ストッパ付筒状体の製造装置および製造方法
【課題】 特許文献2に開示されているようなストッパ付筒状体を筒状素材から低コストで製造するための製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明のストッパ付筒状体製造装置は、筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している。
【解決手段】 本発明のストッパ付筒状体製造装置は、筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築鉄骨の現場架設で使用する鉄骨柱のブラケット、梁等に添接板を取り付けるための添接板取付金具に用いるストッパ付筒状体の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図14を参照すると、建築鉄骨の現場架設の一部が斜視図として示される。同図において、参照符号10は鉄骨柱を示し、参照符号11は鉄骨柱10に溶接されたブラケットを示し、参照符号12はブラケット11に接続されるべき梁を示す。また、参照符号13a及び13bはそれぞれブラケット11及び梁12のウエブを示し、参照符号15a及び15bはそれぞれブラケット11及び梁12の上下フランジを示す。
【0003】
参照符号14a、14b及び14cはボルトで梁の一端部に仮止めされたそれぞれ一対の添接板を示し、これら添接板により梁12はブラケットに接続固定されることになる。一対の添接板14aは梁12のウエブ端の両側に仮の取付位置でボルトにより仮止めされるが、図14では、その一方だけを見ることができる。一対の添接板14bは梁12の上下フランジ15bにそれぞれボルトにより仮止めされているが、上側の添接板14bは本来の取付位置で仮止めされており、下側の添接板14bは仮の取付位置で仮止めされている。一対の添接板14cは梁12の上下フランジ15bの対向内側壁面に仮の取付位置でボルトにより仮止めされている。なお、図14では見ることができないが、上下フランジ15bの反対側の対向内側壁面にも一対の添接板14cと同様な一対の添接が仮止めされている。
【0004】
鉄骨柱10、ブラケット11及び梁12の製造は工場で行われ、また鉄骨柱10へのブラケット11の溶接及びブラケット11への添接板14a、14b及び14cへの仮止めも工場で行われる。
【0005】
図14に示すように、工場から輸送された鉄骨柱10は現場で所定位置に立設された後に梁12がクレーン(図示されない)で揚げられ、梁12の一端部がブラケット11に接近させられる。
【0006】
次いで、図15に示すように、梁12の一端部がブラケット11の端部に突き合わされ、仮止めした一対の添接板14aが一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方のウエブ13a及び13bの突き合わせ部の両側に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定させられる。続いて、上側の添接板14bがブラケット11及び梁12の双方上フランジ15a及び15bにボルトにより固定させられる。一方、仮止めされた下側の添接板14bは一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方の下フランジ15a及び15bの突き合わせ部に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定させられる。
【0007】
次に、図16に示すように、仮止めした添接板14cが一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方の上下フランジの15a及び15bの突き合わせ部の対向内側壁面に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定される。なお、上下フランジ15bの反対側の対向内側壁面側でも一対の添接板14cと同様な一対の添接板が同様な態様で固定させられる。
【0008】
従来、添接板14aをブラケット11及び梁12のウエブ13a及び13bの突き合わせ部に両側から適用するためには、先ず、作業者は仮止めしてある添接板14aのボルトを外すことが必要であり、また添接板14aをウエブ13a及び13bに固定させるためには、作業者は添接板14aを本来の取付位置まで移動させつつそのボルトの挿通孔の位置をウエブ13a及び13b側のボルトの挿通孔と整合させた後にボルトを挿通させることが必要である。
【0009】
ところが、添接板14aは比較的重く、その重量は25kg以上になることもあり、このように重い添接板14aを高所で取り外したり、移動させたり取り付けしたりする作業には危険が伴なうことが問題とされている。また、他の添接板14b、14cについても同様なことが言える。
【0010】
そこで、図17に示すように、ブラケット11のウエブ13aのそれぞれの側壁に添接板14aを一対の添接板取付金具16により予め取り付けておくことが提案されている。各添接板取付金具16は一対のアーム部材と、この一対のアーム部材を互いに枢着するボルトとから成り、一対のアーム部材はそれぞれウエブ13a及び添接板14aのそれぞれに溶接されている。
【0011】
このような構成により、添接板14aは図17に示す本来の取付位置と図17において一対の添接板取付金具16の右側に回動させられた収納位置との間で回動自在とされる。ウエブ13a及び添接板14aに対する添接板取付金具16の溶接は工場で行われ、このとき添接板14aは収納位置に位置決めされる。建築鉄骨の現場架設において、ブラケット11のウエブ13aと梁12のウエブ13bとに対して添接板14aをボルトで固定するとき、添接板14aは収納位置から本来の取付位置(図17)まで回動させられた後にボルトによる固定が行われることになる。このため先に述べたように重い添接板14aを高所で取り外したり、移動させたり取り付けしたりする作業から開放されるので、添接板14aの取付作業を安全に行うことが可能となる。
【0012】
なお、図17の例では、添接板取付金具16はブラケット11のウエブ13a側に装着されているが、添接板取付金具16が梁12のウエブ13b側に装着されてもよく、また添接板14b及び13cにも添接板取付金具16と同様なものを適用することができる。
【0013】
ところが、図17に示すような構成の添接板取付金具16はその組立工数が多く、このため製作コストが高く付くという問題があった。また、このような添接板取付金具の溶接長さについては建築学会基準(JASS6−1996)により40mm以上と決められたが、図17に示すような構成の添接板取付金具16では、40mm以上の溶接長さを確保することはできないという問題が生じる。更には、図17に示すような構成の添接板取付金具16の場合には、溶接欠陥(アンダーカット)が生じ易いという問題もあった。
【0014】
そこで、本出願人は以上で述べたような添接板取付金具の問題点を解消すべく、特許文献1に開示されたような添接板取付金具を提供した。
【特許文献1】特開平10−195987号
【0015】
詳述すると、図18に示すように、特許文献1の添接板取付金具1のそれぞれは、添接板14aに溶接された筒状体2aと、ブラケット11のウエブ13aに溶接された筒状体2bと、これら筒状体2a及び2bに挿通させられた棒状体3とから成り、筒状体2a及び2bのぞれぞれの一端部には棒状体3の抜け落ちを防止するために底部即ち蓋が形成されている。このような添接板取付金具1によれば、筒状体2a及び2bの場合にはその充分な溶接長さが得られるだけでなく溶接欠陥の発生も大巾に抑えられ、またその組立工数も図17に示す添接板取付金具16ものと比べて少なくされる。
【0016】
特許文献1に開示されているように、筒状体2a及び2bの各々はその一端部が蓋で塞がれている。例えば、筒状体2a及び2bの各々については円柱体の一方の端部から中刳り加工して形成することが可能である。また、特許文献1に開示されているように、各筒状体2a又は2bについては、筒状素材の一端部を蓋部材を溶接したりねじ止めして形成してもよいし、或いは筒状素材の一端部に六面体を圧入して形成するもとも可能であるとしている。
【0017】
ところが、特許文献1の添接板取付金具1は図17に示す添接板取付金具16に比べれば低コストで製造することが可能であるが、筒状体2a及び2bの製造は比較的面倒であり、添接板取付金具の更なる低コスト化を図るためには、かかる筒状体の低コスト化が図られるべきである。
【0018】
そこで、本出願人は特許文献1の添接板取付金具の問題点を解消すべく、特許文献2に開示されたような添接板取付金具を提供した。
【特許文献2】実用新案登録第3153010号
【0019】
詳述すると、図19に示すように、特許文献2の添接板取付金具4のそれぞれは、添接板14aに溶接された筒状体5aと、ブラケット11のウエブ13aに溶接された筒状体5bと、これら筒状体5a及び5bに挿通させられた棒状体6とから成り、筒状体5a及び5bのぞれぞれの一端部には棒状体6の抜け落ちを防止するために爪要素即ちストッパ要素7が一体成形されている。このような添接板取付金具4のストッパ付筒状体5a及び5bの製造については特許文献1の添接板取付金具1の筒状体2a及び2bの製造よりも一層容易に行うことが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、特許文献2に開示されているようなストッパ付筒状体を筒状素材から低コストで製造するためのストッパ付筒状体製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は、以下の(1)〜(7)の構成の本発明のストッパ付筒状体製造装置および製造方法により達成される。
(1)
鋼材料製の筒状素材から、その一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に押し切り折り曲げ加工することにより添接坂取り付け金具のストッパ付筒状体を製造するためのプレス機であるストッパ付筒状体製造装置であって、
前記筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している
ことを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0022】
(2)
上記(1)に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って3つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
(3)
上記(1)に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って4つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0023】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って等間隔に隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記湾曲して延在する帯状刃の曲率半径が、斜め外方に向かって徐々に大きくされていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0024】
(6)
上記(1)から(5)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置を用いて、前記ドーム状カッターを鋼材料製の筒状素材の端部に向かって相対的に移動させ、前記筒状素材の端部を帯状刃により加工し、筒状素材の一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に折り曲げ加工することによりストッパ付筒状体を製造することを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
(7)
上記(6)のストッパ付筒状体の製造方法において、帯状刃の相対移動速度が、初期において比較的小さいことを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明のストッパ付筒状体製造装置および製造方法によれば、筒状素材の端部の周壁の一部が複数箇所で同時に押し切られると共に半径方向内側に折り曲げ加工して複数のストッパとして形成されるので、ストッパ付筒状体を簡単な作業で行うことができ、しかも低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は図19に示した添接板取付金具の拡大正面図である。
【図2】図2は図1に示した添接板取付金具の一構成要素であるストッパ付筒状体の斜視図である。
【図3】図3は図2のストッパ付筒状体の平面図である。
【図4】図4は図2及び図3に示すストッパ付筒状体を製造するための筒状素材を示す斜視図である。
【図5】図5はデジタル電動サーボプレス機の概略側面図である。
【図6】図6は図5のデジタル電動サーボプレス機で用いる上型の正面図であって、その一部を断面で示す図である
【図7】図7は図6の上型の円柱状ダイの上端部側を示す部分拡大斜視図である。
【図8】図8は上下型の平面図である。
【図9】図9は図8の上型の底面図である。
【図10】図10は押圧ダイの斜視図である。
【図11】図11はドーム状カッターの斜視図である。
【図12】図12は図2及び図3に示したストッパ付筒状体の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12は図2及び図3に示したストッパ付筒状体の別の変形例を示す斜視図である。
【図14】図14は建築鉄骨の現場架設の一部を示す斜視図である。
【図15】図15は図14と同様な斜視図であって、梁の一端部がブラケットの端部に突き合わされかつ添接板の一部によってそれらの両端部を互いに固定接続させた状態で示す図である。
【図16】図16は図15と同様な斜視図であって、梁の一端部とブラケットの端部とを全ての添接板によって固定接続させた状態で示す図である。
【図17】図17は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を従来の添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【図18】図18は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を従来の改良型添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【図19】図19は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を更なる改良型添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に添接板取付金具4を単独で拡大図として示した。
【0028】
図19を参照した説明から明らかなように、添接板取付金具4は、添接板(14a)に溶接される筒状体5aと、ブラケット11のウエブ13に溶接される筒状体5bと、これら筒状体5a及び5bに挿通させられた棒状体6とを備え、筒状体5a及び5bのぞれぞれの一端部には棒状体6の抜け落ちを防止するために爪要素即ちストッパ要素7が一体成形されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、各筒状体5a又は5bの一端部側にはその周囲に等間隔に隔設された4つのストッパ要素7が一体的に形成されている。各ストッパ要素7は各筒状体5a又は5bの一端部側の周囲壁の一部をその長手方向に切り込みを入れつつ内方に折り曲げ加工することにより得られるものである。
本例では、ストッパ付筒状体がストッパ要素7を4つもつものを示したが、2つ以上であれば幾つでもよい。
【0030】
ストッパ付筒状体5a又は5bは、図4に示した筒状素材5により製造される。
以下に、この筒状素材5を用いてストッパ付筒状体5a又は5bを製造するストッパ付筒状体製造装置の一例であるデジタル電動サーボプレス機について説明する。
【0031】
図5に、筒状素材5をプレス加工するためのデジタル電動サーボプレス機の一例を示した。同図において、参照符号100はデジタル電動サーボプレス機を全体的に示し、参照符号102はフレームを、参照符号103はボルスターを、参照符号104はサーボモータを、参照符号106はブレーキを、参照符号108はピニオンギアを、参照符号110はメインギアを、参照符号112はエンコーダを、参照符号114はコンデンサーを、参照符号116はクランクをそれぞれ示す。
【0032】
図6に、デジタル電動サーボプレス機100の金型10を示した。この金型10は、ボルスター103上に設置された下下型20、クッションの役目を果たす上下型201および上型22を備えている。上記下下型20は、ボルスター103(図5)上に配置された基台20aと、この基台20a上に設置された台座20bと、この台座20bの上面に形成された矩形凹部の中心に植設され、筒状素材5のホルダーとしても作用する円柱状ダイ20cと、この円柱状ダイ20cを摺動自在に挿通させたスペーサ20dと、このスペーサ20dをガイドするガイド棒20eとを備えている。図示していないが、このガイド棒20eには、コイルばねが巻かれており、これによりスペーサ20dは上方に付勢されている。
【0033】
また、下下型20の基台20aにはその両側にガイド柱20fが植設され、これらガイド柱20fにはそれぞれコイルばね20gが装着されている。なお、ガイド柱20fは後述するように下下型20と協働する上型22をガイドするためのものである。
【0034】
上記上下型201は、上下動できるようになっているが、通常は、バネにより上方に付勢されている。
【0035】
図7に示すように、本実施形態では、円柱状ダイ20cの上端部にはその周囲に沿って4つの半径方向溝部21が等間隔に形成され、これら半径方向溝部21の配置間隔は図2及び図3に示した4つのストッパ要素7の配置間隔に一致し、また半径方向溝部21の幅はストッパ要素7の横幅に一致する。円柱状ダイ20cの外径は図4に示した筒状素材5の内径よりも僅かに小さくされ、このため円柱状ダイ20cには筒状素材5が実質的に遊びを排除するような態様で挿通させられるようになっている。
【0036】
上記下下型20と協働する上型22は、基台23と、この基台23に設置された第1の上型本体24とを備えている。
【0037】
図8に示すように、上型本体24の両側にはそれぞれガイド棒27が植設され、上下型201には、図8に示したように、ガイド棒27を摺動自在に挿通させるガイド孔201aが形成され、これにより上下型201は第1の上型本体24に対して前後方向に移動自在とされる。上型本体24と上下型201との間にはコイルばね28が設けられ、これらコイルばね28の付勢により、上下型201は通常は上型本体24から所定な距離だけ離された位置に維持されている。なお、コイルばね28のばね力は、下下型20のガイド柱20fに装着されたコイルばね20gのばね力よりも小さくされている。
【0038】
図9に示したように、上記上型本体24の下部中央には、図10に示した押圧ダイ29が設置されている。
【0039】
本実施形態では、押圧ダイ29は横断面十字形部材30を備え、この横断面十字形部材30の底部には図11に示したドーム状カッター26の4つの帯状刃26aの湾曲形態に相補的に一致した4つの押圧面30aが形成されている。この押圧面30aにドーム状カッター26が固定されている。各押圧面30aの横幅は帯状刃26aの横幅と実質的に一致させられる。
【0040】
本実施形態では、ドーム状カッター26はその中心部から4つの帯状刃26aが半径方向に湾曲して延在し、その配置間隔は円柱状ダイ20cの上端部の4つの半径方向溝部21と同じとされ、しかも各帯状刃26aの横幅は半径方向溝部21の幅と実質的に同じとされている。即ち、帯状刃26aは半径方向溝部21に対して整合した位置に配置される。4つの帯状刃26aの下端は所定の円周上に配置され、その円周は筒状素材5(図4)の外周よりも大きく、かくして筒状素材5が上記ボア内をドーム状カッター26側に向かって移動させられたとき、各帯状刃26aはその最下端よりも上方位置で筒状素材5の上端外縁に当接させられる。
【0041】
図9に示すように、上型22の基部23の両側にはそれぞれスリーブ31が設けられ、これらスリーブ31は図6に示す下下型20のガイド柱20fに摺動自在に挿通させられ、これにより上型22が下下型20に対してガイド柱20fに案内されて上下方向に移動自在とされている。上記上下型201の中央部には、図8に示したように、押圧ダイ29に相対した形状を有し、該押圧ダイ29が挿通することのできる貫通開口201bが形成されている。
【0042】
次に、以上で述べたデジタル電動サーボプレス機100を用いて、筒状素材5(図4)からストッパ付筒状体5a又は5b(図2及び図3)を製造する製造方法について説明する。
【0043】
先ず、上型22と上下型201、下下型20との組立体がデジタル電動サーボプレス機100のボルスター103上に設置させられ、次いで筒状素材5(図4)が円柱状ダイ20c(図6及び図7)に挿通させられて設置される。
【0044】
その後、デジタル電動サーボプレス機100が始動させられる。即ち、サーボモータ104が駆動され、その回転駆動力はピニオンギア108及びメインギア110によって減速された後、その減速回転駆動力はクランク116によって上型22を下方に押圧する押圧力に変換させられる。
【0045】
上型22が下方に押圧されると、図8に示す上型22はばね28を圧縮させつつガイド柱20に沿って上下型201に向かって下降させられ、上下型201に当接した後、この上下型201を伴って更に下降する。
【0046】
更に、上型22が上下型201を伴って更に下降して上型本体24内に設けられた押圧ダイ29(図11)のドーム状カッター26(図10)の帯状刃26aが筒状素材5に当接し(このときの衝撃を緩めるためスペーサー20dは下降する)、そして筒状素材5の上端側の周囲壁の一部、即ち帯状刃26aが作用した部分が切断させられると共に半径方向内側に折り曲げ加工させられて4つのストッパ要素7が同時に形成される。加工中の押圧ダイ29の下降速度は、初めが速く徐々に速度を落とすような対応にすることが望ましい。
【0047】
図12を参照すると、図2及び図3に示したストッパ付筒状体4の変形例が示され、この変形例においては、ストッパ付筒状体4にはストッパ要素7が3つ設けられている。このようなストッパ付筒状体についても上述した製造方法と同様な製造法で製造することが可能であり、この場合には、3つのストッパ要素7を持つストッパ付筒状体の形態に合わせて、円柱状ダイ20cの上端にも3つの半径方向溝部21が形成され、3つの帯状刃26aを持つドーム状カッター26が使用され、また3つの押圧面30aを持つ押圧ダイ29が使用される。
【0048】
図13を参照すると、図2及び図3に示したストッパ付筒状体4の別の変形例が示され、この変形例においては、ストッパ付筒状体4にはストッパ要素7が2つ設けられている。このようなストッパ付筒状体についても上述した製造方法と同様な製造法で製造することが可能であり、この場合には、2つのストッパ要素7を持つストッパ付筒状体の形態に合わせて、円柱状ダイ20cの上端には2つの半径方向溝部21が形成され、2つの帯状刃26aを持つドーム状カッター26が使用され、また2つの押圧面30aを持つ押圧ダイ29が使用される。
【0049】
上記した実施の形態では、押圧ダイ29が上型本体24に設けられ、押圧ダイ29が下降する形態のものを説明したが、U状態で押圧ダイ29状のダイが下方に配置された溝つき円環状ホルダー上に筒状素材5を位置決め配置し、ダイは固定したままで、筒状素材5をホルダーごと下降させて、ストッパ要素を加工するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
5:筒状素材
5a・5b:筒状体
6:棒状体
7:ストッパ要素
20:下下型
20a:基台
20b:台座
20c:円柱状ダイ
20d:スペーサ
20e:ガイド棒
20f:ガイド柱
20g:コイルばね
21:半径方向溝部
22:上型
23:基台
24:上型本体
25:上下型
26:ドーム状カッター
26a:帯状刃
27:ガイド棒
28:コイルばね
29:押圧ダイ
30:横断面十字形部材
30a:押圧面
31:スリーブ
100:デジタル電動サーボプレス機
102:フレーム
103:ボルスター
104:サーボモータ
106:ブレーキ
108:ピニオンギア
110:メインギア
112:エンコーダ
114:コンデンサー
116:クランク
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築鉄骨の現場架設で使用する鉄骨柱のブラケット、梁等に添接板を取り付けるための添接板取付金具に用いるストッパ付筒状体の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図14を参照すると、建築鉄骨の現場架設の一部が斜視図として示される。同図において、参照符号10は鉄骨柱を示し、参照符号11は鉄骨柱10に溶接されたブラケットを示し、参照符号12はブラケット11に接続されるべき梁を示す。また、参照符号13a及び13bはそれぞれブラケット11及び梁12のウエブを示し、参照符号15a及び15bはそれぞれブラケット11及び梁12の上下フランジを示す。
【0003】
参照符号14a、14b及び14cはボルトで梁の一端部に仮止めされたそれぞれ一対の添接板を示し、これら添接板により梁12はブラケットに接続固定されることになる。一対の添接板14aは梁12のウエブ端の両側に仮の取付位置でボルトにより仮止めされるが、図14では、その一方だけを見ることができる。一対の添接板14bは梁12の上下フランジ15bにそれぞれボルトにより仮止めされているが、上側の添接板14bは本来の取付位置で仮止めされており、下側の添接板14bは仮の取付位置で仮止めされている。一対の添接板14cは梁12の上下フランジ15bの対向内側壁面に仮の取付位置でボルトにより仮止めされている。なお、図14では見ることができないが、上下フランジ15bの反対側の対向内側壁面にも一対の添接板14cと同様な一対の添接が仮止めされている。
【0004】
鉄骨柱10、ブラケット11及び梁12の製造は工場で行われ、また鉄骨柱10へのブラケット11の溶接及びブラケット11への添接板14a、14b及び14cへの仮止めも工場で行われる。
【0005】
図14に示すように、工場から輸送された鉄骨柱10は現場で所定位置に立設された後に梁12がクレーン(図示されない)で揚げられ、梁12の一端部がブラケット11に接近させられる。
【0006】
次いで、図15に示すように、梁12の一端部がブラケット11の端部に突き合わされ、仮止めした一対の添接板14aが一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方のウエブ13a及び13bの突き合わせ部の両側に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定させられる。続いて、上側の添接板14bがブラケット11及び梁12の双方上フランジ15a及び15bにボルトにより固定させられる。一方、仮止めされた下側の添接板14bは一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方の下フランジ15a及び15bの突き合わせ部に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定させられる。
【0007】
次に、図16に示すように、仮止めした添接板14cが一旦取り外されて、ブラケット11及び梁12の双方の上下フランジの15a及び15bの突き合わせ部の対向内側壁面に適用させられた後にボルトにより本来の取付位置で固定される。なお、上下フランジ15bの反対側の対向内側壁面側でも一対の添接板14cと同様な一対の添接板が同様な態様で固定させられる。
【0008】
従来、添接板14aをブラケット11及び梁12のウエブ13a及び13bの突き合わせ部に両側から適用するためには、先ず、作業者は仮止めしてある添接板14aのボルトを外すことが必要であり、また添接板14aをウエブ13a及び13bに固定させるためには、作業者は添接板14aを本来の取付位置まで移動させつつそのボルトの挿通孔の位置をウエブ13a及び13b側のボルトの挿通孔と整合させた後にボルトを挿通させることが必要である。
【0009】
ところが、添接板14aは比較的重く、その重量は25kg以上になることもあり、このように重い添接板14aを高所で取り外したり、移動させたり取り付けしたりする作業には危険が伴なうことが問題とされている。また、他の添接板14b、14cについても同様なことが言える。
【0010】
そこで、図17に示すように、ブラケット11のウエブ13aのそれぞれの側壁に添接板14aを一対の添接板取付金具16により予め取り付けておくことが提案されている。各添接板取付金具16は一対のアーム部材と、この一対のアーム部材を互いに枢着するボルトとから成り、一対のアーム部材はそれぞれウエブ13a及び添接板14aのそれぞれに溶接されている。
【0011】
このような構成により、添接板14aは図17に示す本来の取付位置と図17において一対の添接板取付金具16の右側に回動させられた収納位置との間で回動自在とされる。ウエブ13a及び添接板14aに対する添接板取付金具16の溶接は工場で行われ、このとき添接板14aは収納位置に位置決めされる。建築鉄骨の現場架設において、ブラケット11のウエブ13aと梁12のウエブ13bとに対して添接板14aをボルトで固定するとき、添接板14aは収納位置から本来の取付位置(図17)まで回動させられた後にボルトによる固定が行われることになる。このため先に述べたように重い添接板14aを高所で取り外したり、移動させたり取り付けしたりする作業から開放されるので、添接板14aの取付作業を安全に行うことが可能となる。
【0012】
なお、図17の例では、添接板取付金具16はブラケット11のウエブ13a側に装着されているが、添接板取付金具16が梁12のウエブ13b側に装着されてもよく、また添接板14b及び13cにも添接板取付金具16と同様なものを適用することができる。
【0013】
ところが、図17に示すような構成の添接板取付金具16はその組立工数が多く、このため製作コストが高く付くという問題があった。また、このような添接板取付金具の溶接長さについては建築学会基準(JASS6−1996)により40mm以上と決められたが、図17に示すような構成の添接板取付金具16では、40mm以上の溶接長さを確保することはできないという問題が生じる。更には、図17に示すような構成の添接板取付金具16の場合には、溶接欠陥(アンダーカット)が生じ易いという問題もあった。
【0014】
そこで、本出願人は以上で述べたような添接板取付金具の問題点を解消すべく、特許文献1に開示されたような添接板取付金具を提供した。
【特許文献1】特開平10−195987号
【0015】
詳述すると、図18に示すように、特許文献1の添接板取付金具1のそれぞれは、添接板14aに溶接された筒状体2aと、ブラケット11のウエブ13aに溶接された筒状体2bと、これら筒状体2a及び2bに挿通させられた棒状体3とから成り、筒状体2a及び2bのぞれぞれの一端部には棒状体3の抜け落ちを防止するために底部即ち蓋が形成されている。このような添接板取付金具1によれば、筒状体2a及び2bの場合にはその充分な溶接長さが得られるだけでなく溶接欠陥の発生も大巾に抑えられ、またその組立工数も図17に示す添接板取付金具16ものと比べて少なくされる。
【0016】
特許文献1に開示されているように、筒状体2a及び2bの各々はその一端部が蓋で塞がれている。例えば、筒状体2a及び2bの各々については円柱体の一方の端部から中刳り加工して形成することが可能である。また、特許文献1に開示されているように、各筒状体2a又は2bについては、筒状素材の一端部を蓋部材を溶接したりねじ止めして形成してもよいし、或いは筒状素材の一端部に六面体を圧入して形成するもとも可能であるとしている。
【0017】
ところが、特許文献1の添接板取付金具1は図17に示す添接板取付金具16に比べれば低コストで製造することが可能であるが、筒状体2a及び2bの製造は比較的面倒であり、添接板取付金具の更なる低コスト化を図るためには、かかる筒状体の低コスト化が図られるべきである。
【0018】
そこで、本出願人は特許文献1の添接板取付金具の問題点を解消すべく、特許文献2に開示されたような添接板取付金具を提供した。
【特許文献2】実用新案登録第3153010号
【0019】
詳述すると、図19に示すように、特許文献2の添接板取付金具4のそれぞれは、添接板14aに溶接された筒状体5aと、ブラケット11のウエブ13aに溶接された筒状体5bと、これら筒状体5a及び5bに挿通させられた棒状体6とから成り、筒状体5a及び5bのぞれぞれの一端部には棒状体6の抜け落ちを防止するために爪要素即ちストッパ要素7が一体成形されている。このような添接板取付金具4のストッパ付筒状体5a及び5bの製造については特許文献1の添接板取付金具1の筒状体2a及び2bの製造よりも一層容易に行うことが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、特許文献2に開示されているようなストッパ付筒状体を筒状素材から低コストで製造するためのストッパ付筒状体製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は、以下の(1)〜(7)の構成の本発明のストッパ付筒状体製造装置および製造方法により達成される。
(1)
鋼材料製の筒状素材から、その一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に押し切り折り曲げ加工することにより添接坂取り付け金具のストッパ付筒状体を製造するためのプレス機であるストッパ付筒状体製造装置であって、
前記筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している
ことを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0022】
(2)
上記(1)に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って3つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
(3)
上記(1)に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って4つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0023】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って等間隔に隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記湾曲して延在する帯状刃の曲率半径が、斜め外方に向かって徐々に大きくされていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【0024】
(6)
上記(1)から(5)のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置を用いて、前記ドーム状カッターを鋼材料製の筒状素材の端部に向かって相対的に移動させ、前記筒状素材の端部を帯状刃により加工し、筒状素材の一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に折り曲げ加工することによりストッパ付筒状体を製造することを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
(7)
上記(6)のストッパ付筒状体の製造方法において、帯状刃の相対移動速度が、初期において比較的小さいことを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明のストッパ付筒状体製造装置および製造方法によれば、筒状素材の端部の周壁の一部が複数箇所で同時に押し切られると共に半径方向内側に折り曲げ加工して複数のストッパとして形成されるので、ストッパ付筒状体を簡単な作業で行うことができ、しかも低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は図19に示した添接板取付金具の拡大正面図である。
【図2】図2は図1に示した添接板取付金具の一構成要素であるストッパ付筒状体の斜視図である。
【図3】図3は図2のストッパ付筒状体の平面図である。
【図4】図4は図2及び図3に示すストッパ付筒状体を製造するための筒状素材を示す斜視図である。
【図5】図5はデジタル電動サーボプレス機の概略側面図である。
【図6】図6は図5のデジタル電動サーボプレス機で用いる上型の正面図であって、その一部を断面で示す図である
【図7】図7は図6の上型の円柱状ダイの上端部側を示す部分拡大斜視図である。
【図8】図8は上下型の平面図である。
【図9】図9は図8の上型の底面図である。
【図10】図10は押圧ダイの斜視図である。
【図11】図11はドーム状カッターの斜視図である。
【図12】図12は図2及び図3に示したストッパ付筒状体の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12は図2及び図3に示したストッパ付筒状体の別の変形例を示す斜視図である。
【図14】図14は建築鉄骨の現場架設の一部を示す斜視図である。
【図15】図15は図14と同様な斜視図であって、梁の一端部がブラケットの端部に突き合わされかつ添接板の一部によってそれらの両端部を互いに固定接続させた状態で示す図である。
【図16】図16は図15と同様な斜視図であって、梁の一端部とブラケットの端部とを全ての添接板によって固定接続させた状態で示す図である。
【図17】図17は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を従来の添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【図18】図18は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を従来の改良型添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【図19】図19は図14に示したブラケットの端部を示す拡大立面図であって、該ブラケットのウエブに添接板を更なる改良型添接板取付金具で取り付けた状態で示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に添接板取付金具4を単独で拡大図として示した。
【0028】
図19を参照した説明から明らかなように、添接板取付金具4は、添接板(14a)に溶接される筒状体5aと、ブラケット11のウエブ13に溶接される筒状体5bと、これら筒状体5a及び5bに挿通させられた棒状体6とを備え、筒状体5a及び5bのぞれぞれの一端部には棒状体6の抜け落ちを防止するために爪要素即ちストッパ要素7が一体成形されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、各筒状体5a又は5bの一端部側にはその周囲に等間隔に隔設された4つのストッパ要素7が一体的に形成されている。各ストッパ要素7は各筒状体5a又は5bの一端部側の周囲壁の一部をその長手方向に切り込みを入れつつ内方に折り曲げ加工することにより得られるものである。
本例では、ストッパ付筒状体がストッパ要素7を4つもつものを示したが、2つ以上であれば幾つでもよい。
【0030】
ストッパ付筒状体5a又は5bは、図4に示した筒状素材5により製造される。
以下に、この筒状素材5を用いてストッパ付筒状体5a又は5bを製造するストッパ付筒状体製造装置の一例であるデジタル電動サーボプレス機について説明する。
【0031】
図5に、筒状素材5をプレス加工するためのデジタル電動サーボプレス機の一例を示した。同図において、参照符号100はデジタル電動サーボプレス機を全体的に示し、参照符号102はフレームを、参照符号103はボルスターを、参照符号104はサーボモータを、参照符号106はブレーキを、参照符号108はピニオンギアを、参照符号110はメインギアを、参照符号112はエンコーダを、参照符号114はコンデンサーを、参照符号116はクランクをそれぞれ示す。
【0032】
図6に、デジタル電動サーボプレス機100の金型10を示した。この金型10は、ボルスター103上に設置された下下型20、クッションの役目を果たす上下型201および上型22を備えている。上記下下型20は、ボルスター103(図5)上に配置された基台20aと、この基台20a上に設置された台座20bと、この台座20bの上面に形成された矩形凹部の中心に植設され、筒状素材5のホルダーとしても作用する円柱状ダイ20cと、この円柱状ダイ20cを摺動自在に挿通させたスペーサ20dと、このスペーサ20dをガイドするガイド棒20eとを備えている。図示していないが、このガイド棒20eには、コイルばねが巻かれており、これによりスペーサ20dは上方に付勢されている。
【0033】
また、下下型20の基台20aにはその両側にガイド柱20fが植設され、これらガイド柱20fにはそれぞれコイルばね20gが装着されている。なお、ガイド柱20fは後述するように下下型20と協働する上型22をガイドするためのものである。
【0034】
上記上下型201は、上下動できるようになっているが、通常は、バネにより上方に付勢されている。
【0035】
図7に示すように、本実施形態では、円柱状ダイ20cの上端部にはその周囲に沿って4つの半径方向溝部21が等間隔に形成され、これら半径方向溝部21の配置間隔は図2及び図3に示した4つのストッパ要素7の配置間隔に一致し、また半径方向溝部21の幅はストッパ要素7の横幅に一致する。円柱状ダイ20cの外径は図4に示した筒状素材5の内径よりも僅かに小さくされ、このため円柱状ダイ20cには筒状素材5が実質的に遊びを排除するような態様で挿通させられるようになっている。
【0036】
上記下下型20と協働する上型22は、基台23と、この基台23に設置された第1の上型本体24とを備えている。
【0037】
図8に示すように、上型本体24の両側にはそれぞれガイド棒27が植設され、上下型201には、図8に示したように、ガイド棒27を摺動自在に挿通させるガイド孔201aが形成され、これにより上下型201は第1の上型本体24に対して前後方向に移動自在とされる。上型本体24と上下型201との間にはコイルばね28が設けられ、これらコイルばね28の付勢により、上下型201は通常は上型本体24から所定な距離だけ離された位置に維持されている。なお、コイルばね28のばね力は、下下型20のガイド柱20fに装着されたコイルばね20gのばね力よりも小さくされている。
【0038】
図9に示したように、上記上型本体24の下部中央には、図10に示した押圧ダイ29が設置されている。
【0039】
本実施形態では、押圧ダイ29は横断面十字形部材30を備え、この横断面十字形部材30の底部には図11に示したドーム状カッター26の4つの帯状刃26aの湾曲形態に相補的に一致した4つの押圧面30aが形成されている。この押圧面30aにドーム状カッター26が固定されている。各押圧面30aの横幅は帯状刃26aの横幅と実質的に一致させられる。
【0040】
本実施形態では、ドーム状カッター26はその中心部から4つの帯状刃26aが半径方向に湾曲して延在し、その配置間隔は円柱状ダイ20cの上端部の4つの半径方向溝部21と同じとされ、しかも各帯状刃26aの横幅は半径方向溝部21の幅と実質的に同じとされている。即ち、帯状刃26aは半径方向溝部21に対して整合した位置に配置される。4つの帯状刃26aの下端は所定の円周上に配置され、その円周は筒状素材5(図4)の外周よりも大きく、かくして筒状素材5が上記ボア内をドーム状カッター26側に向かって移動させられたとき、各帯状刃26aはその最下端よりも上方位置で筒状素材5の上端外縁に当接させられる。
【0041】
図9に示すように、上型22の基部23の両側にはそれぞれスリーブ31が設けられ、これらスリーブ31は図6に示す下下型20のガイド柱20fに摺動自在に挿通させられ、これにより上型22が下下型20に対してガイド柱20fに案内されて上下方向に移動自在とされている。上記上下型201の中央部には、図8に示したように、押圧ダイ29に相対した形状を有し、該押圧ダイ29が挿通することのできる貫通開口201bが形成されている。
【0042】
次に、以上で述べたデジタル電動サーボプレス機100を用いて、筒状素材5(図4)からストッパ付筒状体5a又は5b(図2及び図3)を製造する製造方法について説明する。
【0043】
先ず、上型22と上下型201、下下型20との組立体がデジタル電動サーボプレス機100のボルスター103上に設置させられ、次いで筒状素材5(図4)が円柱状ダイ20c(図6及び図7)に挿通させられて設置される。
【0044】
その後、デジタル電動サーボプレス機100が始動させられる。即ち、サーボモータ104が駆動され、その回転駆動力はピニオンギア108及びメインギア110によって減速された後、その減速回転駆動力はクランク116によって上型22を下方に押圧する押圧力に変換させられる。
【0045】
上型22が下方に押圧されると、図8に示す上型22はばね28を圧縮させつつガイド柱20に沿って上下型201に向かって下降させられ、上下型201に当接した後、この上下型201を伴って更に下降する。
【0046】
更に、上型22が上下型201を伴って更に下降して上型本体24内に設けられた押圧ダイ29(図11)のドーム状カッター26(図10)の帯状刃26aが筒状素材5に当接し(このときの衝撃を緩めるためスペーサー20dは下降する)、そして筒状素材5の上端側の周囲壁の一部、即ち帯状刃26aが作用した部分が切断させられると共に半径方向内側に折り曲げ加工させられて4つのストッパ要素7が同時に形成される。加工中の押圧ダイ29の下降速度は、初めが速く徐々に速度を落とすような対応にすることが望ましい。
【0047】
図12を参照すると、図2及び図3に示したストッパ付筒状体4の変形例が示され、この変形例においては、ストッパ付筒状体4にはストッパ要素7が3つ設けられている。このようなストッパ付筒状体についても上述した製造方法と同様な製造法で製造することが可能であり、この場合には、3つのストッパ要素7を持つストッパ付筒状体の形態に合わせて、円柱状ダイ20cの上端にも3つの半径方向溝部21が形成され、3つの帯状刃26aを持つドーム状カッター26が使用され、また3つの押圧面30aを持つ押圧ダイ29が使用される。
【0048】
図13を参照すると、図2及び図3に示したストッパ付筒状体4の別の変形例が示され、この変形例においては、ストッパ付筒状体4にはストッパ要素7が2つ設けられている。このようなストッパ付筒状体についても上述した製造方法と同様な製造法で製造することが可能であり、この場合には、2つのストッパ要素7を持つストッパ付筒状体の形態に合わせて、円柱状ダイ20cの上端には2つの半径方向溝部21が形成され、2つの帯状刃26aを持つドーム状カッター26が使用され、また2つの押圧面30aを持つ押圧ダイ29が使用される。
【0049】
上記した実施の形態では、押圧ダイ29が上型本体24に設けられ、押圧ダイ29が下降する形態のものを説明したが、U状態で押圧ダイ29状のダイが下方に配置された溝つき円環状ホルダー上に筒状素材5を位置決め配置し、ダイは固定したままで、筒状素材5をホルダーごと下降させて、ストッパ要素を加工するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
5:筒状素材
5a・5b:筒状体
6:棒状体
7:ストッパ要素
20:下下型
20a:基台
20b:台座
20c:円柱状ダイ
20d:スペーサ
20e:ガイド棒
20f:ガイド柱
20g:コイルばね
21:半径方向溝部
22:上型
23:基台
24:上型本体
25:上下型
26:ドーム状カッター
26a:帯状刃
27:ガイド棒
28:コイルばね
29:押圧ダイ
30:横断面十字形部材
30a:押圧面
31:スリーブ
100:デジタル電動サーボプレス機
102:フレーム
103:ボルスター
104:サーボモータ
106:ブレーキ
108:ピニオンギア
110:メインギア
112:エンコーダ
114:コンデンサー
116:クランク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材料製の筒状素材から、その一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に押し切り折り曲げ加工することにより添接坂取り付け金具のストッパ付筒状体を製造するためのプレス機であるストッパ付筒状体製造装置であって、
前記筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している
ことを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って3つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って4つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って等間隔に隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記湾曲して延在する帯状刃の曲率半径が、斜め外方に向かって徐々に大きくされていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置を用いて、前記ドーム状カッターを鋼材料製の筒状素材の端部に向かって相対的に移動させ、前記筒状素材の端部を帯状刃により加工し、筒状素材の一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に折り曲げ加工することによりストッパ付筒状体を製造することを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【請求項7】
請求項6のストッパ付筒状体の製造方法において、帯状刃の相対移動速度が、初期において比較的小さいことを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【請求項1】
鋼材料製の筒状素材から、その一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に押し切り折り曲げ加工することにより添接坂取り付け金具のストッパ付筒状体を製造するためのプレス機であるストッパ付筒状体製造装置であって、
前記筒状素材を、その内径部または外径部の位置決めを行うことで、直立した状態で所定位置に位置付ける円筒状または環状のホルダー、および前記ホルダーに配置された筒状素材に対向して設けられ、該筒状素材に対して相対的に離接できるようになっており、該筒状素材に向かって凹状となったドーム状カッターを備え、このドーム状カッターは、その中心部から斜め外方に向かって湾曲して延在し、複数の帯状刃を備えるとともに、前記ホルダーは、前記帯状刃(26a)のそれぞれと整合し、該帯状刃の横幅に実質的に一致し、前記ストッパ要素が半径方向内側に折り曲がることを許す半径方向溝部を有している
ことを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って3つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って4つ隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記ドーム状カッターの帯状刃がその周囲に沿って等間隔に隔設形成されていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置において、前記湾曲して延在する帯状刃の曲率半径が、斜め外方に向かって徐々に大きくされていることを特徴とするストッパ付筒状体製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のストッパ付筒状体製造装置を用いて、前記ドーム状カッターを鋼材料製の筒状素材の端部に向かって相対的に移動させ、前記筒状素材の端部を帯状刃により加工し、筒状素材の一端部の周囲に隔設された少なくとも2つのストッパ要素を半径方向内側に折り曲げ加工することによりストッパ付筒状体を製造することを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【請求項7】
請求項6のストッパ付筒状体の製造方法において、帯状刃の相対移動速度が、初期において比較的小さいことを特徴とするストッパ付筒状体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−236581(P2011−236581A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107082(P2010−107082)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(591175985)株式会社スノウチ (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(591175985)株式会社スノウチ (11)
【Fターム(参考)】
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