スマートマテリアル化人工軽量骨材及びその製造法並びにコンクリート混練物
【課題】コンクリートに配合する粗骨材の全部または大部分を置換することが可能な多孔質の人工軽量粗骨材を用いて、セメントマトリクスの乾燥を抑制し、コンクリート構造物の高耐久化をもたらす技術を提供する。
【解決手段】石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材。特に、前記薬剤が、少なくとも表面に露出している部分でゲル化した状態となって存在するものが好適な対象となる。
【解決手段】石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材。特に、前記薬剤が、少なくとも表面に露出している部分でゲル化した状態となって存在するものが好適な対象となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質の人工軽量骨材の空隙に水及び薬剤を含浸して格納することによりスマートマテリアル化(SLA;Smart Lightweight Aggregate)した人工軽量骨材、及びその製造法、並びにそのスマートマテリアル化人工軽量骨材を使用したコンクリート混練物に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物のコンクリートは乾燥と経年劣化の進行に伴い、耐久性が低下することが懸念される。近年、コンクリート構造物の耐久性を向上させるために、水セメント比の低下及び混和材の添加などを利用してコンクリートを高強度化及び高耐久化する技術が種々開発されている。一方、コンクリートは養生条件及び外部の環境条件により、内部からの水分移動による乾燥現象が生じ、可視ひび割れやマイクロレベルの微細空隙と微細ひび割れ(以下マイクロクラック)が発生する。このようなコンクリートの微細空隙やマイクロクラックを抑制するためには、打設後の十分な養生が要求されるが、実用上長期の養生は困難な場合が多い。
【0003】
コンクリートの内部から、水分をセメントマトリクス中に徐々に安定して供給することができれば、上記の乾燥現象に起因するトラブルを抑制することが可能になると考えられる。また同時にコンクリートの内部から、セメントマトリクス中の物質と反応して緻密な反応生成物を形成する薬剤を徐々に安定して供給することができれば、コンクリート構造物の耐久性向上に有効であると考えられる。
【0004】
特許文献1には、多孔質の軽量骨材の表層部にゲル物質を生成させる技術が開示されている。このゲル物質は「防水栓」(特許文献1の3頁左欄17行)として機能するものであり、軽量骨材の内部に凍害要因となる水分が入らないように、軽量骨材に耐吸水性を付与するものである。したがって、この技術ではコンクリート内部からセメントマトリクス中に水分やその他の物質を供給することはできない。
【0005】
特許文献2には、多孔質の骨材本体に、コンクリートに生じた亀裂を塞ぐ補修液を含浸させる技術が記載されている。この骨材はコーティング膜に覆われており、コンクリートの亀裂が生じた際に、その亀裂部分に位置する骨材のコーティング膜が破壊され、水ガラスや各種樹脂の補修液が亀裂内部に放出されるようになっている(特許文献2の段落0015、図2)。したがって、この技術では水分や薬剤をセメントマトリクス中に徐々に供給することはできない。
【0006】
特許文献3には、骨材に、セメント硬化体中の水酸化カルシウムと反応して水不溶物質を生成する薬剤を含ませる技術が開示されている。その手法の1つとして、多孔質体の骨材中に薬剤を含浸させることが記載されており、その例が実施例1として示されている。しかし、コンクリート1m3に対しこの薬剤含有骨材は150個加えられているにすぎず(同段落0028参照)、当該薬剤含有骨材の粒子はコンクリート硬化体中において他の骨材粒子よりも低密度で分散しているものと考えられる。特許文献3の技術によれば、自癒作用物質が徐々に放出されて、主としてセメント成分の硬化後析出する水酸化カルシウムと永続的に反応するため初期の目的(水和反応の阻害、大型ミキサーの汚染等を回避してセメント硬化体に自癒作用をもたせる)が達成できるとされる。しかしながら特許文献3には、コンクリート中に配合する粗骨材の大部分を薬剤含有骨材で置換することが可能で、かつ長期にわたってセメントマトリクスの乾燥を抑制しうる技術は開示されていない。
【0007】
特許文献4には、膨張性頁岩を焼成して得られる多孔質骨材中に薬剤を保持した薬品保持材が開示されている。この薬品保持材をコンクリート用骨材に使用する例として、低級アルコール化合物、グリコールエーテル等、収縮性作用のある表面張力緩和剤を含浸させた人工骨材を従来の砂や細骨材に混入してコンクリートを製造することが記載されており、それにより、硬化に伴うコンクリート製品の収縮を低減させることができるという(特許文献4の段落0016)。しかし、セメントマトリクスの乾燥抑制や組織の緻密化を実現する手法は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平6−88853号公報
【特許文献2】特開平10−194801号公報
【特許文献3】特開2002−97045号公報
【特許文献4】特開2004−224728号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】笠井浩、外3名、「石炭灰人工骨材(Jライト)を用いた高性能コンクリートの諸性質」、鹿島技研年報、Vol.53、(2005)、p.157−166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、コンクリートに配合する粗骨材の全部または大部分を置換することが可能な多孔質の人工軽量粗骨材を用いて、セメントマトリクスの乾燥を抑制し、コンクリート構造物の高耐久化をもたらす技術を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材によって達成される。特に、前記薬剤が、少なくとも表面に露出している部分でゲル化した状態となって存在するものが提供される。内部まで完全にゲル化していても構わない。
【0012】
薬剤を格納する多孔質人工骨材(素材)は、含水率30%以下、絶乾密度2.5g/cm3以下であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものが好適な対象として例示される。空隙の最大径は、断面画像に現れている個々の空隙の面積を求めて円相当径を算出し、その最大値を採用することにより定められる。
【0013】
上記のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法として、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させる手法が提供される。薬液をゲル化させる場合は、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる手法が採用される。
【0014】
上記のスマートマテリアル化人工軽量骨材を使用してコンクリート混練物を得る場合、全粗骨材の80〜100質量%に当該スマートマテリアル化人工軽量骨材を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンクリート構造物の経年劣化によるマイクロクラックの発生を抑制することができ、種々の用途のコンクリート構造物において比較的低コストで高耐久化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スマートマテリアル化人工軽量骨材によりコンクリート構造物が高耐久化されるメカニズムを示す概念図。
【図2】等温放湿装置の構成を示す図。
【図3】真空含浸方法を用いた含浸率測定結果を示すグラフ。
【図4】水分放湿率の経時変化を例示するグラフ。
【図5】相対湿度と平衡含浸率の関係を示すグラフ。
【図6】相対湿度と拡散係数(計算結果)の関係を示すグラフ。
【図7】相対湿度及び乾燥ひずみ測定用の試験体作製状況を示す図。
【図8】マイクロクラック観察の一例を示すSEMの反射電子像。
【図9】試験体内部の相対湿度の分布を示すグラフ。
【図10】乾燥面から深さ10mmの乾燥ひずみの測定結果を示すグラフ。
【図11】圧縮強度の測定結果を示すグラフ。
【図12】微細空隙及びマイクロクラックの測定結果を示すグラフ。
【図13】透気性試験結果を示すグラフ。
【図14】促進中性化試験結果を示すグラフ。
【図15】促進中性化深さと試験体の深さ10mmにおける微細空隙及びマイクロクラックの関係を示すグラフ。
【図16】本発明に適用する多孔性人工骨材(素材)の断面SEM写真の一例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔多孔質人工骨材〕
本発明では、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を、後述の薬剤を格納するための素材として使用する。石炭灰は産業副産物が利用できる。上記原料を高温焼成した後、常温まで徐冷して得られる人工骨材は化学的に安定であり、軽量骨材として使用できる強度を有している。特に、含水率30%以下(好ましくは10〜25%)、絶乾密度2.5g/cm3以下(好ましくは1.0〜2.0g/cm3)であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものが好適な対象として例示される。特に、空隙の最大径が0.5mm未満のものがより好適であり、0.3mm以下のものを使用するように管理してもよい。この種の人工骨材としては、例えば出願人らによって開発された商品名;Jライト(非特許文献1)が適用できる。
【0018】
図16に、本発明で適用できる人工軽量骨材の断面SEM写真を例示する。左右の写真は種類の異なる人工軽量骨材である。多くの空隙を有しており、断面に観察される空隙の最大径は2.0mm以下であり、特に左のもの(Jライト)は極めて微細である。
【0019】
〔薬剤〕
上記の人工骨材(素材)の空隙に格納する薬剤はセメントの水和生成物と反応する珪酸系のものが採用される。例えば、地盤改良材やグラウト材からアルカリを除去した活性シリカやコロイドシリカ、あるいはコンクリートの表面強化剤などを利用することができる。水溶媒中の珪酸(SiO2)濃度が40%以下(好ましくは10〜35%)で粘性が低く、上記の人工骨材への含浸が容易である薬液として使用することが好ましい。薬剤を随伴して骨材内部に含浸される水溶媒中の水分が、セメントマトリクスの保水性を維持するための給水源となる。珪酸成分はセメントの水和生成物と反応して、その反応生成物によってセメントマトリクスが緻密化される。また、初期に反応していない反応性薬剤は長期間に渡って反応の持続に寄与する。
【0020】
その他の薬剤として、高保水性剤を添加することができる。高保水性剤としては水と反応する1液成分系または2液成分系の特殊増粘剤が挙げられ、例えばアルキルアリルスルフォン酸塩とアルキルアンモニウム塩の2液成分系の増粘剤などが例示できる。
【0021】
〔スマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法〕
薬剤を多孔質人工骨材の内部空隙に含浸させる際には、多孔質人工骨材(素材)を加熱するか、あるいは凍結真空乾燥(F−Dry)したのち、常温絶乾状態で減圧しながら、薬剤を水溶媒とともに多孔質人工骨材の粒子に供給する手法を採用することが好ましい。含浸時には粘性が低いことが好ましいが、スマートマテリアル化人工軽量骨材の製品としては含浸物質がゲル化している方が取扱い性に優れ、好ましい。ゲル化の処理としては、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる手法が好適に採用できる。これにより、少なくとも骨材粒子表面に露出している薬剤がゲル化した状態で存在するスマートマテリアル化人工軽量骨材を得ることができる。ゲル化剤としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、炭酸ガス(CO2)などが挙げられる。これらのゲル化剤の濃度は極薄いことが好ましい。
【0022】
〔コンクリート混練物〕
上記のようにして得られるスマートマテリアル化人工軽量骨材は、本来的に人工軽量骨材としての特性を有していることから、種々のコンクリートにおいて粗骨材の全部または大部分(例えば80質量%以上)を当該スマートマテリアル化人工軽量骨材で置換することができる。当該スマートマテリアル化人工軽量骨材は、通常の人工軽量骨材と同様の手法により混練し、コンクリート混練物とすればよい。粉体成分としては産業副産物であるフライアッシュ、シリカヒューム、高炉スラグなどをセメントの置換材として配合させてもよい。
【0023】
図1に、本発明によりコンクリート構造物が高耐久化されるメカニズムを概念的に示す。
【実施例1】
【0024】
スマートマテリアル化人工軽量骨材を作製し、特性を調べた。
1.実験計画
実験要素と水準を表1に示す。人工軽量骨材は1種類、含浸溶液は3種類とした。薬液Aは、濃度30%の超微粒子の珪酸系溶液、薬液Bは、薬液Aを含浸した後に炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液(濃度0.2%)に浸漬して接触させることによりゲル化を図ったものである。
【0025】
【表1】
【0026】
2.使用材料及び各種試験方法
人工軽量骨材は、石炭灰と頁岩微粉末を主原料とした絶乾密度1.53g/cm3の人工軽量骨材(Jライト)を用いた。
(1)含浸率試験(真空含浸法)
含浸率試験は人工軽量骨材の内部のすべての空隙へ溶液を含浸させるため、真空含浸法を用いた。人工軽量骨材は凍結乾燥(F−Dry)を24時間行い、絶乾状態の約500gの試料3つを容器に入れて真空を保持した状態で溶液を供給し、試料の質量が一定となるまで含浸を行った。含浸率は含浸状態の試料の表乾質量を絶乾質量で除した比率とした。
【0027】
(2)等温放湿試験
等温放湿試験は、分流式相対湿度発生装置と電子天秤及びパソコンにより構成された装置を用いて行った。試験装置の構成図を図2に示す。上記の真空含浸法を用いて作製した試料50gをステンレス製のかごに入れて試料室の雰囲気温度を20℃とし、所定の相対湿度の空気を精度±1%で10L/分で供給した。相対湿度は95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、0%とした。また、試験中、溶液を含浸した人工軽量骨材の水分放湿による質量の変化を連続的に測定した。
【0028】
3.実験結果と考察
(1)含浸率
真空含浸方法を用いた水と薬液の含浸率の結果を図3に示す。各試料の含浸率は18%(wt/%)程度でほぼ同等を示した。真空含浸法を用いることで18%程度の含浸率まで含浸が可能であることが確認できた。
【0029】
(2)等温放湿試験
水及び薬液を含浸した人工軽量骨材試料の水分放湿率の変化を図4に例示する。水分放湿率は含浸状態の試料から水分が逸散した量を表乾質量で除した比率である。水分放湿率は経過時間に伴い徐々に増えて行く傾向を示すが、薬液を含浸した人工軽量骨材は水含浸の人工軽量骨材と比べて保水性に優れることが確認できた。
【0030】
各試料の水分放湿率の結果から次式(1)を用いてカーブフィットを行い、平衡含浸率と水分拡散係数を求めた。平衡含浸率は、含浸溶液が水以外の薬液であることから定義し、平衡含水率に対応するものである。
m(t)=a〔1−bexp(−ct)〕 …(1)
ここで、m(t)は経過時間t後における水分放湿率の推定値(wt/%)、aは無限時間経過後における水分放湿率の推定値(wt/%)、bは試料の形状(球状)と関係する係数、cは水分拡散係数(Dθ)をc=Dθπ2/A2(Aは試料の半径、mm)式より求まる係数である。係数aは放湿により推定した平衡含浸率(θe)を表すため、人工軽量骨材の中に残留した平衡含浸率(θr)は次式(2)を用いて算出した。
θr=Mcmax−θe …(2)
ここで、Mcmaxは真空含浸法による含浸率、θeは放湿により推定した平衡含浸率である。
【0031】
平衡含浸率の結果を図5に示す。いずれの試料も相対湿度が低くなると平衡含浸率が低下する傾向であるが、薬液を含浸した人工軽量骨材の平衡含浸率は、水を含浸した人工軽量骨材と比べて、相対湿度80%以下の領域において2倍程度多く、水分の保持性に優れることがわかる。
【0032】
拡散係数の計算結果を図6に示す。いずれの試料も拡散係数に大きな差はないことから、薬液を含浸した人工軽量骨材が保水性に優れるのは、主として平衡含浸率が高いことに起因するものと考えられる。
【実施例2】
【0033】
スマートマテリアル化人工軽量骨材を用いたコンクリート混練物を作製し、それを打設して得られたコンクリートについて特性を調べた。
1.実験計画
実験の要因と水準を表2に示す。水セメント比は50%とし、コンクリートは、天然骨材を用いた普通コンクリート、水含浸の人工軽量骨材を用いた軽量コンクリート、前述の薬液A及び薬液Bを含浸した人工軽量骨材(SLA)を用いたコンクリート、SLAを用いて細骨材の容積の10%をフライアッシュで置換したコンクリートの計5種類とした。ここで、SLAを用いたコンクリートはSLAコンクリートと呼ぶ。表2中に記載した記号JC、JCV、JCFの3種類が本発明例に相当する。試験項目はフレッシュ試験、相対湿度、乾燥ひずみ、圧縮強度、微細空隙とマイクロクラック、透気性、促進中性化試験とした。
【0034】
【表2】
【0035】
2.調合と使用材料
コンクリートの調合を表3に、使用材料の物性を表4に示す。天然骨材を用いた普通コンクリートの調合をベースに、単位水量と単位セメント量及び細骨材量を固定し、粗骨材の容積を人工軽量骨材で置換した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
3.試験項目と方法
(1)練り混ぜと各種フレッシュ試験
コンクリートの練り混ぜは各調合において100L用のパン型ミキサーを用い、材料を一括投入して90秒間練り混ぜた。練り上り後、スランプと空気量及びコンクリート温度などのフレッシュ試験を実施し、各試験に用いる試験体を作製した。以下の各試験項目における試験体寸法と養生条件を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
(2)相対湿度及び乾燥ひずみ
相対湿度及び乾燥ひずみ測定用の試験体は100×100×100mmとした。両者の試験体作製の状況を図7に示す。相対湿度測定用の試験体は型枠に真鍮棒(φ7mm×100m)を固定し、コンクリート打設後硬化する直前に真鍮棒を抜き出し、材齢7日まで20℃封かん養生を行った。その後、高精度超小型湿度センサー(神栄社製、高分子抵抗式、THP−B6、φ6mm、±3%RH)を装着してアルミニウム箔テープを用いて試験体6面のうち5面を密封し、20℃・相対湿度60%の条件で一面気乾養生を行った。乾燥ひずみ測定用試験体は型枠に乾燥ひずみゲージ(共和電業社製、単軸2線式、KM−30−120−H1−11、長さ30mm)を装着してコンクリートを打設し、材齢7日まで20℃封かん養生を行った後、20℃・相対湿度60%の条件で一面気乾養生を実施した。両者とも乾燥面から深さ10、50、90mm位置の相対湿度及びひずみを所定材齢で測定した。
【0041】
(3)圧縮強度
圧縮強度用試験体はφ100×200mmの円柱試験体と100×l00×100mmの角柱試験体の2種類とした。円柱試験体はサミットモールドを用いて作製し、養生条件は標準水中養生及び材齢7日まで20℃封かん養生後20℃・相対湿度60%気乾養生の2種類とした。角柱試験体は銅製型枠を用いて作製し、標準水中養生及び材齢7日まで20℃封かん養生後20℃・相対湿度60%で一面気乾養生を行った。圧縮強度試験はJIS A1108に準じて実施した。
【0042】
(4)微細空隙とマイクロクラック
微細空隙とマイクロクラックの測定用試験体は100×100×100mmとし、材齢7日まで20℃封かん養生した後、20℃・相対湿度60%で一面気乾養生を行った。微細空隙とマイクロクラックの測定試料は、材齢28日において乾燥面から深さ10、50、90mmの位置でダイヤモンドカッターを用いて12×12×12mm程度の立方体試料を切断採取した後、エタノールに24時間浸漬し、窒素乾燥を施した。試料は低粘度のエポキシ樹脂に埋込み、観察面を耐水研磨紙#1000、#2000、#3000、#5000と0.25μmのダイアモンドペーストを用いて乾式研磨し、電気伝導性を与えるためのカーボン蒸着を実施した。測定は反射電子検出器を備えた走査電子顕微鏡(SEM)を用いて反射電子像(BEI)を観察して行った。反射電子像の観察条件は、加速電圧15keV、ワーキングディスクンス10mm、倍率500とした。観察範囲は、試料(12×12×12mm)のセメントマトリクス部分とし、材齢28日においてランダムに10箇所とした。1画像の大きさは245×184μmで2048×1536画素とし、1画素は0.12μmである。観察した反射電子像は原子番号の違いによる輝度の差を用いて画像処理を行い、未水和セメントと水和生成物及び空隙(直径10μm以下)に分離した。また、空隙画像に占める微細空隙とマイクロクラックの判別は粒子解析(分解能0.5μm)により行い、平均面積を算出した。SEMの反射電子像によるマイクロクラック観察の一例を図8に示す。
【0043】
(5)透気性試験及び促進中性化試験
透気試験はRILEM TC116−PCDに準じ、φ150mm×50mmの塩ビ型枠を用いて試験体を作製し、ほかの試験における試験体の厚さ100mmに合わせるために脱型後2つの試験体の打設面と底面を積み重ねて密封し、材齢7日まで20℃封かん養生した。その後、20℃・相対湿度60%条件で一面乾燥(底面)を行った。試験は窒素ガスを用い、窒素ガスの流れが定常となった後の流量から透気係数を求めた。
促進中性化試験体は100×100×400mmとし、材齢7日まで20℃封かん養生した後、材齢28日まで20℃、相対湿度60%で側面の一面気乾養生を行った。試験条件は温度20±2℃・相対湿度60±5%、CO2濃度5±0.2%とした。促進中性化深さの測定方法はJIS A1152に準拠し、所定の材齢で測定した。
【0044】
4.実験結果と考察
(1)フレッシュ試験
コンクリートのフレッシュ試験の結果を表6に示す。高性能減水剤は同量添加した。全調合のスランプは20±1.5cmを示し、調合間の差は認められなかった。また、空気量は全ての調合で4.5±1.0%の範囲を示し、SLAコンクリートと普通コンクリートに大きな差は認められなかった。
【0045】
【表6】
【0046】
(2)相対湿度及び乾燥ひずみ
試験体内部の相対湿度の分布を図9に示す。全調合のコンクリートにおける相対湿度分布は、試験体の内部から乾燥面に向けて材齢に伴い低下する傾向であった。普通コンクリートの相対湿度は乾燥を開始した材齢7日より乾燥面から急激に低下し、材齢28日以降では試験体の最深部も相対湿度100%以下となる傾向を示した。材齢91日におけるSLAコンクリート及び軽量コンクリートの相対湿度分布は、乾燥面から深さ10mmが80%、50mm以降の内部では100%を示し、普通コンクリートより10%以上大きい相対湿度を示した。SLAコンクリートは、軽量コンクリートと同様、普通コンクリートと比べて保水性に優れることが確認できた。
【0047】
乾燥面から深さ10mmの乾燥ひずみの測定結果を図10に示す。普通コンクリートの乾燥ひずみは乾燥開始の材齢7日から急激に増加し、材齢91日では−600μ程度であった。軽量コンクリートとSLAコンクリートの乾燥ひずみは材齢に伴い徐々に増加し、材齢91日では−200μ程度であり、普通コンクリートと比べて400μの差を示した。SLAコンクリートは、軽量コンクリートと同様、普通コンクリートと比べて保水性が高いため乾燥ひずみが低減されることが確認できた。
【0048】
(3)圧縮強度
圧縮強度の測定結果を図11に示す。円柱試験体の標準水中養生の圧縮強度は、全てのコンクリートにおいて材齢に伴い増加する傾向であり、SLAコンクリートのうちJCとJCVは普通コンクリートより10〜15%程度低下したが、JCFは5〜10%程度高かった。また、SLAコンクリートの圧縮強度は軽量コンクリートより上回る傾向であった。円柱試験体の20℃・相対湿度60%気乾養生の圧縮強度は、普通コンクリートが材齢に伴い若干低下する傾向であったが、軽量コンクリート及びSLAコンクリートは増加する傾向を示し、材齢91日では普通コンクリートより同等以上に増加した。これは、人工軽量骨材の水分が材齢に伴って放湿され、セメントの水和反応に寄与したと考えられる。また、角柱試験体の標準水中養生の圧縮強度は全てのコンクリートにおいて円柱試験体と同様な傾向であったが、角柱試験体における一面乾燥では材齢91日においてSLAコンクリートの圧縮強度が普通コンクリート及び軽量コンクリートと比べて、同等以上の結果を示した。これは、SLAコンクリートの高い保水性による持続的な水分供給とともに薬液が水和生成物と反応することにより微細組織が緻密化され、圧縮強度の増進を導いたと考えられる。
【0049】
(4)微細空隙とマイクロクラック
材齢28日の微細空隙及びマイクロクラックの測定結果を図12に示す。微細空隙とマイクロクラックは試験体の内部より乾燥面の付近に多く存在し、乾燥に伴い多く発生する。SLAコンクリートは、普通コンクリートに比べ微細空隙とマイクロクラックが減少する傾向を示し、特に表面付近のマイクロクラック抑制性能は軽量コンクリートよりも勝っていた。
【0050】
(5)透気性試験及び促進中性化試験
透気性試験の結果を図13に示す。透気係数は材齢に伴って低下する傾向を示した。SLAコンクリートの透気係数は普通コンクリートと比べて一桁以上小さくなる傾向を示し、透気抵抗性に優れた結果が得られた。
促進中性化試験の結果を図14に示す。促進中性化深さは材齢に伴い深くなる傾向を示した。SLAコンクリートの促進中性化深さは普通コンクリートの1/2以下であり、軽量コンクリートよりも小さい結果を示した。これは、SLAコンクリートは高保水性であり、さらに薬液と水和生成物の反応により微細空隙やマイクロクラックの低減に寄与し、促進中性化深さが低下したと考えられる。ここで、中性化はコンクリートの表面から進むことから、促進中性化深さと試験体の深さ10mmにおける微細空隙及びマイクロクラックの関係を調べた。その結果を図15に示す。促進中性化深さは、微細空隙及びマイクロクラックとの関係から両者とも中性化速度に影響を及ぼすと考えられる。
【0051】
以上のように、SLAコンクリートは、普通コンクリートと比べて高い保水性を有し、薬液の反応により圧縮強度が徐々に増加することがわかった。また、乾燥に起因するマイクロクラックが低減し、透気係数の低下により促進中性化深さが低下するなど、コンクリート構造物の高耐久化をもたらすものであることが確認された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質の人工軽量骨材の空隙に水及び薬剤を含浸して格納することによりスマートマテリアル化(SLA;Smart Lightweight Aggregate)した人工軽量骨材、及びその製造法、並びにそのスマートマテリアル化人工軽量骨材を使用したコンクリート混練物に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物のコンクリートは乾燥と経年劣化の進行に伴い、耐久性が低下することが懸念される。近年、コンクリート構造物の耐久性を向上させるために、水セメント比の低下及び混和材の添加などを利用してコンクリートを高強度化及び高耐久化する技術が種々開発されている。一方、コンクリートは養生条件及び外部の環境条件により、内部からの水分移動による乾燥現象が生じ、可視ひび割れやマイクロレベルの微細空隙と微細ひび割れ(以下マイクロクラック)が発生する。このようなコンクリートの微細空隙やマイクロクラックを抑制するためには、打設後の十分な養生が要求されるが、実用上長期の養生は困難な場合が多い。
【0003】
コンクリートの内部から、水分をセメントマトリクス中に徐々に安定して供給することができれば、上記の乾燥現象に起因するトラブルを抑制することが可能になると考えられる。また同時にコンクリートの内部から、セメントマトリクス中の物質と反応して緻密な反応生成物を形成する薬剤を徐々に安定して供給することができれば、コンクリート構造物の耐久性向上に有効であると考えられる。
【0004】
特許文献1には、多孔質の軽量骨材の表層部にゲル物質を生成させる技術が開示されている。このゲル物質は「防水栓」(特許文献1の3頁左欄17行)として機能するものであり、軽量骨材の内部に凍害要因となる水分が入らないように、軽量骨材に耐吸水性を付与するものである。したがって、この技術ではコンクリート内部からセメントマトリクス中に水分やその他の物質を供給することはできない。
【0005】
特許文献2には、多孔質の骨材本体に、コンクリートに生じた亀裂を塞ぐ補修液を含浸させる技術が記載されている。この骨材はコーティング膜に覆われており、コンクリートの亀裂が生じた際に、その亀裂部分に位置する骨材のコーティング膜が破壊され、水ガラスや各種樹脂の補修液が亀裂内部に放出されるようになっている(特許文献2の段落0015、図2)。したがって、この技術では水分や薬剤をセメントマトリクス中に徐々に供給することはできない。
【0006】
特許文献3には、骨材に、セメント硬化体中の水酸化カルシウムと反応して水不溶物質を生成する薬剤を含ませる技術が開示されている。その手法の1つとして、多孔質体の骨材中に薬剤を含浸させることが記載されており、その例が実施例1として示されている。しかし、コンクリート1m3に対しこの薬剤含有骨材は150個加えられているにすぎず(同段落0028参照)、当該薬剤含有骨材の粒子はコンクリート硬化体中において他の骨材粒子よりも低密度で分散しているものと考えられる。特許文献3の技術によれば、自癒作用物質が徐々に放出されて、主としてセメント成分の硬化後析出する水酸化カルシウムと永続的に反応するため初期の目的(水和反応の阻害、大型ミキサーの汚染等を回避してセメント硬化体に自癒作用をもたせる)が達成できるとされる。しかしながら特許文献3には、コンクリート中に配合する粗骨材の大部分を薬剤含有骨材で置換することが可能で、かつ長期にわたってセメントマトリクスの乾燥を抑制しうる技術は開示されていない。
【0007】
特許文献4には、膨張性頁岩を焼成して得られる多孔質骨材中に薬剤を保持した薬品保持材が開示されている。この薬品保持材をコンクリート用骨材に使用する例として、低級アルコール化合物、グリコールエーテル等、収縮性作用のある表面張力緩和剤を含浸させた人工骨材を従来の砂や細骨材に混入してコンクリートを製造することが記載されており、それにより、硬化に伴うコンクリート製品の収縮を低減させることができるという(特許文献4の段落0016)。しかし、セメントマトリクスの乾燥抑制や組織の緻密化を実現する手法は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平6−88853号公報
【特許文献2】特開平10−194801号公報
【特許文献3】特開2002−97045号公報
【特許文献4】特開2004−224728号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】笠井浩、外3名、「石炭灰人工骨材(Jライト)を用いた高性能コンクリートの諸性質」、鹿島技研年報、Vol.53、(2005)、p.157−166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、コンクリートに配合する粗骨材の全部または大部分を置換することが可能な多孔質の人工軽量粗骨材を用いて、セメントマトリクスの乾燥を抑制し、コンクリート構造物の高耐久化をもたらす技術を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材によって達成される。特に、前記薬剤が、少なくとも表面に露出している部分でゲル化した状態となって存在するものが提供される。内部まで完全にゲル化していても構わない。
【0012】
薬剤を格納する多孔質人工骨材(素材)は、含水率30%以下、絶乾密度2.5g/cm3以下であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものが好適な対象として例示される。空隙の最大径は、断面画像に現れている個々の空隙の面積を求めて円相当径を算出し、その最大値を採用することにより定められる。
【0013】
上記のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法として、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させる手法が提供される。薬液をゲル化させる場合は、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる手法が採用される。
【0014】
上記のスマートマテリアル化人工軽量骨材を使用してコンクリート混練物を得る場合、全粗骨材の80〜100質量%に当該スマートマテリアル化人工軽量骨材を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンクリート構造物の経年劣化によるマイクロクラックの発生を抑制することができ、種々の用途のコンクリート構造物において比較的低コストで高耐久化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スマートマテリアル化人工軽量骨材によりコンクリート構造物が高耐久化されるメカニズムを示す概念図。
【図2】等温放湿装置の構成を示す図。
【図3】真空含浸方法を用いた含浸率測定結果を示すグラフ。
【図4】水分放湿率の経時変化を例示するグラフ。
【図5】相対湿度と平衡含浸率の関係を示すグラフ。
【図6】相対湿度と拡散係数(計算結果)の関係を示すグラフ。
【図7】相対湿度及び乾燥ひずみ測定用の試験体作製状況を示す図。
【図8】マイクロクラック観察の一例を示すSEMの反射電子像。
【図9】試験体内部の相対湿度の分布を示すグラフ。
【図10】乾燥面から深さ10mmの乾燥ひずみの測定結果を示すグラフ。
【図11】圧縮強度の測定結果を示すグラフ。
【図12】微細空隙及びマイクロクラックの測定結果を示すグラフ。
【図13】透気性試験結果を示すグラフ。
【図14】促進中性化試験結果を示すグラフ。
【図15】促進中性化深さと試験体の深さ10mmにおける微細空隙及びマイクロクラックの関係を示すグラフ。
【図16】本発明に適用する多孔性人工骨材(素材)の断面SEM写真の一例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔多孔質人工骨材〕
本発明では、石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を、後述の薬剤を格納するための素材として使用する。石炭灰は産業副産物が利用できる。上記原料を高温焼成した後、常温まで徐冷して得られる人工骨材は化学的に安定であり、軽量骨材として使用できる強度を有している。特に、含水率30%以下(好ましくは10〜25%)、絶乾密度2.5g/cm3以下(好ましくは1.0〜2.0g/cm3)であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものが好適な対象として例示される。特に、空隙の最大径が0.5mm未満のものがより好適であり、0.3mm以下のものを使用するように管理してもよい。この種の人工骨材としては、例えば出願人らによって開発された商品名;Jライト(非特許文献1)が適用できる。
【0018】
図16に、本発明で適用できる人工軽量骨材の断面SEM写真を例示する。左右の写真は種類の異なる人工軽量骨材である。多くの空隙を有しており、断面に観察される空隙の最大径は2.0mm以下であり、特に左のもの(Jライト)は極めて微細である。
【0019】
〔薬剤〕
上記の人工骨材(素材)の空隙に格納する薬剤はセメントの水和生成物と反応する珪酸系のものが採用される。例えば、地盤改良材やグラウト材からアルカリを除去した活性シリカやコロイドシリカ、あるいはコンクリートの表面強化剤などを利用することができる。水溶媒中の珪酸(SiO2)濃度が40%以下(好ましくは10〜35%)で粘性が低く、上記の人工骨材への含浸が容易である薬液として使用することが好ましい。薬剤を随伴して骨材内部に含浸される水溶媒中の水分が、セメントマトリクスの保水性を維持するための給水源となる。珪酸成分はセメントの水和生成物と反応して、その反応生成物によってセメントマトリクスが緻密化される。また、初期に反応していない反応性薬剤は長期間に渡って反応の持続に寄与する。
【0020】
その他の薬剤として、高保水性剤を添加することができる。高保水性剤としては水と反応する1液成分系または2液成分系の特殊増粘剤が挙げられ、例えばアルキルアリルスルフォン酸塩とアルキルアンモニウム塩の2液成分系の増粘剤などが例示できる。
【0021】
〔スマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法〕
薬剤を多孔質人工骨材の内部空隙に含浸させる際には、多孔質人工骨材(素材)を加熱するか、あるいは凍結真空乾燥(F−Dry)したのち、常温絶乾状態で減圧しながら、薬剤を水溶媒とともに多孔質人工骨材の粒子に供給する手法を採用することが好ましい。含浸時には粘性が低いことが好ましいが、スマートマテリアル化人工軽量骨材の製品としては含浸物質がゲル化している方が取扱い性に優れ、好ましい。ゲル化の処理としては、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる手法が好適に採用できる。これにより、少なくとも骨材粒子表面に露出している薬剤がゲル化した状態で存在するスマートマテリアル化人工軽量骨材を得ることができる。ゲル化剤としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、炭酸ガス(CO2)などが挙げられる。これらのゲル化剤の濃度は極薄いことが好ましい。
【0022】
〔コンクリート混練物〕
上記のようにして得られるスマートマテリアル化人工軽量骨材は、本来的に人工軽量骨材としての特性を有していることから、種々のコンクリートにおいて粗骨材の全部または大部分(例えば80質量%以上)を当該スマートマテリアル化人工軽量骨材で置換することができる。当該スマートマテリアル化人工軽量骨材は、通常の人工軽量骨材と同様の手法により混練し、コンクリート混練物とすればよい。粉体成分としては産業副産物であるフライアッシュ、シリカヒューム、高炉スラグなどをセメントの置換材として配合させてもよい。
【0023】
図1に、本発明によりコンクリート構造物が高耐久化されるメカニズムを概念的に示す。
【実施例1】
【0024】
スマートマテリアル化人工軽量骨材を作製し、特性を調べた。
1.実験計画
実験要素と水準を表1に示す。人工軽量骨材は1種類、含浸溶液は3種類とした。薬液Aは、濃度30%の超微粒子の珪酸系溶液、薬液Bは、薬液Aを含浸した後に炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液(濃度0.2%)に浸漬して接触させることによりゲル化を図ったものである。
【0025】
【表1】
【0026】
2.使用材料及び各種試験方法
人工軽量骨材は、石炭灰と頁岩微粉末を主原料とした絶乾密度1.53g/cm3の人工軽量骨材(Jライト)を用いた。
(1)含浸率試験(真空含浸法)
含浸率試験は人工軽量骨材の内部のすべての空隙へ溶液を含浸させるため、真空含浸法を用いた。人工軽量骨材は凍結乾燥(F−Dry)を24時間行い、絶乾状態の約500gの試料3つを容器に入れて真空を保持した状態で溶液を供給し、試料の質量が一定となるまで含浸を行った。含浸率は含浸状態の試料の表乾質量を絶乾質量で除した比率とした。
【0027】
(2)等温放湿試験
等温放湿試験は、分流式相対湿度発生装置と電子天秤及びパソコンにより構成された装置を用いて行った。試験装置の構成図を図2に示す。上記の真空含浸法を用いて作製した試料50gをステンレス製のかごに入れて試料室の雰囲気温度を20℃とし、所定の相対湿度の空気を精度±1%で10L/分で供給した。相対湿度は95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、0%とした。また、試験中、溶液を含浸した人工軽量骨材の水分放湿による質量の変化を連続的に測定した。
【0028】
3.実験結果と考察
(1)含浸率
真空含浸方法を用いた水と薬液の含浸率の結果を図3に示す。各試料の含浸率は18%(wt/%)程度でほぼ同等を示した。真空含浸法を用いることで18%程度の含浸率まで含浸が可能であることが確認できた。
【0029】
(2)等温放湿試験
水及び薬液を含浸した人工軽量骨材試料の水分放湿率の変化を図4に例示する。水分放湿率は含浸状態の試料から水分が逸散した量を表乾質量で除した比率である。水分放湿率は経過時間に伴い徐々に増えて行く傾向を示すが、薬液を含浸した人工軽量骨材は水含浸の人工軽量骨材と比べて保水性に優れることが確認できた。
【0030】
各試料の水分放湿率の結果から次式(1)を用いてカーブフィットを行い、平衡含浸率と水分拡散係数を求めた。平衡含浸率は、含浸溶液が水以外の薬液であることから定義し、平衡含水率に対応するものである。
m(t)=a〔1−bexp(−ct)〕 …(1)
ここで、m(t)は経過時間t後における水分放湿率の推定値(wt/%)、aは無限時間経過後における水分放湿率の推定値(wt/%)、bは試料の形状(球状)と関係する係数、cは水分拡散係数(Dθ)をc=Dθπ2/A2(Aは試料の半径、mm)式より求まる係数である。係数aは放湿により推定した平衡含浸率(θe)を表すため、人工軽量骨材の中に残留した平衡含浸率(θr)は次式(2)を用いて算出した。
θr=Mcmax−θe …(2)
ここで、Mcmaxは真空含浸法による含浸率、θeは放湿により推定した平衡含浸率である。
【0031】
平衡含浸率の結果を図5に示す。いずれの試料も相対湿度が低くなると平衡含浸率が低下する傾向であるが、薬液を含浸した人工軽量骨材の平衡含浸率は、水を含浸した人工軽量骨材と比べて、相対湿度80%以下の領域において2倍程度多く、水分の保持性に優れることがわかる。
【0032】
拡散係数の計算結果を図6に示す。いずれの試料も拡散係数に大きな差はないことから、薬液を含浸した人工軽量骨材が保水性に優れるのは、主として平衡含浸率が高いことに起因するものと考えられる。
【実施例2】
【0033】
スマートマテリアル化人工軽量骨材を用いたコンクリート混練物を作製し、それを打設して得られたコンクリートについて特性を調べた。
1.実験計画
実験の要因と水準を表2に示す。水セメント比は50%とし、コンクリートは、天然骨材を用いた普通コンクリート、水含浸の人工軽量骨材を用いた軽量コンクリート、前述の薬液A及び薬液Bを含浸した人工軽量骨材(SLA)を用いたコンクリート、SLAを用いて細骨材の容積の10%をフライアッシュで置換したコンクリートの計5種類とした。ここで、SLAを用いたコンクリートはSLAコンクリートと呼ぶ。表2中に記載した記号JC、JCV、JCFの3種類が本発明例に相当する。試験項目はフレッシュ試験、相対湿度、乾燥ひずみ、圧縮強度、微細空隙とマイクロクラック、透気性、促進中性化試験とした。
【0034】
【表2】
【0035】
2.調合と使用材料
コンクリートの調合を表3に、使用材料の物性を表4に示す。天然骨材を用いた普通コンクリートの調合をベースに、単位水量と単位セメント量及び細骨材量を固定し、粗骨材の容積を人工軽量骨材で置換した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
3.試験項目と方法
(1)練り混ぜと各種フレッシュ試験
コンクリートの練り混ぜは各調合において100L用のパン型ミキサーを用い、材料を一括投入して90秒間練り混ぜた。練り上り後、スランプと空気量及びコンクリート温度などのフレッシュ試験を実施し、各試験に用いる試験体を作製した。以下の各試験項目における試験体寸法と養生条件を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
(2)相対湿度及び乾燥ひずみ
相対湿度及び乾燥ひずみ測定用の試験体は100×100×100mmとした。両者の試験体作製の状況を図7に示す。相対湿度測定用の試験体は型枠に真鍮棒(φ7mm×100m)を固定し、コンクリート打設後硬化する直前に真鍮棒を抜き出し、材齢7日まで20℃封かん養生を行った。その後、高精度超小型湿度センサー(神栄社製、高分子抵抗式、THP−B6、φ6mm、±3%RH)を装着してアルミニウム箔テープを用いて試験体6面のうち5面を密封し、20℃・相対湿度60%の条件で一面気乾養生を行った。乾燥ひずみ測定用試験体は型枠に乾燥ひずみゲージ(共和電業社製、単軸2線式、KM−30−120−H1−11、長さ30mm)を装着してコンクリートを打設し、材齢7日まで20℃封かん養生を行った後、20℃・相対湿度60%の条件で一面気乾養生を実施した。両者とも乾燥面から深さ10、50、90mm位置の相対湿度及びひずみを所定材齢で測定した。
【0041】
(3)圧縮強度
圧縮強度用試験体はφ100×200mmの円柱試験体と100×l00×100mmの角柱試験体の2種類とした。円柱試験体はサミットモールドを用いて作製し、養生条件は標準水中養生及び材齢7日まで20℃封かん養生後20℃・相対湿度60%気乾養生の2種類とした。角柱試験体は銅製型枠を用いて作製し、標準水中養生及び材齢7日まで20℃封かん養生後20℃・相対湿度60%で一面気乾養生を行った。圧縮強度試験はJIS A1108に準じて実施した。
【0042】
(4)微細空隙とマイクロクラック
微細空隙とマイクロクラックの測定用試験体は100×100×100mmとし、材齢7日まで20℃封かん養生した後、20℃・相対湿度60%で一面気乾養生を行った。微細空隙とマイクロクラックの測定試料は、材齢28日において乾燥面から深さ10、50、90mmの位置でダイヤモンドカッターを用いて12×12×12mm程度の立方体試料を切断採取した後、エタノールに24時間浸漬し、窒素乾燥を施した。試料は低粘度のエポキシ樹脂に埋込み、観察面を耐水研磨紙#1000、#2000、#3000、#5000と0.25μmのダイアモンドペーストを用いて乾式研磨し、電気伝導性を与えるためのカーボン蒸着を実施した。測定は反射電子検出器を備えた走査電子顕微鏡(SEM)を用いて反射電子像(BEI)を観察して行った。反射電子像の観察条件は、加速電圧15keV、ワーキングディスクンス10mm、倍率500とした。観察範囲は、試料(12×12×12mm)のセメントマトリクス部分とし、材齢28日においてランダムに10箇所とした。1画像の大きさは245×184μmで2048×1536画素とし、1画素は0.12μmである。観察した反射電子像は原子番号の違いによる輝度の差を用いて画像処理を行い、未水和セメントと水和生成物及び空隙(直径10μm以下)に分離した。また、空隙画像に占める微細空隙とマイクロクラックの判別は粒子解析(分解能0.5μm)により行い、平均面積を算出した。SEMの反射電子像によるマイクロクラック観察の一例を図8に示す。
【0043】
(5)透気性試験及び促進中性化試験
透気試験はRILEM TC116−PCDに準じ、φ150mm×50mmの塩ビ型枠を用いて試験体を作製し、ほかの試験における試験体の厚さ100mmに合わせるために脱型後2つの試験体の打設面と底面を積み重ねて密封し、材齢7日まで20℃封かん養生した。その後、20℃・相対湿度60%条件で一面乾燥(底面)を行った。試験は窒素ガスを用い、窒素ガスの流れが定常となった後の流量から透気係数を求めた。
促進中性化試験体は100×100×400mmとし、材齢7日まで20℃封かん養生した後、材齢28日まで20℃、相対湿度60%で側面の一面気乾養生を行った。試験条件は温度20±2℃・相対湿度60±5%、CO2濃度5±0.2%とした。促進中性化深さの測定方法はJIS A1152に準拠し、所定の材齢で測定した。
【0044】
4.実験結果と考察
(1)フレッシュ試験
コンクリートのフレッシュ試験の結果を表6に示す。高性能減水剤は同量添加した。全調合のスランプは20±1.5cmを示し、調合間の差は認められなかった。また、空気量は全ての調合で4.5±1.0%の範囲を示し、SLAコンクリートと普通コンクリートに大きな差は認められなかった。
【0045】
【表6】
【0046】
(2)相対湿度及び乾燥ひずみ
試験体内部の相対湿度の分布を図9に示す。全調合のコンクリートにおける相対湿度分布は、試験体の内部から乾燥面に向けて材齢に伴い低下する傾向であった。普通コンクリートの相対湿度は乾燥を開始した材齢7日より乾燥面から急激に低下し、材齢28日以降では試験体の最深部も相対湿度100%以下となる傾向を示した。材齢91日におけるSLAコンクリート及び軽量コンクリートの相対湿度分布は、乾燥面から深さ10mmが80%、50mm以降の内部では100%を示し、普通コンクリートより10%以上大きい相対湿度を示した。SLAコンクリートは、軽量コンクリートと同様、普通コンクリートと比べて保水性に優れることが確認できた。
【0047】
乾燥面から深さ10mmの乾燥ひずみの測定結果を図10に示す。普通コンクリートの乾燥ひずみは乾燥開始の材齢7日から急激に増加し、材齢91日では−600μ程度であった。軽量コンクリートとSLAコンクリートの乾燥ひずみは材齢に伴い徐々に増加し、材齢91日では−200μ程度であり、普通コンクリートと比べて400μの差を示した。SLAコンクリートは、軽量コンクリートと同様、普通コンクリートと比べて保水性が高いため乾燥ひずみが低減されることが確認できた。
【0048】
(3)圧縮強度
圧縮強度の測定結果を図11に示す。円柱試験体の標準水中養生の圧縮強度は、全てのコンクリートにおいて材齢に伴い増加する傾向であり、SLAコンクリートのうちJCとJCVは普通コンクリートより10〜15%程度低下したが、JCFは5〜10%程度高かった。また、SLAコンクリートの圧縮強度は軽量コンクリートより上回る傾向であった。円柱試験体の20℃・相対湿度60%気乾養生の圧縮強度は、普通コンクリートが材齢に伴い若干低下する傾向であったが、軽量コンクリート及びSLAコンクリートは増加する傾向を示し、材齢91日では普通コンクリートより同等以上に増加した。これは、人工軽量骨材の水分が材齢に伴って放湿され、セメントの水和反応に寄与したと考えられる。また、角柱試験体の標準水中養生の圧縮強度は全てのコンクリートにおいて円柱試験体と同様な傾向であったが、角柱試験体における一面乾燥では材齢91日においてSLAコンクリートの圧縮強度が普通コンクリート及び軽量コンクリートと比べて、同等以上の結果を示した。これは、SLAコンクリートの高い保水性による持続的な水分供給とともに薬液が水和生成物と反応することにより微細組織が緻密化され、圧縮強度の増進を導いたと考えられる。
【0049】
(4)微細空隙とマイクロクラック
材齢28日の微細空隙及びマイクロクラックの測定結果を図12に示す。微細空隙とマイクロクラックは試験体の内部より乾燥面の付近に多く存在し、乾燥に伴い多く発生する。SLAコンクリートは、普通コンクリートに比べ微細空隙とマイクロクラックが減少する傾向を示し、特に表面付近のマイクロクラック抑制性能は軽量コンクリートよりも勝っていた。
【0050】
(5)透気性試験及び促進中性化試験
透気性試験の結果を図13に示す。透気係数は材齢に伴って低下する傾向を示した。SLAコンクリートの透気係数は普通コンクリートと比べて一桁以上小さくなる傾向を示し、透気抵抗性に優れた結果が得られた。
促進中性化試験の結果を図14に示す。促進中性化深さは材齢に伴い深くなる傾向を示した。SLAコンクリートの促進中性化深さは普通コンクリートの1/2以下であり、軽量コンクリートよりも小さい結果を示した。これは、SLAコンクリートは高保水性であり、さらに薬液と水和生成物の反応により微細空隙やマイクロクラックの低減に寄与し、促進中性化深さが低下したと考えられる。ここで、中性化はコンクリートの表面から進むことから、促進中性化深さと試験体の深さ10mmにおける微細空隙及びマイクロクラックの関係を調べた。その結果を図15に示す。促進中性化深さは、微細空隙及びマイクロクラックとの関係から両者とも中性化速度に影響を及ぼすと考えられる。
【0051】
以上のように、SLAコンクリートは、普通コンクリートと比べて高い保水性を有し、薬液の反応により圧縮強度が徐々に増加することがわかった。また、乾燥に起因するマイクロクラックが低減し、透気係数の低下により促進中性化深さが低下するなど、コンクリート構造物の高耐久化をもたらすものであることが確認された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項2】
前記薬剤は、少なくとも表面に露出している部分がゲル化した状態で存在する請求項1に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項3】
薬剤を格納する多孔質人工骨材(素材)は、含水率30%以下、絶乾密度2.5g/cm3以下であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものである請求項1または2に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項4】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させる、請求項1に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法。
【請求項5】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させ、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる、請求項2に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材を全粗骨材の80〜100質量%に使用したコンクリート混練物。
【請求項1】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材の内部空隙に、水、及びセメントの水和生成物と反応する珪酸系薬剤を格納したスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項2】
前記薬剤は、少なくとも表面に露出している部分がゲル化した状態で存在する請求項1に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項3】
薬剤を格納する多孔質人工骨材(素材)は、含水率30%以下、絶乾密度2.5g/cm3以下であり、かつ断面に観察される空隙の最大径が2.0mm以下のものである請求項1または2に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材。
【請求項4】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させる、請求項1に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法。
【請求項5】
石炭灰と頁岩微粉末を主原料として焼成された多孔質人工骨材を凍結真空乾燥させたのち、前記薬剤を水溶媒とともに減圧下で当該人工骨材の内部空隙に最大含浸率まで含浸させ、薬剤含浸後の人工骨材をゲル化剤と接触させる、請求項2に記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材の製造法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のスマートマテリアル化人工軽量骨材を全粗骨材の80〜100質量%に使用したコンクリート混練物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−207651(P2011−207651A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76284(P2010−76284)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 鹿島技術研究所、「鹿島技術研究所年報」、第57号
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 鹿島技術研究所、「鹿島技術研究所年報」、第57号
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
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