説明

ステアリングロック装置

【課題】ロッキングレバーによりロックバーのアンロック保持及びロック保持を行なうステアリングロック装置。
【解決手段】回転操作可能なノブユニット3と、ノブユニット3のノブ36の回転操作によりステアリングシャフトに対して進退移動し、ステアリングシャフトの回転をロック状態又はアンロック状態とするロックバー4と、ノブ36の回転操作に連動して、ロックバー4の第1及び第2の係止部に係合してロック状態又はアンロック状態をそれぞれ保持するロッキングレバーと、ノブ36の回転に追従可能に構成され、ロックバー4をステアリングシャフトに対して進退移動させる第1カムと、ロッキングレバーをロックバー4に対して進退移動させる第2カムとを有するカムシャフト35と、を有してステアリングロック装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステアリングロック装置は、シリンダ、ロータ、カムシャフト、ロックバー及びロッキングレバーを備えていた(例えば、特許文献1)。このステアリングロック装置において、ロータは、シリンダの内部に配置されており、その軸方向先端部にカムシャフトが同軸上に接続されている。カムシャフトはその軸方向先端部にカム部を有しており、シリンダに挿入されたイグニッションキーの回転操作と共にロータ及びカムシャフトが回転するように構成されている。ロックバーは、ステアリングシャフトに設けられた係合溝に係合可能な部材であり、ロータのカム部に係合するロックストッパ部を有する。このロックバーは、カムシャフトの回転によって動作するカム部の動きにロックストッパ部が追従し、カムシャフトの軸方向の直交方向に進退移動することにより、ステアリングシャフトをロック状態又はアンロック状態にする。
【0003】
また、ステアリングロック装置には、イグニッションキーの挿入を動作条件としてロックバーに設けられた凹溝に係合可能な部材であるロッキングレバーが設けられている。このロッキングレバーは、ロックバーの退避移動時にロックバーの凹溝に係合してステアリングシャフトのアンロック状態を維持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来、ロックバーがステアリングシャフトから退避したアンロック状態をロッキングレバーがロックバーに設けられた凹溝に係合することで保持するアンロック保持は行なっていたが、ロックバーがステアリングシャフトに嵌合してステアリングシャフトの回転を制限するロック状態を保持するロック保持は行なっていなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、ロッキングレバーによりロックバーのアンロック保持及びロック保持を行なうステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、回転操作可能なノブ材と、前記ノブ材の回転操作によりステアリングシャフトに対して進退移動し、前記ステアリングシャフトの回転をロック状態又はアンロック状態とするロックバーと、前記ノブ材の回転操作に連動して、前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合して前記ロック状態又はアンロック状態をそれぞれ保持するロッキング部材と、前記ノブ材の回転に追従可能に構成され、前記ロックバーを前記ステアリングシャフトに対して進退移動させる第1カムと、前記ロッキング部材を前記ロックバーに対して進退移動させる第2カムとを有するカムシャフトと、を有することを特徴とするステアリングロック装置を提供する。
【0008】
[2]前記第2カムは、前記ノブ材の回転操作に連動して移動し、前記ロッキング部材を前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合させる第1作用部及び第2作用部を備えると共に、前記ロッキング部材を前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合させない第3作用部を備えることを特徴とする上記[1]に記載のステアリングロック装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記第3作用部は、前記第2カムにおいて、前記ロック状態と前記アンロック状態の間に前記ロッキング部材に作用する領域として形成されていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のステアリングロック装置であってもよい。
【0010】
[4]また、前記ロッキング部材は、前記ロックバーに係合しない方向に常に付勢されていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のステアリングロック装置であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態によれば、ロッキングレバーによりロックバーのアンロック保持及びロック保持を行なうステアリングロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るステアリングロック装置を示す概略分解斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるカムシャフト及びその関連部品を示し、ロック状態(ノブ:LOCK位置)を示す正面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの左側面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの右側面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aの上平面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるカムシャフト及びその関連部品を示し、アンロック状態(ノブ:ON位置)を示す正面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの左側面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aの右側面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aの上平面図である。
【図4】図4は、図3Aで示すカムシャフトのC―C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔ステアリングロック装置1の全体構成〕
本発明の実施の形態に係るステアリングロック装置1は、回転操作可能なノブユニット3と、ノブユニット3のノブ36の回転操作によりステアリングシャフト14に対して進退移動し、ステアリングシャフト14の回転をロック状態又はアンロック状態とするロックバー4と、ノブ36の回転操作に連動して、ロックバー4の第1及び第2の係止部に係合してロック状態又はアンロック状態をそれぞれ保持するロッキングレバー71と、ノブ36の回転に追従可能に構成され、ロックバー4をステアリングシャフト14に対して進退移動させる第1カム38と、ロッキングレバー71をロックバー4に対して進退移動させる第2カム39とを有するカムシャフト35と、を有して概略構成されている。
【0014】
このステアリングロック装置1は、ノブユニット3のノブ36の回転操作によりカムシャフト35が回転し、これに連動してロックバー4のステアリングシャフト14に対する進退移動によりステアリングシャフト14の回転をロック状態又はアンロック状態とすると共に、カムシャフト35の回転に連動してロッキングレバー71のロックバー4の第1及び第2の係止部への係合によりロック状態又はアンロック状態をそれぞれ保持する機能を有する。
【0015】
(ロックボディ2の構成)
ロックボディ2は、図1に示すように、第1筒部8、第2筒部9及び第3筒部11を有している。第1筒部8は、図1及び図2A等に示すように、円筒状に形成されており、その内部において同軸配置されたノブユニット3及びカムシャフト35を回転可能に支持している。
【0016】
第2筒部9は、略矩形筒状に形成されており、第1筒部8の軸方向と直交方向に延在している。また、第1筒部8及び第2筒部9の内部は、互いに連通している。この第2筒部9は、その内部にカムシャフト35及びロックユニット6を有している。
【0017】
第3筒部11は、図1から図3に示すように、第2筒部9の側方において第1筒部8の軸方向と平行配置されており、その内部に配置されたロッキングレバーユニット7を有している。また、第3筒部11の第1筒部8側の一端は第1筒部8の内部に連通しており、その第2筒部9側の他端は第2筒部9の内部に連通している。
【0018】
(ノブユニット3の構成)
ノブユニット3は、例えば図1に示すように、ロータ30、ノブ36、連結凸部306を有している。
【0019】
ロータ30は、円柱状に形成されている。このロータ30はロックボディ2の第1筒部8の中心軸に対して回転可能に同軸に配置されている。
【0020】
ノブ36は、ロータ30をその中心軸に対して時計回り又は反時計回りに回転させる部材である。このノブ36は、ロータ30におけるカムシャフト35の反対側(付勢方向FD側)に取り付けられている。このノブ36は、ツマミ形状であることが好ましい。このノブ36は、車両のスタートシステムを制御するもので、LOCK位置から時計方向に回転させることで、ACC、ON、STARTの位置に回転させることができる。操作者がノブ36を介してノブユニット3を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、ステアリングのロック状態やアンロック状態の他、エンジンのオン・オフ状態やアクセサリ電源通電状態とすることができる。
【0021】
連結凸部306は、ロータ30の回転をカムシャフト35に伝達する部分である。この連結凸部306は、矩形凸形状に形成されており、ロータ30におけるノブ36と反対側の端部に配置されている。
【0022】
(ロックユニット6の構成)
ロックユニット6は、図1に示すように、ロックバー4、リターンスプリング10、ロックストッパ21、及びガイドブロック5を有している。
【0023】
ロックバー4は、図1等に示すように、第2筒部9の延在方向をロックバー4の移動方向として、第2筒部9の内部に配置されている。このロックバー4は、略矩形平板状に形成されている。
【0024】
ロックバー4は、図1、図2A等に示すように、ステアリングシャフト14に対する離接方向に移動可能に構成されている。すなわち、ロックバー4は、ステアリングシャフト14をロック状態からアンロック状態にする方向であるステアリング・アンロック方向UD(図1、図2Aの上方向)、及び、アンロック状態からロック状態にする方向であるステアリング・ロック方向LD(図1、図2Aの下方向)に移動可能に構成されている。なお、本実施の形態においては、ステアリングシャフト14のロック状態とは、ロックバー4の先端部がステアリングシャフト14の凹部14aに係合した状態をいい、ステアリングシャフト14のアンロック状態とは、それらの非係合状態をいう。
【0025】
また、ロックバー4は、図1、図2及び図3に示すように、ロックストッパ21を有する。このロックストッパ21は、ロックバー4におけるカムシャフト35との対向面から突出してロックバー4に固定されており、その長手方向をロックバー4の幅方向とする矩形凸部であることが好ましい。また、このロックストッパ21は、ロックバー4の移動方向においてリターンスプリング10側に配置されることが好ましい。本実施の形態では、ロックストッパ21は、ロックバー4に組込んで固定された別部品としているが、ロックバーと一体形成されていても良い。
【0026】
リターンスプリング10は、図1、図2A等に示すように、ロックバー4をその移動方向の一方に付勢する部材である。このリターンスプリング10は、図2A等に示すように、ロックバー4におけるステアリングシャフト14の反対側からステアリングシャフト14側に付勢する方向に設置されている。つまり、リターンスプリング10は、ステアリングシャフト14をアンロック状態からロック状態にする方向であるステアリング・ロック方向LD(図1、図2A、図3Aの下方向)にロックバー4を移動させるように配置されている。
【0027】
ガイドブロック5は、図1に示すように、ダイキャスト等により肉厚の略矩形筒状に形成されている。このガイドブロック5は、その内部にロックバー4を同軸配置していると共に、第2筒部9の内部に同軸配置されている。なお、このガイドブロック5には、図1に示すように、カムシャフト35の抜け防止用、位置決め用、逃がし用等として用いる脚片54がカムシャフト35側に配置されていることが好ましい。
【0028】
(カムシャフト35の構成)
カムシャフト35は、ノブユニット3の回転操作に追従可能に構成される。このカムシャフト35は、図1及び図2A等に示すように、その中心軸がロータ30の中心軸の延長線上となるように、第1筒部8及び第2筒部9の内部に配置されている。このカムシャフト35は、図2D及び図3Dに示すように、略円柱形状のカムシャフト本体37、連結凹部307、第1カム部38及び第2カム部39を有している。
【0029】
連結凹部307は、図1に示すように、連結凸部306に連結する部分である。この連結凹部307は、矩形凹形状に形成されており、カムシャフト本体37におけるノブユニット3側の端部に配置されている。
【0030】
第1カム部38は、図1及び図2A等に示すように、ノブユニット3、カムシャフト本体37の回転時において、ロックバー4をロックストッパ21を介してそのステアリング・アンロック方向UD(図1の上方向、図2A等の上方向)又はステアリング・ロック方向LD(図1の下方向、図2A等の下方向)に移動させる部材である。この第1カム部38は、図2C、図3Cに示すように、角を丸めた略扇形状のカム山形状に形成されており、図2D、図3Dに示すように、カムシャフト本体37におけるロックユニット6側の端部に配置されている。
【0031】
第2カム部39は、図1及び図2A等に示すように、ノブユニット3、カムシャフト本体37の回転時において、ロッキングレバー71をロックバー4の方向に移動又は離間させて、ロックバー4の第1係止部4a又は第2係止部4bへの係合を制御するものである。この第2カム部39は、図2D、図3D、図4に示すように、カムシャフト本体37の円筒面から外方向に向って突出して形成されている。
【0032】
ここで、図4に示すように、第2カム部39は、ロッキングレバー71をロックバー4の方向に移動させる第1作用部39aと第2作用部39b、及び、第1作用部39aと第2作用部39bの間に形成されロッキングレバー71をロックバー4から離間させる第3作用部39cからカム形状が形成されている。第1作用部39aは、後述するロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bを押し出してロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cをロックバー4の第1係止部4aに係合させてステアリングシャフト14とロックバー4とのロック状態を保持する。また、第2作用部39bも同様にロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bを押し出してロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cをロックバー4の第2係止部4bに係合させてステアリングシャフト14とロックバー4とのアンロック状態を保持する。ノブ36の回転途中、例えば、ノブのLOCK位置とON位置の間の領域では、第3作用部39cによりロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bを押し出さないので、ロッキングレバー71はロックバー4を係止せず、ロックバー4はノブユニット3、カムシャフト本体37の回転に従って移動することが可能である。
【0033】
(ロッキングレバーユニット7の構成)
ロッキングレバーユニット7は、ロッキングレバー71、ハウジング75、スプリング73から概略構成されている。このロッキングレバーユニット7は、ノブユニット3、カムシャフト本体37の回転、及び、ロックバー4の移動に連動して、ロッキングレバー71がロックバー4の方向へ移動又は離間することによりロックバー4によるステアリングシャフト14のロック状態又はアンロック状態を保持するものである。
【0034】
ロッキングレバー71は、ハウジング75の回転軸72に回転穴部71aが嵌合して回転可能に支持されている。ロッキングレバー71は、回転軸72からカムシャフト接触部71bを先端部として突出し、反対方向にロックバー掛かり部71cを先端部として突出したレバー形状とされている。回転軸72に対してカムシャフト接触部71b側は、ハウジング75に装着されたスプリング73から常に付勢されている。これにより、カムシャフト接触部71bは常に第2カム部39に当接する方向に付勢され、ロックバー掛かり部71cは常にロックバー4(第1係止部4a、第2係止部4b)から離間する方向に付勢されている。
【0035】
なお、ロッキングレバー71は、ステンレス等の非磁性の材料で形成されるのが好ましい。外部からの磁石等を近接させる操作により、不正に移動されてロック状態の保持が解除されることを防止できるからである。
【0036】
上記のようにハウジング75に組み込まれたロッキングレバー71等を有するロッキングレバーユニット7は、第3筒部11に収容されてロックボディ2に固定されている。
【0037】
(ステアリングロック装置1の動作)
(ロック状態)
ノブ36がLOCK位置の状態では、カムシャフト35、ロックバー4、ロッキングレバー71の位置関係は図2A〜図2Dに示すようになっている。ロック状態では、カムシャフト35により、第1カム部38がロックストッパ21を介してロックバー4を図1、図2AのLD方向に駆動するので、ロックバー4の先端部がステアリングシャフト14の凹部14aに係合して、ステアリングの回転がロックされた状態とされている。
【0038】
このロック状態では、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第1作用部39aに押されている。そのため、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがロックバー4の第1係止部4aに係合した状態で押し付けられ、ロックバー4によるステアリングシャフト14のロック状態が保持される。
【0039】
(ロック状態からアンロック状態への遷移)
(LOCK位置からACC位置への回転)
ユーザーによりノブ36がLOCK位置からACC方向に回転操作されると、カムシャフト35も同様にACC方向に回転される。カムシャフト35がACC方向に回転することにより、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第1作用部39aから外れ、第3作用部39cと当接するようになる。これにより、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがスプリング73からの力によりロックバー4の第1係止部4aから外れる。
【0040】
さらにノブの回転操作を続けると、カムシャフト35の回転により、第1カム部38がロックバー4を図1、図2AのUD方向に駆動し、ロックバー4の先端部がステアリングシャフト14の凹部14aから離間して、ステアリングの回転がアンロックの状態となる。
【0041】
一方、ロッキングレバーユニット7では、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第2作用部39bに押されることになる。そのため、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがアンロック状態となったロックバー4の第2係止部4bに係合し、アンロック状態が保持される。
【0042】
(ACC位置からON位置への回転)
さらにノブの回転操作を続けても、ロッキングレバー71は動かないため、アンロック状態が保持される。
【0043】
(アンロック状態)
ノブ36がON、ACC位置の状態では、カムシャフト35、ロックバー4、ロッキングレバー71の位置関係は図3A〜3Dに示すようになっている。アンロック状態では、カムシャフト35により、第1カム部38がロックストッパ21を介してロックバー4を図1、図3AのUD方向に駆動するので、ロックバー4の先端部がステアリングシャフト14の凹部14aに係合せず、ステアリングの回転が可能なアンロック状態とされている。
【0044】
このアンロック状態では、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第2作用部39bに押されている。そのため、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがロックバー4の第2係止部4bに係合した状態で押し付けられ、ロックバー4によるステアリングシャフト14のアンロック状態が保持される。
【0045】
(アンロック状態からロック状態への遷移)
(ON位置からACC位置への回転)
ユーザーによりノブ36がON位置からACC方向に回転操作されると、カムシャフト35も同様にACC方向に回転される。しかし、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bは第2作用部39bに押されたままであるので、ロックバー掛かり部71cはロックバー4の第2係止部4bに係合した状態であり、ロックバー4によるステアリングシャフト14のアンロック状態は保持されたままである。
【0046】
(ACC位置からLOCK位置への回転)
さらにノブの回転操作を続けてノブ36がACC位置からLOCK方向に回転操作されると、カムシャフト35も同様にLOCK方向に回転される。カムシャフト35がLOCK方向に回転することにより、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第2作用部39bから外れ、第3作用部39cと当接するようになる。これにより、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがスプリング73からの力によりロックバー4の第2係止部4bから外れる。
【0047】
カムシャフト35の回転により、第1カム部38がロックバー4を図1、図3AのLD方向に駆動し、ロックバー4の先端部がステアリングシャフト14の凹部14aに係合して、ステアリングの回転がロックの状態となる。
【0048】
一方、ロッキングレバーユニット7では、ロッキングレバー71のカムシャフト接触部71bが第1作用部39aに押されることになる。そのため、ロッキングレバー71のロックバー掛かり部71cがロック状態となったロックバー4の第1係止部4aに係合し、ロック状態が保持される。
【0049】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るステアリングロック装置1によれば、次のような効果を有する。
(1)ロッキングレバーによるアンロック保持機構が設定できなかったキー挿入口のないロータリスマートのステアリングロックにおいても、アンロック保持機構を追加することができるため、走行中の意図しないロックバーの突出を防ぐことができ、安全性能の向上が可能となる。
(2)ロッキングレバーによりロック状態でロックバーを保持することができるため、カバーの破壊や強力な磁石などによるロックバーの直接操作を防ぐことができ、盗難防止性能の向上が可能となる。
(3)ロッキングレバーユニットの追加のみで、ロック状態及びアンロック状態の保持を同時に追加することができるため、部品点数や組付け工数の増加が少なくて済み、コスト低減等に繋がるという効果を有する。
【0050】
以上、本発明のステアリングロック装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・ステアリングロック装置、2・・・ロックボディ、3・・・ノブユニット、4・・・ロックバー、4a・・・第1係止部、4b・・・第2係止部、5・・・ガイドブロック、6・・・ロックユニット、7・・・ロッキングレバーユニット、8・・・第1筒部、9・・・第2筒部、10・・・リターンスプリング、11・・・第3筒部、12・・・大筒部、13・・・小筒部、14・・・ステアリングシャフト、14a・・・凹部、21・・・ロックストッパ、30・・・ロータ、32・・・バネ、33・・・第1カム部、34・・・第2カム部、35・・・カムシャフト、36・・・ノブ、37・・・カムシャフト本体、38・・・第1カム部、39・・・第2カム部、39a・・・第1作用部、39b・・・第2作用部、39c・・・第3作用部、54・・・脚片、71・・・ロッキングレバー、75・・・ハウジング、306・・・連結凸部、307・・・連結凹部、FD・・・付勢方向、LD・・・ステアリング・ロック方向、UD・・・ステアリング・アンロック方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能なノブ材と、
前記ノブ材の回転操作によりステアリングシャフトに対して進退移動し、前記ステアリングシャフトの回転をロック状態又はアンロック状態とするロックバーと、
前記ノブ材の回転操作に連動して、前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合して前記ロック状態又はアンロック状態をそれぞれ保持するロッキング部材と、
前記ノブ材の回転に追従可能に構成され、前記ロックバーを前記ステアリングシャフトに対して進退移動させる第1カムと、前記ロッキング部材を前記ロックバーに対して進退移動させる第2カムとを有するカムシャフトと、
を有することを特徴とするステアリングロック装置。
【請求項2】
前記第2カムは、前記ノブ材の回転操作に連動して移動し、前記ロッキング部材を前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合させる第1作用部及び第2作用部を備えると共に、前記ロッキング部材を前記ロックバーの第1及び第2の係止部に係合させない第3作用部を備えることを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記第3作用部は、前記第2カムにおいて、前記ロック状態と前記アンロック状態の間に前記ロッキング部材に作用する領域として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリングロック装置。
【請求項4】
前記ロッキング部材は、前記ロックバーに係合しない方向に常に付勢されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のステアリングロック装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−82294(P2013−82294A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222861(P2011−222861)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)