説明

ステータおよびモータ

【課題】駆動用コイルに高い電圧が印加されても、ステータコアの突極の先端部と駆動用コイルとを絶縁することが可能なステータを提供する。
【解決手段】ステータ3は、モータの円周方向に略一定の間隔で配置されモータの径方向へ突出する複数の突極13aを有するステータコア13と、複数の突極13aのそれぞれに巻回される駆動用コイル14と、突極13aの、駆動用コイル14が巻回される部分の表面を少なくとも覆う絶縁部材16とを備えている。絶縁部材16には、突極13aの先端側への駆動用コイル14の巻崩れを防止するための巻崩れ防止部16aが形成され、巻崩れ防止部16は、突極13aの先端部よりも突極13aの基端側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに使用されるステータに関する。また、本発明は、かかるステータを備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石を有するロータと、ロータの外周側に配置されるステータとを備える永久磁石型のモータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のモータでは、ステータは、複数の突極を有するステータコアと、突極の表面を覆う絶縁部材と、絶縁部材を介して突極に巻回される駆動用コイルとを備えている。ステータコアは、突極ごとに分割可能な複数の分割コアによって構成されている。分割コアは、ステータコアの外周側部分を構成する円弧部を備え、突極は、この円弧部からモータの径方向の内側へ突出している。また、突極の先端部は、円周方向へ広がる略円弧状に形成されている。駆動用コイルは、径方向において、突極の先端部と円弧部との間の全域に巻回されている。なお、径方向で永久磁石に対向する突極の先端面は、絶縁部材で覆われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−301633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い出力が要求されるモータでは、駆動用コイルに、高い電圧を印加する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のモータのように、突極の先端面が絶縁部材で覆われていない場合に、駆動用コイルに高い電圧が印加されると、駆動用コイルと突極の先端部とを絶縁できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、駆動用コイルに高い電圧が印加されても、ステータコアの突極の先端部と駆動用コイルとを絶縁することが可能なステータを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるステータを備えるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のステータは、モータに使用されるステータにおいて、モータの円周方向に略一定の間隔で配置されモータの径方向へ突出する複数の突極を有するステータコアと、複数の突極のそれぞれに巻回される駆動用コイルと、突極の、駆動用コイルが巻回される部分の表面を少なくとも覆う絶縁部材とを備え、絶縁部材には、突極の先端側への駆動用コイルの巻崩れを防止するための巻崩れ防止部が形成され、巻崩れ防止部は、突極の先端部よりも突極の基端側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステータでは、絶縁部材に、突極の先端側への駆動用コイルの巻崩れを防止するための巻崩れ防止部が形成され、巻崩れ防止部は、突極の先端部よりも突極の基端側に配置されている。そのため、ステータコアの突極に巻回される駆動用コイルの、突極の先端側への巻崩れを防止して、駆動用コイルと突極の先端部との空間距離を確保することが可能になる。したがって、本発明では、駆動用コイルに高い電圧が印加されても、突極の先端部と駆動用コイルとを絶縁することが可能になる。また、本発明では、駆動用コイルの巻崩れを防止することが可能になるため、円周方向で隣り合う駆動用コイル同士との干渉を防止することが可能になる。
【0008】
本発明において、巻崩れ防止部は、突極の先端部から突極の基端側へ離れた位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルと突極の先端部との空間距離を効果的に確保することが可能になる。
【0009】
本発明において、巻崩れ防止部は、モータの軸方向および円周方向へ広がる鍔状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルの、突極の先端側への巻崩れを効果的に防止することが可能になり、駆動用コイルと突極の先端部との空間距離を効果的に確保することが可能になる。また、このように構成すると、巻崩れ防止部を利用して、駆動用コイルと突極の先端部との沿面距離を確保することが可能になる。したがって、突極の先端部と駆動用コイルとをより確実に絶縁することが可能になる。
【0010】
本発明において、ステータは、円周方向で隣接する突極に巻回される駆動用コイル間に配置される第2の絶縁部材を備え、ステータコアは、突極の基端同士を繋ぐ略円筒状の円筒部を備え、絶縁部材には、第2の絶縁部材を配置するための配置用凹部が形成され、配置用凹部は、突極の基端側に配置されるとともに、径方向に窪むように形成されていることが好ましい。このように構成すると、第2の絶縁部材によって、ステータコアの円筒部と駆動用コイルとの空間距離および沿面距離を確保することが可能になる。したがって、ステータコアの円筒部と駆動用コイルとを絶縁することが可能になる。また、このように構成すると、第2の絶縁部材によって、円周方向で隣接する突極に巻回される駆動用コイル同士を絶縁することが可能になる。
【0011】
本発明において、ステータコアは、たとえば、円周方向に分割可能な複数の分割コアによって構成されている。この場合には、突極は、径方向の内側へ突出するように形成され、突極の先端部は、円周方向に広がるように形成され、巻崩れ防止部は、モータの軸方向および円周方向へ広がる鍔状に形成されるとともに突極の先端部から突極の基端側へ離れた位置に配置され、複数の分割コアは、略円筒状に形成されるとともに径方向における分割コアの外側に配置される筒状部材によって一体化され、突極の、巻崩れ防止部よりも先端側部分は、複数の分割コアを一体化する際に分割コアを保持する保持部となっていることが好ましい。このように構成すると、分割コアを一体化する際に、保持部を利用して分割コアを保持することができるため、分割コアの一体化作業を容易に行うことが可能になる。また、このように構成すると、分割コアを一体化する際に分割コアを保持するための構成を別途、設ける必要がないため、ステータの構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明のステータは、ロータを備えるモータに用いることができる。このモータでは、駆動用コイルに高い電圧が印加されても、突極の先端部と駆動用コイルとを絶縁することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のステータおよびモータでは、駆動用コイルに高い電圧が印加されても、ステータコアの突極の先端部と駆動用コイルとを絶縁することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態にかかるモータの断面図である。
【図2】図1のE−E方向からモータを示す図である。
【図3】図2に示すステータコアの平面図である。
【図4】図3に示す分割コアの平面図である。
【図5】図2のF部の拡大図である。
【図6】図5に示す絶縁部材付きの分割コアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(モータの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるモータ1の断面図である。図2は、図1のE−E方向からモータ1を示す図である。
【0017】
本形態のモータ1は、インナーロータ型のモータであり、図1に示すように、ロータ2と、ロータ2の外周側に配置されるステータ3と、モータケース4とを備えている。なお、以下の説明では、モータ1の径方向(すなわち、ロータ2の径方向およびステータ3の径方向)を「径方向」、モータ1の円周方向(すなわち、ロータ2の円周方向およびステータ3の円周方向)を「円周方向」、モータ1の軸方向(すなわち、ロータ2の軸方向およびステータ3の軸方向)を「軸方向」とする。
【0018】
ロータ2は、回転軸6と、回転軸6の外周面に固定される積層コア7と、積層コア7の外周面に固定される複数の永久磁石8とを備えている。本形態のロータ2は、16個の永久磁石8を備えている。回転軸6は、モータケース4に固定される軸受9、10によって回転可能に支持されている。積層コア7は、複数の磁性板が積層されて形成されており、回転軸6の外周面に、たとえば、焼き嵌めによって固定されている。
【0019】
永久磁石8は、たとえば、ネオジム磁石等の磁束密度が高く、非常に強い磁力を持つ磁石である。この永久磁石8は、円周方向で隣接するように、かつ、円周方向に略一定の間隔で積層コア7の外周面に固定されている。また、永久磁石8は、接着によって、積層コア7の外周面に固定されている。
【0020】
ステータ3は、複数の突極13aを有するステータコア13と、複数の突極13aのそれぞれに巻回される駆動用コイル14とを備えている。以下、ステータ3の詳細な構成について説明する。
【0021】
(ステータの構成)
図3は、図2に示すステータコア13の平面図である。図4は、図3に示す分割コア15の平面図である。図5は、図2のF部の拡大図である。図6は、図5に示す絶縁部材16付きの分割コア15の平面図である。
【0022】
ステータコア13は、複数の突極13aに加え、図3に示すように、ステータコア13の外周側部分を構成する外周部13bを備えている。外周部13bは、略円筒状に形成されており、複数の突極13aは、外周部13bから径方向の内側へ突出するように形成されている。また、複数の突極13aは、円周方向に略一定の間隔で配置されている。本形態のステータコア13は、18個の突極13aを備えている。また、本形態の外周部13bは、突極13aの基端同士を繋ぐ円筒部である。
【0023】
突極13aは、その基端(径方向外側端)が外周部13bに繋がる本体部13cと、本体部13cの先端(径方向内側端)に繋がる先端部13dとから構成されている。軸方向から見たときの本体部13cの幅(突極13aの突出方向に直交する方向の幅)は、略一定になっている。先端部13dは、軸方向から見たときに、本体部13cよりも円周方向の両側へ広がる略円弧状に形成されている。突極13aの先端面(すなわち、先端部13dの先端面)13eは、軸方向から見たときの形状が円弧状となる曲面状に形成されている。先端面13eは、径方向における永久磁石8の外側面に対向配置されている。
【0024】
また、ステータコア13は、円周方向において、1個の突極13aごとに分割可能な複数の分割コア15によって構成されている。すなわち、ステータコア13は、円周方向に組み合わされて一体化される複数の分割コア15によって構成されている。分割コア15は、複数の磁性板が積層されて形成された積層コアである。この分割コア15は、図4に示すように、突極13aと、外周部13bの一部を構成する円弧部15aとを備えている。円弧部15aは、軸方向から見たときの形状が略円弧状となるように形成されている。軸方向から見たときの円弧部15aの幅は、突極13aの本体部13cの幅よりも広くなっている。円周方向における円弧部15aの一方の端面15bには、円周方向の一方側で隣り合う分割コア15との位置決めを行うための凸部15cが形成され、円周方向における円弧部15aの他方の端面15dには、円周方向の他方側で隣り合う分割コア15との位置決めを行うための凹部15eが形成されている。凸部15cは、円周方向の一方側で隣り合う他の分割コア15の凹部15eと係合しており、凹部15eは、円周方向の他方側で隣り合う他の分割コア15の凸部15cと係合している。
【0025】
図6に示すように、分割コア15の表面は、その一部分を除いて、絶縁部材16で覆われている。絶縁部材16は、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。本形態では、インサートモールドによって、分割コア15の表面に絶縁部材16が形成されている。絶縁部材16は、図6に示すように、円弧部15aの端面15b、15dとその近傍部分、および、径方向における円弧部15aの外側面15fとその近傍部分を除く分割コア15の表面を覆っている。
【0026】
また、上述のように、本形態の絶縁部材16はインサートモールドによって形成されており、円周方向における分割コア15の先端部13dの両方の端面13fは、先端部13dの精度によって、絶縁部材16に覆われることもあれば、覆われないこともある。先端部13dの端面13fと駆動用コイル14とを絶縁するためには、端面13fは、絶縁部材16に覆われていることが好ましい。一方、円周方向で隣接する端面13f同士の距離が近い場合には、円周方向で隣接する端面13f同士の干渉を防止するために、端面13fは、絶縁部材16で覆われていないことが好ましい。
【0027】
絶縁部材16には、突極13aの先端側(すなわち、径方向の内側)への駆動用コイル14の巻崩れを防止するための巻崩れ防止部16aが形成されている。巻崩れ防止部16aは、突極13aの本体部13cの先端側に形成されている。すなわち、巻崩れ防止部16aは、突極13aの先端部13dよりも径方向の外側(突極13aの基端側)に形成されている。また、巻崩れ防止部16aは、円周方向(より具体的には、突極13aの突出方向に直交する方向)および軸方向へ広がる鍔状に形成されている。具体的には、巻崩れ防止部16aは、略長方形の枠状をなす鍔状に形成されている。本形態では、巻崩れ防止部16aは、先端部13dから径方向の外側へ離れた位置に配置されており、絶縁部材16の、先端部13dを覆う部分と巻崩れ防止部16aとの間には、環状の凹部16bが形成されている。
【0028】
駆動用コイル14は、円弧部15aと巻崩れ防止部16aとの間で絶縁部材16を介して、突極13aの本体部13cに巻回されている。具体的には、駆動用コイル14は、駆動用コイル14を構成する導線が重なるように、径方向で複数回、折り返されて、本体部13cに巻回されている。本形態において、径方向の内側では、巻崩れ防止部16aを目印にして、本体部13cに巻回される駆動用コイル14が折り返されている。
【0029】
図5に示すように、円周方向で隣接する駆動用コイル14の間には、第2の絶縁部材としての絶縁紙17が配置されている。具体的には、2枚の絶縁紙17が円周方向で隣接する駆動用コイル14の間に配置されている。絶縁紙17は、たとえば、アラミドポリマーによって形成されている。
【0030】
絶縁部材16には、絶縁紙17を配置するための配置用凹部16cが形成されている。配置用凹部16cは、絶縁部材16の、円弧部15aの径方向内側面を覆う部分に形成されており、突極13aの基端側に配置されている。また、配置用凹部16cは、絶縁部材16の、円弧部15aの径方向内側面を覆う部分の円周方向の両端側に、かつ、径方向の外側に向かって窪むように形成されている。図5に示すように、径方向における絶縁紙17の外側部分は、配置用凹部16cに接着等によって固定され、径方向における絶縁紙17の内側端は、巻崩れ防止部16aの側方まで伸びている。なお、径方向における絶縁紙17の外側部分が配置用凹部16cに差し込まれることで、円周方向で隣接する駆動用コイル14の間に絶縁紙17が配置されても良い。
【0031】
絶縁部材16によってその表面が覆われた複数の分割コア15は、駆動用コイル14が巻回された後に、円周方向に組み合わされた状態で、略円筒状に形成される筒状部材21の内周側に焼き嵌めされて一体化されている(図2参照)。すなわち、複数の分割コア15は、径方向における分割コア15の外周側に配置される筒状部材21の内周側に焼き嵌めされて一体化されている。本形態では、複数の分割コア15を一体化する際に、突極13aの、巻崩れ防止部16aよりも先端側部分(径方向内側部分)を軸方向の両側から保持して、軸方向における分割コア15の位置決めを行っている。すなわち、突極13aの、巻崩れ防止部16aよりも先端側部分は、複数の分割コア15を一体化する際に分割コア15を保持する保持部18となっている。なお、本形態の筒状部材21は、ステータ3の一部を構成するとともに、モータケース4の側面も構成している。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、絶縁部材16に、突極13aの先端側への駆動用コイル14の巻崩れを防止するための巻崩れ防止部16aが形成され、巻崩れ防止部16aは、突極13aの先端部13dよりも突極13aの基端側に配置されている。そのため、突極13aに巻回される駆動用コイル14の、突極13aの先端側への巻崩れを防止して、分割コア15の先端部13dの端面13fと駆動用コイル14との空間距離を確保することが可能になる。したがって、本形態では、先端部13dの端面13fが絶縁部材16に覆われていない場合に、駆動用コイル14に高い電圧が印加されても、先端部13dの端面13fと駆動用コイル14とを絶縁することが可能になる。
【0033】
特に本形態では、巻崩れ防止部16aが先端部13dから径方向の外側へ離れた位置に配置されているため、先端部13dの端面13fと駆動用コイル14との空間距離を効果的に確保することが可能になる。また、本形態では、巻崩れ防止部16aが鍔状に形成されているため、先端部13dの端面13fと駆動用コイル14との空間距離を効果的に確保することが可能になる。さらに、本形態では、巻崩れ防止部16aが鍔状に形成されているため、巻崩れ防止部16aを利用して、先端部13dの端面13fと駆動用コイル14との沿面距離を確保することが可能になる。したがって、本形態では、先端部13dの端面13fが絶縁部材16に覆われていない場合に、駆動用コイル14に高い電圧が印加されても、先端部13dの端面13fと駆動用コイル14とをより確実に絶縁することが可能になる。
【0034】
また、本形態では、駆動用コイル14の巻崩れを防止することが可能になるため、円周方向で隣り合う駆動用コイル14同士との干渉を防止することが可能になる。
【0035】
本形態では、円周方向で隣接する駆動用コイル14の間に絶縁紙17が配置されている。そのため、絶縁部材16で覆われていない分割コア15の円弧部15aの端面15b、15dの近傍部分と駆動用コイル14との空間距離および沿面距離を確保することが可能になる。したがって、本形態では、駆動用コイル14に高い電圧が印加されても、円弧部15aの端面15b、15dの近傍部分と駆動用コイル14とを絶縁することが可能になる。また、絶縁紙17によって、円周方向で隣接する駆動用コイル14同士を絶縁することが可能になる。
【0036】
本形態では、突極13aの、巻崩れ防止部16aよりも先端側部分は、複数の分割コア15を一体化する際に分割コア15を保持する保持部18となっている。そのため、本形態では、分割コア15を一体化する際に、保持部18を利用して分割コア15を保持することができ、分割コア15の一体化作業を容易に行うことが可能になる。また、本形態では、分割コア15を一体化する際に分割コア15を保持するための構成を別途、設ける必要がないため、ステータ3の構成を簡素化することが可能になる。
【0037】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0038】
上述した形態では、巻崩れ防止部16aは、円周方向および軸方向へ広がる鍔状に形成されている。この他にもたとえば、巻崩れ防止部16aは、円周方向の両側または片側へ広がる薄板状に形成されても良いし、軸方向の両側または片側へ広がる薄板状に形成されても良い。また、巻崩れ防止部16aは、円周方向の両側または片側へ突出する突起状に形成されても良いし、軸方向の両側または片側へ突出する突起状に形成されても良い。この場合であっても、突極13aに巻回される駆動用コイル14の、突極13aの先端側への巻崩れを防止することが可能になる。
【0039】
上述した形態では、巻崩れ防止部16aは、突極13aの先端部13dから径方向の外側へ離れた位置に配置されている。この他にもたとえば、巻崩れ防止部16aは、先端部13dの径方向の外側に接触するように形成されても良い。より具体的には、巻崩れ防止部16aは、絶縁部材16の、先端部13dを覆う部分の径方向の外側に接触するように形成されても良い。
【0040】
上述した形態では、ステータコア13は、1個の突極13aごとに分割可能な複数の分割コア15によって構成されている。この他にもたとえば、ステータコア13は、2個以上の突極13aごとに分割可能な複数の分割コアによって構成されても良い。また、ステータコア13は、一体で形成されても良い。
【0041】
上述した形態では、インサートモールドによって、分割コア15の表面に絶縁部材16が形成されている。この他にもたとえば、上述の特許文献1に記載のモータのように、別体で形成された絶縁部材が分割コア15に嵌め込まれることで、分割コア15の表面が絶縁部材によって覆われても良い。また、上述した形態では、絶縁部材16は、分割コア15の先端部13dの端面13f、円弧部15aの端面15b、15dとその近傍部分、および、径方向における円弧部15aの外側面15fとその近傍部分を除く分割コア15の表面を覆っているが、絶縁部材16は、少なくとも、突極13aの、駆動用コイル14が巻回される部分の表面を覆っていれば良い。
【0042】
上述した形態では、ステータ3は、インナーロータ型のモータ1に用いられているが、本発明が適用されるステータは、アウターロータ型のモータに用いられても良い。この場合には、ステータコアは、ステータコアの内周側部分を構成する略円筒状の内周部を備え、複数の突極は、内周部から径方向の外側へ突出するように形成されている。この場合の内周部は、突極の基端同士を繋ぐ円筒部である。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、上述した形態において、モータ1の出力を高めたい場合には、突極13aの本体部13cの、巻崩れ防止部16aよりも先端側部分に駆動用コイル14を巻回することも可能である。この場合には、同じ分割コア15を使用しながら、駆動用コイル14の巻数を増やすことが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ
2 ロータ
3 ステータ
13 ステータコア
13a 突極
13b 外周部(円筒部)
13d 先端部(突極の先端部)
14 駆動用コイル
15 分割コア
16 絶縁部材
16a 巻崩れ防止部
16c 配置用凹部
17 絶縁紙(第2の絶縁部材)
18 保持部
21 筒状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに使用されるステータにおいて、
前記モータの円周方向に略一定の間隔で配置され前記モータの径方向へ突出する複数の突極を有するステータコアと、複数の前記突極のそれぞれに巻回される駆動用コイルと、前記突極の、前記駆動用コイルが巻回される部分の表面を少なくとも覆う絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材には、前記突極の先端側への前記駆動用コイルの巻崩れを防止するための巻崩れ防止部が形成され、
前記巻崩れ防止部は、前記突極の先端部よりも前記突極の基端側に配置されていることを特徴とするステータ。
【請求項2】
前記巻崩れ防止部は、前記突極の前記先端部から前記突極の基端側へ離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載のステータ。
【請求項3】
前記巻崩れ防止部は、前記モータの軸方向および前記円周方向へ広がる鍔状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のステータ。
【請求項4】
前記円周方向で隣接する前記突極に巻回される前記駆動用コイル間に配置される第2の絶縁部材を備え、
前記ステータコアは、前記突極の基端同士を繋ぐ略円筒状の円筒部を備え、
前記絶縁部材には、前記第2の絶縁部材を配置するための配置用凹部が形成され、
前記配置用凹部は、前記突極の基端側に配置されるとともに、前記径方向に窪むように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のステータ。
【請求項5】
前記ステータコアは、前記円周方向に分割可能な複数の分割コアによって構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のステータ。
【請求項6】
前記突極は、前記径方向の内側へ突出するように形成され、
前記突極の前記先端部は、前記円周方向に広がるように形成され、
前記巻崩れ防止部は、前記モータの軸方向および前記円周方向へ広がる鍔状に形成されるとともに前記突極の前記先端部から前記突極の基端側へ離れた位置に配置され、
複数の前記分割コアは、略円筒状に形成されるとともに前記径方向における前記分割コアの外側に配置される筒状部材によって一体化され、
前記突極の、前記巻崩れ防止部よりも先端側部分は、複数の前記分割コアを一体化する際に前記分割コアを保持する保持部となっていることを特徴とする請求項5記載のステータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のステータと、ロータとを備えることを特徴とするモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−9459(P2013−9459A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138545(P2011−138545)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】