005/014125
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051656
【国際公開番号】WO2005/014125
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
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