説明

スピーカーフレームおよびこれを用いたスピーカー

【課題】
ダイカストフレームで端子板を配置する寸法が限られていて、端子板を垂直に取り付ける場合であっても、コスト増加を伴う加工を必要としない、スピーカーフレームおよびこれを用いたスピーカーを提供する。
【解決手段】
本発明のスピーカーフレームは、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面に対して非平行な方向にダンパ取付部から延設される突起片として形成される端子板取付部を備え、端子板取付部が、端子板を取り付ける端子板取付面と、端子板取付部の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面の形状を略U字形状とする縦溝と、を備え、縦溝が、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号をスピーカーへ供給するための端子板を取り付ける端子板取付部を備えるスピーカーフレーム、および、これを用いたスピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
図4(a)は従来のスピーカーフレーム41の端子板取付部40を説明する断面図、図4(b)は端子板取付部40の拡大斜視図である。アルミ合金等のダイカスト鋳造によるダイカストフレームが採用される場合には、このスピーカーフレーム41の端子板取付部40は、ダンパ取付部43から延設される突起片として形成される。断面図において、寸法Aは、振動系を形成するエッジを取り付けるエッジ取付部42と、ダンパを取り付けるダンパ取付部43とのダンパ取付部の延長平面上での距離を表している。寸法Aが十分に確保され得る場合には、端子板47は寸法Aが規定する空間内に収まるので、端子板取付部40は、図示するようにダンパ取付部43が有する平面(つまりダンパが取り付けられる面)に対して略水平方向にダンパ取付部43から延設される(特許文献1)。なお、スピーカーの端子板47は、端子板取付部40に設けられる貫通孔46に対して、カシメもしくはネジ48により固定されるが、端子板47の向きを規定する手段を、端子板取付部40に設けることが好ましい(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−142290号公報 (第1図)
【特許文献2】実公昭47−28674号公報 (第1図)
【0004】
図5(a)は、従来の他のスピーカーフレーム51の端子板取付部50を説明する断面図、図5(b)は端子板取付部50の拡大斜視図である。ダンパの外径が大きくなるにつれて、寸法A’が十分に確保できない場合には、スピーカーフレーム51の端子板取付部50は、エッジ取付部52およびダンパ取付部53が有する平面に対して非平行な方向に、具体的には、略直角方向にダンパ取付部53から延設される突起片として形成される。つまり、略直角方向に設けられる端子板取付部50に、端子板57を垂直に取り付けることにより、限られた空間内に端子板57を配置している。
【0005】
しかしながら、従来技術の端子板57を垂直に取り付けるスピーカーフレーム51を、ダイカスト鋳造で実現する場合には、端子板取付部50に設けるべき貫通孔56がダイカスト金型(図示しない)の移動方向と異なるため、2次加工により貫通孔56を加工する、もしくは、金型の一部をスライドさせる、等のコスト増加を伴う加工が必要になる、という問題がある。つまり、スピーカーフレーム51を形成するダイカスト金型が上下に相互に移動する上型と下型である場合には、横方向に形成される貫通孔56は、ダイカスト鋳造の工程では一度に形成することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、端子板を取り付ける端子板取付部を備えるスピーカーフレーム、および、これを用いたスピーカーに関し、ダイカストフレームで端子板を配置する寸法が限られていて、端子板を垂直に取り付ける場合であっても、コスト増加を伴う加工を必要としない、スピーカーフレームおよびこれを用いたスピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスピーカーフレームは、エッジを取り付ける平面を有するエッジ取付部と、エッジ取付部の平面と略平行に形成されるダンパを取り付ける平面を有するダンパ取付部と、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面に対して非平行な方向にダンパ取付部から延設される突起片として形成される端子板取付部と、を備えるスピーカーフレームであって、端子板取付部が、端子板を取り付ける端子板取付面と、端子板取付部の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面の形状を略U字形状とする縦溝と、を備え、縦溝が、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定する。
【0008】
好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部が、端子板取付面と、縦溝であって端子板取付面の側に形成された第1縦溝と、縦溝であって端子板取付面の反対面の側に形成された第2縦溝と、を備え、第1縦溝および第2縦溝が、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定する。
【0009】
さらに好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部が、端子板取付面から突出して端子板の回転を規制する端子板回止部を備える。
【0010】
さらに好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部に形成された端子板回止部が、端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、端子板の他端と当接する第2端子板回止部と、を備え、第1端子板回止部と第2端子板回止部とが、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面と平行な面に対して投影された場合に重複しないように規定および配置されている。
【0011】
また、好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部に形成された端子板回止部が、端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、端子板の他端と当接する第2端子板回止部および第3端子板回止部と、を備え、第2端子板回止部と第3端子板回止部とが、縦溝を挟んで配置されている。
【0012】
さらに好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、ダイカスト金型により鋳造されて形成される。
【0013】
さらに好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、ダイカスト金型が、固定型と、固定型に対してエッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面に略直角な方向へ移動する移動型とを備え、固定型もしくは移動型が備える突起部が、端子板取付部の縦溝を規定する。
【0014】
また、本発明のスピーカーは、 上記のいずれかに記載のスピーカーフレームを用いる。
【0015】
以下、本発明の作用について説明する。
【0016】
本発明のスピーカーフレームは、エッジを取り付ける平面を有するエッジ取付部と、エッジ取付部の平面と略平行に形成されるダンパを取り付ける平面を有するダンパ取付部と、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面に対して非平行な方向にダンパ取付部から延設される突起片として形成される端子板取付部と、を備える。つまり、端子板取付部が、ダンパ取付部から非平行な方向に、より具体的には、ダンパ取付部から略直角方向に延設されているので、エッジ取付部とダンパ取付部との平面上での距離が十分に確保できないような場合であっても、端子板を限られた空間に配置することができる。したがって、このスピーカーフレームを用いるスピーカーは、ダンパの外径の大きなスピーカーとすることができる。
【0017】
スピーカーフレームの端子板取付部は、端子板を取り付ける端子板取付面と、端子板取付部の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面の形状を略U字形状とする縦溝と、を備える。ここで、縦溝は、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定する。つまり、縦溝は、端子板取付部の長さL0よりも長さLが短いので、端子板取付部を縦断してしまうことなく端子板取付面の形状を略U字形状とし、端子板を取り付けるのに必要な端子板取付面および貫通孔を形成することができる。したがって、この端子板取付面および貫通孔を利用して端子板を端子板取付面にカシメ、ネジ止め等の方法により取り付けることができ、その結果、スピーカーフレームに端子板を、いわば略直角に取り付けることができる。
【0018】
本発明のスピーカーフレームは、ダイカスト金型により鋳造されて形成されるので、縦溝は、ダイカスト金型の固定型もしくは移動型が備える突起部により形成される。つまり、端子板取付部に設けられるべき貫通孔が、ダイカスト金型の移動方向と異なっていても、金型の突起部により形成される縦溝によって規定されるので、2次加工により貫通孔を加工する、もしくは、金型の一部をスライドさせる、等のコスト増加を伴う加工を不要にすることができる。
【0019】
なお、好ましくは、スピーカーフレームの端子板取付部が、端子板取付面と、縦溝であって端子板取付面の側に形成された第1縦溝と、縦溝であって端子板取付面の反対面の側に形成された第2縦溝と、を備え、第1縦溝および第2縦溝が、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定してもよい。したがって、例えば、端子板取付面の側に形成された第1縦溝がダンパ取付部側の金型に設けた突起により形成され、反対面の側に形成された第2縦溝がエッジ取付部側の金型に設けた突起により形成される場合、第1縦溝および第2縦溝により規定される貫通孔の位置ならびに大きさを、端子板を固定するカシメもしくはネジの径に対応して規定することができ、端子板を固定する位置がずれることがない。その結果、安定して端子板を固定することができる。
【0020】
また、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部が、端子板取付面から突出して端子板の回転を規制する端子板回止部を備える。端子板回止部により、端子板の回転のみならず、端子板の取り付け位置の上下動も規制される。端子板回止部は、端子板取付部を形成する際に、突起もしくは面の折り曲がり部が形成されるようにダイカスト金型を加工すればよい。したがって貫通孔を介して端子板を固定する場合に、規定する方向に安定して端子板を取り付けることができる。
【0021】
端子板取付部に形成された端子板回止部は、端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、端子板の他端と当接する第2端子板回止部と、を備え、第1端子板回止部と第2端子板回止部とが、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面と平行な面に対して投影された場合に重複しないように規定および配置されていればよい。本発明のスピーカーフレームは、ダイカスト金型で2次加工の必要が無く形成される。また、好ましくは、本発明のスピーカーフレームは、端子板取付部に形成された端子板回止部が、端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、端子板の他端と当接する第2端子板回止部および第3端子板回止部と、を備え、第2端子板回止部と第3端子板回止部とが、縦溝を挟んで配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のスピーカーフレームは、ダイカストフレームで端子板を配置する寸法が限られていて、端子板を垂直に取り付ける場合であっても、コスト増加を伴う加工を必要としない、スピーカーフレームおよびこれを用いたスピーカーを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のスピーカーフレームは、ダイカストフレームで端子板を配置する空間が限られていて、端子板を垂直に取り付ける場合であっても、コスト増加を伴う加工を必要としないようにするという目的を、エッジを取り付ける平面を有するエッジ取付部と、エッジ取付部の平面と略平行に形成されるダンパを取り付ける平面を有するダンパ取付部と、エッジ取付部およびダンパ取付部が有する平面に対して非平行な方向にダンパ取付部から延設される突起片として形成される端子板取付部と、を備えるスピーカーフレームであって、端子板取付部が、端子板を取り付ける端子板取付面と、端子板取付部の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面の形状を略U字形状とする縦溝と、を備え、縦溝が、端子板取付面に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔を規定するように構成することにより、実現した。
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーフレームおよびこれを用いたスピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーフレーム1について説明する図であり、図1(a)はスピーカーフレーム1全体を横から見た断面図、図1(b)は端子板取付部10の拡大斜視図である。スピーカーフレーム1は、アルミニウムを含む合金を(図示しない)ダイカスト金型により鋳造して形成される。ダイカスト金型が固定型および移動する移動型から構成される場合には、スピーカーフレーム1は、いわゆる「アンダーカット」と呼ばれる部位が存在しない形状として、形成される。ここでは、図面の下側に位置する固定型である下型に対し、上側に位置する移動型である下型が上下方向に移動して、スピーカーフレーム1を形成する。
【0026】
スピーカーフレーム1は、エッジを取り付ける平面を有するエッジ取付部2と、エッジ取付部2の平面と略平行に形成されるダンパを取り付ける平面を有するダンパ取付部3と、ダンパ取付部3から延接されて磁気回路(図示しない)と接合する磁気回路接合部4と、エッジ取付部2とダンパ取付部3とを連結するフレーム脚部5と、端子板取付部10を備える。端子板取付部10には、端子板7がネジ8により取り付けられる。なお、端子板7は、樹脂等の絶縁物により形成されており、端子7aおよび7bが設けられ、これらは相互に絶縁されている。
【0027】
スピーカーフレーム1の端子板取付部10は、ダンパ取付部3から略直角方向に延設される突起片として形成される。つまり、端子板取付部10は、エッジ取付部2およびダンパ取付部3が有する平面に対して非平行な方向にダンパ取付部3から延設される突起片として形成されればよい。ダンパ取付部3が有する平面に対して非平行な方向に延設することにより、端子板取付部10および端子板7が投影する面積が小さくなる。したがって、エッジ取付部2とダンパ取付部3との平面上での距離Aが十分に確保できないような場合であっても、端子板7を略垂直に立てて配置することができるので、端子板7を限られた空間に取り付けることができる。
【0028】
端子板取付部10は、端子板7を取り付ける端子板取付面11と、端子板取付部10の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面11の形状を略U字形状とする縦溝12と、を備える。ここで、縦溝12は、端子板取付面11に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔13を規定する。端子板取付部10の縦溝12は、ダイカスト金型の固定型もしくは移動型のいずれかに設けられる突起部から形成される。ここでは、ダンパ取付部3の側に位置する金型(つまり、下型)に突起部は設けられている。つまり、縦溝12は、スピーカーフレーム1をダイカスト金型により形成する工程で規定され、2次加工等を必要としない。また、縦溝12は、端子板取付部10の長さL0よりもその長さLが短くされる。縦溝12は、端子板取付部10を縦断してしまうことなく端子板取付面11の形状を略U字形状とし、端子板7を取り付けるのに必要な端子板取付面11および貫通孔13を形成する。したがって、端子板7は、貫通孔13を利用して、端子板取付面11にネジ8により取り付けられる。ネジ8は、縦溝12および貫通孔13に螺合する。
【0029】
端子板取付部10には、その端子板取付面11の端部に、端子板取付面11から突出して端子板7の回転を規制する端子板回止部14および平面15が備わる。端子板回止部とは、端子板取付部10を形成する際に、突起が形成され、かつ、アンダーカットが構成されないようにダイカスト金型を加工することにより、形成されるものであればよく、端子板取付面11から突出して設けられて、端子板7の回転を規制する部分であればよい。例えば、端子板回止部14の反対側には、端子板取付面11と折り曲げられたように連続する平面15が形成される。つまり、端子板取付面11に対して隆起した平面15が形成される結果、端子板7の回転は規制されて、端子板回止部14とあわせて安定した取付が可能となる。
【0030】
端子板7の一端(上側辺7c)と当接する端子板回止部14と、端子板7の他端(下側辺7d)と当接する平面15とは、図1の形状に限定されない。端子板回止部を形成する突起の高さは僅かでよく、端子板の回転を防止するのに十分な高さであればよい。端子板回止部14と平面15とは、エッジ取付部2およびダンパ取付部3が有する平面と平行な面に対して投影された場合に重複しないような関係であればよい。平面に投影された場合に重複しないような関係とは、すなわち、ダイカスト金型でアンダーカットにならない関係であり、端子板取付面11の端部に形成された端子板回止部14および平面15が、固定型および移動型を備えるダイカスト金型により形成可能な形状であればよい。もちろん、ダイカスト金型で形成可能であれば、スピーカーフレーム1は、本実施例のアルミニウムを含む合金に限定されない。
【0031】
なお、図1の端子板取付部10において、端子板取付面11は、エッジ取付部2およびダンパ取付部3が有する平面に対して非平行な面であり、垂直面ではない傾き角度を備えている。もちろん、ダイカスト金型により形成可能な形状であれば、端子板取付面11は垂直面であってもよい。また、縦溝12は、端子板取付面11の形状を略U字形状とし、かつ、端子板取付面11に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔13を形成するものであればよく、端子板取付部10の略中央に縦向きに配置される位置、幅及び長さについては、自由に設計可能である。さらに、図1の端子板取付部10においては、端子板取付面11のいわば両端部に端子板回止部14および平面15を配置したが、その一方のみで端子板7の回転を規制することができれば、端子板取付面11の一端側にのみ端子板回止部を設けてもよい。また、端子板7を端子板取付部10にネジ8の螺合によって取り付けたが、ナットを併用してもよい。
【0032】
このスピーカーフレーム1を用いるスピーカー(図示しない)は、エッジ取付部2とダンパ取付部3との平面上での距離Aが十分に確保できないような場合であっても、端子板7を限られた空間に配置することができる。したがって、このスピーカーフレーム1を用いるスピーカーは、外径が大きいダンパを採用することが可能となり、振動系の性能が高いスピーカーを実現することができる。
【実施例2】
【0033】
図2は、本発明の他の好ましい実施形態によるスピーカーフレームの端子板取付部20について説明する図である。このスピーカーフレームは、端子板取付部20を除いて、図1のスピーカーフレーム1と共通である。したがって、図1のスピーカーフレーム1と共通な部分についての説明は、省略する。
【0034】
端子板取付部20は、スピーカーフレームのダンパ取付部3から略直角方向に延設される突起片として形成され、端子板7を取り付ける端子板取付面21と、端子板取付部20の略中央に縦向きに配置されて端子板取付面21の形状を略U字形状とする縦溝22と、を備える。縦溝22は、端子板取付面21に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔23を規定する。端子板取付部10の縦溝12は、ダイカスト金型の固定型もしくは移動型のいずれかに設けられる突起部から形成される。ここで、縦溝22は、図1の場合の縦溝12とは逆方向、つまり、エッジ取付部2の側から形成されており、移動型である上型に突起部が備わっている。
【0035】
端子板取付部20には、端子板回止部が形成される。ここで、端子板回止部は、複数の突起から構成され、例えば、端子板7の一端(下側辺7d)と当接する第1端子板回止部24と、端子板7の他端(上側辺7c)と当接する第2端子板回止部25および第3端子板回止部26と、が、端子板取付部20に設けられる。第2端子板回止部25と第3端子板回止部26とは、縦溝22を挟んで配置されている。その結果、端子板7は、いわば貫通孔23を中心として配置された第1端子板回止部24と第2端子板回止部25および第3端子板回止部26の3点で回転を止められるので、安定して端子板取付部20に取り付けられる。
【0036】
なお、第1端子板回止部24と、第2端子板回止部25と第3端子板回止部26とは、エッジ取付部2およびダンパ取付部3が有する平面と平行な面に対して投影された場合に重複しないように規定および配置されている。したがって、アンダーカットが構成されないようにダイカスト金型を加工することができ、端子板回止部を端子板取付部に備えるスピーカーフレームが形成される。
【実施例3】
【0037】
図3は、本発明の他の好ましい実施形態によるスピーカーフレームの端子板取付部30について説明する図である。図3(a)は端子板取付部30の拡大斜視図、図3(b)は断面図、図3(c)は端子板取付面31の側から見た正面図である。このスピーカーフレームは、端子板取付部30を除いて、図1のスピーカーフレーム1と共通である。したがって、図1のスピーカーフレーム1と共通な部分についての説明は、省略する。
【0038】
端子板取付部30は、スピーカーフレームのダンパ取付部3から略直角方向に延設される突起片として形成され、端子板取付面31と、縦溝であって端子板取付面31の側に形成された第1縦溝32と、縦溝であって端子板取付面31の反対面の側に形成された第2縦溝33と、を備える。したがって、第1縦溝32は、端子板7を取り付ける端子板取付面31の形状を略U字形状とする。
【0039】
端子板取付部30の第1縦溝32および第2縦溝33は、端子板取付面31に対して略直角方向に突起片を貫通する貫通孔34を規定する。第1縦溝32はダンパ取付部3の方向から幅Xmmで垂直に形成され、一方、第2縦溝33はエッジ取付部2の方向から幅Xmmより狭い幅Ymmで垂直に形成されている。つまり、端子板取付面31の側に形成された第1縦溝32がダンパ取付部3の側の金型(下型)に設けた突起により形成され、反対面の側に形成された第2縦溝33がエッジ取付部2の側の金型(上型)に設けた突起により形成される。それぞれ第1縦溝32および第2縦溝33の溝の長さ、溝の幅を調整することにより、第1縦溝32および第2縦溝33が重複する部分に規定される貫通孔34の位置ならびに大きさを調整できる。この場合、第1縦溝32および第2縦溝33が重複した部分の高さをZmmとすると、幅Ymm、高さZmmの貫通孔34が規定される。したがって、端子板7を固定するネジ8の径に対応して貫通孔34が規定されるので、端子板7の固定が安定する。
【0040】
端子板取付部30には、複数の突起から構成される端子板回止部が形成される。例えば、端子板回止部は、端子板取付面31の面上から突出した複数の突起から形成される。端子板7の一端(上側辺7c)と当接する第1端子板回止部35と、端子板7の他端(下側辺7d)と当接する第2端子板回止部36および第3端子板回止部37と、が、端子板取付部30に設けられればよい。また、第2端子板回止部36と第3端子板回止部37とは、縦溝32を挟んで配置されている。その結果、端子板7は、いわば貫通孔34を中心として3点の端子板回止部の突起により回転を止められるので、安定して端子板取付部30に取り付けられる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のスピーカーフレームは、上記実施例に限られず、ダンパの口径が大きな通常のスピーカーのみならず、スピーカーフレームが小さくて端子板を設けることが困難なマイクロスピーカーにも適する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるスピーカーフレームについて説明する図である。(実施例1)
【図2】本発明の他の好ましい実施形態によるスピーカーフレームの端子板取付部について説明する図である。(実施例2)
【図3】本発明の他の好ましい実施形態によるスピーカーフレームの端子板取付部について説明する図である。(実施例3)
【図4】従来のスピーカーフレームの端子板取付部を説明する図である。
【図5】従来のスピーカーフレームの端子板取付部を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1 スピーカーフレーム
2 エッジ取付部
3 ダンパ取付部
4 磁気回路接合部
5 フレーム脚部
7 端子板
8 ネジ
10 端子板取付部
11 端子板取付面
12 縦溝
13 貫通孔
14 端子板回止部
15 平面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジを取り付ける平面を有するエッジ取付部と、該エッジ取付部の平面と略平行に形成されるダンパを取り付ける平面を有するダンパ取付部と、該エッジ取付部および該ダンパ取付部が有する平面に対して非平行な方向に該ダンパ取付部から延設される突起片として形成される端子板取付部と、を備えるスピーカーフレームであって、
該端子板取付部が、端子板を取り付ける端子板取付面と、
該端子板取付部の略中央に縦向きに配置されて該端子板取付面の形状を略U字形状とする縦溝と、を備え、
該縦溝が、該端子板取付面に対して略直角方向に該突起片を貫通する貫通孔を規定する、
スピーカーフレーム。
【請求項2】
前記端子板取付部が、前記端子板取付面と、前記縦溝であって該端子板取付面の側に形成された第1縦溝と、前記縦溝であって該端子板取付面の反対面の側に形成された第2縦溝と、を備え、
該第1縦溝および第2縦溝が、該端子板取付面に対して略直角方向に該突起片を貫通する貫通孔を規定する、
請求項1に記載のスピーカーフレーム。
【請求項3】
前記端子板取付部が、前記端子板取付面から突出して前記端子板の回転を規制する端子板回止部を備える、
請求項1または2に記載のスピーカーフレーム。
【請求項4】
前記端子板取付部に形成された前記端子板回止部が、
前記端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、該端子板の他端と当接する第2端子板回止部と、を備え、
該第1端子板回止部と該第2端子板回止部とが、前記エッジ取付部および前記ダンパ取付部が有する平面と平行な面に対して投影された場合に重複しないように規定および配置されている、
請求項3に記載のスピーカーフレーム。
【請求項5】
前記端子板取付部に形成された前記端子板回止部が、
前記端子板の一端と当接する第1端子板回止部と、該端子板の他端と当接する第2端子板回止部および第3端子板回止部と、を備え、
該第2端子板回止部と該第3端子板回止部とが、前記縦溝を挟んで配置されている、
請求項3に記載のスピーカーフレーム。
【請求項6】
ダイカスト金型により鋳造されて形成された、請求項1から5のいずれかに記載のスピーカーフレーム。
【請求項7】
前記ダイカスト金型が、固定型と、該固定型に対して前記エッジ取付部および前記ダンパ取付部が有する平面に略直角な方向へ移動する移動型とを備え、
該固定型もしくは該移動型が備える突起部が、前記端子板取付部の縦溝を規定する、請求項6に記載のスピーカーフレーム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のスピーカーフレームを用いたスピーカー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−13736(P2007−13736A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193109(P2005−193109)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】