説明

セグメント受入れ管理システム

【課題】セグメントに不適合なセグメントが混在している場合の受入れ検査結果を反映させて、ストックされるセグメントや発注されるセグメントを効率良く適正に管理することができるセグメント受入れ管理システムを提供する。
【解決手段】シールド工事に用いる多数のセグメントの受入れを管理するためのセグメント受入れ管理システム10であって、通信ネットワーク11を介して接続された、コンピュータ12と、写真撮影機能及びメール送受信機能を備える携帯端末13とからなり、コンピュータ12は、携帯端末13から写真データと共に送られてくる、使用に適合するセグメントのデータを記憶する適合セグメントデータ記憶部14と、使用に適合しないセグメントのデータを記憶する不適合セグメントデータ記憶部15と、不適合セグメントの手直し後のデータを記憶する手直し後セグメントデータ記憶部16とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント受入れ管理システムに関し、特に、シールド工事に用いる多数のセグメントの受入れをシールド工事現場において管理するためのセグメント受入れ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工事においては、多数のセグメントをシールド掘進機の後方において順次リング状に組み立てて行くことによってシールドトンネルを構築する。また、シールド工事においては、工事現場に搬入された多数のセグメントは、ストックヤードにストックされることになるが、使用する全数のセグメントをまとめてストックしておくのはヤードの確保等の点で効率的ではないことから、必要な数及び種類のセグメントを過不足なくストックした状態を保持して順次使用すると共に、製造工場から逐次搬入して必要なセグメントを適宜補充するようになっており、このためセグメントの受入れや発注数量等を適正に管理する必要がある。
【0003】
一方、シールド工事現場に搬入されるセグメントには、使用に適合しないセグメントが混在している場合があり、これらの不適合なセグメントがストックされていると、シールド工事の進捗に支障をきたすことから、セグメントの搬入時に受入れ検査を実施することで、これらの不適合なセグメントがストックされないようにしたり、不適合なセグメントに必要な処置を施すようにする必要がある。
【0004】
そして、従来のセグメントの受け入れ検査は、シールド工事現場への搬入時に現場職員によってなされており、その検査結果は、現場職員が野帳に記録しておいたものを帳票に転記すると共に、例えば管理用のコンピュータに入力して管理しているのが現状である。このような方法では、多くの手間と時間を要すると共に、セグメントの受け入れ検査の検査結果をリアルタイムで把握し難く、また検査結果を製造工場にセグメントを新たに発注する際の最新情報として反映させることは困難である。
【0005】
これに対して、各セグメントに、それぞれのセグメントを識別するための識別情報を記録した識別記号として、例えばバーコードを付しておき、工場から現場基地への搬入管理、現場基地でのセグメントの在庫管理、セグメントの切羽への搬送管理、切羽でのセグメントの施工管理を、識別記号を読み取って個々のセグメントを識別しつつ行うようにした管理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−21496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の管理方法は、セグメントの搬入計画や現場基地での在庫管理を厳密に行えるようにすると共に、切羽で多種多様のセグメントを誤りなく使い分けるようにすることを目的として用いられる方法であり、搬入されるセグメントに不適合なセグメントが混在している場合の受入れ検査の検査結果を反映させて、シールド工事現場にストックされているセグメントや製造工場に発注されるセグメントを効率良く適正に管理できるようにするものではなかった。
【0008】
本発明は、搬入されるセグメントに不適合なセグメントが混在している場合の受入れ検査の検査結果を反映させて、シールド工事現場にストックされているセグメントや、製造工場に発注されるセグメントを効率良く適正に管理することのできるセグメント受入れ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シールド工事に用いる多数のセグメントの受入れをシールド工事現場において管理するためのセグメント受入れ管理システムであって、通信ネットワークを介して接続された、コンピュータと、写真撮影機能及びメール送受信機能を備える携帯端末とからなり、前記コンピュータは、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる使用に適合するセグメントのデータを記憶する適合セグメントデータ記憶部と、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる使用に適合しないセグメントのデータを記憶する不適合セグメントデータ記憶部と、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる不適合セグメントの手直し後のデータを記憶する手直し後セグメントデータ記憶部とを含むセグメント受入れ管理システムを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のセグメント受入れ管理システムによれば、搬入されるセグメントに不適合なセグメントが混在している場合の受入れ検査の検査結果を反映させて、シールド工事現場にストックされているセグメントや、製造工場に発注されるセグメントを効率良く適正に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るセグメント受入れ管理システムの構成を説明する説明図である。
【図2】各データ記憶部に記憶されたセグメントのデータを表示した状態を例示する説明図である。
【図3】受け入れ検査のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい一実施形態に係るセグメント受入れ管理システムは、シールド工事において用いられる多数のセグメントに対して、例えばQC(クオリティーコントロール)工程表に基づくシールド工事現場での受入れ検査を効率良く100%実施できるようにすると共に、セグメントの発注数量や発注仕様に関する最新情報を容易に把握できるようにし、且つ検査結果のリアルタイムの把握と出力のスピードアップを効果的に図れるようにすることを目的として採用されたものである。また、本実施形態のセグメント受入れ管理システムは、使用に適合しない不適合なセグメントの処置を明確化すると共に、処置後フローの電子決済化を図り、且つ必要に応じて資材管理システムや掘進管理システム、写真管理システム等と連動させて、シールド工事の全体の管理能力を向上させることができるようにすることを目的として採用されたものである。
【0013】
そして、本実施形態のセグメント受入れ管理システム10は、シールド工事に用いる多数のセグメントの受入れをシールド工事現場において管理するための管理システムであって、図1に示すように、通信ネットワーク11を介して接続された、コンピュータ12と、写真撮影機能及びメール送受信機能を備える携帯端末13とからなり、コンピュータ12は、携帯端末13から写真データと共に送られてくる使用に適合するセグメントのデータを記憶する適合セグメントデータ記憶部14と、携帯端末13から写真データと共に送られてくる使用に適合しないセグメントのデータを記憶する不適合セグメントデータ記憶部15と、携帯端末13から写真データと共に送られてくる不適合セグメントの手直し後のデータを記憶する手直し後セグメントデータ記憶部16とを含んでいる。
【0014】
本実施形態では、セグメント受入れ管理システム10を構成するコンピュータ12は、データベースサーバとして機能する公知のものであり、例えばパーソナルコンピュータ等を使用することができる。コンピュータ12としてのデータベースサーバは、CPU、ROM、RAM、I/F、記憶手段、入力手段、表示手段、出力手段等を備えている。データベースサーバのCPUは、ROMに組み込まれた制御プログラムに従って、RAMをワークエリアとして使用しながら、データベースサーバの全体の動作を制御する。また、CPUは、各種のコンピュータプログラムがROMに組み込まれていることにより、記憶手段、入力手段、表示手段、出力手段等を機能させると共に、セグメントの受入れや管理に関する写真データを含む情報をデータベース部に記憶させ、所定の情報をディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることができるようになっている。
【0015】
携帯端末13は、コンピュータ12との間で電子メールを送受信する機能や、写真撮影機能を備える公知のもので、例えば携帯電話を好ましく用いることができる。携帯端末13は、一つ又は複数使用することができる。
【0016】
また、本実施形態では、携帯端末13とコンピュータ12とは、例えば携帯アンテナ18を介した通信ネットワーク11で接続されており、これらの間で写真データを含むデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0017】
そして、本実施形態では、セグメント受入れ管理システム10を構成するコンピュータ12は、適合セグメントデータ記憶部14と、不適合セグメントデータ記憶部15と、手直し後セグメントデータ記憶部16とを含んでいる。また、本実施形態では、コンピュータ12は、資材の在庫や発注の管理を行う公知の資材管理システム19や、シールド掘進機の掘進管理を行う公知の掘進管理システム20や、或いは工事用写真の管理を行う公知の写真管理システム21と接続していたり、これらのシステム19,20,21を一体として備えており、これらのシステム19,20,21と連動してセグメントを管理することができるようになっている。
【0018】
適合セグメントデータ記憶部14は、シールド工事現場の例えばストックヤードにおいて、製造工場から搬入されるセグメントの受入れ検査を行っている現場職員から、携帯端末13及び通信ネットワーク11を介して電子メールによって送信されてくる、写真データを含む使用に適合すると判断されたセグメントのデータを記憶する部分である。また適合セグメントデータ記憶部14に記憶されたデータは、必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることができると共に、資材管理システム19や写真管理システム21に送られて、例えば管理ファイルに記録されたり、工事写真として整理されるようになっている。
【0019】
不適合セグメントデータ記憶部15は、シールド工事現場の例えばストックヤードにおいて、製造工場から搬入されるセグメントの受入れ検査を行っている現場職員から、携帯端末13及び通信ネットワーク11を介して電子メールによって送信されてくる、使用に適合しないと判断された不適合セグメントの写真データを含むデータを記憶する部分である。また適合セグメントデータ記憶部14に記憶されたデータは、必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることができると共に、工事現場の管理責任者がコンピュータ12の前で当該不適合セグメントの処置(手直し、廃棄)を判断するためのデータとして提示されるようになっている。
【0020】
手直し後セグメントデータ記憶部16は、シールド工事現場の例えばストックヤードにおいて、不適合セグメントと判断された後に手直しを行ったセグメントの検査を行っている現場職員から、携帯端末13及び通信ネットワーク11を介して電子メールによって送信されてくる、手直し後のセグメントの写真データを含むデータを記憶する部分である。また手直し後セグメントデータ記憶部16に記憶されたデータは、必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることができると共に、工事現場の管理責任者がコンピュータ12の前で当該手直し後のセグメントの処置(合格、再手直し、廃棄)を判断するためのデータとして提示されるようになっている。
【0021】
ここで、携帯端末13及び通信ネットワーク11を介して電子メールによって送信されてくる、写真データを含む各セグメントに関するデータを、適合セグメントデータ記憶部14や、不適合セグメントデータ記憶部15や、手直し後セグメントデータ記憶部16に記憶させるには、例えば受入れするセグメントの発注状況に応じたID(セグメント発注番号、日時、受け入れ日時、セグメント数量、数)を基に現場職員が携帯端末13で撮影した各セグメントの写真データを、コメントを記載した上で、携帯端末13からコンピュータ12にメール送信する。この際、メールの題目には各セグメントのID及び検査結果(適合、不適合、未検査)の記載が自動的に付与される。メールを受信したコンピュータ12は、受信したメールに含まれる各セグメントに関するデータを、その題目に記載されているセグメントID及び検査結果(適合、不適合、未検査)に従って自動判別し、各データ記憶部14、15、16に振り分けて各々記憶する。
【0022】
また、これらのデータ記憶部14、15、16に振り分けて各々記憶された各セグメントに関するデータは、例えば図2に示すように、工事現場の管理責任者がコンピュータ12の前でセグメントの処置(合格、手直し、廃棄)を判断するためのデータとして、例えばディスプレイ17に適宜表示されることになる。
【0023】
そして、上述の構成を備える本実施形態のセグメント受入れ管理システム10を使用して、シールド工事現場でセグメントの受け入れを管理するには、例えば図2に示すように、まずシールド工事現場のストックヤードにおいて、現場職員は、資材管理システム19から送られてくる例えばセグメントのメーカーが書き込んだ最新データから、当該搬入日のセグメントの搬入予定数量や仕様を確認すると共に、搬入されたセグメントの受入れ検査を実施する。ここで、受入れ検査は、例えば所定の検査項目を携帯端末13の画面で確認しながら行うことができると共に、携帯端末13の画面で検査項目を順番にチェックして記録することができる。
【0024】
ここで、現場職員による受入れ検査でセグメントが使用に適合すると判断された場合には、当該セグメントを携帯端末13で撮影し、撮影した写真データを、その他のデータと共にコンピュータ12に送信して適合セグメントデータ記憶部14に記憶する。写真データには、搬入時の車両No.、種別、合否判定、数量等の属性を適宜付与することができる。現場職員は、検査結果を受入れ検査記録帳票に記録しておくことが好ましい。
【0025】
適合セグメントデータ記憶部14に記憶された適合するセグメントのデータは、さらに写真管理システム21に送られ、例えば資材搬入写真として、材料ごと、日付順にフォルダーで管理されることになると共に、資材管理システム19に送られて、例えば検査合格の数量が当日受入れ数量として記録され、受け払い簿計算が行われることになる。
【0026】
一方、現場職員による受入れ検査でセグメントが使用に適合しないと判断された場合には、当該セグメントを携帯端末13で撮影し、撮影した写真データを、その他のデータと共にコンピュータ12に送信して不適合セグメントデータ記憶部15に記憶する。不適合セグメントデータ記憶部15に記憶された不適合セグメントのデータは、工事現場の管理責任者に適宜提示されて、管理責任者が、コンピュータ12の前で、不適合セグメントを手直しするか廃棄するかの処置について容易に判断することが可能になる。また好ましくは写真管理システム21に送られて、不適合品の状態が記録されることになる。
【0027】
そして、工事現場の管理責任者により手直しによって対応不可と判断されて、例えば選択画面の不適合品処置欄の「不採択」が選択された不適合セグメントは、ストックヤードのストック量としてカウントされるが、入荷数量にはカウントされることなく廃棄処分されることになる。
【0028】
また、工事現場の管理責任者により手直しによって対応可能と判断されて、例えば選択画面の不適合品処置欄の「手直し」が選択された不適合セグメントは、ストックヤードのストック量としてカウントされると共に、手直し処置の検討がなされた後に、その手直しが実施されることになる。
【0029】
不適合セグメントが手直しされたら、現場職員は、例えば当該不適合セグメントの手直し部分を含めた写真を撮影すると共に、撮影した写真データを、その他のデータと共にコンピュータ12に送信して手直し後セグメントデータ記憶部16に記憶する。手直し後セグメントデータ記憶部16に記憶された手直し後のセグメントのデータは、工事現場の管理責任者に適宜提示されて、管理責任者が、コンピュータ12の前で、手直し後のセグメントを合格とするか、再度手直しするか、廃棄するかの処置について容易に判断することが可能になる。また好ましくは写真管理システム21に送られて、手直し後の状態が記録されることになる。
【0030】
そして、合格と判断された手直し後のセグメントに関するデータは、上述の使用に適合するセグメントのデータと同様に、写真管理システム21に送られて、例えばフォルダーで管理されることになると共に、資材管理システム19に送られて、例えば入荷量としてカウントされることになる。
【0031】
また、廃棄と判断された手直し後のセグメントは、上述の手直しによって対応不可と判断された不適合セグメントと同様に、入荷数量にカウントされることなく廃棄処分されることになる。
【0032】
さらに、再度手直しと判断された手直し後のセグメントは、上述の手直しによって対応可能と判断された不適合セグメントと同様に、手直し処置の検討がなされた後に手直しが実施され、手直し後のデータが手直し後セグメントデータ記憶部16に記憶されて、上述と同様の工程が繰り返されるれことになる。
【0033】
したがって、これらによって、本実施形態のセグメント受入れ管理システム10によれば、搬入されるセグメントに不適合なセグメントが混在している場合の受入れ検査の検査結果を反映さつつ、シールド工事現場にストックされているセグメントや、製造工場に発注されるセグメントを効率良く適正に管理することが可能なる。
【0034】
なお、本発明は上記本実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、携帯端末とコンピュータとを接続する通信ネットワークは、携帯アンテナを介した通信ネットワークである必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0035】
10 セグメント受入れ管理システム
11 通信ネットワーク
12 コンピュータ
13 携帯端末
14 適合セグメントデータ記憶部
15 不適合セグメントデータ記憶部
16 手直し後セグメントデータ記憶部
17 ディスプレイ
18 携帯アンテナ
19 資材管理システム
20 掘進管理システム
21 写真管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工事に用いる多数のセグメントの受入れをシールド工事現場において管理するためのセグメント受入れ管理システムであって、
通信ネットワークを介して接続された、コンピュータと、写真撮影機能及びメール送受信機能を備える携帯端末とからなり、
前記コンピュータは、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる使用に適合するセグメントのデータを記憶する適合セグメントデータ記憶部と、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる使用に適合しないセグメントのデータを記憶する不適合セグメントデータ記憶部と、前記携帯端末から写真データと共に送られてくる不適合セグメントの手直し後のデータを記憶する手直し後セグメントデータ記憶部とを含むセグメント受入れ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−196445(P2010−196445A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46031(P2009−46031)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(591284601)株式会社演算工房 (22)
【Fターム(参考)】