説明

スペーサ編地又はロフト材料を成型するための装置及び方法

ロフト材料を成型し、このような材料に関連する固有のロフト特性を維持するための装置と方法とが提供されている。この装置は、ロフト材料に3次元の様相を与えるように協働する第1鋳型と第2鋳型とを有している。第1鋳型は、突出部分と第1基準部分とを備えた面を有する一方で、第2鋳型は、くぼんだ部分と第2基準部分とを備えた面を有する。突出部分は、第1及び第2鋳型が比較的近接した関係にされる時に、くぼんだ部分の中へと合うように形成されている。ロフト材料に関連する固有のロフト特性が成型プロセスの間にほぼ維持されるように、第1鋳型が第2鋳型に対して閉じられた時には、一様な所定のギャップが突出部分とくぼんだ部分との間に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料類などを成型するための装置と方法とに関する。特に、本発明は、スペーサ編地(spacer fabric)又はロフト材料(lofted material)を成型しこのような編地又は材料に3次元の形状を与えるための装置と方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの材料と材料の集合体とを成型するための様々な方法と機構とが開発され、知られている。例えば、米国特許番号3,464,418は、結合され編まれていない繊維質の芯(batting)材料からブラジャーのパッドを作るための装置と方法とを提供している。米国特許番号4,025,597は、柔らかい繊維質の板材料からブラジャーのカップを作る方法を提供している。米国特許番号4,080,416は、多層から成る編目のないブラジャーのパッドを提供している。そして、米国特許番号4,250,137は、パッドが中央で柔らかく周囲で比較的堅いような乳房パッドすなわち前面を準備するための工程を提供している。
【0003】
知られている事であるにもかかわらず、このような材料に関連するロフト特性をあきらめることなく、スペーサ編地又はロフト材料を成型し、3次元の形状をそれらに与えるための改良された方法並びに/もしくは装置に対する必要は続いたままである。ロフト材料を成型する様々な工程に関連するこれまでの問題は、少なくとも以下のことを含む:(1)例えば、ブラのカップ又はパッドのような、圧力が高い点又は熱が加えられている点、又はこれらの両方で材料を薄くすること(2)比較的複雑な構成要素又は追加の構成要素、例えばスペーサ装置又は真空システム、又はこれらの両方に所望の結果を容易にだすことを要求すること(3)成型の工程を複雑にしうる、成型される材料の比較的丈夫な(substantial)部分で熱、圧力又はこれらの両方が避けられることを要求すること。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スペーサ編地又はロフト材料を成型するための改良された装置と方法とを提供することが、本発明の目的である。
【0005】
様々な材料のロフトを収容するように調整することができるロフト材料を成型する改良された装置を提供することは本発明の他の目的である。
【0006】
様々なロフトを様々な材料に与えるように調整することができるロフト材料を成型することができる改良された装置を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0007】
心地よさ、支持及び耐久性のバランスを提供するロフト材料を成型するための改良された装置と方法とを提供することは、本発明のなお他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこれらのそして他の目的と有利な点とは、少なくとも、突出部分と第1基準部分とを有する第1のダイすなわち鋳型と、くぼんだ部分と第2基準部分とを有する第2のダイすなわち鋳型とを有する成型装置により達成される。前記突出部分とくぼんだ部分とは、第1鋳型の前記第1基準部分と第2鋳型の前記第2基準部分とが、比較的近接した関係にされた時に、前記突出部分とくぼんだ部分との間に一様な所定距離すなわちギャップが形成されているように、形成されている。このギャップは、様々な材料のロフトを収容できるように調節可能であることが好ましい。前記第1鋳型と第2鋳型とは、各々、選択的に並びに/もしくは独立で、加熱可能であり、以下の材料成型の方法を容易にするために適しているように構成されていることが好ましい。
【0009】
ロフト材料を成型するための方法は、ほぼ、まず、ロフト材料又はロフト材料の集合物を前記成型装置の中に位置させることを有している。それから、前記第1鋳型を前記第2鋳型に対して閉じて、又は、これと逆のことをして、前記第1及び第2基準部分の間に位置しているロフト材料の一部分が圧縮され、前記突出部分とくぼんだ部分との間に位置しているロフト材料が、所望の程度までだけ圧縮され又は全く圧縮されないように、前記ロフト材料を第1及び第2鋳型の間に挟む工程を有している。圧縮の程度は、調整可能である。この閉じる工程に続くのは、所望の成型結果に対して適当であるように圧力並びに/もしくは熱を選択的に与える時間の後で、前記第1鋳型を第2鋳型に対して開く工程である。結果として生じる成型されたロフト材料は、心地よさ、支持及び耐久性のバランスを提供していることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他のそして更なる目的、有利な点及び特色は、図面とあわせて以下の詳細な説明を参照することにより理解される。図面の中で、同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。
【0011】
図面、特に図1、を参照して、ロフト材料を成型するための装置の説明的な実施の形態が、一般的に参照符号1により示されている。この装置1は、第1鋳型10と第2鋳型20との、少なくとも2つの鋳型部材を有していることが好ましい。
【0012】
これら2つの鋳型は、互いに相補的であることが好ましい。
【0013】
好ましくは、第1鋳型10と第2鋳型20とは、これらの間に位置しているロフト材料30を、例えば、成型されたブラジャーのパッドにより必要とされるような3次元の形状に成型するすなわち形成するように協働している。好ましくは、ロフト材料30は、様々な材料又は材料の組合せ(すなわち、芯(batting)、泡(foam)など)のいかなるものでもありうる、そして、例えば、衣料品又は室内装飾品のような様々な形式に形作ることができる。3次元形状
第1鋳型10は、ドームの形式の少なくとも1つの突出部分50を備えている少なくとも1つの第1接触面40を有していることが好ましい。この第1接触面40は、また、突出部分50の周囲に第1基準部分42を有していることが好ましい。第1接触面40は、また、例えば、図6乃至8に示されているように、節、くぼみ、並びに/もしくは歯のような第1接触面40に設けられた様々な他の表面部材43のいかなるものも有することができる。第1接触面40は、交換可能に第1鋳型10と結合することができる。この第1鋳型10は、交換可能に装置1と結合することができる。第1接触面40の並びに/もしくは第1鋳型10の交換可能なことは、装置1に適用又は使用においてさらなる多様性を与えている。
【0014】
第1鋳型10、第1接触面40、突出部分50並びに/もしくは第1基準部分42は、加熱可能でありうることが好ましい。この加熱は、例えば、第1鋳型10と結合されている電気加熱ワイヤ又はロッドをとおしてのような様々な方法のうちのどんなものによっても達成することができる。これら加熱ワイヤ又はロッドは、第1鋳型10を通して、この第1鋳型10の前述の部材のどれでも並びに/もしくは全てに様々な異なる成型パラメータの下で効果的な成型のために十分な熱を与えるのに適しているように、熱を伝導でき又は伝達できることが好ましい。第1鋳型10は、いかなる形状、サイズ並びに/もしくは1つ以上の異なる成型操作を達成するために適している構成も有することができることが好ましい。例えば、第1鋳型の代替的な実施の形態を示している図4と図5とを見よ。本発明は、述べられ並びに/もしくは図示されている構成に制限されておらず、他の構成も本発明の範囲の中にあることを銘記されたい。
【0015】
上述の表面部材43に関して、表面部材43は、様々な異なる成型効果を達成するために適していることが好ましいことも銘記されたい。例えば、この表面部材43は、成型プロセスの間にロフト材料30と相互作用できるように、突出部分50と第1基準部分42のいずれか一方並びに/もしくは両方に配置することができる。表面部材43は、例えば、1つ以上の貫通(piercing)部材、加熱又は冷却部材、クッション又は絶縁部材、又はこれらのいかなる組合せでもあり得る。他の同じタイプの部材が、また、用いられることができ、これらは、本発明の範囲内である。
【0016】
再び図1を参照して、第2鋳型20は、皿の形式の少なくとも1つのくぼんだ部分70を備えた少なくとも1つの第2接触面60を有している。くぼんだ部分70は、第1鋳型10の突出部分50と相補的で協働的である。第2接触面60も、くぼんだ部分70の周りに第2の水平な部分62を有していることが好ましい。第2接触面60は、第2鋳型20と交換可能に結合されることができ、この第2鋳型は、装置1と交換可能に結合されることができる。第2接触面60並びに/もしくは第2鋳型20の交換できることは、装置1の適用又は使用においてさらなる多様性を与えることが好ましい。
【0017】
第2鋳型20、第2接触面60、くぼんだ部分並びに/もしくは第2基準部分62が加熱可能でありうることが好ましい。このような加熱は、例えば、第2鋳型20と結合された電気加熱ワイヤ又はロッドによるような様々な方法のいずれでも実行することができる。これら加熱ワイヤ又はロッドは、第2鋳型20を通して、この第2鋳型20の前述の部材のどれでも並びに/もしくは全てに様々な異なる成型パラメータの下で効果的な成型のために十分な熱を与えるのに適しているように、熱を伝導でき又は伝達できることが好ましい。第2鋳型20は、いかなる形状、サイズ並びに/もしくは1つ以上の異なる成型操作を達成するために適している構成も有することができることが好ましい。例えば、第2鋳型20の代替的な実施の形態を示している図4と図5とを見よ。本発明は、述べられ並びに/もしくは図示されている構成に制限されておらず、他の構成も本発明の範囲の中にあることを銘記されたい。
【0018】
前記第1鋳型10の場合と同様に、様々な異なる成型効果を与えるための表面部材43を、成型プロセスの間に、ロフト材料30と相互作用するように、くぼんだ部分70と第2基準部分62のいずれか一方並びに/もしくは両方に配置できる。
【0019】
本発明の説明的な実施の形態の好ましい部材のいくつかを説明している、図2と図3とを参照すると、第1及び第2鋳型10、20は、それぞれ、第1鋳型10の第1基準部分42と第2鋳型20の第2基準部分62が比較的近接した関係にされた時に、一様な所定の距離すなわちギャップ80が突出部分50とくぼんだ部分70との間に作られるように、互いに係合するように構成されていることが好ましい。ギャップ80は、約0.1インチ(約0.254センチメートル)の程度であることが好ましい。しかしながら、ギャップ80は、また、所望の成型操作を実行するために適しているいかなる程度でもありうる。このように、ギャップ80は、様々な異なる材料と関連しているロフト特性に適応させるように調整できることが好ましい。この調整の特性は、例えば、第1及び第2鋳型10、20並びに/もしくは第1及び第2接触面42、62の好ましい交換可能性を通してのように様々な方法で実行することができる。ギャップ80は、材料と関連したロフトの程度に影響を与えるように調整することもできる。すなわち、ギャップ80を、ロフト材料に所望の終局(finish)又は効果を与えるように減少することができる。このように、ロフト材料に関連した固有のロフト特性の保存は、特定の成型プロセスに関連した熱、圧力並びに/もしくは時間に依存しないことがこのましいことは明らかである。本発明は、効率的にそして効果的に成型プロセスの間、ロフト材料に関連した固有のロフト特性を保存している。
【0020】
ロフト材料30を成型するプロセスは、少なくとも以下の工程を有していることが好ましい。図1を参照すると、ロフト材料30は、最初装置1の中の第1鋳型10と第2鋳型20との間に位置している。図2を参照すると、第1鋳型10は、それから、第2鋳型20に対して閉じられ、又は逆のことが行われ、これらの間にロフト材料30を挟む。ロフト材料30の少なくとも一部分がギャップ80の中に位置しており、この部分の固有のロフト特性がほぼ保存される一方で、ロフト材料30の少なくとも他の一部分は、第1及び第2接触面のそれぞれの第1及び第2基準部分42、62の間でほぼ圧縮されているように、ロフト材料30の少なくとも一部分がギャップ80の中に位置していることが好ましい。次に、適当な時間の間、適当な量の熱並びに/もしくは圧力が印加された後に、第1鋳型10は、第2鋳型20に対して開かれ、又は、逆の事が行われる。それから、成型されたロフト材料が装置1から取り出され、例えば、あらゆる過剰な又は望まれていない材料をロフト材料に3次元の形状を残すのに適しているように取り除くことのような所望された効果を得るために必要とされるあらゆる追加的な操作が実行される。
【0021】
本発明は、本発明の特に好ましい形式を参照してこのように説明されてきた。様々な変化と変更とをこの発明の中で上で規定されているような本発明の精神と範囲とを出ることなく行うことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】装置が開いた位置で示されている、本発明の説明的な実施の形態に係る、ロフト材料を成型するための装置の側断面図である。
【図2】装置が閉じられた位置で示されている、図1の装置の側断面図である。
【図3】本発明の説明的な実施の形態に係る形成の工程を反映している、図1の装置の側断面図である。
【図4】ロフト材料を成型するための代替的な装置の側断面図である。
【図5】ロフト材料を成型するための他の代替的な装置の側断面図である。
【図6】ロフト材料を成型するためのさらに他の代替的な装置の平面図である。
【図7】ロフト材料を成型するためのなお他の代替的な装置の平面図である。
【図8】ロフト材料を成型するためのさらにまだ他の代替的な装置の側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出部分と第1基準部分とを備えた面を有する第1鋳型と、
くぼんだ部分と第2基準部分とを備えた面を有する第2鋳型と、
前記第1及び第2鋳型を互いに近づけたり、遠ざけたりする手段とを具備し、
第1鋳型の前記突出部分と、第2鋳型の前記くぼんだ部分とは、第1鋳型の前記第1基準部分と第2鋳型の前記第2基準部分とが比較的近接した関係にされた時に、前記突出部分とくぼんだ部分との間に一様な所定のギャップが規定されるように配置されている、ロフト材料を成型するための装置。
【請求項2】
前記一様な所定のギャップは、約0.1インチ(約0.254センチメートル)である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一様な所定のギャップは、前記突出部分とくぼんだ部分とが互いに相互作用する場合だけ維持される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記一様な所定のギャップは、前記第1及び第2基準部分が互いに相互作用する場合は、維持されない請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記一様な所定のギャップは、様々な異なる材料を収容するために調整可能である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1鋳型と第2鋳型とは、加熱可能である請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1基準部分と第2基準部分とは、独立にそして選択的に加熱可能である請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記突出部分とくぼんだ部分とは、独立にそして選択的に加熱可能である請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1鋳型又は第2鋳型もしくはこれらの両方は、1つ以上の表面部材を有している請求項1に記載の装置。
【請求項10】
第1鋳型の前記1つ以上の表面部材は、前記突出部分に設けられている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
第2鋳型の前記1つ以上の表面部材は、前記くぼんだ部分に設けられ、第1鋳型の前記1つ以上の表面部材と相互作用するように形成されている請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上の表面部材は、加熱可能である請求項9に記載の装置。
【請求項13】
ロフト材料を少なくとも第1鋳型と第2鋳型とを有する成型装置の中に位置付ける工程であって、前記第1鋳型は、突出部分と第1基準部分とを備えた面を有し、前記第2鋳型は、くぼんだ部分と第2基準部分とを備えた面を有し、前記突出部分は、前記第1鋳型と第2鋳型とが比較的近接した関係にされる時に前記くぼんだ部分の中に合うように形成されている、工程と、
前記第1鋳型と第2鋳型とを閉じ合わせて、前記ロフト材料を前記第1基準部分と第2基準部分との間に挟む一方で、前記ロフト材料の固有のロフト特性がほぼ維持されるように、前記突出部分とくぼんだ部分との間に一様な所定のギャップを維持する工程と、
前記第1鋳型を第2鋳型に対して開き、又は逆に前記第2鋳型を第1鋳型に対して開き、前記装置から成型された前記ロフト材料を取り出す工程とを具備するロフト材料を成型するための方法。
【請求項14】
3次元の形状を有する成型されたロフト材料を取り出すのに適しているようにあらゆる過剰な材料を除去する工程をさらに具備する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1鋳型又は第2鋳型もしくはこれらの両方は、独立にそして選択的に加熱可能である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記突出部分又はくぼんだ部分若しくはこれらの両方は、独立にそして選択的に加熱可能である請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1鋳型又は第2鋳型もしくはこれらの方は、1つ以上の表面部材を有する請求項13に記載の方法。
【請求項18】
第1鋳型の前記1つ以上の表面部材は、前記突出部分に設けられ、また、第2鋳型の前記1つ以上の表面部材は、第1鋳型の前記1つ以上の表面部材と相互作用するように前記くぼんだ部分に設けられている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の表面部材は、加熱可能である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の表面部材は、前記第1鋳型又は第2鋳型もしくはこれらの両方に渡って一様に分布する請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−500797(P2007−500797A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521890(P2006−521890)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/023171
【国際公開番号】WO2005/012614
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(302003303)サラ リー コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】